| 【発明の名称】 |
クラッチ制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山岸 陽一郎
【氏名】浜井 九五
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| 【要約】 |
【課題】クラッチのフェージングが劣化したり、あるいは雰囲気温度が変化したりしても、短時間に正確に半クラッチ状態を形成可能として、制御精度の向上を図るとともに制御応答性の向上を図ること。
【解決手段】ロックアップクラッチ5の締結を制御するクラッチ制御装置において、コントロールユニット4には、ロックアップクラッチ5の締結開始時に所定の半クラッチ状態を形成する初回制御量を記憶する記憶手段と、初回制御量によって制御されたときの出力軸1aと入力軸2aとの回転数差に基づき、回転数差が所定の適正範囲外であれば初回制御量を補正する補正手段とが設けられている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クラッチにより断続される入力軸および出力軸と、この入力軸および出力軸の回転数差を検出する回転数差検出手段と、前記クラッチの締結時に、クラッチを所定の半クラッチ状態とした後、完全に締結させる制御を実行する締結制御手段と、を備えたクラッチ制御装置において、前記締結制御手段に、前記クラッチの締結開始時に所定の半クラッチ状態を形成する初回制御量を記憶する記憶手段と、前記初回制御量によって制御されたときの入力軸と出力軸の回転数差に基づき、回転数差が所定の適正範囲外であれば前記初回制御量を補正する補正手段と、を設けたことを特徴とするクラッチ制御装置。 【請求項2】 請求項1に記載のクラッチ制御装置において、前記締結制御手段は、入力トルクと車両負荷の大きさから目標締結時間を演算する目標締結時間演算手段と、前記目標締結時間と入出力軸回転数差とから目標スリップ率を演算する目標スリップ率演算手段と、前記回転数差から実スリップ率を演算する実スリップ率演算手段と、を備え、前記補正手段は、目標スリップ率と実スリップ率とから目標回転数差を求め、前記初回制御量を出力したときの実際の回転数差と、目標回転数差とのずれに基づいて補正を実行することを特徴とするクラッチ制御装置。 【請求項3】 請求項1または2に記載のクラッチ制御装置において、前記補正手段は、初回制御量を油温に基づいて補正する油温補正部を備えていることを特徴とするクラッチ制御装置。 【請求項4】 前記クラッチは、車両のエンジンと自動変速機とを結ぶ駆動力伝達経路の途中に設けられ、前記駆動力伝達経路において前記クラッチよりも自動変速機側位置には通電により駆動するモータ機能と、駆動力を電気エネルギに変換する発電機機能とを兼ね備えた発電電動機が設けられ、前記締結制御手段を含む制御手段が、クラッチを解放させた状態で前記車輪側からの入力により発電電動機を発電機として機能させて発電させるとともに、クラッチを締結あるいは解放状態で発電電動機を電動機として機能させてその駆動力を駆動輪に伝達させる制御を実行するよう構成されていることを特徴とするクラッチ制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関と変速機との間に設けられたクラッチの締結を制御するクラッチ制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、自動車において環境および有限資源に対する考慮から、無駄なエンジン駆動を抑えることが望まれている。そこで、この無駄なエンジン駆動を抑える技術の1つとして、信号待ちなどの停車中に自動的にエンジンを停止させ、運転者が発進しようとしたときにエンジンを自動的に再始動させることが提案されている。また、上記と同様に環境および有限資源に対する考慮から、減速時に駆動エネルギを回生して電気エネルギとして取り出すことが考えられている。 【0003】上記のように、エンジンの自動的な断続や駆動エネルギの回生などを実行しようとした場合、エンジンと変速機との間にクラッチを設け、このクラッチを走行状況などに応じて自動的に締結・解放させることが可能な構成を用いることが考えられる。