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【発明の名称】 シリンダヘッドガスケット
【発明者】 【氏名】秋田 宏明

【氏名】姫崎 仁

【要約】 【課題】デッドボリュームを完全に除去でき、しかもシリンダーライナーの上部に突起部を加工する必要もないシリンダヘッドガスケットを提供する。

【解決手段】金属製芯板9aに装着された金属製ボアグロメット3の内周側にファイヤーリング7を装着する。ファイヤーリング7は、金属板7aの両面に、石綿以外の圧縮性無機繊維、圧縮性有機繊維、無機充填剤およびゴムを含有するコンパウンドの層7cをコーテイングしてなる。金属板7aの板厚t7aはボアグロメット3部の締付時板厚より薄くする一方、締め付け前のファイヤーリングの総板厚t7はボアグロメット3部の締付時板厚より厚くする。締め付けられたとき、コンパウンドの層7cが圧縮され、ファイヤーリング7の両面がシリンダヘッドの下面とシリンダライナーの上面に密着し、デッドボリュームを完全に除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属からなる芯板と、この芯板に設けられたシリンダ孔と、このシリンダ孔の周縁部に装着された金属からなるボアグロメットと、このボアグロメットの内周側に装着されたファイヤーリングとを有してなり、前記ファイヤーリングは、金属板と、この金属板の両面にコーティングされた、石綿以外の圧縮性無機繊維、圧縮性有機繊維、無機充填剤およびゴムを含有するコンパウンドの層とを有してなり、前記ファイヤーリングの前記金属板の板厚は、前記ボアグロメット部の締付時板厚より薄くされている一方、締め付け前の前記ファイヤーリングの総板厚は、前記ボアグロメット部の締付時板厚より厚くされているシリンダヘッドガスケット。
【請求項2】 締め付け前の前記ファイヤーリングの総板厚は、前記ボアグロメット部の締付時板厚より4〜12%厚くされている請求項1記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項3】 前記コンパウンドの層の表面にグラファイトを主成分とする層をコーティングしてなる請求項1または2記載のシリンダヘッドガスケット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に装着されるシリンダヘッドガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】図1は、従来の大型ディーゼルエンジンにおけるシリンダの構造の一例を示しており、シリンダライナー1の本体部1aに作用する荷重を低減するために、シリンダヘッドガスケット2のボアグロメット3の内周をライナー1の内周より外側に位置させることにより、シリンダヘッドガスケット2のガスシール部をライナー1の上端部外周側に設けられたブロック保持部1b側にずらせて、ボア変形低減を図っている。また、ライナー1の上面とシリンダヘッド4の下面とボアグロメット3の内周と間に、未燃焼ガスが溜まる所謂デッドボリュームAが大きく生じないようにするため、ライナー1の上端部に突起部(火炎防止帯)1cを設けている。なお、符号6はシリンダブロックを示している。
【0003】図2は、従来の大型ディーゼルエンジンにおけるシリンダの構造の他の例を示しており、デッドボリュームAを少なくするために、ライナー1の上端部に突起部1cは設けないで、シリンダヘッドガスケット2のボアグロメット3部の内周をライナー1の内周に近接させている。
【0004】図3は、従来の大型ディーゼルエンジンにおけるシリンダの構造のさらに他の例を示しており、デッドボリュームAを少なくするために、ライナー1の上端部に突起部1cは設けないで、金属板のみからなるファイヤーリング7をシリンダヘッドガスケット2のボアグロメット3の内周側に設けたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図1の従来のシリンダ構造においては、(イ)ライナー1に突起部1cを加工することが必要であり、しかもこの加工は、シリンダヘッドガスケット2締め付け時、該突起部1cがシリンダヘッド4に接しないようにし、かつヘッド6との間隔が大きくならないようにする必要があるために、高い加工精度を要するので、ライナー1の加工費が高くなる、(ロ)上記加工を実施しても、デッドボリュームAを完全に除去することはできず、このデッドボリュームAに未燃焼ガスが溜まり、排ガス中のHC濃度を高める、等の問題があった。
