| 【発明の名称】 |
ねじ付オイルシール |
| 【発明者】 |
【氏名】社本 嘉宏
【氏名】宗田 雅樹
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| 【要約】 |
【課題】簡単な構造で、オイルシールの使用初期から長期間に亘り安定した密封性能を保持することのできるねじ付オイルシールを提供すること。
【解決手段】シール面10にリップ先端8に接続している複数の螺旋状のねじを突設してなるねじ付オイルシールにおいて、前記ねじはその高さが長手方向に一定な一定高ねじ15と、ねじのリップ先端に近い部分の高さが前記一定高ねじとほぼ同等の高さの低い低隆起部16aとリップ先端から遠い部分の高さが前記低隆起部16aより高い高隆起部16cとを有する段付ねじ16とによって形成されていることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シール面にリップ先端に接続している複数の螺旋状のねじを突設してなるねじ付オイルシールにおいて、前記ねじはその高さが長手方向に一定な一定高ねじと、ねじのリップ先端に近い部分の高さが前記一定高ねじとほぼ同等の高さの低い低隆起部とリップ先端から遠い部分の高さが前記低隆起部より高い高隆起部とを有する段付ねじとによって形成されていることを特徴とするねじ付オイルシール。 【請求項2】 前記一定高ねじと段付ねじとを周方向に交互に配置していることを特徴とする請求項1に記載のねじ付オイルシール。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、密封流体の漏洩防止に用いられる密封装置の一種であるねじ付オイルシールに関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、自動車などに搭載されているエンジンのクランクシャフトやカムシャフトなどのシャフトが外部に露出する部位には、密封流体としての潤滑油の漏洩防止にゴム様弾性体などからなる環状のオイルシールが多用されている。そして、オイルシールの一種として、シール面にシール機能を流体力学的に支援する複数の螺旋状のねじを形成したねじ付オイルシールが知られている。 【0003】以下、このような従来のねじ付オイルシールについて図7から図10により説明する。 【0004】図7に示すように、従来のねじ付オイルシール1は、回転軸(クランクシャフト)2とハウジング3との間に装着されるように形成されている。そして、ねじ付オイルシール1は、断面略L字形状に形成された環状の補強環4に、ゴム様弾性体で形成されたシール本体5が一体に焼き付けられて形成されている。 【0005】前記シール本体5には、補強環4の内周部から図示しない潤滑油等の密封流体が位置する密封側OSに向かって徐々に縮径するように形成された環状のシールリップ6と、補強環4の内周部から大気側ASに向かって徐々に縮径するように形成された環状のダストリップ7とが形成されており、シールリップ6は、回転軸2と適宜な締代を有し、回転軸2と接触するリップ先端8を有している。そして、シールリップ6には、リップ先端8から密封側OSに向けて拡径された所定の油面角を有する油面9と、リップ先端8から大気側ASに向けて拡径された所定のシール角を有するシール面10とを有しており、シール面10のリップ先端8側の所望の領域が、装着状態において回転軸2の表面に適宜な締代をもって当接するようにされている。また、シールリップ6のリップ先端8の径方向外側の背面には、シールリップ6と回転軸2との間のラジアル方向の緊迫力を保持するためのガータースプリング11が配設されている。 【0006】さらに、装着状態において回転軸2と当接するシール面10には、密封側OSから大気側ASに向かって漏洩しようとする図示しない潤滑油などの密封流体を、常に密封側OSに位置させるポンプ作用を具備する複数のねじ12が突設されている。このねじは、図8から図10に詳示するように、傾斜角度θ1が20〜30度程度、頂角θ2が80〜100度程度、シール面10から頂点までの高さHが0.03〜0.08mm程度の断面略三角山形とされており、ねじ12のリップ先端8側に位置する先端部13は、リップ先端8に接続されている。 【0007】また、リップ先端8は、図示しないオイルシール仕上げ用メスを用いた仕上げ加工により形成されている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した従来のねじ付オイルシール1においては、使用時間(回転軸2の回転時間)の増加に伴って、リップ先端8の摩耗が増加して、リップ先端8とともに回転軸2と接しているねじ12のリップ先端8側に位置する先端部13の摩耗が増加して徐々に平滑となり、ねじ12によるポンプ作用が徐々に低下し、リップ先端8の摩耗量の増加に伴って密封性能が低下して行き、漏れに到るまでの寿命が短いという問題点があった。 【0009】この問題点を解消するために、特開平10−19135号公報において、図11に示すように、リップ先端8に近い領域のねじ12aの高さを前記従来例とほぼ同等の高さの低隆起部とし、リップ先端8から離れる側の領域のねじ12aの高さを低隆起部の高さの約5倍程度に高い高隆起部として形成したオイルシールが提案されている。このねじ12aをその長手方向に高低2段の段付形状に形成することにより、リップ先端8の摩耗が進行するに従ってねじ12aの高さの低い低隆起部が摩耗して行くとねじ12aの高さの高い高隆起部が相手部材に徐々に接触して行くために密封性能の低下を防止することができる。 