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【発明の名称】 空調用圧縮機の軸封部材係止用スナップリング
【発明者】 【氏名】宮沢 清

【要約】 【課題】空調用圧縮機の駆動軸のハウジング貫通部に配設される軸封部材をハウジングに係止するスナップリングであって、軸封部材をハウジングに係止する能力が従来構造のスナップリングに比べて高く、且つ装着時の作業性が従来構造のスナップリングと同等のスナップリングを提供する。

【解決手段】空調用圧縮機の駆動軸のハウジング貫通部に配設される軸封部材をハウジングに係止するスナップリングであって、外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙して内周縁に1つの径方向凸部が形成され、前記耳部近傍の内周縁が、耳部と略同一の周方向長さに亘って、耳部の内縁へ向けて径方向内方へ滑らかに膨出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空調用圧縮機の駆動軸のハウジング貫通部に配設される軸封部材をハウジングに係止するスナップリングであって、外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙して内周縁に1つの径方向凸部が形成され、前記耳部近傍の内周縁が、耳部と略同一の周方向長さに亘って、耳部の内縁へ向けて径方向内方へ滑らかに膨出することを特徴とするスナップリング。
【請求項2】 空調用圧縮機の駆動軸のハウジング貫通部に配設される軸封部材をハウジングに係止するスナップリングであって、外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位と一対の耳部とに挟まれた領域の内周縁に複数の径方向凸部が形成されていることを特徴とするスナップリング。
【請求項3】 空調用圧縮機の駆動軸のハウジング貫通部に配設される軸封部材をハウジングに係止するスナップリングであって、外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部を除いた部位の内周縁に複数の径方向凸部が形成され、前記一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部と、当該中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位との間で延在する径方向凹部が、外周縁に形成されていることを特徴とするスナップリング。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は空調用圧縮機の駆動軸のハウジング貫通部に配設される軸封部材をハウジングに係止するスナップリングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】空調用圧縮機の駆動軸のハウジング貫通部には、潤滑オイルや加圧流体の漏洩を防止する軸封部材が配設され、当該軸封部材をハウジングに係止するスナップリングが配設される。図1に示すように、従来構造のスナップリングは、円弧を形成する外周縁と、外周縁が形成する円弧に対して偏心した円弧を形成する内周縁とを有する環状薄板部材として形成されている。環状薄板部材の一部が切り欠かれて、装着時に外力を印加してスナップリングを径方向内方へ押し縮めるための、向かい合う一対の耳部が形成されている。耳部は径方向内方へ膨出しており、中央に外力印加用の治具を通す穴が形成されている。内周縁が形成する円弧の中心Ointは、外周縁が形成する円弧の中心Ooutに対して、前記切欠部の中心Cの方向へ偏心している。従来構造のスナップリングは、図1から分かるように、装着時の外力印加用の向かい合う一対の耳部を除いた部位の内周縁が単一の円弧を形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】装着時の外力印加用の向かい合う一対の耳部を除いた部位の内周縁が単一の円弧を形成する従来構造のスナップリングには、軸封部材に当接する部分の径方向幅が、より具体的には図1で一点鎖線よりも径方向内方の部分の径方向幅が、一対の耳部を除いて狭いので、軸封部材をハウジングに係止する能力が不十分であり、軸封部材が柔軟なゴム製品である場合、ハウジング内圧が高い時に、軸封部材がスナップリングを乗り越えてハウジング外方へ変形し、潤滑オイルや加圧流体が漏洩する可能性があるという問題があった。また内周縁が形成する円弧の中心が外周縁が形成する円弧の中心から偏心しているので、耳部近傍の径方向幅が狭く、高いハウジング内圧の下で、軸封部材がスナップリングに強く押し付けられた時に、耳部近傍部が捩じれて耳部も捩じれ、軸封部材が柔軟なゴム製品である場合、軸封部材がスナップリングを乗り越えてハウジング外方へ変形し、潤滑オイルや加圧流体が漏洩する可能性があるという問題があった。