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【発明の名称】 往復動軸用オイルシール
【発明者】 【氏名】宮澤 誠司

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1 】 主リップと副リップとを備えた往復動軸用オイルシールにおいて、前記主リップの先端と副リップの先端との距離をHとし、主リップの軸に対する締め代をS1としたとき、前記HとS1とが、S1≦H≦2.5S1の関係を充足するように構成されていることを特徴とする往復動軸用オイルシール。
【請求項2】 主リップの軸に対する締め代をS1とし、副リップの軸に対する締め代をS2としたとき、前記S1とS2とが、0.6S1≦S2≦0.9S1の関係を充足するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の往復動軸用オイルシール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、油圧緩衝器等のような往復動する軸に使用されるオイルシールに関する。
【0002】
【従来技術】従来の2筒式の油圧緩衝器は図4に示すように、油圧緩衝器の外筒31の開口端にロッドガイド32が取り付けられ、この外側部にオイルシール34が配設されている。前記したオイルシール34は、円板状の金属補強環35を中心としてその内周部に主リップ36及びその外側にダストリップ37が一体的に設けられており、前記の主リップ36は油圧緩衝器のピストンロッド33に摺動自在で、かつ気密に当接し、また、前記のダストリップ37は外部よりのダストの侵入を防止している。
【0003】39は、前記したオイルシール34の円板状金属補強環35の下側面に斜め外周下方に突設されたチェックリップであり、該チェックリップ39は、ロッドガイド32の第一の段部40に当接し、該チェックリップ39によってロッドガイド32とピストンロッド33の間を通過して、ロッドガイド32の環状凹所41に流入した緩衝油をチェックリップ39、連通路42を介して外筒31と内筒43とで形成されるリザーバ室44へ還流させ、前記のリザーバ室44の気体や油が環状凹所41内に逆流しないようにしているものである。
【0004】そして、前記のオイルシール34の主リップ36は圧力により変形することがあり、その変形により主リップの油面角及びシール角が変化することとなり、シール性が損なわれることとなる。そこで、上記の主リップ36の変形を防止するために、主リップ36を支持する副リップ45を設けるのが通常である。そして、前記の副リップ45はその性質上そのピストンロッド33に対する締め代は、該ロッドと同寸法か、僅かばかりの締め代を有するか、更にはロッド33との間に微小な隙間を有するようにされているのが通常である。
【0005】上記した油圧緩衝器等の往復動軸用のオイルシールにおいては、往復動するピストンロッド33の上下死点折返し作動時に主リップ36はピストンロッドに引きずられて摺動せずともに動き始めることがあり、これは、主リップ36のピストンロッド33との接触面積が大きければ大きいほどフリクションが大きくなり、前記のピストンロッド33と同期して摺動せずに主リップが動く軸方向長さ(以下引きずられ量という)が大きくなる。引きずられ量が大きくなるとシール安定フリクションの発生を遅らせることとなる。また、車に搭載される油圧緩衝器においてはフリクションが減衰力に影響を及ぼしていることから、シール安定フリクションの発生遅れは減衰力の発生を遅らせることとなり、操縦安定性に問題をきたす。
【0006】そして、前記したピストンロッド33の上下死点折返し作動時に主リップ36が該ロッド33とともに引きずられる動きをするときには、主リップ36のゴムの腰部も伸縮することになるが、従来の副リップ45は、図5に示すように主リップ36の先端部との距離hに特別の考慮が払われておらず、その距離hは大きく設定されているのが通常である。そして、前記のピストンロッド33の上下死点折返し作動時の問題においては、前記した主リップと副リップとの距離が大きいときには、ゴムの腰部46の伸縮には副リップ45は何ら抑制作用がなく、引きずられ現象を解消することができず、また、前記の距離が近接している場合には、主リップ36の適正なシール角を維持して製作することが困難となる。更に、主リップの締め代s1あるいは副リップの締め代s2についても従来は特に考慮されていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来のこの種の油圧緩衝器等のピストンロッドのような往復動軸の上下死点折返し作動時の問題においては、副リップは主リップの安定フリクションの発生遅れいわゆる減衰力の発生の遅れに対して抑制作用がなく、良好な操縦性が得られないことがあり、前記した往復動軸の上下死点折返し作動時の主リップの引きずられ量を極力抑えるには、オイルシールの主リップと副リップの間に相対的な関係があることを見いだして本発明を完成したものであり、上記の相対的な関係を明確にすることにより往復動軸の上下死点折返し作動時のオイルシールの主リップの引きずられ量を極力なくすようにした往復動軸用のオイルシールの提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る往復動軸用オイルシールは、前記の目的を達成するために、主リップと副リップとを備えた往復動軸用オイルシールにおいて、前記主リップの先端と副リップの先端との距離をHとし、主リップの軸に対する締め代をS1としたとき、前記HとS1とが、S1≦H≦2.5S1の関係を充足するように構成されていることをその特徴とし、また、前記の主リップの軸に対する締め代S1と副リップの軸に対する締め代S2との関係については、前記S1とS2とが、0.6S1≦S2≦0.9S1の関係を充足するように構成されていることをその特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図1に基づいて説明すると、前述した図4に示されるような2筒式の油圧緩衝器における外筒31の開口端にロッドガイド32が取り付けられ、この外側部に本発明に係るオイルシール1が配設されるものであるが、本発明の実施の形態における前記オイルシール1は、円板状の金属補強環2を中心としてその内周部に主リップ3及び該主リップ3と所定の距離で副リップ4が配設され、その外側にダストリップ5が一体的に設けられており、前記の主リップ3は油圧緩衝器のロッド6に摺動自在で、かつ気密に当接し、また、副リップ4は前記主リップ3の変形防止のために設けられており、更に前記のダストリップ5は外部よりのダストの侵入を防止している。
【0010】前記したオイルシール1の主リップ3はロッド6に所要の締め代S1をもって摺接し、副リップ4はロッド6に対して所要の締め代S2をもって摺接しており、更に、前記の主リップ3の先端と副リップ4の先端とは所定の距離Hを有している。
【0011】そして、前述したロッド6の上下死点折返し作動時に主リップ3が引きずられることを避けるために、主リップ3の腰部の伸縮を防止することができ、しかも、主リップ3の適正なシール角を維持して製作可能な主リップ3の先端と副リップ4の先端との距離を求めることが必要である。
【0012】上記の要件を満たすために、本実施の形態においては、前記の主リップ3の先端部と副リップ4の先端部との距離Hを前記の主リップ3の締め代S1より大きく、かつ、前記主リップの締め代S1の2.5倍より小さくしている。すなわちS1≦H≦2.5S1の関係を有して構成されている。
【0013】上記したような主リップ3の先端部と副リップ4の先端部との距離Hを前記のように構成すると、図2に示すように軸の往復動に対する主リップ3の先端と副リップ4の先端との距離Hが主リップ3の締め代S1と同一あるいは2.5倍以下である間はロッド6の上下死点折返し作動時の往復動による主リップ3の引きずられ量は略一定で比較的小さく良好な操縦性が得られる。主リップ3の先端と副リップ4の先端との距離Hが主リップ3の締め代S1の2.5倍を超えると主リップ3の引きずられ量は急激に大きくなり、良好な操縦性が得られなくなる。また、前記のHを主リップ3の締め代S1より小さくすると両者は接近し過ぎて主リップ3の適正なシール角を維持して製作することが困難となる。
【0014】また、前記したように主リップ3のロッド6に対する締め代をS1とし、副リップ4のロッド6に対する締め代をS2とした場合、S2を小さくすると主リップ3のロッド6に対する接触幅が大きくなることから主リップ3のフリクションが大きくなり、ロッド6の上下死点折返し作動時の主リップ3の引きずられ量が大きくなる。また、前記のS2を大きくすると主リップ3のロッド6に対する緊迫力が弱くなり、シール性能を損なうことになる。
【0015】そこで、本実施の形態においては、前記副リップ4の締め代S2を主リップ3の締め代S1の0.6倍より大きく、かつ主リップ3の締め代S1の0.9倍より小さくした構成、すなわち0.6S1≦S2≦0.9S1の関係を充足する構成を採用することにより前述の問題を解決したものである。
【0016】上記のように構成したときには、図3に示すように前記のS2がS1の0.6倍以上あるいは0.9倍以下である間はロッド6の上下死点折返し作動時の往復動による主リップ3の引きずられ量は略一定で比較的小さい。S2がS1の0.6倍より小さいとロッド6の上下死点折返し作動時の主リップ3の引きずられ量は急激に大きくなる。また、S2がS1の0.9倍を超えるとシール性能が損なわれてくる。
【0017】本実施の態様においては、オイルシール1は油圧緩衝器のロッドの密封に使用するものとして説明したが、本実施の態様で説明したオイルシール1は油圧緩衝器に限らず、往復動する軸の密封に適用できるものである。
【0018】
【発明の効果】本発明に係る往復動軸用オイルシールは、主リップと副リップを備え、主リップと副リップとの距離を主リップの軸に対する締め代と同一から該締め代の2.5倍の間に設定したので主リップの適正なシール角を維持して製作ができるとともに、軸の上下死点折返し作動時の主リップの引きずられ量は殆どなく、また、副リップの軸に対する締め代を主リップの軸に対する締め代の0.6倍と0.9倍の間に設定したので軸の上下死点折返し作動時に主リップが引きずられ難くなるとともに、シール性能が損なわれない効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000143307
【氏名又は名称】株式会社荒井製作所
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成11年12月17日(1999.12.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−173797(P2001−173797A)
【公開日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【出願番号】 特願平11−358483