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【発明の名称】 スリットの密封方法及び装置
【発明者】 【氏名】マルクス ケーグラー

【氏名】フランツ ハインペル

【氏名】シルヴィア フーバー

【氏名】ペーター フォーゲル

【要約】 【課題】簡便かつ低コストの装置により、スリットの完全な密封を迅速に実現しうる密封方法を提案することにある。

【解決手段】構造素子(1)内に位置する貫通部(2)と、この貫通部(2)に突入・貫通する対象物(3)との間のスリットを密封するために、スリット(4)には弾力的に形成した密封素子(6)を投入し、テンション機構(7)によって貫通部(2)の軸線方向に圧縮する。密封素子は、貫通部(2)の長手方向に対して垂直に膨張し、それによってスリット(4)を密封する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 構造素子(1)内に位置する貫通部(2)と、この貫通部(2)に突入・貫通する対象物(3)との間のスリット(4)を、対象物(3)を包囲するスリット(4)内に少なくとも1個の密封素子(6)を配置することによって密封する方法において、密封素子(6)を弾力的に形成し、テンション機構(7)によって貫通部(2)の軸線方向に圧縮すると共にその圧縮状態に維持することを特徴とする密封方法。
【請求項2】 請求項1記載の方法において、密封素子(6)の圧縮された状態を維持した後、テンション機構(7)の部材を再び貫通部(2)から取り出すことを特徴とする密封方法。
【請求項3】 構造素子(1)内に位置する貫通部(2)と、この貫通部(2)に突入・貫通する対象物(3)との間のスリット(4)を密封する装置において、弾性を有する密封素子(6)は、対象物(3)を隙間無く受けるのに適した貫通開口(8)を具えると共に、密封素子(6)と結合したテンション機構(7)は、密封素子(6)を貫通開口(8)の軸線方向に圧縮することを特徴とする密封装置。
【請求項4】 請求項3記載の装置において、密封素子(6)をボールとして形成したことを特徴とする密封装置。
【請求項5】 請求項4記載の装置において、ボール(6)は円筒形状の貫通開口(8)を具え、該貫通開口はボールに対して中心に位置することを特徴とする密封装置。
【請求項6】 請求項3〜5の何れか一項に記載の装置において、密封素子(6)を中実材料から形成することを特徴とする密封装置。
【請求項7】 請求項3〜6の何れか一項に記載の装置において、密封素子(6)は中空室を具えることを特徴とする密封装置。
【請求項8】 請求項3〜7の何れか一項に記載の装置において、密封素子(6)を耐水性材料から形成することを特徴とする密封装置。
【請求項9】 請求項3〜8の何れか一項に記載の装置において、テンション機構(7)は、貫通開口(8)の軸線方向に対置する密封素子(6)の領域に調整素子(9,10)を具え、該調整素子は少なくとも貫通開口(8)の近辺で相互に移動可能であることを特徴とする密封装置。
【請求項10】 請求項9記載の装置において、調整素子(9,10)はリングであることを特徴とする密封装置。
【請求項11】 請求項9又は10に記載の装置において、調整素子(9,10)は、それらの調整素子の間に位置する軸線方向ねじを介して、互いに接近する方向に移動可能であり、前記軸線方向ねじは密封素子(6)を貫通することを特徴とする密封装置。
【請求項12】 請求項9又は10に記載の装置において、調整素子(9,10)は、それらの調整素子の間に位置するテンションロッド(14)を介して、互いに接近する方向に移動可能であり、前記テンションロッドは密封素子(6)を貫通することを特徴とする密封装置。
【請求項13】 請求項12記載の装置において、テンションロッド(14)はラチェッ機構(16)を介して拘束可能であることを特徴とする密封装置。
【請求項14】 請求項12記載の装置において、テンションロッド(14)は偏心素子(16,17)を介して作動可能であることを特徴とする密封装置。
【請求項15】 請求項9又は10に記載の装置において、調整素子(9,10)の変位ストッパを解除すると、調整素子(9,10)は、それらの調整素子の間に位置する少なくとも1個の引張ばねを介して、互いに接近する方向に移動可能であることを特徴とする密封装置。
