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【発明の名称】 メカニカルシール及びこれを用いた攪拌装置並びに攪拌方法
【発明者】 【氏名】榎村 眞一

【要約】 【課題】メカニカルシール部分の摺動環の摺動面間の面圧の調整が容易であり、摺動面間についても確実な洗浄や滅菌を行うことができるメカニカルシール及びメカニカルシールを用いた攪拌装置並びに攪拌方法の提供を図る。

【解決手段】回転軸1と同体に回転する回転環2と、この回転環2に対向して攪拌槽103側に配位された固定環3に、両者の摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔を調整する調整機構を備える。この調整機構は、ケーシング4に設けられたシリンダ内に配位されたピストン6であり、シリンダ内に供給される空気等の流体圧を変化させることによって、ピストン6を介して固定環3に正又は負の圧力を加えて面圧を調整する。洗浄や滅菌を行う場合には、負の圧力を加えて、摺動面2a,3a間の間隔を開き、両摺動面2a,3a間に洗浄液や滅菌用の蒸気を通す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対向して相対的に回転する複数の摺動環(2,3)と、これらの対向する摺動環(2,3)の摺動面(2a,3a)間においてシール流体のシールを行うメカニカルシールにおいて、これらの摺動環(2,3)の内、少なくとも一方の摺動環(3)を他方の摺動環(2)に向けて付勢する付勢力を調整する調整機構(6)(53)を備え、この調整機構(6)(53)により、対向する摺動環の摺動面(2a,3a)間の面圧若しくは間隔を調整することができるようにしたことを特徴とするメカニカルシール。
【請求項2】 少なくとも一方の摺動環(3)が他方の摺動環(2)に向けて弾性体によって押圧されており、上記の調整機構(6)(53)が、この弾性体による押圧力と同方向に若しくは逆方向に力を加えることにより付勢力を調整する機構であることを特徴とする請求項1記載のメカニカルシール。
【請求項3】 上記の調整機構(6)(53)が、少なくとも一方の摺動環(3)に対してメカニカルシールの回転軸の軸方向に正又は負の調整用流体の流体圧を加えることにより、付勢力を調整する機構であることを特徴とする請求項1又は2記載のメカニカルシール。
【請求項4】 メカニカルシールが、摺動環(2,3)に対してフラッシング液を供給する機構を有するものであり、上記の調整機構(6)が、少なくとも一方の摺動環(3)に対して調整用流体の流体圧を加えることにより付勢力を調整するものであり、この調整機構の調整用流体の流体の流路が、フラッシング液の流路に対して独立した流路となっていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメカニカルシール。
【請求項5】 上記の調整機構(6)が、少なくとも一方の摺動環(3)を他方の摺動環(2)に対して接近離反させるピストン(6)を備え、このピストンに流体圧を加えることにより付勢力を調整するものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のメカニカルシール。
【請求項6】 少なくとも一方の摺動環(3)が他方の摺動環(2)に向けて弾性体によって押圧されているものであり、この弾性体の力が上記のピストン(6)を介して少なくとも一方の摺動環(3)に伝達されるものであることを特徴とする請求項5記載のメカニカルシール。
【請求項7】 回転軸(1)と、この回転軸(1)と同体に回転する回転側の摺動環(2)と、この回転側の摺動環(2)に対向して配位された固定側の摺動環(3)とを備え、両摺動環の摺動面(2a,3a)間においてシール流体のシールを行うメカニカルシールにおいて、両摺動環の摺動面(2a,3a)間の面圧若しくは間隔を調整する調整機構(53)を備え、この調整機構(53)が、固定側の摺動環(3)の背面側に設けられた第1室(52)と、両摺動(2,3)環と回転軸(1)とに囲まれた第2室(54)と、第1室(52)と第2室(54)とを連通するオリィフィス(53)と、第1室(52)に流体を導く第1流路(51)と、第2室(54)から流体を排出する第2流路(55)とを備え、調整用流体を第1流路(51)から、第1室(52)、オリィフィス(53)、第2室(54)、第2流路(55)へと流すことによって、第1室(52)の流体圧力を第2室(54)の流体圧力より低下させることにより、対向する摺動環の摺動面(2a,3a)間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げることができるようにしたことを特徴とするメカニカルシール。
【請求項8】 調整用流体がフラッシング液を兼ねるものであり、調整機構(53)が、フラッシング液の流路において形成されたオリィフィス(53)であり、このオリィフィス(53)により生ずる流体の差圧により、一方の摺動環(3)に対して他方の摺動環(2)に接近する方向への力が加えられるものであり、フラッシング液の流量を変更することにより、対向する摺動環の摺動面(2a,3a)間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げることができるようにしたことを特徴とする請求項1又は7記載のメカニカルシール。
【請求項9】 上記の調整機構(53)によって対向する摺動環の摺動面(2a,3a)間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げた状態で、摺動面(2a,3a)間を洗浄滅菌できるようにしたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のメカニカルシール。
【請求項10】 電動機(102)等の回転駆動源によって回転する回転軸(1)と、この回転軸(1)の先端側が挿入された攪拌槽(103)と、この攪拌槽(103)内に挿入された回転軸(1)の先端側に設けられた攪拌部材(105)とを備えた攪拌装置において、請求項1乃至9の何れかに記載のメカニカルシールが攪拌槽(103)と回転軸(1)との間のシールとして配位され、このメカニカルシールの一方の摺動環が固定側の摺動環(3)として攪拌槽側に設けられ、他方の摺動環が回転側の摺動環(2)として回転軸(1)側に設けられ、調整用流体の流れによって調整された付勢力が両摺動環の何れか一方に加えられるものであることを特徴とする攪拌装置。
【請求項11】 上記のメカニカルシールが滅菌又は洗浄用の流路(51,52,53,54,55,56,57)を備えたものであり、この滅菌又は洗浄用の流路がフラッシング液の流路を兼ねるものであり、これらの流路が、その流路中に液溜まりが形成されないように傾斜して、流路の流入口(51)と流出口(57)との少なくも何れか一方に通じていることを特徴とする請求項10記載の攪拌装置。
【請求項12】 固定側の摺動環(3)が攪拌槽(103)の槽壁(104)に設けられ、回転側の摺動環(2)が攪拌槽(103)内に挿入された回転軸(1)の先端側に設けられることによって、固定側の摺動環(3)より攪拌槽(103)の内部側に配位され、攪拌槽(103)の外側から導かれた調整用流体によって調整された付勢力が固定側の摺動環(3)に加えられるものであることを特徴とする請求項11又は12記載の攪拌装置。
【請求項13】 電動機(102)等の回転駆動源によって回転する回転軸(1)を備えた回転機器において、回転軸(1)の回りにおけるシール流体を防止するシールとして請求項1乃至9の何れかに記載のメカニカルシールが用いられたことを特徴とする回転機器。
