トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 ガスケット
【発明者】 【氏名】角田 弘孝

【氏名】山口 健一

【要約】 【課題】

【解決手段】ガスケット1は、基板1´に穿設した孔の縁部1Bを半径方向外方に折返して形成したシール部7と、このシール部7内に形成される燃焼室孔2とを備えている。上記シール部7を構成する縁部1Bは、基板1´に形成されて上記孔を囲む環状溝1D内に折返されて収容されており、そして縁部1Bと基板1´との段差Cは基板1自体の厚さHよりも小さくなっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板に穿設した孔の縁部を半径方向外方に折返してシール部を形成するとともに、該シール部の内側を燃焼室孔としたガスケットにおいて、上記基板に上記孔を囲む環状溝を形成し、上記孔の縁部を半径方向外方に折返すとともに該縁部を上記環状溝内に収容させて上記シール部を形成したことを特徴とするガスケット。
【請求項2】 基板に穿設した孔の縁部を半径方向外方に折返してシール部を形成するとともに、該シール部の内側を燃焼室孔としたガスケットにおいて、上記シール部を構成する縁部の露出側の表層部分が除去されていることを特徴とするガスケット。
【請求項3】 上記シール部を構成する縁部と該縁部に重合する基板の一部は、折り曲げ加工前に焼鈍されて柔化されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスケット。
【請求項4】 上記シール部の円周方向の厚さが異なっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のガスケット。
【請求項5】 上記燃焼室孔が複数設けられ、上記シール部の厚さは、各燃焼室孔の中心を結ぶ延長線上となる部分と該延長線と直交する交差線上となる部分とが厚くなっており、この厚い部分に挟まれた部分が薄くなっていることを特徴とする請求項4に記載のガスケット。
【請求項6】 上記厚い部分は、上記延長線上となっていて隣接する燃焼室孔がある部分が最も厚く、上記延長線上となっていて隣接する燃焼室孔がない部分が次に厚く、上記交差線上となる部分が更に次に厚くなっていることを特徴とする請求項5に記載のガスケット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンに用いられるガスケットに関し、より詳しくは基板に穿設した孔の縁部を半径方向外方に折返して形成したシール部とこのシール部内に形成される燃焼室孔とを有するガスケットの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ガスケットとして、基板に穿設した孔の縁部を半径方向外方に折返してシール部を形成するとともに、該シール部の内側を燃焼室孔としたものは知られている(特許第2717254号等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、縁部をそのまま折返して基板に重合させると、縁部と基板との間に該基板の厚さに相当する段差が形成されるようになる。しかしながらこの段差が大き過ぎると、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間で締付けたときに基板が変形する虞がある。このため従来では、縁部を折返した後にプレス加工して段差を縮小するようにしているが、プレス加工によって段差を縮小したものにおいてはシール部に歪や反りが生じやすいといった問題がある。このような問題を解決するため、縁部の突き合わせ面側となる表層部分と基板の突合せ面側となる表層部分を除去して肉厚を薄くした後に折返して形成するシール部が提案されている(特開平5−521267号公報、特開平11−201286号公報)。このような構成によれば、プレス加工によって段差を縮小したシール部に比較して、歪や反りを小さくすることができる。本発明はそのような事情に鑑み、上記公報とは異なる構成のシール部により従来のプレス加工によって段差を縮小したシール部よりも歪や反りの小さいガスケットを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】先ず請求項1の発明は、基板に穿設した孔の縁部を半径方向外方に折返してシール部を形成するとともに、該シール部の内側を燃焼室孔としたガスケットにおいて、上記基板に上記孔を囲む環状溝を形成し、上記孔の縁部を半径方向外方に折返すとともに該縁部を上記環状溝内に収容させて上記シール部を形成したものである。また請求項2の発明では、基板に穿設した孔の縁部を半径方向外方に折返してシール部を形成するとともに、該シール部の内側を燃焼室孔としたガスケットにおいて、上記シール部を構成する縁部の露出側の表層部分が除去されているものである。
