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【発明の名称】 回転軸の支持構造
【発明者】 【氏名】松浦 雅幸

【氏名】村井 行男

【氏名】畑中 満

【氏名】藤本 孝

【要約】 【課題】簡単な構造でシール性の高い回転軸の支持構造を提供する。

【解決手段】回転軸20は、濾過槽12に形成された孔22から濾過槽12内に挿通されている。濾過槽12の外側には、ケース30が設置されており、回転軸20は、このケース30に設けられた軸受76に軸支されている。ケース30は、ゴム製のジョイント34を介して孔22と液密状態で連結されており、先端部にシール部材50、52、60を備えている。濾過槽12が変形した場合であっても、その濾過槽12の変形は可撓性を有するジョイント34で吸収されるため、軸受76及びシール部材50、52、60は影響を受けず、常に高いシール性を確保しつつ、回転軸20をスムーズに回転させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液槽の両側壁に形成された孔から所定の隙間を保って液槽内に挿通される回転軸と、前記液槽の外側に配設され、前記回転軸を軸支する軸受手段と、前記軸受手段が収納される筒状のケースと、前記ケース内に設けられ、前記ケースと前記回転軸との隙間をシールするシール手段と、前記ケースと前記孔との間を液密状態で連結する可撓性を有するジョイントと、からなることを特徴とする回転軸の支持構造。
【請求項2】 前記シール手段は、前記回転軸に挿通されるスリーブと、前記ケース内に設けられ、前記スリーブの外周面に摺接して前記ケースと前記スリーブとの隙間をシールする複数のシール部材と、からなり、前記スリーブの位置を変えて前記スリーブに摺接するシール部材を替えることを特徴とする請求項1記載の回転軸の支持構造。
【請求項3】 前記スリーブの外周がテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の回転軸の支持構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回転軸の支持構造に係り、特に外部から液槽内を貫通して設置される回転軸の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、回転平膜分離装置のように回転軸が液槽の外部から液槽内を貫通して設置される装置がある。この種の装置では、回転軸挿通用の孔を液槽の両壁面に形成し、この孔に軸受を嵌め込んで回転軸を軸支するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液槽の両側壁に形成された孔に軸受を嵌め込む構造とすると、回転軸が長い場合には、回転軸の両端部の軸受と孔の芯合わせが難しく、製作、メンテナンスが困難という欠点がある。
【0004】また、液槽が変形した場合には芯ズレが生じ、スムーズな回転ができなかったり、液槽の壁面に形成された孔のシール部から液漏れが生じたりするという欠点がある。
【0005】さらに、液槽に直接軸受を設置する構造とすると、液槽の槽壁部の強度を高くしなければならず、大型化、コストアップになるという欠点もある。
【0006】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造でシール性の高い回転軸の支持構造を提供することを目的とする。
【0007】
【発明を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するために、液槽の両側壁に形成された孔から所定の隙間を保って液槽内に挿通される回転軸と、前記液槽の外側に配設され、前記回転軸を軸支する軸受手段と、前記軸受手段が収納される筒状のケースと、前記ケース内に設けられ、前記ケースと前記回転軸との隙間をシールするシール手段と、前記ケースと前記孔との間を液密状態で連結する可撓性を有するジョイントと、からなることを特徴とする。
【0008】本発明によれば、回転軸は液槽の両側壁に形成された孔から所定の隙間を保って液槽内に挿通され、液槽の外部に設置された軸受手段によって軸支される。したがって、孔と軸受手段との芯合わせが容易となり、製作、メンテナンスが容易になる。また、シール手段も液槽から分離して設置されており、軸受手段が収納されたケースに設置されているので、芯合わせが極めて容易となる。さらに、軸受手段、シール手段が液槽から分離して設置されていることにより、液槽に変形が生じても軸受、シール手段には、その影響が及ばない。したがって、常に回転軸をスムーズに回転させることができるとともに、常に高いシール性を確保することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に従って本発明に係る回転軸の支持構造の好ましい実施の形態について詳説する。なお、以下の説明では本発明を回転平膜分離装置に適用した例で説明する。
【0010】まず、回転平膜分離装置の構成を説明する。回転平膜分離装置10は、溶液を分離、濃縮する装置であり、特に、廃水処理工程における活性汚泥の分離や凝縮汚泥の分離、汚泥濃縮等に利用されている。
【0011】図1は回転平膜分離装置10の構成を示す側面図である。同図に示すように、回転平膜分離装置10は濾過槽12を有している。濾過槽12は円筒状に形成されており、その下面部には供給口14が形成され、上面部には排出口16が形成されている。被濾過液は供給口14から濾過槽12内に供給され、濾過処理されたのち、濃縮液として排出口16から排出される。
