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【発明の名称】 ポンプの軸封装置
【発明者】 【氏名】稲場 克博

【氏名】江田 利行

【要約】 【課題】被送流体の圧力変動が大きい場合でも、シール室内のシール用流体が被送流体と置換されるのを防止し、軸封装置の耐久性を向上させる。

【解決手段】渦巻ポンプの回転軸1とスタフィングボックス2との間にシール室3を形成し、シール室3の被送流体F側に複数の弾性シール4A、4B、4C、4D、大気側にメカニカルシール6を設け、シール室3内にグリースGを加圧供給するポンプの軸封装置において、前記複数の弾性シール4A、4B、4C、4D、中の被送流体F側の弾性シール4A、4Bは被送流体F側に対してシールする向きに装着し、メカニカルシール6側の弾性シール4C、4Dはメカニカルシール6側に対してシールする向きに装着し、向きの異なる弾性シール4B、4Cの間にグリースGの供給孔8を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 渦巻ポンプの回転軸とスタフィングボックスとの間にシール室を形成し、シール室の被送流体側に複数の弾性シール、大気側にメカニカルシールを設け、シール室内にシール用流体を加圧供給するポンプの軸封装置であって、前記複数の弾性シール中の被送流体側の弾性シールは被送流体側に対してシールする向きに装着し、メカニカルシール側の弾性シールはメカニカルシール側に対してシールする向きに装着し、向きの異なる弾性シールの間にシール用流体の供給孔を設けたことを特徴とするポンプの軸封装置。
【請求項2】 シール室内の圧力を検出する圧力検出器と、圧力検出器による検出圧力が所定圧力以下に低下したときシール用流体をシール室内に補給するシール用流体供給装置とを設けたことを特徴とする請求項1記載のポンプの軸封装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スラリーポンプやサンドポンプ等の、微粒懸濁物、土砂、砂、小石等の固体粒子を含む流体を輸送するポンプの軸封装置、特に、外部からの清水の注水確保が困難なところで、直列運転や、被送流体の状態変化により圧力変動が大きい条件下において使用されるポンプの軸封装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポンプの軸封装置には、主としてグランドパッキン、メカニカルシール、リップ部で密封するオイルシール等が使用されている。これらの軸封装置では、軸封部への固体粒子を含む摩耗性の被送流体の影響を避けるためには、別系統の洗浄水の供給が必要である。
【0003】これに対し、外部からの清水の注水確保が困難な、大深度・長距離のトンネル掘削等に使用される高圧高濃度スラリー輸送用のポンプでは、シール室の被送流体側に弾性シール、大気側にメカニカルシールを設け、メカニカルシール側からシール用流体を加圧供給して、被送流体の軸封部への侵入を防ぐ軸封装置が用いられている。
【0004】この軸封装置は、図3に示すように、渦巻ポンプの回転軸1と、スタフィングボックス2との間にシール室3を形成し、ケーシング9と隣接するシール室3の被送流体F側に複数の弾性シール4を回転軸1のスリーブ5にリップが摺接するように装着し、シール室3の大気側にはメカニカルシール6を設けて、シールカバー7で覆っている。
【0005】スタフィングボックス2のメカニカルシールと対向する位置には、加圧されたシール用流体Sをシール室3内へ供給するための供給孔8を設けている。この軸封装置では、弾性シール4は、被送流体F側に対してシールする向き、即ちリップを被送流体F側に向けた状態で装着されており、被送流体F側が高圧であるときには十分なシール効果を発揮する。しかし、被送流体F側が負圧になると、図4に示すように、シール室3内に供給されたシール用流体Sが被送流体F側に吸い込まれてシール室3に真空部Vを生じ、被送流体F側に高圧と負圧とが繰返し発生するとシール室3内のシール用流体Sが被送流体Fと置換される。
【0006】このため、メカニカルシール6は置換された固体粒子を含む摩耗性の被送流体Fの中で回転することになるので、摺動面が早期に摩耗し、安定したシール寿命を確保することが困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポンプの軸封装置における上記問題を解決するものであって、被送流体の圧力変動が大きい場合でも、シール室内のシール用流体が被送流体と置換されるのを防止でき、メカニカルシールが摩耗せず耐久性に優れたポンプの軸封装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を解決するため、渦巻ポンプの回転軸とスタフィングボックスとの間にシール室を形成し、シール室の被送流体側に複数の弾性シール、大気側にメカニカルシールを設け、シール室内にシール用流体を加圧供給するポンプの軸封装置において、前記複数の弾性シール中の被送流体側の弾性シールは被送流体側に対してシールする向きに装着し、メカニカルシール側の弾性シールはメカニカルシール側に対してシールする向きに装着し、向きの異なる弾性シールの間にシール用流体の供給孔を設けている。
