| 【発明の名称】 |
樹脂被覆ゴムガスケットおよびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】九澤 直也
【氏名】中野 光行
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| 【要約】 |
【課題】高温下や薬品下で使用された場合でも所定の引張強さ、伸び、圧縮永久歪みの値を維持し、さらにガスケットの劣化や溶出物がなく、特に食品業界で使用されるプレート式熱交換器に適したガスケットを、その断面形状や大きさなどに関係なく提供する。
【解決手段】ゴムと補強充填材とを主成分とするゴム組成物からなる線状の中芯ゴムと、前記線状材の表面を覆う樹脂シートとが一体化されていることを特徴とする樹脂被覆ゴムガスケット。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ゴムと補強充填材とを主成分とするゴム組成物からなる線状の中芯ゴムと、前記中芯ゴムの表面を覆う樹脂シートとが一体化されていることを特徴とする樹脂被覆ゴムガスケット。 【請求項2】 ゴムと補強充填材とを主成分とするゴム組成物からなる線状の中芯ゴムと、前記中芯ゴムの表面を覆うふっ素樹脂シートとが一体化されていることを特徴とする樹脂被覆ゴムガスケット。 【請求項3】 中芯ゴムの断面形状が、その全長にわたり一定でないことを特徴とする請求項2記載の樹脂被覆ゴムガスケット。 【請求項4】 ふっ素樹脂シートの厚さが0.01mm〜0.5mmであることを特徴とする請求項2または請求項3記載の樹脂被覆ゴムガスケット。 【請求項5】 樹脂からなるシートと、未架橋ゴムと補強充填材とを主成分とするゴム組成物とを接触させた状態で、前記ゴムの架橋温度にて加圧成形することを特徴とする樹脂被覆ゴムガスケットの製造方法。 【請求項6】 ふっ素樹脂からなるシートと、未架橋ゴムと補強充填材とを主成分とするゴム組成物とを接触させた状態で、前記ゴムの架橋温度にて加圧成形することを特徴とする樹脂被覆ゴムガスケットの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は配管・装置などの広範囲な分野で、流体の漏れを防止するために使用されるガスケット、特に食品業界や化学業界で、流体間の熱交換を行うために使用するプレート式熱交換器用ガスケット及びその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般にプレート式熱交換器とは、図4に示すような伝熱面2の四隅に流体の通路3となる孔を有する長方形状をした複数枚の伝熱プレート1を、ガスケット5を介して積層した構造となっており、ガスケット5の形状を変えることによって2種類の流体を交互に伝熱プレート1上の伝熱面2を通し、伝熱プレート1を介して熱交換する機器で、食品業界や化学業界で幅広く使用されている。このプレート式熱交換器に使用するガスケット5は、伝熱プレート1の外周の溝4に装着され、2種類の流体間および流体と外部との間をシールするために重要な役割を果たしており、断面が多角形の細長いゴムの成形品が用いられることが多い。 【0003】また、ガスケット5はゴムとカーボンブラックとを主成分とするゴムコンパウンドを架橋したものが一般的であり、用いられるゴムの種類としては、エチレンプロピレンゴム(EPMおよびEPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、ふっ素ゴム(FKM)等が流体の種類および温度に応じて使い分けられている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】このうち、食品業界では高温での短時間殺菌が主流となってきたことから、内部流体の温度が150℃程度まで上がることが多くなり、また熱交換器内の洗浄を行うために酸などの洗浄用の薬品が流体として使用されたりすることもあり、上記したようなゴムコンパウンドを架橋したガスケット5では、ゴムの劣化によるカーボンブラックの離脱や、ゴム中の成分の溶出などが見られ問題となることもあった。 【0005】そこで、近年では、耐熱性や耐薬品性が高く、劣化や溶出などを起こさないふっ素樹脂で被覆したガスケットが使用されるようになってきている。