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【発明の名称】 サスペンションのシール構造
【発明者】 【氏名】篠原 克行

【氏名】山村 博一

【要約】 【課題】車体パネルと支持ブラケットに対するシール部材の取り付け作業の容易性を確保しつつ該シール部材の位置ずれの発生を確実に防止することによりシール性能の低下を防止する。

【解決手段】支持ブラケット8は、前記車体パネル9の開口周縁部に固定された逆椀状の基部11と、該基部の上端部に結合された椀状の支持部12とから構成されている。シール部材21は、前記基部と支持部との間の環状凹部に外方向から弾性嵌合するシール本体22と、該シール本体の下端部に一体に設けられて、車体パネルの開口孔縁部9bが外方から当接する袴状のリップ部23とから構成されている。前記シール本体の内周面に形成された第1当接部24と突起部24aを、支持部の底部12a側の折曲部外面に弾接させると共に、第2当接部25と突起部25aを、基部の膨出部11aの折曲部外面に弾接させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下端部が車軸側に結合されたショックアブソーバの上端部を、支持ブラケットを介して車体パネルに結合すると共に、前記支持ブラケットと車体パネルとの間を環状の弾性シール部材によってシールしてなるサスペンションのシール構造において、前記シール部材の内周面の所定位置に、該シール部材が前記支持ブラケットの外周面に径方向から縮径した際に、該支持ブラケットの外周面の周方向2カ所位置に当接する当接部を形成したことを特徴とするサスペンションのシール構造。
【請求項2】 前記支持ブラケットを、前記車体パネルの開口周縁部に固定される基部と、該基部の上端部に結合された椀状の支持部とから構成する一方、前記シール部材を、前記基部と支持部との間に形成された環状凹部に外方向から弾性嵌合するシール本体と、該シール本体の下端部に一体に設けられて、前記基部を車体パネルの開口周縁部に組み付ける際に、前記車体パネルの開口孔縁部が上方向から当接する袴状のリップ部とから構成し、前記シール本体の内周面下部に形成された前記一方の当接部を、前記基部の湾曲状の折曲部外面に弾接させると共に、シール本体の内周面上部に形成された他方の当接部を、前記支持部の湾曲状の折曲部外面に弾接させたことを特徴とする請求項1記載のサスペンションのシール構造。
【請求項3】 前記各当接部の内面に突起部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のサスペンションのシール構造。
【請求項4】 前記リップ部の上面に、前記車体パネルの開口孔縁部が面接触状態で当接する第3当接部を形成したことを特徴とする請求項2〜3に記載のサスペンションのシール構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のサスペンションに用いられるショックアブソーバを車体パネルに取り付ける支持ブラケットと前記車体パネルとの間をシールするシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、自動車の例えばリアマルチリンクサスペンションは、図9に示すように後輪1、1の車軸2、2間に該車軸を支持するトレーリングアーム3、3と、該トレーリングアーム3、3間に配置されたサブフレーム4及びスタビライザ5と、前記トレーリングアーム3、3の車軸2、2近傍にそれぞれ立設された一対のショックアブソーバ6、6とを備えている。
【0003】前記ショックアブソーバ6、6は、その下端部がブッシュなどを介してトレーリングアーム3、3の端部上に回動自在に結合されている一方、上端部がゴムブッシュ7及び支持ブラケット8を介して、図10に示す車体パネル9に取り付けられている。
【0004】すなわち、前記車体パネル9の所定位置には、固定用孔9aが穿設されていると共に、この固定用孔9aの開口周縁部に前記ショックアブソーバ6、6の上端部に予め固定された前記支持ブラケット8がボルト10によって固定されている。この支持ブラケット8は、図10に示すように固定用孔9aの開口周縁部下面にボルト10固定され、中央部が上方へ膨出した基部11と、該基部11の膨出部11aの上面にかしめなどによって固定された椀状の支持部12とから構成されている。