【0009】被送流体側が高圧の場合、被送流体側の弾性シールと加圧供給されたシール用流体によって、被送流体のシール室内への侵入が防止される。被送流体側が負圧になった場合は、メカニカルシール側の弾性シールによってシール用流体が被送流体側へ吸い込まれるのが阻止される。従って、被送流体側に高圧と負圧とが繰返し発生するような条件下でもシール室内のシール用流体が被送流体と置換されることはなく、メカニカルシールの摺動面が固体粒子を含む摩耗性の被送流体と直接接触しないので、安定したシール寿命を確保することができる。
【0010】シール室内の圧力を検出する圧力検出器と、圧力検出器による検出圧力が所定圧力以下に低下したときシール用流体をシール室内に補給するシール用流体供給装置を設けると、被送流体側が負圧になった場合にシール用流体が若干吸い込まれたとしても、吸い込まれた量と同等の若干量のシール用流体が直ちにシール室内に補給されるので、シール効果がより確実となる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の実施の一形態であるポンプの軸封装置の構成を示す縦断面図、図2は軸封装置の作用の説明図である。この軸封装置は、渦巻ポンプの回転軸1と、スタフィングボックス2との間にシール室3を形成し、ケーシング9と隣接するシール室3の被送流体F側に複数の弾性シール4A、4B、4C、4Dを回転軸1のスリーブ5にリップが摺接するように装着し、シール室3の大気側にはメカニカルシール6を設けて、シールカバー7で覆っている。
【0012】複数の弾性シール4A、4B、4C、4D中の被送流体F側の弾性シール4A、4Bは被送流体F側に対してシールする向き、即ちリップを被送流体F側に向けた状態で装着されており、メカニカルシール6側の弾性シール4C、4Dはメカニカルシール6側に対してシールする向き、即ちリップをメカニカルシール6側に向けた状態で装着されている。
【0013】向きの異なる弾性シール4B、4C間には封水リング10が設けられ、この封水リング10にシール用流体の供給孔8が開口しており、シール室3内には、シール用流体供給装置11からシール用流体としてグリースGが加圧供給される。このグリースGは、微量づつ連続的に加圧供給したり、間欠的に加圧供給したり、運転条件によって適宜供給方法を選択することができる。
【0014】また、この軸封装置には、シール室3内の圧力を検出する圧力検出器12が設けられており、圧力検出器12による検出圧力が所定圧力以下に低下したときには、シール用流体供給装置11がグリースGをシール室3内に補給するようになっている。被送流体F側が高圧であるときには、シール用流体供給装置11からシール室3内へ加圧供給されたグリースGは、シール室3のメカニカルシール6側に充填されると共に、一部は被送流体F側の弾性シール4A、4Bのリップとスリーブ5との摺接面を通って被送流体F側に押し出され、被送流体F内の固体粒子がシール室3内へ侵入するのを防止する。
【0015】被送流体F側が負圧になると、図2に示すように、封水リング10より被送流体F側のグリースGは被送流体F側に吸い込まれるが、封水リング10よりメカニカルシール6側のグリースGは、メカニカルシール6側の弾性シール4C、4Dによって阻止されるので、被送流体F側へ吸い込まれることはない。また、封水リング10付近に真空部Vを生じるような場合には、圧力検出器12が圧力の低下を検出して、シール用流体供給装置11からグリースGがシール室3内に補給されるが、被送流体F側に吸い込まれるグリースGの量は少量であるので、シール用流体供給装置11から供給するグリースGも少量でよいため、真空部Vは速やかに解消される。
【0016】従って、被送流体F側が負圧になった後で高圧に変化しても、シール室3内のグリースGが被送流体Fと置換されることはなく、メカニカルシール6が固体粒子を含む摩耗性の被送流体Fと直接接触して摩耗するような事態は生じないので、シール効果が良好で安定したシール寿命を確保することができる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のポンプの軸封装置は、被送流体の圧力変動が大きい場合でも、シール室内のシール用流体が被送流体と置換されるのを防止できるので、メカニカルシールが摩耗せず耐久性に優れている。また、シール室内の圧力を検出する圧力検出器と、圧力検出器による検出圧力が所定圧力以下に低下したときシール用流体をシール室内に補給するシール用流体供給装置を設けると、被送流体側が負圧になった場合にシール用流体が若干吸い込まれたとしても、シール用流体が直ちにシール室内に補給されるので、シール効果がより確実となる。
【出願人】 【識別番号】000165974
【氏名又は名称】古河機械金属株式会社
【出願日】 平成11年12月17日(1999.12.17)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外3名)
【公開番号】 特開2001−173794(P2001−173794A)
【公開日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【出願番号】 特願平11−359688