【0006】また、図2の従来のシリンダ構造においては、ライナー1に突起部1cを加工する必要がないので、ライナー1の加工費は低減できるが、(ハ)図1の場合よりは少なくなるものの、やはりデッドボリュームAを完全に除去することはできない、(ニ)ライナー1の本体部1aとブロック保持部1bとの交角部付近等に亀裂8が発生しやすい、(ホ)一点鎖線1’で示すようにシリンダボア変形を発生しやすく、これにより油消費の増大およびピストンの焼き付きを招きやすい、等の問題があった。
【0007】さらに、図3の従来のシリンダ構造は、ライナー1に突起部1cを加工する必要がないので、ライナー1の加工費は低減できる。また、ボアグロメット3の内周をライナー1の内周より外側に位置させているので、適正な組立状態では、シリンダボア変形およびライナー1の亀裂発生等は防止できる。しかし、(ヘ)ファイヤーリング7が金属のみからなるため、シリンダヘッド4およびシリンダライナー1とファイヤーリング7との間にクリアランスが必要なため、これらのクリアランスがデッドボリュームAとなる、(ト)万一ファイヤーリング7にシリンダヘッド4およびシリンダライナー1が接触すると、ガス漏れ、ボア変形の増大、およびライナー1の亀裂を発生する、等の問題があった。
【0008】本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたもので、本発明の1つの目的は、デッドボリュームを完全に除去することができ、これにより排ガス中のHC濃度を低減するとともに燃費向上することができ、しかもシリンダーライナーの上部に突起部を加工する必要もないシリンダヘッドガスケットを提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、ファイヤーリング部分がシリンダヘッドおよびライナー部へ粘着することのないリンダヘッドガスケットを提供することにある。
【0010】本発明のさらに他の目的は、以下の説明から明らかになろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によるシリンダヘッドガスケットは、金属からなる芯板と、この芯板に設けられたシリンダ孔と、このシリンダ孔の周縁部に装着された金属からなるボアグロメットと、このボアグロメットの内周側に装着されたファイヤーリングとを有してなり、前記ファイヤーリングは、金属板と、この金属板の両面にコーティングされた、石綿以外の圧縮性無機繊維、圧縮性有機繊維、無機充填剤およびゴムを含有するコンパウンドの層とを有してなり、前記ファイヤーリングの前記金属板の板厚は、前記ボアグロメット部の締付時板厚より薄くされている一方、締め付け前の前記ファイヤーリングの総板厚は、前記ボアグロメット部の締付時板厚より厚くされているものである。
【0012】本発明によれば、締め付け前のファイヤーリングの総板厚は、ボアグロメット部の締付時板厚より厚くされているので、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に介装されて締め付けられたとき、ファイヤーリングのコンパウンドの層はシリンダヘッドとシリンダライナーとの間で圧縮され、ファイヤーリングの両面はシリンダヘッドの下面とシリンダライナーの上面にそれぞれ密着する。したがって、デッドボリュームを完全に除去することができる。
【0013】また、前記コンパウンドの層は圧縮性有機繊維、圧縮性無機繊維およびゴムを含有するので、高圧縮性であるため、シリンダヘッド下面およびライナー上面に対するファイヤーリングのなじみ性が良好であり、この点からもデッドボリュームを完全に除去できる。
【0014】また、シリンダ・ヘッドの下面およびシリンダライナーの上面がファイヤーリングの両面に接触するが、締め付け前のファイヤーリングの総板厚がボアグロメット部の締付時板厚より過大に厚くされていない限り、前述のように前記コンパウンドの層は高圧縮性であるため、負荷応力が少なく、ガスシール性の低下、シリンダボア変形の増大およびライナー部への亀裂発生を招くことはない。
