| 【発明の名称】 |
変速比切換装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】森久 博
【氏名】近藤 泰人
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| 【要約】 |
【課題】装置全体として小型化することができるとともに、装置全体としての製造コストを低減することができる変速比切換装置を提供すること。
【解決手段】変速比切換装置1は、駆動モータ3の回転を減速して出力軸4に伝達する各部材、即ち、太陽ギヤ8,12、固定板13およびウォームホイール14、キャリア板15,18、遊星ギヤ軸20及び遊星ギヤ21,22が出力軸4の近傍周囲に全て設けられる。このため、従来の変速比切換装置にように、複数の平歯車を並列状に多段歯合させて駆動モータの回動を減速する必要がなく、その分、装置全体としてのサイズを小型化することができる。また、ソレノイドバルブ6の摺動ピン6aを突出又は後退させるだけで、出力軸4と駆動モータ3とが接続または切断される。このため、高価な電磁クラッチを用いて出力軸4と駆動モータ3とを接続または切断する必要がなく、その分、装置全体としての製造コストを低減することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 変速機の変速比を切り換えるために揺動されるマニュアルプレートに連結される出力軸と、その出力軸を回動させる回動トルクを供給する駆動モータとを備えた変速比切換装置において、前記出力軸に回動可能に嵌着され前記駆動モータの回動トルクが伝達されることにより回動されるリングギヤと、そのリングギヤにおける外周縁より内側位置に回動可能に支持される第1遊星ギヤと、その第1遊星ギヤの回動中心に連結されその第1遊星ギヤと同一の回動中心を有する第2遊星ギヤと、前記第1遊星ギヤに歯合され前記出力軸に設けられる第1太陽ギヤと、前記第2遊星ギヤに歯合され前記出力軸に回動可能に嵌着される第2太陽ギヤとを有する差動減速ギヤと、その差動減速ギヤの前記第2太陽ギヤに連結されると共に複数の係合部が外周に設けられる回動部材と、その回動部材へ向けて突出可能に形成され、その突出により前記複数の係合部のいずれかに係合されて前記回動部材を拘止する係合部材とを備えていることを特徴とする変速比切換装置。 【請求項2】 外周にねじ状の歯部が螺刻され前記駆動モータに連結されるウォームを備えており、前記リングギヤは、そのウォームの歯部に歯合可能なギヤ歯が外周に螺刻され且つ前記ウォームの軸方向と交叉する回動中心を有するウォームホイールを備えていることを特徴とする請求項1記載の変速比切換装置。 【請求項3】 前記出力軸の回動角度が所定量以上となった場合に前記係合部材を反突出方向へ後退させて、その係合部材と前記回動部材における前記複数の係合部との係合状態を解除すると共に、前記駆動モータによる回動トルクの供給を停止する制御装置を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の変速比切換装置。 【請求項4】 前記駆動モータが停止状態の場合に、前記係合部材と前記回動部材における前記複数の係合部との係合状態を解除し続ける制御装置を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の変速比切換装置。 【請求項5】 前記出力軸はマニュアルプレートの揺動を拘止するデテント部材により回動が停止されるように構成されており、前記差動減速ギヤは、前記出力軸の回動トルクを、前記係合部材と前記複数の係合部との係合状態が解除された場合にデテント部材の拘止力より小さくするように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の変速比切換装置。 【請求項6】 前記出力軸はマニュアルプレートの揺動を拘止するデテント部材により回動が停止されるように構成されており、前記差動減速ギヤは、前記出力軸の回動トルクを、前記係合部材と前記複数の係合部とが係合された場合にデテント部材の拘止力より大きくするように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の変速比切換装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、マニュアルプレートを揺動させて変速機の変速比を切り換える変速比切換装置に関し、特に、装置全体として小型化することができるとともに、装置全体としての製造コストを低減することができる変速比切換装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 自動車等の車両の変速を行う変速機には、トルクコンバータなどの流体クラッチを用いたオートマティックトランスミッション(以下、自動変速機と称す)を用いたものが提案されている。自動変速機は、運転ハンドル等に設けられるシフト切換スイッチの操作により選択された変速比レンジに基づいて駆動される変速比切換装置と、その変速比切換装置により揺動されるマニュアルプレート(デテントレバー)と、そのマニュアルプレートの位置を検出して、その検出結果に応じて油圧制御回路を作動させてトルクコンバータから出力されるトルクの大きさを切り換える変速機構とを備えている。 【0003】また、変速比切換装置は、主に、マニュアルプレートを揺動させる回動トルクを供給する駆動モータと、その駆動モータの回転を減速してマニュアルプレートに伝達する減速装置とを備えており、この減速装置により駆動モータの回転トルクを増幅してマニュアルプレートに伝達し、かかるマニュアルプレートを揺動させるのである。 【0004】ところで、近年における車両の軽量化に伴って、自動変速機の小型化とともに変速比切換装置の小型化が図られている。しかし、変速切換装置の小型化するっために駆動モータを小型化してしまうと、その駆動モータの供給トルクが低下して、減速装置による減速比をさせる必要がある。