このふっ素樹脂で被覆したガスケットとしては、図5に示すようにふっ素樹脂シート13の内側に石綿ジョイントシート等の中芯材料12を挟んだクッションガスケットや、図6に示すようにゴムOリング14の周囲をふっ素樹脂15で覆ったふっ素樹脂被覆ゴムOリング等がよく知られている。 【0006】ところが、図4に示したようなプレート式熱交換器においては、ガスケット5は伝熱プレート1の溝4に装着して使用するため、溝4への嵌め込みおよび溝4からの抜き出しを容易に行えることが要求され、またガスケット交換時期まで流体間および流体と外部との間をシールするために圧縮永久歪みが少なくかつ長時間流体の圧力に耐えられる引張強さや伸びを保持する必要があるため、その断面は複雑な多角形に成形されることが多い(例えば、図8、図9参照)。また、このガスケット5は、図7に示すように、分岐部分5aや伝熱プレートの溝からの離脱を防ぐための突起5bなどを有しており、その断面形状は位置により異なっている。図8に図7の任意の位置での断面形状、例えばAA’断面図を示すが、図9に示した突起5bの断面図(BB’断面)とは大きく形状が相違している。このような位置により異なる断面形状を有するガスケット5に対して、従来の被覆技術では均一な膜厚でふっ素樹脂被覆をするのは困難であった。しかも、近年では、その長手方向が1500mm、幅方向が500mm位の大型のガスケット5もあり、このふっ素樹脂被覆の困難さをさらに増長している。 【0007】本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、高温下や薬品下で使用された場合でも所定の引張強さ、伸び、圧縮永久歪みの値を維持し、さらにガスケットの劣化や溶出物がなく、特に食品業界で使用されるプレート式熱交換器に適したガスケットを、その断面形状や大きさなどに関係なく提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、ゴムと補強充填材とを主成分とするゴム組成物からなる線状の中芯ゴム材と、前記中芯ゴムの表面を覆う樹脂シートとが一体化されていることを特徴とする樹脂被覆ゴムガスケットを提供する。また、同様の目的を達成するために、本発明は、樹脂からなるシートと、未架橋ゴムと補強充填材とを主成分とするゴム組成物とを接触させた状態で、前記ゴムの架橋温度にて加圧成形することを特徴とする樹脂被覆ゴムガスケットの製造方法を提供する。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明のふっ素樹脂被覆ゴムガスケット(以下、単に「ガスケット」と呼ぶ)を従来のガスケットを示す図8に対応させて示した断面図であり、図2は同じく図9に対応させて示した断面図である。また、図3は本発明のガスケットの製造方法を説明するための断面図である。 【0010】図示されるように、本発明のガスケット5は、ゴムと補強充填材であるカーボンブラックとを主成分とするゴム組成物からなる線状の中芯ゴム7と、この中芯ゴム7の表面を覆うふっ素樹脂シート6とが一体化されたものである。尚、補強充填材としては、シリカを用いることも可能である。このガスケット5は、図3(a)に示すように、一方の金型(ここでは下型9)のキャビティの開口面を覆うようにふっ素樹脂シート6を張設し、このふっ素樹脂シート上に接着剤を塗工した後、未架橋ゴムとカーボンブラックとを主成分とするゴム組成物からなる棒状体7aを載置し、次いで同図(b)に示すように他方の金型(ここでは上型8)を装着し、金型8,9をゴムの架橋温度に維持して所定の圧力でプレスする。この加熱成形により、棒状体7aは架橋を伴って所定の断面形状に成形され、それと同時にその表面にふっ素樹脂シート6aが一体に接合される。そして、金型8,9を外し、余分なふっ素樹脂シート6aを除去することによりガスケット5が得られる。また、必要に応じて、このガスケット5をオーブンを用いて二次加硫を施してもよい。 【0011】尚、ふっ素樹脂シート6による中芯ゴム7の被覆量あるいは被覆箇所は特に制限されるものではないが、少なくとも伝熱プレートの流体に接触する部分がふっ素樹脂6で被覆されていることが好ましい。ふっ素樹脂は一般に潤滑性があり、離型性に優れるため、伝熱プレートの溝への嵌め込みおよび溝からの抜き出しを容易に行うことができるようになる。また、ガスケット5の劣化や溶出物を抑えるためには、上記した伝熱プレートの溝に嵌入される部分を含めて概ね中芯ゴム7の全表面積の50%以上、特に60%以上がふっ素樹脂シート6で被覆されていることが好ましい。