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【発明の名称】 シールリング
【発明者】 【氏名】神田 東平

【氏名】笠原 宏文

【要約】 【課題】雌部材と雄部材の間の密封効果を一層向上させるようにしたシールリングを提供する。

【解決手段】互いに嵌合する雌部材1と雄部材2との間の環状空間3を加圧流体からシールするシールリングSRであって、加圧流体が作用する側の受圧面Faに、該受圧面の幅方向中心より半径方向内側に開口するスリット15を周方向に沿って設けると共に、該スリット15の溝深さを半径方向斜め外側へ向けるようにした構成からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いに嵌合する雌部材と雄部材との間の環状空間を加圧流体からシールするシールリングであって、前記加圧流体が作用する側の受圧面に、該受圧面の幅方向中心より半径方向内側に開口するスリットを周方向に沿って設けると共に、該スリットの溝深さを半径方向斜め外側へ向けるようにしたシールリング。
【請求項2】 前記スリットより半径方向外側の舌片部分を半径方向内側の舌片部分よりも厚肉にした請求項1に記載のシールリング。
【請求項3】 前記雌部材と雄部材が、消防ホース用差込式接手の受け金具と差し金具である請求項1または2に記載のシールリング。
【請求項4】 前記雌部材と雄部材が、シリンダ駆動機構のシリンダ軸受部とピストン軸部である請求項1または2に記載のシールリング。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加圧流体のシールリングに関し、さらに詳しくは、消防ホース用差込式接手等を構成する雌部材と雄部材との隙間をシールするためのシールリングに関する。
【0002】
【従来の技術】消防ホースの端部同士を連結するために用いる差込式接手は、差し金具と受け金具とから構成され、その差し金具と受け金具との間に高圧水が漏洩しないようにシールリング(パッキン)が挿入されている。
【0003】図5は、このような消防ホース用差込式接手の受け金具51と差し金具52との嵌合要部を示したものである。受け金具51は端部にフランジ部54を形成し、その内側に環状溝53を周方向に沿って1周するように形成すると共に、その中にシールリングSRを挿入し、またこの受け金具51の内側に差し金具52を軸方向に差し込み、シールリングSRを半径方向外側へ押圧することにより、隙間56から浸入する高圧水を外側へ漏水させないように密封する。
【0004】このようなシールリングSRの密封効果を向上する対策として、図6に示すように、高圧水が作用する側の受圧面Faに環状のスリット55を同心状に設け、そのスリット55の溝深さをシールリングの中心軸と平行に延びるように設けたものが提案されている。すなわち、隙間56から浸入する高圧水を上記スリット55の溝内部に作用させ、このスリット両側の壁部分を押し広げることにより、それぞれ環状溝53の内周面と差し金具52の外周面とに密着させ、高い密封効果を得るようにしたものであった。
【0005】しかし、実際には、図5に示すように、差し金具52を受け金具51の内側に差し込むと、シールリングSRが差し金具52の外周面に押し上げられて、スリット55が押潰状態になるため、この状態で隙間56から高圧水が環状溝53に浸入すると、高圧水はシールリングSRの外周面と環状溝53の内周面との隙間に浸入してシールリングSRを押し潰し、接手の外側へ漏出していた。さらに、差込式接手を脱着操作するたびに差し金具52から圧縮作用を受け、その圧縮と伸長との繰り返し作用によって、特にスリット55から半径方向外側の舌状部分が次第に弾力性を失い、密封効果が低下してしまうこともあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、雌部材と雄部材の間の密封効果を一層向上させるようにしたシールリングを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明のシールリングは、互いに嵌合する雌部材と雄部材との間の環状空間を加圧流体からシールするシールリングであって、前記加圧流体が作用する側の受圧面に、該受圧面の幅方向中心より半