| 【発明の名称】 |
金属製ガスケット |
| 【発明者】 |
【氏名】杉本 淳
【氏名】三浦 正彦
【氏名】吉島 一也
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| 【要約】 |
【課題】ビードを備えない構造を採用することによって、その成形加工のための金型を不要にしてその加工が容易に行えるようにし、コスト面で有利で、しかもシール性に優れた金属製ガスケットを提供する。
【解決手段】基部13とその基部13に対し空隙部14を存して形成される折り返し部15とを有し、この折り返し部15がボア孔5,6に沿うように配されてなる弾性金属板2,3と、この弾性金属板2,3よりも厚肉で、かつボア孔に近接する部位に段下がり部21,22を有する金属板4とを備え、弾性金属板2,3の折り返し部15が金属板4の段下がり部21,22に対向するようにそれら弾性金属板2,3と金属板4とを積層して構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基部とその基部に対し空隙部を存して形成される折り返し部とを有し、この折り返し部がボア孔に沿うように配されてなる弾性金属板と、この弾性金属板よりも厚肉の金属板とを備え、前記弾性金属板の折り返し部が前記金属板に対向するように弾性金属板と金属板とを積層して構成することを特徴とする金属製ガスケット。 【請求項2】 前記弾性金属板が前記金属板を挟む位置に各1枚ずつ対向配置される請求項1に記載の金属製ガスケット。 【請求項3】 前記弾性金属板の折り返し部の断面形状が、前記基部の反対方向へ向かう滑らかな凸曲線部を多段に連設してなる形状とされる請求項1または2に記載の金属製ガスケット。 【請求項4】 前記金属板が前記ボア孔に近接する部位に段下がり部を有し、前記弾性金属板の折り返し部が前記金属板の段下がり部に対向するようにされる請求項1〜3のいずれかに記載の金属製ガスケット。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えばエンジンにおけるシリンダブロックとシリンダヘッドとの対向面間をシールするのに用いられる金属製ガスケットに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、各種機械装置等において、空気、水、油などの漏れを防ぐために、弾性金属板を備える積層構造の金属製ガスケットが用いられている。この種の積層金属製ガスケットにおいては、シール部にビードを設けるようにしたものが主流となっている。特にシリンダヘッドガスケットやエキゾーストマニホルドガスケットに代表されるエンジン用積層金属製ガスケットでは、外側板として例えばSUS301よりなる弾性金属薄板にビードを成形加工してなるビード板を配設したものが用いられている。 【0003】また、ごく最近では、3枚程度の金属板の積層構成でありながら、エンジンの所謂オールアルミニウム合金化および高燃焼圧化に対応可能な積層金属製ガスケットがいろいろと提案されている。例えば特開平11−108191号公報においては、2枚のビード板間に厚肉の中間板を配した積層金属製ガスケットであって、この中間板のボア孔周りに複数の凹凸からなるストッパー部を形成してビードに対するストッパー機能の耐久性を向上させた金属製ガスケットが開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シール部にビード板を用いるものにおいては、例えばフルビードの場合、通常、幅数mm、高さ数百μm程度の半円弧状断面を有する形状とされているので、ステンレス薄鋼板に対するビード成形加工が精密加工となって、それに応じた高度の品質管理が要求されるという問題点がある。また、このようなビード成形加工には金型を用いることが必須となるために、試作段階から量産に至るまで、その設計、製作、維持および管理、設計変更対応には多大の工数と費用とを要し、製品コストに与える影響が大きいという問題点がある。 【0005】一方、前述の特開平11−108191号公報に開示された技術は、ビード板を用いる点において従来技術の枠を越えるものではなく、前述のコスト面での問題については依然として解消することができない。 