【0015】また、前述のように前記コンパウンドの層は高圧縮性であるため、ボアグロメット部の締付時板厚がばらついても、ファイヤーリング部の負荷面圧のばらつきは少ない。
【0016】また、一般に、シリンダヘッド下面およびライナー上面温度は200℃程度となる。しかるに、前記コンパウンドは圧縮性有機繊維、圧縮性無機繊維、無機充填材およびゴムを含有するため、耐熱性を400℃程度とすることができるので、十分な耐熱性を有する。
【0017】なお、締め付け前の前記ファイヤーリングの総板厚は、前記ボアグロメット部の締付時板厚より4〜12%厚くすることが好ましく、特に5〜9%厚くすることが好ましい。ファイヤーリングの総板厚がボアグロメット部の締付時板厚より小さすぎる場合には、ファイヤーリングの面圧が過小となるとともにコンパウンド層のヘタリが大きくなり、ファイヤーリングとシリンダヘッドおよびシリンダライナーとの間にガスが侵入し易くなる。他方、ファイヤーリングの総板厚がボアグロメット部の締付時板厚より大きすぎる場合には、全体としてファイヤーリングの圧縮量が過大になる結果、ファイヤーリングの面圧が過大となる虞がある。
【0018】また、前記コンパウンドの層の表面にグラファイトを主成分とする層をコーティングすれば、シリンダヘッド下面およびシリンダライナー上面に対するファイヤーリングの上下面の粘着を防止することができ、運転時に、ヘッド下面、ライナー上面の動きに対して前記コンパウンド層を含むファイヤーリングがもまれて劣化することもない。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明のシリンダヘッドガスケットにおけるファイヤーリングの金属板としては、例えば、SUS等のステンレス鋼板、SPCC等の鋼板等が好適である。
【0020】また、本発明のシリンダヘッドガスケットにおけるファイヤーリングのコンパウンドを構成する圧縮性無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、岩綿、鉱滓綿、溶融石英繊維、化学処理高シリカ繊維、溶融硅酸アルミナ繊維、アルミナ連続繊維、安定化ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、チタン酸アルカリ繊維、ウィスカー、ボロン繊維等が使用できる。
【0021】また、前記コンパウンドを構成する圧縮性有機繊維としては、例えば、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ尿素系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリフルオロカーボン系繊維、フェノール繊維、セルロース系繊維等を使用できる。
【0022】前記圧縮性無機繊維および有機繊維は、コンパウンド中に30〜80重量%程度配合されるのが好ましい。
【0023】なお、石綿以外の圧縮性無機繊維は柔軟性に乏しいため、コンパウンドを構成する繊維として石綿以外の無機繊維のみを用いると、シリンダヘッドおよびライナーに対するファイヤーリングのなじみ性が低下してしまう。他方、有機繊維は耐熱性が悪いため、コンパウンドを構成する繊維として有機繊維のみを用いるとすると、ファイヤーリングの耐熱性が悪化してしまう。また、充填材も、有機充填材を用いると耐熱性が低下してしまう。したがって、圧縮性無機繊維と圧縮性有機繊維との両方および無機充填材を用いれば、前記なじみ性および耐熱性の両方を満足させることができる。
【0024】前記コンパウンドを構成するエラストマーとしては、例えばニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フッ素ゴム(FPM)、シリコーンゴム(Si)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、エチレン酢ビゴム(EVA)、塩化ポリエチレン(CPE)、塩化ブチルゴム(CIR)、エビクロルヒドリンゴム(ECO)、ニトリルイソプレンゴム(NIR)等のゴム材を用いることができる。また、ゴムの代りに他の種のエラストマーを用いることもできる。
