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【発明の名称】 ヒンジ付きベローズ
【発明者】 【氏名】古谷 淳一

【要約】 【課題】湾曲の繰り返しに対する耐久性を十分に確保しながら、内圧による座屈を防止することを可能にしたヒンジ付きベローズを提供する。

【解決手段】蛇腹円筒状に成形されたベローズ1の両端部を左右一対のヒンジ11を介して互いに連結したヒンジ付きベローズにおいて、ベローズ1の中腹部にスプール5を装着し、該スプール5のベローズ軸方向に対する直角方向への変位を拘束する。スプール5に左右一対のガイドプレート31を取り付け、各ガイドプレート31の両端部をヒンジ11の両ラグ部12,13に連結し、これらガイドプレート31によりスプール5の変位を拘束する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蛇腹円筒状に成形されたベローズの両端部を左右一対のヒンジを介して互いに連結したヒンジ付きベローズにおいて、前記ベローズの中腹部にスプールを装着し、該スプールのベローズ軸方向に対する直角方向への変位を拘束したヒンジ付きベローズ。
【請求項2】 前記ベローズの両端部と前記スプールとをそれぞれ複数組のリンク機構を介して互いに連結し、これらリンク機構により前記スプールの変位を拘束した請求項1に記載のヒンジ付きベローズ。
【請求項3】 前記スプールに左右一対のガイドプレートを取り付け、各ガイドプレートの両端部を前記ヒンジの揺動軸を跨いで両ラグ部に連結し、これらガイドプレートにより前記スプールの変位を拘束した請求項1に記載のヒンジ付きベローズ。
【請求項4】 前記ガイドプレートの両端部にそれぞれベローズ軸方向を長径とする長円形状又は楕円形状の開口部を設けると共に、前記ヒンジの両ラグ部にそれぞれ前記開口部内を摺動するガイドピンを設けた請求項3に記載のヒンジ付きベローズ。
【請求項5】 前記ヒンジの揺動軸の位置に該ヒンジの揺動軌道に沿う円弧溝を設けると共に、前記スプールと前記ガイドプレートとの交差位置に前記円弧溝内を摺動するセンタリングピンを設けた請求項3又は請求項4に記載のヒンジ付きベローズ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベローズの両端部を左右一対のヒンジを介して互いに連結したヒンジ付きベローズに関し、更に詳しくは、湾曲の繰り返しに対する耐久性を十分に確保しながら、内圧による座屈を防止することを可能にしたヒンジ付きベローズに関する。
【0002】
【従来の技術】ヒンジ付きベローズは、蛇腹円筒状に成形されたベローズの両端部を左右一対のヒンジを介して互いに連結した構造を有し、これらヒンジを設けることによりベローズの湾曲を可能にしながらベローズ軸方向の伸長を抑制するようにしている。
【0003】しかしながら、上述したヒンジ付きベローズにおいては、湾曲角度を大きくした使用環境では耐久性(寿命)と座屈防止とを両立することが困難になるという問題があった。すなわち、ベローズの剛性を低く設定した場合、湾曲の繰り返しに対する耐久性を向上することが可能であるものの、湾曲状態でベローズに高圧の流体を通過させると、その湾曲部が外側に膨らんでベローズが座屈し易くなってしまう。一方、ベローズの剛性を高く設定した場合、内圧による座屈は生じ難くなるものの、湾曲の繰り返しに対する耐久性が低下してしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、湾曲の繰り返しに対する耐久性を十分に確保しながら、内圧による座屈を防止することを可能にしたヒンジ付きベローズを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明のヒンジ付きベローズは、蛇腹円筒状に成形されたベローズの両端部を左右一対のヒンジを介して互いに連結したヒンジ付きベローズにおいて、前記ベローズの中腹部にスプールを装着し、該スプールのベローズ軸方向に対する直角方向への変位を拘束したことを特徴とするものである。
【0006】このようにベローズの中腹部にスプールを装着し、該スプールのベローズ軸方向に対する直角方向への変位を拘束したことにより、湾曲の繰り返しに対する耐久性を十分に確保しながら、内圧による座屈を防止することができる。
【0007】より具体的には、ベローズの両端部とスプールとをそれぞれ複数組のリンク機構を介して互いに連結し、これらリンク機構によりスプールの変位を拘束することが可能である。また、スプールに左右一対のガイドプレートを取り付け、各ガイドプレートの両端部をヒンジの揺動軸を跨いで両ラグ部に連結し、これらガイドプレートによりスプールの変位を拘束することが可能である。特に、後者の場合にはスプールの拘束手段を簡単な構造にすることができる。