【0006】本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、ビードを備えない構造を採用することによって、その成形加工のための金型を不要にしてその加工が容易に行えるようにし、コスト面で有利で、しかもシール性に優れた金属製ガスケットを提供することを目的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段および作用・効果】前記目的を達成するために、本発明による金属製ガスケットは、基部とその基部に対し空隙部を存して形成される折り返し部とを有し、この折り返し部がボア孔に沿うように配されてなる弾性金属板と、この弾性金属板よりも厚肉の金属板とを備え、前記弾性金属板の折り返し部が前記金属板に対向するように弾性金属板と金属板とを積層して構成することを特徴とするものである。 【0008】本発明によれば、弾性金属板の折り返し部における好ましくは凸状部が金属板の段下がり部と接触することによって形成されるシールラインを維持しつつ、例えばシリンダヘッドとシリンダブロックの対向面間に介挿させた際にも、それらシリンダヘッドおよびシリンダブロックの変形に追従させることができ、シール性能に優れたガスケットを得ることができる。また、高精度成形加工を必要とするビードを有していないので、例えば部分的コーティング処理や補助ビード形成との適切な組み合わせによるシール強化によって、低コストで信頼性の高いガスケットとすることができる。 【0009】本発明において、前記弾性金属板は前記金属板を挟む位置に各1枚ずつ対向配置されるのが好適である。こうすることで、金属板の両側にシールラインを形成することができ、よりシール性能を向上させることができる。 【0010】また、前記弾性金属板の折り返し部の断面形状は、前記基部の反対方向へ向かう滑らかな凸曲線部を多段に、すなわち例えば二つ連設してなる形状とされるのが好ましい。このように二つの凸曲線部(凸状部)を連設してなる形状とすることによって、基部と折り返し部との間に形成される空隙部ができるだけ多く残存できることになり、この折り返し部によって安定した二重のボアシールラインを形成することができる。また、例えばシリンダヘッドとシリンダブロックの対向面間に介挿させた際に、シリンダヘッドおよびシリンダブロックに変形が生じた場合にも、二つの凸状部を形成した折り返し部がストッパー部としてその変形に追従するため、当接する相手面である金属板の段下がり部との接触面において線接触に近い接触状態を実現することができ、安定したシール効果を維持することができる。 【0011】本発明において、前記金属板が前記ボア孔に近接する部位に段下がり部を有し、前記弾性金属板の折り返し部が前記金属板の段下がり部に対向するようにされるのが好ましい。 【0012】ここで、前記弾性金属板の折り返し部の高さは、前記段下がり部の段差よりも大きくされるのが好ましい。こうすることで、折り返し部にストッパー機能を確実に付与することができ、これによって前述のシリンダヘッドおよびシリンダブロックの変形に対する追随性がより良好となって、ボアシール面圧を安定して確保することができる。 【0013】なお、前記折り返し部における凸状部表面および/またはその凸状部に対向する基部の外表面には部分的に公知のゴム質などのコーティングを施したり、軟質材による補助ビードを施すことができる。これらの手段を組み合わせることで、シール性能をより向上させることができる。また、これらの組み合わせを適切に選択することで、折り返し部の加工精度管理の厳密さを軽減することもできる。 【0014】 【発明の実施の形態】次に、本発明による金属製ガスケットの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。 【0015】図1には本発明の一実施例に係る金属製ガスケットの部分平面図が示され、図2(a)には図1のA−A視断面図,図2(b)には弾性金属板の断面図がそれぞれ示されている。 【0016】本実施例の金属製ガスケット1は、多気筒エンジンにおけるシリンダヘッドとシリンダブロックの対向取付面間をシールするために用いられる。この金属製ガスケット1は、二枚の弾性金属板2,3とそれら弾性金属板2,3間に介挿される中間板としての金属板4とから構成されている。ここで、弾性金属板2,3は、所要厚みのステンレスばね鋼板(例:SUS301)もしくはこれと略同等性状の弾性および加工性を有するばね鋼などの金属材料を打ち抜いて折返し等の成形加工を施して形成される。また、金属板4は、弾性を有し、かつ加工性に優れた鋼、合金鋼、ステンレスばね鋼板(例:SUS304)などの材料により形成される。 