| 【発明の名称】 |
二酸化炭素冷媒用シール材およびそれを用いた圧縮機、冷凍システム装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】西脇 文俊
【氏名】鈴木 正明
【氏名】岡座 典穂
【氏名】吉田 雄二
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| 【要約】 |
【課題】シール材に対して著しく溶解、浸透しやすいCO2冷媒に適した低リーク量かつ高信頼性の二酸化炭素冷媒用シール材、およびそれを用いた圧縮機、冷凍システム装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン等の二酸化炭素冷媒ガスに対する拡散係数が溶解係数より大きく、室温における二酸化炭素冷媒ガスに対する浸透係数を0.38〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)の範囲とするエラストマーをシール材とし、そのシール材を用いて圧縮機、冷凍システム装置を構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 二酸化炭素冷媒ガスに対する拡散係数が溶解係数より大きいことを特徴とする二酸化炭素冷媒用シール材。 【請求項2】 二酸化炭素冷媒ガスに対する室温における浸透係数が0.38〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)である請求項1記載の二酸化炭素冷媒用シール材。 【請求項3】 ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、ポリエーテルエーテルケトンの何れかを主成分とする二酸化炭素冷媒用シール材。 【請求項4】 ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、カーボン、グラファイト、ガラスファイバー、二硫化モリブデンの少なくとも何れかを充填材として添加した請求項3記載の二酸化炭素冷媒用シール材。 【請求項5】 請求項1〜4記載の二酸化炭素冷媒用シール材を、シール用部材として用いたことを特徴とする二酸化炭素冷媒用圧縮機。 【請求項6】 圧縮機のシェル内を低圧に保つ低圧式構造を有する請求項5記載の二酸化炭素冷媒用圧縮機。 【請求項7】 2段階に圧縮する圧縮機のシェル内を低圧と高圧の中間圧に保つ請求項5記載の二酸化炭素冷媒用圧縮機。 【請求項8】 圧縮形式がスクロール式、レシプロ式、ロータリー式、斜板式、スクリュー式、リニア式の何れかである請求項5〜7のいずれかに記載の二酸化炭素冷媒用圧縮機。 【請求項9】 請求項5〜8のいずれかに記載の二酸化炭素冷媒用圧縮機を、圧縮機として用いたことを特徴とする冷凍システム装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は二酸化炭素を冷媒とする冷凍冷蔵庫や空調機等に用いられる冷媒圧縮機および冷凍空調システム装置のシール材に関するものである。 【0002】 【従来の技術】冷凍空調用の電動圧縮機としては、圧縮部がスクロール式、レシプロ式、ロータリー式、斜板式、スクリュー式およびリニア式等のものがあり、いずれの方式も家庭用、業務用、車載用の空調分野で使用されている。また、冷凍空調システムに用いられる冷媒は、オゾン層保護の地球環境の観点から、塩素を含まない代替冷媒であるハイドロフルオロカーボン(HFC)系冷媒への変換が進められている。ここでは、スクロール式の半密閉型圧縮機を例に取り従来の技術を説明する。空調用に使用されているスクロール圧縮機としては、特開平6−307356号公報に開示されているものが知られている。 【0003】図7に従来の半密閉型スクロール圧縮機の縦断面図を示す。密閉容器1は、それぞれフランジ部を有する上シェル1a、胴シェル1b、下シェル1c、およびスペーサ22から構成される。前記上シェル1a、胴シェル1b、下シェル1cのフランジ部に設けたO−リング溝内にO−リング23を装着し、各フランジ部を密着固定することにより、密閉容器1内部を外部から密閉している。 【0004】密閉容器1の内部には、固定スクロール2aと固定スクロール2aに対して旋回運動する可動スクロール2bとを噛み合わせた圧縮機構部2と、可動スクロール2bを支えるスラスト軸受3、固定スクロール2aを支えるテイハネケース25、スラスト軸受3を支承する軸受部品4を上部に設けている。そして、可動スクロール2bの軸2cを、主軸5の端部のクランク部5aに設けた穴部の偏心軸受6に挿入し、可動スクロール2bを主軸5の回転運動により旋回運動させる。