【0005】そして、前記固定用孔9aの立ち上がり折曲した孔縁部9bの下面と、該孔縁部9bと対向する基部11の膨出部11aの立ち上がり折曲部11b上面との間に円環状のゴム製シール部材13が介装されている。このシール部材13は、図10〜図12に示すように横断面ほぼハ字形状に形成されて、下面13aが前記折曲部 11bの湾曲上面に沿って湾曲状に形成されていると共に、車体パネル9側の上面に階段状の突起部13bが形成されている。
【0006】したがって、ショックアブソーバ6、6を車体パネル9に取り付ける際に、上面にシール部材13が予め載置された支持ブラケット8の基部11を、車体パネル9の下方から固定用孔9aの開口周縁部方向に押し当てながらボルト10、10を締め込んでいくと、図11示すようにシール部材13各突起部13bが固定用孔9aの孔縁部9bの下面に弾接し、その後、シール部材13全体が両者9b,11間で挟圧されて圧縮変形し、これによって車体パネル9の開口周縁部と基部11との間のシール性能を発揮するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来のシール構造にあっては、シール部材13が支持ブラケット8の基部11上面に固定されることなく、単に折曲部11bの凹状上面に嵌合されるようになっているため、前述のように、支持ブラケット8を車体パネル9に取り付ける際に、ボルト10、10を締め付けていくと、シール部材13が孔縁部9bの湾曲下面によって内方へ押圧されて折曲部11bの凹状上面位置から位置ずれしてしまう恐れがある。この結果、かかる支持ブラケット8の車体パネル9に対する組付作業が繁雑になり、該作業能率の低下を招来する。
【0008】しかも、シール部材13は、前述のように全体が孔縁部9bと折曲部11bの凹状上面に挟持状態で圧縮変形されるようになっているため、車体パネル9や支持ブラケット8の製造誤差や組付誤差などが生じると、支持ブラケット8への適正な位置に保持できないばかりか支持ブラケット8と車体パネル9間での均一な圧縮変形が得られず、この結果シール部材13による前記両者8、9間のシール性能の低下を招く恐れがある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、請求項1記載の発明は、下端部が車軸側に結合されたショックアブソーバの上端部を、支持ブラケットを介して車体パネルに結合すると共に、前記支持ブラケットと車体パネルとの間を環状の弾性シール部材によってシールしてなるサスペンションのシール構造において、前記シール部材の内周面の所定位置に、該シール部材が前記支持ブラケットの外周面に径方向から縮径した際に、該支持ブラケットの外周面の周方向2カ所位置に当接する当接部を形成したことを特徴としている。
【0010】したがって、シール部材を単に支持ブラケットの上面に載置するのではなく、支持ブラケットの外周面にシール部材自身の弾性力で縮径変形して内周側の各当接部が支持ブラケットの外周面所定位置に弾接密着する。これによって、シール部材は、支持ブラケットの外周面に対して上下及び周方向の確実な位置決めが行なわれる。その後、この支持ブラケットを車体パネルに組み付ける際に、該車体パネルの開口縁をシール部材の一部に当接させながらボルト固定しても該シール部材の位置ずれの発生が防止される。
【0011】請求項2記載の発明は、前記支持ブラケットを、前記車体パネルの開口周縁部に固定される基部と、該基部の上端部に結合された椀状の支持部とから構成する一方、前記シール部材を、前記基部と支持部との間に形成された環状凹部に外方向から弾性嵌合するシール本体と、該シール本体の下端部に一体に設けられて、前記基部を車体パネルの開口周縁部に組み付ける際に、前記車体パネルの開口孔縁部が上方向から当接する袴状のリップ部とから構成し、前記シール本体の内周面下部に形成された前記一方の当接部を、前記基部の湾曲状の折曲部外面に弾接させると共に、シール本体の内周面上部に形成された他方の当接部を、前記支持部の湾曲状の折曲部外面に弾接させたことを特徴としている。
【0012】請求項3記載の発明は、前記各当接部の内面に突起部を設けたことを特徴としている。