【0025】また、前記コンパウンドを構成する無機充填材としては、例えばクレー、タルク、硫酸バリウム、重炭酸ナトリウム、グラファイト、硫酸鉛、トリポリ石、ウォラストナイト等を用いることができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0027】図4〜6は、本発明によるシリンダヘッドガスケット2の一実施例、図7はこの実施例をシリンダヘッド4とシリンダブロック6との間に介装して締め付けた状態を示している。本実施例のシリンダヘッドガスケット2は、ガスケット本体9と、ボアグロメット3と、ファイヤーリング7とを有してなる。前記ガスケット本体9は、SUSまたはSPCC等の金属板からなる芯板9aと、この芯板9aの両面に積層された表面板9bとからなる。前記表面板9bは、それぞれ金属板9cの両面に、石綿以外の圧縮性無機繊維、圧縮性有機繊維、無機充填剤およびゴムを含有する薄いコンパウンドの層9dを被覆してなる。
【0028】前記ガスケット本体9には、シリンダ孔11と、冷却水を通過させるための水孔12と、潤滑油を通過させるための油孔13と、ボルト孔14とが明けられている。前記ガスケット本体9のうちの、シリンダ孔11の周辺部分には、表面板層9bは設けられておらず、SUS等のステンレス鋼等からなる金属製のボアグロメット3が、該周辺部分の両面を挾むようにして装着されている。
【0029】前記ファイヤーリング7は、SUS等のステンレス鋼板、SPCC等の鋼板等からなる環状の金属板7aの両面に耐熱性接着剤7bを塗布した上、下記の組成を有するコンパウンドの層7cを金属板7aの両面にコーティングし、さらに該コンパウンドの層7cの表面にグラファイトを主成分とする層(以下、グラファイト層という)7dをコーティングした後、140℃〜160℃の温度で30〜40分熱処理を施してなる。
〔コンパウンドの組成〕
ガラス繊維 …30重量% フィブリル化した芳香族ポリアミド繊維 (商品名ケブラーパルプ、デュポン社製) …10重量% ニトリルゴム(NBR) …16重量% ゴム薬品 … 4重量% 無機充填材 …40重量%なお、上記コンパウンドの組成において、ガラス繊維は無機繊維の一種、フィブリル化した芳香族ポリアミド繊維は有機繊維の一種である。
【0030】前記コンパウンドの組成中のゴム薬品としては、例えば硫黄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、過酸化物、ジニトロリベンゼン等の加硫剤、およびチアゾール系化合物、ポリアミン系化合物、スルフェンアミド系化合物、ジチオカルバメート系化合物、アルデヒドアミン系化合物、グアニジン系化合物、チオ尿素系化合物、キサンテート系化合物等の加硫促進剤を用いることができる。
【0031】また、前記グラファイト層7dをコーティングした後の熱処理は、前記コンパウンド中のゴム、ゴム薬品、およびグラファイト層7dに混入されている合成樹脂(この合成樹脂は、グラファイト単独ではコンパウンド層にコーテイングすることが不可能なので、グラファイト層7dに混入されている)等を反応させて架橋させるために行われるものである。
【0032】本実施例のシリンダヘッドガスケット2の締め付け前の各部の厚さは次の通りである。
【0033】
芯板9aの板厚t9a …0.9mm 表面板9bの厚さt9b …0.45mm 表面板9cの厚さt9c …0.45mm ボアグロメット3の板厚t3 …0.45mm 金属板7aの板厚t7a …1.4mm コンパウンドの層7cと接着剤7bの層 とグラファイト層7dの厚さの和t7bcd …0.215mm グラファイト層7dの厚さt7d …2〜3μ ファイヤーリング7の総板厚t7 …1.83mmまた、ボアグロメット3部の締付時板厚tB(図7参照)は1.7±0.04mmと規定されている。したがって、ファイヤーリング7の金属板7aの板厚t7aは、ボアグロメット3部の締付時板厚tBより薄くされている一方、締め付け前のファイヤーリング7の総板厚t7はボアグロメット3部の締付時板厚tBより7.6パーセント厚くされている。
【0034】なお、本発明における各部の厚さは、前記実施例の具体的数値に限られないことは言うまでもない。
【0035】図5に示されるように、前記ファイヤーリング7の外周面15は凹面状とされており、この外周面15が凸面状とされたボアグロメット3の内周面に嵌合されることより、ファイヤーリング7はガスケット本体9に装着されている。図4に示されるように、前記金属板7aの内周のうちの、シリンダヘッド4のバルブ取付部16に対応する部分は、上方から見て円弧状にへこまされて凹部17とされている。
