| 【発明の名称】 |
鋼製組み合わせオイルリング |
| 【発明者】 |
【氏名】三井田 浩
【氏名】片山 信夫
【氏名】村山 克己
【氏名】品田 美幸樹
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| 【要約】 |
【課題】鋼製組み合わせオイルリングのサイドレールの振動を抑制する。
【解決手段】鋼製組み合わせオイルリングのサイドレール(4a, 4b)の外周部(6a)側を支持する突起部(8)をエキスパンダ(6)の各外周部(6a)に形成し、サイドレール(4a, 4b)の全周に対する突起部(8)の周方向の長さ割合を20%以上とすると、突起部(8)間の間隔が短く、サイドレール(4a, 4b)の上下方向の拘束力が大きくなり、サイドレール(4a, 4b)の変形及び振動が抑制されるので、異常音の発生を防止することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平面視形状が半径方向に波打つ複数の外周部と複数の内周部とを備えかつ周方向に延びる環状に形成されたエキスパンダと、エキスパンダ上に装着されかつエキスパンダの各内周部に形成された耳部により径方向外側に内周部が押圧されるサイドレールとを備えた鋼製組み合わせオイルリングにおいて、サイドレールの外周部側を支持する突起部がエキスパンダの各外周部に形成され、サイドレールの全周に対する突起部の周方向の長さ割合は20%以上であることを特徴とする鋼製組み合わせオイルリング。 【請求項2】 サイドレールは上側のサイドレールと、下側のサイドレールとを備え、エキスパンダの外周部の上端及び下端にはそれぞれ上方及び下方に突出する突起部が垂直方向に整列して形成され、上側のサイドレールは上方に突出する突起部に当接し、下側のサイドレールは下方に突出する突起部に当接する3ピースオイルリングである請求項1に記載の鋼製組み合わせオイルリング。 【請求項3】 外周部の各端部は接続部により内周部に接続され、外周部のほぼ全長にわたって形成された突起部は外周部と接続部とが接続される折り曲げ部付近まで延びる請求項1又は2に記載の鋼製組み合わせオイルリング。 【請求項4】 突起部の周方向の長さは耳部の周方向の長さと実質的に同一又はこれより長い請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼製組み合わせオイルリング。 【請求項5】 サイドレールの全周に対する突起部の周方向の長さ割合は25%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼製組み合わせオイルリング。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のピストンに装着されかつ内燃機関の稼動中にサイドレールの振動を抑制できる鋼製組み合わせオイルリングに関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、実開昭59−107952号公報に示されるように、ピストンのオイルリング溝内にオイルリングを挿入し、オイルリングとオイルリング溝の底壁面間にオイルリングをシリンダボア内壁面に向けて押圧するスペースエキスパンダを挿入したオイルリング装置は公知である。このオイルリング装置では、シリンダボア内面に接触するオイルリング外端部でのオイルリングの厚み及びスペーサエキスパンダと接触するオイルリング内端部でのオイルリングの厚みに比べてオイルリングリングの厚みは小さい。このように、スペーサエキスパンダと2つのサイドレールからなるオイルリング装置は3ピースオイルリングと呼ばれる。 【0003】また、実願昭63−49892号(実開平1−58545号)に示される組み合わせオイルリングは、ピストンのオイルリング溝内に上下に配置され外周面がシリンダボアに摺接される2枚のサイドレールと、サイドレールの内周面に当接して耳部を有し、耳部を介してサイドレールをシリンダボア方向及びオイルリング溝の上下面方向に付勢するエキスパンダとからなる。 【0004】更に、実公平5−5327号公報は、一対のサイドレールと、サイドレールを上下に離隔保持し内周側の端部に上下に突出して設けられたサイドレール押圧片によりサイドレールを半径方向及び軸方向に押圧付勢するスペーサエキスパンダとからなる組み合わせオイルリングを示す。 【0005】このように、オイルリングのサイドレールは、エキスパンダの外周部に上下方向に突出する突起部により上下方向に支持され、エキスバンダの内周部に上下方向に突出させて設けた耳部を介して、エキスパンダの弾性力を受けシリンダボアの内面に摺動自在に押圧される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のオイルリングでは、サイドレールを上下方向に支持する突起部の周方向長さの割合がサイドレール全周の20%未満であるため、サイドレールを上下方向に支持する突起部の周方向長さが短い。