【請求項14】 請求項10,11又は12記載の攪拌装置を用いて、この攪拌装置の攪拌槽(103)内に投入された被攪拌物を攪拌する際、調整用流体を流すことによって、対向する摺動環(2,3)の間のシール性を高めた状態で攪拌を行い、非攪拌時にメカニカルシールを洗浄滅菌する際、調整用流体の流量を少なくし若しくは流さないことによって、対向する摺動環の摺動面(2a,3a)間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げた状態で、洗浄滅菌用の流体を対向する摺動環の摺動面(2a,3a)の間に通すようにしたことを特徴とする攪拌方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、メカニカルシール及びメカニカルシールを用いた攪拌装置並びに攪拌方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、メカニカルシールは回転機器のシール構造の代表例として多用されている。その使用例の一例として、攪拌槽内の流体を攪拌する場合、攪拌槽内に回転翼を配位し、この回転翼を攪拌槽の内外を貫く回転軸で回転させるが、この回転軸回りの液密性をメカニカルシールで確保している。このメカニカルシールの摺動環の摺動面間における面圧は、シール性や回転軸の回転抵抗に大きな影響を及ぼす。この面圧は、シール流体、スプリング、フラッシング液の各圧力等の種々の要因によって変動する。より具体的には、フラッシング液は、摺動環を冷却するため等にシールボックス(スタッフィングボックス)内に導入されるものであり、その流体圧が高まると、摺動面間の面圧が減少する傾向にある。そのため、例えば、回転軸の回転速度を高める必要があっても、フラッシング液との関係で高速化に限度が生ずる。より詳しは、回転軸の回転速度を高めるにつれて、摺動環の冷却のためにフラッシング液の流量を増加させる必要がある。このフラッシング液の流量を増加させると、フラッシング液の圧力が高まり、摺動面の面圧が低下する。そして、面圧が低下すると、液漏れが発生するおそれがあるため、回転軸の回転速度の高速化には、フラッシング液の流量若しくは流体圧との関係で、限界が生ずる。
【0003】また、シール流体の圧力が高い場合と低い場合とでは、必要とされる摺動面間の面圧も変化する。そのため、使用するシール流体の圧力の所定の範囲内に設定して、メカニカルシールの設計が行われており、所定の範囲を外れると、液漏れや回転抵抗の増大と言った弊害が生ずる。そのため、均圧管等によって、シール流体の圧力変化に応じて、フラッシング液の流体圧を変化させることも行われているが、回転軸の回転速度との関係で、複雑な条件設定が必要となる。そして、多くのメカニカルシールにあっては、摺動環を付勢するスプリングを備えており、上記の種々の要因を考慮してスプリング強度が設計される。そのため、理論上は、スプリングの強度を変更することによって、摺動面の面圧を変更することができるが、一度設計され完成したメカニカルシールにおいて、スプリング強度を適正な値に変更することは極めて困難である。特に、運転中にスプリングによる摺動環に対する付勢力を調整することは、不可能であると言って過言でない。
【0004】他方、今日においては、薬品や食品等の分野においては、流体の攪拌処理に際しても、無菌状態の処理を必要とする場合が多い。その場合、攪拌槽内の無菌状態を維持するためには、メカニカルシールに関しても、洗浄、滅菌を必要とする。この洗浄、滅菌は、従来にあってはメカニカルシールを分解して行う必要があったが、今日にあっては、CIP(定置洗浄)やSIP(定置滅菌)と呼ばれるように、分解をせずに洗浄や滅菌を行うことが主流となりつつある。例えば、特公平6−89872号においては、メカニカルシール部を囲む部分に無菌媒体室を形成して、この無菌媒体室を蒸気で滅菌したり、この室内に無菌水を導いたりして、無菌状態を保つことが提案されている。
【0005】ところが、上記の提案においても、メカニカルシール部分の摺動環の摺動面間は、所定の面圧で圧接状態となっているため、摺動面間には蒸気が達せず、その完全な滅菌を行うことができないという課題を有する。また、滅菌に代えて、或いは併用して洗浄を行う場合にあっても、同様の問題が生ずる。また、洗浄や滅菌のための液体や、蒸気が液化した水、或いは、運転中にメカニカルシール部分の冷却のために流す冷却液が、その流路中に溜まる場合がある。このような液溜まりは、コールドポイントと呼ばれるが、このコールドポイントに溜まった液体によって、次に滅菌を行う際、確実な滅菌を行い得ないという問題を有する。特に、SIPに基づく滅菌条件では、121°C以上のピュアスチーム(純粋蒸気)を20分間通すことによって、メカニカルシール部分の滅菌を行うことが必要とされる。ところが、コールドポイントに溜まった水等の液体に、導入したピュアスチームが接触することによって、ピュアスチームの温度が低下し、121°C、20分間の条件を満たし得なくなってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本願発明の目的は、摺動環の摺動面間における面圧の調整を容易に行うことができるメカニカルシール及びメカニカルシールを用いた攪拌装置並びに攪拌方法を提供することにある。本願発明の他の目的は、摺動面間の面圧調整を可能としたメカニカルシールを提供することにより、メカニカルシールが適正に使用され得るシール流体の圧力範囲や、回転軸の回転速度の範囲を、拡大することにある。本願発明のさらに他の目的は、摺動面間の面圧の調整を運転中に可能とするメカニカシールを提供することにある。本願発明のさらに他の目的は、メカニカルシール部分の摺動環の摺動面間についても、確実な洗浄や滅菌を行うことができるメカニカルシール及びメカニカルシールを用いた攪拌装置並びに攪拌方法を提供することにある。本願発明のさらに他の目的は、蒸気による滅菌を行う際に特に問題となる液溜まり(コールドポイント)を発生させることなく、確実な滅菌を行い得るメカニカルシール及びメカニカルシールを用いた攪拌装置並びに攪拌方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明は、対向して相対的に回転する複数の摺動環2,3と、これらの対向する摺動環2,3の摺動面2a,3a間においてシール流体のシールを行うメカニカルシールにおいて、これらの摺動環2,3の内、少なくとも一方の摺動環3を他方の摺動環2に向けて付勢する付勢力を調整する調整機構6,53を備え、この調整機構6,53により、対向する摺動環の摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔を調整することができるようにしたことを特徴とするメカニカルシールを提供する。この調整機構によって、シール流体やフラッシング液の圧力とは無関係に、或いは、シール流体やフラッシング液の圧力によって変化する面圧の変動範囲より広い範囲で、摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔を調整することができるようしたものである。本願の第2の発明は、第1の発明に係るメカニカルシールにおいて、少なくとも一方の摺動環3が他方の摺動環2に向けて弾性体によって押圧されており、上記の調整機構6,53が、この弾性体による押圧力と同方向に若しくは逆方向に力を加えることにより付勢力を調整する機構であることを特徴とするものを提供する。従来多くのメカニカルシールにあっては、弾性体によって一方の摺動環3が他方の摺動環2に向けて押圧されているが、調整機構6,25によって、その押圧力と同方向に若しくは逆方向に力を加えることにより、摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔を調整することができるようしたものである。本願の第3の発明は、第1又は第2の発明に係るメカニカルシールにおいて、上記の調整機構6,53が、少なくとも一方の摺動環3に対してメカニカルシールの回転軸の軸方向に正又は負の調整用流体の流体圧を加えることにより、付勢力を調整する機構であることを特徴とするものを提供する。この発明にあっては、メカニカルシールの回転軸の軸方向に正又は負の調整用流体の流体圧を加えることにより、調整用流体の流体圧を変化させることによって、付勢力が調整されるものであり、運転停止時は勿論の事、運転中においても、摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔を調整することができるようしたものである。