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【発明の名称】 メカニカル式管継手
【発明者】 【氏名】須貝 隆

【氏名】肥留川 和雄

【氏名】三宅 隆

【氏名】黒澤 秀行

【要約】 【課題】パッキンを締め付けた状態でも接続管を容易に挿入できると同時に、振動等によるナットの脱落を防止できる。

【解決手段】継手本体(1)のテーパ部(14)の軸方向外側に端面係止部(16a, 16b)を形成し、継手本体(1)のテーパ部(14)の内径を超えて径方向外側に突出する突起(36)をパッキン(3)の外面に一体に形成する。パッキン(3)の突起(36)が抵抗することにより締付トルクが急激に変化するポイントがあるため締付の節度感が与えられ、ナット(2)が脱落しない程度の締付に必要な力が容易に察知でき、ナット(2)を締め込みすぎて接続管(5)が挿入不能になるほどパッキン(3)を過剰に縮径させることがない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 接続管を挿入する空洞部及び雄ねじ部が外周部に形成された端部を有する継手本体と、継手本体の雄ねじ部に連結される雌ねじ部が形成されかつ接続管が挿通されるナットと、継手本体の端部の内面に形成されかつ軸方向内側に縮径するテーパ部に装着されかつナットにより押圧される弾性変形可能なパッキンとを備え、継手本体に対してナットを締め付けることによりパッキンを圧縮して継手本体と接続管の外面との間を密封するメカニカル式管継手において、継手本体のテーパ部の軸方向外側に端面係止部を形成し、継手本体のテーパ部の内径を超えて径方向外側に突出する突起をパッキンの外面に一体に形成したことを特徴とするメカニカル式管継手。
【請求項2】 継手本体のテーパ部と端面係止部との間に内側円筒面を形成し、継手本体の内側円筒面とほぼ同一直径の外側円筒面をパッキンの突起の軸方向内側に形成した請求項1に記載のメカニカル式管継手。
【請求項3】 端面係止部は径方向係止部又はテーパ状係止部である請求項1又は2に記載のメカニカル式管継手。
【請求項4】 テーパ状係止部の傾斜角度は、継手本体の中心軸に対し30°〜90°である請求項3に記載のメカニカル式管継手。
【請求項5】 継手本体の端面係止部の軸方向外側に隣接して突起収容部を形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載のメカニカル式管継手。
【請求項6】 パッキンの突起の外面は突起収容部の内面に当接する請求項5に記載のメカニカル式管継手。
【請求項7】 テーパ部は円弧状断面を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のメカニカル式管継手。
【請求項8】 パッキンの突起の断面は矩形状、円弧状又は矩形状と円弧状との組合せである請求項1〜7のいずれか1項に記載のメカニカル式管継手。
【請求項9】 パッキンの突起に隣接して径方向凹部を形成した請求項1〜8のいずれか1項に記載のメカニカル式管継手。
【請求項10】 パッキンの突起は周方向に連続的に形成又は周方向に断続的に複数個形成される請求項1〜9のいずれか1項に記載のメカニカル式管継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、継手本体、ナット及びパッキンを備えるメカニカル式管継手、特に、管継手の仮組立時及び本組立時のそれぞれの施工性を向上できるメカニカル式管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】少なくとも継手本体、ナット及びパッキンを備えるメカニカル式管継手は、接続管にねじ加工を施さずにそのまま接合できる点で施工性に優れ、可撓性及び伸縮性を有し、耐震性に優れる等の特徴がある。このため、メカニカル式管継手は、給水・給湯等の水道配管、冷却水又は温水の空調配管等の様々な分野で用いられている。
