| 【発明の名称】 |
サイドレール用帯状素材およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】川合 隆文
【氏名】石原 勝志
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| 【要約】 |
【課題】サイドレールとスペーサーエキスパンダとの間の円周方向の相対的な滑りを確実に防止した、サイドレールの内周面に簡単に確実に凹凸を付与できる曲げ加工条件の簡単なサイドレール用帯状素材を提供する。
【解決手段】帯状素材の一側面に凹凸を形成したサイドレール用帯状素材である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 帯状素材の一側面に凹凸を形成したことを特徴とするサイドレール用帯状素材。 【請求項2】 幅圧下と厚み圧下とを施してサイドレール用帯状素材を製造する方法において、前記幅圧下を施す一対の幅圧延ロールの一方を、表面に凹凸を形成した粗面ロールとし、該一対の幅圧延ロールで幅方向に圧下して前記帯状素材の一側面に凹凸を形成することを特徴とするサイドレール用帯状素材の製造方法。 【請求項3】 幅圧下と厚み圧下とを施したサイドレール用帯状素材を、円環状に湾曲させて組合せオイルリング用サイドレールを製造する方法において、前記幅圧下を施す一対の幅圧延ロールの一方を、表面に凹凸を形成した粗面ロールとし、該一対の幅圧延ロールで幅方向に圧下して前記帯状素材の一側面に凹凸を形成し、該凹凸を形成した帯状素材の一側面がサイドレールの内周面となるように円環状に湾曲させることを特徴とする組合せオイルリング用サイドレールの製造方法。 【請求項4】 前記円環状に湾曲させたサイドレールの内周面の表面粗さRZ を10〜15μm とすることを特徴とする請求項3に記載の組合せオイルリング用サイドレールの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、サイドレール用帯状素材並びにその製造方法および組合せオイルリング用サイドレールの製造方法に関し、詳しくは、スペーサーエキスパンダの上下に配置され、スペーサーエキスパンダにより内燃機関のシリンダー内壁に圧接されて用いられるサイドレールの帯状素材並びにその製造方法およびサイドレールの製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】組合せオイルリング用サイドレールは、通常、圧延ロールで幅圧下と厚み圧下とを施された矩形状断面の帯状素材を、たとえば複数のピンの間を通過させて円環状に湾曲させた後、合い口を切り放して製造されている。このようにして製造された組合せオイルリング用サイドレールは、図2に示すように合い口すき間gを有する幅Bの欠円環体であり、たとえば図3、図4に示すようにスペーサーエキスパンダ1( 軸方向Yに波形を有しているもの) を挟んで上下に配置され、組合せオイルリングとして内燃機関のピストン5とシリンダのすき間のピストン5の溝内に装着されている。内燃機関のピストンには、このような組合せオイルリングと燃焼室の気密性を保持する圧力リングとが装着されている。 【0003】組合せオイルリングは、オイルが燃焼室に流入して燃焼することを防ぎかつシリンダ内壁面と圧力リング間の金属接触による摩耗を低減し、さらにピストンの円滑な冷却が行えるように、シリンダ内壁面のオイル付着量を適正とする重要な役割を担っている。そしてオイル付着量を適正とするために、組合せオイルリングのスペーサーエキスパンダには、たとえば図3、図4に示すように耳部4、4’が設けられ、耳部4、4’によって、それぞれ上下サイドレール2、3をシリンダの内壁面に適正に押しつけるようにしている。耳部が設けられたスペーサーエキスパンダには、図5に示すように半径方向rに波形を有するものも提案されている。 【0004】近年、組合せオイルリングの張力が低くなるにしたがって、上下サイドレールの内周面とスペーサーエキスパンダの耳部との接触面圧が低下して摩擦抵抗が小さくなり、内燃機関の運転条件によっては、上下サイドレールの内周面とスペーサーエキスパンダ耳部との間で相対的な滑りが発生し、互いの接触部が著しく摩耗したり、スペーサーエキスパンダの合い口とサイドレールの合い口の位置が一致し、合い口付近のシリンダ方向面圧が低下したりしてシリンダ内壁面のオイル付着量を適正にできない欠点があった。 