本願の第4の発明は、第1又は第2又は第3の発明に係るメカニカルシールにおいて、メカニカルシールが、摺動環2,3に対してフラッシング液を供給する機構を有するものであり、上記の調整機構6が、少なくとも一方の摺動環3に対して調整用流体の流体圧を加えることにより付勢力を調整するものであり、この調整機構の調整用流体の流体の流路が、フラッシング液の流路に対して独立した流路となっていることを特徴とするものを提供する。この発明にあっては、調整用流体の流体の流路が、フラッシング液の流路に対して独立した流路となっていることにより、フラッシング液とは無関係に摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔を調整することができる。また、フラッシング液は、攪拌槽等のシール流体側に漏れるおそれがあり、シールボックス等のフラッシング液の流路は、CIP(定置洗浄)やSIP(定置滅菌)等で洗浄や滅菌を必要とする場合があるが、調整用流体の流体の流路を、フラッシング液の流路に対して独立させ、両流路間を遮断することによって、調整用流体の流路は、洗浄や滅菌を行う必要がなくなる。本願の第5の発明は、第1乃至第4の何れかの発明に係るメカニカルシールにおいて、上記の調整機構6が、少なくとも一方の摺動環3を他方の摺動環2に対して接近離反させるピストン6を備え、このピストンに流体圧を加えることにより付勢力を調整するものであることを特徴とするものを提供する。この発明にあっては、ピストン6を介して流体圧を摺動環に伝えることによって、流体圧を正確に摺動環に伝え、確実な摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔の調整を実現する。本願の第6の発明は、第5の発明に係るメカニカルシールにおいて、少なくとも一方の摺動環3が他方の摺動環2に向けて弾性体によって押圧されているものであり、この弾性体の力が上記のピストン6を介して少なくとも一方の摺動環3に伝達されるものであることを特徴とするものを提供する。この発明にあっては、弾性体の圧力と流体圧とをピストン6を介して流体圧を摺動環に伝えることによって、両者の力を統合して摺動環に伝え、確実な摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔の調整を実現する。本願の第7の発明は、回転軸1と、この回転軸1と同体に回転する回転側の摺動環2と、この回転側の摺動環2に対向して配位された固定側の摺動環3とを備え、両摺動環の摺動面2a,3a間においてシール流体のシールを行うメカニカルシールにおいて、両摺動環の摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔を調整する調整機構53を備え、この調整機構53が、固定側の摺動環3の背面側に設けられた第1室52と、両摺動2,3環と回転軸1とに囲まれた第2室54と、第1室52と第2室54とを連通するオリィフィス53と、第1室52に流体を導く第1流路51と、第2室54から流体を排出する第2流路55とを備え、調整用流体を第1流路51から、第1室52、オリィフィス53、第2室54、第2流路55へと流すことによって、第1室52の流体圧力を第2室54の流体圧力より低下させることにより、対向する摺動環の摺動面2a,3a間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げることができるようにしたことを特徴とするメカニカルシールを提供する。この発明にあっては、オリィフィス53を挟んだ第1室52と第2室54との差圧により、対向する摺動環の摺動面2a,3a間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げることができるものである。本願の第8の発明は、第1乃至第3の何れかの発明に係るメカニカルシールにおいて、調整用流体がフラッシング液を兼ねるものであり、調整機構53が、フラッシング液の流路において形成されたオリィフィス53であり、このオリィフィス53により生ずる流体の差圧により、一方の摺動環3に対して他方の摺動環2に接近する方向への力が加えられるものであり、フラッシング液の流量を変更することにより、対向する摺動環の摺動面2a,3a間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げることができるようにしたことを特徴とするものを提供する。このように、オリィフィス53を設けることによって、フラッシング液の圧力の変化より大きな変化量で、圧力調整を行うことができると共に、オリィフィス53に対するフラッシング液の流れの方向を逆転させることによって、オリィフィス53により生ずる差圧も逆方向に働かせることも可能となる。本願の第9の発明は、第1乃至第8の何れかの発明に係るメカニカルシールにおいて、上記の調整機構53によって対向する摺動環の摺動面2a,3a間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げた状態で、摺動面2a,3a間を洗浄滅菌できるようにしたことを特徴とするものを提供する。通常メカニカルシールは、摺動環の摺動面2a,3a間は密着しており、分解しなければ摺動面2a,3a間の洗浄や殺菌は困難てあったが、調整機構53によって対向する摺動環の摺動面2a,3a間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げることにより、分解せずとも、摺動面2a,3a間に、洗浄液や殺菌用の蒸気等の流体を通すことができ、そのままの状態で洗浄や滅菌を行うことができるものである。本願の第10の発明は、電動機102等の回転駆動源によって回転する回転軸1と、この回転軸1の先端側が挿入された攪拌槽103と、この攪拌槽103内に挿入された回転軸1の先端側に設けられた攪拌部材105とを備えた攪拌装置において、第1乃至第9の何れかの発明に係るメカニカルシールが攪拌槽103と回転軸1との間のシールとして配位され、このメカニカルシールの一方の摺動環が固定側の摺動環3として攪拌槽側に設けられ、他方の摺動環が回転側の摺動環2として回転軸1側に設けられ、調整用流体の流れによって調整された付勢力が両摺動環の何れか一方に加えられるものであることを特徴とする攪拌装置を提供する。この発明にあっては、攪拌槽内の流体の圧力変化が生じた場合にも、メカニカルシールの調整機構によって、摺動環の摺動面2a,3a間の面圧や間隔を調整することができる。また、攪拌槽103と共に摺動面2a,3a間についても、分解せずに、洗浄や滅菌を行うことができる。尚、本願の各発明における攪拌とは、攪拌のみならず、混合や乳化や分散を含む概念である。本願の第11の発明は、第10の発明に係る攪拌装置において、上記のメカニカルシールが滅菌又は洗浄用の流路51,52,53,54,55,56,57を備えたものであり、この滅菌又は洗浄用の流路がフラッシング液の流路を兼ねるものであり、これらの流路が、その流路中に液溜まりが形成されないように傾斜して、流路の流入口51と流出口57との少なくも何れか一方に通じていることを特徴とするものを提供する。この発明では、流路中に液溜まりが形成されため、コールドポイントの発生が防止され、確実の滅菌が可能となる。本願の第12の発明は、第10又は第11の発明に係る攪拌装置において、固定側の摺動環3が攪拌槽103の槽壁104に設けられ、回転側の摺動環2が攪拌槽103内に挿入された回転軸1の先端側に設けられることによって、固定側の摺動環3より攪拌槽103の内部側に配位され、攪拌槽103の外側から導かれた調整用流体によって調整された付勢力が固定側の摺動環3に加えられるものであることを特徴とするものを提供する。この発明にあっては、攪拌槽103の外側から導かれた調整用流体によって、調整された付勢力が固定側の摺動環3に加えられるものであり、攪拌槽103内の圧力とは無関係に付勢力が調整され、摺動面2a,3a間の面圧や間隔が調整されるものである。