【0003】近年、接続管の素材及び施工方法が多様化する中で、更なる施工性及び管種適合性の向上がメカニカル式管継手に望まれている。従来のメカニカル式管継手の殆どは、施工時にまず継手本体からナット、ワッシャ及びパッキンを取り外し、その後、予めナット、ワッシャ及びパッキンを接続管に装着して継手本体の所定位置に挿入し、最後にナットの締付によってパッキンを縮径させて密封及び抜止を達成するため、作業が非常に煩雑である。このような部品の脱着作業を省略して、予め継手本体にナット、ワッシャ及びパッキンがセットされた仮組立完了状態のメカニカル式管継手に接続管をそのまま挿入できれば施工性は向上するが、この場合にはパッキンの内径が接続管の外径よりもある程度大きいことが条件となる。
【0004】他面、水道配管分野では、鋼管、塩化ビニル管、ポリエチレン管等の接続管が使用されるが、これらの管種の多くは、呼び径が同一でも管外径又は管外径の許容差が異なる。例えば、亜鉛めっき鋼管、水道用ポリエチレン管、水道用硬質塩化ビニル管の呼び径25についてJIS規格による管の基準外径及び外径の許容差を比較すると、最大の外径は亜鉛めっき鋼管の34mm±0.5mm(即ち、最大値34.5mm)である一方、最小の外径は水道用硬質塩化ビニル管の32mm±0.2mm(即ち、最小値31.8mm)であり、最大値と最小値との差は34.5mm−31.8mm=2.7mmとかなりの開きがある。
【0005】前記のように、仮組立状態の管継手に接続管をそのまま挿入可能として施工性を向上すると共に、接続管の外径差に対応可能とし、更に信頼性の高い密封構造を達成して耐水圧特性を確保するには、パッキンの内径を接続管の外径よりもある程度大きく設定すると同時にナットの締付によりパッキンが容易に縮径する必要がある。このため、パッキンの継手本体への当接側に軸方向内側へ向かって縮径するテーパ面又はR面を設け、このパッキン形状に対応して継手本体のパッキン装着部を形成し、ナットの締付によってパッキンが軸方向内側へ移動してパッキンを縮径しやすくする。また、パッキンは、手締め程度のナットの締付力により接続管が管継手に保持される程度の縮径が要求されるため、パッキン装着箇所における継手本体の内径をパッキンの外径よりも大きく設定してパッキンの外面と継手本体との接触面の摩擦抵抗を低減させる工夫が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図14に示す従来のメカニカル式管継手は、継手本体(1)と、ナット(2)と、ワッシャ(8)と、継手本体(1)の端部(12)の内面に形成されかつ軸方向内側に縮径するテーパ部(14)に装着されかつワッシャ(8)を介してナット(2)により押圧される弾性変形可能なパッキン(3)とを備えている。この管継手では、継手本体(1)に対してナット(2)を締め付けることによりパッキン(3)を圧縮して継手本体(1)と接続管の外面との間を密封する。
【0007】しかしながら、図14の管継手において、パッキン(3)が容易に縮径する構造にした場合、メカニカル式管継手の仮組立として継手本体(1)に対し軽い締付力でナット(2)を締め付けたとき、パッキン(3)は大きな抵抗を示すことなく弾性変形するためにパッキン(3)を過剰に縮径させてしまうおそれがある。この状態では、図15に示すように、本組立として接続管(5)を挿入しようとしても、縮径されたパッキン(3)の内径が接続管(5)の外径より小さいため、仮組立状態の管継手に接続管(5)が挿入できない。一方、ナット(2)の過剰な縮径を防止するために、パッキン(3)が軸方向内側へ移動しない程度の力でナット(2)を締め付けた場合には、締付不足によりナット(2)が緩みやすいため、仮組立状態の管継手から輸送時の振動等によりナット(2)が脱落し、その結果継手本体(1)からワッシャ(8)及びパッキン(3)も分離してしまい、使用時に再度組立が必要となる不具合を生じる。