【0010】ところが、前記公報記載のオイルシールは、ねじ12aの高さが高い高隆起部を有しているために、総てのねじ12aのピッチを大きく形成しなくてはならないことからオイルシールに配置されるねじの本数には制限があり、その結果としてリップ先端8の摩耗初期においてのポンプ量には限度があった。 【0011】そこで、オイルシールのリップ先端8の摩耗初期におけるポンプ量を充分に保持するとともに、使用時間の増加に伴ってリップ先端8の摩耗が増加した場合においても、ねじ12aによるポンプ作用の低下を低減し、長期間に亘り安定した密封性能を保持することができるものが望まれていた。 【0012】本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、オイルシールの使用初期から長期間に亘り安定した密封性能を保持することのできるねじ付オイルシールを提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するため請求項1に記載の本発明のねじ付オイルシールは、シール面にリップ先端に接続している複数の螺旋状のねじを突設してなるねじ付オイルシールにおいて、前記ねじはその高さが長手方向に一定な一定高ねじと、ねじのリップ先端に近い部分の高さが前記一定高ねじとほぼ同等の高さの低い低隆起部とリップ先端から遠い部分の高さが前記低隆起部より高い高隆起部とを有する段付ねじとによって形成されていることを特徴とする。このように構成することにより摩耗していないリップ先端が相手方と接触した使用初期においては、一定高ねじと段付ねじの低隆起部とが相手方に接触して充分なポンプ量が得られ、リップ先端の摩耗が進行すると段付ねじの高隆起部が相手方に徐々に接触して行くのでポンプ量の低下を低減することができる。これによりオイルシールの使用初期から長期間に亘り安定した密封性能を保持することができる。 【0014】そして、請求項2に記載の本発明のねじ付オイルシールは、請求項1に記載のねじ付オイルシールにおいて、前記一定高ねじと段付ねじとを周方向に交互に配置していることを特徴とする。このように構成することにより、一定高ねじと段付ねじとが周方向に均等に配置されるので、ポンプ量も周方向に均等となり、精度の高い密封性能を発揮させることができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施例により説明する。なお、前述した従来のものと同一ないしは相当する構成については、図面中に同一の符号を付す。 【0016】図1から図6は本発明に係るねじ付オイルシールの第1実施例を示すものである。図1に示すように、本実施例のねじ付オイルシール14は、回転軸2とハウジング3との間に装着されるように形成されている。そして、ねじ付オイルシール14は、断面略L字形状に形成された環状の補強環4に、ゴム様弾性体で形成されたシール本体5が一体に焼き付けられて形成されている。 【0017】前記シール本体5には、補強環4の内周部から密封側OSに向かって徐々に縮径するように形成された環状のシールリップ6と、補強環4の内周部から大気側ASに向かって徐々に縮径するように形成された環状のダストリップ7とが形成されており、シールリップ6は、回転軸2と適宜な締代を有し、回転軸2と接触するリップ先端8を有している。そして、シールリップ6には、リップ先端8から密封側OSに向けて拡径された所定の油面角を有する油面9と、リップ先端8から大気側ASに向けて拡径された所定のシール角を有するシール面10とを有しており、シール面10のリップ先端8側の所望の領域が、装着状態において回転軸2の表面に適宜な締代をもって当接するようにされている。また、シールリップ6のリップ先端8の径方向外側の背面には、シールリップ6と回転軸2との間のラジアル方向の緊迫力を保持するためのガータースプリング11が配設されている。 【0018】前記シール面10には、密封側OSから大気側ASに向かって漏洩しようとする図示しない潤滑油などの密封流体を常に密封側OSに位置させるポンプ作用を具備する2種類のねじ15、16が交互に周方向に等分に形成されている。これらのねじ15、16は、図2から図4に詳示するように、傾斜角度θ1が15〜30度、本実施形態においては20度程度、頂角θ2が80〜100度、本実施形態においては90度程度の断面略三角山形とされている。更に、一方のねじ15はその高さHが長手方向に一定の高さ、本実施形態においては0.03〜0.055mm程度、に形成されている一定高ねじとされている。他方のねじ16は、ねじ16のリップ先端8に近い部分の高さH1が前記一定高ねじ15の高さHとほぼ同等の高さの低い低隆起部16aとされ、リップ先端8から遠い部分の高さH2が前記低隆起部16aより高い高さ、本実施形態においては0.25mm程度、に形成された高隆起部16cとされ、途中をテーパ部16bをもって連結されている段付ねじとされている。なお、前記各値θ1、θ2、H、H1、H2は、使用条件、設計コンセプト等により決定すればよく、特に、本実施例の値に限定されるものではない。 【0019】前記ねじ15、16は、シール本体5の加硫成型時に用いる図示しない金型にねじ15、16に対応する部位を彫刻などにより形成し、この金型を用いた加硫成型によって型決めにより形成されている。 【0020】つぎに、前述した構成からなる本実施例の作用について説明する。 