すなわち、このような構成であれば、エンジンを自動的に停止・始動させる際に、自動変速機と接続を絶ったり、接続させたりすることができ、かつ制動時に回生を行う際にも、クラッチを解放させていわゆるエンジンブレーキが作用しない状態としてから回生を行うことにより、制動力が不自然に大きくなりすぎることなく回生を行うことが可能となる。 【0004】また、上述のようにエンジンと変速機との間にクラッチを有した構成では、例えば遊星歯車を有しない手動変速機と同様の構成の変速機において、変速操作を行うアクチュエータを設け、このアクチュエータとクラッチの作動とをコントロールすることにより、自動変速を行うこともできる。 【0005】上述のようなエンジンと変速機との間にクラッチを設け、このクラッチの締結および解放を高い精度で行う技術としては、例えば、特開平3−84225号公報に記載のものが知られている。この従来技術は、目標クラッチ位置として、クラッチが締結される直前の最小目標クラッチ位置と、クラッチが滑りを伴って締結する半クラッチ目標クラッチ位置と、クラッチが完全に締結する最大目標クラッチ位置とが設定されており、クラッチを締結する場合、まず、クラッチを予め設定された最小目標クラッチ位置に配置させ、次に、半クラッチ目標クラッチ位置に向けて制御を行う。この半クラッチ目標クラッチ位置に向けて制御する際、従来技術では、無負荷状態の締結開始位置と実際のクラッチ係合動作中の実係合開始位置との偏差から負荷を検出し、負荷に応じて半クラッチ目標クラッチ位置を補正し、適正な半クラッチ状態を形成した後、最大目標クラッチ位置に制御して完全に締結させるよう構成されている。このように、負荷に応じて半クラッチ目標クラッチ位置を可変制御することにより、特別なセンサを用いることなく負荷を高い精度で検出して、安価に高精度の制御が可能となるというものである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、変速に伴ってクラッチを解放状態から締結させたり、あるいはエンジンの自動停止後に、運転者の発進操作に伴って、クラッチを解放状態から締結させたりする場合、運転者に違和感をおぼえさせないようにするには、運転者の操作意志に応じた高い応答性で締結を行う必要があるとともに、運転者に違和感をおぼえさせないように的確に締結状態を制御する必要がある。 【0007】しかしながら、上述の従来技術にあっては、締結を開始する最小目標クラッチ位置として、予め与えられている値を用いているとともに、この値に基づいて半クラッチ目標クラッチ位置を求めるようにしているために、以下に述べるような解決すべき課題を有していた。すなわち、クラッチによって伝達されるトルクは、フェージングの劣化や雰囲気温度によりよって変化する。このため、トルク伝達を開始し始める半クラッチ目標クラッチ位置もこれらの条件によりずれてしまうため、所期の半クラッチ状態が得られなくなり、制御精度が悪化してしまう。さらに、フェージングが劣化した場合、クラッチの最小目標クラッチ位置から半クラッチ目標クラッチ位置までの移動量が多くなり、それだけ、締結に時間を要し、応答性が悪化してしまう。 【0008】本発明は上述の従来の問題点に着目してなされたもので、クラッチのフェージングが劣化したり、あるいは雰囲気温度が変化したりしても、短時間に正確に半クラッチ状態を形成可能として、制御精度の向上を図るとともに制御応答性の向上を図ることを目的としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、クラッチにより断続される入力軸および出力軸と、この入力軸および出力軸の回転数差を検出する回転数差検出手段と、前記クラッチの締結時に、クラッチを所定の半クラッチ状態とした後、完全に締結させる制御を実行する締結制御手段と、を備えたクラッチ制御装置において、前記締結制御手段に、前記クラッチの締結開始時に所定の半クラッチ状態を形成する初回制御量を記憶する記憶手段と、前記初回制御量によって制御されたときの入力軸と出力軸の回転数差に基づき、回転数差が所定の適正範囲外であれば前記初回制御量を補正する補正手段と、を設けたことを特徴とする。 