本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、空調用圧縮機の駆動軸のハウジング貫通部に配設される軸封部材をハウジングに係止するスナップリングであって、軸封部材をハウジングに係止する能力が従来構造のスナップリングに比べて高く、且つ装着時の作業性が従来構造のスナップリングと同等のスナップリングを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明においては、空調用圧縮機の駆動軸のハウジング貫通部に配設される軸封部材をハウジングに係止するスナップリングであって、外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙して内周縁に1つの径方向凸部が形成され、前記耳部近傍の内周縁が、耳部と略同一の周方向長さに亘って、耳部の内縁へ向けて径方向内方へ滑らかに膨出することを特徴とするスナップリングを提供する。
【0005】本発明に係るスナップリングにおいては、一対の耳部と、一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙して内周縁に形成された1つの径方向凸部とが、十分な径方向当接幅をもって軸封部材に当接するので、軸封部材が柔軟なゴム製品であっても、高ハウジング内圧下での軸封部材の、スナップリングを乗り越えるハウジング外方への変形が阻止される。従って、本発明に係るスナップリングは、軸封部材をハウジングに係止する能力が従来構造のスナップリングに比べて高い。耳部近傍の内周縁が、耳部と略同一の周方向長さに亘って、耳部の内縁へ向けて径方向内方へ滑らかに膨出するので、スナップリングの耳部近傍部の径方向幅が、従来構造のスナップリングに比べて大きい。この結果、高ハウジング内圧下で、軸封部材がスナップリングの耳部へ強く押し付けられても、スナップリングの耳部近傍部は捩じれず、耳部も捩じれない。従って、軸封部材が柔軟なゴム製品であっても、当該軸封部材の、スナップリングを乗り越えるハウジング外方への変形が阻止される。従って、本発明に係るスナップリングは、軸封部材をハウジングに係止する能力が、従来構造のスナップリングに比べて高い。
【0006】一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙して内周縁に1つの径方向凸部を形成しても、当該径方向凸部の周方向の延在長さが小であれば当該径方向凸部は他の部位に追随して曲げ変形しないので、当該径方向凸部は一対の耳部に向かい合う力を印加した時のスナップリングのバネ定数の増加に殆ど寄与せず、当該径方向凸部を形成しない場合に比べて、一対の耳部に向かい合う力を印加した時のスナップリングのバネ定数は殆ど増加しない。従って、本発明に係るスナップリングの一対の耳部に向かい合う力を印加した時のバネ定数は、従来構造のスナップリングと同等である。従って、本発明に係るスナップリングの装着時の作業性は、従来構造のスナップリングと同等である。
【0007】本発明においては、空調用圧縮機の駆動軸のハウジング貫通部に配設される軸封部材をハウジングに係止するスナップリングであって、外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位と一対の耳部とに挟まれた領域の内周縁に複数の径方向凸部が形成されていることを特徴とするスナップリングを提供する。
【0008】本発明に係るスナップリングにおいては、一対の耳部と、外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位と一対の耳部とに挟まれた領域の内周縁に形成された複数の径方向凸部とが、十分な径方向当接幅をもって軸封部材に当接するので、軸封部材が柔軟なゴム製品であっても、高ハウジング内圧下での軸封部材の、スナップリングを乗り越えるハウジング外方への変形が阻止される。従って、本発明に係るスナップリングは、軸封部材をハウジングに係止する能力が従来構造のスナップリングに比べて高い。
【0009】外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位と、一対の耳部とに挟まれた領域でのスナップリングの径方向幅の増減は、当該領域から耳部までの距離が小さいので、一対の耳部に向かい合う力を印加した時のスナップリングのバネ定数に大きな影響を与えない。従って、前記中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位と一対の耳部とに挟まれた領域の内周縁に複数の径方向凸部を形成しても、一対の耳部に向かい合う力を印加した時のスナップリングのバネ定数は、前記複数の径方向凸部を形成しない場合に比べて余り増加しない。従って、本発明に係るスナップリングの一対の耳部に向かい合う力を印加した時のバネ定数は、従来構造のスナップリングと同等である。従って、本発明に係るスナップリングの装着時の作業性は、従来構造のスナップリングと同等である。
