| 【発明の名称】 |
シール構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】東 吉夫
|
| 【要約】 |
【課題】摺動面に使用可能で、密封流体に圧力変動がある場合においても、接面漏れ、および透過漏れを防止できるシール構造を提供することを目的としている。
【解決手段】シール部材3と該シール部材3を環状溝12に収納してなるシール構成体4を、シール領域7に少なくとも2つ以上設け、さらに前記シール部材3は、弾性部材からなり摺動面に摺接する凸部31を設けたことにより、ハウジング外部6側にハウジング内部5の流体による圧力変動の影響を受けないシール部材3が存在するため、ハウジング内部5の流体を確実に密封できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハウジングの挿通孔に摺動可能な軸部材が挿通され、ハウジング内部とハウジング外部とを挿通孔内周壁と軸部材外周面間のシール領域にて密封するシール構造において、シール部材と該シール部材を収納する環状溝とからなるシール構成体を、前記シール領域内の挿通孔内周壁または軸部材外周面のいずれか一方に少なくとも2つ以上設け、さらに前記シール部材は、弾性部材からなり、摺動面に摺接する凸部を設けたことを特徴とするシール構造。 【請求項2】 前記シール部材の断面形状が略X字形であることを特徴とする請求項1記載のシール構造。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は軸シールに関するものであり、特に摺動部分に使用でき、密封流体が圧力変動する場合に好適なシール構造に関する。 【0002】 【従来の技術】ハウジングの挿通孔に、回転、あるいは往復運動する軸部材が挿通され、ハウジング内部の流体が圧力変動を生じる装置、たとえばビスカスカップリング等では、ハウジング内部の流体量が変化することで、その特性が変化するため、ハウジング内部の流体を漏らすことのないように、流体量の変化による圧力変動に耐えるシール構造が必要となる。従来では、ハウジング内部の流体漏れを防止するために、図2に示すシール領域7の挿通孔内周壁11に環状溝12を一つ形成し、その内部にOリング等のシール部材3を収納してなるシール構成体4を形成し、ハウジング内部5の流体を密封していた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】図2に示すような従来のシール構造では、シール領域7にシール構成体4を1つ形成し、ハウジング内部5の流体を密封しているが、軸部材2が回転あるいは往復運動等、摺動する場合においては、シール部材3が摺接する軸部材外周面21、つまり摺動面におけるシール性が不安定になることに加え、ハウジング内部5の流体が圧力変動を生じるので、シール部材3が変動する圧力により予期せぬ変形を受け、シール部材3の密封効果が計算通りに発揮できない場合があり、少なからず摺動面から流体が漏れる接面漏れが発生する場合があった。 【0004】また、シール部材3の材料がゴムや樹脂の弾性部材であって、流体に気体が含まれる場合には、前記接面漏れを防止できたとしても、気体がシール部材3の内部を透過することによる透過漏れが発生する場合があった。 【0005】一般に前記透過漏れに対しては、金属材料からなる金属シールが用いられるが、摺動面をシールする場合、摺動抵抗が大きいこと等から、金属製のシールを用いるのは不適であり、金属シールは専ら、シール領域7が固定面の場合にのみ用いられていた。 【0006】したがって、ゴムや樹脂からなるOリング等の場合には、接面漏れ、および透過漏れが発生する恐れがあり、金属シールの場合には、透過漏れはないが、摺動面へのシールに用いることができないという問題点があった。 【0007】本発明は、これらの問題を解決するものであり、摺動面に使用可能で、密封流体に圧力変動がある場合であっても、接面漏れ、さらには透過漏れをも効果的に防止できるシール構造を提供することを目的としている。 【0008】 【課題を解決する手段】即ち、この発明は、上記課題を解決するために、ハウジングの挿通孔に摺動可能な軸部材が挿通され、ハウジング内部とハウジング外部とを挿通孔内周壁と軸部材外周面間のシール領域にて密封するシール構造において、シール部材と該シール部材を収納する環状溝とからなるシール構成体を、前記シール領域内の挿通孔内周壁または軸部材外周面のいずれか一方に少なくとも2つ以上設け、さらに前記シール部材は、弾性部材からなり、摺動面に摺接する凸部を設けたことを特徴としている。 【0009】また、前記シール部材の断面形状が略X字形であることを特徴としている。 【0010】 【作用】本発明によるシール構造では、シール構成体をシール領域に少なくとも2つ以上設けるため、シールが2重構造となることに加え、ハウジング内部側のシール部材が圧力変動などの影響を受けて変形し、シール効果が減少した場合でも、ハウジング外部側にハウジング内部の流体による圧力の影響を受けないシール部材が存在するため、ハウジング内部の流体を確実に密封できる。 【0011】また、摺動面に摺接する凸部を設けたシール部材、たとえば断面形状がX字形のシール部材を用いることにより、摺動面に当接するシール部材の接触面積が小さくなるため、シール部材の数が複数となっても、摺動抵抗を小さくできる。 【0012】さらに、ハウジング内部側のシール部材が損傷し、シール機能が失われた場合でも、ハウジング外部側のシール部材でシールできるため、シール自体の信頼性が向上する。 【0013】また、摺動面に複数のシール部材が当接するため、軸部材に対するハウジングの姿勢および摺動時の挙動が安定する。 