【0005】この欠点をなくすために特開平3−113172号公報には、複数のピンの間を通過させて円環状に帯状素材を湾曲させる際に、サイドレールの内周面となる側を表面に凹凸を形成した少なくとも1つのピンに圧接して、サイドレールの内周面となる側に凹凸を形成するサイドレールの製造方法が提案されている。しかしながら特開平3−113172号公報に記載のサイドレールの製造方法では、帯状素材を曲げるピンで、帯状素材に凹凸を形成するので、所定の円環状にする曲げ加工条件と所定の凹凸を形成する条件とが関係しあって、曲げ加工条件と凹凸の形成条件とが複雑になるという問題があった。 【0006】また特開平3−113172号公報に記載のサイドレールの製造方法では、帯状素材を挟んで凹凸を形成するピンの反対側に帯状素材を拘束するものがなく、条件によってはサイドレールの内周に所定の凹凸が形成できなかったりサイドレールのの内周方向の凹凸が変動するのでし、サイドレールとスペーサーエキスパンダとの間の相対的な滑りを確実に防止できないという問題があった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的は、従来技術の上記問題点を解消することにあり、サイドレールとスペーサーエキスパンダとの間の円周方向の相対的な滑りを確実に防止した、サイドレールの内周面に簡単に確実に凹凸を付与できる曲げ加工条件の簡単なサイドレール用帯状素材およびその製造方法を提供することにある。 【0008】また本発明の目的は、サイドレールとスペーサーエキスパンダとの間の円周方向の相対的な滑りを確実に防止した、サイドレールの内周面に簡単に確実に凹凸を付与できる曲げ加工条件の簡単な組合せオイルリング用サイドレールの製造方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、帯状素材の一側面に凹凸を形成したことを特徴とするサイドレール用帯状素材である。請求項2記載の本発明は、幅圧下と厚み圧下とを施してサイドレール用帯状素材を製造する方法において、前記幅圧下を施す一対の幅圧延ロールの一方を、表面に凹凸を形成した粗面ロールとし、該一対の幅圧延ロールで幅方向に圧下して前記帯状素材の一側面に凹凸を形成することを特徴とするサイドレール用帯状素材の製造方法である。 【0010】請求項3記載の本発明は、幅圧下と厚み圧下とを施したサイドレール用帯状素材を、円環状に湾曲させて組合せオイルリング用サイドレールを製造する方法において、前記幅圧下を施す一対の幅圧延ロールの一方を、表面に凹凸を形成した粗面ロールとし、該一対の幅圧延ロールで幅方向に圧下して前記帯状素材の一側面に凹凸を形成し、該凹凸を形成した帯状素材の一側面がサイドレールの内周面となるように円環状に湾曲させることを特徴とする組合せオイルリング用サイドレールの製造方法である。 【0011】請求項4記載の本発明は、前記円環状に湾曲させたサイドレールの内周面の表面粗さRZ を10〜15μm とすることを特徴とする請求項3に記載の発明である。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明について図1を用いて詳細に説明する。図1は、本発明に用いて好適な装置の概略斜視図である。ここで、10は矩形状の断面を有する帯状素材、10A は帯状素材の一側面、は10B 帯状素材の他側面であり、Bは帯状素材の幅、Hは帯状素材の厚みである。また、11A は平滑ロールより粗い粗面ロール、11B は平滑ロールである。なお、12は厚み圧延ロールである。 【0013】本発明のサイドレール用帯状素材は、帯状素材の一側面に凹凸を形成した帯状素材であって、凹凸を形成した一側面がサイドレールの内周面となるように、円環状に湾曲させて組合せオイルリング用サイドレールを製造するのに用いる。本発明のサイドレール用帯状素材10は、円環状に湾曲させる前に帯状素材の一側面10A に凹凸が確実に形成されているので、円環状に湾曲させる曲げ加工条件が簡単であり、スペーサーエキスパンダと組み合わせて円周方向の相対的な滑りを確実に防止できるのである。