【0010】さらに、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクラッチ制御装置において、前記締結制御手段は、入力トルクと車両負荷の大きさから目標締結時間を演算する目標締結時間演算手段と、前記目標締結時間と入出力軸回転数差とから目標スリップ率を演算する目標スリップ率演算手段と、前記回転数差から実スリップ率を演算する実スリップ率演算手段と、を備え、前記補正手段は、目標スリップ率と実スリップ率とから目標回転数差を求め、前記初回制御量を出力したときの実際の回転数差と、目標回転数差とのずれに基づいて補正を実行することを特徴とする。 【0011】また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のクラッチ制御装置において、前記補正手段が、初回制御量を油温に基づいて補正する油温補正部を備えていることを特徴とする。 【0012】また、請求項4に記載の発明は、前記クラッチは、車両のエンジンと自動変速機とを結ぶ駆動力伝達経路の途中に設けられ、前記駆動力伝達経路において前記クラッチよりも自動変速機側位置には通電により駆動するモータ機能と、駆動力を電気エネルギに変換する発電機機能とを兼ね備えた発電電動機が設けられ、前記締結制御手段を含む制御手段が、クラッチを解放させた状態で前記車輪側からの入力により発電電動機を発電機として機能させて発電させるとともに、クラッチを締結あるいは解放状態で発電電動機を電動機として機能させてその駆動力を駆動輪に伝達させる制御を実行するよう構成されていることを特徴とする。 【0013】 【発明の作用および効果】本発明では、クラッチを締結させる際には、まず、締結制御手段は、初回制御量を出力して半クラッチ状態とし、その後、完全に締結させる。この半クラッチ状態を形成するにあたり、締結制御手段は、記憶手段に記憶された初回制御量を、補正手段により必要に応じて補正して出力する。この補正手段による補正の必要判断は、初回制御量によって制御されたときの入力軸と出力軸の回転数差に基づいて決定する。すなわち、回転数差が所定の適正範囲内であれば、補正が不要であるが、回転数差が適正範囲外であれば補正を実行する。 【0014】したがって、本発明では、クラッチに経時劣化などがあっても、制御の初回の回転数差に基づいて補正が成され、所定の半クラッチ状態が適正に形成されることになる。よって、従来技術と比較して、一旦、最小目標クラッチ位置に制御しない分だけ短時間に半クラッチ状態を形成でき、制御応答性が高いという効果が得られるとともに、この半クラッチ状態を適正状態とする補正が成され、経時劣化の影響を受けることなく常に適正な半クラッチ状態を形成でき、高い制御精度を得ることができるという効果が得られる。 【0015】請求項2に記載の発明では、初回制御量を出力したときに生じる回転数差に基づいて補正を実行するにあたり、初回制御量による目標回転数差と、実際に生じた回転数差とを比較して、この差に基づいて補正を実行するか否かの判断を行うが、この目標回転数差は、まず、締結制御手段の目標締結時間演算手段により、入力トルクと車両負荷の大きさから目標締結時間を演算し、次に、目標スリップ率演算手段において、目標締結時間と入出力軸回転数差とから目標スリップ率を演算し、実スリップ率演算手段により、入出力軸の回転数差から実スリップ率を演算し、ここで補正手段において、目標スリップ率と実スリップ率とから目標回転数差を求めるものである。このように、目標回転数差は、固定値ではなく、クラッチの入出力の状態に応じて設定されるため、補正判断も、高い精度で実行されるもので、高い制御精度を得ることができる。 【0016】請求項3に記載の発明にあっては、補正手段は、油温補正部において、初回制御量を油温、すなわちクラッチ温度に基づいて補正する。したがって、温度による締結状態変化を補正することができ、高い制御精度を得ることができる。 【0017】請求項4に記載の発明では、車両の減速時に、クラッチを解放させるとともに発電電動機を発電器として作動させて駆動エネルギを電気エネルギに変換していわゆる回生を行うことができる。