主軸5には電動機7の回転子7aが取り付けられており、密閉容器1に焼き嵌め固定された固定子7bとともに軸受部品4の下部に配設されている。 【0005】ジャーナル軸受8は軸受部品4に環状のブッシュ材を圧入することにより形成されており、主軸5に作用する径方向の力を支えている。密閉容器1の下方底部には潤滑油9を貯溜する油だめ10が設けられている。また、密閉容器1の側部には冷媒ガスの吸入管11が設けられている。15は固定スクロール2aの上部に設けられた吐出チャンバー、16は密閉容器1の外へ圧縮冷媒ガスを出す吐出管部である。そして、軸受部品4、スペーサ22、およびテイハネケース25には貫通孔(図示せず)を設け、軸受部品4の下部および吐出チャンバー15の上部を吸入側の冷媒ガス圧力が作用する構成としている。 【0006】前記軸受部品4にはジャーナル軸受8、偏心軸受6、スラスト軸受3を潤滑、冷却した潤滑油9を排出する油排出口12が設けられている。主軸5には潤滑油9を各軸受部、すなわちジャーナル軸受8、偏心軸受6、スラスト軸受3へ供給する貫通穴13を設け、かつ主軸5の下端にはオイルポンプ14を取り付け、潤滑油9を吸い上げるようにしている。テイハネケース25と軸受部品4とはスペーサー22をはさんでボルトで締結されている。 【0007】19は停止時に可動スクロール2bが逆転するのを防ぐための逆止弁、24は逆止弁の動きを規制する逆止弁ガイド、20は可動スクロール2bを固定スクロール2aに対して旋回運動させるための自転防止用のオルダムリングである。 【0008】次に上記機構からなる圧縮機構の作用を説明する。低圧冷媒ガスは吸入管11より戻り、圧縮機構部2に吸入されるとともに、電動機7を冷却する。すなわち、密閉容器1内には吸入側の冷媒ガス圧力が作用するが、O−リング23により密閉容器1内の冷媒ガスが外部にリークすることを防いでいる。固定スクロール2aに対して可動スクロール2bを自転しないように旋回運動させることにより、固定スクロール2aと可動スクロール2bとの間に形成された複数の圧縮空間が外側から内側に向かって次第に縮小させられて圧縮が行われる。圧縮された冷媒ガスは高圧冷媒ガスとなり、一旦吐出チャンバー15へ入る。そして吐出管部16より密閉容器1外へ吐出され、再び低圧冷媒ガスを循環させ、周知の圧縮サイクルを構成する。 【0009】一方、オイルポンプ14で吸い上げられた潤滑油9は、主軸5の貫通穴13の中を上昇し、偏心軸受6、スラスト軸受3、ジャーナル軸受8を潤滑、冷却して、油排出口12から固定子7b上部へ排出され、固定子7bの切り欠き部(図示せず)を通って油だめ10に戻る潤滑サイクルを形成している。 【0010】従来の業務用のスクロール圧縮機では、冷媒としてハイドロフルオロカーボン(HFC)系のR407C冷媒を、冷凍機油としてポリオールエステル油を用い、O−リング等のシール材にはアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)ゴムあるいは水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(HNBR)ゴムを用いていた。 【0011】O−リング等のシール材を用いて冷媒が充満した密閉容器内の高圧冷媒ガスをシールする場合、一般に冷媒ガスはシール材の表面に溶解し、高圧面側(密閉容器内部)から低圧面側(密閉容器外部)への拡散が生じ、拡散した冷媒ガスは低圧側に蒸発することが知られている。このプロセスは浸透プロセスあるいは透過プロセスと呼ばれ、次のガス浸透方程式(数1)で表される。 【0012】 【数1】(V/t)= P・A・(p1−p2)/hここで、V/tは浸透速度、Pは浸透係数、Aは面積、hは厚さ、(p1−p2)は圧力差である。なお、浸透係数Pは溶解係数Sと拡散係数Dの積として(数2)式で表される。 【0013】 【数2】P=S・Dすなわち、浸透量は溶解係数Sが高く、拡散係数Dが高いほど、多くなることが解る。 【0014】R407C冷媒の主成分はHFC134a冷媒であり、この冷媒の各種シール材に対する浸透係数Pは低い値であることが知られている。例えば、HFC134a冷媒ガスに対してNBR材の室温における浸透係数は約0.38×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)である。したがって、NBRあるいはHNBRシール材を用いても、HFC系冷媒に対して、冷媒ガスがシール材中を浸透する浸透量は少なかった。