このためサイドレールの上下方向の拘束が小さくなり、サイドレールとシリンダボアの内面との間に発生する摩擦力により、サイドレールが上下方向に変形し振動し易くなる欠点があった。サイドレールの振動に伴い、オイル消費率が低下すると共に、異常音が発生する原因となる。本発明は、サイドレールの振動を抑制できる鋼製組み合わせオイルリングを提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明による鋼製組み合わせオイルリングは、平面視形状が半径方向に波打つ複数の外周部(6a)と複数の内周部(6b)とを備えかつ周方向に延びる環状に形成されたエキスパンダ(6)と、エキスパンダ(6)上に装着されかつエキスパンダ(6)の各内周部(6b)に形成された耳部(7)により径方向外側に内周部(6b)が押圧されるサイドレール(4a, 4b)とを備えている。サイドレール(4a, 4b)の外周部(6a)側を支持する突起部(8)がエキスパンダ(6)の各外周部(6a)に形成される。サイドレール(4a, 4b)の全周に対する突起部(8)の周方向の長さ割合は20%以上、好ましくは25%以上であると、突起部(8)間の間隔が短く、サイドレール(4a, 4b)の上下方向の拘束力が大きくなり、サイドレール(4a, 4b)の変形及び振動が抑制されるので、異常音の発生を防止することができる。 【0008】本発明の実施の形態では、サイドレール(4a, 4b)は上側のサイドレール(4a)と、下側のサイドレール(4b)とを備え、エキスパンダ(6)の外周部(6a)の上端及び下端にはそれぞれ上方及び下方に突出する突起部(8)が垂直方向に整列して形成される。上側のサイドレール(4a)は上方に突出する突起部(8)に当接し、下側のサイドレール(4b)は下方に突出する突起部(8)に当接する3ピースオイルリングである。 【0009】外周部(6a)の各端部は接続部(6c)により内周部(6b)に接続され、外周部(6a)のほぼ全長にわたって形成された突起部(8)は外周部(6a)と接続部(6c)とが接続される折り曲げ部(6d)付近まで延びる。突起部(8)の周方向の長さは耳部(7)の周方向の長さと実質的に同一又はこれより長い。 【0010】 【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るオイルリングの実施の形態を図1〜図3について説明する。 【0011】本発明による鋼製組み合わせオイルリングを示す図1及び図2から明らかなように、鋼製組み合わせオイルリング(3)は、ピストン(1)のオイルリング溝(2)に装着され、ステンレス鋼により形成された上側のサイドレール(4a)及び下側のサイドレール(4b)と、各サイドレール(4a, 4b)をシリンダボア(5)側に付勢するバネとなる鋼製のエキスパンダ(6)とを備えている。図2に示すように、エキスパンダ(6)の平面視形状は、鋼製組み合わせオイルリング(3)の半径方向に波打ちながら周方向に延びる環状で、エキスパンダ(6)は、図1に示すように帯板状の断面形状に形成される。 【0012】環状の波形に形成されるエキスパンダ(6)の外周部(6a)の上端及び下端にはそれぞれ上方及び下方に突出する突起部(8)が垂直方向に整列して形成される。外周部(6a)の各端部は接続部(6c)により内周部(6b)に接続され、外周部(6a)のほぼ全長にわたって形成された突起部(8)は外周部(6a)と接続部(6c)とが接続される折り曲げ部(6d)付近まで延びる。サイドレール(4a, 4b)の全周に対する突起部(8)の周方向の長さ割合は20%以上、好ましくは25%以上である。各突起部(8)は、一対のサイドレール(4a, 4b)の外周側を上向及び下向に支持すると共に、一対のサイドレール(4a, 4b)を所定の間隔に保持する。エキスパンダ(6)の内周部(6b)の上端及び下端にはそれぞれ上方及び下方に突出する耳部(7)が垂直方向に整列して形成される。耳部(7)の両側には耳部(7)に所与の弾性を付与するため、切欠部(7a)が形成される。突起部(8)の周方向の長さは耳部(7)の周方向の長さと実質的に同一又はこれより長い。各耳部(7)は、サイドレール(4a, 4b)の各内周側と接触し、サイドレール(4a, 4b)を径方向外側に押圧して拡径する弾性力を付与することによりシリンダボア(5)の内壁に付着する潤滑油をサイドレール(4a, 4b)によって掻き落とすことができる。このため、サイドレール(4a, 4b)が当接する各耳部(7)の外周面はピストン(1)の軸方向に対して30゜以下の角度、例えば15゜で傾斜する。また、各耳部(7)は、上側のサイドレール(4a)及び下側のサイドレール(4b)の内周側又は対向面をそれぞれオイルリング溝(2)の上壁(2a)及び下壁(2b)に対して押圧するので、上側のサイドレール(4a)の上側面が線接触又は面接触でオイルリング溝(2)の上壁(2a)に当接すると共に、下側のサイドレール(4b)の下側面が線接触又は面接触でオイルリング溝(2)の下壁(2b)に当接する。 