| 【発明の名称】 |
グランドパッキンおよびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】渡辺 勝美
【氏名】山中 二朗
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| 【要約】 |
【課題】軸の摺動(または回転)が連続かつ長時間に及ぶような特別な使用条件下においても摺動抵抗が小さくフローも少ない膨張黒鉛系パッキンを提供する。
【解決手段】膨張黒鉛製テープ1を渦巻き状に巻回し、これを加圧成形する。この成形品にパラフィンエマルジョンとポリエチレングリコールの混合処理液1aの含浸により、パラフィンとポリエチレングリコールが合量で0.2〜8重量%付着させたリング状グランドパッキンAとする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 膨張黒鉛単体あるいは膨張黒鉛と金属線等を複合させた膨張黒鉛系パッキンに、パラフィンエマルジョンとポリエチレングリコールの混合処理液の含浸により、パラフィンとポリエチレングリコールが付着していることを特徴とするグランドパッキン。 【請求項2】 膨張黒鉛製テープを渦巻き状または同心円状に配置し、これを縦方向に加圧成形して得られる膨張黒鉛製グランドパッキンに、パラフィンエマルジョンとポリエチレングリコールの混合処理液の含浸により、パラフィンとポリエチレングリコールが合量で0.2〜8重量%付着している請求項1に記載のグランドパッキン。 【請求項3】 膨張黒鉛製テープの周囲を補強繊維で被覆した編み糸を複数本用いて編組して得られる膨張黒鉛製グランドパッキンに、パラフィンエマルジョンとポリエチレングリコールの混合処理液の含浸により、パラフィンとポリエチレングリコールが合量で3〜15重量%付着している請求項1に記載のグランドパッキン。 【請求項4】 膨張黒鉛単体あるいは膨張黒鉛と金属線等を複合させた膨張黒鉛系パッキンまたは上記パッキン素材に、パラフィンエマルジョン100重量部に対して125〜1000重量部のポリエチレングリコールを混合した処理液を含浸させた後、低温で長時間乾燥させることによりパラフィンとポリエチレングリコールを含ませることを特徴とするグランドパッキンおよびその製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、バルブ等の機器のスタフィングボックス内に装填し、バルブステムからの流体の漏れを防止するグランドパッキンおよびその製造方法の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、バルブステムあるいは回転軸(以下、軸と称する)からの漏れを防止するために使用するパッキンとしては、石綿繊維やカーボン繊維等の耐熱繊維を八編み、袋編みあるいは格子編み等に編組し、潤滑剤等を含浸させるか表面処理を行った、いわゆる編組パッキンが知られている。かかるパッキンは、耐熱性・耐薬品性・耐摩耗性等が優れているために現在でも広く使用されているが、近時、環境問題に対する意識の高まり等から微少な漏れも問題とされるようになり、シール性の高い膨張黒鉛を主原料として用いるパッキン(以下、膨張黒鉛系パッキンと称する)が多用されるようになってきている。 【0003】前記膨張黒鉛系パッキンには種々のタイプがあるが、最も一般的なものは、テープモールド式といわれ、膨張黒鉛製シートを所定の幅にスリットして得たテープ状素材を成形用金型内に渦巻き状または同心円状に配置した後、これを縦方向に圧縮成形加工して得られたリング状グランドパッキンである。 【0004】別の成形方法としてはラミネート式といわれ、膨張黒鉛製シートをリング状に打ち抜いたリング状素材を成形用金型内に所定枚数積層し、これを縦方向に加圧成形して得られたリング状グランドパッキンである。 【0005】また、別の構造の膨張黒鉛系パッキンとして、膨張黒鉛製シートを所定の幅にスリットして得たテープ状素材にテープ状の金網を一緒に渦巻き状に巻き込み加圧成形したタイプや、膨張黒鉛製シートを所定の幅にスリットして得たテープ状素材を積層した後、周囲を金属線で被覆したタイプ等、パッキンの取り出し性や補強性を高めたものもある。 