本願の第13の発明は、電動機102等の回転駆動源によって回転する回転軸1を備えた回転機器において、回転軸1の回りにおけるシール流体を防止するシールとして第1乃至第9の何れかの発明に係るメカニカルシールが用いられたことを特徴とする回転機器を提供する。本願の各発明のメカニカルシールは、攪拌装置の他、ポンプや遠心分離機にも使用できるものであり、特に、CIP(定置洗浄)やSIP(定置滅菌)を必要とする流体経路に採用される攪拌装置、ポンプ、遠心分離機等の回転機器に用いることによって、より確実なCIP(定置洗浄)やSIP(定置滅菌)を実施し得る。尚、CIP(定置洗浄)やSIP(定置滅菌)を行わない場合であっても面圧の調整等に有利である。さらに、このメカニカルシールは、上記に例示した回転機器の他、軸回りのシールを行う必要のある各種の回転機器に広く適用できるものである。本願の第14の発明は、第10,第11又は第12の何れかの発明に係る攪拌装置を用いて、この攪拌装置の攪拌槽103内に投入された被攪拌物を攪拌する際、調整用流体を流すことによって、対向する摺動環2,3の間のシール性を高めた状態で攪拌を行い、非攪拌時にメカニカルシールを洗浄滅菌する際、調整用流体の流量を少なくし若しくは流さないことによって、対向する摺動環の摺動面2a,3a間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げた状態で、洗浄滅菌用の流体を対向する摺動環の摺動面2a,3aの間に通すようにしたことを特徴とする攪拌方法を提供する。この発明においては、対向する摺動環の摺動面2a,3a間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げた状態で、洗浄滅菌用の流体を対向する摺動環の摺動面2a,3aの間に通すようにしたものであり、確実に、摺動面2a,3aを洗浄滅菌することができるものである。
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。図1は本願発明の実施の形態に係るメカニカルシールの断面図であり、図2は同要部拡大図であり、図3は同メカニカルシールの平面構造の説明図であり、図4は同メカニカルシールのケーシングとピストンとの間を回動不能に接続する構造を示す要部断面図であり、図5は同メカニカルシールを備えた攪拌装置の全体図である。
【0008】この実施の形態に係るメカニカルシール101は、図5に示すように、電動機102等の回転駆動源によって回転する回転軸と、攪拌槽103の槽壁104との間をシールするもので、攪拌槽103の底部付近に取り付けられている。尚、本願発明において、攪拌とは、狭義の攪拌の他、乳化、混合等の流体の均一化処理全般を含む意味として使用する。
【0009】上記の回転軸1は、図1に示すように、軸本体11aと、その外周に固定された外周軸部11bとからなるが両者11a,11bは一体化されているため、以降の説明では特に必要のない限り、両者を含めて回転軸1として説明する。この回転軸1は、先端側が攪拌槽103の槽内に挿入されており、その先端に攪拌羽根105等の攪拌部材が螺合により取り付けられている。また、この実施の形態の説明では、各部材について、原則として、図の上方側(回転軸1の攪拌羽根105を取り付けた側)を先端側とし、図の下方側を(電動機102を取り付けた側)を基端側として説明する。
【0010】このメカニカルシール101は、回転軸1と同体に回転する回転側の摺動環2(以下、回転環2と言う)と、この回転環2に対向して配位された固定側の摺動環3(以下、固定環3という)とを備える。尚、以下の説明で、回転環2と固定環3とを併せて呼ぶ際には、摺動環2,3とする。両摺動環2,3は、少なくとも一方(この例では回転環2)が回転することによって、摺動面2a,3a同士が相対的に回転するように対向して配位された一対の環であり、この例では、回転環2は、攪拌槽103の内側に配位されており、他方、固定環3は、攪拌槽103の外側に取り付けられたメカニカルシール101のケーシング4側に配位されている。このケーシング4は、回転軸1及びメカニカルシールのシール部分を内部に配位するもので、この例では、複数の部材がボルトによって結合されて1つのケーシング4を構成しているが、その構造は適宜変更でき、以降の説明では、特に必要のない限り、これら複数の部材をケーシング4として説明する。
【0011】上記の回転環2は、回転軸1の先端側に設けられたカバー21に支持されている。より詳しくは、回転環2は、カバー21の基端側の面に、回り止めピン等の適宜固定手段を介して、カバー21と同体に取り付けられており、その摺動面2aを、基端側に位置する固定環3の方に向けている。カバー21は、回転環2を回転軸1に対して同体に回転するように取り付けると共に、両者1,2間の液密性を維持するものであり、この例では、攪拌羽根105と螺合して一体となっているが、両者21,105を別体として両者21,105間に間隔を設けてもよい。
【0012】次に、固定環3は、回転環2の基端側に配位されている。より詳しくは、攪拌槽103の外側に取り付けられたケーシング4の先端に配位され、その先端を攪拌槽103内に臨ませている。この固定環3は、ケーシング4に対して、その軸方向に摺動可能に、且つ、回転不能に配位されている。より詳しくは、固定環3は、環状の支持部材31の先端に設けられ、この環状の支持部材31がケーシング4に対して摺動可能に設けられている。この環状の支持部材31は、この実施の形態では、先端側の第1支持部31aと基端側の第2支持部31bとに分割され、ネジ31c等の適宜手段で一体化されているが、両者31a,31bを一体とする等、その構造は適宜変更でき、以降の説明では、特に必要のない限り、両者31a,31bを支持部材31として説明する。また、この支持部材31と固定環3とは一体とすることができ、技術思想上では、全体を固定環として一体の部材として考えることもできる。
【0013】この固定環3の支持部材31は、ピストン6によって、上下動可能となっている。即ち、固定環3は、ピストン6によって、回転環2に接近離反可能に移動することにより、固定環3と回転環との摺動面(2a,3a)間の面圧若しくは間隔を調整することができるものであり、このピストン6が各請求項における調整機構となる。
【0014】このピストン6は、ケーシング4内に形成されたシリンダ61内に軸方向に摺動可能に配位されている。この例では、シリンダ61は、回転軸1の周囲を中心として、ケーシング4内に環状に形成された空洞部分であり、シリンダ61の内壁に密接して摺動するピストンも環状に形成されている。このピストン6と支持部材31とはネジ62によって固定され、一体として軸方向に摺動する。また、ピストン6はケーシング4に対して回動不能となっている。これは、図3に示すように、ケーシング4とピストン6との間に案内ピン63を渡すことによって、両者を回動不能且つ軸方向に摺動可能に接続したものである。このように、ケーシング4とピストン6との間を回動不能とすることによって、固定環3はケーシング4に対して回動不能となっている。このピストン6とシリンダ61との間には弾性体64が配位され、ピストン6を(ひいては固定環3を)、回転環2に対して押圧している。この例では、弾性体64として、スプリング(圧縮コイルスプリング)が用いれているが、他の弾性体を用いてもよく、その個数も、1個若しくは複数とすることができる。また、引張コイルスプリングによって、ピストン6を引き上げるようにして、付勢するものであってもよい。