径方向内側に開口するスリットを周方向に沿って設けると共に、該スリットの溝深さを半径方向斜め外側へ向けるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】このように加圧流体が作用する側の受圧面に環状同心状のスリットを設け、このスリットの開口部を受圧面の幅方向中心より半径方向内側に設け、かつスリットの溝深さを半径方向斜め外側に向けるようにしたため、加圧流体によりスリットが拡開してそれぞれスリット両側の舌片部分を雌部材の内周面と雄部材の外周面とに密着させるため、高い密封効果を発揮させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のシールリングを装備した消防ホース用差込式接手を一部断面にして示したものである。
【0010】図1に示す差込式接手において、1は円筒状に形成された受け金具、2は同じく円筒状に形成された差し金具であり、互いに嵌合状態になっている。受け金具1と差し金具2とは、それぞれ嵌合側と反対側の端部に鋸刃状の係止部1s,2sを形成し、これら係止部1s,2sに消防ホース21,22を圧入するように取り付けられている。
【0011】受け金具1は、差し金具2が差し込まれる側にフランジ部4を一体形成し、そのフランジ部4の内周側に横断面長方形の環状溝3を1周に渡り形成し、その環状溝3に本発明のシールリングSRを挿入している。このようにシールリングSRを挿入した環状溝3の内側に、差し金具2の端部が軸方向に差し込まれ、その外周面によってシールリングSRを半径方向外側へ押圧するようにしている。
【0012】この嵌合状態で接手内部を移動する高圧水の一部は、受け金具1と差し金具2の隙間16から環状溝3内に浸入するが、上記シールリングSRが後述するように作用することにより接手外側へ漏洩しないようにしている。
【0013】さらに受け金具1のフランジ部4の外周側には外筒5が嵌合し、その外筒5の外周面にゴム環6が装着されている。ゴム環6は、接手の構成部品の中で最大の外径を有することにより、接手が地上に落下したときなどに接手を保護するようになっている。また、外筒5の内周側には周方向に3等分又は4等分した箇所に係止爪7が突設されている。この係止爪7は板バネ8により半径方向内側へ付勢されて、差し金具2側の段付部9に係合し、受け金具1から差し金具2が抜け出さないようにしている。
【0014】また、差し金具2の外周には摺動筒10が軸方向に移動可能に設けられ、かつ係止輪11により抜け止めされている。この摺動筒10を係止爪7側へ押し込むと、係止爪7が板バネ8の付勢に抗して半径方向外側へ押し上げられて、段付部9との係合が外され、差し金具2を受け金具1から抜き出せるようにする。
【0015】上記シールリングSRは、ゴム,弾性樹脂などの弾性材からなり、図2に示すように中心軸Oを中心として円環状に一体成形されている。左右両側面のうち左側の面を受圧面Faとし、図1のように差込式接手の環状溝3に挿入されたとき高圧水を受けるようになっている。
【0016】シールリングSRの受圧面Faには、中心軸Oに対して同心状にスリット15が設けられている。しかも、このスリット15の開口は、中心軸Oを含む断面において、受圧面Faにおいて幅方向中心から半径方向内側の部分に開口し、かつ溝深さを半径方向斜め外側へ向けるようにしている。また、この中心軸Oを含む断面において、スリット15から半径方向外側の舌片部分Raは、半径方向内側の舌片部分Rbよりも大きな肉厚になるように形成されている。
【0017】上述のように構成されたシールリングSRが、図1のように環状溝3に挿入され、かつ差し金具2の外周面に押し上げられた状態に装着されると、スリット15の開口が隙間16の出口に向けた状態になるので、隙間16から環状溝3に浸入した高圧水は、スリット15の内側に直接作用して、スリット15両側の舌片部分RaとRbとを左右両側に拡開させる。したがって、半径方向外側の舌片部分Raと半径方向内側の舌片部分Rbとは、それぞれ環状溝3の内周面と差し金具2の外周面とに密着し、高い密封効果を発揮することができる。
【0018】また、半径方向外側の舌片部分Raが半径方向内側の舌片部分Rbよりも大きな肉厚になっているので、半径方向外側の舌片部分Raに圧縮・伸長の負荷が繰り返してもヘタリを生じにくくし、シールリングSRの耐久性が向上する。