【0021】本実施例のねじ付オイルシール14によれば、弾性を有するシールリップ6の径方向内側のシール面10に、リップ先端8に接続している2種類の複数の螺旋状のねじ15、16を交互に周方向等ピッチに突設してあるので、これらのねじ15、16のリップ先端8側の所望の領域が装着状態において回転軸2と接することとなる。 【0022】このようにして摩耗していない状態若しくは摩耗量が少ない状態のリップ先端8が回転軸2と接触した使用初期においては、一定高ねじ15と段付ねじ16の低隆起部16aとが回転軸2に接触して密封側OSから大気側ASに向かって漏洩しようとする図示しない密封流体を常に密封側OSに位置させるポンプ作用を同時に発揮させる。これにより一定高ねじ15および段付ねじ16の低隆起部16aの総和による大きなポンプ作用が得られ、リップ先端8の摩耗初期におけるポンプ量を充分に保持することができる。 【0023】その後、更にリップ先端8の摩耗が進行すると、段付ねじ16の低隆起部16aより高さの高いテーパ部16bおよび高隆起部16cが回転軸2に徐々に接触して行くので、回転軸2と接するねじ16のシール面10からの高さが徐々に高くなり、ねじ16による密封側OSから大気側ASに向かって漏洩しようとする図示しない密封流体を常に密封側OSに位置させるポンプ作用を徐々に増加させることができ、安定した密封性能をオイルシールの使用初期から長期間に亘り確実に保持することができる。 【0024】更に、本実施形態においては、一定高ねじ15と段付ねじ16とを交互に配置しているために、一定高ねじ15と段付ねじ16とが周方向に均等に配置されるので、ポンプ量も周方向に均等となり、精度の高い密封性能を発揮させることができる。 【0025】次に、図5により、本発明のねじ付オイルシール14の性能を図7に示す従来例および図11に示す公報記載の従来例と比較して説明する。 【0026】図5はオイルシールの使用に伴うリップ摩耗幅とねじによるポンプ量との変化特性を示したものである。 【0027】この場合の測定条件は回転軸2の直径を90mm、回転数を3000rpm、シールすべきオイルをエンジンオイル10W−30、油温を120℃とした。また、図5におけるリップ摩耗幅は、図6に示すように、シールリップ6のリップ先端8が摩耗した場合の内周面8aの軸方向長さとしている。 【0028】更に、本発明の一定高ねじ15および段付ねじ16の形状、大きさ等は前記のとおりとし、図7の従来例は本発明の一定高ねじ15と同一大のねじを本発明の両ねじ15、16の総和数と同数設けてあり、図11に示す公報記載の従来例は前記の大きさの段付ねじを本発明の一方の段付ねじ16の総数と同数だけ設けてある。 【0029】図5より、本発明はオイルシール14の使用初期においても図7に示す従来例と同等のポンプ量を保持しているが、図11に示す公報記載の従来例は初期ポンプ量が大きく低減している。その後、オイルシール14の使用が進行すると、図7の従来例はポンプ量が大きく低減してしまうが、本発明は図11に示す公報記載の従来例と同様に高いポンプ量を維持することができる。従って、本発明によれば、オイルシールの使用初期から長期間に亘り安定した密封性能を保持することができることがわかる。 【0030】なお、本発明は、前記各実施例に限定されるものではなく、例えば、一定ねじや段付ねじを複数本ずつ交互に配置する等、必要に応じて変更することができる。 【0031】 【発明の効果】以上説明したように本発明のねじ付オイルシールによれば、簡単な構造で、密封側から大気側に向かって漏洩しようとする密封流体を常に密封側に位置させるポンプ作用をオイルシールの使用初期から長期間に亘って持続させることができ、安定した密封性能を長期間に亘り確実に保持することができるという極めて優れた効果を奏する。 【0032】具体的には、請求項1によれば、摩耗していないリップ先端が相手方と接触した使用初期においては、一定高ねじと段付ねじの低隆起部とが相手方に接触してポンプ量の低下が確実に防止されて充分なポンプ量が得られ、リップ先端の摩耗が進行すると段付ねじの高隆起部が相手方に徐々に接触して行くので充分なポンプ量を得ることができる。これによりオイルシールの使用初期から長期間に亘り安定した密封性能を保持することができる。 【0033】また、請求項2によれば、一定高ねじと段付ねじとが周方向に均等に配置されるので、ポンプ量も周方向に均等となり、精度の高い密封性能を発揮させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000143307 【氏名又は名称】株式会社荒井製作所
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| 【出願日】 |
平成11年12月20日(1999.12.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081282 【弁理士】 【氏名又は名称】中尾 俊輔 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−173798(P2001−173798A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−361678 |
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