【0006】さらに別の構造の膨張黒鉛系パッキンとしては、膨張黒鉛製シートを所定の幅にスリットして得たテープ状素材の周囲を補強繊維で袋編みするなどの方法で、膨張黒鉛と補強繊維とを複合させた編み糸を作り、これを八編み、袋編みあるいは格子編み等に編組して紐状体を構成することで、様々な軸径に合わせて所定の長さに切断して使用できるようにしたタイプもある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のような膨張黒鉛系パッキンは、石綿等の編組パッキンに比べ、シール性は格段に優れているものの、鱗片状の膨張黒鉛粉末が金属からなる相手軸材に対して付着し易い傾向があり、その使用により軸の摺動抵抗が増加するという問題がある。このため、既存のプラントで使用されているバルブのパッキンを編組パッキンから膨張黒鉛系パッキンに変更しようとする際に、摺動抵抗が増加し軸が回らなくなるのを防ぐために、金属製のスリーブを用いて膨張黒鉛系パッキンの使用量を少なくする必要があり、操作が煩雑であること等が指摘されている。 【0008】この対策として、一般的に膨張黒鉛系パッキンに潤滑剤を含浸あるいは表面処理することが行われており、潤滑剤としてはタービン油等の鉱油系潤滑剤やシリコーンオイル、フッ素オイル、パラフィンワックス等が使用されているが、これらの潤滑剤は量が少ないと効果がなく、量が多いとパッキンがフローして隙間からはみ出し応力緩和が大きくなるという問題がある。 【0009】そこで、本発明者らは、摺動抵抗が小さくフローも少ない膨張黒鉛系パッキンについて鋭意検討を行ったところ、膨張黒鉛系パッキンにパラフィンエマルジョンを含浸させることにより、良好なシール性を維持しながら摺動抵抗が低減し、フローが少なくなることを見出し、その知見に基づく改良発明(特願平9−191807号、特開平11−21542号)を提案している。これは、タービン油、シリコーンオイル、フッ素オイル等の液体の潤滑剤に比べ、パラフィン等の常温で固体の潤滑剤はパッキンを締め付けた時に潤滑剤が流れ出たり、パッキンをフローさせたりすることが少ないことよるものと考えられる。 【0010】しかし、このようなパラフィンエマルジョンを含浸した膨張黒鉛系パッキンにおいても、例えば、軸の摺動(または回転)が連続かつ長時間に及ぶような特別な使用条件下においては、摺動抵抗が増加するといった問題が発生する場合があり、さらなる改良が求められている。 【0011】本発明の目的は、以上の問題点に鑑みてなされたもので、パラフィンエマルジョンの優れた効果を維持しながら、軸の摺動(または回転)が連続かつ長時間に及ぶような特別な使用条件下においては、摺動抵抗が小さくフローも少ない膨張黒鉛系パッキンおよびその製造方法を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明は、膨張黒鉛単体あるいは膨張黒鉛と金属線等を複合させた膨張黒鉛系パッキンに、パラフィンエマルジョンとポリエチレングリコールの混合処理液の含浸によりパラフィンとポリエチレングリコールが付着していることを要旨としている。 【0013】請求項2の発明は、請求項1において、膨張黒鉛製テープを渦巻き状または同心円状に配置し、これを縦方向に加圧成形して得られる膨張黒鉛製グランドパッキンに、パラフィンエマルジョンとポリエチレングリコールの混合処理液の含浸により、パラフィンとポリエチレングリコールが合量で0.2〜8重量%付着していることを要旨としている。 【0014】請求項3の発明は、請求項1において、膨張黒鉛製テープの周囲を補強繊維で被覆した編み糸を複数本用いて編組して得られる膨張黒鉛製グランドパッキンに、パラフィンエマルジョンとポリエチレングリコールの混合処理液の含浸により、パラフィンとポリエチレングリコールが合量で3〜15重量%付着していることを要旨としている。 【0015】請求項4の発明は、膨張黒鉛単体あるいは膨張黒鉛と金属線等を複合させた膨張黒鉛系パッキンまたは上記パッキン素材に、パラフィンエマルジョン100重量部に対して125〜1000重量部のポリエチレングリコールを混合した処理液を含浸させた後、低温で長時間乾燥させることにより、パラフィンとポリエチレングリコールを含ませることを要旨としている。 