【0010】本発明においては、空調用圧縮機の駆動軸のハウジング貫通部に配設される軸封部材をハウジングに係止するスナップリングであって、外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部を除いた部位の内周縁に複数の径方向凸部が形成され、前記一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部と、当該中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位との間で延在する径方向凹部が、外周縁に形成されていることを特徴とするスナップリングを提供する。
【0011】本発明に係るスナップリングにおいては、一対の耳部と、一対の耳部を除いた部位の内周縁に形成された複数の径方向凸部とが、十分な径方向当接幅をもって軸封部材に当接するので、軸封部材が柔軟なゴム製品であっても、高ハウジング内圧下での軸封部材の、スナップリングを乗り越えるハウジング外方への変形が阻止される。従って、本発明に係るスナップリングは、軸封部材をハウジングに係止する能力が従来構造のスナップリングに比べて高い。
【0012】外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部と、当該中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位とに挟まれた領域でのスナップリングの径方向幅の増減は、当該領域から耳部までの距離が大きいので、一対の耳部に向かい合う力を印加した時のスナップリングのバネ定数に大きな影響を与える。本発明に係るスナップリングにおいては、一対の耳部を除いた部位の内周縁に複数の径方向凸部を形成することによる、一対の耳部に向かい合う力を印加した時のバネ定数の増加が、前記一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部と、当該中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位との間で延在する径方向凹部を、外周縁に形成することによる、前記バネ定数の減少によって相殺される。従って、本発明に係るスナップリングの一対の耳部に向かい合う力を印加した時のバネ定数は、従来構造のスナップリングと同等である。従って、本発明に係るスナップリングの装着時の作業性は、従来構造のスナップリングと同等である。
【0013】
【発明の実施の形態】空調用斜板式圧縮機に適用した本発明の第1実施例に係るスナップリングを説明する。図2に示すように、斜板式圧縮機は、シリンダブロック1に形成されたボア2と、ボア2内に摺動可能に収容されたピストン3と、駆動軸4と、駆動軸4に傾斜して固定された斜板5と、斜板5とピストン3との間に介在するシュー6とを備えている。リアハウジング7が、シリンダブロック1と協働して、吸入弁と吐出弁とを装着した弁板8を挟持し、吸入室9と吐出室10とを形成している。弁板8に吸入穴8aと吐出穴8bとが形成されている。フロントハウジング11が、シリンダブロック1と協働して、クランク室12を形成している。クランク室12内に、駆動軸4と斜板5とが収容されている。駆動軸4はシリンダブロック1とフロントハウジング11とによって、回転可能に支持されている。駆動軸4はフロントハウジング11を貫通してフロントハウジング11の外方へ延びている。
【0014】駆動軸4のフロントハウジング貫通部に、リップシール13が配設されている。リップシール13をフロントハウジング11に係止するスナップリング14が、リップシール13に隣接して配設されている。スナップリング14は、フロントハウジング11に形成された環状溝11aに嵌合した状態で、フロントハウジング11に係止されている。リップシール13は、リップシール13の内側に位置するフロントハウジング11の段部11bと、リップシール13の外側に位置するスナップリング14とに挟持されて、フロントハウジング11に係止されている。
【0015】図3に示すように、スナップリング14は、円弧を形成する外周縁14aと、外周縁14aが形成する円弧に対して偏心した円弧を形成する内周縁14bとを有する環状薄板部材として形成されている。環状薄板部材の一部が切り欠かれて、装着時に向かい合う力を印加してスナップリング14を径方向内方へ押し縮めるための、向かい合う一対の耳部14cが形成されている。耳部14cは径方向内方へ膨出しており、中央に外力印加のための治具を通す穴14dが形成されている。内周縁14bが形成する円弧の中心Ointは、外周縁14aが形成する円弧の中心Ooutに対して、前記切欠部の中心Cの方向へ偏心している。一対の耳部14cに挟まれた切欠部の中心Cに対峙して、内周縁14bに1つの径方向凸部14eが形成されている。耳部14c近傍の内周縁14bが、耳部14cと略同一の周方向長さに亘って、耳部14cの内縁へ向けて径方向内方へ滑らかに膨出している。スナップリング14は、一対の耳部14cの穴14dに外力印加用の治具を通し、当該治具を介して一対の耳部14cに向かい合う一対の外力を印加し、図3で白抜き矢印で示すように、一対の耳部14cが互いに接近する方向へ変形させ、押し縮めた状態で、駆動軸4のフロントハウジング貫通部へ挿入し、外力を解除して原形状へ復帰させ、環状溝11aに嵌合させることにより、フロントハウジング11に係止される。