本発明のサイドレール用帯状素材は、たとえば図1に示すように幅圧下を施す一対の幅圧延ロール11A 、11B の一方を、表面に凹凸を形成した粗面ロール11A とし、該一対の幅圧延ロール11A 、11B で幅方向に圧下して帯状素材10の一側面10A に凹凸を形成することにより得ることができる。 【0014】また本発明の凹凸を形成した帯状素材10の一側面の表面粗さは、円環状に湾曲させる際に表面の粗さは帯状素材の幅が小さく、曲率が大きい場合はほとんど変わらないが、帯状素材の幅が大きく、曲率が小さい場合は押しつぶされて減少するので、円環状に湾曲させた後のサイドレールの内周面の表面粗さRZ の好適な範囲よりも大きな、13〜18μm としておくのが好ましい。 【0015】本発明において、円環状に湾曲させた後のサイドレールの内周面の表面粗さRZ を10〜15μm とすることが好ましい理由は次のとおりである。サイドレールの内周面の表面粗さRZ を10μm 未満とすると、サイドレールとスペーサーエキスパンダとの間の摩擦力が十分でなく、相対滑りが完全には防止できない。一方サイドレールの内周面の表面粗さRZ が15μm を超えると、サイドレールの内周面のスペーサーエキスパンダとの接触部の摩耗が早い。このためサイドレールの内周面の表面粗さRZ を10〜15μm の範囲とするのが好ましいのである。 【0016】次に、本発明のサイドレール用帯状素材の製造方法について説明する。本発明のサイドレール用帯状素材の製造方法は、たとえば図1に示すように幅圧下を施す一対の幅圧延ロール11A 、11B の一方を、表面に凹凸を形成した粗面ロール11A とし、該一対の幅圧延ロール11A 、11B で幅方向に圧下して帯状素材10の一側面10A に凹凸を形成することが特徴である。 【0017】本発明のサイドレール用帯状素材の製造方法において、幅圧下を施す一対の幅圧延ロール11A 、11B の一方を、表面に凹凸を形成した粗面ロール11A とし、該一対の幅圧延ロール11A 、11B で幅方向に圧下して帯状素材10の一側面10A に凹凸を形成する理由は、一対のロール11A 、11B で帯状素材10を挟んで、帯状素材10の幅方向に圧下するので、帯状素材が逃げてしまうことがなく、帯状素材10に確実に凹凸を形成できるからである。 【0018】本発明に用いる粗面ロールの凹凸のパターンは、梨地状、ローレット目、綾状等適宜定めればよい。また本発明のサイドレール用帯状素材の製造方法では、幅圧下と厚み圧下を施して帯状素材10にする複数パスの内の最終パスにおいて、帯状素材10を幅方向に圧下して帯状素材の一側面10A に凹凸を形成するのが、帯状素材10に形成された凹凸のその後の変化が少ないので好ましい。 【0019】また本発明のサイドレール用帯状素材の製造方法では、図1に示すように幅方向に圧下する一対の幅圧延ロール11A 、11B の他に、一対の厚み圧延ロール12、12を設け、この圧延ロール12、12用いて帯状素材10の厚み方向に同時に圧下するのが、確実に帯状素材10の一側面10A に凹凸を形成できるので好ましい。また本発明のサイドレール用帯状素材の製造方法において、帯状素材10の一側面10A に形成する凹凸の表面粗さRZ は、上記で説明したサイドレール用帯状素材の表面粗さの限定理由と同じ理由によって、サイドレール用帯状素材の表面粗さと同じ範囲にするのが好ましい。 【0020】次に、帯状素材を円環状に湾曲させて組合せオイルリング用サイドレールを製造する本発明の組合せオイルリング用サイドレールの製造方法について説明する。本発明の組合せオイルリング用サイドレールの製造方法において、幅圧下を施す一対の幅圧延ロールの一方を、表面に凹凸を形成した粗面ロールとし、該一対の幅圧延ロールで幅方向に圧下して帯状素材の一側面に凹凸を形成するのは、上記で説明したサイドレール用帯状素材の製造方法と同じであるので説明を省略する。本発明では、帯状素材の一側面に凹凸を形成した後、凹凸を形成した帯状素材の一側面がサイドレールの内周面となるように円環状に湾曲させることによって、簡単に円環状に湾曲させることができるのである。 【0021】本発明の組合せオイルリング用サイドレールの製造方法において、帯状素材の一側面に凹凸を形成した後、凹凸を形成した帯状素材の一側面がサイドレールの内周面となるように円環状に湾曲させる理由は、次の通りである。