例えば、或る変速比切換装置に使用される減速装置では、その減速比が1/240とされており、このように大きな減速比を得る場合には、複数の平歯車を並列状に多段(例えば、3段以上)歯合させて駆動モータの回動を減速する必要があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記した複数の平歯車を多段に歯合させた減速装置では、複数の平歯車を並列状に複数のシャフトで支持する必要があるため、その分、減速装置が全体として大型化してしまうという問題点があった。一方、自動変速機には、シフト切換スイッチの操作により変速比切換装置を作動させて変速比を切り換えることができる一方、シフト切換レバーの操作により手動でも変速比を切り換えることができるものがある。 【0006】このような自動変速機は、変速比切換装置に連結されたマニュアルプレートにシフト切換レバーがセレクトケーブルを介して連結されており、シフト切換レバーが操作されると、セレクトケーブルを介してマニュアルプレートが引っ張り又は押動されて、マニュアルプレートが揺動されるのである。このため、マニュアルプレートを手動で揺動させる場合には、かかるマニュアルプレートの揺動に伴う力が、減速装置を介して駆動モータに伝達されることを防止する必要がある。 【0007】このため、駆動モータが停止時には、その駆動モータと減速装置との接続状態を切断する必要がある。この駆動モータと減速装置との接続および切断は、電磁力により作動される電磁クラッチにより行うことができるが、かかる電磁クラッチは高価であるため、この点で変速比切換装置の製造コストが増大させてしまうという問題点があった。 【0008】本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、装置全体として小型化することができるとともに、装置全体としての製造コストを低減することができる変速比切換装置を提供することを目的としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】 この目的を達成するために請求項1記載の変速比切換装置は、変速機の変速比を切り換えるために揺動されるマニュアルプレートに連結される出力軸と、その出力軸を回動させる回動トルクを供給する駆動モータとを備え、前記出力軸に回動可能に嵌着され前記駆動モータの回動トルクが伝達されることにより回動されるリングギヤと、そのリングギヤにおける外周縁より内側位置に回動可能に支持される第1遊星ギヤと、その第1遊星ギヤの回動中心に連結されその第1遊星ギヤと同一の回動中心を有する第2遊星ギヤと、前記第1遊星ギヤに歯合され前記出力軸に設けられる第1太陽ギヤと、前記第2遊星ギヤに歯合され前記出力軸に回動可能に嵌着される第2太陽ギヤとを有する差動減速ギヤと、その差動減速ギヤの前記第2太陽ギヤに連結されると共に複数の係合部が外周に設けられる回動部材と、その回動部材へ向けて突出可能に形成され、その突出により前記複数の係合部のいずれかに係合されて前記回動部材を拘止する係合部材とを備えている。 【0010】この請求項1記載の変速比切換装置によれば、出力軸を回動させてマニュアルプレートを揺動させる場合、係合部材は、回動部材へ向けて突出され、複数の係合部のいずれかに係合される。この係合部材の係合により回動部材が拘止され、第2太陽ギヤの回動が拘止される。この拘止後、駆動モータの駆動が開始されると、その回動トルクがリングギヤに伝達され、リングギヤが回動される。これにより、第1及び第2遊星ギヤが出力軸の周囲で公転され、この公転により第1及び第2遊星ギヤが第1及び第2太陽ギヤに歯合されつつ自転される。ここで、第2太陽ギヤの回動は係合部材により拘止されるため、第1太陽ギヤのみが第1遊星ギヤの自転により回動され、この回動により出力軸が回動される。このように、駆動モータの回動が差動減速ギヤにより減速されて出力軸に伝達されると、マニュアルプレートが揺動され、変速機の変速比が切り換えられる。 【0011】一方、マニュアルプレートを手動で直接揺動させる場合には、まず、係合部材と回動部材の係合部との係合が解除される。この係合解除により、回動部材の拘止が解除され、第2太陽ギヤが回動可能となる。その後、マニュアルプレートが手動で揺動されると、出力軸が回動され、第1太陽ギヤが回動される。この回動により第1遊星ギヤが自転されると、第2遊星ギヤも自転されて第2太陽ギヤが回動される。この第2太陽ギヤの回動は、回動部材を空転させるが、リングギヤには伝達されない。このため、マニュアルプレートが手動で揺動され、これにより出力軸が回動されても、その回動が駆動モータに伝達されることがない。 【0012】請求項2記載の変速比切換装置は、請求項1記載の変速比切換装置において、外周にねじ状の歯部が螺刻され前記駆動モータに連結されるウォームを備えており、前記リングギヤは、そのウォームの歯部に歯合可能なギヤ歯が外周に螺刻され且つ前記ウォームの軸方向と交叉する回動中心を有するウォームホイールを備えている。 【0013】この請求項2記載の変速比切換装置によれば、請求項1記載の変速比切換装置と同様に作用する上、駆動モータの回動トルクは、ウォームに伝達され、かかるウォームが回動される。ウォームの歯部にはウォームホイールのギヤ歯に歯合されており、ウォームの回動によりウォームホイールが回動される。このウォームホイールの回動により、リングギヤが出力軸の周りで回動されるのである。 【0014】請求項3記載の変速比切換装置は、請求項1又は2に記載の変速比切換装置において、前記出力軸の回動角度が所定量以上となった場合に前記係合部材を反突出方向へ後退させて、その係合部材と前記回動部材における前記複数の係合部との係合状態を解除すると共に、前記駆動モータによる回動トルクの供給を停止する制御装置を備えている。 【0015】請求項4記載の変速比切換装置は、請求項1から3のいずれかに記載の変速比切換装置において、前記駆動モータが停止状態の場合に、前記係合部材と前記回動部材における前記複数の係合部との係合状態を解除し続ける制御装置を備えている。 【0016】請求項5記載の変速比切換装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の変速比切換装置において、前記出力軸はマニュアルプレートの揺動を拘止するデテント部材により回動が停止されるように構成されており、前記差動減速ギヤは、前記出力軸の回動トルクを、前記係合部材と前記複数の係合部との係合状態が解除された場合にデテント部材の拘止力より小さくするように構成されている。 