| 【発明の名称】 |
平面固定用シール |
| 【発明者】 |
【氏名】三ツ井 孝禎
【氏名】東 吉夫
【氏名】西村 泰幸
【氏名】西村 寛
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| 【要約】 |
【課題】形状保形性にすぐれ、装着性・組立作業性・密封性が良好で、アウトガスの発生がない平面固定用シールを提供する。
【解決手段】金属薄板2に、シール部となる凸状部3を形成し、該凸状部3の表面に、コーティング層4を被覆している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属薄板に、断面山型の凸状部を環状に形成し、少なくとも上記凸状部に、コーティング層を被覆したことを特徴とする平面固定用シール。 【請求項2】 コーティング層の厚さ寸法aを、10〜500 μmに設定した請求項1記載の平面固定用シール。 【請求項3】 コーティング層がフッ素ゴム系材質またはフッ素樹脂系材質である請求項1又は2記載の平面固定用シール。 【請求項4】 金属薄板の肉厚tを、0.02〜0.6mm に設定すると共に、凸状部の形状が、断面に於て、半径Rを 0.1〜1.5mm 、高さ寸法hを 0.1〜1.5mm に、設定した請求項1,2又は3記載の平面固定用シール。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、平面固定用シールに係り、特に、ハードディスクドライブ(以下、HDDと略す)のケース用に好適なシールに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、平面固定用シールとしては、■ゴム材単体から成るもの、■薄い金属板とゴム材とを接着剤によって一体化した接着方式(例えば、特許登録第2517797号) によるもの、■ゴムモールド時に、薄い金属板を生ゴムと共に金型に組み込み、焼き付け又は機械的な結合により一体化させる一体成型方式(例えば、特開平4-341986号公報)によるもの、等が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記■のゴム材単体の場合、例えば、HDD用シールでは、シート状であってその形状が複雑で、薄いことが要求されるため、(シート状ゴム材のみでは)形状保形性が悪く、組付時の位置決めが困難であり、組立作業性・装着性に問題があった。 【0004】また、上記■の接着方式では、形状保形性は向上するものの、接着剤から出るアウトガスが、HDD内部の腐食や誤動作を引き起こすことがあった。さらに、上記■の一体成型方式では、成型時の成型圧力と高温等によって金属板にひずみが生じ、組立時の位置決め不良、及び、ディスクの回転精度に悪影響を及ぼす虞があった。 【0005】そこで、本発明は、形状保形性に優れ、装着性・組立作業性・密封性が良好で、アウトガスの発生が少ない平面固定用シールを提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、本発明に係る平面固定用シールは、金属薄板に、断面山型の凸状部を環状に形成し、少なくとも上記凸状部に、コーティング層を被覆した。 【0007】また、コーティング層の厚さ寸法を、10〜500 μmに設定した。そして、コーティング層がフッ素ゴム系材質またはフッ素樹脂系材質である。また、金属薄板の肉厚を、0.02〜0.6mm に設定すると共に、凸状部の形状が、断面に於て、半径を 0.1〜1.5mm 、高さ寸法を 0.1〜1.5mm に、設定した。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。 【0009】全体の平面図を示す図1、図1のX−X線拡大断面図と要部拡大図を示した図2、及び図4に於て、この平面固定用シール1は、例えば、HDD用ケースの本体ケース5とケース蓋6との間に組み込まれる(図4参照)。この平面固定用シール1は、環状に形成された金属薄板2に、シール部となる断面山型の凸状部3を(閉ループ)環状に形成し、その表面に、密着性を向上させるためコーティング層4を被覆して成る。なお、図1中、21…は、金属薄板2に於て凸状部3の周縁に形成した補強用又は取付用のフランジである。 【0010】そのコーティングは、図2(B)のように金属薄板2の全表面に施してもよいし、図2(C)の如くシール部としての上記凸状部3のみに限定してもよい。特に、図2(C)に示す如く、凸状部3の表て面(上面)はその頂部近傍をコーティング層4にて被覆し、さらに、裏面(下面)は、両底辺部31,31に繋がるアール部13,13近傍をコーティング層4にて、被覆することが、少なくとも必要である(相手被密封面との密着すべき箇所に相当する部位───シールポイント───であるから)。