【0008】そこで、本発明は、継手本体へのナットの締付状態を一定に保つことにより、パッキンを締め付けた状態でも接続管を容易に挿入できると同時に、振動等によるナットの脱落を防止できる施工性の良好なメカニカル式管継手を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によるメカニカル式管継手は、接続管(5)を挿入する空洞部(11)及び雄ねじ部(13)が外周部に形成された端部(12)を有する継手本体(1)と、継手本体(1)の雄ねじ部(13)に連結される雌ねじ部(21)が形成されかつ接続管(5)が挿通されるナット(2)と、継手本体(1)の端部(12)の内面に形成されかつ軸方向内側に縮径するテーパ部(14)に装着されかつナット(2)により押圧される弾性変形可能なパッキン(3)とを備え、継手本体(1)に対してナット(2)を締め付けることによりパッキン(3)を圧縮して継手本体(1)と接続管(5)の外面との間を密封する。本発明では、継手本体(1)のテーパ部(14)の軸方向外側に端面係止部(16a, 16b)を形成し、継手本体(1)のテーパ部(14)の内径を超えて径方向外側に突出する突起(36)をパッキン(3)の外面に一体に形成する。
【0010】一定の締付力以下の力でナット(2)を締め付けたとき、突起(36)は継手本体(1)の端面係止部(16a, 16b)に接触してパッキン(3)の軸方向内側への移動を阻止する。従って、メカニカル式管継手の仮組立のため、継手本体(1)に対し軽い締付力でナット(2)を締め付けたとき、突起(36)は継手本体(1)の端面係止部(16a, 16b)に接触して弾性変形せずにパッキン(3)の軸方向内側への移動を阻止するため、継手本体(1)のテーパ部(14)にナット(2)を配置してパッキン(3)を締め付けた状態でも接続管(5)を容易に挿入できると同時に、振動等によるナット(2)の脱落を防止できる。この時、パッキン(3)の突起(36)が抵抗することにより締付トルクが急激に変化するポイントがあるため締付の節度感が与えられ、ナット(2)が脱落しない程度の締付に必要な力が容易に察知できる。従って、ナット(2)を締め込みすぎて接続管(5)が挿入不能になるほどパッキン(3)を過剰に縮径させることがない。
【0011】一定の締付力を超える力でナット(2)を締め付けたとき、突起(36)は弾性変形により継手本体(1)のテーパ部(3)内に圧入されパッキン(3)を軸方向内側に移動できる。従って、継手本体(1)の空洞部(11)内に接続管(5)を挿入した後、本組立のため、一定の締付力を超えてナット(2)を締め付けたとき、突起(36)は弾性変形により継手本体(1)のテーパ部(3)内に縮径・圧入されるので、パッキン(3)を軸方向内側に移動して、継手本体(1)と接続管(5)の外面との間をパッキン(3)により密封することができる。
【0012】本発明の実施の形態では、継手本体(1)のテーパ部(14)と端面係止部(16a, 16b)との間に内側円筒面(15)を形成し、継手本体(1)の内側円筒面(15)とほぼ同一直径の外側円筒面(35)をパッキン(3)の突起(36)の軸方向内側に形成する。継手本体(1)の端面係止部(16a, 16b)及び内側円筒面(15)と、パッキン(3)の突起(36)及び外側円筒面(35)とをそれぞれ当接させることにより、ナット(2)による一定の締付力に対するパッキン(3)の軸方向内側の移動を一定状態まで確実に防止でき、安定して節度感が得られる。