また、同じくクラッチを解放させるとともに発電電動機を電動機として作動させて、発電電動機により車両を走行させたり、あるいは、クラッチを締結させたまま発電電動機を電動機として作動させて、発電電動機で発生した駆動力を、自動変速機側に伝達させてエンジンの駆動力をアシストしたり、あるいは発電電動機で発生した駆動力を停止状態のエンジンに伝達させてエンジンを始動させたりすることができる。 【0018】上述のように車両の駆動形態を変化させるにあたり、クラッチを締結させたり解放させたりするものであり、この締結時に、上述の締結制御手段による制御に基づいて、高い制御応答性ならびに高い制御精度により締結させるため、上記車両の駆動形態の変化に関する制御も高制御応答性ならびに高制御精度で実行することができる。 【0019】 【実施の形態】以下に本願発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は実施の形態のクラッチ制御装置を示す全体図である。図示のように、この実施の形態を適用した車両には、一般的な構成であるが、エンジン1、自動変速機2、制動装置3およびこれらの作動を制御する制御手段であるコントロールユニット4を備えている。 【0020】まず、駆動伝達系についてその概略を説明すると、エンジン1の出力軸1aと自動変速機2の入力軸2aとが、ロックアップクラッチ5により接続および接続解除可能に構成されている。 【0021】前記自動変速機2は、本実施の形態では、無段変速装置を用いており、前後進切替機構部21と変速機構部22とから構成されている。これらの構成の概略を図2により説明すると、前後進切替機構部21は、プラネタリギヤにより構成されているもので、リングギヤ21aと、このリングギヤ21a内に設けられたクラッチ21bと、ピニオンギヤ21cおよびこのピニオンギヤ21cを固定するためのクラッチ21dと、入力軸2aに連結されたサンギヤ21eと、から構成されており、クラッチ21b,21dの締結パターンによって後退状態、ニュートラル状態、前進状態を決定する。前記変速機構部22は、いわゆる無段変速機であって、プライマリプーリ22aに伝達された駆動力は、ベルト22bを介してセカンダリプーリ22cへ伝達され、図外のアイドラギヤ、ファイナルギヤ、デファレンシャルギヤを介して駆動輪へと伝達される。なお、本実施の形態にあっては、無段変速機を用いているが、シフトレバーにより、前進側では、自動変速を実行するDレンジ,所定の変速比を形成する1速レンジおよび2速レンジを有し、後進側では、後退レンジを有している。また、自動変速機としてはプラネタリギヤを用いた有段の自動変速機や、あるいは他の構造の無段変速機などを用いることができる。 【0022】前記制動装置3は、詳細な説明ならびに図示は省略するが、運転者が制動操作を行っておらずマスタシリンダに圧力が発生していない場合でも、図外のポンプを駆動させて発生した液圧を図外のホイルシリンダに供給するとともに、このホイルシリンダ圧を適正に制御することにより走行状態に応じた最適油圧を発生させるよう構成されている。 【0023】図1に戻り、本実施の形態にあっては、ロックアップクラッチ5と自動変速機2との間には、発電電動機6が設けられている。図3は、この発電電動機6ならびに前記ロックアップクラッチ5を示す断面図である。前記発電電動機6は、電動機および発電機として機能するもので、前記入力軸2aと共に回転するロータ6aと、このロータ6aの外周に設けられてコイル6bが巻き付けられたステータ6cと、を備え、コイル6bに通電してロータ6aを回転させることができ、逆に、ロータ6aが回転しているときにコイル6bに発生した電力を取り出せる構成となっている。 【0024】前記ロックアップクラッチ5は、エンジン1の出力軸1aと一体回転するハウジング51と、前記自動変速機2の入力軸2aと一体回転するピストン52とを接続させたり、接続を解除させたりするものであって、油圧クラッチと電磁クラッチの構成を兼ね備えるものである。前記ハウジング51とピストン52には、両者の外周部に相互に対向したフェージング51a,52aを有し、油室53に導入された油圧あるいはフェージング51a内に設けられたコイル51bに通電して発生した磁力のいずれかによりピストン52がリターンスプリング54に抗してスライドして締結するよう構成されている。