| 【発明の名称】 |
気密容器の気密機構 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 真一
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| 【要約】 |
【課題】真空ポンプ等を駆動することなく、気密室の開口部を開閉する扉と開口部の周縁面との間をシールするパッキンを、その一部が当接する対向面から引き離すことのできる気密容器の気密機構を提供する。
【解決手段】滅菌室52の扉の内面に形成された凹溝58に挿入されたパッキン60を引き離す引離手段には、真空ポンプ30を駆動することなくパッキン60を吸引する吸引源として、押出手段と引離手段とを切り替える切替手段としての三方モータ弁42と真空ポンプ30とを連結する配管32の途中に、滅菌室52を真空状態とするときに駆動された真空ポンプ30によって真空状態とされる真空タンク24が設けられ、且つ真空ポンプ30が停止しても真空タンク24の真空状態を保持する逆止弁22が設けられている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扉によって開閉される開口部が形成された気密室を真空状態とする真空ポンプ等の真空発生機構と、前記開口部の周縁面又は前記開口部の周縁面に対応する扉の内面に形成された凹溝に挿入されたパッキンと、前記扉で閉じられた前記開口部の周縁面と扉との間をシールして前記気密室を気密状態とする際に、前記凹溝が形成された凹溝形成面の対向面に、前記パッキンの一部が当接するように、前記パッキンの一部又は全体を前記対向面の方向に押し出す押出手段と、前記開口部の周縁面と扉との間に間隙を形成して前記扉を開ける際に、前記対向面に当接しているパッキンの一部を前記対向面から引き離すように、前記凹溝内にパッキンの一部又は全体を収納する引離手段と、前記押出手段と引離手段とを切り換え、前記パッキンの一部を前記対向面に接離動させる切替手段とを具備する気密容器の気密手段であって、該引離手段には、前記対向面に当接しているパッキンの一部を前記対向面から引き離す際に、前記パッキンの一部又は全部を前記凹溝内に収容し得るように、前記真空発生機構を駆動することなく前記パッキンを凹溝方向に吸引する吸引源として、前記真空発生機構と切替手段とを連結する配管の途中に、前記気密室を真空状態とするときに駆動された前記真空発生機構によって真空状態とされる真空タンクが設けられ、且つ前記気密室を真空状態にして真空発生機構を停止してから前記パッキンを凹溝方向に吸引するに至るまで前記真空タンクの真空状態を保持する保持手段とが設けられていることを特徴とする気密容器の気密機構。 【請求項2】 パッキンの少なくとも一部が凹溝に摺動自在に挿入され、前記パッキンを対向面の方向に押し出す流体を給排すると共に、前記パッキンを凹溝の方向に吸引する流体通孔が前記凹溝の底面に開口されている請求項1記載の気密容器の気密機構。 【請求項3】 パッキンとしてのチューブ状パッキンが凹溝に挿入され、前記チューブ状パッキンの一部が対向面に当接するように、前記チューブ状パッキンを膨出する流体を供給すると共に、前記チューブ状パッキンを凹溝内に収容するように、前記チューブ状パッキンから流体を吸引する流体通孔が設けられ、且つ前記チューブ状パッキンから流体を吸引する吸引源として、真空発生機構と切替手段とを連結する配管の途中に、前記気密室を真空状態とするときに駆動された前記真空発生機構によって真空状態とされる真空タンクが設けられている請求項1記載の気密容器の気密機構。 【請求項4】 扉を開ける際に、真空タンク内の真空度が所定値に到達していないとき、真空発生機構を起動する制御手段が設けられている請求項1〜3のいずれか一項記載の気密容器の気密機構。 【請求項5】 停電等によって真空発生機構等が作動しないとき、対向面に当接しているパッキンの一部を前記対向面から引き離す緊急引離手段が設けられている請求項1〜4のいずれか一項記載の気密容器の気密機構。 