【0008】上記ガイドプレートを採用する場合、ガイドプレートの両端部にそれぞれベローズ軸方向を長径とする長円形状又は楕円形状の開口部を設けると共に、ヒンジの両ラグ部にそれぞれ開口部内を摺動するガイドピンを設けることが好ましい。また、ヒンジの揺動軸の位置に該ヒンジの揺動軌道に沿う円弧溝を設けると共に、スプールとガイドプレートとの交差位置に円弧溝内を摺動するセンタリングピンを設けることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】図1〜図6は本発明の第1実施形態からなるヒンジ付きベローズを例示するものである。図において、ベローズ1は蛇腹円筒状に成形され、その両端部にそれぞれフランジ2を備えている。フランジ2には所定の間隔をおいて複数のボルト孔3が開孔され、これらボルト孔3を用いて他の部材との連結が可能になっている。
【0011】ベローズ1の両端部は左右一対のヒンジ11,11を介して互いに連結されている。図1及び図4に示すように、各ヒンジ11はラグ部12,13の一端をそれぞれベローズ1の両端部に固定し、これらラグ部12,13の他端を互いに重ね合わてピン14からなる揺動軸により連結した構成になっている。より具体的には、ラグ部12の他端は二股に分岐しており、その二股間にラグ部13の他端を挟み込むようになっている。左右一対のヒンジ11,11は互いに反対側の位置に取り付けられ、ベローズ1の一方向への揺動を可能にしている。
【0012】ベローズ1の中腹部にはスプール5が装着されている。このスプール5はベローズ1を分割し、その中腹部に溶接して組み込んだものであっても良く、或いはベローズ1の中腹部に外挿したものであっても良い。スプール5とベローズ1の両端部とはそれぞれベローズ周方向に等間隔に配置された3組のリンク機構21を介して互いに連結されている。
【0013】図2及び図3に示すように、各リンク機構21はリンク棒22の一端をスプール5に設けられたブラケット6にピン23を介して枢支すると共に、リンク棒24の一端をベローズ1の端部に設けられたブラケット4にピン25を介して枢支し、これらリンク棒22,24の他端を互いに重ね合わせてピン26からなるリンク軸で連結した構成になっている。図5に示すように、ピン26で連結されたリンク棒22,24の相互間には隙間dが設けられている。そのため、リンク棒22,24はピン26の軸廻りの揺動のみならず、隙間dに基づいてピン26の軸方向へ僅かに捩じれることが可能である。
【0014】上記ヒンジ付きベローズを湾曲状態で使用する場合は、図6に示すように、ヒンジ11を屈曲させながらベローズ1を所定の曲げ角度で湾曲させ、そのフランジ2を他のパイプ等に連結する。このとき、3組のリンク機構21はそれぞれベローズ1の湾曲に追従しながら屈曲するが、ヒンジ11と屈曲方向を異にするもの(図3の下側2組)にはピン26の軸方向へ捩じれ変位を生じる。このとき、下側2組のリンク機構21はスプール5のベローズ軸直角方向への変位を常に拘束する。捩じれ変位の最大値は隙間dの設定に基づいて決まり、その上限値に到達したときリンク機構21はそれ以上は屈曲しなくなる。
【0015】上述のようにベローズ1の中腹部にスプール5を装着し、複数組のリンク機構21によりスプール5のベローズ軸方向に対する直角方向への変位を拘束したことにより、ベローズ全体の曲げ角度はスプール5の両側に曲げ角度θ1 ,θ2 として等配されるので、ベローズ全体の曲げ角度を大きく設定した場合であっても座屈性能を向上することができる。また、複数組のリンク機構21によりスプール5の変位を拘束しているため、ベローズ1の剛性を低く設定することが可能になり、その結果として湾曲の繰り返しに対する寿命性能を向上することができる。
【0016】図7〜図12は本発明の第2実施形態からなるヒンジ付きベローズを例示するものである。図において、ベローズ1は蛇腹円筒状に成形され、その両端部にそれぞれフランジ2を備えている。
【0017】ベローズ1の両端部は左右一対のヒンジ11,11を介して互いに連結されている。図7及び図10に示すように、各ヒンジ11はラグ部12,13の一端をそれぞれベローズ1の両端部に固定し、これらラグ部12,13の他端を互いに重ね合わてピン14からなる揺動軸により連結した構成になっている。より具体的には、ラグ部12の他端は二股に分岐しており、その二股間にラグ部13の他端を挟み込むようになっている。左右一対のヒンジ11,11は互いに反対側の位置に取り付けられ、ベローズ1の一方向への揺動を可能にしている。
【0018】ベローズ1の中腹部にはスプール5が装着されている。このスプール5はベローズ1を分割し、その中腹部に溶接して組み込んだものであっても良く、或いはベローズ1の中腹部に外挿したものであっても良い。スプール5にはベローズ軸方向に延長する左右一対のガイドプレート31,31がそれぞれ支柱32を介して取り付けられている。