また、ピストン52と入力軸2aとの間には、捩り振動を吸収するトーションスプリング55が設けられている。 【0025】以上説明したエンジン1の駆動、自動変速機2の作動、制動装置3の作動、ロックアップクラッチ5の作動、発電電動機6の作動は、コントロールユニット4により制御する。前記コントロールユニット4は、図1に示すように、走行状態を検出する走行状態検出手段SSを有し、この走行状態検出手段SSからの入力に基づいて、例えば、下記のエンジン始動制御や回生制御やアイドリング停止制御を実行する。 【0026】イ)エンジン始動制御エンジン1の始動時には、ロックアップクラッチ5を締結させておいて、発電電動機6を電動機として駆動させ、エンジン1を始動させる始動制御を実行する。ちなみに、この制御は、一般的であるように、自動変速機2がニュートラル状態であるニュートラルポジションあるいはパーキングポジションにシフトされているときのみ可能である。 【0027】ロ)回生制御走行中に減速を行った場合には、ロックアップクラッチ5を解放させ、かつ、発電電動機6を発電機として作動させ、エンジンブレーキに相当するエネルギを違和感無く回生する。さらに、この時、制動装置3においてABS制御における減圧作動と同様の作動を行わせてホイルシリンダ圧を低減させ、その制動力分も発電電動機6により違和感無く回生するようにしてもよい。 【0028】ハ)アイドリング停止制御一旦停車状態を検出すると、ロックアップクラッチ5を開放させてエンジン1を停止させ、無駄に燃料を消費するのを防止する。また、このアイドリング停止制御時には、自動変速機2をニュートラル状態としておき、その後、運転者に発進の意図があることを検出すると、まず、上述のエンジン始動制御を実行した後、ロックアップクラッチ5を開放状態とするとともに、自動変速機2をニュートラル状態から走行ポジションに戻し、その後、ロックアップクラッチ5を締結させる。これにより運転者の発進意図に応じて車両が発進する。 【0029】上述のロックアップクラッチ5の締結・解放の作動は、自動変速機2の油路から伝達される油圧により自動変速機2の変速作動に連携して実行される他、コントロールユニット4から出力される制御信号によっても実行される。 【0030】このコントロールユニット4からの制御信号によりロックアップクラッチ5を解放状態から締結させるときには、本実施の形態にあっては、滑り制御を実行してロックアップクラッチ5の締結をスムーズに行い、エンジントルクが自動変速機2に伝達されるときにショックが生じない。 【0031】以下に、この滑り制御について説明する。前記滑り制御は、ロックアップクラッチ5を、まず、半クラッチ状態とし、その後、走行負荷などに対応してフィードバック制御しながら完全に締結させるものである。 【0032】図4は、コントロールユニット4における滑り制御を実行する部分を示すブロック図である。図において41は目標締結時間推定部である。この目標締結時間推定部41は、エンジン回転数やブースト圧などの入力データ基づいてエンジントルクを推定するとともに車両負荷を推定し、さらに、予め入力されているマップを参照してエンジントルクおよび車両負荷に応じてロックアップクラッチ5の目標締結時間を推定するものである。 【0033】この推定された目標締結時間は、目標スリップ率算出部42に入力されて目標スリップ率(出力軸1aと入力軸2aとの回転差である目標回転差)が演算される。この演算は、現行の両軸1a,2aの回転差を、目標締結時間で割って求める。 【0034】この目標スリップ率算出部42で演算された目標回転差と、ロックアップクラッチ5の前後の実回転差との差が目標ずれ回転差として、出力デューティ計算部43に入力される。この出力デューティ計算部43は、目標ずれ回転差に応じたフィードバック制御により出力デューティ比を決定するものである。 【0035】この出力デューティ計算部43から出力されたデューティ値あるいは後述する初回デューティ値補正部44から出力された初回デューティ値に基づいて、ロックアップクラッチ5に駆動信号が出力されてロックアップクラッチ5の締結が成される。 