【0019】本発明において、シールリングSRの中心軸Oを含む断面における横断面形状は特に限定されないが、好ましくは図2,図3(A)に示すような偏平な略楕円形や、図3(B),(C)に示すような真円にしたものがよい。特に、図2,図3(A)のような略楕円形にした場合は、外周側に一定長さの直線領域Pを形成するとよい。このような一定長さの直線領域Pを形成すると、環状溝3の内周面に対する密着性が向上し、一層信頼性の高い密封作用を得ることができる。
【0020】本発明において、シールリングSRのスリット15を、受圧面Faの幅方向中心より半径方向内側に開口させることが重要であることは上述した通りであるが、そのスリット15の断面形状としては、図2に示すように、内周と外周との両壁面が開口側に向けて拡大するようにしたものであっても、或いは図3(A)に示すように平行であってもよい。シールリングSRの横断面形状が真円の場合でも、そのスリット15の内周壁面と外周壁面とが図3(B)のように平行であっても、或いは図3(C)のように開口側に向けて拡大してもよい。
【0021】スリット15を斜めに傾斜させる角度は特に限定されないが、好ましくは、スリット15の内周壁面と外周壁面との中心を通る線が、中心軸Oに平行な方向に対してなす傾斜角度θ(図3(A),(B),(C)参照)として、20〜40度にするとよい。いずれにしても、スリット15の開口は、半径方向外側の舌片部分Raの頂点p1 と半径方向内側の舌片部分Rbの頂点p2 との間に存在させることが望ましい。
【0022】上述した実施形態では、本発明のシールリングを消防ホース用接手に装備する場合について説明したが、本発明のシールリングは、雌部材と雄部材との間にシール用環状空間を形成する機器であれば、消防ホース用接手以外にも適用することができる。
【0023】図4は、本発明のシールリングをシリンダ駆動機構に装備した例を示したものである。
【0024】図4のシリンダ駆動機構において、シリンダ31にピストン32が挿入され、かつピストン軸部37,37がシリンダ31両端部の軸受部36,36に摺動可能に支持されて構成されている。また、軸受部36,36には、それぞれ環状溝33,33が1周するように設けられ、これら環状溝33,33内に図3(B)又は図3(C)に示すようなシールリングSRが挿入されている。この構成において、シリンダ軸受部36が雌部材に相当し、ピストン軸部37が雄部材に相当している。
【0025】上記シリンダ駆動機構において、シリンダ両端部の給排口34,34に作動油を交互に給排すると、ピストン32が往復作動する。このようにピストン32が往復作動するとき、作動油が環状溝33に浸入する。しかし、その環状溝33内に設けたシールリングSRには、その受圧面Faに幅方向中心より半径方向内側にスリット15が開口するように設けられているので、環状溝33に浸入した作動油がスリット15を拡開させ、スリット両側の半径方向外側の舌片部分Raと半径方向内側の舌片部分Rbとをそれぞれ環状溝33の内周面とピストン軸部37の外周面とに密着させることにより高い密封効果を発揮する。
【0026】
【発明の効果】上述したように本発明のシールリングによれば、加圧流体が作用する受圧面にスリットを同心状に設け、そのスリットの開口を受圧面の幅方向中心から半径方向内側に設け、かつ溝深さを半径方向斜め外側へ向けるようにしたので、加圧流体の作用によりスリットを拡開させ、両側の舌片部分を雌部材と雄部材とに密着させるため、信頼性の高い密封効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000215822
【氏名又は名称】帝国繊維株式会社
【識別番号】593140299
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
【出願日】 平成11年10月18日(1999.10.18)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2001−116150(P2001−116150A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願平11−295174