【0036】このシリンダヘッドガスケット2においては、締め付け前のファイヤーリング7の総板厚t7は、ボアグロメット3部の締付時板厚tBより厚くされているので、図7のようにシリンダヘッド4とシリンダブロック6との間に介装されて締め付けられたとき、ファイヤーリング7のコンパウンドの層7cはシリンダヘッド4とシリンダライナー1との間で圧縮され、ファイヤーリング7の両面はシリンダヘッド4の下面とシリンダライナー1の上面にそれぞれ密着する。したがって、デッドボリュームを完全に除去できる。
【0037】なお、コンパウンド7cの層は圧縮性有機繊維、圧縮性無機繊維およびゴムを含有するので、高圧縮性であるため、シリンダヘッド4の下面およびライナー1の上面に対するファイヤーリング7へのなじみ性が良好であり、この点からもデッドボリュームを完全に除去できる。
【0038】また、シリンダヘッド4の下面およびシリンダライナー1の上面がファイヤーリング7の両面に接触するが、前述のようにコンパウンドの層7cは高圧縮性であるため、過大面圧とならない。さらに詳しく言うと、通常、ボアグロメット3部の締付時板厚tBはエンジンの出力確保面より±0.04mm程度に規制されるが、このような規制下でも、後で説明する表1に示されるように、ファイヤーリング7部面圧は100〜350Kgf/cm2程度となり、過大面圧とならない。したがって、ガスシール性の低下、シリンダボア変形の増大およびライナー1の亀裂を招くことはない。
【0039】また、前述のようにコンパウンドの層7cは高圧縮性であるため、ボアグロメット3部の締付時板厚tBがばらついても、ファイヤーリング7部の負荷面圧のばらつきは少ない。
【0040】図8は、参考までに本実施例のファイヤーリング7と図3の従来例の金属板のみからなるファイヤーリング7(材質SPCC、板厚1.75mm)の圧縮特性を比較したものである。この図において、曲線Bは本実施例のファイヤーリング7の圧縮荷重と圧縮歪みとの関係、曲線Cは図3の従来例の金属板のみからなるファイヤーリング7のそれを示している。
【0041】表1は、本実施例のファイヤーリング7部と図3の従来のファイヤーリング7部の面圧を、ボアグロメット3部の締付時の板厚tBがそれぞれ1.66mm,1.70mm,1.74mmである場合について、図8より算出して示したものである。
【0042】
【表1】

また、一般に、シリンダヘッド4の下面およびライナー1の上面の温度は200℃程度となる。しかるに、コンパウンドの層7cは圧縮性有機繊維、圧縮性無機繊維、無機充填材およびゴムを含有するため、耐熱性を400℃程度とすることができるので、十分な耐熱性を有する。
【0043】また、本実施例では、コンパウンドの層7cの表面にグラファイト層7dが形成されているので、シリンダヘッド4の下面およびシリンダライナー1の上面に対するファイヤーリング7の上下面の粘着を防止し、運転時に、ヘッド4の下面およびライナーの1上面の動きにより、コンパウンド層7cを含むファイヤーリング7がもまれて劣化することもない。
【0044】
【発明の効果】以上のように本発明は、(イ)デッドボリュームを完全に除去することができ、これにより排ガス中のHC濃度を低減するとともに燃費向上することができる、(ロ)シリンダーライナーの上部に突起部を加工する必要がなくなる、(ハ)ガスシール性の低下、シリンダボア変形の増大およびライナー部亀裂を招くことがない、(ニ)ボアグロメット部の締付時板厚がばらついても、ファイヤーリング部の負荷面圧のばらつきが少ない、(ホ)十分な耐熱性が得られる、等の優れた効果を得られるものである。
【出願人】 【識別番号】390033754
【氏名又は名称】ユーサンガスケット株式会社
【出願日】 平成11年11月17日(1999.11.17)
【代理人】 【識別番号】100076266
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 泉
【公開番号】 特開2001−141063(P2001−141063A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−326628