【0013】ピストン(1)が上下方向に往復運動する際に、エキスパンダ(6)の突起部(8)に支持されるサイドレール(4a, 4b)もシリンダボア(5)の内壁に沿って上下に摺動する。ピストン(1)が上昇運動するとき、上側のサイドレール(4a)はシリンダボア(5)の内壁との摩擦力によってオイルリング溝(2)の上壁(2a)から離間し、上側のサイドレール(4a)と上壁(2a)との間に間隙が発生する。上側のサイドレール(4a)によって掻き上げられたシリンダボア(5)の内壁に付着する潤滑油は上側のサイドレール(4a)と上壁(2a)との間の間隙を通りオイルリング溝(2)内に流入し、その後、オイルリング溝(2)に連絡してピストン(1)に形成される図示しない開口部を通り潤滑油はオイル溜に向かって流れる。このとき、下側のサイドレール(4b)がオイルリング溝(2)の下壁(2b)に当接するため、オイルリング溝(2)内の潤滑油はシリンダボア(5)の内壁に戻されない。 【0014】ピストン(1)が下降運動するとき、上側のサイドレール(4a)はオイルリング溝(2)の上壁(2a)に密着し、シリンダボア(5)の内壁に付着する潤滑油を確実に掻き落とすことができる。このとき、下側のサイドレール(4b)はシリンダボア(5)の内壁との摩擦力によってオイルリング溝(2)の下壁(2b)から離間し、下側のサイドレール(4b)と下壁(2b)との間に間隙が発生する。下側のサイドレール(4b)によって掻き上げられた潤滑油は下側のサイドレール(4b)と下壁(2b)との間の間隙を通りオイルリング溝(2)内に流入し、その後、図示しない開口部を通り潤滑油はオイル溜に向かって流れる。 【0015】サイドレール(4a, 4b)とシリンダボア(5)の内壁間に発生する摩擦力は、サイドレール(4a, 4b)を変形させる力を生じるが、周方向に所定の角度間隔で配列された複数の突起部(8)によって支持されるため、サイドレール(4a, 4b)の変形が抑制される。 【0016】図3は、サイドレール(4a, 4b)の全周に対する突起部(8)の周方向の長さ割合と、サイドレール(4a, 4b)の変形量との関係を示すグラフである。突起部(8)の周方向の長さ割合が20%未満の従来品では、サイドレールの変形量が大きく、ピストン(1)の往復運動に伴って振動が生ずる。これに対して、突起部(8)の周方向の長さ割合が20%以上の本発明品では、サイドレール(4a, 4b)の変形量が小さく、また、ピストン(1)の往復運動に伴うサイドレール(4a, 4b)の振動を抑制することができた。図3では、突起部(8)の周方向の長さ割合が35%まで示すが、実際には35%以上でも前記と同様の作用効果があるが、耳部(7)に十分な機械的強度を与えるため、突起部(8)の周方向の長さ割合は60%以下、好ましくは50%以下、更に好ましくは40%以下であるとよい。 【0017】本実施の形態では、サイドレール(4a, 4b)の全周に対するエキスパンダ(6)の各突起部(8)の周方向長さの割合を20%以上に長くすることにより、サイドレール(4a, 4b)の変形量を減少し、サイドレール(4a, 4b)の振動を抑制することができる。 【0018】本実施の形態では下記の作用効果が得られる。 [1] サイドレール(4a, 4b)の変形及び振動を抑制できる。 [2] サイドレール(4a, 4b)の振動に伴うエンジンからの異常音の発生を防止できる。 [3] サイドレール(4a, 4b)の損傷を防止しかつ寿命を延長できる。 [4] 3ピースオイルリングの動的安定性を確保できる。 [5] エンジン性能を向上することができる。 【0019】 【発明の効果】前記のように、本発明の鋼製組み合わせオイルリングでは、サイドレールの変形量を減少し、サイドレールの振動を抑制できるので、サイドレールの損傷を防止しかつ寿命を延長し、サイドレールの動的安定性を確保すると共に、エンジン性能を向上することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000139023 【氏名又は名称】株式会社リケン
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| 【出願日】 |
平成11年10月13日(1999.10.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082049 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 敬一
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| 【公開番号】 |
特開2001−108099(P2001−108099A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−290824 |
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