【請求項16】 請求項9又は10に記載の装置において、調整素子(9,10)は中央のねじ固定により互いに接近する方向に移動可能であることを特徴とする密封装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造素子内に位置する貫通部と、この貫通部に突入・貫通する対象物との間のスリットを、少なくとも1個の密封素子をスリットに配置することによって密封する請求項1の上位概念に記載した方法に関するものである。また、本発明は、この目的のために適する請求項3の上位概念に記載した装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】導管又はケーブルを壁内の開口を通じて屋外から屋内へ引き込む際に、シーリング密封がよく使用される。その際、導管及びケーブルと壁との間に生ずる環状スリットを様々な方法により封鎖する。ひとつには、物理的なシーリングが考えられる。これは、固形のシール素子を環状スリットに充填し、形状結合又は基盤に対する弾力的な圧密によって密封する。別の方法として、化学的なシーリングが可能である。環状スリットには、硬化して貫通部を封鎖する反応生成物を充填する。反応生成物として、例えば、モルタル等の無機系又はパッキング塊、重合体フォーム等の有機系を使用することができる。更にまた、物理化学的なシーリングも可能である。この場合、通常、物理的な枠を設け、この枠に化学的な充填システムを収める。
【0003】公知の物理的な解決方法はコストが嵩み、設置に際して時間と労力を要すると共に、特定の直径を有する導管、ケーブル及び貫通部に限定される。これらの点について、化学的な解決方法は不利ではないが、浸水に対する永続的な密封を保障するものではない。何故ならば、例えば、胞状に開放したフォームを使用する場合でも、材料自体が透過性を有すると共に、ポリエチレン(PE)のように様々な問題のある基盤では付着に欠陥があるからである。更に、使用者が貫通部を完全に封鎖しない恐れもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、簡便かつ低コストの措置により、スリットの完全密封を迅速に実現しうる上述の構成を有する方法及び装置を提案することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため、本発明の方法は、密封素子を弾力的に形成し、テンション機構によって貫通部の軸線方向に圧縮すると共にその圧縮状態に維持することを特徴とするものである。また、本発明の装置は、弾性を有する密封素子が、対象物を隙間無く受けるのに適した貫通開口を具えると共に、密封素子と結合したテンション機構が、密封素子を貫通開口の軸線方向に圧縮することを特徴とするものである。本発明による有利な実施形態は、それぞれの従属請求項に記載されている。
【0006】本発明は、構造素子内に位置する貫通部と、この貫通部に突入・貫通する対象物との間のスリットを、対象物を包囲するスリット内に少なくとも1個の密封素子を配置することによって密封する方法であり、密封素子を弾力的に形成し、テンション機構によって貫通部の軸線方向に圧縮すると共に、その圧縮状態に維持するものである。
【0007】例えば、先ず、密封素子を貫通部に挿入し、次に、対象物を密封素子に挿入して通過させると、直ちに、テンション機構を用いて密封素子を貫通部に対して軸線方向に圧縮することができる。その結果、密封素子は半径方向の外方へ膨張し、貫通部の外周内壁に対して押圧される。同時に、密封素子は半径方向の内方へ対象物に対して押圧されるため、構造素子の方向のみならず、対象物の方向でもスリットは緊密に封鎖される。テンション機構を固定・拘束することにより、密封素子を圧縮した状態が維持される。
【0008】従って、本発明により、スリットを極めて効果的かつ効率的に密封することが可能となり、或る程度の限度内で様々な大きさの貫通部を緊密に封鎖することができる。密封素子を貫通部の軸線方向に圧縮する際に、適切な圧力によって、必要な密封素子の半径方向膨張を調整可能とするからである。更に、本発明においては、設置の所要時間が相当に有利であるため、コストの低減が可能である。
【0009】本発明による実施形態において、密封素子が圧縮された状態を維持した後、テンション機構の部材は、維持して圧縮した状態の維持に不要であるならば、再び貫通部から取り出すことができる。ここでは、例えば、グリップ部材を具えるテンションロッドの部材である。テンションロッドを用いて、貫通部の軸線方向で互いに対置する密封素子の面が互いに移動する。これらのテンションロッドの部材が貫通部から突出するならば、例えば、予定破断個所の領域において、これらの部材を除去することができる。
【0010】本発明は、構造素子内に位置する貫通部と、この貫通部に突入・貫通する対象物との間のスリットを密封する装置であり、弾性を有する密封素子が、対象物を隙間無く受けるのに適した貫通開口を具えると共に、密封素子と結合したテンション機構が、密封素子を貫通開口の軸線方向に圧縮することを特徴とするものである。
【0011】密封素子とテンション機構とは1個の取り付けユニットを形成すると共に、例えば、構造素子の貫通部内に一緒に挿入可能である。ケーブル又は導管として形成した対象物が密封素子を貫通すると、テンション機構が作動し、密封素子は貫通部の軸線方向に圧縮される。その結果、密封素子は半径方向に膨張し、対象物のみならず貫通部の外周内壁に対しても押圧される。これにより、特に液密とする緊密な密封が実現する。