【0017】前記弾性金属板2,3には、シリンダブロックに形成された並列する複数のシリンダボアに対応してボア孔5,6がそれぞれ形成され、また金属板4には、ボア孔7が形成されている。また、弾性金属板2,3および金属板板4には、ボルト孔8、ボルト孔兼ノック孔9、水孔10、オイル孔11およびオイル孔兼ボルト孔12がそれぞれ穿設されている。 【0018】図2(b)に示されるように、前記弾性金属板2,3は、基部13と、この基部13に対し空隙部14を存して形成される折り返し部15とを有し、この折り返し部15がボア孔5,6の全周に沿うように配された構成とされている。ここで、前記折り返し部15は、その断面形状が、基部13の反対方向へ向かう滑らかな円弧状の第1凸曲線部(第1凸状部)16と、この第1凸曲線部16に連設される滑らかな円弧状の第2凸曲線部(第2凸状部)17とを有する形状とされている。なお、この折り返し部15は、自由状態において基部13と接触しない図示のような形状に成形される。また、第1凸曲線部16と第2凸曲線部17との間に形成される凹曲線部18は、鋭いエッジ状断面とはせず、できるだけ滑らかなより曲率半径の小さな円弧形状にして、この部分に過度の面圧が集中しないように配慮する必要がある。 【0019】一方、前記金属板4は、前記弾性金属板2,3よりも厚肉で、ボア孔7に近接する部位の両面に段差部19,20を介してそれぞれ段下がり部21,22が形成された形状とされている。なお、本実施例の場合、段差部19,20の断面形状は傾斜形状とされている。 【0020】このような構成の弾性金属板2,3および金属板4を積層する際には、各弾性金属板2,3の折り返し部15,15が金属板4の段下がり部21,22にそれぞれ対向するように配される。ここで、シリンダヘッドとシリンダブロックとの締め付け時に折り返し部15をストッパーとして機能させるために、凸状部16,17の高さt1は段差部19,20の高さt2よりも大きな値(t1>t2)に設定するのが好ましい。 【0021】本実施例の金属製ガスケット1によれば、弾性金属板2,3の折り返し部15,15に形成される二つの凸状部(第1凸曲線部16および第2凸曲線部17)によってボア周りに二重のボアシールラインを形成することができる。これらのシールラインは、シリンダヘッドおよびシリンダブロックに変形が生じても、前記折り返し部15がストッパー部としてその変形に追従するので、当接する段下がり部21,22の相手面において線接触に近い接触が実現され、安定したシール効果を発揮し、ボアシール面圧を確保する。こうして、高いシール性能が要求されるボア孔5,6,7の周りにおいて、二重シール部の面接触状態を保持した環状接触部が形成されることになり、この結果ボア孔5,6,7を通る燃焼ガス等の流体が漏出するのを確実に阻止できるという効果を奏するものである。 【0022】図3には、本発明の他の実施例に係る金属製ガスケットの部分平面図が示されている。 【0023】本実施例の金属製ガスケット31においては、先の実施例の構成において、凸状部16,17およびそれら凸状部16,17に対向する基部13の外面に部分的に、それ自体公知のゴム質などのコーティング部32を形成するようにしたものである。なお、これらコーティング部32の厚さは30μm程度以下の通常値である。このようなコーティング部32を形成すると、凸状部16,17によるシール強化に加えて、シリンダヘッド側およびシリンダブロック側のシールも強化されるので、ボア孔周りのシールの信頼性がより一層向上する。なお、コーティング材の材質、厚さについては適宜設定することが可能である。 【0024】次に、図4には、本発明の更に他の実施例に係る金属製ガスケットの部分平面図が示されている。 【0025】本実施例の金属製ガスケット41においては、弾性金属板42,43における折り返し部44の形状を、基部45に対し空隙部46を有する180°曲げ形状とし、金属板4における基部47の外面と、段下がり部21,22の外面とに、部分的なそれ自体公知の軟質材よりなる補助ビード48を形成し、かつ弾性金属板42,43における折り返し部44に対向する基部45の外面に部分的に、それ自体公知のゴム質などのコーティング部32を形成するようにしたものである。このような構成によれば、図3に示される実施例のものよりも構成が単純化するため、より低コスト化を実現することが可能となる。 【0026】前記各実施例においては、二枚の弾性金属板とそれら弾性金属板間に介挿される金属板とからなる三枚構成のガスケットについて説明したが、弾性金属板と金属板各一枚ずつの二枚構成のガスケットとする実施例も可能である。