また、NBRあるいはHNBRシール材は材料適合性にも優れ、膨潤による体積増加率も低い材料であった。 【0015】高圧雰囲気下でシール材中に溶解した大量の冷媒ガスは、圧力が急激に低下すると、圧力低下とともに膨張し、シール材の空孔部に集まり、拡散係数が低い場合には、臨界サイズまで成長した後、裂けてシールの破裂を引き起こすことが知られている。この現象はExplosive Decompression(ED)と呼ばれている。 【0016】R407C冷媒を空調用途に用いる場合、低圧式圧縮機の吸入圧すなわち密閉容器内の圧力は0.5MPa程度であり、停止時(室温24℃とすると)にはおおよそ1.0MPa程度となる。したがって、たとえON−OFF運転を行ってもシール材に作用する圧力変動は高々0.5MPa程度の小さな値であり、かつ、NBRあるいはHNBRシール材の浸透係数は低い値であるため、ED現象が生じてシール材が破裂するようなことはない。 【0017】このように、HFC系冷媒を用いた冷凍空調システムのシール材にNBRあるいはHNBRシール材を用いても、冷媒ガスがシール材中を浸透する浸透量は少なく、またED現象によりシール材が破裂するようなことはなかった。 【0018】 【発明が解決しようとする課題】今後、地球環境、特に地球温暖化防止の観点から、空調用冷媒を従来用いてきたHFC冷媒から自然界にもともと存在する二酸化炭素(CO2)などの自然冷媒に切り替える必要がある。しかしながら、CO2冷媒は、従来のHFC系冷媒に比べ、作動圧力が極めて高い。冷房標準条件の場合、R407C冷媒では前述のように圧縮機吸入圧(低圧)が0.5MPaであるのに対し、CO2冷媒では吸入圧(低圧)が約5MPaとなり、吐出圧(高圧)にいたっては8〜10MPaにも達する。しかもCO2冷媒は、従来のHFC系冷媒に比べ、シール材に対する溶解係数が非常に高く、拡散係数も中程度であるため、著しく溶解、浸透しやすい冷媒である。 【0019】以上のことから、CO2冷媒は急激な減圧によるシール破壊現象すなわちED現象が特に起こりやすい冷媒であった。このように、従来のHFC134a冷媒に使用していたシール材をCO2冷媒に用いた場合には、シール材を透過する冷媒ガスの漏れ量が著しく増大するのみならず、運転条件による急激な圧力変動によりシール材が破裂していた。 【0020】このため、安全性に問題があるのみならず、システム中の冷媒が減少して冷凍効果が得られなくなり、CO2冷媒システムの信頼性を損ねていた。 【0021】本発明は上記従来の問題点を解決するもので、CO2冷媒に適した低リーク量かつ高信頼性の二酸化炭素冷媒用シール材、およびそれを用いた圧縮機、冷凍システム装置を提供することを目的とする。 【0022】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために請求項1記載の本発明は、二酸化炭素冷媒ガスに対する拡散係数が溶解係数より大きいことを特徴とする二酸化炭素冷媒用シール材である。 【0023】請求項2記載の本発明は、二酸化炭素冷媒ガスに対する室温における浸透係数が0.38〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)である二酸化炭素冷媒用シール材である。 【0024】請求項3記載の本発明は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、ポリエーテルエーテルケトンの何れかを主成分とする二酸化炭素冷媒用シール材である。 【0025】請求項4記載の本発明は、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、カーボン、グラファイト、ガラスファイバー、二硫化モリブデンの少なくとも何れかを充填材として添加した二酸化炭素冷媒用シール材である。 【0026】請求項5記載の本発明は、上述した二酸化炭素冷媒用シール材を用いて構成したことを特徴とする二酸化炭素冷媒用圧縮機である。 【0027】請求項6記載の本発明は、圧縮機のシェル内を低圧に保つ低圧式構造を有する二酸化炭素冷媒用圧縮機である。 【0028】請求項7記載の本発明は、2段階に圧縮する圧縮機のシェル内を低圧と高圧の中間圧に保つ二酸化炭素冷媒用圧縮機である。 【0029】請求項8記載の本発明は、圧縮形式がスクロール式、レシプロ式、ロータリー式、斜板式、スクリュー式、リニア式の何れかである二酸化炭素冷媒用圧縮機である。 【0030】また、請求項9の本発明は、上述した二酸化炭素冷媒用圧縮機を用いて構成したことを特徴とする冷凍システム装置である。 