【0016】スナップリング14においては、一対の耳部14cと、1つの径方向凸部14eとが、十分な径方向当接幅をもってリップシール13に当接するので、柔軟なゴム製品であるリップシール13は、クランク室12の内圧が高い場合でも、スナップリング14を乗り越えてフロントハウジング11の外方へ変形することができない。従って、スナップリング14は、リップシール13をフロントハウジング11に係止する能力が図1に示す従来構造のスナップリングに比べて高い。スナップリング14においては、耳部14c近傍の内周縁14bが、耳部14cと略同一の周方向長さに亘って、耳部14cの内縁へ向けて径方向内方へ滑らかに膨出するので、耳部近傍部の径方向幅が図1に示す従来構造のスナップリングに比べて大きい。この結果、クランク室12の内圧が高い時に、リップシール13がスナップリング14の耳部14cへ強く押し付けられても、スナップリング14の耳部近傍部は捩じれず、耳部14cも捩じれない。この結果、クランク室12の内圧が高い場合でも、リップシール13はスナップリング14を乗り越えてフロントハウジング11の外方への変形することができない。従って、スナップリング14は、リップシール13をフロントハウジング11に係止する能力が図1に示す従来構造のスナップリングに比べて高い。
【0017】一対の耳部14cに挟まれた切欠部の中心Cに対峙して内周縁14bに1つの径方向凸部14eを形成しても、径方向凸部14eの周方向の延在長さが小であれば、径方向凸部14eは他の部位に追随して曲げ変形しないので、径方向凸部14eは、一対の耳部14cに向かい合う力を印加した時のスナップリング14のバネ定数の増加に殆ど寄与しない。また、一対の耳部14cに隣接する内周縁14bを、耳部14cと略同一の周方向長さに亘って、耳部14cの内縁へ向けて径方向内方へ滑らかに膨出させても、当該部位から耳部14cまでの距離は微小なので、当該滑らかな膨出部は、一対の耳部14cに向かい合う力を印加した時のスナップリング14のバネ定数の増加に殆ど寄与しない。従って、スナップリング14の一対の耳部14cに向かい合う力を印加した時のバネ定数は、図1に示す従来構造のスナップリングと同等である。従って、スナップリング14の装着時の作業性は、図1に示す従来構造のスナップリングと同等である。
【0018】本発明の第2実施例に係るスナップリングを説明する。図4に示すように、本実施例に係るスナップリング24は、円弧を形成する外周縁24aと、外周縁24aが形成する円弧に対して偏心した円弧を形成する内周縁24bとを有する環状薄板部材として形成されている。環状薄板部材の一部が切り欠かれて、装着時に外力を印加してスナップリング24を径方向内方へ押し縮めるための、向かい合う一対の耳部24cが形成されている。耳部24cは径方向内方へ膨出しており、中央に外力印加のための治具を通す穴24dが形成されている。内周縁24bが形成する円弧の中心Ointは、外周縁24aが形成する円弧の中心Ooutに対して、前記切欠部の中心Cの方向へ偏心している。一対の耳部24cに挟まれた切欠部の中心Cに対峙する周方向中央部から一対の耳部24cへ向けてそれぞれ略90°隔たった部位と一対の耳部24cとに挟まれた領域の内周縁24bに、複数の径方向凸部24eが形成されている。スナップリング24は、スナップリング14に替えて、図2の空調用斜板式圧縮機に装着される。
【0019】スナップリング24においては、一対の耳部24cと、複数の径方向凸部24eとが、十分な径方向当接幅をもってリップシール13に当接するので、柔軟なゴム製品であるリップシール13は、クランク室12の内圧が高い場合でも、スナップリング24を乗り越えてフロントハウジング11の外方へ変形することができない。従って、スナップリング24は、リップシール13をフロントハウジング11に係止する能力が図1に示す従来構造のスナップリングに比べて高い。