【0012】ボールとして形成した密封素子を使用した場合、特に良好な密封効果が得られる。このボールは、ケーブル及び導管を受けるために、中心に位置する円筒形状の貫通開口を具える。ケーブル及び導管の近辺において、ボールの壁領域を軸線方向に圧縮することにより、半径方向に良好な膨張が実現する。即ち、ケーブル及び導管の長手方向軸線に対して垂直に膨張する。
【0013】本発明による実施形態において、密封素子は中実材料又は中空室を具える材料から形成される。いかなる場合でも、密封素子は弾力的に圧縮可能である。中実材料から成る場合、比較的大きな押圧力が生じるため、例えば、加圧水に対する密封については有利である。中空材料から成る場合、より小さな押圧力で作用する可能性がある。
【0014】密封素子の永続的な作用を実現するために、密封素子を防水・耐水性の材料から形成するのが好適である。
【0015】本発明による非常に有利な実施形態において、テンション機構は、貫通開口の軸線方向に対置する密封素子の領域に、貫通開口の近辺で互いに移動可能とする調整素子を具える。調整素子は、様々なメカニズムによって作動可能となり、密封素子を貫通開口の軸線方向に圧縮することに供する。これらの調整素子は、密封素子の半径方向に十分なスペースを与える。従って、密封素子は、軸線方向に圧縮されると、半径方向に膨張する。
【0016】調整素子は、包囲素子又はリングとして形成するのが好適であり、貫通開口の外周に亙って、可能な限り均等な圧縮力を密封素子に作用させることができる。それにより、密封素子の半径方向における均等な膨張及び貫通部の確実な密封が実現する。既述のように、調整素子の作動には多くの可能性がある。ひとつには、軸線方向で互いに離間した調整素子の間に、密封素子を貫通する軸線方向ねじを具える。軸線方向ねじの頭部は前方の調整素子を把持し、ねじ部分は後方の調整素子に捻じ込まれる。ドライバ等によってねじを回すと、前方の調整素子と後方の調整素子とは互いに移動し、密封素子を圧縮する。このような複数個のねじは、密封素子の外周方向で互いに等しい角度間隔として配置可能である。
【0017】調整素子の位置を調節する別の可能性として、密封素子を貫通するテンションロッドを具える。前方の調整素子には、貫通部から突出する第1テンションロッドを取り付ける。後方の調整素子には、密封素子を貫通して第1テンションロッドの方向で貫通部から突出する第2テンションロッドを取り付ける。第1及び第2テンションロッドは、それぞれにグリップ部材を具える。グリップ部材を介してテンションロッドが互いに向き合って移動すると、調整素子によって密封素子が圧縮される。その際、テンションロッドはラチェッメカニズムによっても拘束可能であり、密封素子の圧縮された位置を維持することができる。
【0018】基本的に、密封素子を貫通するテンションロッドは、偏心素子を介して作動することも可能であり、それらの偏心素子は一方の調整素子に支持する。
【0019】また、調整素子の変位ストッパを解除すると、調整素子の間に位置する少なくとも1個の引張ばねを介して、調整素子を互いに移動させることも可能である。
【0020】調整素子の中央でねじ固定することも考えられる。例えば。導管及びケーブルを通過させる貫通開口に対し、同軸としてナットを配置する。軸線方向で互いに離間する調整素子は、前記ナットを介して互いに移動可能となる。
【0021】以下、本発明を図示の好適な実施形態について更に具体的に説明する。
【0022】図1に示す構造素子1は、例えば、建造物の壁とすることができる。構造素子1の内部には、壁面に対して垂直に延在する貫通部2が位置し、これは内径がほぼ一定の貫通孔とする。本実施例では導管又はケーブルとする対象物3が貫通部2を通過して延在する。対象物3の外径は、貫通部2の内径より小であるため、導管3と構造素子1との間には環状スリット4が生じる。
【0023】図1に示した状態は、図2の縦断面図に対応する。
【0024】本発明による密封装置5は、貫通部2の領域内で対象物3の上に位置する。密封装置5は、ボール形状の密封素子6と、テンション機構7とから構成される。密封素子6及びテンション素子7は、1個の取り付けユニットを形成する。
【0025】特に、図2に示すように、ボール形状の密封素子6は、円筒形状の貫通開口8を具える。この貫通開口は、密封素子6に対して中央に位置する。この円筒形状の貫通開口8には、導管3を隙間無く挿入する。従って、導管3の外径は、少なくとも貫通開口8の内径にほぼ一致する。それに対し、ボール形状の密封素子6の外径は、貫通部2の内径よりも僅かに小である。従って、密封装置5は容易に貫通部2内に進入することができる。