【0019】各ガイドプレート31の両端部にはそれぞれベローズ軸方向を長径とする長円形状又は楕円形状の開口部33,33が設けられている。一方、ヒンジ11のラグ部12,13にはそれぞれ開口部33内を摺動するガイドピン34が立設されている。これらガイドピン34とガイドプレート31とは、ガイドピン34に外挿された保持部材35により互いに摺動可能に保持されている。これにより、各ガイドプレート31の両端部がヒンジ11の揺動軸を跨いで両ラグ部12,13に連結されている。
【0020】また、図10及び図11に示すように、ヒンジ11のラグ部12には揺動軸の位置にガイド部材36が取り付けられている。このガイド部材36のガイドプレート側の面には、ヒンジ11の揺動軌道(ラグ部12に対するラグ部13の揺動軌道)に沿う円弧溝37が形成されている。一方、スプール5とガイドプレート31との交差位置にはセンタリングピン38が支柱32から延長するように突設されており、このセンタリングピン38が円弧溝37内を摺動するようになっている。
【0021】上記ヒンジ付きベローズを湾曲状態で使用する場合は、図12に示すように、ヒンジ11を屈曲させながらベローズ1を所定の曲げ角度で湾曲させ、そのフランジ2を他のパイプ等に連結する。このとき、ヒンジ11のガイドピン34はガイドプレート31の開口部33内で摺動可能であるので、ヒンジ11の屈曲に伴ってガイドプレート31は湾曲半径方向内側へ移動する。但し、開口部33はベローズ軸方向を長径とする長円形状又は楕円形状であるため、ヒンジ11の屈曲角度を固定した状態ではガイドプレート31は湾曲半径方向外側へ移動することができない。そのため、ガイドプレート31によりスプール5のベローズ軸方向に対する直角方向への変位を拘束することができる。
【0022】また、スプール5とガイドプレート31との交差位置に設けたセンタリングピン38は、ヒンジ11の揺動軌道に沿う円弧溝37内を摺動するので、スプール5の両側でのベローズ1の曲げ変位がいずれか一方に偏ることはなく、これら両側の曲げ角度θ1 ,θ2 を均等に保持することができる。
【0023】上述のようにベローズ1の中腹部にスプール5を装着し、左右一対のガイドプレート31によりスプール5のベローズ軸方向に対する直角方向への変位を拘束したことにより、ベローズ全体の曲げ角度はスプール5の両側に曲げ角度θ1 ,θ2 として等配されるので、ベローズ全体の曲げ角度を大きく設定した場合であっても座屈性能を向上することができる。また、左右一対のガイドプレート31によりスプール5の変位を拘束しているため、ベローズ1の剛性を低く設定することが可能になり、その結果として湾曲の繰り返しに対する寿命性能を向上することができる。
【0024】しかも、第2実施形態は第1実施形態に比べて構成が簡単であるため、上述した優れた機能を有するヒンジ付きベローズを小型軽量かつ低コストで製作することが可能になる。
【0025】本発明において、ベローズは金属製のパイプ材を複数プライ積層して蛇腹状に成形することにより得られる。上記パイプ材の構成材料としては、ニッケル合金(例えば、INCO 718)等を使用することができる。本発明によれば、ベローズの剛性を低く設定することが可能であるので、パイプ材の板厚を小さくし、そのプライ数を削減することができる。このようにパイプ材を薄肉化し、或いはプライ数を削減することにより、ベローズの成形を容易に行うことが可能になる。
【0026】なお、本発明のヒンジ付きベローズはベローズ全体の曲げ角度を20°〜40°の範囲で大きく設定する場合に好適である。このようなヒンジ付きベローズにおいて、スプールの両側における曲げ角度(θ1 ,θ2 )を10°〜20°の範囲に設定することが好ましい。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、蛇腹円筒状に成形されたベローズの両端部を左右一対のヒンジを介して互いに連結したヒンジ付きベローズにおいて、ベローズの中腹部にスプールを装着し、該スプールのベローズ軸方向に対する直角方向への変位を拘束したことにより、湾曲の繰り返しに対する耐久性を十分に確保しながら、内圧による座屈を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
【出願日】 平成11年9月9日(1999.9.9)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2001−82604(P2001−82604A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−256029