【請求項6】 気密室の開口部の周縁面と扉との間に間隙を形成して前記扉を開ける際に、真空タンクの真空度が対向面に当接しているパッキンの一部を前記対向面から引き離し得る値に到達したとき、ランプ等の表示手段を作動させる制御手段が設けられている請求項1〜5のいずれか一項記載の気密容器の気密機構。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は気密容器の気密機構に関し、更に詳細にはパッキンの一部が扉の内面等の対向面に接離動する気密容器の気密機構に関する。 【0002】 【従来の技術】扉によって開口部が密閉されて内部が気密状態となる気密容器として、病院等でリネンや手術器機等の医療機材の滅菌に使用される高圧滅菌器がある。かかる高圧滅菌器の一例を図6に示す。図6に示す高圧滅菌器10には、気密室としての滅菌室52が設けられている筐体12に、扉54が開閉自在にヒンジ14、14によって取り付けられている。この扉54により開口部56を閉じることによって、滅菌室52を気密とすることができる。尚、筐体12の正面には、滅菌室52内の温度、湿度、圧力、時間等を設定するための操作パネル16が設けられている。 【0003】かかる高圧滅菌器10においては、開口部56の周縁に沿ってゴム製のパッキン60が設けられている。このパッキン60は、図7に示す様に、横断面形状が略台形であって、開口部56の周縁に沿って形成された凹溝58に、矢印Aの示す方向に摺動可能に挿入されているフローティングパッキンである。かかるパッキン60が挿入されている凹溝58の底面には、圧縮空気を供給・排出する流体通孔62が設けられており、パッキン60の先端面は、扉54に開口部56が閉じられた際に、扉54の内面54aと対向する。この際に、流体通孔62を介して凹溝58の底面側に、流体として圧縮空気を供給すると、凹溝58に摺動可能に挿入されているパッキン60は、扉54の方向に押し出され、その先端面が扉54の内面54aに当接し、扉54の内面54aと開口部56の周縁との間をシールして滅菌室52を気密状態とすることができる。 【0004】他方、滅菌等が完了した後、常圧に戻された滅菌室52に収容されている滅菌対象物を蓋54を開いて取り出す際には、流体通孔62から圧縮空気を排出してパッキン60の底面と凹溝58の底面との間を減圧状態とし、パッキン60を凹溝58に引き込む。このため、パッキン60の先端面と蓋54の内面54aとの間に間隙が形成され、扉54をスムーズに開けることができる。特に、最近、上下方向又は左右方向に扉がスライドして滅菌室52の開口部56を開閉する滅菌器が使用されてきている。かかる高圧滅菌器10では、パッキン60の先端面と扉の内面との間に間隙が形成されて初めて扉をスライドすることが可能となる。 【0005】図6及び図7に示すパッキン60の押し出し又は引き込みは、図8に示す気密機構が用いられている。図8に示す気密機構は、流体としての圧縮空気(圧空)を供給する供給配管20と、真空発生機構としての電動式真空ポンプ30によって吸引される吸引配管32と、滅菌器10に形成された凹溝58の底面に開口する流体通孔62に連結された配管40とが、自動弁である電動モータで回動される三方モータ弁42を介して連結されている。この電動式真空ポンプ30は、吸引配管32を分岐する配管34及び三方モータ弁36を介して高圧滅菌器10の滅菌室52に連結され、滅菌室52を真空状態とする際にも使用される。更に、滅菌室52には、三方モータ弁38を介して蒸気又は清浄な空気が供給され、供給された蒸気は三方モータ弁36を介して滅菌室52から大気中に放出される。尚、三方モータ弁36,38,42は、弁体をモータによって回動するものであって、三方からの繋ぎ込み口の中間で弁体を停止でき、滅菌室52や凹溝58を蒸気供給配管等から切り離すことができる。 【0006】かかる図8に示す高圧滅菌器10を用いて滅菌を行う際には、図9に示すコンディショニング(真空)工程、滅菌工程、排気工程、乾燥工程、及び完了工程の各々を順次通過させる。