【0005】上述した請求項1の構成によれば、縁部を折返して環状溝内に収容することにより、縁部と基板との段差を基板自体の厚さよりも小さく形成することができる。したがって、シール部に生じる歪や反りをプレス加工によって段差を縮小したシール部に比較して小さくすることができる。また請求項2の構成によれば、折返した縁部の露出側の表層部分を除去することにより、縁部と基板との段差を基板自体の厚さよりも小さくすることができるし、しかも縁部の露出側の表層部分を除去することでこの部分に集中して蓄積する歪や反りも同時に除去することができる。したがって、シール部に生じる歪や反りをプレス加工によって段差を縮小したシール部に比較して小さくすることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を多気筒用のガスケット1に適用した実施例について説明する。図1、図2において、ガスケット1は、図示しないシリンダブロックとシリンダヘッドとに接触する1枚の基板1´(弾性金属板)より構成されており、この基板1´には、図1に示すように、それぞれエンジンのシリンダボアに合わせて穿設した燃焼室孔2と、図示しない締結ボルトが貫通されるボルト孔3と、さらに冷却水又は油が流通される水油孔4がそれぞれ形成されている。上記ガスケット1は、図2に示すように、エンジンのシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に介在され、上記締結ボルトによってシリンダブロックとシリンダヘッドとを一体に連結することによりそれらの間に挟持されて両者をシールするようになっている。
【0007】上記基板1´は、上記燃焼孔2を囲んでシリンダヘッド側に突出する厚肉の環状のシール部7を有しており、このシール部7とシリンダブロック並びにシリンダヘッドとの接触面圧を局部的に高くしている。また上記基板1´は、上記シール部7を囲んでシリンダヘッド側に突出する断面円弧状のビード部8を有しており、このビード部8の頂点部分8aとシリンダヘッドとの接触面圧を高くするとともに、ビード部8の裾部分8bとシリンダブロックとの接触面圧を高くしている。そして、上記ビード部8の突出量をシール部7の肉厚よりも大きく設定しており、つまり剛性の高いシール部7によりビード部8よりも高い面圧を得る一方、弾性の高いビード部8によりシリンダブロックとシリンダヘッドとの間隙変化に対してシール部7よりも優れた追従性を得ることができるようにしている。
【0008】図2に示すように、本実施例のシール部7は、シリンダボアに合わせて穿設したこれよりも小径の孔2´(図3参照)の縁部1Bを半径方向外方に折返すとともに、該縁部1Bを基板1´に重合させて構成しているが、この縁部1Bと基板1´の段差Cを基板1自体の厚さHよりも小さく設定している。すなわち、図3に示すように、縁部1Bが折返し加工される前に予め該縁部1Bの外側にこれよりも大きな環状溝1Dを形成してあり、この環状溝1D内に半径方向外方に向けて折返した縁部1Bを収容することで段差Cを基板1´の厚さHよりも小さくしているものである。上記環状溝1Dは、基板1´が熱処理(焼入れ)される前の状態で硬度の低いときに加工されるようになっており、該環状溝1Dを形成する加工方法としては、残留応力を小さくする点と加工精度を高くする点から切削、レーザ(エキシマ)、ショットブラストまたはエッチングが好ましい。なお上記ビード部8も基板1´の熱処理前に加工されるようになっており、その順番はシール部7の加工前または加工後のいずれでもよい。また上記環状溝1Dによって薄くなった薄肉部1Eと縁部1Dは、すなわちビード部8よりも内側となる範囲Aを曲げ加工する前に焼鈍して柔化しており、これによりビード部8のバネ性を損なうことなしに、縁部1Bに隣接する薄肉部1Eの曲げをより一層円滑かつ楽に行うことができるとともに、この曲げ加工の際に薄肉部1Eに割れなどが生じるのを防止することができる。そして、この焼鈍としてはYAGレーザーまたは高周波加熱等がある。
