| 【発明の名称】 |
転がり軸受の密封装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大槻 寿志
【氏名】乗松 孝幸
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| 【要約】 |
【課題】自動車等の車両の速度制御に用いる着磁部を設けた密封装置の転がり軸受への圧入工程において、材料載置テーブルに積上げた場合に相互の吸着を防止して、一枚ごとに円滑に自動圧入できる密封装置を提供することである。
【解決手段】転がり軸受の回転側の内輪2の端部外径面に嵌着されたスリンガ5と、スリンガ5に対向して前記軸受の外輪3の端部内径面に嵌着された芯金8と、芯金8に装着されたシール部材12と、スリンガ5のフランジ7の外側面にゴム磁石19を加硫接着することにより着磁部を設けた密封装置1において、芯金8のフランジ11の外側面にシール部材12と一体に形成された前記軸受の内方に突き出した環状の突起18を設け、前記テーブルに積上げられた密封装置1のゴム磁石19と直上の密封装置1の芯金8との間に空隙ができる構成とし、この空隙により密封装置相互の吸着が防止できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内輪の端部外径面に嵌着された内輪側金属部材と、前記内輪側金属部材に対向して外輪の端部内径面に嵌着された外輪側金属部材と、前記内輪側金属部材又は外輪側金属部材のいずれか固定側の金属部材に装着され回転側の金属部材に摺接されるシール部材と、前記回転側の金属部材の外側面に設けられた着磁部とからなり、前記着磁部を周方向に多極に着磁してなる転がり軸受の密封装置において、前記の固定側の金属部材又はこれに装着された前記のシール部材に前記転がり軸受の内方に突き出した突起を周方向に連続的に又は不連続的に形成したことを特徴とする転がり軸受の密封装置。 【請求項2】 前記の突起を前記のシール部材に一体に設けたことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受の密封装置。 【請求項3】 内輪の端部外径面に嵌着された内輪側金属部材と、前記内輪側金属部材に対向して外輪の端部内径面に嵌着された外輪側金属部材と、前記内輪側金属部材又は外輪側金属部材のいずれか固定側の金属部材に装着され回転側の金属部材に摺接されるシール部材と、前記回転側の金属部材の外側面に設けられた着磁部とからなり、前記着磁部を周方向に多極に着磁してなる転がり軸受の密封装置において、前記固定側の金属部材を非磁性材料で形成したことを特徴とする転がり軸受の密封装置。 【請求項4】 前記非磁性材料がオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項3に記載の転がり軸受の密封装置。 【請求項5】 前記回転側の金属部材を磁性材料で形成し、前記磁性材料に磁性粉体を混入したゴムを加硫接着して、前記の着磁部を形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の転がり軸受の密封装置。 【請求項6】 前記磁性材料がフェライト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項5に記載の転がり軸受の密封装置。 【請求項7】 前記回転側の金属部材に直接着磁して前記の着磁部を形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の転がり軸受の密封装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、転がり軸受の密封装置、特に、車両等の速度制御のためのパルス発生用リングを具備した密封装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】自動車等の車両の速度制御に用いるパルス発生用リングとして、多極に着磁された環状のゴム磁石を用い、これを車軸の転がり軸受に一体化したゴム磁石一体型密封装置が知られる。 【0003】図7はこのような密封装置の一例である。この密封装置1は、内輪回転型式の転がり軸受に適用された場合に、内輪2の端部外径面に嵌着されるスリンガ5と、これに対向して外輪3の端部内径面に嵌着される芯金8と、芯金8に装着されスリンガ5に摺接するシール部材12と、スリンガ5に加硫接着された前記ゴム磁石19とからなる。