図9において、横軸は経過時間を示し、縦軸は滅菌室52の内圧を示す。先ず、カートに載置した状態で挿入・密閉された被滅菌物が収納された滅菌室52の扉54を閉じ、三方モータ弁42を経由して圧空を凹溝58に導入し、パッキン60の先端面を扉54の内面54aに当接させることによって、滅菌室52を気密状態とした後、コンディショニング(真空)工程に入る。このコンディショニング(真空)工程では、滅菌室52のジャケット部(図示せず)に蒸気を導入して加熱した滅菌室52内に、カートに載置した状態で挿入・密閉した被滅菌物の各々を加温すべく、真空ポンプ30を駆動して滅菌室52内を真空状態とした後、三方モータ弁38を経由して蒸気を滅菌室52内に供給し、滅菌室52の圧力を上昇させて被滅菌物を加温する。更に、滅菌室52を真空状態とした後、蒸気を供給する操作を複数回繰り返し、被滅菌物を充分に加温する。このコンディショニング(真空)工程は、次の滅菌工程において、加温することなく低温状態の被滅菌物が収納された滅菌室52に蒸気を吹き込んだ際に、被滅菌物の表面等で蒸気が凝縮して発生したドレンによって、被滅菌物が著しく濡れることを防止するためである。 【0007】次いで、滅菌室52に蒸気を供給して所定圧力まで昇圧し、所定圧力の状態で所定時間保持する。かかる保持によって、滅菌室52内は滅菌温度で所定時間保持されるため、被滅菌物に付着していた細菌等を滅菌することができる。その後、三方モータ弁36を経由して滅菌室52内の蒸気を大気中に排気した後、滅菌工程で滅菌室52に導入された蒸気によって濡れた被滅菌物を乾燥する乾燥工程に入る。この乾燥工程では、排気工程において、蒸気が排気されて大気圧となった滅菌室52内を、三方モータ弁36を経由して真空ポンプ30によって吸引することにより、滅菌室52を真空状態として被滅菌物の水分を蒸発させる。但し、水分の蒸発に伴い被滅菌物の温度が低下するため、被滅菌物から水分を蒸発し易くすべく、加温された清浄な空気を三方モータ弁38を経由して滅菌室52内に導入し、滅菌室52内を大気圧近傍まで昇圧して被滅菌物を昇温する。更に、昇温した被滅菌物を乾燥すべく、再度、滅菌室52内を真空状態とした後、加温された清浄な空気を供給する操作を複数回繰り返し、被滅菌物を充分に乾燥する。被滅菌物の乾燥が不充分の場合は、被滅菌物を滅菌室52から取り出したとき、空気中の細菌等が被滅菌物に付着して増殖を始めるおそれがあるためである。 【0008】かかる乾燥工程が完了した際に、滅菌室52内に清浄な空気を導入して滅菌を完了し、扉54を開けて被滅菌物が搭載されたカートを取り出す。この扉54を開けるには、流体通孔62から圧縮空気を排出した後、三方モータ弁42を経由して真空ポンプ30によってパッキン60の底面と凹溝58の底面との間を吸引して真空状態とし、パッキン60を凹溝58に引き込み、パッキン60の先端面と蓋54の内面54aとの間に間隙を形成することが必要である。尚、三方モータ弁36,38,42の各弁体は、通常、三方からの繋ぎ込み口の中間に位置しているものとする。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】ところで、高圧滅菌器10を用いた一連の滅菌操作では、図9に示す様に、滅菌室52内を短時間で真空状態とする操作が繰り返されている。このため、真空ポンプ30としては、通常、吸引能力の高い高性能の真空ポンプ30が採用されている。かかる吸引能力が高い高性能の真空ポンプ30は、一般的に大型であるため、ランニングコストが高く、且つ駆動開始から所定能力が発揮されるまで一定の時間を要する。この様な、高性能の真空ポンプ30を、パッキン60の凹溝58への引き込みのみのために駆動させることは、効率的な真空ポンプ30の運転方法ではなく、且つパッキン60の凹溝58への引き込みが完了するまでに一定の時間が必要であるため、滅菌が終了した被滅菌物を取り出す人を待たせることになる。しかし、パッキン60の凹溝58への引き込み用としての専用真空ポンプを、大型で且つ高性能の真空ポンプ30と別個に設けることは、高圧滅菌装置を大型化すると共に、製品コストを高くするため適当ではない。