【0013】端面係止部(16a, 16b)は径方向係止部(16a)又はテーパ状係止部(16b)であり、テーパ状係止部(16b)の傾斜角度は、継手本体(1)の中心軸に対し30°〜90°である。傾斜角度30°未満の場合、パッキン(3)の突起(36)の弾性変形があまりに容易に生じるため、本発明の作用効果が達成できない場合がある。端面係止部(16a, 16b)の形状は、パッキン(3)の素材、突起(36)の形状、内側円筒面(15)の形状等に応じて適宜設定できる。継手本体(1)の端面係止部(16a, 16b)の軸方向外側に隣接して突起収容部(17)を形成してもよく、パッキン(3)の突起(36)の外面は突起収容部(17)の内面に当接させてもよい。また、突起収容部(17)の断面形状は矩形状又は円弧状である。突起収容部(17)を設けることにより、継手本体(1)へのパッキン(3)の装着が容易となると同時に、装着されたパッキン(3)の脱落及び突起(36)の損傷を防止することができる。テーパ部(14)は、直線状断面に限定されず、円弧状断面であってもよい。
【0014】パッキン(3)の突起(36)の断面は矩形状、円弧状又は矩形状と円弧状との組合せが可能であるが、いずれの形状を採用するかは、設定される締付トルクの程度による。パッキン(3)の突起(36)に隣接して径方向凹部(37)を形成してもよく、径方向凹部(37)を突起(36)の両側に形成してもいずれか片側に形成してもよい。径方向凹部(37)を形成した場合、突起(36)の弾性変形が容易となるので、可撓性が若干小さいパッキン(3)を用いる場合等に適用できる。パッキン(3)の突起(36)は周方向に連続的に形成されるか又は周方向に断続的に複数個形成される。突起(36)を周方向に断続的に複数個形成する場合には、継手本体(1)の突起収容部(17)を対応する箇所に断続的に複数個形成してもよく周方向に連続的に形成してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1〜図13について説明する。
【0016】図1に示す本発明の第1の実施の形態によるメカニカル式管継手は、接続管(5)を挿入する空洞部(11)及び雄ねじ部(13)が外周部に形成された端部(12)を有する継手本体(1)と、継手本体(1)の雄ねじ部(13)に連結される雌ねじ部(21)が形成されかつ接続管(5)が挿通されるナット(2)と、継手本体(1)の端部(12)の内面に形成されかつ軸方向内側に縮径するテーパ部(14)に装着されかつナット(2)により押圧される弾性変形可能なパッキン(3)とを備え、継手本体(1)に対してナット(2)を締め付けることによりパッキン(3)を圧縮して継手本体(1)と接続管(5)の外面との間を密封する。継手本体(1)のテーパ部(14)の軸方向外側には端面係止部としての径方向係止部(16a)が形成され、継手本体(1)のテーパ部(14)の内径を超えて径方向外側に突出する突起(36)がパッキン(3)の外面に一体に形成される。継手本体(1)のテーパ部(14)にパッキン(3)を装着し、ワッシャ(8)を介してナット(2)を装着する。本実施の形態はワッシャ(8)を備えているが、ナット(2)の締付によりパッキン(3)に亀裂や傷が生じるおそれがない場合にはワッシャ(8)を省略してもよい。また、ナット(2)は丸形、6角、8角、10角、12角等の多角形ナットのいずれでもよい。
【0017】図2に示すように、継手本体(1)の軸方向内側へ挿入されるパッキン(3)の先端部には、パッキン(3)の中心軸に対し傾斜角度20°〜40°、好ましくは25゜〜35°の外側テーパ面(34)が形成される。パッキン(3)には外側テーパ面(34)を必ずしも形成しなくても良いが、ナット(2)の締付によるパッキン(3)の縮径を容易にする点で、外側テーパ面(34)を設ける方が好ましい。図示しないが、パッキン(3)の全体をOリング状にした上で突起(36)を形成してもよい。換言すれば、パッキン(3)は本明細書に記載された形状に限定されず、パッキン(3)の内径が接続管(5)の外径よりも大きく、パッキン(3)を押し込むことによってパッキン(3)が縮径して継手本体(1)と接続管(5)の外面との間を密封できる形状であればいかなる形状でもよい。
