| 【発明の名称】 |
バッファシール構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】草野 広男
【氏名】柳生 秀樹
【氏名】榎本 博幸
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| 【要約】 |
【課題】バッファシールBのはみ出し量を少なくして、耐圧強度を維持しながら摺動すき間3を大きく取れるようにする。
【解決手段】バッファシールBのスライドリング8を、クリープ性の低い改質フッ素樹脂で構成した点に特徴を有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 相対移動しながら摺動する部材間に摺動すき間を維持するとともに、これらいずれか一方の部材に凹溝を形成し、この凹溝内にバッファシールをはめたバッファシール構造において、バッファシールを改質フッ素樹脂製としたことを特徴とするバッファシール構造。 【請求項2】 改質フッ素樹脂は、フッ素樹脂を酸素濃度100torr以下で、かつ、その融点以上の雰囲気下で、照射線量1kGy〜10MGyの範囲内で電離性放射線を照射した改質した樹脂が1〜100重量%含まれたものであることを特徴とする請求項1記載のバッファシール構造。 【請求項3】 フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン系重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、又はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロイレン系共重合体、あるいはこれらの混合からなるものであることを特徴とする請求項2記載のバッファシール構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、特に高圧が作用する摺動部分に用いるのに最適なバッファシール構造に関する。 【0002】 【従来の技術】バッファシールは、例えば、ピストンロッドとシリンダヘッドとの間をシールするために用いられるものである。このバッファシールを用いたシリンダには、シリンダヘッド内の流体が、ピストンロッドに付着して外部に大量に流出するのを防止するために、Uパッキンを設けている。しかし、このUパッキンに直接高圧が作用すると、それがピストンロッドに密着するので、ピストンロッドに付着した油膜を、この密着したUパッキンでかき取ってしまう危険がある。もし、ピストンロッドの表面の油膜が完全にかき取られてしまえば、パッキン自体の耐久性が損なわれるだけでなく、大気に解放されたピストンロッドの部分が錆びてしまうという問題も発生する。 【0003】そこで、高圧のシリンダにおいては、ピストンロッドの伸長方向に対してUパッキンの手前側にバッファシールを設けて、Uパッキンに高圧が作用しないようにしている。このような目的を持った従来のバッファシールは、ポリテトラフロロエチレンと充填剤とを混合したものが用いられている。このポリテトラフロロエチレンと充填剤とを混合したバッファシールは、クリープ性が高い(変形率が大きい)という特性を持っている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】クリープ性の高いバッファシールを、例えば、ピストンロッドとシリンダヘッドの摺動部分に用いると、次のような問題があった。ピストンロッドとシリンダヘッドとの摺動部分には、その摺動性を維持するために、摺動すき間を保たなければならない。 【0005】ところが、バッファシールのクリープ性が高いと、高圧が作用したときに、バッファシールが変形して上記すき間からはみ出してしまう。バッファシールが摺動すき間からはみ出した状態で、両者の摺動を繰り返すと、そのはみ出した部分が、引きちぎられることがある。バッファシールが引きちぎられれば、当然のこととして、その耐圧性が落ちるし、ひどいときには切断してしまうこともある。バッファシールが切断すれば、Uパッキンに高圧が作用し、前記したような問題が発生する。 【0006】そこで、従来は、ピストンロッドとシリンダヘッドとの間の摺動すき間を小さくして、バッファシールのはみ出し量を規制するようにしていた。このように摺動すき間を小さくすれば、バッファシールのはみ出しを防止できるので、それだけ耐圧強度が増す。しかし、摺動すき間を小さくすればするほど、製造精度や組み付け精度を上げなければならないし、精度を上げるために設計の自由度も制限されるという問題があった。この発明の目的は、バッファシールのクリープ性を高めて、そのはみ出しを防止できるバッファシール構造を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】この発明は、相対移動しながら摺動する部材間に摺動すき間を維持するとともに、これらいずれか一方の部材に凹溝を形成し、この凹溝内にバッファシールをはめたバッファシール構造を前提にする。上記のバッファシール構造を前提にしつつ、第1の発明は、バッファシールを改質フッ素樹脂製とした点に特徴を有する。 【0008】第2の発明は、改質フッ素樹脂が、フッ素樹脂を酸素濃度100torr以下で、かつ、その融点以上の雰囲気下で、照射線量1kGy〜10MGyの範囲内で電離性放射線を照射した改質した樹脂が1〜100重量%含まれたものであることを特徴とする。第3の発明は、フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン系重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、又はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロイレン系共重合体、あるいはこれらの混合からなるものであることを特徴とする。 【0009】 【発明の実施の形態】図示の実施例は、ピストンロッド1とシリンダヘッド2との摺動部分に、摺動すき間3を保持している。