| 【発明の名称】 |
自動変速機の制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】金中 克行
【氏名】丹羽 伸二
【氏名】橋目 譲
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| 【要約】 |
【課題】変速時間の短縮、変速ショックの軽減を図るとともに、トルク相の期間を短縮し、減速感を改善できる自動変速機の制御方法を提供する。
【解決手段】第1と第2の係合要素を持ち、第1の係合要素を係合し第2の係合要素を解放することにより、低速段から高速段へ変速を行なうようにした自動変速機であって、第2の係合要素の油圧を減圧して入力回転数が低速段における入力回転数より一定値だけ高い目標値となるようにフィードバック制御する工程と、フィードバック制御を維持しながら、第1の係合要素の油圧を増圧して入力回転数を低下させる工程と、入力回転数が低速段における入力回転数より下がった時点以後の第2の係合要素の減圧勾配を、それ以前の減圧勾配より大きくする工程と、を有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】第1と第2の係合要素を持ち、第1の係合要素を係合し第2の係合要素を解放することにより、低速段から高速段へ変速を行なうようにした自動変速機において、第2の係合要素の油圧を減圧して入力回転数が低速段における入力回転数より一定値だけ高い目標値となるようにフィードバック制御する工程と、上記フィードバック制御を維持しながら、第1の係合要素の油圧を増圧して入力回転数を低下させる工程と、入力回転数が低速段における入力回転数より下がった時点以後の第2の係合要素の減圧勾配を、それ以前の減圧勾配より大きくする工程と、を有する自動変速機の制御方法。 【請求項2】入力回転数が低速段における入力回転数より下がった時点以後の第2の係合要素の減圧勾配を、それ以前の減圧勾配より大きくするために、入力回転数が低速段における入力回転数より下がった時点以後のフィードバック目標値を、それ以前のフィードバック目標値より高くしたことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は自動変速機の制御方法、特に低速段から高速段への変速制御方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、ある係合要素を係合し別の係合要素を解放することにより、低速段から高速段へ変速(例えば2速から3速、3速から4速への変速)を行なうようにした自動変速機がある。この場合、解放側の係合要素から係合側の係合要素へのトルク伝達経路の切替を滑らかに行なうことが難しく、変速時間が長くなったり、変速ショックが生じるという問題がある。 【0003】このような問題を解決するため、解放側の係合要素の油圧を減圧して入力回転数が低速段における入力回転数より一定値だけ高くなるようにフィードバック制御し、このフィードバック制御を維持しながら、係合側の係合要素の油圧を増圧することで入力回転数を低下させ、滑らかな変速を行なうようにした自動変速機が提案されている(特公平7−51984号公報)。 【0004】図9は従来の変速制御方法の一例であり、低速段から高速段への変速過渡時における、係合要素の油圧、入力回転数(タービン回転数)および出力軸トルクの時間変化を示す。図から明らかなように、先ず(1) の領域で示すように解放側の係合要素の油圧を減圧して入力回転数が低速段における入力回転数V2 より一定値r1 だけ高い目標値となるようにフィードバック制御する。そして、(2) のようにフィードバック制御を維持しながら、係合側の係合要素の油圧を増圧して入力回転数を低下させる。やがて、(3) のようにトルク相と呼ばれる車両加速度が低下する領域が現れ、入力回転数の低下速度が緩やかになる。その後、入力回転数が初期の目標回転数から離れるので、解放側の係合要素は入力回転数を上昇させようとしてさらに減圧され、トルク相を抜けるとともにフィードバック制御を終了し、解放側の係合要素は完全に解放される。そして、時刻t1 で入力回転数は高速段における入力回転数V3 まで低下し、変速を完了する。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記のような制御を行なえば、従来に比べて変速時間の短縮、変速ショックの軽減という効果を有するが、トルク相の期間が比較的長くなるので、不快な減速感が残るという問題がある。 