【0026】テンション機構7は、図2に示すように、前方の調整リング9と後方の調整リング10とから構成され、後者は貫通開口8の長手方向軸線11に同軸として配置される。長手方向軸線11は、貫通部2の長手方向軸線でもある。両方の調整リング9,10は、ボール形状の密封素子6と、例えば、粘着によって堅く結合することができる。図1及び図2に示す第1テンションロッド12は、前方の調整リング9から左方へ突出する。前方の調整リング9の外周方向には、等しい角度間隔で複数個の第1テンションロッド12を配置することができる。これらのテンションロッドは、長手方向軸線11に対して平行に延在すると共に、遊端では第1グリップ部材13を介して相互に結合する。これに対し、第2テンションロッド14は後方の調整リング10と堅く結合する。第2テンションロッドは、ボール形状の密封素子6を前方の調整リング9の方向に貫通すると共に、同様に長手方向軸線11に対して平行に延在する。ここでもまた、後方の調整リング10の外周方向には、等しい角度間隔で複数個の第2テンションロッドを配置することができる。図2の左側に示す遊端では、第2テンションロッドも第2グリップ部材15を介して相互に結合する。第1及び第2テンションロッド12,14は、各2個ずつ配置するのが好適であり、それによって可能な限り簡単なテンション機構の構造を実現することができる。第1及び第2テンションロッド12,14は寸法が長いため、図2に示すように、貫通部2から壁の同じ側に向けて突出する。第1グリップ部材13は、第2グリップ部材15よりも壁1から遠く離れている。従って、両方のグリップ部材13,15は、軸線11の長手方向で互いに離間して配置される。
【0027】図1及び図2に示すように、密封装置5を取り付けた後、第1及び第2グリップ部材13,15は互いに移動するため、これらの部材と結合した調整リング9,10もまた互いに移動する。これらの調整リングは、ボール形状の密封素子6における、長手方向軸線11に対し同心として位置する環状部分に当接する。そのため、ボール形状の密封素子6は、この領域において圧縮される。このような状態を図3及び図4に示しているが、図1及び図2に示した素子と同じものには同一の符号を付記し、改めて説明は行わない。特に、図4に示すように、ボール形状の密封素子6は、貫通開口8の長手方向軸線11に対する垂直方向で貫通部2の内壁に至るまで膨張し、この内壁を押圧する程度まで、調整リング9,10を介して圧縮される。同時に、ボール形状の密封素子6は対象物3に対しても押圧されるため、環状スリット4は緊密に封鎖される。
【0028】特に、図2及び図4に示すように、テンション機構7はラチェッメカニズムを具えることも可能である。更に、第2テンションロッド14は、互いに離間した球状部分16を具える。これらの球状部分16は、グリップ部材13,15が図2に示すポジションから図4に示すポジションに移行すべき場合、前方の調整リング9内に隙間無く形成した係止開口を貫通しなければならない。前記の変位方向では、その逆方向よりも容易に球状部分16が係止開口を貫通できる。従って、グリップ部材13,15の変位ポジションは球状部分16を介して互いに拘束される。
【0029】本発明の第2実施形態における密封装置5を、図5及び図6に示している。図1〜4に示したものと対応する構成要素には同一の符号を付記し、改めて説明は行わない。
【0030】図5及び図6に示す第2実施形態において、前方の調整リング9と後方の調整リング10とは、偏心調整レバー17,18を介し、長手方向軸線11の長手方向で相互に変位可能である。図5に示す状態において、調整リング9,10は未だ互いに移動していないため、ボール形状の密封素子6は未だ変形していない。それに対し、図6は、調整リング9,10が相互に変位し、密封素子6が変形した状態を示している。ここで、密封素子は貫通部2の内周壁のみならず、ケーブル3に対しても押圧されている。偏心調整レバー17,18を作動して調整リング9,10を相互に変位させる変位メカニズムが単に図示されているが、これは様々な方法によって技術的に問題無く実現可能である。偏心調整レバー17,18が旋回していない停止位置にあるならば、密封装置5は貫通部2内に位置することができる。対象物3を貫通開口8に導入した後、偏心調整レバー17,18は停止位置から作動位置へ移行すると共に、調整リング9,10を互いに移動させる。これにより、ボール形状の密封素子6は既述のように変形し、環状スリット4は封鎖される。
【出願人】 【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【出願日】 平成12年11月20日(2000.11.20)
【代理人】 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作 (外1名)
【公開番号】 特開2001−165314(P2001−165314A)
【公開日】 平成13年6月22日(2001.6.22)
【出願番号】 特願2000−352756(P2000−352756)