【0015】このピストン6は、空気や水や油等の調整用流体の流体圧によって軸方向に移動して、調整機構としての上記の機能を果たすもので、シリンダ61内に正又は負の流体圧を加えることによって、ピストン6に圧力を加えて、両摺動環2,3間の圧力調整を行う。この例では、シリンダ61におけるピストン6より基端側に増圧用の流体導通路65が開口しており、この増圧用の流体導通路65から流体をピストン6の基端側に導入することによって、摺動面間の面圧を高めることができる。上記のように、この例では、弾性体64によって摺動環が常時付勢されているため、増圧用の流体導通路65内の圧力を調整することによって、面圧を弾性体64の加圧以上に高めることができる。また、シリンダ61におけるピストン6より先端側に減圧用の流体導通路66が開口しており、この減圧用の流体導通路66から流体をピストン6の基端側に導入することによって、摺動面間の面圧を低下させ、若しくは、摺動環2,3間の間隔を開くことができる。この例では、弾性体64によって摺動環が常時付勢されているため、減圧用の流体導通路65内の圧力を調整することによって、面圧を弾性体64の加圧以下に低くすることができる。何れの場合にも、増圧用の流体導通路65及び減圧用の流体導通路66には、流体供給装置(図示せず)を接続し流体を供給するが、希望の流体圧力を加えるために、圧力計を付加したり、圧力調整機能を有する流体供給回路を設けるようにすればよい。この例では、圧力調整用の流体として空気を採用しているが、油、水等の他の流体を用いてもよい。尚、各流体導通路65,66から、流体を吸引することによって、負の流体圧を加えることもできる。また、圧力条件を変更する際、各流体導入路65より導入された流体圧が残留していると、正確に作動しないおそれがあるため、不要に応じて、流体を排出する排出路67を形成するようにしてもよい。
【0016】この実施の形態においては、従来の多くのメカニカルシールと同様、摺動環2,3の冷却等のために、フラッシング液を使用することができるが、このフラッシング液と上記の調整用流体とは、別個の独立した流路を通って流れる。具体的には、フラッシング入口81から流入したフラッシング液は、摺動環2,3の内周側の空間82に入り、回転軸1とその周囲に配位された筒状体45との間の空間83を通って、次に述べる第2のメカニカルシール部を経て、フラッシング出口84から流出する。
【0017】この実施の形態においては、第2のメカニカルシール部を有するダブル形として実施されている。この第2のメカニカルシールは、従来の形式と同様であり、簡単に説明しておくと、スプリング71とこれに付勢されるコンプレッションリング72と、これに取り付けられたシールリング73とが回転軸1側に設けられ、このシールリング73に対向してシールを行うメイティングリング74およびこれを支持するエンドリング75がケーシング4側に設けられており、シールリング73とメイティングリング74との間でシールを行うものである。但し、この例では、メイティングリング74を、エンドリング75の端面にセラミックコートを行うことによって形成されているため、表面的には両者74,75は1つの部材として実施される。尚、上記のダブル形の他、タンデム形としても実施することもでき、その際にも、第2のメカニカルシールには、従来のスプリングによる付勢を行う形式を採用することができるが、本願発明と同様に、流体を付勢力の調整に利用するものとして実施することもできる。また、この例では、先端側(槽内側)に、本願発明のメカニカルシールを配位し、基端側(大気側)に従来の第2のメカニカルシールを配位したが、その位置関係は逆にして実施することもできる。また、この実施の形態では、回転軸と共に回転する回転環3を、軸方向に対しては動かない状態として実施したが、軸方向へも動くものとして実施することもできる。また、回転軸1と共に回転する回転環2を、軸方向に対しては動かない状態として実施したが、軸方向へも動くものとして実施することもできる。同様に、回動しない固定環3を、軸方向に対しては動く状態として実施したが、軸方向へも動かないものとして実施することもできる。この例では、調整手段は、固定環3に設けたが、両摺動環2,3の少なくとも何れか一方に設けて実施することができるものである。
【0018】次に、このメカニカルシールを用いた攪拌装置と、その使用方法について説明する。この攪拌装置は、上記のメカニカルシール101が攪拌槽103に取付られたものであり、回転軸1の槽壁104との間のシールを行いつつ、電動機102等の回転駆動源によって、攪拌羽根105を回転して被攪拌物の混合攪拌を行う。そして、フラッシング液の流路が、滅菌洗浄用の流路を兼ねたものとして使用される。そして、この一連の流路は、その流路中に液溜まりが形成されないように配慮されている。特に、この例では、支持部材31とケーシング4との間に、フラッシング液や滅菌洗浄用流体が入らないように、遮蔽されている。具体的には、支持部材31とケーシング4との間に、遮蔽体32,33を張り渡しているものである。この遮蔽体32,33は、ピストン6の作動に伴う支持部材31の軸方向への動きに追従し得るように、ベローズ管やダイヤフラム等の伸縮可能な部材を用いることが適している。このように、遮蔽体32,33を設けた結果、遮蔽体32,33と支持部材31とケーシング4とによって閉ざされた空間34が形成される結果、支持部材31が流体圧によって摺動すると、この閉ざされた空間34の内圧が変動し、支持部材31の円滑の動きが阻害されるおそれが生ずる。そのため、この例では、この閉ざされた空間34内と外部とを導通路35によって結び、導通路35を介して流体の移動を許すことによって、この空間34の内圧変動を防止している。
【0019】この攪拌装置を通常運転する場合には、常法により、攪拌槽103に被攪拌物を入れて電動機102等の回転駆動源を作動させて回転軸1及び攪拌羽根105を回転させて、攪拌を行う。その際、フラッシング入口81より、冷却液を導入する。この冷却液は、攪拌槽103内の無菌性を維持向上させるためには、無菌の蒸留水を冷却液として用いることが好ましい。導入された冷却液は、前述の各空間82,83を通って、フラッシング出口84から外部へ流出する。ここで、摺動環2,3の摺動面2a,3a間の面圧は、攪拌槽103の内圧(被攪拌物の圧力)、冷却液の圧力、バランス比、回転軸の回転速度、弾性体64のバネ圧等によって決定され、これらの値は、被攪拌物の漏れの発生を防止するために所定の範囲内に制限される。ところが、本願発明にあっては、上記の調整機構によって、摺動面2a,3a間の面圧を、調整できる。即ち、面圧が小さい場合には、増圧用の流体導通路65からシリンダ61内におけるピストン6の基端側に空気等の流体を供給し、ピストン6に先端側への圧力を加える。これにより、固定環3に対して、回転環2に接近させる方向への圧力が加わり、摺動面2a,3a間の面圧が上昇する。その際、ピストン6の先端側の空気は、排出路67から流出する。逆に、摺動面2a,3a間の面圧を下げる場合には、減圧用の流体導通路66から、シリンダ61内におけるピストン6の先端側に空気等の流体を供給し、ピストン6に先端側への圧力を加える。尚、減圧用の流体導通路66から、シリンダ61内におけるピストン6の先端側に空気等の流体を供給し、ピストン6に先端側への圧力を加える場合には、バルブ(図示せず)等によって、排出路67を閉じておくものとする。
【0020】攪拌終了後、被攪拌物であるシール流体を排出するに際しては、攪拌槽103に設けられた排出路(図示せず)から排出すればよいが、上記の調整機構を用いて、摺動面2a,3a間の面圧を下げ(さらには、摺動面2a,3a間に空間を形成して)、シール流体を攪拌槽103から、両摺動環2,3間を通して、空間82,83を経て、フラッシング出口84から外部へ流出させることもできる。また、その一部を、空間82からフラッシング入口81より外部に排出されるようにしてもよい。
【0021】装置の洗浄に際しては、次の方法を採ることができる。まず、攪拌槽103とメカニカルシールを同時に洗浄する場合には、洗浄液を攪拌槽103に入れ、必要に応じて攪拌して槽内を洗浄する。この槽内の洗浄中或いは洗浄後に、上記の調整機構を用いて、摺動面2a,3a間の面圧を下げ(さらには、摺動面2a,3a間に空間を形成して)、洗浄液を攪拌槽103から、両摺動環2,3間を通して、空間82,83を経て、フラッシング出口84から外部へ流出させることもできる。また、その洗浄液の一部を、空間82からフラッシング入口81より外部に排出してもよい。この洗浄液の排出作業によって、メカニカルシール内も洗浄させることとなる。尚、攪拌槽103内と、メカニカルシール部分とを別に洗浄する場合には、攪拌槽103内には洗浄液を入れて洗浄すると共に、洗浄液をフラッシング入口81から入れてフラッシング出口84より排出する。攪拌槽103内の洗浄に使用した洗浄液は、メカニカルシール内の流路(81から84)によって、排出することにより、摺動面2a,3a間も洗浄できる。