スリンガ5は、円筒部6とその外端部に外輪3の方向にフランジ7が形成されており、芯金8は、外輪3の端部内径面に嵌着された円筒部9とその内端部即ち転動体4の側に内輪2の方向にフランジ11が形成されている。円筒部9の先端部10は、シール部材12を装着するために若干内側に屈曲されている。 【0004】このような密封装置は、転がり軸受とは別個に製作された後、前述のように、内輪側にスリンガが嵌着され、外輪側に芯金が嵌着されるように、転がり軸受に圧入される。その圧入工程では、図8に示すように材料載置テーブル13に積上げられた密封装置を、一枚ごとに自動圧入機のハンドリング装置でシュート内へ搬送し、圧入する方法が採られている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、密封装置1は前述のようにゴム磁石一体型であるため、図8に示すように、密封装置1を、芯金8が下側になるように、かつ、ゴム磁石19を加硫接着したスリンガ5が上側になるように積上げた場合に、スリンガ5に取付けられたゴム磁石19と直上に重なった密封装置1の芯金8が接触し、ゴム磁石19の吸引力により、直上の密封装置1が吸着される。このため、密封装置1を自動圧入機のハンドリング装置で一枚ごとに取出すことに支障をきたし、自動圧入を円滑に行うことができないという問題を生じる。 【0006】そこで、この発明の課題は、材料載置テーブルに積上げられた場合に、相互の吸着を防止して、一枚ごとに自動圧入機のハンドリング装置で支障なくシュート内へ搬送し、円滑に軸受に自動圧入できるようにした密封装置を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明では以下のような構成を採用したのである。 【0008】内輪の端部外径面に嵌着された内輪側金属部材と、前記内輪側金属部材に対向して外輪の端部内径面に嵌着された外輪側金属部材と、前記内輪側金属部材又は外輪側金属部材のいずれか固定側の金属部材に装着され回転側の金属部材に摺接されるシール部材と、前記回転側の金属部材の外側面に設けられた着磁部とからなり、前記着磁部を周方向に多極に着磁してなる転がり軸受の密封装置において、前記の固定側の金属部材又はこれに装着された前記のシール部材に前記転がり軸受の内方に突き出した突起を周方向に連続的に又は不連続的に形成したのである。 【0009】なお、前記の突起は前記のシール部材と一体に設けてもよい。 【0010】上記の構成により、前記密封装置の転がり軸受への圧入工程において、材料載置テーブルに積上げられた各密封装置間に、前記固定側に嵌着される金属部材の外表面から前記突起が突き出る高さだけの空隙ができるため、前記着磁部の直上に重なった密封装置に対する吸引力が弱まる。その結果、前記の各密封装置は相互に吸着することがなくなるので、一枚ごとに自動圧入機のハンドリング装置で支障なくシュート内へ搬送され、前記軸受への密封装置の自動圧入が円滑に行われる。 【0011】一方、前記の重なりあった密封装置の吸着を防止する他の方法として、前記固定側の金属部材を非磁性材料で形成する構成を採用することができる。 【0012】上記の構成にすると、前記着磁部の吸引力が直上に重なった密封装置の固定側に嵌着された非磁性材料で形成される金属部材には作用しない。その結果、重なり合った密封装置は相互に吸着することがないので、前記と同様の作用がある。 【0013】前記非磁性材料として、耐蝕性を有し発錆を防止できることからもオーステナイト系ステンレス鋼が望ましく、その中でも、所要強度を満たし、かつ、大量生産されているSUS304が適切である。 【0014】前記着磁部は、前記金属部材に磁石を固着して形成してもよいし、前記金属部材に直接着磁して形成してもよい。前記磁石を固着する場合は、磁性粉体をゴムと混合して加硫成形し、周方向にN極S極が交互に形成され、多極に着磁された環状のゴム磁石を用いることが望ましい。 【0015】また、前記着磁部が設けられる前記回転側の金属部材を磁性材料で形成することが望ましい。 【0016】このようにすると、前記磁石の磁界の強さが増大して、前述の速度制御時の速度検出がしやすくなる。 【0017】前記磁性材料として、耐蝕性を有し、発錆を防止でき、特に、強度面からもフェライト系ステンレス鋼が望ましい。その中でも、加工性に優れ、かつ、大量生産されているSUS430が適切である。 【0018】さらに、前記回転側の金属部材に直接着磁して着磁部を形成することができる。