図5、図6には、この二枚板構成の実施例が示されている。 【0027】まず、図5に示されている実施例においては、金属製ガスケット51が、図2もしくは図3に示される実施例と同様、二つの連設凸状部を有する折り返し部15を有する弾性金属板2と、この弾性金属板2の折り返し部15に対向配置される金属板52との二枚構成とされている。ここで、金属板52は、前記弾性金属板2よりも厚肉で、ボア孔7に近接する部位に基部53に対し段差部54を介して基部53と略同等の厚みの段下がり部55が形成された形状とされている。また、凸状部16,17およびそれら凸状部16,17に対向する基部13の外面に部分的にゴム質などのコーティング部32が形成されている。このように凸状部16,17とコーティング材とを併用することで、シール性を一段と高めるることができる。 【0028】本実施例において、金属板52の材質としては、耐蝕性を考慮して、例えばSUS304などのステンレスばね鋼板を用いるのが好適であるが、これと同等の性状を有するアルミニウム合金を用いることもできる。 【0029】次に、図6に示されている実施例は、図5のものに対して、段差部の構成とコーティング部の配置とを異ならせた例である。すなわち、本実施例の金属製ガスケット61では、金属板62において、基部63に対して段下がり部64の厚みが薄くなるように段差部65の形状が設定されている。また、図5に示される実施例に対して、凸状部17の外面に形成されるコーティング部32が省略されている。このような構成によっても、図5に示される実施例と略同等の効果を得ることができる。 【0030】前記各実施例においては、弾性金属板の折り返し部に形成される第1凸曲線部16および第2凸曲線部17として、いずれも略同形状の円弧状曲線部を採用したものを説明したが、これら凸曲線部の形状としては他にいろいろな変形例が可能である。図7(a)〜(e)には、これら種々の変形例が示されている。 【0031】図7(a)に示されるのは、第1凸曲線部16Aを楕円形状にし、第2凸曲線部17Aを小円形状にして、これら両凸曲線部16A,17Aの基部からの高さを同一高さにした例である。また、図7(b)に示されるのは、第1凸曲線部16Bを大円形状にし、第2凸曲線部17Bを小円形状に形成した例である。また、図7(c)に示されるのは、第1凸曲線部16Cを小円形状にし、第2凸曲線部17Cを大楕円形状に形成した例である。さらに、図7(d)に示されるのは、第1凸曲線部16Dを小楕円形状にし、第2凸曲線部17Dを大楕円形状に形成した例である。また、図7(e)に示されるのは、第1凸曲線部16Eおよび第2凸曲線部17Eをともに小円形状にして、これら両凸曲線部16E,17Eの基部からの高さを同一高さにした例である。これらいずれの形状を採用しても前記実施例と同様の作用効果を奏することが期待できる。 【0032】前記各実施例において、弾性金属板、金属板に用いられる材質としては、前述した材質に限定する必要はなく、アルミニウム合金、チタン−アルミニウム合金等を用いることができ、その組み合わせも自由に選択可能である。 【0033】前記各実施例においては、金属板の段差部の断面形状を傾斜形状にしたものを説明したが、この段差部形状は直角形状であっても良い。 【0034】前記各実施例においては、折り返し部の断面形状を、二つの凸曲線部を連設してなる形状にしたものを説明したが、この凸曲線部は二つに限らず、三つ以上連設した形状にしても良い。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000228383 【氏名又は名称】日本ガスケット株式会社 【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月22日(1999.12.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097755 【弁理士】 【氏名又は名称】井上 勉
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| 【公開番号】 |
特開2001−173790(P2001−173790A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−363885 |
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