そこで、本発明の課題は、気密室を真空状態とする真空ポンプ等の真空発生機構を駆動することなく、気密室の開口部を開閉する扉と開口部の周縁面との間をシールするパッキンを、その一部が当接する対向面から引き離すことのできる気密容器の気密機構を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解決すべく検討した結果、図9に示す様に、気密室を真空状態とする真空ポンプ30は、一連の操作の間に何回も駆動されている。このため、気密室を真空状態とするために真空ポンプ30が駆動されたとき、同時に吸引されて真空状態とされる真空タンクを設け、パッキン60の先端面を対向面から引き離す際に、パッキン60の底面と凹溝58の底面との間の空気を真空状態とされた真空タンクに吸引することによって、真空ポンプ30を駆動することなくパッキン60の先端面を対向面から引き離すことができることを見出し、本発明に到達した。 【0011】すなわち、本発明は、扉によって開閉される開口部が形成された気密室を真空状態とする真空ポンプ等の真空発生機構と、前記気密室の開口部の周縁面又は前記開口部の周縁面に対応する扉の内面に形成された凹溝に挿入されたパッキンと、 前記扉で閉じられた前記開口部の周縁面と扉との間をシールして前記気密室を気密状態とする際に、前記凹溝が形成された凹溝形成面の対向面に、前記パッキンの一部が当接するように、前記パッキンの一部又は全体を前記対向面の方向に押し出す押出手段と、前記開口部の周縁面と扉との間に間隙を形成して前記扉を開ける際に、前記対向面に当接しているパッキンの一部を前記対向面から引き離すように、前記凹溝内にパッキンの一部又は全体を収納する引離手段と、前記押出手段と引離手段とを切り換え、前記パッキンの一部を前記対向面に接離動させる切替手段とを具備する気密容器の気密手段であって、該引離手段には、前記対向面に当接しているパッキンの一部を前記対向面から引き離す際に、前記パッキンの一部又は全部を前記凹溝内に収容し得るように、前記真空発生機構を駆動することなく前記パッキンを凹溝方向に吸引する吸引源として、前記真空発生機構と切替手段とを連結する配管の途中に、前記気密室を真空状態とするときに駆動された前記真空発生機構によって真空状態とされる真空タンクが設けられ、且つ前記気密室を真空状態にして真空発生機構を停止してから前記パッキンを凹溝方向に吸引するに至るまで前記真空タンクの真空状態を保持する保持手段とが設けられていることを特徴とする気密容器の気密機構にある。 【0012】かかる本発明において、パッキンの少なくとも一部を凹溝に摺動自在に挿入し、前記パッキンを対向面の方向に押し出す流体を給排すると共に、前記パッキンを凹溝の方向に吸引する流体通孔を前記凹溝の底面に開口することによって、パッキンの押し出し及び引き離しを容易に行うことができる。或いは、パッキンとしてのチューブ状パッキンを凹溝に挿入し、前記チューブ状パッキンの一部が対向面に当接するように、前記チューブ状パッキンを膨出する流体を供給すると共に、前記チューブ状パッキンを凹溝内に収容するように、前記チューブ状パッキンから流体を吸引する流体通孔を設け、且つ前記チューブ状パッキンから流体を吸引する吸引源として、真空発生機構と切替手段とを連結する配管の途中に、気密室を真空状態とするときに駆動した前記真空発生機構によって真空状態とされる真空タンクを設けることによって、パッキンの押し出し及び引き離しを容易に行うことができる。また、真空タンク内の真空度が所定値に到達していないとき、真空発生機構を起動する制御手段を設けることによって、対向面に当接しているパッキンの一部を対向面から確実に引き離すことができる。更に、停電等によって真空発生機構等が作動しないとき、対向面に当接しているパッキンの一部を前記対向面から引き離す緊急引離手段を設けることによって、停電等の緊急時でもパッキンを損傷することなく扉を開けることができる。