【0031】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。 【0032】本発明は、二酸化炭素(CO2)冷媒用シール材に、CO2ガスに対する拡散係数が溶解係数より大きな値を持つシール材を用いたものである。拡散係数が溶解係数より大きいため、シール材の表面部に溶解したCO2ガスは容易に高圧側から低圧側に拡散する。したがって、運転条件による圧力変動が生じても、急激な圧力減少によるED現象が生じることはない。また、室温におけるCO2ガスに対するシール材の浸透係数を0.38〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)としている。ED現象が起こらず、浸透係数が小さくリーク量が少ないシール材を探索した結果、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系材料で浸透係数1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)であった。また、HFC系冷媒に対して実用化されているNBR材料のHFC134a冷媒ガスに対する浸透係数が約0.38×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)であることから、実用上は室温における浸透係数の範囲として0.38〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)が望ましい。 【0033】シール材の材料としては、前記ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系材料の他に、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(FEPM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材料などを用いても、拡散係数を溶解係数より大きく、かつ室温における浸透係数の範囲を0.38〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)とすることが可能である。 【0034】さらに、耐摩耗性を向上させるため、前記材料を主成分として、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、カーボン、グラファイト、ガラスファイバー、二硫化モリブデン(MoS2)などの充填材を添加した場合でも、同様に拡散係数が溶解係数より大きく、かつ室温における浸透係数の範囲を0.38〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)とすることが可能である。 【0035】このような仕様のCO2ガス用シール材料としたため、次に述べるような作用を生じる。 【0036】発明者らは、上記の構成もしくは手段によって得られる新事実、作用を以下に述べる実験に基づき確認した。 【0037】CO2冷媒を作動流体とする冷凍サイクルを構成する圧縮機の密閉容器、バルブ、および背圧弁のシール材として各種O−リング材料を用い、CO2冷媒との材料適合性を試験した。数百時間の冷凍サイクル運転後、各構成要素を分解し、各種O−リング材料の観察を行った。O−リング材料には、フッ素ゴム、パーフロロエラストマー(商品名カルレッツ)、クロロプレンゴム、およびPTFEを用いた。 【0038】図1〜図4に上記材料適合性試験結果を示す。それぞれ図1はフッ素ゴム、図2はパーフロロエラストマー、図3はクロロプレンゴム、図4はPTFEの試験結果を示す。フッ素ゴムおよびパーフロロエラストマーは、シール材が裂けてシールの破裂を引き起こした。クロロプレンゴムの場合には、表面上に多数の亀裂が見られた。冷凍サイクルから取り外した直後のクロロプレンゴムのO−リングにはCO2ガスの膨張によりシール材表面に気泡形成が生じて、その気泡が成長破裂し、亀裂を形成する現象すなわちED現象を確認した。一方、PTFEの場合、シール材の変化は全くなかった。 【0039】PTFEの拡散係数は溶解係数より大きく、フッ素ゴムの溶解係数は拡散係数より大きいことが知られている。パーフロロエラストマーおよびクロロプレンゴムの場合、フッ素ゴムと同様である。以上のことから、PTFEのように拡散係数を溶解係数より大きくすることで、ED現象を防ぐことができることが解った。そして、前述のように浸透係数の範囲を0.38〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)とすることにより、ED現象を起こさない範囲でリーク量を低減することができる。 