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【発明の名称】 シリンダ用のピストン及びその製作法
【発明者】 【氏名】ヴォルフガング フィッシュバッハ

【要約】 【課題】シリンダ壁によって損傷せしめられず、規定されている公差で安価に製作することができ、かつプラスチックと圧力液体との接触が阻止されるようなピストンを提供する。

【解決手段】ピストン(1)は金属から成るコップ体(2)を備えている。このコップ体は、ピストン(1)の外周面を少なくとも部分的に覆っていて、シリンダ壁と接触せしめられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダ用のプラスチックから成るピストン、特にブレーキシリンダ用のブレーキピストンにおいて、ピストン(1)が金属から成るコップ体(2)を備えており、このコップ体は、ピストン(1)の外周面を少なくとも部分的に覆っていて、シリンダ壁と接触せしめられることを特徴とする、シリンダ用のピストン。
【請求項2】 コップ体(2)がピストン(1)の外周面に付着していることを特徴とする、請求項1記載のピストン。
【請求項3】 コップ体(2)がピストン(1)の外周面に接着せしめられていることを特徴とする、請求項1又は2記載のピストン。
【請求項4】 コップ体(2)が特殊鋼から成っているか、あるいは腐食防止層を備えていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のピストン。
【請求項5】 ピストン(1)の外周面(13)がピストン軸線の方向に延びる溝を有していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のピストン。
【請求項6】 コップ体(2)が摩擦力結合及び又は形状結合でピストン(1)と結合されていることを特徴とする、請求項1記載のピストン。
【請求項7】 ピストン(1)がピストン軸線の方向に延びる孔(12)を有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のピストン。
【請求項8】 孔(12)の壁が単数又は複数のアンダカット(3)を有していることを特徴とする、請求項7記載のピストン。
【請求項9】 アンダカット(31)が孔(12)の底(11)にまで延びていることを特徴とする、請求項8記載のピストン。
【請求項10】 孔(12)が貫通孔であり、この貫通孔は挿入可能な底(6)によって閉じられていることを特徴とする、請求項7記載のピストン。
【請求項11】 孔(12)の底(6,11)が単数又は複数の切り欠き(5)を有していることを特徴とする、請求項9又は10記載のピストン。
【請求項12】 コップ体(2)の底(23)が孔(12)の底(6,11)に接触せしめられていることを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項記載のピストン。
【請求項13】 シリンダ用のプラスチックから成るピストン、特にブレーキシリンダ用のブレーキピストンの製作法において、まず金属から成るコップ形の半製品を、その外径寸法が製作すべきピストンの外径寸法とほぼ同じかあるいは幾分か小さくなるように、形成し、次いでこの半製品を、製作すべきピストン(2)の外径輪郭を有している工具内に挿入し、次いでこのコップ形の半製品内にプラスチックを大きな圧力及び場合により高い温度で充てんし、これにより半製品を拡開して、工具によって定められている外径寸法にし、最後に硬化したプラスチックを充てんされているコップ体(2)を工具から取り出すことを特徴とする、シリンダ用のピストンの製作法。
【請求項14】 半製品内若しくはコップ体(2)内に射出されるプラスチックを工具内で圧力下で硬化させることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】 プラスチックと接触するコップ体(2)の表面を表面処理して、プラスチックがこの表面に付着するようにすることを特徴とする、請求項12又は13記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリンダ用の、充てん材を有するプラスチックから成るピストン、特にブレーキシリンダ用のブレーキピストンに関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックから成るピストンは従来技術から種々のものが公知である。このようなピストン、特にブレーキピストンはその使用の際にしばしば高い圧力及び高い温度に耐えることができなければならない。したがって、高い強度及び耐熱性を達成するために、ピストンのために使用されるプラスチックは80%までの充てん材を有している。このような充てん材は例えば岩石の粉末である。しかしこのようなプラスチックから成るピストンの欠点は、それがシリンダによって摩耗せしめられることである。ピストンはその場合もはやシリンダ壁にシール作用をもって接触せず、シリンダ内の圧力液体がシリンダから漏出する。