【0012】濾過槽12の内部には、複数の濾過板18、18、…が一定ピッチで配設されている。この濾過板18、18、…は円盤状に形成されており、回転軸20に一定ピッチで取り付けられている。回転軸20は中空状に形成されており、各濾過板18、18、…とは連結部分に形成された連通孔を介して連通されている。この回転軸20は、濾過槽12の両側面に形成された孔22、22から所定の隙間22a、22aを保って濾過槽12内に挿通されており、両端部を濾過槽12の外側に設けられた軸支持部に軸支されている。そして、その一方端部に連結された図示しないモータに駆動されて回転する。本発明は、この回転軸20の軸支持部に適用されており、その構成は後に詳述する。
【0013】前記のごとく構成された回転平膜分離装置10では、次のようにして被濾過液を濾過する。すなわち、供給口14から被濾過液を濾過槽12内に供給し、回転軸20を回転させると、被濾過液中に含まれている懸濁物質などが濾過板18、18、…で濾過され、濾過液が回転軸20の内部を通って槽外に取り出される。そして、濾過後の濃縮液は排出口16から槽外に排出される。
【0014】次に、本発明が適用された回転軸20の軸支持部の構成について説明する。なお、回転軸20の両端部において軸支持部の構成は同じなので、ここでは図1において右側の軸支持部の構成について説明し、他方側の軸支持部の構成の説明は省略する。
【0015】図2は、回転軸20の軸支持部の構成を示す正面断面図である。同図に示すように、濾過槽12の外側には円筒状に形成されたケース30が配設されている。このケース30は、濾過槽12の外側に配設された架台32上に設置されており、濾過槽12に形成された孔22とほぼ同軸上に配設されている。
【0016】ケース30と孔22とは、ゴム製のジョイント34を介して互いに液密状態で連結されている。このジョイント34は両端部にフランジ34a、34bを有する円筒状に形成されており、先端側のフランジ34aは、孔22の端面に密着されてボルト36、36、…で固定されている。一方、後端側のフランジ34bは、ケース30に形成されたフランジ38の端面に密着されてボルト40、40、…で固定されている。
【0017】回転軸20は、前記ケース30の内側に挿通されている。ここで、このケース30は、一次シールケース42、二次シールケース44、軸受ケース46及び軸受キャップ48の4つの部材を図示しないボルトで連結して一体形成している。
【0018】一次シールケース42は、後端部にフランジ38を有する円筒状に形成されており、その内周部には一次シール50と予備シール52とが直列して配置されている。この一次シール50と予備シール52とは共に同じ構成を有しており、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)製のリップ50a、52aを備えている。リップ50a、52aは耐蝕性を有する金属スプリング50b、52bで中心方向に付勢されており、この金属スプリング50b、52bの弾性力と被濾過液の圧力によってリップ50a、52bはシール面に押さえつけられ、これにより被濾過液が確実にシールされる。
【0019】この2つシール部材50、52のうち先端側に位置する一次シール50は、回転軸20に嵌入された一次スリーブ54の外周面に摺接されている。この一次スリーブ54は、Oリング56、56を介して回転軸20に嵌め込まれており、その外周部にはステライトによる肉盛部54aが形成されている。一次シール50は、この肉盛部54aに摺接している。
【0020】二次シールケース44は、両端部にフランジ58a、58bを有する円筒状に形成されており、先端側のフランジ58aは前記一次シールケース42に形成されたフランジ38と図示しないボルトを介して連結されている。この二次シールケース44の内周部には、先端側にゴム製の二次シール60が配設されており、後端側にオイルシール62が配設されている。二次シール60は、回転軸20に嵌入された二次スリーブ64の外周面に摺接されており、これにより、ケース30と回転軸20との隙間がシールされる。また、オイルシール62は、回転軸20に嵌入されたカラー66の外周面に摺接されており、これにより、ケース30と回転軸20との隙間がシールされる。
【0021】ここで、前記二次シール60が摺接する二次スリーブ64は、Oリング68、68を介して回転軸20に嵌め込まれており、回転軸20に沿って摺動可能に設けられている。そして、セットスクリュー70、70、…によって任意の位置に固定できるように構成されている。また、この二次スリーブ64は、その外周部が先端側から後端側(図2中左側から右側)に向けて拡径するテーパ状に形成されている。さらに、この二次スリーブ64は、外周部の2か所に所定の間隔をもってステライトによる肉盛部64a、64bが形成されている。
【0022】ところで、前記のごとく構成された二次スリーブ64は、一次シール50が磨耗していない場合は、図2に示す位置、すなわち先端側の肉盛部64aが二次シール60に摺接する位置にセットする。この状態において、ケース30と回転軸20との隙間は、一次シール50と二次シール60の2か所でシールされる。
【0023】一方、一次シール50が磨耗した場合、二次スリーブ64は、図3に示すように、先端側の肉盛部64aが予備シール52に摺接する位置にセットする。この状態において、二次スリーブ64は、先端側の肉盛部64aに予備シール52が摺接し、後端側の肉盛部64bに二次シール60が摺接する。これにより、ケース30と回転軸20との隙間は、予備シール52と二次シール60の2か所でシールされる。なお、このとき、二次スリーブ64は、後端部に向かって拡径するテーパ状に形成されているため、二次シール60が磨耗している場合であっても、肉盛部64bに密着し、高いシール性を保つことができる。
【0024】このように、一次シール50の他に予備シール52を備えることにより、ケース30を分解して、シール部材を交換するという作業が不要になり、メンテナンスが容易になる。