このようにすると、前記磁石を省略することができ、装置のコンパクト化がはかれる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を添付の図1から図6に基づいて説明する。 【0020】図1に示す第1の実施形態の密封装置1は、内輪2が回転する型式の転がり軸受に適用された場合であり、その内輪2の端部外径面に嵌着された内輪側金属部材であるスリンガ5と、前記軸受の外輪3の端部内径面に嵌着された外輪側金属部材である芯金8と、その芯金8に、スリンガ5に摺接するシール部材12と、スリンガ5の外側面に同芯状態に加硫接着された着磁部としてのゴム磁石19とからなる。 【0021】スリンガ5は、円筒部6とその外端部に外輪3の方向にフランジ7が形成されており、芯金8は、外輪3の端部内径面に嵌着された円筒部9とその内端部即ち転動体4の側に内輪2の方向にフランジ11が形成されている。シール部材12を装着するために、芯金8の円筒部9の先端部10は、若干内側に屈曲されている。 【0022】シール部材12は、スリンガ5の円筒部6の外側面に摺接するラジアルリップ14、15と前記スリンガ5の内面に摺接するアキシャルリップ16とからなり、断面形状が山形をした突起18が前記アキシャルリップ16の反対側のL型の屈曲部17の先端に一体に形成されている。前記シール部材12は芯金8の円筒部9の先端部10及びフランジ11に装着され、前記突起18はフランジ11の外側面に位置し、図6(a)に模式的に示すように、その周方向に連続して環状に、前記軸受の内方即ち転動体4の方へ突き出して形成されている。 【0023】なお、突起18はシール部材12と一体に連続して環状に形成されるが、前記突起18に代えて、図6(b)に模式的に示すように、周方向に不連続的な突起18’を形成してもよく、また、この突起18’は最低3箇所に形成するだけでもよい。 【0024】スリンガ5のフランジ7の外側面に同芯状態に加硫接着されたゴム磁石19は、Ba(バリウム)フェライトなどの磁性粉体を、ゴムと混合して加硫成形し、周方向にN極S極が交互に形成され、多極に着磁したものである。 【0025】前記ゴム磁石19の磁界の強さを増大して、速度制御時の速度検出をしやすくするために、前記回転側に嵌着される金属部材であるスリンガ5の材質は、磁性材料で構成することが望ましい。前記磁性材料としては、耐蝕性を有し発錆を防止できることからフェライト系ステンレス鋼が、その中でも、加工性に優れ、かつ、大量生産されているSUS430が適切である。 【0026】密封装置1は、軸受への圧入工程において、図5に示すように、材料載置テーブル13に、芯金8が下側に、ゴム磁石19を加硫接着したスリンガ5が上側になるように積上げられる。この場合に、密封装置1の芯金8のフランジ11の外側面にはシール部材12と一体に形成された突起18が連続して環状に設けられているため、積上げられた状態において、ゴム磁石19と直上の密封装置1の芯金8とは突起18の先端部以外は、接触しない状態となる。これにより、スリンガ5の外側面から突起18が突き出る高さだけの空隙Sができる。 【0027】この空隙の存在により、ゴム磁石19の芯金8への吸引力が弱められるため、材料載置テーブル13に積上げられた密封装置1が相互に吸着することはなくなり、密封装置1が一枚ごとに自動圧入機のハンドリング装置で支障なくシュート内へ搬送され、軸受への自動圧入が円滑に行われる。 【0028】図2に示す第2の実施形態の密封装置1は、外輪3が回転する型式の軸受に適用された場合であり、外輪3の端部内径面に嵌着された外輪側金属部材であるスリンガ5と、内輪2の端部外径面に嵌着された内輪側金属部材である芯金8と、その芯金8に装着されてスリンガ5に摺接するシール部材12と、スリンガ5のフランジ7の外側面に同芯状態に加硫接着された着磁部としてのゴム磁石19とからなる。断面形状が山形の突起18は、前述と同様に、シール部材12と一体に形成され、前記フランジ11の外側面に位置し、その周方向に連続して環状に(図6(a)参照)、前記軸受の内方即ち転動体4の方へ突き出して形成されている。前記突起18に代えて、第1の実施形態の場合と同様に(図6(b)参照)、周方向に不連続的な突起18’を形成しもよく、また、この突起18’は最低3箇所に形成するだけでもよい。 【0029】この実施形態の場合も、図5に示したのと同様に、材料載置テーブル13に積上げられた密封装置1は、芯金8が下側に、ゴム磁石19を加硫接着したスリンガ5が上側になり、各密封装置間にはスリンガ5の外側面から突起18が突き出る高さだけの空隙Sができる。