勿論、中芯ゴム7の全表面をふっ素樹脂シート6で覆うことが最も望ましく、その場合は図3(a)において棒状体7aの上下にふっ素樹脂シート6aを配置すればよい。 【0012】上記の方法によれば、単に金型9のキャビティの断面形状を変えることにより、所望の断面形状のふっ素樹脂シート6で被覆されたガスケット5が得られる。また、ふっ素樹脂シート6の面積は自由に変更できるため、大型のガスケット5にも対応できる。 【0013】上記において、ふっ素樹脂シート6aの種類は特に制限されるものではないが、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオロライド(PVDF)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などを挙げることができる。尚、使用する樹脂としてはふっ素系の樹脂以外に、ポリエチレンやポリプロピレンなどの汎用プラスチックなどあらゆる樹脂系材料を適用することができる。また、その厚さについては耐薬品性、シール性や成形性を考慮すれば、0.01mm〜0.5mmの範囲のシートが使われるが、望ましくは0.05mm〜0.25mmである。これは、シートの厚さが薄すぎると、図3(b)における一体成形時にふっ素樹脂シート6aが伸ばされて切れが発生し、逆にシートの厚さが厚すぎるとガスケット5を伝熱プレートの溝へ嵌入する作業が困難になったり、ふっ素樹脂シート6が応力緩和により変形して漏れが生じ易くなることによる。 【0014】更に、このふっ素樹脂シート6aの棒状体7aが載置される面に適当な表面処理を施すことが好ましい。処理液としては、例えば、金属ナトリウムをナフタレンのテトラヒドロフラン溶液に加えて得られる錯化合物溶液を使用することができる。これにより、ふっ素樹脂シート6と中芯ゴム7との密着性をより高めることができる。また、ふっ素樹脂シート6aに塗工される接着剤としては、例えばオルガノシロキサンを使用することができる。この接着剤は、ふっ素樹脂シート6aの全面に塗工する必要はなく、金型9のキャビティの溝に沿って塗工すればよい。ガスケット5の中芯ゴム7とふっ素樹脂シート6との接合部分においては、特に中芯ゴム7の屈曲部分での接合強度が弱く、従って中芯ゴム7の屈曲部分に対応する金型9のキャビティの溝に沿って接着剤を塗工することにより、この部分でのふっ素樹脂シート6の剥離を抑えることができるようになる。 【0015】一方、中芯ゴム7を形成するゴム組成物の種類についても特に制限はなく、使用条件に応じて適宜選択される。例えば、プレート式熱交換器用のガスケットに使用する場合には、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、ふっ素ゴム(FKM)等を用いることができるが、熱可塑性エラストマーなどの一般にシール材に使用される樹脂を用いることも可能であり、これにカーボンブラックや架橋剤を配合して用いることができる。 【0016】代表的な補強充填材であるカーボンブラックの種類としては、MAFやFEF、SRFタイプなどの通常のゴム補強剤として用いられるカーボンブラックを使用することができるが、引張強さ、伸び、圧縮永久歪などを良好な値とするためには、HAF以上の粒径の細かいものを使用することが望ましい。架橋剤としては、従来よりこの種のガスケットに使用されているもので構わないが、特に食品業界のプレート式熱交換器に適用する場合には、過酸化物系の架橋剤を用いることが好ましい。また、公知の共架橋剤を併用してもよい。また、必要に応じて、従来よりこの種のガスケットに使用されている他の添加剤を配合してもよい。これらを含むゴム組成物の組成は制限されるものではなく、求められる物性に応じて適宜選択される。 【0017】 【実施例】以下実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 (実施例1)図3(a)に示すように、PTFE樹脂を1500mm×500mm、厚さ0.01mmのシート状に成形加工し、その片面を金属ナトリウムをナフタレンのテトラヒドロフラン溶液に加えて得た錯化合物溶液で表面処理したふっ素樹脂シート6aに位置決め用ピン穴を開け、表面処理面が成形用金型(上型)8と対向するように成形用金型(下型)9のキャビティ開口面を覆うように張設し、更にこのふっ素樹脂シート6aの表面処理面上にキャビティの溝形状に沿って接着剤(オルガノシロキサン)を塗工した後、EPDMゴム、過酸化物系架橋剤(ジクミルペルオキサイド)、カーボンブラックからなる未架橋ゴム組成物を棒状に押し出してなる棒状体7aを載置し、次いで図3(b)に示すように上型8で加圧するとともに170℃で20分間加熱した後、成形品を金型8,9から取り出し、余分なバリ部分を切り落とし、さらにオーブン中で170℃で2時間二次加硫を行ってガスケットAを作製した。 