【0025】なお、二次スリーブ64を移動させる作業は、二次シールケース44に形成された開口部44aから行う。すなわち、この開口部44aに取り付けられている蓋72を開け、この開口部44aからドライバ等を挿入してセットスクリュー70、70、…を緩め、二次スリーブ64を移動させる。移動後は、再びセットスクリュー70、70、…を締め、開口部44aに蓋72を取り付ける。
【0026】また、二次シールケース44には、下面部に水抜き孔74が形成されており、この水抜き孔74から液体が漏洩することを確認することにより、シール部材の磨耗状態を確認することができる。
【0027】軸受ケース46は、環状に形成されており、前記二次シールケース44に形成された後端側のフランジ58bに図示しないボルトを介して連結されている。この軸受ケース46の内周部には、軸受76が設けられており、回転軸20は、この軸受76に軸支されている。
【0028】軸受キャップ48は、前記軸受ケース46に図示しないボルトを介して取り付けられ、軸受ケース46の後端部を遮蔽する。この軸受キャップ48は、環状に形成されており、内周部78はラビリンス構造とされている。そして、この軸受キャップ48で遮蔽された軸受ケース46内には、軸受キャップ48に形成されたグリース注入口80からグリースが注入されて充填される。
【0029】前記のごとく構成された本発明が適用された回転軸20の軸支持部の作用は次のとおりである。
【0030】図2に示すように、ケース30と回転軸20との隙間は、一次シール50と二次シール60の2か所でシールされる。このように2か所でシールすることにより、シール性を向上させることができる。
【0031】ところで、濾過槽12に被濾過液が供給されると、その被濾過液の重み等で濾過槽12が変形する場合がある。
【0032】しかし、本実施の形態の軸支持部は、軸受76が濾過槽12から分離して設置されているため、濾過槽12が変形しても軸受76はその影響を受けず、常に回転軸20をスムーズに回転させることができる。同様にシール部も濾過槽12から分離して設置されているため、濾過槽12が変形してもシール部はその影響を受けず、常に高いシール性を確保することができる。
【0033】また、このように軸受とシール部材とを濾過槽12から分離して設置することにより、組み立てが容易になるという効果もある。すなわち、従来のように、軸受を濾過槽に直接設置する場合、「軸受で軸支される回転軸の軸芯」と「シール部材の軸芯」と「孔の軸芯」とを互いに一致させることが必要となるが、この作業は極めて困難である。しかし、本実施の形態のように、軸受とシール部材とを濾過槽12から分離して設置することにより、「孔の軸芯」と「回転軸の軸芯」と必ずしも一致させる必要がなくなり、ラフな設定が可能になる。また、「シール部材の軸芯」と「回転軸の軸芯」との芯合わせは、各シール部材が軸受76の近傍に設置されていることから容易に行うことができる。これにより、組み立てが容易に行うことができ、製作、メンテナンスが容易になる。
【0034】さらに、軸受とシール部材とを濾過槽12から分離して設置することにより、濾過槽自体の強度を低く設定することができ、装置のコンパクト化、低コスト化を図ることができる。
【0035】また、一次シール50が磨耗し、被濾過液が漏洩すると、ケース30に形成された水抜き孔74から被濾過液が滴下するので、装置の運転を一時停止し、予備シール52を使用する。すなわち、図3に示すように、二次スリーブ64を先端側に押し込み、先端側の肉盛部64aに予備シール52を摺接させる。これにより、ケース30と回転軸20との隙間は、予備シール52と二次シール60の2か所でシールされる。なお、このとき二次スリーブ64は、後端部に向かって拡径するテーパ状に形成されているため、二次シール60が磨耗している場合であっても、肉盛部64bに密着し、高いシール性を保つことができる。
【0036】このように一次シール50の他に予備シール52を備えることにより、ケース30を分解して、シール部材を交換するという作業が不要になり、メンテナンスが容易になる。
【0037】このように本実施の形態の回転軸の軸支持構造によれば、簡単な構成で高いシール性を確保することができる。
【0038】なお、以上の実施の形態では、本発明を回転平膜分離装置に適用した例で説明しているが、本発明の適用はこの装置に限定されるものではなく、回転軸が液槽内に挿通、配置される構成の装置であれば、同様に適用することができる。
【0039】また、本実施の形態では、予備シール52を1つだけ設置しているが、複数個設置するようにしてもよい。
【0040】また、本実施の形態では、ジョイント34をゴム製としているが、可撓性を有する材質のものであれば、これに限定されるものではない。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、軸受手段及びシール手段が可撓性を有するジョイントによって液槽から分離して設置されているため、液槽に変形が生じても軸受手段及びシール手段はその影響を受けず、常に高いシール性を確保しながら回転軸をスムーズに回転させることができる。また、軸受手段が液槽の外部に設置されているので、軸受手段の芯合わせが容易になり、これにより組み立て、メンテナンスが容易になる。
【出願人】 【識別番号】000005452
【氏名又は名称】日立プラント建設株式会社
【出願日】 平成11年8月31日(1999.8.31)
【代理人】 【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
【公開番号】 特開2001−65701(P2001−65701A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−245860