【0036】前記初期デューティ値補正部44は、ロックアップクラッチ5を締結させるにあたり、まず、目標とする半クラッチ状態に作動させる駆動信号である初回デューティ値(特許請求の範囲の初回制御量に相当する)を出力する部分であり、初回デューティ値参照部44aと、油温補正部44bと、初回デューティ値妥当判断部44cとを備えている。前記初回デューティ値参照部44aは、予め入力されているマップに基づいて、入力信号から推定したエンジントルクならびに車両負荷から初回デューティ値を得るとともに、この初回デューティ値に対して初回デューティ値妥当判断部44cの判断結果に基づいた補正を加える。 【0037】初回デューティ値参照部44aで得られた初回デューティ値は、油温補正部44bに入力される。この油温補正部44bでは、予め入力されているマップによりロックアップクラッチ5の油温を検出する油温センサS1の検出値に応じて、入力された初回デューティ値に補正を加え、この油温補正後初回デューティ値をロックアップクラッチ5に向けて出力する。 【0038】前記初回デューティ値妥当判断部44cは、詳細は後述するが、初回デューティ値を出力した後のロックアップクラッチ5における回転差に基づいて、初回デューティ値が妥当であったか否か判断し、妥当でない場合には、所定量の補正を加える。 【0039】次に、上述したロックアップクラッチ5の締結の制御を行う各構成による制御の流れを図5のフローチャートに基づいて説明する。 【0040】ステップ401では、滑り制御を開始するか否か、すなわちロックアップクラッチ5を解放した状態から締結を開始するか否かを判定し、滑り制御開始の場合はステップ402に進み、滑り制御開始でなければ1回の流れを終える。次に、ステップ402では、今回の滑り制御において初回の制御であるか否か、すなわち滑り制御開始条件成立後、本ルーチンを通るのが初めてであるか否かを判定し、初回の場合ステップ403に進んで、初回デューティ値補正を含む初回デューティ値出力制御を実施する。一方、ステップ402において初回でないと判定した場合にはステップ415に進んで締結制御を実行する。 【0041】ステップ403に続く初回デューティ値制御は、図4の初回デューティ値補正部44により制御を実行する部分であり、まず、ステップ403において、エンジントルク、負荷トルク、クラッチ前後回転、油温などの各パラメータを入力する。続くステップ404では、初回デューティ量を学習値から入手する。すなわち、図4に示す初期デューティ量参照部において、パラメータに基づいて初期デューティ量を求める処理を実行する。ステップ405では、図4に示す油温補正部において、初回デューティ値ならびに油温に基づいてマップを参照し、続くステップ406において、初回デューティ値を補正し、この補正値である油温補正後初回デューティ値を求める。さらに、ステップ407において、油温補正後初回デューティ値をロックアップクラッチ5に向けて出力する。 【0042】ステップ408では、今回の油温補正後初回デューティ値出力によるロックアップクラッチ5の作動の結果、発生したロックアップクラッチ5の前後の回転差すなわち実スリップ率を入力し、目標スリップ率(目標半クラッチ位置としたときのスリップ率)と実スリップ率との差Aを算出する。すなわち、目標スリップ率は、目標締結時間推定部41おいてエンジントルクならびに車両負荷から目標締結時間を決定し、目標スリップ率算出部42において、目標締結時間と現行の回転差とから制御周期ごとに割り出す。なお、目標スリップ率は、ロックアップクラッチ5の前後の回転差に基づいて決定することもできる。一方、実スリップ率は、入出力軸の回転差から求める。 【0043】続くステップ409では、制御初回回転差変化値△Nを入手する。この制御初回回転差変化値△Nとは、目標半クラッチ位置に制御した初回の制御において、クラッチ前後における回転差が、目標としている回転差からどれだけずれているかを示す値である。 【0044】ステップ410では、制御初回回転差変化値△Nが予め設定されている下限しきい値Xよりも小さいか否かを判定し、△N<Xの場合はステップ411に進んで現在の初回デューティ値に補正値Yを加える補正を実行する。