【0009】また上記環状溝1Dは、シリンダブロック並びにシリンダヘッドの各部における熱膨張の違い並びに締付けボルトの位置等を考慮して以下に詳述するように設定してある。図1に示すように、環状溝1Dは、各シリンダヘッドの中心を結ぶ延長線Lの通る部分■が最も浅く、次に上記延長線Lと直交する交差線Rの通る部■が次に浅く、さらにこれら部分■と部分■から離れるにしたがって徐々に厚さは減少して部分■と部分■との中間となる部分■が最も深くなっている。これに対し、例えば4気筒の第1気筒(図示せず)と第4気筒に対応する燃焼室孔2を囲む環状溝1Dにおいては、燃焼室孔2同士が隣接する部分■よりも他の燃焼室孔2とは隣接しない部分■´が浅くなっている。これにより、シール部7の厚さH´も環状溝1Dの深さに伴って円周方向に異なるようになり、その厚さH´は、多気筒の両端のシール部7では■>■´>■>■となり、また多気筒の内側のシール部7では■>■>■となり、これらの条件を満足することによって各燃焼室孔2をほぼ均一にシールことができるものである。
【0010】以上の構成によれば、図3に示す状態から縁部1Bに隣接する薄肉部1Eを曲げて、図2に示すように厚肉の縁部1Bを半径方向外方に折返して環状溝1D内に収容させるとともに、これを薄肉部1Eに重合させる。このとき、薄肉部1Eの一部を曲げているので、厚肉の縁部1Bを曲げる場合に比較して楽に曲げることができるとともに、それに伴ってシール部7の歪や反りを小さくすることができる。以上の説明から理解されるように、上記シール部7に生じる歪や反りはプレス加工によって段差を縮小したシール部に比較して小さくなるものである。
【0011】次に図4は本発明の第2実施例を示すものであり、上記第1実施例では基板1´に環状溝1Dを設ける一方で、縁部1Bは加工していなかったが、本実施例では縁部11Bに加工を行なう一方で、基板11´は加工していない。すなわち、曲げ加工の直後の縁部1B(点線部分を含む)の厚さH2は、図5に示すように基板11´の肉厚Hと同一となっているが、この折返し後に図5に示す点線の部分を除去している。その除去方法としては、第1実施例と同様にレーザ(エキシマ)、ショットブラストまたはエッチングが好ましい。また本実施例でも、曲げ加工の前に第1実施例と同様にビード部8よりも内側の範囲Aに焼鈍を行なう一方で、曲げ加工後に熱処理(焼入れ)を行なうようにしているが、この熱処理については省略してもよい。なおそれ以外の構成は第1実施例と同一に構成されており、第1実施例と同一の部材には同一の番号を付している。以上の構成を有する本実施例によれば、折り曲げ加工されたときには、肉厚が厚いためにシール部7には大きな歪や反りが生じているが、そのような歪や反りが集中する縁部1Bの露出側の表層部分を除去しているので、つまり表層部分の除去されるのに伴ってその部分に蓄積する歪や反りも同時に除去されるので、シール部7に残留する歪や反りを小さくすることができる。以上の説明から理解されるように、上記シール部7´に生じる歪や反りはプレス加工によって段差を縮小したシール部に比較して小さくなるものである。
【0012】なお上記第1、第2実施例で用いた基板1´の片面または両面に対して、軟質の金属層または非金属層によって被覆してもよいし、また別の基板と重ね合わせて積層ガスケットを構成するようにしてもよく、この場合にはシール部7とビード部8を別々の基板に設けるようにしてもよいし、シール部7とビード部8の突出方向を異ならせてもよい。
【0013】また上記第1、第2実施例では、縁部1B、1B´をシリンダヘッド側に折返すようにしていたがこれに限定されるものではなく、シリンダブロック側に折返すようにしてもよい。
【0014】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、プレス加工によって段差を縮小したシール部に比較してシール部の歪や反りを小さくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000207791
【氏名又は名称】大豊工業株式会社
【出願日】 平成11年12月6日(1999.12.6)
【代理人】 【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
【公開番号】 特開2001−165316(P2001−165316A)
【公開日】 平成13年6月22日(2001.6.22)
【出願番号】 特願平11−346394