■帯状素材を円環状に湾曲させた後に、帯状素材に凹凸を形成したのでは、湾曲量が変化するので、再度円環状に湾曲させることが必要になってサイドレールの製造コストが高くなる。■また帯状素材を円環状に湾曲させることと、帯状素材に凹凸を形成することとを同時に同じものを用いて施すと、相互に関係しあってそれぞれの条件設定が複雑になる。このため帯状素材の一側面10A に凹凸を形成し、その後帯状素材10を帯状素材10の一側面10A がサイドレールの内周面となるように湾曲させるのである。 【0022】但し本発明の組合せオイルリング用サイドレールの製造方法では、同一工程内で、帯状素材の一側面10A に凹凸を形成した後、続いて円環状に湾曲させてもよい。また組合せオイルリング用サイドレールの製造方法において、円環状に湾曲させたサイドレールの内周面の表面粗さRZ は、上記で説明したサイドレール用帯状素材の表面粗さの限定理由と同じ理由によって、10〜15μm の範囲にするのが好ましい。 【0023】以上説明した本発明の組合せオイルリング用サイドレールの製造方法で製造されたサイドレールは、内周面に確実に凹凸が形成されているので、サイドレールとスペーサーエキスパンダとの間の円周方向の相対的な滑りを確実に防止できるのである。 【0024】 【実施例】粗面ロール11A と平滑ロール11B とを、帯状素材10の幅Bを挟んで配置した図1に示す装置を用いて、ロールで圧延して帯状素材にする複数パスの内の最終パスにおいて、帯状素材を幅方向に圧下して帯状素材の一側面に凹凸を形成した。その後帯状素材を複数のピンの間を通過させて円環状に湾曲させた後、合い口を切り放してシリンダ内径80mmφの自動車用ガソリンエンジンの組合せオイルリング用サイドレールを製造した。サイドレールは、厚みH0.5 mm、幅B2.2 mmであり、サイドレールの材質は、ステンレス鋼である。 【0025】但し、帯状素材の一側面に凹凸を形成する際、粗面ロールの凹凸量を変えて、外周面よりも粗い内周面を有する発明例のサイドレールを製造した。このサイドレールを、耳部を設けたスペーサーエキスパンダの上下に配置し、組合せオイルリングとして自動車用ガソリンエンジン内に装着して運転した結果、サイドレールとスペーサーエキスパンダとの間の相対的な滑りを確実に防止できたので、内周面の平滑な従来例に比してサイドレールの平均摩耗量及びスペーサーエキスパンダの摩耗量が減少し、エンジンオイルの消費量が減少できることがわかった。 【0026】 【発明の効果】本発明のサイドレール用帯状素材およびその製造方法によれば、簡単に確実にサイドレールの内周面に凹凸を付与できるので、サイドレールとスペーサーエキスパンダとの間の相対的な滑りが確実に防止できる。また本発明の組合せオイルリング用サイドレールの製造方法によれば、簡単に確実にサイドレールの内周面に凹凸を付与できるので、サイドレールとスペーサーエキスパンダとの間の相対的な滑りが確実に防止できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390022806 【氏名又は名称】日本ピストンリング株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年7月5日(1999.7.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099531 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 英一
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| 【公開番号】 |
特開2001−21038(P2001−21038A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月26日(2001.1.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−189825 |
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