【0016】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態としては、例えば、膨張黒鉛製シートを所定の幅にスリットして得たテープ状素材を成形用金型内に渦巻き状に配置した後、これを縦方向に加圧成形して得られたリング状の膨張黒鉛系パッキンを作製し、これをパラフィンエマルジョン100重量部に対して125〜1000重量部、好ましくは170〜500重量部で混合した処理液中に含浸させた後、低温で長時間乾燥させることにより、パラフィンとポリエチレングリコールを合量で0.2〜8重量%付着させたグランドパッキンである。 【0017】また、本発明の他の実施の形態としては、例えば、膨張黒鉛製テープの周囲を金属線等の補強繊維で被覆した編み糸を作製し、この編み糸複数本を用いて、棒状の中芯材の周りを編組した紐状体を作製した後、所定長さで切断して成形用金型内に配置した後、これを縦方向に加圧成形しえ得られたリング状の膨張黒鉛系パッキンを作製し、パラフィンエマルジョン100重量部に対して125〜1000重量部、好ましくは170〜500重量部で混合した処理液中に含浸させた後、低温で長時間乾燥させることにより、パラフィンとポリエチレングリコールを合量で3〜15重量%付着させたグランドパッキンである。 【0018】〔作用〕本発明者らは、パラフィンエマルジョンを含浸した膨張黒鉛系パッキンの摺動抵抗をさらに小さく、かつ軸の摺動(または回転)が連続かつ長時間に及ぶような特別な使用条件下においても効果を発揮できる潤滑剤について鋭意検討を行った結果、パラフィンエマルジョンにポリエチレングリコールを適量混合することによって、上記した特別な使用条件下における軸トルクが変化することを知り得た。 【0019】これは、一般にリング状グランドパッキンと軸との摺動(または回転)は、図5に示すように、リング状グランドパッキンPと軸9との接触境界面に存在する極く僅かな潤滑剤層7の流動によって起こっており、この流動に潤滑剤の粘度が複雑な影響を与えているために、軸トルクが変化するものと推定している。 【0020】すなわち、リング状の膨張黒鉛系パッキンにパラフィンエマルジョンを含浸すると、軸とパッキンの接触境界面で流動しているパラフィンの粘度によって、脆性材料である膨張黒鉛系パッキンの内径表面が削られ、この摩耗粉がパラフィンと混ざり合いながらさらに粘度が増加する結果、軸トルクが大きくなる場合があると考えられる。 【0021】そこで、処理液としてパラフィンエマルジョンにポリエチレングリコールを混合して使用すると、パラフィンエマルジョン100重量部に対して125重量部未満では、上記したような特別な使用条件下において軸トルクの増加傾向が見られたが、125重量部以上では軸トルクの増加はほとんど見られなくなる。しかし、ポリエチレングリコールの混合量が1000重量部を越えると、パラフィンの効果が見られなくなり、軸トルクの増加傾向はないものの、軸トルクの絶対値自体が大きくなってしまう。 【0022】したがって、リング状の膨張黒鉛系パッキンまたは上記パッキン素材に、パラフィンエマルジョン100重量部に対して125〜1000重量部のポリエチレングリコールを混合した処理液を含浸させることにより、パラフィンエマルジョンを使用した場合の良好なシール性と小さい摺動抵抗を維持しながら、軸の摺動(または回転)数に関係なく安定した効果が得られる。 【0023】 【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。 〔実施例1〕図1に示すように、厚さ0.38mm、密度1.0g/cm3の膨張黒鉛製シートを16mm幅にスリットしたテープ1を渦巻き状に巻回し、これをクランクプレスで加圧成形した膨張黒鉛系パッキンAを、パラフィンエマルジョン(東邦化学工業(株)製パラックス40K−3)100重量部に対して250重量部のポリエチレングリコール(三洋化成工業(株)製PEG−400)を混合調整した液中に30分間浸漬し、これを60℃で8時間以上乾燥させ、合量で4重量%のパラフィンとポリエチレングリコール1aが含まれるリング状(内径26mm、外径42mm、高さ8mm)のグランドパッキンを得た。 