【0017】請求項5記載の変速比切換装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の変速比切換装置と同様に作用する上、出力軸は、マニュアルプレートの揺動を拘止するデテント部材により停止される。出力軸の回動トルクは、係合部材と複数の係合部との係合状態が解除されると、差動減速ギヤによってデテント部材の拘止力より小さくされる。よって、出力軸が所定角度回動した場合には、係合部材と複数の係合部との係合状態を解除させて、回動部材を回動可能な状態にすることにより、デテント部材による拘止力によりマニュアルプレートが拘止されて、出力軸の回動が停止されるのである。 【0018】請求項6記載の変速比切換装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の変速比切換装置において、前記出力軸はマニュアルプレートの揺動を拘止するデテント部材により回動が停止されるように構成されており、前記差動減速ギヤは、前記出力軸の回動トルクを、前記係合部材と前記複数の係合部とが係合された場合にデテント部材の拘止力より大きくするように構成されている。 【0019】請求項6記載の変速比切換装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の変速比切換装置と同様に作用する上、出力軸は、マニュアルプレートの揺動を拘止するデテント部材により停止される。出力軸の回動トルクは、係合部材と複数の係合部とが係合されると、差動減速ギヤによってデテント部材の拘止力より大きくされる。よって、駆動モータの回動を開始して出力軸を回動させる場合には、係合部材と複数の係合部との係合させて、回動部材を回動を停止させることにより、デテント部材によるマニュアルプレートの拘止が解除されて、出力軸が回動されるのである。 【0020】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である変速比切換装置1の外観図である。変速比切換装置1は、駆動モータ3から供給される回転(回動)トルクを増幅し、この増幅された回転トルクにより出力軸4を回転させて自動変速機30の変速比を切り換える装置である。この変速比切換装置1は、ケース体2を備えており、そのケース体2には、出力軸4を回転させる回転トルクを供給する駆動モータ3がねじ止め等により取着されている。なお、駆動モータ3の回転軸には後述するウォーム17が設けられている。 【0021】ケース体2には、駆動モータ3による回転トルクの供給を受けて回転される出力軸4が配設されている。出力軸4は、後述するマニュアルプレート26(図2及び図3参照)を揺動させる回転トルクを伝達する軸部材であり、ケース体2の奥行き方向(図1の紙面に対する垂直方向)へ向けて貫通して配設されている。また、出力軸4にはバルブ位置センサ5が連結されている。 【0022】バルブ位置センサ5は、出力軸4の回転角度を検出して、その検出した回転角度のデータを後述するレンジ切換制御回路C(図3参照)へ出力するものである。また、このバルブ位置センサ5の側方には、ソレノイドバルブ6がねじ止め等により取着されている。ソレノイドバルブ6は、レンジ切換制御回路Cの命令(命令信号)に従って、後述する固定板13(図2参照)の回転を拘止して、その回転を停止させるものである。尚、レンジ切換制御回路Cの詳細については後述する。 【0023】図2は、図1のII−II線における変速比切換装置1の断面図であり、出力軸4に連結されるマニュアル軸(シャフト)25及びマニュアルプレート26を2点鎖線で図示しており、太陽ギヤ8,12、ウォームホイール14、ウォーム17、及び、遊星ギヤ21,22のピッチ円を1点鎖線で図示している。また、図2中の矢印Xは、ソレノイドバルブ6における摺動ピン6aの突出方向を示している。 【0024】図2に示すように、ケース体2は、その内部が中空状に形成された筺体であり、その外側面(図2左側)にバルブ位置センサ5及びソレノイドバルブ6が取着されている。ソレノイドバルブ6は、その中央に円柱状の摺動ピン6aが設けられており、この摺動ピン6aは、後述する固定板13側(図2の矢印X方向)へ突出可能、且つ、その反対側(図2の反矢印X方向)へ後退可能に構成されている。この摺動ピン6aを矢印X方向へ突出させることにより後述する固定板13が拘止され、摺動ピン6aを反矢印X方向へ後退させることにより固定板13の拘止状態が解除されるのである。 【0025】出力軸4は、略円柱状の軸部材であり、その軸方向(図2左右方向)の両端部分が軸受7,7を介してケース体2に回転可能に軸支されている。出力軸4の一端(図2左側)には上述したバルブ位置センサ5が連結されており、出力軸4の他端側(図2右側)には略円柱状のマニュアル軸25を介して板状のマニュアルプレート26が連結されている。尚、マニュアル軸25及びマニュアルプレート26の詳細については後述する。 【0026】また、出力軸4の軸方向略中央には、複数のギヤ歯が外周に刻設された平歯車で構成される太陽ギヤ8が設けられている。太陽ギヤ8は、キー8a,8aにより出力軸4の外周に固定されており、この太陽ギヤ8の回転に伴って出力軸4が一体的に回転されるのである。更に、出力軸4における太陽ギヤ8の固定位置よりバルブ位置センサ5側(図2左側)には円筒状のスリーブ9が嵌着されており、このスリーブ9は、リング状のスペーサ10を介して太陽ギヤ8と間隔を隔てて設けられている。 【0027】スリーブ9の内周には円筒状の滑り軸受用ブッシュ等で構成される軸受11が内嵌されており、この軸受11の内周には出力軸4が貫通されている。この軸受11は、出力軸4の外周にスリーブ9を回転可能に保持するものであり、この軸受11によって、出力軸4とスリーブ9とを別々に回転させることができる。 【0028】スリーブ9における太陽ギヤ8側(図2右側)の端部には、その外周に太陽ギヤ12が一体的に設けられ、この太陽ギヤ12は複数のギヤ歯が外周に刻設された平歯車で構成されている。