上記のようにしたシリンダヘッドに凹溝4を形成し、この凹溝4にUパッキン5をはめている。なお、図中符号6は、凹溝4にはめたバックアップリングである。 【0010】また、ピストンロッド1の伸長方向に対して手前側にも凹溝7を形成し、この凹溝7にバッファシールBを組み込んでいる。ただし、このバッファシールBは、ピストンロッド1に直接接触するスライドリング8と、このスライドリング8の内側にはめ込んだ角リング9とから構成される。 【0011】そして、上記スライドリング8は改質フッ素樹脂製としているが、この改質フッ素樹脂は、酸素濃度100torr以下で、かつ、その融点以上に加熱された雰囲気下にフッ素樹脂を置き、それを電離性放射線を照射線量1kGy〜10MGyの範囲で照射して製造したものを用いている。ただし、この発明の改質フッ素としては、上記のようにして製造した改質フッ素樹脂に、さらに他のフッ素樹脂、あるいはウレタンゴム、NBR、PEEK、超高分子量ポリエチレン等を添加したものであってもよい。 【0012】上記改質フッ素樹脂の原料となるフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン系重合体(以下「PTFE」という)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体(以下「PFA」という)、あるいはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(以下「FEP」という)が挙げられる。さらに、それに添加するフッ素樹脂としても、上記と同様なものが考えられる。 【0013】また、上記フッ素樹脂の照射は、単独のフッ素樹脂粉末に対して電離線を照射してもよいし、2種以上のフッ素樹脂混合物に電離性放射線を照射してもよい。このようにして照射された改質フッ素樹脂に、もう一度電離性放射線を照射してもよい。さらに、上記の電離性放射線を照射するにときには、フッ素樹脂をその結晶融点以上に加熱しておくことが望ましい。例えば、フッ素樹脂としてPTFEを用いる場合には、この材料の結晶融点である327℃よりも高い温度に過熱した状態で、電離性放射線を照射することが望ましい。また、PFAの場合には、その結晶融点である310℃以上、FEPの場合には同じく275℃以上に加熱して、放射線を照射することが望ましい。 【0014】上記のように結晶融点以上に加熱するのは、フッ素樹脂を構成する主鎖の分子運動を活発化させて、分子間の架橋反応を効率よく促進させるためである。ただし、過度の加熱は、逆に、分子主鎖の切断と分解とを招いてしまう。そこで、このような解重合現象の発生を抑制するために、加熱温度は、フッ素樹脂の結晶融点よりも10〜30℃高い範囲内に抑えるべきである。フッ素樹脂を照射する雰囲気が、酸素濃度100torr以上の場合に、その照射時に酸素が存在すると架橋が抑制され、分解が起きてしまう。そのため酸素濃度は100torr以下であることが望ましい。その上、耐摩耗性を考慮すれば、10torr以下、更には2torr以下が望ましい。 【0015】上記のバッファシールBを用いて行ったテストでは、次のような好結果が得られた。 従来品のバッファーシール変性ポリテトラフルオロエチレン(デュポン社製、ホスタフロンTEM1700)にカーボン繊維を10重量%混入したもの。 実施例のバッファーシールPTFEパウダ(デュポン製、モールディングパウダ、7AJ)を酸素濃度2torrで、しかも、340℃の窒素雰囲気下で、かつ、電離性放射線を加速電圧2MeVで、照射線量200kGyの条件で電子線加速器で加速させながら照射した。このように電離性放射線を照射したものを取り出して、約20μmに微粉砕したパウダに、カーボン繊維を10重量%添加した。 【0016】使用条件圧力:400kgf/cm2 、移動速度:16m/min、油温:120度で、40mmのストロークの範囲内を400km分移動させた。ただし、両スライドリングとも、その摺動すき間を同じものとした。その結果、はみ出し量が、従来のスライドリングで2mm、実施例のスライドリングで0.2mmであった。 【0017】以上の結果からも明らかなように、この実施例のバッファシールのはみ出し量が、従来品に比べて1/10となっている。改質フッ素樹脂製のバッファシールBを用いれば、はみ出し量が1/10なので、摺動すき間を大きくできる。したがって、この実施例では、摺動すき間を大きくでき、それだけ製造精度や組み付け精度を落とすことができるとともに、その分、設計の自由度も増すことになる。 【0018】なお、図中符号10は軸受け、11はダストシールである。また、この実施例では、バッファシールBをスライドリング8と角リング9とで構成したが、これら両者を一体にしてもよいこと当然である。 【0019】 【発明の効果】第1〜第3の発明のバッファシール構造によれば、改質フッ素樹脂製のバッファシールを用いたので、相対移動しながら摺動する部材間の摺動すき間を大きく保つことができる。したがって、摺動すき間を大きくできる分、製造精度や組み付け精度を落とすことができるとともに、耐圧強度を維持しながら、設計の自由度も増すことになる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005120 【氏名又は名称】日立電線株式会社 【識別番号】000000929 【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月20日(1999.12.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076163 【弁理士】 【氏名又は名称】嶋 宣之
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| 【公開番号】 |
特開2001−173795(P2001−173795A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−360492 |
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