【0022】滅菌に際しても、攪拌槽と共に行う場合と、別に行う場合との2種の方法を例示し得る。攪拌槽103と同時に行う場合には、攪拌槽103の流入口(図示せず)から、蒸気を所定の条件で、流入させる。このとき、上記の調整機構によって、両摺動環2,3の摺動面2a,3a間の面圧は低下させることにより、若しくは摺動面2a,3a間を開くことにより、蒸気は、両摺動面2a,3a間を通って、空間82,83を経てフラッシング出口84から外部へ排出される。同様に、蒸気の一部は、空間82からフラッシング入口81より外部に排出され、メカニカルシール内が滅菌される。メカニカルシール部分のみを滅菌するに際しては、上記の冷却液等の場合と同様に、蒸気をフラッシング入口81から入れてフラッシング出口84より排出することにより、各流路が滅菌される。
【0023】この蒸気は、ピュアスチームと呼ばれる無菌の純粋蒸気であることが好ましく、SIPの条件によれば、121°C以上で、20分間以上通すものとする。その際、前述のように、コールドポイントが発生しないように、洗浄液や冷却液が排出されるため、確実にSIPの条件を満たすことができるものである。尚、蒸気に代えて、殺菌液等を用いて殺菌することもできる。上記の洗浄や滅菌に際しては、攪拌槽内と同時に洗浄・滅菌を行う場合、調整機構によって、対向する摺動環2,3の摺動面2a,3a間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げることができる。その結果、従来では困難であった洗浄用や滅菌用の流体を、対向する摺動環2,3の摺動面2a,3aの間に通すことができ、当該部分の洗浄や滅菌を確実に行うことができるものである。尚、前述のように、この例では、支持部材31とケーシング4との間に、フラッシング液や滅菌洗浄用流体が入らないように、遮蔽体32,33を張り渡しており、その結果、比較的複雑で蒸気溜まりが生じやすい支持部材31回りに蒸気が入り込むことがなく、蒸気溜まりの問題を解消できる。
【0024】上述の実施の形態では、滅菌等の必要な攪拌装置のメカニカルシールに関して説明したが、メカニカルシールは、回転軸を用いる多種多用の機械装置に用いることができる、滅菌等の不要な場合も多い。その場合にも、上記の実施の形態によって実施することができるが、蒸気溜まりの問題を無視できる場合には、上記の実施の形態のメカニカルシールから、遮蔽体32,33を取り外して実施することもできる。図6は、遮蔽体32,33を用いないメカニカルシールの例を示したもので、先の例と異なる点は、遮蔽体32,33を用いない点であり、その結果、支持部材31の形状も単純化し、先の例のように、第1支持部31aと第2支持部31bとに分割していない点が、先の例と異なる。他の点は、先の例と同様であり、詳細な説明は、省略する。尚、この例では、流体圧力によって、摺動面間を開閉させたり、圧力調整を行ったが、電磁石等の磁力や他の機械的や電気的な力によって、何れかの摺動環を軸方向に移動させたり付勢したりすることもできるものである。
【0025】次に図7及び図8に基づき本願発明のさらに実施の形態を説明する。図7は同実施の形態に係るメカニカルシールの断面図であり、図8は同要部拡大図である。この実施の形態に係るメカニカルシール101も、先の実施の形態と同様、図5に示すように、電動機102等の回転駆動源によって回転する回転軸と、攪拌槽103の槽壁104との間をシールするものであり、垂直に対して傾斜した状態で、攪拌槽103の底部付近に取り付けられている。尚、本願の各実施の形態において、共通した機能を有しており、実質的に同一の部分については、その具体的な形状等が相違する場合でも、同一の符号を用いて説明する。
【0026】上記の回転軸1は、図7に示すように、軸本体11aと、その外周に固定された外周軸部11bとからなるが両者11a,11bは一体化されているため、以降の説明では特に必要のない限り、両者を含めて回転軸1として説明する。この回転軸1は、先端側が攪拌槽103の槽内に挿入されており、その先端に攪拌羽根105等の攪拌部材が螺合により取り付けられている。また、この実施の形態の説明では、各部材について、原則として、図の上方側(回転軸1の攪拌羽根105を取り付けた側)を先端側とし、図の下方側を(電動機102を取り付けた側)を基端側として説明する。
【0027】このメカニカルシール101は、回転軸1と同体に回転する回転側の摺動環2(以下、回転環2と言う)と、この回転環2に対向して配位された固定側の摺動環3(以下、固定環3という)とを備える。尚、以下の説明で、回転環2と固定環3とを併せて呼ぶ際には、摺動環2,3とする。両摺動環2,3は、少なくとも一方(この例では回転環2)が回転することによって、摺動面2a,3a同士が相対的に回転するように対向して配位された一対の環であり、この例では、回転環2は、攪拌槽103の内側に配位されており、他方、固定環3は、攪拌槽103の外側に取り付けられたメカニカルシール101のケーシング4側に配位されている。このケーシング4は、回転軸1及びメカニカルシールのシール部分を内部に配位するもので、この例では、第1部材41、第2部材42、第3部材43の3つの部材がボルト44によって結合されて1つのケーシング4を構成しているが、その構造は適宜変更でき、以降の説明では、特に必要のない限り、これら3つの部材をケーシング4として説明する。
【0028】上記の回転環2は、回転軸1の先端側に設けられたカバー21に支持されている。より詳しくは、回転環2は、カバー21の基端側の面に、回り止めピン22等の適宜固定手段を介して、カバー21と同体に取り付けられており、その摺動面2aを、基端側に対向して配位された固定環3の方に向けている。カバー21は、回転環2を回転軸1に対して同体に回転するように取り付けると共に、両者1,2間の液密性を維持するものであり、この例では、攪拌羽根105と螺合して一体となっているが、両者21,105を別体として両者21,105間に間隔を設けてもよい。
【0029】次に、固定環3は、回転環2の基端側に配位されている。より詳しくは、攪拌槽103の外側に取り付けられたケーシング4の先端に配位され、その先端を攪拌槽103内に臨ませている。この固定環3は、ケーシング4に対して、その軸方向に摺動可能に、且つ、回転不能に取り付けられており、この例では、ケーシング4に設けられた軸体46が、固定環3に軸方向へ摺動可能に挿通されることにより、摺動可能、回転不能となっている。
【0030】また、この固定環3には、その基端側から先端側にかけて貫通するオリィフィス53が形成されている。より詳しくは、回転環3は、円板状の中央部32と、その外周にて軸方向に突出する周縁部33とを備え、この周縁部33の先端面が、摺動面3aを形成している。オリィフィス53は、この例では、中央部32に形成されているが、周縁部33に形成する等、回転環3の適宜位置に形成できる。
【0031】この固定環3の摺動面3aが、回転環2の摺動面2aに当接する面圧若しくは両者の間隔を調整するための調整手段について説明する。従来のメカニカルシールは、スプリング等のバネ部材によって、固定環3を付勢していたが、この実施の形態では、このバネ部材に代えて、もしくは、併用して、流体圧力を利用した調整手段を採用した。