一方、スリーブ9における太陽ギヤ12との反対側(図2左側)の端部の外周には略円盤状の固定板13が一体的に設けられており、この固定板13は、スリーブ9を介して太陽ギヤ12と連結されている。 【0029】固定板13の外周には、略半円凹状の係合凹部13aが略等角間隔で複数凹設さており、この各係合凹部13aは、ソレノイドバルブ6から突出される摺動ピン6aと係合可能に形成されている。よって、この係合凹部13aに摺動ピン6aが係合されることにより、固定板13の回転が拘止され、太陽ギヤ12の回転が拘止されるのである。 【0030】また、出力軸4の外周には、複数のギヤ歯14aが外周縁に刻設されたリング状のウォームホイール14が周設されており、このウォームホイール14の内周には略ドーナッツ盤状のキャリア板15が内嵌され固定されている。このため、ウォームホイール14の回転に伴って、そのウォームホイール14及びキャリア板15を同期回転させることができるのである。キャリア板15は、軸受16を介して出力軸4の外周に回転可能に嵌着されており、この軸受16によって、キャリア板15を内嵌したウォームホイール14と出力軸4とを別々に回転させることができるのである。 【0031】一方、ウォームホイール14の外周縁(図2下側)には、駆動モータ3側(図2の紙面に対する奥側)からウォームホイール14側(図2の紙面に対する手前側)へ向けて延出されるウォーム17が配設されている。このウォーム17は、駆動モータ3の回転軸に連結されており(図1参照)、駆動モータ3の回転トルクが直接伝達されて回転されるものである。ウォーム17は、その外周に螺旋状の1条ねじで構成されるウォーム歯17aが刻設されている。 【0032】しかも、ウォーム17は、その軸方向(図2の紙面に対する垂直方向)がウォームホイール14の回転中心(即ち、出力軸4の軸心)方向(図2の左右方向)と略直交するように交叉され、そのウォーム歯17aがウォームホイール14のギヤ歯14aに歯合されている。このため、駆動モータ3によりウォーム17を回転させることによって、ウォームホイール14を出力軸4の周囲で回転させることができるのである。 【0033】このようにウォーム17及びウォームホイール14により駆動モータ3の回転を伝達することによって、複数の平歯車を何段にも歯合させて駆動モータ3の回転を減速する場合より、駆動モータ3の回転トルクを大幅に増幅することができる。例えば、ギヤ歯14aの歯数を78枚とし、ウォーム歯17aの条数を1条とすることにより、ウォーム17からウォームホイール14に伝達される回転の減速比を1/78とすることができる。即ち、駆動モータ3の回転トルクを78倍に増幅してウォームホイール14に伝達することができるのである。 【0034】また、スリーブ9の外周には、ドーナッツ盤状のキャリア板18が外嵌されており、このキャリア板18は、上述したキャリア板15と所定の間隔を隔てつつ対向されている。キャリア板18は、軸受19を介してスリーブ9の外周に回転可能に嵌着されており、この軸受19によって、キャリア板18とスリーブ9とを別々に回転させることができるのである。 【0035】キャリア板18は、遊星ギヤ軸20及び複数本(例えば3本)の略円柱状の支柱24により、キャリア板15と所定の間隔を隔てつつ連結されている。このため、ウォームホイール14の回転に伴って、キャリア板15が出力軸4の外周で回転されると、この回転に同期してキャリア板18が回転される。このキャリア板15,18の同期回転によって、遊星ギヤ軸20及び支柱24は出力軸4の周囲を公転されるのである。 【0036】遊星ギヤ軸20は、一対の遊星ギヤ21,22を支持する軸部材であり、この遊星ギヤ20の軸方向(図2左右方向)両端部は軸受23,23を介してキャリア板15,18にそれぞれ回転可能に軸支されている。遊星ギヤ軸20には一対の遊星ギヤ21,22が一体的に形成されており、これらの遊星ギヤ21,22は、複数のギヤ歯が外周に刻設された平歯車で構成されている。 【0037】遊星ギヤ21のギヤ歯は太陽ギヤ8のギヤ歯に歯合されており、遊星ギヤ22のギヤ歯は太陽ギヤ12のギヤ歯に歯合されている。よって、ウォームホイール14の回転により遊星ギヤ軸20が出力軸4の周囲で公転されると、その公転に伴って遊星ギヤ21,22が太陽ギヤ8,12に歯合しつつ自転され、この自転による遊星ギヤ21,22の回転トルクが太陽ギヤ8,12に伝達されるのである。 【0038】また、遊星ギヤ21,22の回転軸である遊星ギヤ軸20の軸中心は、出力軸4の軸中心と略同方向(図2左右方向)へ向けられ、且つ、ウォームホイール14の外周縁(又はピッチ円)より内側(出力軸4側)に位置されている。よって、ウォームホイール14の回転トルクを出力軸4に伝達するために、複数の平歯車で構成される歯車列をウォームホイール14の外周縁より外側に設ける必要がなく、その分、変速比切換装置1を小型化することができるのである。 【0039】しかも、太陽ギヤ8のピッチ円半径と遊星ギヤ21のピッチ円直径との和は、ウォームホイール14のピッチ円半径(又は歯先円半径)より小さくされ、且つ、太陽ギヤ12のピッチ円半径と遊星ギヤ22のピッチ円直径との和は、ウォームホイール14のピッチ円半径と略等しく(又は歯先円半径より小さく)されている。よって、太陽ギヤ8,12及び遊星ギヤ21,22は、ウォームホイール14の外周縁より内側に全て収容されるので、変速比切換装置1を全体として更に小型化することができるのである。 【0040】上記のように構成された変速比切換装置1によれば、太陽ギヤ8の歯数zs1、太陽ギヤ12の歯数zs2、遊星ギヤ21の歯数zp1、遊星ギヤ22の歯数zp2、太陽ギヤ8のピッチ円半径rs1、太陽ギヤ12のピッチ円半径rs2、遊星ギヤ21のピッチ円半径rp1、遊星ギヤ22のピッチ円半径rp2、太陽ギヤ8のピッチ円直径ds1、太陽ギヤ12のピッチ円直径ds2、遊星ギヤ21のピッチ円直径dp1、遊星ギヤ22のピッチ円直径dp2の場合、太陽ギヤ8,12及び遊星ギヤ21,22による減速比iは1/(1−(zp1/zs1)×(zs2/zp2))=1/(1−(rp1/rs1)×(rs2/rp2))=1/(1−(dp1/ds1)×(ds2/dp2))で表される。 