【0003】このようなプラスチックピストンの別の欠点は、製作公差がせいぜい0.09mmであることである。しかしながらピストンシリンダユニットが支障なく機能するためには、公差は最大で0.015mmでなければならない。要するにプラスチックピストンを使用し得るようにするためには、後加工して必要な直径にしなければならない。更に別の欠点は、ピストンのプラスチックと圧力液体とが予見不能な化学的物理的交互作用を行って、ピストンの機能を阻害することがあることである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の根底をなす課題は、シリンダ壁によって損傷せしめられず、規定されている公差で安価に製作することができ、かつプラスチックと圧力液体との接触が阻止されるようなピストンを提供することである。別の課題はピストンを大きな寸法精度で製作し得るようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この課題は本発明によれば、ピストンが金属から成るコップ体を備えており、このコップ体がピストンの外周面を少なくとも部分的に覆っていて、シリンダ壁と接触せしめられるようにすることによって解決される。
【0006】
【発明の効果】コップ体を備えた本発明によるピストンは両方の課題の要求に応えるものである。コップ体は一面ではピストンのプラスチックとシリンダ壁との直接的な接触を阻止して、ピストンが損傷しないようにし、他面では、コップ体は大きな寸法精度で製作することができ、コップ体を備えたピストンは要求されている製作公差で製作することができる。更にピストンのプラスチックと圧力液体との接触が阻止され、これによってプラスチックと圧力液体との化学的物理的交互作用が回避される。
【0007】
【発明の実施の形態】コップ体はピストンの外周面に接着しておくことができる。この場合有利にはピストンの外周面にピストン軸線の方向に延びる複数の溝を形成しておき、これらの溝は過剰な接着剤を収容するようにすることができる。このようにする代わりに、コップ体を単なる摩擦力結合及び又は形状結合でピストンと結合することできる。
【0008】有利な1実施形態では、ピストンはピストン軸線の方向に延びる孔を有している。その場合本発明によれば、孔は単数又は複数のアンダカットを有することができる。これらのアンダカットには例えばブレーキ装置のブレーキジョーを固定することができる。更にアンダカットは孔の底にまで延びることができる。
【0009】しかしピストン内の孔は貫通孔であることもできる。その場合貫通孔は挿入可能な底によって閉じることができる。
【0010】本発明によれば、孔の底は単数又は複数の切り欠きを有することができる。これによって、孔を形成する切り欠きが既に射出成形の際に形成される場合に、重量及びまた材料を節減することができる。
【0011】コップ体の底は、有利には孔の底に接触することができる。
【0012】本発明によるピストンの製作に関する課題は次のことによって解決される。すなわち、まずコップ形の半製品を、その外径寸法が製作すべきピストンの外径寸法とほぼ同じかあるいは幾分か小さくなるように、形成し、次いでこの半製品を、製作すべきピストンの外形輪郭を有している工具内に挿入し、次いでこのコップ形の半製品内にプラスチックを大きな圧力及び場合により高い温度で充てんし、これにより半製品を拡開して、工具によって定められている外径寸法にし、最後に硬化したプラスチックを充てんされているコップ体を工具から取り出すのである。
【0013】その外径寸法が完成したピストンよりも幾分か小さいコップ形の半製品は工具内に挿入される。この工具、有利には射出工具、は、製作すべきピストンの寸法を正確に有している。半製品は高い圧力でプラスチックを充てんせしめられ、これによって半製品の壁は工具に接触するまで外方に向かって押される。これによってコップ体は正確に所望の外部輪郭になるとともに、ピストンのプラスチックはコップ体内に遊びなしに収容されている。またコップ体内のプラスチックを後加工する必要はない。この方法により、ピストンを迅速にかつ能率的に製作することが可能であり、その際正確な製作によって後加工は不要である。