一方、ステップ410において△N≧Xの場合は、ステップ412に進んで、制御初回回転差変化値△Nが予め設定されている上限しきい値Zよりも大きいか否かを判定し、△N>Zの場合には、ステップ413に進んで初回デューティ値から補正値Yを差し引く補正を実行する。このように、ステップ411あるいはステップ413において補正を実行した場合は、ステップ414に進んで、初回デューティ値を再学習する。すなわち、上記補正を実行した値に置き換える。 【0045】一方、ステップ410ならびにステップ412でNOと判断された場合、すなわち制御初回回転差変化値△Nが下限しきい値Xと上限しきい値Zとの間の範囲内であれば、初回デューティ値が適当であるとして、補正を実行することなく1回の流れを終了する。 【0046】上述のように滑り制御における初回の制御である、目標半クラッチ位置への制御、すなわちステップ403〜414の初回デューティ値の出力ならびに初回デューティ値の妥当判断が前記初回デューティ値妥当判断部44cにおいて成されるものである。また、上記の初回デューティ値補正部44による制御を実行したら、滑り制御の2回目以降の制御では、ステップ402においてNOと判定されて、ステップ402からステップ415に進む。 【0047】ステップ415では、フィードバック制御ならびにデューティ比の出力制御を実行する。すなわち、目標スリップ率算出部42において算出した目標スリップ率と、実スリップ率とに基づいて両者が一致するように、出力デューティ計算部43において出力デューティ値を求めてこれを出力する制御を実行する。このような目標スリップ率と実スリップ率とに応じた補正を実行した後には、ステップ416において、目標スリップ率を得るためのデューティ値を算出し、続くステップ417において、この新しく得られたデューティ値を学習値として登録する。 【0048】以上説明したように、本実施の形態では、ロックアップクラッチ5を締結させる際に滑り制御を実行するにあたり、制御の初回の出力で半クラッチ位置に制御するため、従来技術と比較して、短時間に半クラッチ状態を形成でき、制御応答性が高いという効果が得られる。 【0049】しかも、上記半クラッチ状態を形成する出力である初回デューティ値に関し、本実施の形態では、固定値を用いるのではなく、エンジントルクと車両負荷とに基づいて初回デューティ値を算出し、さらに、この初回デューティ値を、油温補正部44bにより油温に基づいて補正し、さらに、その出力後の実スリップ率に基づいて初回デューティ値妥当判断部44cにより初回デューティ値が妥当であるか否かを判定し、この判定に基づいて、目標半クラッチ位置での滑り量が適正となる側に補正し、この補正値を次回の滑り制御に用いるようにしている。したがって、初回デューティ値として、走行条件に応じた適正値が選択されて、高い制御精度が得られ、さらに、油温の変化があっても油温補正部44bによる補正で対応でき、フェージングの経時劣化による締結位置の変化があっても初回デューティ値妥当判断部44cによる補正で対応でき、初回デューティ値が適正に補正される。この結果、油温変化や経時劣化があっても、滑り量が適正に保たれ、高い制御精度が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000167406 【氏名又は名称】株式会社ユニシアジェックス
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| 【出願日】 |
平成12年3月1日(2000.3.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105153 【弁理士】 【氏名又は名称】朝倉 悟 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−241545(P2001−241545A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月7日(2001.9.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−55487(P2000−55487) |
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