【0006】そこで、本発明の目的は、変速時間の短縮、変速ショックの軽減を図るとともに、トルク相の期間を短縮し、減速感を改善できる自動変速機の制御方法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、第1と第2の係合要素を持ち、第1の係合要素を係合し第2の係合要素を解放することにより、低速段から高速段へ変速を行なうようにした自動変速機において、第2の係合要素の油圧を減圧して入力回転数が低速段における入力回転数より一定値だけ高い目標値となるようにフィードバック制御する工程と、上記フィードバック制御を維持しながら、第1の係合要素の油圧を増圧して入力回転数を低下させる工程と、入力回転数が低速段における入力回転数より下がった時点以後の第2の係合要素の減圧勾配を、それ以前の減圧勾配より大きくする工程と、を有する自動変速機の制御方法を提供する。 【0008】低速段から高速段へ変速を行なうにあたって、まず第2の係合要素の油圧を減圧して入力回転数が低速段における入力回転数より一定値だけ高い目標値となるようにフィードバック制御する。そして、フィードバック制御を維持しながら、第1の係合要素の油圧を増圧して入力回転数を低下させる。これらの工程は従来と同様である。入力回転数が低速段における入力回転数より下がると、トルク相と呼ばれる減速域が発生するが、本発明ではこのトルク相における第2の係合要素の減圧勾配を、トルク相以前の減圧勾配より大きくしている。そのため、トルク相の期間を短縮でき、トルク相における減速感が改善される。 【0009】トルク相における第2の係合要素の減圧勾配をトルク相以前の減圧勾配より大きくする方法として、請求項2のように、入力回転数が低速段における入力回転数より下がった時点以後のフィードバック目標値を、それ以前のフィードバック目標値より高くするのがよい。つまり、トルク相におけるフィードバック目標値を、トルク相以前のフィードバック目標値より高くしている。トルク相における第2の係合要素の減圧勾配をトルク相以前の減圧勾配より大きくする方法としては、目標値を高くする方法以外に、フィードバックゲインを大きくする方法も考えられるが、トルク相の開始を誤判定した場合には、フィードバックのハンチングによって入力回転数が吹き上がってしまう恐れがある。これに対し、請求項2のように目標値を高くする方法であれば、フィードバックゲインを大きくする方法に比べてハンチングが小さく、かつ少なくとも目標値以上に吹き上がることがないので、誤判定時の入力回転吹き上がりに対して有利である。なお、トルク相における第2の係合要素の減圧勾配をトルク相以前の減圧勾配より大きくする方法としては、目標値を高くする方法、フィードバックゲインを大きくする方法のほか、トルク相の開始とともにフィードバック制御を終了する方法もある。 【0010】 【発明の実施の形態】図1は本発明にかかる車両用自動変速機の一例を示す。この自動変速機は、トルクコンバータ1、トルクコンバータ1を介してエンジン動力が伝達される入力軸2、3個のクラッチC1〜C3、2個のブレーキB1,B2、ワンウエイクラッチF、ラビニヨウ型遊星歯車機構4、出力ギヤ5、出力軸7、差動装置8などを備えている。この実施例では、本発明における低速段から高速段への変速時に係合される第1の係合要素とはC3クラッチを指し、解放される第2の係合要素とはB1ブレーキを指す。 【0011】遊星歯車機構4のフォワードサンギヤ4aはC1クラッチを介して入力軸2と連結されており、フォワードサンギヤ4aはB1ブレーキを介して変速機ケース6と連結されている。また、リヤサンギヤ4bはC2クラッチを介して入力軸2と連結されている。キャリヤ4cは中間軸3およびC3クラッチを介して入力軸2と連結されている。また、キャリヤ4cはB2ブレーキとキャリヤ4cの正転(エンジン回転方向)のみを許容するワンウェイクラッチFとを介して変速機ケース6に連結されている。キャリヤ4cは2種類のピニオンギヤ4d,4eを支持しており、フォワードサンギヤ4aは軸長の長いロングピニオン4dと噛み合い、リヤサンギヤ4bは軸長の短いショートピニオン4eを介してロングピニオン4dと噛み合っている。ロングピニオン4dのみと噛み合うリングギヤ4fは出力ギヤ5に結合されている。出力ギヤ5は出力軸7を介して差動装置8と接続されている。 【0012】上記自動変速機は、クラッチC1,C2,C3、ブレーキB1,B2およびワンウェイクラッチFの作動によって図2のように前進4段、後退1段の変速段を実現している。