【0018】(実施例2)PTFE樹脂を1500mm×500mm、厚さ0.05mmのシート状に成形加工したふっ素樹脂シート6aを用いた以外は、実施例1と同様にしてガスケットBを作製した。 【0019】(実施例3)PTFE樹脂を1500mm×500mm、厚さ0.25mmのシート状に成形加工したふっ素樹脂シート6aを用いた以外は、実施例1と同様にしてガスケットCを作製した。 【0020】(実施例4)PTFE樹脂を1500mm×500mm、厚さ0.5mmのシート状に成形加工したふっ素樹脂シート6aを用いた以外は、実施例1と同様にしてガスケットDを作製した。 【0021】(比較例1)実施例1と同様のEPDMゴム、過酸化物系架橋剤、カーボンブラックからなる未架橋ゴム組成物を、実施例1と同様の成形用金型を用いて170℃で20分間加熱した後、成形品を金型から取り出し余分なバリ部分を切り落とし、さらにオーブン中で170℃で2時間二次加硫を行いガスケットEを作製した。 【0022】そして、ガスケットA〜Eについて、その外観を観察して表面の平滑性を目視にて判定し(但し、ガスケットA〜Dについては、ふっ素樹脂シートで被覆された部分)、JIS K6301に準ずる方法で圧縮永久歪みを測定した。また、実機と同形状の伝熱プレートにガスケットA〜Eをセットして150℃の熱水中に200時間浸漬し、ガスケットの劣化およびガスケットからの溶出物を目視にて判定した。試験の結果を表2に示す。なお、評価については表1に示す基準に沿って行った。 【0023】 【表1】
【0024】 【表2】
【0025】表2より判るように、比較例1のガスケットEと比較して実施例1〜4のガスケットA〜Dはいずれも表面劣化やガスケットからの溶出がなく、圧縮永久歪みも小さくガスケットとしての特性も良好である。また、ふっ素樹脂シートによる被覆面の平滑性も比較例1のガスケットEと同等であり良好である。 【0026】以上、本発明に関して詳細に説明したが、本発明は上記に限らず種々の変更が可能である。例えば、経済性を考慮して細幅のふっ素樹脂テープを何枚か突合わせて接合してふっ素樹脂シートとすることも可能であり、またふっ素樹脂シートを事前に予備成形したものを用いることもできる。また、成形金型において、キャビティが設けられた金型を下型としたが、これを上型として上下を逆にして製造できることも言うまでもない。更に、プレート式熱交換器用ガスケットに限らず、その他の各種シール材、特に高温下や薬品下に晒されるようなシール材として好適に使用できることは言うまでもない。 【0027】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、高温下や薬品下に使用した場合でも所定の引張強さ、伸び、圧縮永久歪みの値を維持し、さらにゴムの劣化、溶出がなく、特に食品業界で使用されるプレート式熱交換器に適したガスケットを、その断面形状や大きさなどに関係なく提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000110804 【氏名又は名称】ニチアス株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年8月26日(1999.8.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073874 【弁理士】 【氏名又は名称】萩野 平 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−65698(P2001−65698A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月16日(2001.3.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−240203 |
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