【0020】一対の耳部24cに挟まれた切欠部の中心Cに対峙する周方向中央部から一対の耳部24cへ向けてそれぞれ略90°隔たった部位と、一対の耳部24cとに挟まれた領域でのスナップリング24の径方向幅の増減は、当該領域から一対の耳部24cまでの距離が小さいので、一対の耳部24cに向かい合う力を印加した時のスナップリング24のバネ定数に大きな影響を与えない。従って、前記中央部から一対の耳部24cへ向けてそれぞれ略90°隔たった部位と一対の耳部24cとに挟まれた領域の内周縁24bに複数の径方向凸部24eを形成しても、一対の耳部24cに向かい合う力を印加した時のスナップリング24のバネ定数は、複数の径方向凸部24eを形成しない場合に比べて余り増加しない。従って、スナップリング24の一対の耳部24cに向かい合う力を印加した時のバネ定数は、図1に示す従来構造のスナップリングと同等である。従って、スナップリング24の装着時の作業性は、図1に示す従来構造のスナップリングと同等である。
【0021】本発明の第3実施例に係るスナップリングを説明する。図5に示すように、本実施例に係るスナップリング34は、円弧を形成する外周縁34aと、外周縁34aが形成する円弧に対して偏心した円弧を形成する内周縁34bとを有する環状薄板部材として形成されている。環状薄板部材の一部が切り欠かれて、装着時に外力を印加してスナップリング34を径方向内方へ押し縮めるための、向かい合う一対の耳部34cが形成されている。耳部34cは径方向内方へ膨出しており、中央に外力印加のための治具を通す穴34dが形成されている。内周縁34bが形成する円弧の中心Ointは、外周縁34aが形成する円弧の中心Ooutに対して、前記切欠部の中心Cの方向へ偏心している。一対の耳部34cを除いた部位の内周縁34bに複数の径方向凸部34eが形成されている。一対の耳部34cに挟まれた切欠部の中心Cに対峙する周方向中央部と、当該中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位との間で延在する径方向凹部34fが、外周縁34aに形成されている。スナップリング34は、スナップリング14に替えて、図2の空調用斜板式圧縮機に装着される。
【0022】スナップリング34においては、一対の耳部34cと、複数の径方向凸部34eとが、十分な径方向当接幅をもってリップシール13に当接するので、柔軟なゴム製品であるリップシール13は、クランク室12の内圧が高い場合でも、スナップリング34を乗り越えてフロントハウジング11の外方へ変形することができない。従って、スナップリング34は、リップシール13をフロントハウジング11に係止する能力が図1に示す従来構造のスナップリングに比べて高い。
【0023】一対の耳部34cに挟まれた切欠部の中心Cに対峙する周方向中央部と、当該中央部から一対の耳部34cへ向けてそれぞれ略90°隔たった部位とに挟まれる領域での、スナップリング34の径方向幅の増減は、当該領域から一対の耳部34cまでの距離が大きいので、一対の耳部34cに向かい合う力を印加した時のスナップリング34のバネ定数に大きな影響を与える。スナップリング34においては、一対の耳部34cを除いた部位の内周縁34bに複数の径方向凸部34eを形成することによる、一対の耳部34cに向かい合う力を印加した時のバネ定数の増加が、一対の耳部34cに挟まれた切欠部の中心Cに対峙する周方向中央部と、当該中央部から一対の耳部34cへ向けてそれぞれ略90°隔たった部位との間で延在する凹部34fを、外周縁34aに形成することによる、前記バネ定数の減少によって相殺される。従って、スナップリング34の一対の耳部34cに向かい合う力を印加した時のバネ定数は、図1に示す従来構造のスナップリングと同等である。従って、スナップリング34の装着時の作業性は、図1に示す従来構造のスナップリングと同等である。外周縁34aの、一対の耳部34cに挟まれた切欠部の中心Cに対峙する周方向中央部と、一対の耳部34cの近傍部とは円弧を形成するので、スナップリング34は環状溝11aに安定して嵌合する。
【0024】上記実施例においては、本発明に係るスナップリングを空調用斜板式圧縮機に適用したが、本発明に係るスナップリングは、空調用スクロール型圧縮機等の他の形式の空調用圧縮機に適用可能である。
【0025】
【発明の効果】本発明に係るスナップリングにおいては、一対の耳部と、一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙して内周縁に形成された1つの径方向凸部とが、十分な径方向当接幅をもって軸封部材に当接するので、軸封部材が柔軟なゴム製品であっても、高ハウジング内圧下での軸封部材の、スナップリングを乗り越えるハウジング外方への変形が阻止される。従って、本発明に係るスナップリングは、軸封部材をハウジングに係止する能力が従来構造のスナップリングに比べて高い。耳部近傍の内周縁が、耳部と略同一の周方向長さに亘って、耳部の内縁へ向けて径方向内方へ滑らかに膨出するので、スナップリングの耳部近傍部の径方向幅が、従来構造のスナップリングに比べて大きい。この結果、高ハウジング内圧下で、軸封部材がスナップリングの耳部へ強く押し付けられても、スナップリングの耳部近傍部は捩じれず、耳部も捩じれない。従って、軸封部材が柔軟なゴム製品であっても、当該軸封部材の、スナップリングを乗り越えるハウジング外方への変形が阻止される。従って、本発明に係るスナップリングは、軸封部材をハウジングに係止する能力が、従来構造のスナップリングに比べて高い。