図2において、●は油圧の作用状態を示している。なお、B2ブレーキは後退時と第1速時に係合するが、第1速時に係合するのはLレンジ時のみである。図2には、後述する第1〜第4ソレノイドバルブ(SOL1〜SOL4)22〜25の作動状態も示されている。○は通電状態、×は非通電状態、△は一時的な通電状態を示す。なお、この作動表は定常状態の作動を示している。 【0013】図3は上記自動変速機に用いられる油圧制御装置の一例を示す。この油圧制御装置は、オイルポンプ10、レギュレータバルブ11、マニュアルバルブ12、ソレノイドモジュレータバルブ13、シーケンスバルブ15、フェイルセーフバルブ16、B1圧制御バルブ17、C2圧制御バルブ18、C2ロックバルブ19、C3圧制御バルブ20、B2圧制御バルブ21、第1〜第4ソレノイドバルブ22〜25、電子制御装置30などで構成されている。電子制御装置30には、スロットル開度、車速、入力軸2の回転数(タービン回転数)、シフトレバーの位置を検出するシフトポジションなどの車両の運転状態に関する信号が入力され、車両の運転状態に応じて第1〜第4ソレノイドバルブ22〜25を制御している。 【0014】第1ソレノイドバルブ22はB1ブレーキ制御用であり、第2ソレノイドバルブ23はC2クラッチ制御用であり、第3ソレノイドバルブ24はC3クラッチ制御用とB2ブレーキ制御用とを兼ねている。第3ソレノイドバルブ24がC3クラッチ制御用とB2ブレーキ制御用とを兼ねる理由は、B2ブレーキはD,2レンジでは作動せず、Lレンジのエンジンブレーキ制御とRレンジの過渡制御でのみ使用されるので、Dレンジで作動されるC3クラッチと干渉しないからである。また、第4ソレノイドバルブ25はLレンジ(1速)時とRレンジの切換過渡時にシーケンスバルブ15を切り換えるためのバルブである。上記のように第1〜第3ソレノイドバルブ22〜24は微妙な油圧制御を行なう必要があるため、デューティソレノイドバルブまたはリニアソレノイドバルブを用い、第4ソレノイドバルブ25はON/OFF切換バルブを用いればよい。 【0015】レギュレータバルブ11はオイルポンプ10の吐出圧を所定のライン圧PL に調圧するバルブであり、マニュアルバルブ12,ソレノイドモジュレータバルブ13,B2圧制御バルブ21にライン圧PL を供給している。レギュレータバルブ11は、図4に示すようにスプリング11aによって右方へ付勢されたスプール11bを備えており、左端部にはスプール11bとは別体のプラグ11cが設けられている。ポート11dにはオイルポンプ10の吐出圧が入力され、ポート11eはオイルポンプ10の吸込み側に接続されている。右端のポート11fにはライン圧PL がフィードバックされている。左端ポート11hには後退時(R)のみC1クラッチ圧PC1が入力され、後退時のライン圧を前進時より高く調圧している。 【0016】マニュアルバルブ12はシフトレバーの手動操作に応じて、スプール12aがL,2,D,N,R,Pの各レンジに切り換えられる。そして、入力ポート12bから入力されたライン圧PL を前進用の出力ポート12cまたは後退用の出力12dから選択的に出力する。 【0017】ソレノイドモジュレータバルブ13は各ソレノイドバルブ22〜25に一定の元圧を供給するバルブであり、図4に示すように、スプリング13aによって左方へ付勢されたスプール13bを備えている。入力ポート13cにはレギュレータバルブ11からライン圧PL が入力されており、出力ポート13dからソレノイドモジュレータ圧Psmが各ソレノイドバルブ22〜25とC2ロックバルブ19の右端信号ポート19cに出力される。なお、ポート13eはドレーンポートである。出力圧Psmは左端ポート13fにフィードバックされており、これによりソレノイドモジュレータ圧Psmはスプリング13aの荷重に対応した油圧に調圧される。 【0018】B1圧制御バルブ17は、B1ブレーキ圧PB1を制御する調圧バルブであり、図5に示すように、スプリング17aによって左方へ付勢されたスプール17bを備えており、左端ポート17cには第1ソレノイドバルブ22から信号圧Ps1が入力されている。ポート17dはドレーンポートである。出力ポート17eはB1ブレーキと接続され、入力ポート17fは後述するフェイルセーフバルブ16のポート16iと接続されている。さらに、右端ポート17hには出力圧PB1がフィードバックされている。そのため、出力圧PB1は信号圧Ps1に比例した油圧に調圧される。 