【0040】したがって、本発明の二酸化炭素冷媒用シール材を採用することにより、浸透性の非常に高いCO2冷媒を用いた場合でも、シール材を浸透するガス量を低減するとともに、シール材破裂が生じない高信頼性のシール材を実現することが可能となる。 【0041】(実施の形態1)本発明の第1の実施の形態における二酸化炭素冷媒用圧縮機の構成を、図7の従来例を示した図を用いて説明する。図7に示した従来の半密閉型スクロール圧縮機と、O−リング材料を除いて、同一の構成である。したがって、従来例と同一の構成および作用の説明は省くことにする。 【0042】本実施の形態では、O−リング23の材料にPEEK材を用いている。この材料の室温における浸透係数は小さく0.88×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)であり、その拡散係数は溶解係数より大きな値である。このため、シール材を透過するCO2冷媒ガス量は少なく、またシール材表面に溶解したCO2冷媒ガスは容易に拡散するため、運転条件による圧力変動が生じてもシール材中のCO2冷媒ガスの急膨張によるシール材の破裂現象が生じることはない。したがって、シール材の浸透するガス量を低減するとともに、高信頼性のシール材を実現することが可能となる。 【0043】なお、本実施の形態では圧縮機を低圧構造のスクロール圧縮機としたが、レシプロ式、ロータリー式、斜板式、スクリュー式であっても同様の効果が得られる。また、2段圧縮の圧縮機の場合には、リーク量を低減させ、しかも圧縮機構成を容易にするため中間圧を密閉容器内圧に採用することが望ましい。その場合にも、同様の効果が得られることは言うまでもない。さらに、シール材の材料として、前記ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系材料の他に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(FEPM)などを用いても同様の効果が得られる。 【0044】(実施の形態2)以下、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。 【0045】図5は本発明の第2の実施の形態における二酸化炭素(CO2)冷媒用圧縮機の縦断面図である。本実施の形態では、CO2対応カーエアコン用の開放型スクロール圧縮機を示している。開放型圧縮機の場合、密閉容器30内に電動機などの駆動要素を備えず、密閉容器30の外部から主軸31を介して圧縮機構部32を駆動する。ここで、密閉容器30は上シェル30a、下シェル30b、および主軸31から構成され、O−リング33および軸シール34を用いて容器内部を密閉している。圧縮機構に関しては図7に示した従来スクロール圧縮機と同様である。圧縮機構部32は固定スクロール32aと固定スクロール32aに対して噛み合わされ旋回運動する可動スクロール32bから構成される。可動スクロール32bはスラスト軸受35で支えられ、主軸31は径方向に転がり軸受36で支えている。そして、主軸31の回転運動により、可動スクロール32bを旋回運動させる。密閉容器30には冷媒ガスの吸入口37および吐出口38を設けている。 【0046】本実施の形態では、主軸31の軸シール34にリップシールを用い、その材料にはPTFE材中に耐摩耗性を向上させるためポリイミド(PI)樹脂粉末を添加したもの採用した。また、上シェル30aと下シェル30b間のシールにはPEEK材のO−リングを採用した。軸シール34のPTFE材の室温における浸透係数は1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)であり、その拡散係数は溶解係数より大きな値である。また、O−リング33に用いたPEEK材の室温における浸透係数は0.88×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)であり、同様にその拡散係数は溶解係数より大きな値であった。 【0047】次に上記構成からなる圧縮機構の作用を説明する。低圧CO2冷媒ガスは吸入口37から密閉容器30内に吸入され、圧縮機構部32に流入する。固定スクロール32aに対して可動スクロール32bを旋回運動させることにより、固定スクロール32aと可動スクロール32bとで形成された複数の圧縮空間が外側から内側に向かって次第に縮小させられ圧縮が行われる。圧縮されたCO2冷媒ガスは高圧となり、吐出口38から密閉容器30外に吐出される。 