【0041】例えば、太陽ギヤ8,12及び遊星ギヤ21,22のモジュールmが「1」で、太陽ギヤ8のピッチ円直径ds1が略27mm、太陽ギヤ12のピッチ円直径ds2が略23mm、遊星ギヤ21のピッチ円直径dp1が略15mm、遊星ギヤ22のピッチ円直径dp2が略19mmの場合、減速比iが略3.05とされており、この結果、駆動モータ3の回転は、(1/78)×(1/3.05)=1/238倍に減速されて出力軸4に伝達される。即ち、駆動モータ3の回転トルクは、238倍されて出力軸4に伝達されるのである。 【0042】図3は、変速比切換装置1の使用例を示したシステム構成図である。図3に示すように、変速比切換装置1は、その駆動モータ3、バルブ位置センサ5及びソレノイドバルブ6がレンジ切換制御回路Cに電気的に接続される一方、このレンジ切換制御回路Cにはレンジ切換スイッチSWが電気的に接続されている。レンジ切換制御回路Cは、変速比切換装置1の動作を制御する回路であり、具体的には、乗員によりレンジ切換スイッチSWが操作された場合に、バルブ位置センサ5により検出された回転角度のデータに基づいて駆動モータ3を回転又は停止させると共に、ソレノイドバルブ6の摺動ピン6aの突出又は後退させて回転板13を回転又は停止する回路である。 【0043】レンジ切換スイッチSWは、自動変速機30の変速比の設定を行うために乗員により操作されるスイッチであり、車内における運転ハンドルなどの配設されている。このレンジ切換スイッチSWを操作することにより、自動変速機30の変速比は、車両の前進時にL(ロー)レンジ、2nd(セカンド)レンジ又は3rd(サード)レンジの3種類、車両の後進時にR(リバース)レンジ、車軸32への回転伝達の切断時にN(ニュートラル)レンジ、車両の駐停車時にP(パーキング)レンジの計6種類に設定変更されるのである。 【0044】一方、変速比切換装置1の出力軸4には、マニュアル軸25を介して略撥状のマニュアルプレート26が連結されている。マニュアルプレート26は、変速比切換装置1の出力軸4の回転に連動して揺動され、その揺動によりマニュアルバルブ29のアーマチャ29aを押動するものである。 【0045】マニュアルプレート26は、その下端部にマニュアル軸25が連結されており、このマニュアル軸25を回転中心として図3の左右方向に揺動可能に支持されている。また、マニュアルプレート26の上端縁は略円弧状に形成されており、この上端縁には左端側から略半円凹状のロック凹部26a〜26fが順に凹設されている。この6つのロック凹部26a〜26fには、弾性材料で形成されたデテントスプリング28の先端に設けられる円柱状のロックピン27が係合可能に形成されており、図3中では、ロックピン27はロック凹部26dに係合されている。 【0046】ロックピン27は、それが係合されるロック凹部26a〜26fへデテントスプリング28の弾性力により付勢されており、かかる付勢によりマニュアルプレート26を位置決めしている。ロックピン27は、マニュアルプレート26を揺動させる出力軸4の回転トルクがデテントスプリング28の弾性力を越えると、その係合されていたロック凹部26eから外れ、他のロック凹部26a〜26c,26e,26fのいずれかに再度係合されて、マニュアルプレート26を位置決するのである。 【0047】ところで、自動変速機30の変速比は、マニュアルプレート26とロックピン27との係合位置に応じて決定される。具体的には、ロックピン27がロック凹部26aに係合される場合にLレンジ、ロックピン27がロック凹部26bに係合される場合に2ndレンジ、ロックピン27がロック凹部26cに係合される場合に3rdレンジ、ロックピン27がロック凹部26dに係合される場合にNレンジ、ロックピン27がロック凹部26eに係合される場合にRレンジ、ロックピン27がロック凹部26fに係合される場合にPレンジとされる。尚、図3では、ロックピン27はロック凹部26dに係合されており、かかる状態では自動変速機30の変速比がNレンジとされている。 【0048】マニュアルプレート26には、セレクトケーブル34を介してレンジ切換レバー33が連結されている。レンジ切換レバー33は、自動変速機30の変速比の切り換えるために乗員により操作されるレバー部材であり、車内における運転者シートの側部に配設されている。レンジ切換レバー33が乗員により操作されると、セレクトケーブル34が引っ張られ又は押動されて、マニュアルプレート26が揺動される。この揺動により、マニュアルバルブ29を介して自動変速機30の変速比が切り換えられるのである。 【0049】即ち、レンジ切換レバー33を操作することによって、変速比切換装置1を稼動させずに自動変速機30の変速比を切り換えることができる。このため、レンジ切換スイッチSW、レンジ切換制御回路C又は変速比切換装置1が何らかの理由で故障した場合には、レンジ切換レバー33を操作することにより自動変速機30の変速比を切り換えることができるのである。 【0050】マニュアルプレート26の一側面には、マニュアルバルブ29のアーマチャ29aの先端が当接されている。マニュアルバルブ29は、マニュアルプレート26の揺動に応じて図3の左右方向へ摺動されるアーマチャ29aにより、マニュアルプレート26の揺動位置を検出して、その検出結果に応じて自動変速機30の変速シフトバルブ30dを作動させるためのものである。アーマチャ29aは、マニュアルプレート29の一側面(図3左側)へ付勢されており、マニュアルプレート26が図3の紙面に対して時計方向へ揺動される場合に図3の右方へ押動されて移動する一方、マニュアルプレート26が図3の紙面に対して反時計方向へ揺動される場合に図3の左方へその付勢力により移動するように構成されている。 【0051】次に、自動変速機30について説明する。自動変速機30は、オートマッチクトランスミッションの一種であり、自動車等の車両用エンジン31のエンジン出力軸31aの回転速度を変速して、駆動輪を軸支する車軸32に伝達する装置である。この自動変速機30は、主に、トルクコンバータ30aと、変速機構30bと、ディファレンシャル装置30cと、変速シフトバルブ30dとを備えている。 