【0014】 【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1(a)は、本発明の実施例における断面図であり、図1(b)は、本発明のシール領域の拡大図である。 【0015】図1に示したシール構造において、1はハウジングであり、ハウジング内部5には圧力変動を有する流体(シリコン油+空気等)が封入されている。また、ハウジング1の中心部には、軸部材2の外径よりもわずかに大きい挿通孔13が開口されており、該挿通孔13に軸部材2が挿通されている。該軸部材2は、その用途によって、回転または往復運動を行う。 【0016】ハウジング1の端面に設けられた挿通孔13の内周壁と軸部材2の外周面間で形成されるシール領域7において、図1の実施例では挿通孔内周壁11側に環状溝12が設けられ、その内部にシール部材3が収納されている。シール部材3は、金属以外のゴムあるいは樹脂の弾性部材からなり、シール部材3が摺動面である軸部材外周面21に摺接することにより、ハウジング内部5の流体が挿通孔内周壁11と軸部材外周面21との隙間からハウジング外部6へ漏れるのを防止している。 【0017】図1(b)に示したシール部材3は、その断面がX字形をしており、凸部31が軸部材外周面21に摺接するようになっている。したがって、軸部材2が回転、または往復運動を行っても、軸部材2との接触面積が小さいため、摩擦抵抗が小さく、滑らかに摺動させることが可能である。 【0018】また、シール部材3に凸部31を設けることで、軸部材外周面21に接触する接触面積が小さくなることにより、シール面圧が高く保つことができ、凸部を設けない場合よりもシール性が向上し、接面漏れを有効に防止できる。 【0019】さらに、シール構成体4を挿通孔内周壁11側または軸部材外周面21側いずれか一方に複数設けることにより、シール構成体4,4間には、ハウジング1を形成する部材が介在することとなる。ここでハウジング形成部材が金属の場合には、ハウジング内部5側のシール部材3に密封流体の空気が浸透して、ハウジング内部5側のシール部材を通過したとしても、シール構成体4,4間の部材がバリヤーとなり、空気が直接ハウジング外部6側のシール部材3に到達して通過するのを阻止できる。よって、シール部材3が弾性部材であっても、シール構成体4を挿通孔内周壁11側または軸部材外周面21側いずれか一方に複数設けることは、1個の環状溝に2個のシール部材を収納する構成に比べて、透過漏れの防止に有効である。 【0020】図1の実施例では、シール部材3と環状溝12からなるシール構成体4が、各シール領域7に2個ずつ設けられているが、スペースの許す限り複数個設けてもよい。複数設けることにより、軸部材2に対するハウジング1の挙動は安定するが、摺動抵抗が多少大きくなる恐れがあるため、設けるシール構成体4は、シール領域につき2個とする方が好ましい。 【0021】図1の実施例のように、シール構成体4をシール領域7につき2個設ける構成により、ハウジング内部5の流体の圧力が変動し、ハウジング内部5側のシール部材3が圧力変動の影響を受けても、ハウジング外部側6のシール部材3は、圧力変動の影響を受けない。したがって、ハウジング内部5側のシール部材3から流体漏れが発生しても、圧力変動の影響を受けないハウジング外部側6のシール部材3により、確実に流体を密封できる。 【0022】実際、シール部材3をXリングとし、シール領域7の挿通孔内周壁11側に、シール構成体4を1個設ける場合と、2個設けた場合において、ガス(He)漏れ量を調査した結果、流体漏れが発生する時間及び平衡状態による漏れ量は、Xリングを1個設けた場合、5〜10(分)、3.5X10−7(Pa・m3/s)であるのに対して、Xリングを2個設けた場合には、100〜150(分)、4.7X10−8(Pa・m3/s)となった。よって、Xリングを1個設けた場合に比べて、2個設けた場合には、流体が漏れるまでの時間が約10倍に長くなり、平衡状態に達した場合の流体の漏れ量は、約1/10に少なくなることが判明した。 【0023】以上本発明の一実施例につき説明したが、これに限定されず種々変更可能である。例えば、実施例では環状溝12を挿通孔内周壁11に設けた例を示しているが、シール領域7の軸部材外周面21に設けてもよい。この場合、摺動面は、図1に示した軸部材外周面21に対面する挿通孔内周壁11に存在することになる。 【0024】また、シール部材3は、その断面形状がX字形である必要はなく、摺動面に摺接する凸部がシール部材3に設けている形状、例えば、断面形状がY字形であってもよく、摺動面に線接触状に接触する尖り状のシール部材であってもよい。 【0025】 【発明の効果】以上説明した通りの本発明のシール構造によれば、密封する流体によって圧力変動が生じても確実に密封でき、流体漏れが発生する時間が約10倍に長くなり、また平衡状態における流体の漏れ量が約1/10となるため、本発明のシール構造を有する機器の耐久性が向上する。 【0026】また、摺動面に摺接する凸部を設けたシール部材を用いていることから、摺動抵抗を大きくせずに密封効果を向上させることができ、本発明のシール構造を有する機器の性能が向上する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003263 【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年11月10日(1999.11.10) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2001−141068(P2001−141068A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−318979 |
|