【0026】一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙して内周縁に1つの径方向凸部を形成しても、当該径方向凸部の周方向の延在長さが小であれば当該径方向凸部は他の部位に追随して曲げ変形しないので、当該径方向凸部は一対の耳部に向かい合う力を印加した時のスナップリングのバネ定数の増加に殆ど寄与せず、当該径方向凸部を形成しない場合に比べて、一対の耳部に向かい合う力を印加した時のスナップリングのバネ定数は殆ど増加しない。従って、本発明に係るスナップリングの一対の耳部に向かい合う力を印加した時のバネ定数は、従来構造のスナップリングと同等である。従って、本発明に係るスナップリングの装着時の作業性は、従来構造のスナップリングと同等である。
【0027】本発明に係るスナップリングにおいては、一対の耳部と、外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位と一対の耳部とに挟まれた領域の内周縁に形成された複数の径方向凸部とが、十分な径方向当接幅をもって軸封部材に当接するので、軸封部材が柔軟なゴム製品であっても、高ハウジング内圧下での軸封部材の、スナップリングを乗り越えるハウジング外方への変形が阻止される。従って、本発明に係るスナップリングは、軸封部材をハウジングに係止する能力が従来構造のスナップリングに比べて高い。
【0028】外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位と、一対の耳部とに挟まれた領域でのスナップリングの径方向幅の増減は、当該領域から耳部までの距離が小さいので、一対の耳部に向かい合う力を印加した時のスナップリングのバネ定数に大きな影響を与えない。従って、前記中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位と一対の耳部とに挟まれた領域の内周縁に複数の径方向凸部を形成しても、一対の耳部に向かい合う力を印加した時のスナップリングのバネ定数は、前記複数の径方向凸部を形成しない場合に比べて余り増加しない。従って、本発明に係るスナップリングの一対の耳部に向かい合う力を印加した時のバネ定数は、従来構造のスナップリングと同等である。従って、本発明に係るスナップリングの装着時の作業性は、従来構造のスナップリングと同等である。
【0029】本発明に係るスナップリングにおいては、一対の耳部と、一対の耳部を除いた部位の内周縁に形成された複数の径方向凸部とが、十分な径方向当接幅をもって軸封部材に当接するので、軸封部材が柔軟なゴム製品であっても、高ハウジング内圧下での軸封部材の、スナップリングを乗り越えるハウジング外方への変形が阻止される。従って、本発明に係るスナップリングは、軸封部材をハウジングに係止する能力が従来構造のスナップリングに比べて高い。
【0030】外力印加用の径方向内方へ膨出した一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部と、当該中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位とに挟まれた領域でのスナップリングの径方向幅の増減は、当該領域から耳部までの距離が大きいので、一対の耳部に向かい合う力を印加した時のスナップリングのバネ定数に大きな影響を与える。本発明に係るスナップリングにおいては、一対の耳部を除いた部位の内周縁に複数の径方向凸部を形成することによる、一対の耳部に向かい合う力を印加した時のバネ定数の増加が、前記一対の耳部に挟まれた切欠部の中心に対峙する周方向中央部と、当該中央部から一対の耳部へ向けてそれぞれ略90°隔たった部位との間で延在する径方向凹部を、外周縁に形成することによる、前記バネ定数の減少によって相殺される。従って、本発明に係るスナップリングの一対の耳部に向かい合う力を印加した時のバネ定数は、従来構造のスナップリングと同等である。従って、本発明に係るスナップリングの装着時の作業性は、従来構造のスナップリングと同等である。
【出願人】 【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
【出願日】 平成11年11月17日(1999.11.17)
【代理人】 【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
【公開番号】 特開2001−141072(P2001−141072A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−326201