【0018】パッキン(3)の外面の突起(36)は、パッキン(3)の自重のみでパッキン(3)を継手本体(1)に装着した状態又はパッキン(3)を継手本体(1)に対して僅かに加圧してパッキン(3)を縮径させかつ接続管(5)が挿通可能な状態で、継手本体(1)の径方向係止部(16a)に接触する位置に設けられる。パッキン(3)の突起(36)は、矩形状、円弧状又は矩形状と円弧状との組合せのいずれでもよく、また、パッキン(3)の外周から突出した部分が継手本体(1)の径方向係止部(16a)に接触するのであれば他の形状も可能である。突起(36)の寸法形状は、手締めでナット(2)を回転させることにより突起(36)に締付力が作用したときに抵抗を生じると共に、更に強い手締めでナット(2)を回転させることにより突起(36)が締付力に降伏して弾性変形して継手本体(1)の軸方向内側に移動してパッキン(3)が縮径できればよく、パッキン(3)を形成する素材の硬さ、継手本体(1)の大きさ等により適宜設定できる。換言すると、パッキン(3)を継手本体(1)の軸方向内側へ押し込むために必要な力は、突起(36)の寸法形状により任意に設定できる。
【0019】図3に示すように、継手本体(1)のテーパ部(14)と径方向係止部(16a)との間には内側円筒面(15)が形成され、継手本体(1)の内側円筒面(15)とほぼ同一直径の外側円筒面(35)がパッキン(3)の突起(36)の軸方向内側に形成される。継手本体(1)の径方向係止部(16a)及び内側円筒面(15)と、パッキン(3)の突起(36)及び外側円筒面(35)とをそれぞれ当接させることにより、ナット(2)による一定の締付力に対するパッキン(3)の軸方向内側の移動を一定状態まで確実に防止でき、安定して節度感が得られる。
【0020】図4に示す状態で、ナット(2)の締付によって継手本体(1)の軸方向内側に向かってパッキン(3)を押し込む力が作用したときに、継手本体(1)の径方向係止部(16a)に接触している突起(36)が抵抗となり締付トルクを上昇させるので、ナット(2)の締付状態を容易に判断できる。更に大きな締付トルクによってナットを締め付けると、図5に示すように突起(36)が弾性変形して継手本体(1)の内側円筒面(15)ないしテーパ部(14)内に圧入され、パッキン(3)が縮径して接続管(5)の外面に密着し、継手本体(1)と接続管(5)の外面との間を密封する。
【0021】即ち、本実施の形態では、一定の締付力以下の力でナット(2)を締め付けたとき、突起(36)は継手本体(1)の径方向係止部(16a)に接触してパッキン(3)の軸方向内側への移動を阻止する。従って、メカニカル式管継手の仮組立のため、継手本体(1)に対し軽い締付力でナット(2)を締め付けたとき、突起(36)は継手本体(1)の径方向係止部(16a)に接触して弾性変形せずにパッキン(3)の軸方向内側への移動を阻止するため、継手本体(1)のテーパ部(14)にナット(2)を配置してパッキン(3)を締め付けた状態でも接続管(5)を容易に挿入できると同時に、振動等によるナット(2)の脱落を防止できる。この時、パッキン(3)の突起(36)が抵抗することにより締付トルクが急激に変化するポイントがあるため締付の節度感が与えられ、ナット(2)が脱落しない程度の締付に必要な力が容易に察知できる。従って、ナット(2)を締め込みすぎて接続管(5)が挿入不能になるほどパッキン(3)を過剰に縮径させることがない。
【0022】一定の締付力を超える力でナット(2)を締め付けたとき、突起(36)は弾性変形により継手本体(1)のテーパ部(3)内に圧入されパッキン(3)を軸方向内側に移動できる。従って、継手本体(1)の空洞部(11)内に接続管(5)を挿入した後、本組立のため、一定の締付力を超えてナット(2)を締め付けたとき、突起(36)は弾性変形により継手本体(1)のテーパ部(3)内に縮径・圧入されるので、パッキン(3)を軸方向内側に移動して、継手本体(1)と接続管(5)の外面との間をパッキン(3)により密封することができる。
