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【発明の名称】 ガスケットのシム部の製造方法
【発明者】 【氏名】市川 茂雄

【氏名】福井 雅一

【要約】 【課題】

【解決手段】ガスケット本体1にシールすべき高圧部分となる貫通孔2を穿設し、該貫通孔の周囲を加熱して該加熱部分1´を半径方向外方に湾曲させるとともにガスケット本体に重合させてシム部8を形成する。シム部を形成するに当たっては、上記加熱部分を円筒状に成形し、しかる後、該円筒状部分4をガスケット本体側と反対側の先端部側が拡開したテーパ状に成形し、さらに該テーパ状部分6をガスケット本体に重合させてシム部8、10を形成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスケット本体にシールすべき高圧部分となる貫通孔をシリンダボアの内径よりも小さな径で穿設し、該貫通孔の周囲を加熱して該加熱部分を半径方向外方に湾曲させるとともにガスケット本体に重合させてシム部を形成することを特徴とするガスケットのシム部の製造方法。
【請求項2】 上記貫通孔の周囲を加熱した後、該加熱部分を円筒状に成形し、しかる後、該円筒状部分をガスケット本体側と反対側の先端部側が拡開したテーパ状に成形し、さらに該テーパ状部分をガスケット本体に重合させて上記シム部を形成することを特徴とする請求項1に記載のガスケットのシム部の製造方法。
【請求項3】 上記シム部を形成した後、該シム部の外周面をガスケット本体に溶接することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスケットのシム部の製造方法。
【請求項4】 レーザにより上記貫通孔の周囲を加熱することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のガスケットのシム部の製造方法。
【請求項5】 高周波加熱により上記貫通孔の周囲を加熱することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のガスケットのシム部の製造方法。
【請求項6】 上記ガスケット本体がステンレス材からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のガスケットのシム部の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用エンジンのシリンダヘッドガスケットやエキゾーストマニホールドガスケットなどに用いられるガスケットに関し、より詳しくは、ガスケットのシム部の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のガスケットとして、板状のガスケット本体にシールすべき高圧部分となる貫通孔を穿設するとともに、該ガスケット本体に上記貫通孔を囲むシムリングをスポット溶接やレーザ溶接等の適宜の手段を用いて溶接したものが知られている(特開昭62−278375号公報、実開平3−73643号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記シムリングは貫通孔を囲むリング状に製造する必要があるが、従来はガスケット本体を製造する板状素材とは別の板状素材からシムリングを打抜いて製造しており、しかも材料歩留まりがきわめて悪いため、ガスケットのコストダウンを阻害する要因となっていた。このような問題を解決するために、板状のガスケット本体にシールすべき高圧部分となる貫通孔を穿設するとともに、該貫通孔の周縁部分を半径方向外方に湾曲させるとともにガスケット本体に重合させて上記シムリングに相当するシム部を形成したものが提案されている(特開平5−52267号公報)。しかしながら、上記貫通孔の周縁部分を半径方向外方に湾曲させてシム部としているが、その湾曲部分で割れやクラックが発生する危険性があり、特にSUS板は硬いために湾曲部分で割れやクラックが発生する危険性が高かった。本発明はそのような事情に鑑み、シム部の湾曲部分の割れやクラックを防止することができるガスケットのシム部の製造方法を提供するものである【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の製造方法は、ガスケット本体にシールすべき高圧部分となる貫通孔をシリンダボアの内径よりも小さな径で穿設し、該貫通孔の周囲を加熱して該加熱部分を半径方向外方に湾曲させるとともにガスケット本体に重合させてシム部を形成するようにしたものである。