【0024】〔実施例2〕図2に示すように、厚さ0.60mmの膨張黒鉛製シートを5.2mm幅にスリットしたテープ2の周囲を直径0.08mmのステンレス線3で袋編みした編み糸4を16本と、図3の中芯材5を用いて紐状体6となし、この紐状体6を図4に示すように、リング状に圧縮成形加工して得られた膨張黒鉛系パッキンBを上記処理液中に30分間浸漬し、これを60℃で8時間以上乾燥させ、合量で10重量%のパラフィンとポリエチレングリコールが含まれるリング状(内径26mm、外径42mm、高さ8mm)のグランドパッキンを得た。 【0025】〔比較例1〕上記膨張黒鉛系パッキンAを固形分濃度が20重量%になるように調整したパラフィンエマルジョン溶液中に30分間浸漬し、これを60℃で8時間以上乾燥させ、1重量%のパラフィンが含浸したリング状(内径26mm、外径42mm、高さ8mm)のグランドパッキンを得た。 【0026】〔比較例2〕上記膨張黒鉛系パッキンAをポリエチレングリコール中に30分間浸漬し、これを8時間以上風乾して、7重量%のポリエチレングリコールが含浸したリング状(内径26mm、外径42mm、高さ8mm)のグランドパッキンを得た。 【0027】〔比較例3〕上記膨張黒鉛系パッキンBを上記パラフィンエマルジョン溶液中に30分間浸漬し、これを60℃で8時間以上乾燥させ、3重量%のパラフィンが含浸したリング状(内径26mm、外径42mm、高さ8mm)のグランドパッキンを得た。 【0028】上記実施例1,2および比較例1〜3のリング状グランドパッキンを供試体Pとし、これを図6に示す出願人規格の試験機8(軸径26mm、スタフィングボックス内径42mm、スタフィングボックス深さ150mm)にそれぞれ6リング装着して面圧500kgf/cm2で締め付け、この試験機8を常温にて軸を連続して回転させたときの軸トルクを測定した。なお、図6において、9は軸、10はパッキン押さえ、11は締め付けボルト、12はランタンリング、13はNガス加圧口、14はガス出口である。 【0029】上記試験機において、パッキン締め付け後および軸の連続回転後の軸トルクの変化を測定した結果を下記表1に示す。表1に示す如く、本発明による実施例1,2で得られたリング状グランドパッキンは、比較例1〜3のグランドパッキンに比べて締め付け直後と軸を連続回転した後の軸トルクの変化が少ないことが確認された。 【0030】なお、今回の実施例はいずれもリング状グランドパッキンを成形した後、処理液を含浸したものを供試体としたものであるが、あらかじめ処理液で処理した膨張黒鉛粉末あるいは膨張黒鉛製テープを用いてグランドパッキンを製造しても差し支えない。また、膨張黒鉛製テープ間に金属製メッシュをはさみ、取り出し性を向上させたものが本発明に含まれることは言うまでもない。 【0031】 【表1】
【0032】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、従来の膨張黒鉛系パッキンのシール性を維持しながら、軸の摺動(または回転)が連続かつ長時間に及ぶような特別な使用条件下においても軸トルクが安定しており、しかも製造が容易で安価に製造できるリング状グランドパッキンが得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000110804 【氏名又は名称】ニチアス株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月7日(1999.12.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072383 【弁理士】 【氏名又は名称】永田 武三郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−165324(P2001−165324A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月22日(2001.6.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−347451 |
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