【0023】図6に示すメカニカル式管継手は、図1に示すナット(2)に代えて、軸方向外側に向かって縮径するテーパ部を有するロックリング(4)と、ロックリング(4)のテーパ部に当接する内側テーパ部を有するナット(2)とを備えている。即ち、ロックリング(4)を備えたメカニカル式管継手にも本発明が適用できる。
【0024】図7に示す本発明の第2の実施の形態では、継手本体(1)の端部(12)に端面係止部(16a, 16b)としてのテーパ状係止部(16b)が設けられる。テーパ状係止部(16b)の傾斜角度は、継手本体(1)の中心軸に対し30°〜90°である。パッキン(3)の突起(36)は、継手本体(1)のテーパ状係止部(16b)に対応する外側テーパ面を有してもよいが、テーパ状係止部(16b)に関わらず断面矩形状、円弧状その他の形状でもよい。即ち、図1に示す径方向係止部(16a)及び図7に示すテーパ状係止部(16b)の両方を含めて、端面係止部(16a, 16b)の形状は、パッキン(3)の素材、突起(36)の形状、内側円筒面(15)の形状等に応じて適宜設定できる。
【0025】図8に示す本発明の第3の実施の形態では、継手本体(1)の端面係止部としての径方向係止部(16a)の軸方向外側に隣接して突起収容部(17)が形成される。図8ではパッキン(3)の突起(36)の外面を突起収容部(17)の内面に当接させるが、突起(36)の外面と突起収容部(17)の内面とは離間してもよい。また、図8では突起収容部(17)の断面形状は矩形状であるが、円弧状その他の形状も可能である。突起収容部(17)を設けることにより、継手本体(1)へのパッキン(3)の装着が容易となると同時に、装着されたパッキン(3)の脱落及び突起(36)の損傷を防止することができる。また、図8に示すように、本発明では、継手本体(1)のテーパ部(14)は直線状断面に限定されず、円弧状断面であってもよい。
【0026】本発明では、パッキン(3)の突起(36)の断面は矩形状に限定されない。例えば、図9に示すパッキン(3)の第1の変更例のように突起(36)の断面を円弧状にしてもよく、図10に示すパッキン(3)の第2の変更例のように矩形状と円弧状との組合せとしてもよく、更に、その他の形状も適用可能であるが、いずれの断面形状を採用するかは、設定される締付トルクの程度に左右される。また、パッキン(3)の突起(36)は、周方向に連続的に形成してもよく、図11に示すパッキン(3)の第3の変更例のように周方向に断続的に複数個形成してもよい。断続的に形成する突起(36)の数は、必要とされる締付トルクに応じて適宜設定できる。突起(36)を周方向に断続的に複数個形成する場合には、継手本体(1)の突起収容部(17)を対応する箇所に断続的に複数個形成してもよく周方向に連続的に形成してもよい。
【0027】図12及び図13にそれぞれ示すパッキン(3)の第4及び第5の変更例では、パッキン(3)の突起(36)に隣接して径方向凹部(37)を形成する。径方向凹部(37)は、図12のように突起(36)の片側にのみ形成してもよく、図13のように突起(36)の両側に形成してもよい。径方向凹部(37)を形成した場合、突起(36)の弾性変形が容易となるので、可撓性が若干小さいパッキン(3)を用いる場合等に適用できる。
【0028】
【実施例】[実施例1]図2に示すパッキン(3)をNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)により形成し、内径:d1=28.4mm、外径:D1=36mm、長さ:l=12mmとし、外側テーパ面(34)の中心軸に対する傾斜角度:θ=30゜とした。外側テーパ面(34)の細側端からの距離:H1=7mmのパッキン(3)の外面に、断面矩形状の突起(36)を周方向に連続的に形成した。突起(36)は、径方向長さ:H2=1.5mm、軸方向長さ:H3=1.2mmとした。以下の実施例及び比較例では、特に言及する場合を除き、各々のパッキン(3)の内径、外径、長さその他の寸法形状及び素材は図2のパッキン(3)と同一とした。