ちなみに、断面形状山型の凸状部の好ましい例として、断面形状が略逆U字型のものが挙げられる。このような形状の凸状部は、薄板を加工するのみで容易に形成することができる。 【0011】平面固定用シール1のベースとなる金属薄板2の材質としては、例えば、SUS304 等のステンレス鋼が好ましいが、その他のステンレス鋼や、冷間圧延鋼板(SPC)であってもよい。その金属薄板2の肉厚tは、コストや性能、使用条件等々を考慮して、0.02〜0.6mm の範囲で適宜に選択されてよい。特に、0.05〜0.15mmが好ましい。 【0012】その金属薄板2の凸状部3の形状は、図2(B)(C)に示すように、半径Rを 0.1〜1.5mm 、高さhを 0.1〜1.5mm 程度とする。特に、半径Rを 0.3〜0.8mm 、高さhを 0.3〜0.8mm とするのが、密封性と加工性と弾性変形容易性から、好ましい。なお、シール面の形状、材料によって、その半径Rや高さhは適宜に選択・設定されてよい。 【0013】ちなみに、断面山型の凸状部3の異なる例として、図3(A)(B)に示すような形状、すなわち、片側からのみ立ち上がり状に形成された凸状部も挙げられる。この場合、本体ケース5への反力が少なく、本体ケース5(又はケース蓋6)の変形が少なくなるという利点がある。 【0014】一方、コーティング層4の材質としては、アウトガスの点からゴム系コーティングよりも樹脂系コーティングが望ましく、また、肉厚tが0.02〜0.6mm の金属薄板2の弾性変形容易性から(シール部としての)凸状部3が弾性変形しやすく、コーティング層4自体に弾性が無くとも良いと考えると、加工の容易性からフッ素樹脂系が一層好ましいといえる。なお、フッ素ゴム系材質は、樹脂に比べて硬度が低い(軟らかい)ため、相手材への密着性が向上する利点がある。 【0015】なお、コーティング層4としては上述の材質に限らず、フッ素系のゴム材,NBR,HNBR,EPDM,CR等のゴム系材料でもよく、MoS2 ,黒鉛系材料等であってもよい。また、そのコーティング層4の厚さ寸法aは30〜40μm 程度が好ましいが、コストや性能、使用条件等々を考慮して、10〜500 μm の範囲で適宜に選択されてよい。 【0016】図4は、平面固定用シール1をHDD用ケースに装着した状態の断面を示す。この場合、平面固定用シール1は、本体ケース5の周壁の上面に載置して、ケース蓋6を閉じた時に、断面山型の凸状部3が、ケース蓋6の周縁部底面9によって押圧されて圧縮弾性変形する。その弾性的反発力によって密封性が確保される。 【0017】図5及び図6は、平面固定用シール1の形状効果(ばね効果)を調べるためにおこなったFEM(有限要素解析法)の結果を示し、図7及び図8は、そのFEMの結果を裏付けるために、感圧紙を用いて平面固定用シール1の接触状態を調べた結果を示す。なお、図5及び図6にて、10は本体ケース相当部材、11はケース蓋相当部材を示す。 【0018】図5は、圧縮時のベクトル方向を矢印で示し(但し、両側対称型のため、半分のみ図示)、これにより、平面固定用シール1の凸状部3の頂点Aは垂直下向きに、また、底辺Bは斜め外向きの力を受けるのが判る。また、図6は、図5のベクトルを受けた結果の弾性的変形状態を示し、その変形状態にて、凸状部3の頂点Aとケース蓋相当部材11との間、及び、底辺Bと本体ケース相当部材10との間に、それぞれシールポイントS1 ,S2 を確認することができる。 【0019】このシールポイントS1 ,S2 では、局部的に圧接面圧が大となるが、上述の図2(C)と合わせて判断すれば、このシールポイントS1 ,S2 を、コーティング層4にて、被覆していて、少なくとも、図2(C)の如く凸状部3の頂部(頂点近傍)及びアール部13,13を、被覆する必要があり、これによって、良好な密封性を確保しているといえる。 【0020】図7及び図8は、感圧紙を用いて平面固定用シール1の接触状態を調べた結果を示し、この場合、全周に100kgfの押圧力を作用させ、図7は、頂点Aとケース蓋相当部材11との間に形成されたシールポイントS1 (1箇所)によるシールラインを示し、図8は、底辺Bと本体ケース相当部材10との間に形成されたシールポイントS2 ,S2 (2箇所)によるシールラインを示す。両図から、各シールポイントS1 及びS2 ,S2 が、いずれも、連続して閉じた環状のシールラインを形成し、3条のシールラインにより、良好なシール性(密封性)が確保されることを確認することができる。 