【0013】請求項4記載の発明は、前記リップ部の上面に、前記車体パネルの開口孔縁部が面接触状態で当接する第3当接部を形成したことを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるサスペンションのシール構造の実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0015】この実施形態も前記従来例と同じくリアマルチリンクサスペンションに適用したシール構造を示し、図8に示すように、前記ショックアブソーバ6は、その下端部がブッシュなどを介して図外のトレーリングアームの端部上に回動自在に結合されている一方、上端部6aに円盤状のワッシャ15とスプリングリテーナ16との間にスリーブ17を介して配置された上下のゴムブッシュ7a,7bがナット18により固定されていると共に、このゴムブッシュ7a,7bの連結中央部に固定された支持ブラケット8を介して、車体パネル9に取り付けられている。
【0016】また、前記車体パネル9の所定位置には、固定用孔9aが穿設されていると共に、この固定用孔9aの開口周縁部に前記ショックアブソーバ6の上端部6aに予め固定された前記支持ブラケット8がボルト10によって固定されている。
【0017】この支持ブラケット8は、従来と同じく外周側のフランジ部11cが固定用孔9aの開口周縁部下面にボルト10固定されて、中央に逆椀状の膨出部11aを有する基部11と、底部12aが前記膨出部11aの上面に溶接などによって固定された椀状の支持部12とから構成され、両者11、12の対接する中央位置には、前記ゴムブッシュ7a,7bの連結中央部を挿通固定する支持孔14が形成されている。
【0018】そして、前記固定用孔9aの立ち上がり折曲した孔縁部9bの内周面と該孔縁部9bと対向する基部11の膨出部11aの外周面との間に円環状のシール部材21が介装されている。
【0019】このシール部材21は、図1〜図3に示すように拡縮径可能なゴム材によって横断面ほぼハ字形状に一体に形成されて、前記基部11と支持部12との結合部位に有する環状凹部の外周面に外方から弾性嵌合するシール本体22と、該シール本体22の下端部に一体に設けられた袴状のリップ部23とから構成されている。
【0020】前記シール本体22は、比較的に肉厚に形成されて、内周面の上端部に前記支持部12の底部12aの湾曲状折曲外周面に当接する第1当接部24が形成されていると共に、内周面の下端部に前記基部11の膨出部11aの湾曲状折曲外周面に当接する第2当接部25がそれぞれ形成されている。また、この第1、第2当接部24、25には、前記膨出部11aと底部12aの湾曲状に折曲した各外周面の下部に当接する突起部24a、25aが一体に設けられている。
【0021】一方、前記リップ部23は、シール本体22よりも薄肉に形成されて、前記膨出部11aから基部11の外周側フランジ部11c方向に延設され、先細り状に形成されたその先端部23aは支持ブラケット8が車体パネル9に取り付けられる前には膨出部11aの外面から離間状態になっている。また、リップ部23の先端部側の上面が第3当接部26として構成されている。
【0022】以下、本実施形態の作用について説明すれば、まず、図2及び図3に示すように、支持ブラケット8を車体パネル9に組み付ける前において、シール部材21を一旦拡開変形させながら支持部12上方向から該支持部12に被嵌し、その後、両者11、12間の環状凹部付近で拡開力を解除する。これによって、シール部材21は、自身の弾性縮径反力によって基部11と支持部12との間の環状凹部の外周面に弾接する。そして、この時点で第1当接部24の内周面と突起部24aが、支持部底部12aの湾曲状折曲部の外周面に、該外周面を下から押圧する状態で弾接する一方、第2当接部25内周面と突起部25aが、膨出部11aの湾曲状折曲部の外周面に、該外周面を上から押さえ込むような形で弾接する。また、この組み付け前では、リップ部先端部23aが基部11の外面から離間状態になっている。
【0023】次に、予めショックアブソーバ6の上端部6aに取り付けられた支持ブラケット8を車体パネル9の固定用孔9aの開口周縁部にボルト10、10固定する際に、まず、図4及び図5に示すように、該支持ブラケット8を固定用孔9aの下方から所定の位置に位置決めしながら支持部12と基部11とを固定用孔9aから上方に突出配置する。その後、基部11のフランジ部11cに形成されたボルト挿通孔11d,11d内にボルト10、10の軸部を螺入する。この時点では、リップ部23が、孔縁部9bの内周面と基部11の外周面との間に配置されて、リップ部23の先端部23aの第3当接部26が、孔縁部9b内周面に所定幅Xをもって面接触状態で軽く当接している。