【0014】有利にはコップ体は腐食防止層を備えているか、特殊鋼から成っている。
【0015】
【実施例】本発明によるピストンの種々の実施例を図面により説明する。
【0016】図1〜3に示した本発明によるピストンはピストン軸線の方向に延びる孔12を有している。孔12の壁にはアンダカット3が形成されている。このアンダカット3は環状に回る溝として構成されている。ピストン1にはコップ体2が被せられており、このコップ体は底23によって閉じられている。この場合コップ体の底23は孔12の底11に接触している。
【0017】図1に示した実施例が図2及び3の実施例と異なっている点は、コップ体がピストンの外周面13上に接着されていることである。このために外周面13はピストン軸線の方向に延びる複数の溝を有しており、これらの溝は過剰の接着剤4を収容することができる(図4)。これに対し図2及び3に示した実施例では、コップ体2は摩擦力結合及び形状結合でピストン1に固定されている。この場合、形状結合はピストン1若しくはコップ体2の接合縁21において生じる。
【0018】図5に示した実施例は貫通孔12を有している。この場合貫通孔12は、貫通孔12内に挿入されている底6によって閉じられている。貫通孔12はやはりアンダカット3を備えており、これは底6にまで延長されている。コップ体2は摩擦力結合及び形状結合によってピストン1と結合されている。図6に示した実施例は、やはりピストンの構造が前の実施例と異なっている。孔12の底は複数の切り欠き5を備えており、これらの切り欠きはアンダカット3,31に対して個別的に孔12の開口の方向に延長されている。更にコップ体2は前の実施例におけるように、形状結合及び摩擦力結合でピストン1に固定されている。
【0019】図7のa及びbに示したピストン1は図6に示したピストンと異なって、ピストン1内に種々の孔7が設けられている。これらの孔7は重量及び材料の節減に役立つ。これによってピストン1は、コップ体2を保持する必要な支持骨組みに減少せしめられる。
【0020】図8に示したピストンは、前述のピストンと比較して構造を短くされている。このピストン1にコップ体2がかぶせられて、ピストン1を閉じる。この場合コップ体はピストンに形成された段部に座着せしめられているが、ピストンによって完全に埋められていない。したがってコップ体の底も、ピストンに接触していない。この構造によって、ピストンの製作に使用されるプラスチックが著しくわずかになる。このことは材料節減をもたらし、例えばブレーキピストンのような大量生産品の場合に著しい経済的な利点となる。
【0021】図9に示したピストン1は次のようにして製作される。すなわち、まず金属薄板からコップ形の半製品が深絞りされ、この半製品は完成したピストン1の外径寸法よりも幾分か小さい外径寸法を有している。半製品は完成したピストンの外径輪郭を有する工具内に挿入される。この工具内でコップ形の半製品に高圧及び高い温度でプラスチックが射出される。プラスチックを半製品内に射出する高い圧力によって、半製品が拡開せしめられて、工具に接触せしめられ、完成したピストンの輪郭になる。硬化したプラスチックによってコップ形の半製品の外形輪郭が安定にされる。外周面13には溝を設けておくことができ、この溝は一面ではコップ体2とピストン1との間の形状結合に役立ち、かつ他面では取り付け部品の固定溝として役立つ。半製品はその外面に腐食を阻止する被覆を備えている。派生品の内面は粗面にされていて、射出せしめられたプラスチックがこの内面に付着し、コップ体2とピストン1との間の緊密な結合が達成されるようになっている。
【出願人】 【識別番号】591105731
【氏名又は名称】ハインリヒ バウムガルテン コマンディトゲゼルシャフト シュペツィアールファブリーク フュール ベシュラークタイレ
【出願日】 平成12年9月25日(2000.9.25)
【代理人】 【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄 (外4名)
【公開番号】 特開2001−141055(P2001−141055A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願2000−290687(P2000−290687)