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【発明の名称】 回転機の軸エアシール構造
【発明者】 【氏名】佐藤 啓二

【要約】 【課題】回転機外からの異物の侵入による回転機内の絶縁性能の低下ならびに冷却性能の低下などの回転機の異常の発生を防止する。

【解決手段】回転機内の回転軸に直接取付けたファンなどの作用により回転機内の冷却空気を送風する自力形空気冷却回転機において、エア切り部17と回転軸11のギャップから回転機内の空気を回転機外に排出するために、少なくとも2段構造以上のエア切り部17とその中間部に空気室19を設け、好ましくは、この空気室とファンの出側部の間に空気導入ダクト18を設けると共に、回転機内に清浄な空気を供給するために、ファンの入側部の固定外壁に空気清浄機能を有する通気口20を設けたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転機内の回転軸に直接取付けたファンなどの作用により回転機内の冷却空気を送風する自力形空気冷却回転機において、回転機内外の境界部に、少なくとも2段構造以上のエア切り部と、その中間部に空気室を設け、この空気室に大気圧に対して正圧の空気を供給する手段を設け、これによって粉塵などの異物を含んだ回転機外の空気が、エア切り部と回転軸とのギャップを通じて回転機内へ侵入することを防止することを特徴とする回転機の軸エアシール構造。
【請求項2】 少なくとも2段構造以上のエア切り部のうち、回転機の外側のエア切りと回転軸とのギャップを、回転機の内側のエア切りと回転軸とのギャップに対して大きくし、空気室から回転機外へ確実に空気を排出することを特徴とする請求項1記載の回転機の軸エアシール構造。
【請求項3】 回転軸に直接取付けたファンなどの作用により大気圧に対して正圧となるファン出側部と空気室との間に空気導入ダクトを設けることにより、外部に高圧空気源を必要とせずに、確実に空気室内の空気を大気圧に対して正圧にすることを特徴とする請求項1又は2記載の回転機の軸エアシール構造。
【請求項4】 回転機内の空気が大気圧よりも負圧になるファン入側部などの固定外壁に通気口を設けることにより、空気室から回転機外に排出される空気に相当する量の空気を、外部から回転機内に取込んで、空気室から確実に回転機外へ空気を排出すること特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の回転機の軸エアシール構造。
【請求項5】 通気口に、空気清浄機能を有する防塵用フィルタなどを設け、常に清浄な空気を回転機外から回転機内に供給することを特徴とした請求項4記載の回転機の軸エアシール構造。
【請求頃6】 約5万kW以上の絶縁物を介さずに回転機内の電気導体を直接空気で冷却する空気直接冷却型の回転機において、請求項1〜5のいずれか1項記載の軸エアシール構造を有することを特徴とした空気冷却回転機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自力形空気冷却回転機の回転機内に、粉塵などの異物が侵入することによって生じる、回転機内の絶縁性能の低下ならびに冷却性能の低下などの異常を防止するための回転機の軸エアシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2には従来の空気冷却回転機の軸エアシール構造を示す断面を示している。回転機の回転軸101は軸受箱105内の軸受104によって回転自在に支持されており、この軸受104に隣接した位置に設けた油切り106によって油漏れが防止されている。この油切り106に隣接した位置に、回転機の固定外壁102に支持されたエア切り107を設けることによって、回転軸104と所定のギャップを隔てて回転機内と回転機外を仕切ることにより、外部からの異物の侵入を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このエア切り107による軸エアシール構造の場合、回転機内の回転軸101に直接取付けたファン103などの作用により回転機内の冷却空気を送風する自力形空気冷却回転機では、回転機内の通風構造により回転機内が大気圧に対して負圧となる場合があり、回転機外の粉塵などの異物を含んだ空気cが、エア切り107と回転軸101のギャップを経て侵入し、回転機内の絶縁性能の低下ならびに冷却性能の低下などの異常を発生させる問題があった。
【0004】特に、5万kW以上の大容量空気冷却回転機では、コンパクト化のために回転機内の冷却空気bにより、回転機内の電気導体を絶縁物を介さずに直接冷却する直接冷却型が主流となっており、従来の絶縁物を介して冷却する間接冷却型の回転機に比べて、外部からの異物の侵入による回転機内の絶縁性能の低下などの問題が発生し易くなっている。
【0005】本発明は、このような問題を解決するものであって、簡単、且つ、安価な構造で回転機内への粉塵などの異物の侵入を防止することができる回転機の軸エアシール構造を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するための本発明の請求項1に係る回転機の軸エアシール構造は、回転機内外の境界部に、少なくとも2段構造以上のエア切り部とその中間部に空気室を設け、この空気室に大気圧に対して正圧の空気を供給する手段を設けたことを特徴とし、この正圧の空気をエア切り部のギャップから外部に排出することによって異物の侵入を防止したものである。この供給空気を確実に回転機外に排出するために、少なくとも2段構造以上のエア切り部のうち、回転機の外側のエア切りと回転軸とのギャップを、回転機の内側のエア切りと回転軸とのギャップに対して大きくしている(請求項2)。