この空隙の存在により、前述の場合と同様に、密封装置1 が相互に吸着することはなく、密封装置1の軸受への自動圧入が円滑に行われる。 【0030】図3に示す第3の実施形態の密封装置1は、図1と同様に内輪が回転する型式の転がり軸受に適用された場合であり、内輪2の端部外径面に嵌着されたスリンガ5と、外輪3の端部内径面に嵌着された芯金8と、その芯金8に装着されてスリンガ5に摺接するシール部材12とからなり、磁性材料で構成されたスリンガ5のフランジ7に周方向に多極に直接着磁した着磁部20が設けられている。突起18は、前述と同様に、シール部材12と一体に形成され、前記フランジ11の外側面に位置し、その周方向に連続して環状に(図6(a)参照)、前記軸受の内方即ち転動体4の方へ突き出して形成されている。 【0031】図4に示す第4の実施形態の密封装置1は、図2と同様に、外輪が回転する型式の軸受に適用された場合であり、外輪の端部内径面に嵌着されたスリンガ5と内輪2の端部外径面に嵌着された芯金8とその芯金8に装着されてスリンガ5に摺接するシール部材12とからなり、磁性材料で構成されたスリンガ5のフランジ7に周方向に多極に直接着磁した着磁部20が設けられている。突起18は、前述と同様に、シール部材12と一体に形成され、前記フランジ11の外側面に位置し、その周方向に連続して環状に(図6(a)参照)、前記軸受の内方即ち転動体4の方へ突き出して形成されている。 【0032】以上述べた第3及び第4の実施形態の場合も、材料載置テーブル13に積上げられた状態において、突起18の高さにほぼ相当する空隙Sができるため、前述の場合と同様に密封装置1が相互に吸着することはなくなる。従って、前記の第1の実施形態と同様に、密封装置1の軸受への自動圧入が円滑に行われる。 【0033】また、前記の突起18、18’を形成する代わりに、前記固定側に嵌着される金属部材である芯金8を、非磁性材料で形成することができる。この非磁性材料としては、耐蝕性を有し発錆を防止できることからオーステナイト系ステンレス鋼が望ましく、その中でも、所要の強度を有し、大量生産されているSUS304が適切である。 【0034】このように構成すると、材料載置テーブル13に密封装置1が積上げられた際、前記の着磁部、即ちゴム磁石19又はスリンガ5に直接着磁した着磁部20と直上に重なった密封装置1の前記非磁性材料で形成された芯金8と接触しても、前記着磁部の吸引力は前記芯金8に作用しない。従って、密封装置1は相互に吸着することなく、一枚ごとに自動圧入機のハンドリング装置で支障なくシュート内へ搬送され、軸受への自動圧入が円滑に行われる。 【0035】 【発明の効果】以上のように、この発明によれば、自動車等の車両の速度制御に用いるパルス発生用リングの機能を有するゴム磁石等の着磁部を設けた密封装置において、軸受の内輪又は外輪のいずれか固定側に嵌着された金属部材又はこれに装着されたシール部材に、周方向に連続的に又は不連続的に突起を形成することにより、材料載置テーブルに積上げられた密封装置間に突起の高さにほぼ相当する空隙ができ、前記着磁部の直上に重なった密封装置への吸引力が弱まる。また、前記固定側に嵌着される金属部材を非磁性材料で形成することによっても同様の効果が得られる。 【0036】その結果、前記密封装置は、材料載置テーブルに重ねて積上げられても相互に吸着することなく、一枚ごとに自動圧入機のハンドリング装置で搬送され、円滑な軸受への自動圧入が可能となり、製造工程の自動化及び省力化が達成される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000102692 【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月17日(1999.11.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074206 【弁理士】 【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−141069(P2001−141069A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−327049 |
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