【0052】トルクコンバータ30aは、その内部に充填されるミッション油の旋回力により回転トルクを伝達する装置であり、そのエンジン出力軸31aの回転が伝達されることによりミッション油が旋回され、その旋回力を介して変速機構30bにエンジン出力軸31aの回転トルクを伝達するものである。変速機構30bは、トルクコンバータ30aから伝達される回転の速度を変速し、かかる変速によりトルクコンバータ30aからの回転トルクを増減してディファレンシャル装置30dに伝達する装置である。 【0053】変速機構30bは、例えば、トルクコンバータ30aと接続される複数のギヤで構成されたプラネタリギヤユニットと、このプラネタリギヤユニットの動力伝達経路を変更するためのクラッチ及びブレーキとを備えている。この変速機構30bによれば、変速シフトバルブ30dによりクラッチ及びブレーキを作動させてプラネタリギヤユニットの動力伝達経路を切り換えることによって、トルクコンバータ30aから伝達される回転を変速して、ディファレンシャル装置30cへ伝達する。ディファレンシャル装置30dに伝達された回転は、かかるディファレンシャル装置30cにより車軸32に伝達され、この車軸32が回転されることにより車両の駆動輪が回転されるのである。 【0054】次に、図2及び図3を参照して、変速比切換装置1による自動変速機30の変速比の切り換え動作について説明する。変速比切換装置1により自動変速機30の変速比を切り換える場合には、まず、シフト切換スイッチSWが操作されて、Lレンジ、2ndレンジ、3rdレンジ、Nレンジ、Rレンジ、Pレンジのいずれかが選択される。この選択が行われると、まず、レンジ切換制御回路Cにより、ソレノイドバルブ6の摺動ピン6aが図2の矢印X方向へ突出される。この摺動ピン6aの突出により、かかる摺動ピン6aが固定板13の各係合凹部13aのいずれかと係合され、固定板13の回転が拘止される。 【0055】ここで、例えば、シフト切換スイッチSWによってNレンジの状態からLレンジが選択されると、レンジ切換制御回路Cにより駆動モータ3の回転駆動が開始される。駆動モータ3が回転駆動されると、その回転軸に連結されたウォーム17が回転され、このウォーム17によりウォームホイール14が出力軸4の外周回りで回転される。ウォームホイール14が回転によって、遊星ギヤ軸20が出力軸4の周囲で公転され、この遊星ギヤ軸20の公転に伴って、遊星ギヤ21,22が太陽ギヤ8,12に歯合しつつ、出力軸4の周囲で公転される。遊星ギヤ21,22が公転されると、これらの遊星ギヤ21,22は太陽ギヤ8,12に歯合しつつ自転される。 【0056】太陽ギヤ8は遊星ギヤ21の自転により回転され、この太陽ギヤ8の回転により出力軸4が回転される。一方、太陽ギヤ12が連結される固定板13はソレノイドバルブ6の摺動ピン6aにより回転が拘止されているので、遊星ギヤ22の自転に伴って太陽ギヤ12及び固定板13が回転されることはない。このため、駆動モータ3による供給される回転トルクは、出力軸4のみに増幅して伝達されるのである。 【0057】固定板13の回転が拘止される場合、出力軸4の回転トルクはロックピン27を付勢するデテントスプリング28の弾性力より大きくなり、その結果、マニュアルプレート26の揺動が開始される。このため、出力軸4の回転を開始させるために、デテントスプリング28により付勢されるロックピン27をマニュアルプレート26のロック凹部26a〜26fから外す動作を行う装置を別途設ける必要がなく、その分、装置全体としての製造コストを低減することができる。 【0058】マニュアルプレート26が出力軸4により揺動されると、ロックピン27がロック凹部26dから外れ、その後、ロックピン27はロック凹部26c,26b,26aの順に係合される。一方、出力軸4の回転角度は、バルブ位置センサ5により検出され、レンジ切換制御回路Cへ出力される。レンジ切換制御回路Cは、バルブ位置センサ5により検出されるデータに基づいて、出力軸4が所定角度回転されたか否かを判断する。 【0059】例えば、自動変速機30の変速比がNレンジからLレンジに切り換えられる場合には、ロック凹部26dに係合されたロックピン27をロック凹部26aに係合させる必要があり、かかる場合には、マニュアルプレート26を図3の時計方向へ角度θだけ揺動させなければならい。そこで、レンジ切換制御回路Cは、揺動バルブ位置センサ5により出力軸4の回転角度を検出して、出力軸4が角度θ回転された場合にマニュアルプレート26のロック凹部26aにロックピン27が到達して係合されたものとして判断するのである。 【0060】出力軸4が所定角度回転されたと、レンジ切換制御回路Cにより判断されると、ソレノイドバルブ6の摺動ピン6aが図2の反矢印X方向へ後退されて、固定板13の拘止状態が解除されると共に、その後、駆動モータ3の回転駆動が停止される。駆動モータ3の停止後、駆動モータ3の回転軸が慣性力により空転されると、駆動モータ3の回転トルクは、ウォーム17、ウォームホイール14に伝達され、遊星ギヤ21及び太陽ギヤ8により出力軸4に伝達される一方、遊星ギヤ22及び太陽ギヤ12により固定板13に伝達される。かかる場合に、駆動モータ3の回転トルクは出力軸4及び固定板13の双方に伝達されるので、固定板13に伝達される回転トルクの分、出力軸4に伝達される回転トルクが減少して、僅かな制動力で出力軸4の回転を容易に停止させることができる。 【0061】具体的には、固定板13が回転可能な状態では、出力軸4の回転トルクは、ロックピン27を付勢するデテントスプリング28の弾性力より小さくなるようにされている。このため、出力軸4はロックピン27とマニュアルプレート26のロック凹部26aとの係合により制動されて停止される。このように、出力軸4の回転は、マニュアルプレート26を位置決めするデテントスプリング28の弾性力により停止されるので、出力軸4の回転を停止するブレーキ装置などを別途設ける必要がなく、その分、装置全体としての製造コストを低減することができる。 