【0048】本実施の形態では、CO2冷媒ガスのシール材に室温における浸透係数の範囲が0.88〜1.36×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)のPTFE材およびPEEK材を用いたため、シール材を透過するCO2冷媒ガス量を低減することが可能となる。また、このシール材料は拡散係数が溶解係数より大きな値であるため、運転条件による圧力変動が生じてもシール在中のCO2冷媒ガスの急膨張によるシール材の破裂現象が生じることはない。さらに、軸シール34のPTFEシール材中にポリイミド(PI)樹脂粉末を充填したため、主軸31の回転摺動による軸シールの耐摩耗特性を向上させることが可能となり、長期信頼性の確保ができる。 【0049】なお、本実施の形態では圧縮機を低圧構造のスクロール圧縮機としたが、レシプロ式、ロータリー式、斜板式、スクリュー式であっても同様の効果が得られる。さらに、シール材の材料として、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(FEPM)材料などを用いても同様の効果が得られる。 【0050】(実施の形態3)以下、本発明の第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。 【0051】図6は本発明の第3の実施の形態における二酸化炭素冷媒用冷凍システム装置に用いる配管継手の縦断面図である。二酸化炭素冷媒用の配管継手は、ボデイ40、グランド41、メスナット42およびO−リング43から構成し、ボデイ40、グランド41は配管42と溶接している。この構成とすることにより、接続が素早く、容易にでき、軸方向のクリアランスも必要としない。 【0052】O−リング43の材料にはPEEK材を用いている。この材料の室温におけるCO2ガスに対する浸透係数は小さく0.88×10-9cm3・cm/(cm2・s・cmHg)であり、その拡散係数は溶解係数より大きな値である。このため、シール材を透過するCO2冷媒ガス量は少なく、またシール材表面に溶解したCO2冷媒ガスは容易に拡散するため、運転条件による圧力変動が生じてもシール材中のCO2冷媒ガスの急膨張によるシール材の破裂現象が生じることはない。したがって、シール材の浸透するガス量を低減するとともに、高信頼性のシール材を実現することが可能となる。 【0053】本発明の二酸化炭素冷媒用冷凍システム装置は、実施の形態1の二酸化炭素冷媒用圧縮機と、ガスクーラー、膨張弁、エバポレータ、レシーバ、配管等を上記二酸化炭素冷媒用の配管継手を用いて接続しシステム構成したものである。したがって、著しく溶解、浸透しやすい二酸化炭素を冷媒に用いた場合でも、冷凍システムからの冷媒のリーク量を低減できるとともに信頼性の高いシステムを実現することが可能となる。 【0054】なお、本実施の形態ではメスナットを締め付けることによりシールする継手を用いたが、Push Fitタイプの継手であっても同様の効果が得られることは言うまでもない。 【0055】また、シール材の材料として、前記ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系材料の他に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(FEPM)などを用いても同様の効果が得られる。 【0056】 【発明の効果】以上述べたところから明らかなように本発明は、著しく溶解、浸透しやすい二酸化炭素を冷媒に用いた場合でも、シール材からのリーク量を低減させることが可能となり、また運転条件による急激な圧力変動によりシール材が破裂することがなくなるため、安全性、信頼性の高い低リーク量のシール材、およびそのシール材を用いた圧縮機、配管継手および冷凍システムを提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月13日(1999.10.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092794 【弁理士】 【氏名又は名称】松田 正道
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| 【公開番号】 |
特開2001−108108(P2001−108108A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−291192 |
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