尚、気密室の開口部の周縁面と扉との間に間隙を形成して前記扉を開ける際に、真空タンクの真空度が対向面に当接しているパッキンの一部を前記対向面から引き離し得る値に到達したとき、ランプ等の表示手段を作動させる制御手段を設けることによって、扉を開けられることを人に伝えることができる。 【0013】本発明に係る気密容器の気密機構によれば、真空タンクをパッキンの吸引源として使用できるため、気密容器の扉を開ける際に、真空ポンプ等の真空発生機構を駆動することなくパッキンを凹溝の方向に吸引することができ、気密室の周縁面と扉の内面との間に間隙を形成できる。したがって、真空発生機構を駆動してパッキンを吸引する場合に比較して、気密容器の扉を開けることができるまでの待ち時間を短縮でき、且つランニングコストの低減を図ることができる。尚、真空タンクは、パッキンを凹溝に引き込む程度に吸引できる程度の容量であればよく、装置を大型化したり製造コストを高価にすることはない。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明に係る気密容器の気密機構について、図6に示す高圧滅菌器10に設けられた図7に示すパッキン60、つまり開口部56の周縁に沿って周縁面に形成された凹溝58に、矢印Aの示す方向に摺動可能に挿入されているフローティングパッキンについて説明する。かかるパッキン60の押出手段及び引離手段を具備する気密容器の気密機構の一例を図1に示す。図1に示す気密機構は、流体としての圧縮空気(圧空)を供給する供給配管20と、真空発生機構としての電動式真空ポンプ30によって吸引される吸引配管32と、気密容器としての高圧滅菌器10に形成された凹溝58の底面に開口する流体通孔62に連結された配管40とが、電動モータで回動される三方モータ弁42を介して連結されている。この三方モータ弁42は、吸引配管32と配管40或いは供給配管20と配管40とを切り替える切替弁であって、吸引配管32と供給配管20とを連結することはない。かかる三方モータ弁42は、モータによって弁体を回動するものであるが、手動によっても弁体を回動できる。 【0015】この電動式真空ポンプ30は、吸引配管32を分岐する配管34及び三方モータ弁36を介して高圧滅菌器10の滅菌室52に連結され、滅菌室52を真空状態とする際に駆動される。更に、滅菌室52には、三方モータ弁38を介して蒸気又は清浄な空気が供給され、供給された蒸気は三方モータ弁36を介して滅菌室52から大気中に放出される。尚、三方モータ弁36,38も、弁体をモータによって回動するものであって、三方からの繋ぎ込み口の中間で弁体を停止でき、滅菌室52を蒸気供給配管等から切り離すことができる。 【0016】図1に示す電動式真空ポンプ30から三方モータ弁42に至る吸引配管32には、逆止弁22と真空タンク24とが設けられている。この逆止弁22は、真空タンク24の真空度を保持する保持手段である。つまり、三方モータ弁42によって、吸引配管32と配管40とが切り離されているとき、電動真空ポンプ30が停止され、配管34に空気が流入して真空タンク24よりも配管34の内圧が高くなったとき、配管34中の空気の真空タンク24への流入を阻止し、真空タンク24の真空度を保持する。一方、この逆止弁22は、電動式真空ポンプ30が駆動されて配管34の真空度が真空タンク24の真空度よりも高くなったとき、真空タンク24内の空気の配管34への流入を許容し、真空タンク24の真空度を高めることができる。 【0017】また、扉54を開く際に、真空タンク24内の真空度が所定値に到達していないとき、パッキン60の先端面を扉54の内面54aから充分に引き離すことができないおそれがあるため、真空発生機構としての電動真空ポンプ30を駆動する制御手段としての圧力スイッチ26が設けられている。かかる圧力スイッチ26は、滅菌室52の開口部の周縁面と扉54の内面54aとの間に間隙を形成して扉54を開く際に、真空タンク24の真空度が内面54aに当接しているパッキン60の先端面を内面54aから充分に引き離し得る値に到達したとき、表示手段としてのランプを点灯させる制御手段としての役割も果たしている。 