【0032】この調整手段は、固定環3の背面側(基端側)に形成された第1室52と、固定環3の正面側(先端側)に設けられた第2室54とを備え、この両室52,54を、前述のオリィフィス53がつなぐものである。第1室52は、固定環3の背面側とケーシング4の内壁との間に形成されており、この第1室52には、ケーシング4の外部から流体を導入する第1流路51が連通しており、フラッシング入口51aとしてケーシング4から外側に開口している。第2室54は、固定環3の正面側(先端側)と、回転環2との間に設けられ、攪拌槽103内に対して液密性が維持された空間であり、この例では、両摺動環2,3と、カバー21と回転軸1とによって区画された空間となっている。この第2室54からは、第2室54の流体を外部に導く第2流路55が連通している。この第2流路55は、回転軸1の周囲に、適宜間隔を隔てて筒状体45を設けることによって形成されたもので、回転軸1の外周面と筒状体45の内周面との間が、第2流路55となる。この筒状体は、回転軸1と共に回転するもであってもよいが、この例では、ケーシング4に設けられ、ケーシング4の一部として回転しないものとなっている。言い換えると、この第2流路55は、固定環3と回転環2との間に設けられた第2室54の流体を、第2室54の基端側に導くもので、この例では、固定環3の内周面と回転軸1との間に形成されているが、第2室54の流体を外部に導くことができれば、他の位置に設けてもよい。
【0033】上記の構成にあっては、冷却液等の流体が、第1流路51から、第1室52、オリィフィス53、第2室54を経て第2流路52へ流出することによって、オリィフィス53を挟む第1室52の流体圧が第2室54の流体圧よりも大きくなる。その結果、固定環3は、第2室54の方向(言い換えれば、先端方向であり、回転環2の方向)に付勢される。これにより、固定環3の摺動面3aが、回転環2の摺動面2aに当接する面圧が大きくなり、若しくは両者2a,3aの間隔が小さくなる。即ち、この流路に流す流体の圧力若しくは流量を変化させることによって、第1室52と第2室54との間の差圧が変化し、上記の付勢力が変化するものであり、その結果、両摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔を調整することができる。このように、この実施の形態は、フラッシング液を積極的に用いて摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔を調整するものであり、下記の特徴を備えている。第1に、フラッシング液の圧力を、オリィフィス53を用いた調整機構によって大きな圧力に変化させ、圧力調整可能な範囲を広げることができたものである。逆に言えば、必要とする摺動面2a,3a間の面圧の調整を、従来より小さなフラッシング液の圧力変化幅によって行うことができるものである。従って、従来行われていたようなフラッシング液用の加圧装置を用いずに、必要な面圧を得ることも可能となる。また、オリィフィス53を挟む第1室52と第2室54との間の流体の流れ方向を変更することにより、(具体的には、第1室52から第2室54への場合と、第2室54から第1室52への場合)、摺動面2a,3a間を開く状態と閉じた状態とを変更することができるものである。
【0034】尚、この付勢力は、従来のように、スプリング等による機械的な付勢力と併用することも可能であるが、併用せずに流体圧のみで行う方が、構造がシンプルとなり、液溜まりの発生を防止する点でも有利である。また、この例ては、フラッシング入口51aから導入される冷却液等の液体を用いて付勢力の調整を行うことにより、冷却液に2つの機能を発揮させる構成としているが、冷却液とは別の流路によって、付勢力調整用の別の流路で、別の流体を流すようにしてもよい。
【0035】上記の第2流路55は、流体を外部へ流出させる流路であるが、この例では、第2流路55からの流体は、固定環3の基端側における回転軸1とケーシング4と間に設けられた排出室56から、ケーシング4に形成された排出路57を経て、フラッシング出口57aから外部へ流出する。
【0036】本願発明のメカニカルシール装置は、上記のメカニカルシールのみで実施してもよいが、この実施の形態では、これに加えて、もう一つのメカニカルシールを、固定環3の基端側に配位したダブル形として実施されている。この第2のメカニカルシールは、従来の形式と同様であり、簡単に説明しておくと、スプリング71とこれに付勢されるコンプレッションリング72と、これに取り付けられたシールリング73とが回転軸1側に設けられ、このシールリング73に対向してシールを行うメイティングリング74およびこれを支持するエンドリング75がケーシング4側に設けられており、シールリング73とメイティングリング74との間でシールを行うものである。尚、上記のダブル形の他、タンデム形としても実施することもでき、その際にも、第2のメカニカルシールには、従来のスプリングによる付勢を行う形式を採用することができるが、本願発明と同様に、流体を付勢力の調整に利用するものとして実施することもできる。また、この例では、先端側(槽内側)に、本願発明のメカニカルシールを配位し、基端側(大気側)に従来の第2のメカニカルシールを配位したが、その位置関係は逆にして実施することもできる。また、この実施の形態では、回転軸と共に回転する回転環3を、軸方向に対しては動かない状態として実施したが、軸方向へも動くものとして実施することもできる。また、回転軸1と共に回転する回転環2を、軸方向に対しては動かない状態として実施したが、軸方向へも動くものとして実施することもできる。同様に、回動しない固定環3を、軸方向に対しては動く状態として実施したが、軸方向へも動かないものとして実施することもできる。この例では、調整手段は、固定環3に設けたが、両摺動環2,3の少なくとも何れか一方に設けて実施することができるものである。
【0037】次に、このメカニカルシールを用いた攪拌装置と、その使用方法について説明する。この攪拌装置は、上記のメカニカルシール101が攪拌槽103に取付られたものであり、回転軸1の槽壁104との間のシールを行いつつ、電動機102等の回転駆動源によって、攪拌羽根105を回転して被攪拌物の混合攪拌を行う。そして、前述のように、符号51の第1流路から符号57の排出路までの一連の流路が、冷却液の流路と圧力調整用の流体の流路とを兼ねるものであるが、さらにこの例では、これらの流路が、滅菌洗浄用の流路を兼ねたものである。そして、この一連の流路は、その流路中に液溜まりが形成されないように傾斜して、流路の流入口51aと流出口57aとの少なくも何れか一方に通じているものであり、メカニカルシール101は、垂直に対して傾斜した状態で、攪拌槽103の底部付近に取り付けられている。
【0038】この攪拌装置を通常運転する場合には、フラッシング入口51aより、冷却液を導入する。この冷却液は、攪拌槽103内の無菌性を維持向上させるためには、無菌の蒸留水を冷却液として用いることが好ましい。導入された冷却液は、第1流路51、第1室52、オリィフィス53、第2室54、第2流路55、排出室56から、排出路57を経て、フラッシング出口57aから外部へ流出する。このとき、前述のように、オリィフィス53を挟む第1室52と第2室54との間で差圧が生じ、第1室52内の高圧の流体圧力によって、固定環3が、対向する回転環2へ付勢され、両者の摺動面3a,2a間の面圧が上昇して、確実なシールがなされる。これにより、薬剤等の攪拌槽103内に投入されたシール流体即ち被攪拌物の漏れが防止される。そして、この面圧は、必要に応じて冷却液の流量や流体圧を上昇させることによって、上昇し、より高いシール性を得ることができ、より低いシール性で充分であれば、流量や流体圧を低下させて運転すればよい。
【0039】攪拌終了後、被攪拌物であるシール流体を排出するに際しては、攪拌槽103に設けられた排出路(図示せず)から排出すればよいが、冷却液の流れを止めることによって、第1室52と第2室54との間での差圧を減少消滅させ、摺動面2a,3a間の面圧を低下させ、シール流体を攪拌槽103から、両摺動環2,3間を通して、第2室54、第2流路55、排出室56から、排出路57を経て、フラッシング出口57aから外部へ流出することもできる。また、その一部は、オリィフィス53、第1室52、第1流路51を経てフラッシング入口51aより外部に排出される。