パッキン(3)に設けた突起(36)の効果を明らかにするため、図2に示す突起(36)を有するパッキン(3)を用いた実施例に対して、図14に示す突起を有しないパッキン(3)を比較例として、それぞれ図1及び図14に示す状態で継手本体(1)にパッキン(3)、ワッシャ(8)及びナット(2)が接触した状態から押し込み、パッキン(3)の縮径により接続管(5)が挿入不能となった時点での締付力をナット(2)の締付トルクとして測定した。その結果、図14に示す突起(36)のないパッキン(3)では、締付トルク0.6Nmで接続管(5)が挿入不能となった。一方、図2に示す本発明のパッキン(3)では、締付トルク1.5Nmで接続管(5)が挿入不能となった。ナット(2)がパッキン(3)及びワッシャと接触する前の締付トルクは0.5Nmであり、図14の突起(36)のないパッキン(3)ではナット(2)の回転によるパッキン(3)の押込が殆ど察知できない。これに対し、図2の実施例のパッキン(3)ではナット(2)がパッキン(3)を押し込むことによりナット(2)の締付トルクが2倍以上に上昇するため、容易にパッキン(3)の押込が察知でき、必要以上にパッキン(3)を押し込むことがなく、パッキン(3)を押し込み始めた時点でナット(2)の回転を止めることができるので接続管(5)の挿入性を阻害することが無かった。この時点で仮組立が完了し、更に本組立として接続管(5)を接続する場合は、手締めによって1.5Nm以上の締付トルクを容易に加えることができた。その結果、パッキン(3)が縮径して接続管(5)の外面とパッキン(3)の内面とが接触して接続管(5)を保持することができ、パイプレンチ等の工具を用いた締付により水密構造が形成され、水圧10MPaまで漏洩を発生しないことを確認した。
【0029】[実施例2]図9に示すパッキン(3)において、外側テーパ面(34)の細側端からの距離:H1=7.8mmの位置に1.5Rの円弧形状の突起(36)を周方向に連続的に設けた。実施例1と同様に測定した締付トルクは1.0Nmと十分な値が得られた。
【0030】[実施例3]図10に示すパッキン(3)において、外側テーパ面(34)の細側端からの距離:H1=7mmの位置に矩形状と円弧形状とからなる突起(36)を周方向に連続的に設けた。突起(36)は、径方向長さ:H2=1.5mm、軸方向長さ:H3=0.5mmとした。継手本体(1)側の外面から突起(36)の形成位置に1.5Rの円弧形状を形成した。実施例1と同様に測定した締付トルクは1.3Nmであった。
【0031】[実施例4]図11に示すパッキン(3)において、外側テーパ面(34)の細側端からの距離:H1=7.8mmの位置に1.5Rの円弧形状の突起(36)を周方向に断続的に4個形成した。即ち、突起(36)を周方向に断続的に形成する点以外は、実施例2と同様の断面形状を有するパッキン(3)を用意した。実施例1と同様に測定した締付トルクは0.8Nmと若干小さいが、比較例(締付トルク0.5Nm)に対しては十分な値であった。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、パッキンを締め付けた状態でも接続管を容易に挿入できると同時に、振動等によるナットの脱落を防止できる。従って、容易に縮径しうるパッキンを用いたメカニカル式管継手において、仮組立状態の管継手に接続管をそのまま挿入可能として施工性を向上できると共に、種々の外径を有する接続管に対応でき、信頼性の高い密封構造を達成できる。
【出願人】 【識別番号】000139023
【氏名又は名称】株式会社リケン
【出願日】 平成11年7月7日(1999.7.7)
【代理人】 【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
【公開番号】 特開2001−21042(P2001−21042A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−193564