【0018】かかる図1に示す気密機構を用い、滅菌室52の開口部の周縁面と扉54の内面54aとの間をパッキン60によってシールする際には、圧縮空気を供給配管20、三方モータ弁42、配管40、及び流体通孔62を介して凹溝58の底面とパッキン60の底面との間に供給する。供給された圧縮空気によって底面が押されたパッキン60は扉54の方向に押し出され、その先端面が扉54の内面54aに当接し、扉54の内面54aと開口部56の周縁面との間をシールして滅菌室52を気密状態とすることができる。一方、常圧に戻された滅菌室52の蓋54を開く際には、凹溝58の底面とパッキン60の底面との間を、流体通孔62、配管40、三方モータ弁42、及び吸引配管32を介して真空タンク24に吸引し、パッキン60の底面と凹溝58の底面との間を減圧状態とし、パッキン60を凹溝58に引き込むことによって、パッキン60の先端面と蓋54の内面54aとの間に間隙を形成できる。 【0019】かかる真空タンク24は、パッキン60の底面と凹溝58の底面との間を減圧状態とし得る程度の容量であればよく、約1リットルの容量のタンクで充分である。このため、吸引配管32として部分的に太い配管を用いて真空タンク24としてもよい。この様に、真空タンク24は小容量であるため、滅菌室52を真空状態とする際に駆動した電動真空ポンプ30によって、同時に真空タンク24も真空状態とすることができ、真空タンク24を真空状態とするためにのみ電動真空ポンプ30を駆動することを要しない。ここで、図1に示す高圧滅菌器10を用いて蒸気滅菌を行う際には、先述した様に、図9に示すコンディショニング(真空)工程、滅菌工程、排気工程、乾燥工程、及び完了工程の各々を順次通過させる、滅菌室52を真空状態とすることは何回もあり、その都度、電動真空ポンプ30を駆動する。このため、真空タンク24は何回も吸引されて真空状態とすることができる。 【0020】しかも、吸引配管32には、真空タンク24の真空状態を保持する保持手段としての逆止弁22が設けられている。このため、滅菌室52を真空状態として電動真空ポンプ30が停止して配管34の内圧が真空タンク24よりも高くなっても、凹溝58の底面とパッキン60の底面との間を吸引して減圧状態とし、パッキン60を凹溝58の方向に吸引するに至るまで真空タンク24の真空度を実質的に保持できる。したがって、電動真空ポンプ30を駆動してパッキン60を吸引する図8に示す気密機構に比較して、図1に示す気密機構では、真空状態に保持されている真空タンク24をパッキン60の吸引源に用いることによって、扉54が開けることができるまでの待ち時間を短縮でき、且つランニングコストの低減を図ることができる。但し、三方モータ弁42等の洩れによって、扉54を開く際に、真空タンク24の真空度が不足する場合には、圧力スイッチ26の信号によって電動真空ポンプ30を駆動し、真空タンク24を所定の真空度とすることができる。 【0021】図1に示す気密機構では、三方モータ弁42は手動でも弁体を回動可能であるため、停電時でも弁体を回動してパッキン60を吸引して扉54を開くことができるが、手動では弁体を回動できない三方モータ弁42′を設置した場合、停電時には、三方モータ弁42′及び電動真空ポンプ30を駆動できず、パッキン60を吸引することができないため、扉54を開くことができない。無理に扉54を開けると、パッキン60を破損してしまうため、パッキン60の交換を必要とする。この点、図2に示す気密機構では、パッキン60を凹溝58に引き込む緊急引離手段として、真空タンク24と配管40との間に手動バルブ43を具備するバイパス配管41を設けている。かかるバイパス配管41によって、停電等により三方モータ弁42等が駆動できなくなったとき、手動バルブ43を開放することによって、パッキン60を凹溝58に引き込むことができ、パッキン60を損傷することなく扉54を開くことができる。