【0040】装置の洗浄に際しては、次の方法を採ることができる。まず、攪拌槽103とメカニカルシールを同時に洗浄する場合には、洗浄液を攪拌槽103に入れ、必要に応じて攪拌して槽内を洗浄する。この槽内の洗浄中或いは洗浄後に、冷却液の流れを止める。これにより、第1室52と第2室54との間での差圧が減少消滅し、摺動面2a,3a間の面圧が低下し、または間隔が開く。その結果、攪拌槽103内の洗浄液は、両摺動環2,3の摺動面2a,3a間を通って、第2室54、第2流路55、排出室56から、排出路57を経て、フラッシング出口57aから外部へ排出される。同様に、洗浄液の一部は、オリィフィス53、第1室52、第1流路51を経てフラッシング入口51aより外部に排出され、メカニカルシール内が洗浄される。尚、攪拌槽103内と、メカニカルシール部分とを別に洗浄する場合には、攪拌槽103内には洗浄液を入れて洗浄すると共に、洗浄液をフラッシング入口51aから入れてフラッシング出口57aより排出する。攪拌槽103内の洗浄液は、メカニカルシール内の流路(51aから57a)によって、排出すればよい。さらに、メカニカルシール部分から洗浄を行う場合には、フラッシング出口57aから洗浄液を流し、オリィフィス53により圧力差を発生させる。即ち、第2室54から第1室52へと流体が流れることにより、第2室54内の圧力が第1室52の圧力より大きくなる。これにより、摺動面2a,3a間の面圧が低下し、または間隔が開き、摺動面2a,3a間に洗浄液を通すことができ、摺動面2a,3aの洗浄が可能となる。尚、洗浄液は摺動面から攪拌槽内に流れるものと、第2室54から第1室52を通過してフラッシング入口51aより排出されるものとの2つの経路に分かれることとなる。このように、本願発明では、流路を逆向きに変更して実施することも可能でありため、本願の明細書における、フラッシング入口やフラッシング出口等の流体の出入に関する用語は、夫々フラッシング入出口として読替え、流体の向きによって、入口と出口とが逆転すると理解されるべきである。
【0041】滅菌に際しても、攪拌槽と共に行う場合と、別に行う場合との2種の方法を例示し得る。攪拌槽103と同時に行う場合には、攪拌槽103の流入口(図示せず)から、蒸気を所定の条件で、流入させる。このとき、メカニカルシール内の流路(51aから57a)には、流体を通さない。その結果、両摺動環2,3の摺動面2a,3a間の面圧は低下し、蒸気は、両摺動面2a,3a間を通って、第2室54、第2流路55、排出室56から、排出路57を経て、フラッシング出口57aから外部へ排出される。同様に、蒸気の一部は、オリィフィス53、第1室52、第1流路51を経てフラッシング入口51aより外部に排出され、メカニカルシール内が滅菌される。メカニカルシール部分のみを滅菌するに際しては、上記の場合と同様に、蒸気をフラッシング出口57aから入れることにより、摺動面2a,3a間の滅菌が可能となり、この蒸気は攪拌槽103及びフラッシング入口51aより排出するものとすることにより、各流路が滅菌される。
【0042】この蒸気は、ピュアスチームと呼ばれる無菌の純粋蒸気であることが好ましく、SIPの条件によれば、121°C以上で、20分間以上通すものとする。その際、前述のように、コールドポイントが発生しないように、洗浄液や冷却液が排出されるため、確実にSIPの条件を満たすことができるものである。尚、蒸気に代えて、殺菌液等を用いて殺菌することもできる。上記の洗浄や滅菌に際しては、フラッシング入口から洗浄液や滅菌用流体を流入しないことによって、或いはフラッシング出口から入口へ流すことによって、対向する摺動環2,3の摺動面2a,3a間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げることができる。その結果、従来では困難であった洗浄用や滅菌用の流体を、対向する摺動環2,3の摺動面2a,3aの間に通すことができ、当該部分の洗浄や滅菌を確実に行うことができるものである。尚、本願発明の実施に際しては、第1の実施の形態におけるシリンダによる構造と、第2の実施の形態におけるオリィフィスによる構造とを併用することも可能である。
【0043】
【発明の効果】本願の第1乃至第9の発明は、摺動環の摺動面間における面圧の調整を容易に行うことができるメカニカルシールを提供することができたものである。このメカニカルシールは、シール流体やフラッシング液の圧力とは無関係に、或いは、シール流体やフラッシング液の圧力によって変化する面圧の変動範囲より広い範囲で、摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔を調整することができる。また、洗浄や滅菌を行う場合にあっては、装置を分解せずとも摺動環の摺動面間についても、確実な洗浄や滅菌を実現し得る。特に、本願の第3の発明にあっては、メカニカルシールの回転軸の軸方向に正又は負の調整用流体の流体圧を加えることにより、調整用流体の流体圧を変化させることによって、付勢力が調整されるものであり、運転停止時は勿論の事、運転中においても、摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔を調整することができるものである。第4の発明にあっては、調整用流体の流体の流路を、フラッシング液の流路に対して独立させ、両流路間を遮断することによって、フラッシング液の圧力とは無関係となる。また、フラッシング液の流路に対して洗浄や滅菌を行う必要が生じても、調整用流体の流路はフラッシング液と縁が切られているため、洗浄や滅菌を行う必要がない。第5の発明にあっては、ピストン6を介して流体圧を摺動環に伝えることによって、流体圧を正確に摺動環に伝え、確実な摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔の調整を実現することができる。第6の発明にあっては、弾性体の圧力と流体圧とをピストン6を介して流体圧を摺動環に伝えることによって、両者の力を統合して摺動環に伝え、確実な摺動面2a,3a間の面圧若しくは間隔の調整を実現することができる。第7の発明にあっては、オリィフィス53を挟んだ第1室52と第2室54との差圧により、対向する摺動環の摺動面2a,3a間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げることができるものである。第8の発明にあっては、オリィフィス53を設けることによって、フラッシング液の圧力の変化より大きな変化量で、圧力調整を行うことができると共に、オリィフィス53に対するフラッシング液の流れの方向を逆転させることによって、オリィフィス53により生ずる差圧も逆方向に働かせることも可能となる。次に、本願の第10乃至第12の発明にあっては、攪拌槽内の流体の圧力変化が生じた場合にも、メカニカルシールの調整機構によって、摺動環の摺動面間の面圧や間隔を調整することができる攪拌装置を提供することができたものである。また、攪拌槽と共にメカニカシールの摺動面間についても、分解せずに、洗浄や滅菌を行うことができるものである。特に、第11の発明にあっては、流路中に液溜まりが形成されため、コールドポイントの発生が防止され、確実の滅菌が可能となる。第12の発明にあっては、攪拌槽103の外側から導かれた調整用流体によって、調整された付勢力が固定側の摺動環3に加えられるものであり、攪拌槽103内の圧力とは無関係に付勢力が調整され、摺動面2a,3a間の面圧や間隔が調整されるものである。次に、本願の第13の発明は、第1乃至第9の何れかの発明に係るメカニカルシールが用いられ、面圧の調整や定置洗浄、定置滅菌に有利な回転機器を提供することができたものである。本願の第14の発明は、対向する摺動環の摺動面2a,3a間の面圧を小さくし若しくは間隔を広げた状態で、洗浄滅菌用の流体を対向する摺動環の摺動面2a,3aの間に通すようにしたものであり、確実に、摺動面2a,3aを洗浄滅菌することができ攪拌方法を提供することができたものである。
【出願人】 【識別番号】595111804
【氏名又は名称】エム・テクニック株式会社
【出願日】 平成11年7月5日(1999.7.5)
【代理人】 【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
【公開番号】 特開2001−21045(P2001−21045A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−190332