【0062】なお、駆動モータ3を停止させると、駆動モータ3が慣性力により空転される場合があるが、駆動モータ3の停止前に、ソレノイドバルブ6の摺動ピン6aと固定板13の係合凹部13aとの係合を解除して、固定板13の拘止状態を解除しておけば、駆動モータ3の空転により回転される出力軸4の回転トルクがデテントスプリング28の弾性力を越えることがないので、駆動モータ3の空転による出力軸4の回転角度のズレを防止することができる。 【0063】駆動モータ3が停止されて、ロック凹部26a及びロックピン27の係合によりマニュアルプレート26が位置決めされると、出力軸4の回転が完全に停止される。この結果、マニュアルプレート26の揺動位置に応じて、マニュアルバルブ29のアーマチャ29aの位置が確定され、このアーマチャ29aの位置に応じて、変速シフトバルブ30dが作動される。変速シフトバルブ30dの作動により変速機構30bが作動され、自動変速機30の変速比がNレンジの変速比からLレンジの変速比に切り換えられるのである。 【0064】一方、乗員が手動で自動変速機30の変速比を切り換える場合には、まず、乗員によりレンジ切換レバー33が操作されて、Lレンジ、2ndレンジ、3rdレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Pレンジのいずれかが選択される。この選択が行われると、レンジ切換レバー33によりセレクトケーブル34が引っ張られ又は押動されて、マニュアルプレート26が揺動される。例えば、シフト切換レバー33によってNレンジの状態からLレンジが選択されると、セレクトケーブル34が引っ張られて、マニュアルプレート26が図3の紙面に対する時計方向へ角度θだけ揺動される。 【0065】マニュアルプレート26の揺動により、ロックピン27がロック凹部26aに係合されると、マニュアルプレート26がロック凹部26aに係合されるロックピン27により位置決めされる。この位置決めにより、マニュアルバルブ29のアーマチャ29aの位置が確定され、このアーマチャ29aの位置に応じて、変速シフトバルブ30dが作動される。変速シフトバルブ30dの作動により変速機構30bが作動され、自動変速機30の変速比がNレンジの変速比からLレンジの変速比に切り換えられるのである。 【0066】ここで、レンジ切換制御回路Cは、駆動モータ3の停止状態において、ソレノイドバルブ6の摺動ピン6aと固定板13の係合凹部13aとの係合状態を解除し続けるように構成されている。これにより、駆動モータ3の停止状態には、固定板13が出力軸4の外周で回転可能な状態とされる一方、この固定板13にスリーブ9を介して連結される太陽ギヤ12も出力軸4の外周で回転可能な状態とされている。このように、太陽ギヤ12及び固定板13を回転可能な状態に保つことにより、例えば、レンジ切換レバー33が乗員により操作されて、マニュアルプレート26が揺動され、この揺動により出力軸4に回転トルクが加わったとしても、その回転トルクがウォームホイール14及びウォーム17を介して駆動モータ3に伝達されることがないのである。 【0067】具体的には、手動によりマニュアルプレート26が揺動されて出力軸4に回転トルクが直接に加えられると、その回転トルクにより太陽ギヤ8が回転されて遊星ギヤ21が自転され、この遊星ギヤ21の自転により遊星ギヤ22が自転される。遊星ギヤ22が自転されると、太陽ギヤ12が出力軸4の外周で回転され、固定板13が出力軸4の外周で空転される。この状態で、遊星ギヤ軸20は出力軸4の周囲で公転されることはないので、ウォームホイール14は回転されずに停止されたままの状態となる。よって、手動でマニュアルプレート26が揺動される場合に、出力軸4に加わる回転トルクが駆動モータ3に伝達されて、駆動モータ3が逆転されることがないのである。 【0068】以上説明したように、本実施例の変速比切換装置1によれば、駆動モータ3の回転を減速して出力軸4に伝達する各部材、即ち、太陽ギヤ8,12、固定板13およびウォームホイール14、キャリア板15,18、遊星ギヤ軸20及び遊星ギヤ21,22は、出力軸4の近傍周囲に全て設けられるので、複数の平歯車を並列状に多段歯合させて駆動モータの回動を減速する必要がなく、その分、装置全体としてのサイズを小型化することができる。 【0069】また、ソレノイドバルブ6の摺動ピン6aを突出又は後退させるだけで、出力軸4と駆動モータ3とを接続または切断することができるので、高価な電磁クラッチを用いて出力軸4と駆動モータ3とを接続または切断する必要がなく、その分、装置全体としての製造コストを低減することができる。 【0070】ウォーム17及びウォームホイール14により駆動モータ3の回転を大幅に減速しているので、複数の平歯車を何段にも歯合させて駆動モータ3の回転を減速する必要がなく、装置全体としての部品点数を減少して製造コストを低減することができ、更に、装置全体としてのサイズを小型化することができる。 【0071】以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。 【0072】例えば、本実施例では、リングギヤとして、ウォームホイール18を用いて説明したが、他の歯車をリングギヤとして用いるようにしても良い。具体的には、駆動モータ3の回転軸に小径のかさ歯車を連結し、そのかさ歯車に歯合可能な大径のかさ歯車をリングギヤとして用いても良い。 【0073】また、本実施例では、ウォーム17の条数を1条としたが、かかるウォーム17の条数は必ずしもこれに限られるものではなく、変速比切換装置1全体としての減速比に応じて、条数を2条以上としても良い。更に、本実施例の変速比切換装置1の使用例として、前進時に3段変速可能な自動変速機30を用いて説明したが、かかる変速段数が3段以上の自動変速機に変速比切換装置1を適用しても良い。 【0074】 【発明の効果】 請求項1記載の変速比切換装置によれば、第1及び第2遊星ギヤはリングギヤに支持され、そのリングギヤは出力軸に嵌着され、その出力軸には第1太陽ギヤが設けられると共に第2太陽ギヤ及び回動部材が嵌着されている。このように、駆動モータの回動を減速して出力軸に伝達する部材、即ち、リングギヤ、差動減速ギヤ及び回動部材は出力軸の周りに全て設けられるので、従来の変速比切換装置のように、複数の平歯車を並列状に多段歯合させて駆動モータの回動を減速する必要がなく、その分、装置全体としてのサイズを小型化することができるという効果がある。 