【0021】図9は、従来品■と、本発明実施品■と、比較例■とにつき、気密試験をおこなった結果を示すグラフ図である。なお、本発明実施品■は、図1,図2(A)(B)の形状のもので、金属薄板2の肉厚tが0.1mm の鋼材(SUS304)を使用し、これにフッ素樹脂系のコーティング層4を全面被覆した。コーティング層4の厚さ寸法aは35μm とした。なお、凸状部3の高さ寸法hは0.2mm とした。従来品■は、ステンレス鋼の薄板の両面にフッ素ゴム材を焼き付け成形したものであり、比較例■は、形状が本発明実施品と同じである金属薄板を用いて、コーティングを施していないものである。この試験により、本発明実施品■は、従来品■と同等以上の気密性があり、また、比較例■に比べて約2倍の圧力保持時間を有していることを確認することができた。 【0022】このように本発明の平面固定用シール1は、優れたシール性(密封性)を発揮する。 【0023】そして、ベースに金属薄板2を使用し、かつ、凸状部3を設けたことにより、形状保形性が良好となり、組立作業性が向上する。特に、凸状部3により、形状保形性が効果的に向上し、例えば肉厚tが0.1mm 程度の金属薄板2でも、取り扱い時に、わずかにたわむ程度で、装着性が良好であり、ロボットによる自動組立も可能となる。 【0024】また、金属薄板2の2次加工(ゴムモールド)がないため、その変形が少なく、初期の寸法精度を維持することができる。接着剤を使用しないため、アウトガスの発生が少なく、密封された内部を清浄な状態に保ことができる。また、金属薄板2にコーティング層4を被覆した簡単な構造であるので、組立前の洗浄が容易となる。なお、従来の金属板とゴムとの複合品等の場合(図示省略)には、2つの材料の接触面に入り込んだ洗浄液の乾燥が困難となる。 【0025】そして、ゴムと金属板とによる複合シールの場合に比べて、組立後の本体ケース5とケース蓋6とのクリアランスを小さくすることができ、コンパクト化(特に、高さを低く)を達成することができる。なお、本発明は上述の実施の形態以外にも設計変更自由であって、例えば、凸状部3を複数条並列に形成してもよい。また、その全体形状は図1に示すものに限らず、適宜な形状に設計されてよい。 【0026】 【発明の効果】本発明によれば、金属薄板2に凸状部3を形成していることによって、形状が複雑で薄くても、全体の剛性が向上し、形状保形性がよくなり、装着性が良好となる。また、金属薄板2の凸状部3の弾性変形による密着性の向上によって、優れた密封性を確保することができて、HDDケース用等に極めて好適である。 【0027】そして、コーティング層4を金属薄板2に被覆させているので、組立前の洗浄が容易となる。また、接着剤を用いないので、アウトガスの発生がなく、内部を清浄な状態に保つことができる。また、従来のゴムと金属板の複合シールに比べて、シール全体の厚さが小さくて、組立後のHDD本体ケース等と蓋のクリアランスを減少できる。かつ、金属薄板2の2次加工(ゴムモールド)が不要なため、初期の寸法精度も良好に保ち得る。 【0028】(請求項2によれば、)シール全体の厚さが増加せず、HDDケース用に好適であると共に、コーティング加工も効率的に行うことが可能であり、(剥離することのない)十分な強度が得られる。 【0029】(請求項3によれば、)被密封相手面(図3の面8,9参照)の凹凸に沿ってなじみ易く、優れた密封性を発揮できる。 【0030】(請求項4によれば、)金属薄板2の凸状部3の弾性変形及びそれによる(組立状態下での)弾発力に優れ、優れた密封性を発揮できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003263 【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年7月2日(1999.7.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080746 【弁理士】 【氏名又は名称】中谷 武嗣
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| 【公開番号】 |
特開2001−21041(P2001−21041A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月26日(2001.1.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−189576 |
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