【0024】続いて、前記各ボルト10、10を締め付けていくと、図6〜図7に示すように支持ブラケット8が上昇して基部11のフランジ部11c上面が車体パネル9の固定用孔9aの開口周縁部下面に当接すると共に、図7に示すようにリップ部23の第3当接部26が孔縁部9bの内周面で押圧されて該先端部23aが下方へ折曲変形する。したがって、第2当接部25の下面が突起部25aとともに膨出部11aの湾曲状折曲部の外周面に面接触状態で圧接する。この際、前記先端部23aは、図示のように下面が膨出部11aの上面に当接することなく、一定の隙間をもって対峙している。
【0025】したがって、シール部材21は、リップ部23に対する下方への押圧力によって第2当接部25が膨出部11aの湾曲状折曲上面に強く圧接しているため、該第3当接部26と第2当接部25との共同作用によって車体パネル9の固定用孔9a開口周縁部と支持ブラケット8の基部11ブラケット部11bとの間を確実にシールすることができる。
【0026】また、シール部材21は、前述のように支持ブラケット8の基部11と支持部12との間の環状凹部に嵌合した際に、両当接部24、25が各突起部24a,25aを介して各湾曲状折曲部を抱着状態に弾接しているため、該シール部材21を支持ブラケット8に対して確実に位置決めすることができると共に、車体パネル9に支持ブラケット8をボルト10、10固定した際におけるシール部材21は該両者8、9の間に挟み込むのではなく、先端部23aが単に下方に押圧されるだけであるから、シール部材21の位置ずれの発生が確実に防止される。この結果、シール部材21の支持ブラケット8に対する取り付け作業が簡単になることは勿論のこと、たとえ車体パネル9や支持ブラケット8の製造誤差や組付誤差などが生じても位置ずれによるシール性能の低下を防止できる。
【0027】また、シール部材21の第1、第2当接部24、25にそれぞれ突起部24a,25aを設けたため、前記支持ブラケット8の各当接部位に対するより確実な当接状態が得られ、位置ずれの発生をさらに防止することが可能になる。
【0028】本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えばシール部材21の断面形状や大きさあるいはゴムの材質などを支持ブラケット8などの形状などに応じて適宜変更することも可能である。
【0029】
【発明の効果】本発明のサスペンションのシール構造によれば、シール部材を単に支持ブラケットの上面に載置するのではなく、支持ブラケットの外周面にシール部材自身の弾性力で縮径変形して内周側の各当接部が支持ブラケットの外周面所定位置に弾接密着するため、支持ブラケットの外周面に対してシール部材を上下及び周方向に確実に位置決めすることができる。この結果、シール部材の取り付け作業が容易になると共に、各当接部によりシール部材の位置ずれが防止されてシール性能の低下を防止できる。
【0030】請求項2記載の発明によれば、支持ブラケットを車体パネルにボルトにより組み付けた際に、従来のようにシール部材全体が前記両者に挟み込まれて圧縮変形するのではなく、シール部材のリップ部を押圧することにより、前記一方の当接部の圧接力を大きくすることにより該当接部とリップ部とによってシール性を確保するようにしたため、たとえ支持ブラケットや車体パネルの固定用孔などの製造誤差や組付誤差が生じてもシール部材の位置ずれの発生が防止される。
【0031】請求項3記載の発明によれば、突起部によって各当接部による支持ブラケットに対する当接力が向上してシール部材の位置決めがさらに確実になると共に、シール性能の向上が図れる。
【0032】請求項4記載の発明によれば、リップ部上面の第3当接部が車体パネルの開口孔縁部に面接触状態で当接するため、該リップ部と前記一方の当接部との共同作用によってシール性能が一層向上する。
【出願人】 【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
【出願日】 平成11年9月16日(1999.9.16)
【代理人】 【識別番号】100062199
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 富士弥 (外3名)
【公開番号】 特開2001−82608(P2001−82608A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−261310