【0075】また、マニュアルプレートを手動で直接揺動させると、その揺動により出力軸も回動されてしまうが、かかる出力軸の回動は、係合部材と回動部材の係合部との係合状態を解除することにより、駆動モータに伝達しないようにすることができる。しかも、係合部材と回動部材の係合部との係合または係合解除は、係合部材の突出または後退により行われるので、例えば、ソレノイドバルブなどの安価な装置によって係合部材を突出または後退させることができる。よって、従来の変速比切換装置のように、高価な電磁クラッチなどの装置によって出力軸と駆動モータとを接続または切断を行う必要がなく、その分、装置全体としての製造コストを低減することができるという効果がある。 【0076】請求項2記載の変速比切換装置によれば、請求項1記載の変速比切換装置の奏する効果に加え、リングギヤは、駆動モータにより回動されるウォームの軸方向と交叉する回動中心を有するウォームホイールを備えているので、駆動モータの回動を大幅に減速して、駆動モータの回動トルクを大幅に増幅させることができる。よって、従来の変速比切換装置のように、複数の平歯車を並列状に多段歯合させて駆動モータの回動を減速しなくても、駆動モータの回動トルクを大幅に増幅することができるという効果がある。 【0077】請求項3記載の変速比切換装置によれば、請求項1又は2に記載の変速比切換装置の奏する効果に加え、制御装置は、出力軸の回動角度が所定量以上となった場合に、係合部材を反突出方向へ後退させて、その係合部材と回動部材における複数の係合部との係合状態を解除すると共に、駆動モータによる回動トルクの供給を停止する。駆動モータの停止後、駆動モータはその慣性力により空転されるが、この空転はリングギヤ、第1遊星ギヤ及び第1太陽ギヤを介して出力軸に伝達される一方、第2遊星ギヤ及び第2太陽ギヤを介して回動部材に伝達される。 【0078】このように駆動モータの空転が回動部材に伝達されると、その分、出力軸に伝達される回動トルクを減少させて、出力軸の回動の停止に要する制動力を減少することができる。よって、係合部材による回動部材の拘止を解除した状態で、駆動モータを回動を停止させると、僅かな制動力で出力軸の回動を容易に停止させることができるという効果がある。 【0079】請求項4記載の変速比切換装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の変速比切換装置の奏する効果に加え、制御装置は、駆動モータが停止状態の場合に、係合部材と回動部材における複数の係合部との係合状態を解除し続ける。何らかの異常が発生して駆動モータが正常に動作しないためにマニュアルプレートを手動で揺動させる場合に、係合部材と回動部材における複数の係合部との係合されていると、マニュアルプレートの揺動により出力軸が回動され、この回動が駆動モータに伝達されて、駆動モータが故障してしまうことがある。よって、駆動モータが停止状態の場合には、係合部材と回動部材における複数の係合部との係合状態を解除し続けることにより、異常が発生してマニュアルプレートを手動で揺動させても、かかる揺動に伴う力が駆動モータに伝達されることがないので、駆動モータの故障などを防止することができるという効果がある。 【0080】請求項5記載の変速比切換装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の変速比切換装置の奏する効果に加え、出力軸の回動トルクは、差動減速ギヤによって、係合部材と複数の係合部との係合状態が解除された状態でデテント部材の拘止力より小さくされるので、出力軸の回動をマニュアルプレートを拘止するデテント部材により停止することができる。よって、出力軸の回動を停止するブレーキ装置などを別途設ける必要がなく、その分、装置全体としての製造コストを低減することができるという効果がある。 【0081】また、駆動モータを停止させると、駆動モータが慣性力により空転される場合があるが、駆動モータの停止前に、係合部材と複数の係合部との係合状態を解除しておけば、駆動モータの空転により出力軸に伝達される回動トルクがデテント部材による拘止力を越えることがない。このため、駆動モータの空転による出力軸の回動角度のズレを防止することができるという効果がある。 【0082】請求項6記載の変速比切換装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の変速比切換装置の奏する効果に加え、出力軸の回動トルクは、差動減速ギヤによって、係合部材と複数の係合部とが係合された状態でデテント部材の拘止力より大きくされるので、デテント部材によるマニュアルプレートの拘止に関わらず、出力軸を回動させることができる。よって、出力軸の回動を開始するために、デテント部材によるマニュアルプレートの拘止を解除する装置を別途設ける必要がなく、その分、装置全体としての製造コストを低減することができるという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】596046347 【氏名又は名称】中日精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年2月28日(2000.2.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100103045 【弁理士】 【氏名又は名称】兼子 直久
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| 【公開番号】 |
特開2001−241548(P2001−241548A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月7日(2001.9.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−50552(P2000−50552) |
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