【0007】また、上記の軸エアシール構造において、ファン出側部と空気室との間に空気導入ダクトと、ファン入側部の固定外壁に通気口、特に防塵用フィルタなどの空気清浄機能を有する通気口を設けることにより、外部に高圧空気の供給源を必要とせずに、空気室を大気圧に対して常に正圧にすることができるとともに、回転機外に排出される空気に相当する量の清浄な空気を回転機外から補給することによって、回転機内の空気を確実に外部に排出することができる(請求項3〜5)。
【0008】このような本発明の回転機の軸エアシール構造によれば、回転軸が回転すると、回転機内のファンが作動してファンの出側部が大気圧に対して正圧となり、この空気が空気導入ダクトを通じて空気室に供給され回転機外に排出される。同時に、ファンの入側部が大気圧に対して負圧となり、通気口を通じて清浄な空気が回転機外から供給されるため、回転機内への粉塵等の異物の侵入が防止される。なお、本発明においては、約5万kW以上の絶縁物を介さずに回転機内の電気導体を直接空気で冷却する空気直接冷却型の回転機において、上記請求項1〜5のいずれか1項記載の軸エアシール構造を有するようにすることが好ましい(請求項6)。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1に示すように、回転軸11は軸受箱15内の軸受14によって回転自在に支持され、この軸受14の前後の隣接した位置に設けた油切り16によって油漏れが防止される。この油切り16を有する軸受箱15に隣接した位置にある回転機の固定外壁12に支持されたエア切り部17によって、回転軸11と所定のギャップを隔てて回転機内と回転機外の境界部が仕切られている。
【0010】回転機内の回転軸11に直接取付けたファン13などの作用により回転機内の冷却空気を送風する自力形空気冷却回転機においては、回転軸11が回転すると、固定外壁12と固定内壁21で仕切られたファン13の入側部の空気Aは大気圧に対して負圧になるとともに、固定内壁21の内側のファン13の出側部の空気Bは大気圧に対して正圧となる。
【0011】本発明は、こうした回転機内の空気の圧力差を利用したもので、エア切り部17は少なくとも2段構造以上(図1では2段)に形成されて、その中間部に十分な容量の空気室19を設けており、この空気室19とファン13の出側部との間に設けた空気導入ダクト18を通じて、ファン13の出側部の空気Bが空気室19に導かれ、エア切り部17と回転軸11とのギャップを経て、回転機外Dに排出される構造となっている。
【0012】また、このエア切り部17と回転軸11とのギャップ(空気室19前後のエア切りと回転軸とのギャップ)を、回転機の内側よりも外側部を大きくすることによって、確実に空気室19内に導入された空気Bを回転機外Dに排出することができる。
【0013】さらに、ファン13の入側部に位置する固定外壁12に通気口、特に防塵用フィルタなどの空気清浄機能を有する通気口20を設けることにより、外部に高圧空気の供給源を必要とせずに、空気室19を大気圧に対して常に正圧にすることができるとともに、回転機外に排出される空気に相当する量の清浄な空気Cを回転機外から補給することによって、回転機内の空気を確実に外部に排出することができる。
【0014】以上の本発明の構成により、回転機外の粉塵などの異物をエア切り部17と回転軸11とのギャップを通じて吸い込むことなく、回転機内を常に清浄に保つことができ、回転機内の絶縁性能の低下ならびに冷却性能の低下などを防止することができる。
【0015】なお、本発明においては、約5万kW以上の絶縁物を介さずに回転機内の電気導体を直接空気で冷却する空気直接冷却型の回転機において、上述した本発明の各種軸エアシール構造のいずれかを適用することが望ましい。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1を参照して説明する。本発明の実施例では、15万kWの空気直接冷却型の発電機において、回転軸11に直接取付けたファン13の作用により冷却空気を送風して、回転機内の電気導体などを冷却している。
【0017】この発電機の固定外壁12に、回転軸11と回転機の外側のギャップが350μm、内側のギャップが300μmの2段構造のエア切り部17を設置した。また、このエア切り部17の中間部の空気室19とファン13の出側部の固定内壁21の内側を、空気導入ダクト18により連通させて、ファン13の入側部に位置する固定外壁12に防塵フィルタを有する通気口20を設置した。
【0018】回転軸11が回転すると、ファン13の入側部の空気Bは大気圧に対して4903Pa正圧に、出側部の空気Aは大気圧に対して981Pa負圧となった。この空気の大気圧に対する圧力差により、空気Bが空気導入ダクト18を通じて空気室19に供給され、回転機の外側のギャップを通じて回転機外Dに排出されるとともに、通気口20を通じて外部の清浄な空気Cが回転機内に補給されたことによって、外部からの異物の侵入を確実に防止できた。
【0019】
【発明の効果】以上、実施例を挙げて詳細に説明したように本発明の回転機の軸エアシール構造によれば、回転機内の回転軸に直接取付けたファンなどの作用により回転機内の冷媒空気を送風する自力形空気冷却回転機において、回転機内外の境界部に、エア切り部とその中間部に空気室を設け、さらに必要に応じて回転機内のファンの出側部とを結ぶ空気導入ダクトと、ファンの入側部の固定外壁に空気清浄機能を有する通気口を設けたので、回転軸が回転するとファンの出側部から空気室を経て回転機外に空気を排気すると同時に、通気口から清浄な空気を回転機内に取込むことができるため、外部に高圧空気の供給源を必要とせずに、簡単、かつ、安価な構造で回転機外の粉塵等の異物の侵入を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【出願日】 平成11年10月25日(1999.10.25)
【代理人】 【識別番号】100068423
【弁理士】
【氏名又は名称】矢葺 知之 (外1名)
【公開番号】 特開2001−124215(P2001−124215A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−302322