尚、図2に示す気密機構において、図1に示す気密機構を構成する部材と同一部材は同じ番号を付与し、詳細な説明を省略した。 【0022】図1及び図2に示す気密機構では、吸引配管32と配管40或いは供給配管20と配管40との切替弁として三方モータ弁42を使用しているが、図3に示す様に、三方モータ弁42に代えて二個の電磁弁45,47を使用してもよい。電磁弁45,47のうち、電磁弁45は吸引配管32側に設けられており、電磁弁47は供給配管20側に設けられている。かかる電磁弁45,47の各々と配管40との間には、電磁弁45,47が洩れた場合にも、配管40を介して凹溝58の底面とパッキン60の底面との間に影響を与えないように逆止弁を設けることが好ましい。尚、図3に示す気密機構においても、図1に示す気密機構を構成する部材と同一部材は同じ番号を付与し、詳細な説明を省略した。 【0023】以上の説明では、主として横断面形状が略台形状で且つ中実のパッキン60を用いた例で説明してきたが、パッキンとしては、図4に示す様に、シート状パッキン64であってもよく、図5に示す様に、チューブ状パッキン66であってもよい。図4に示すシート状パッキン64は、その周縁部が凹溝58の周縁に沿って押板65、65によって保持されており、内壁とシート状パッキン64の底面との間の空間部59を、流体通孔62を介して減圧状態としたとき、シート状パッキン64の中央部及びその近傍は凹状に窪む。一方、流体通孔62を介して空間部59に圧空を供給すると、シート状パッキン64は点線で示すように膨出して扉54の内面に当接し、開口部56の周縁と扉54の内面との間をシールすることができる。 【0024】また、図5に示すチューブ状パッキン66は、凹溝58に挿入されたチューブ状パッキン66に、流体通孔62に挿入された流体通路63が連結されている。流体通路63を経由して圧空がチューブ状パッキン66の中空部67に供給されると、チューブ状パッキン66は点線で示すように膨出して扉54の内面に当接し、開口部56の周縁面と扉54の内面との間をシールできる。他方、流体通路63を経由してチューブ状パッキン66の中空部67に充填された圧空を吸引すると、チューブ状パッキン66は凹溝58に収容され、開口部56の周縁面と扉54の内面との間に間隙を形成できる。かかるチューブ状パッキン66は、横断面形状が円形でなくてもよく、例えば台形状であってもよい。尚、これまでの説明は、蒸気を用いた高圧滅菌装置について説明してきたが、真空ポンプ等の真空発生機構を具備する滅菌装置、例えばガス滅菌装置、薬液滅菌装置、洗浄滅菌装置等に本発明を適用できることは勿論のことである。 【発明の効果】本発明によれば、気密容器の扉を開ける際に、気密室の周縁面と扉の内面との間をシールしていたパッキンを、真空ポンプ等の真空発生機構を駆動することなくパッキンを凹溝の方向に吸引することができ、気密室の周縁面と扉の内面との間に間隙を形成できる。その結果、真空発生機構を駆動してパッキンを吸引する場合に比較して、気密容器の扉を開けることができるまでの待ち時間を短縮でき、且つランニングコストの低減を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000148025 【氏名又は名称】株式会社千代田製作所
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| 【出願日】 |
平成11年11月15日(1999.11.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077621 【弁理士】 【氏名又は名称】綿貫 隆夫 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−141057(P2001−141057A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−324333 |
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