【0005】上記製造方法によれば、上記貫通孔の周囲をシム部形成前に加熱しているので、該加熱部分を湾曲させてシム部を形成する際に、その湾曲部分に割れやクラックが発生するのを防止できる。そして、しかもシム部を形成する範囲で貫通孔の周囲を加熱すればよいので、ガスケット本体全体を加熱した場合のように、ガスケット本体全体が焼鈍されてガスケットとして必要なバネ性が失われることがない。
【0006】
【発明の実施の形態】以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、SUS301からなり、0.25mmの板厚、Hv450の硬さを有するガスケット本体1に、図示しないシリンダボアの内径よりも小さな径で燃焼室の一部となる貫通孔2をプレス抜きまたはワイヤカット等により成形する。上記貫通孔2の直径D0は重合させる幅を考慮して設定しており、本実施例では84.5mmとした。次に、図示しないYAGレーザ加工機により、上記貫通孔2の周囲に連続発振でレーザビームを照射して加熱し、その加熱部分(周縁部分)1´を焼鈍する。この照射範囲は、直径D=89.5mmの範囲とした。つまり、貫通孔2の周囲を2.5mmの幅で照射している。そして焼鈍後では、加熱部分1´は焼鈍前のHv450の硬さからHv220〜300の硬さへと低下していた。次に、折曲げ加工としてプレス機械3により硬度の低下した加熱部分1´を90度に折曲げることにより円筒状に成形して円筒状部分4を形成し、さらに、拡開工程としてプレス機械5により硬度の低い該円筒状部分4をガスケット本体1側とは反対側の先端部側が拡開するように、120度に折曲げてテーパ状部分6を形成するようになっている。ここまでの折曲げ工程および拡開工程では、円筒状部分4の湾曲部分4´およびテーパ状部分6の湾曲部分6´共に割れやクラックの発生は認められず、該湾曲部分4´、6´共に滑らかに折曲がっている。そしてさらに、予備プレス工程としてプレス機械7により該テーパ状部分6をガスケット本体1に2トンの荷重で重合させてシム部8を予備形成し、最後にプレス工程としてプレス機械9により該シム部8に130トンの荷重を加えて、シム部10を製造する。以上の予備プレス工程およびプレス工程が終了しても、シム部8の湾曲部分8´並びにシム部10の湾曲部分10´共に割れやクラックの発生は認められず、やはり該湾曲部分8´、10´共に滑らかに折曲がっている。そして形成後には、シム部10は0.37〜0.44の板厚、Hv421〜468の硬さを有しており、すなわちシム部10とガスケットの段差がガスケット本体1の板厚0.25mmよりも小さくなるととともに、硬さは加工硬化によってガスケット本体1と略同じ硬さとなっている。さらに上記シム部10とガスケット本体1とは相互に接着されているわけではないので、それが機能上問題となるような場合には、上記シム部10の外周面全域をガスケット本体1に溶接11してもよいし、シム部10を焼入れするようにしてもよい。このようにして製造した貫通孔2(燃焼室孔)の内径Dは86.7mmであり、また上記シム部8の外径Dは90.5mmであった。
【0007】なお、貫通孔2の周囲を加熱する手段としてはレーザに限定されるものではなく、例えば高周波加熱であってもよい。このような高周波加熱手段としては、電流を通電させた導電性金属(例えば銅)を貫通孔2内に挿入させて該貫通孔2の周囲を加熱させればよく、より好ましくは導電性金属を中空としてその内部に冷却液を流通させればよく、また貫通孔2内に挿入される挿入部については該貫通孔2に合わせて環状に形成するのが好ましく、この場合には環状部は貫通孔2よりも小径に設定すればよい。
【0008】また、拡開工程と予備プレス工程とは必ずしも必要ではなく、場合によっては省略してもよい。
【0009】
【発明の効果】以上のように、本発明の製造方法によれば、貫通孔の周囲をシム部形成前に加熱して該加熱部分を湾曲させるとともにガスケット本体に重合させるようにしているので、その湾曲部分に割れやクラックが発生するのを防止することができ、しかもシム部を形成する範囲で貫通孔の周囲を加熱しているので、ガスケット本体全体を加熱した場合のように、ガスケット本体全体が焼鈍されてガスケットとして必要なバネ性が失われることがないという効果も得られる。
【出願人】 【識別番号】000207791
【氏名又は名称】大豊工業株式会社
【出願日】 平成11年12月6日(1999.12.6)
【代理人】 【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
【公開番号】 特開2001−165318(P2001−165318A)
【公開日】 平成13年6月22日(2001.6.22)
【出願番号】 特願平11−346395