【0019】フェイルセーフバルブ16は、Dレンジで走行中、C2,C3クラッチおよびB1ブレーキが同時に係合する多重噛み合い(インタロック)を防止するためのバルブである。具体的には、ソレノイドバルブ22〜25の誤作動、電子制御回路の故障、各種バルブのスティックなどによって、3つの係合要素C2,C3,B1に同時に油圧が供給されたとき、B1ブレーキの油圧PB1を抜くことで、強制的に3速状態としている。フェイルセーフバルブ16は、図5に示すようにスプリング16aによって右方へ付勢されたスプール16bを備えており、通常時はスプール16bは図面上側に示すように右側位置にあり、Rレンジへの切換過渡時およびインタロック時のみ図面下側に示すように左側へ切り替わる。右端ポート16cにはC3クラッチ圧Pc3またはRレンジ圧PR が選択的に入力され、ポート16dにはC2クラッチ圧PC2が入力され、ポート16eにはB1ブレーキ圧PB1が入力され、これら油圧によってスプール16bが左方へ押される。スプリング16aを収容した左端のポート16jには前進時のライン圧PD が常時入力され、ポート16hにも前進時のライン圧PD がシーケンスバルブ15を介して入力されている。そのため、これら油圧によってスプール16bは右方へ押される。ポート16iはB1圧制御バルブ17の入力ポート17fと接続されている。ポート16lはドレーンポートである。なお、フェイルセーフバルブ16は、上記ポートのほかに、図6にも示されるように、後退油圧つまりC1クラッチ圧PC1が入力されるポート16f、B2圧制御バルブ21のドレーンポート21dと接続されたポート16g、ドレーンポート16kなどを備えている。 【0020】シーケンスバルブ15は、第2ソレノイドバルブ23またはC2圧制御バルブ18の作動不良時に第1速を保障する機能を有する。また、第3ソレノイドバルブ24をC3クラッチとB2ブレーキの制御に兼用するため、B2圧制御バルブ21とC3圧制御バルブ20の元圧を切り換える機能、後退レンジへの切換過渡時にフェイルセーフバルブ16の右端ポート16cへRレンジ圧PR を導く機能、B2ブレーキ圧を作用させる時にB1ブレーキ圧とC3クラッチ圧の元圧をドレーンさせる機能などを有する。このバルブ15は、図6に示すように、スプリング15aによって左方へ付勢されたスプール15bを備えており、左端の信号ポート15cに入力される第4ソレノイドバルブ25の信号圧PS4によって右方へ切り替わる。つまり、スプール15bは、図面下側に示すようにLレンジの1速時およびRレンジへの切換過渡時のみ右方へ切り替わるものである。ポート15dにはC2圧制御バルブ18からC2クラッチ圧PC2が入力され、ポート15eはC2クラッチと接続されている。ポート15fにはマニュアルバルブ12から前進時のライン圧PD が入力されている。ポート15gはフェイルセーフバルブ16のポート16hに接続され、前進時のライン圧PD を出力している。ポート15hはドレーンポートである。ポート15iにはB2圧制御バルブ21からB2ブレーキ圧PB2が入力され、ポート15jはB2ブレーキと接続されている。ポート15kには後退時のライン圧PR が入力され、そのままC1クラッチとも接続されている。ポート15lはフェイルセーフバルブ16の右端ポート16cと接続され、ポート15mはC3クラッチと接続されている。 【0021】B2圧制御バルブ21は、B2ブレーキ圧PB2を制御する調圧バルブであり、スプリング21aによって左方へ付勢されたスプール21bを備えている。左端ポート21cには第3ソレノイドバルブ24からRレンジ時に信号圧PS3が入力されており、ポート21dはフェイルセーフバルブ16のポート16gと接続されている。また、ポート21eはシーケンスバルブ15を介してB2ブレーキと接続され、Lレンジの1速時およびRレンジへの切換過渡時にB2ブレーキへ油圧PB2を供給する役割を持つ。ポート21fにはライン圧PL が入力されており、スプリング21aを収容した右端ポート21gには出力圧PB2がフィードバックされている。 【0022】上記ポート21dは、前進走行時にはフェイルセーフバルブ16を介してC1クラッチと接続されているので、ドレーンされている。また、左端ポート21cに入力される第3ソレノイドバルブ24の信号圧PS3もドレーンされているので、スプール21bは図6の下側に示すように左端位置にある。そのため、B2ブレーキへの油圧PB2もドレーンされる。 【0023】一方、P,NレンジからRレンジへの切換過渡時には、第4ソレノイドバルブ25が一時的にONされるので、シーケンスバルブ15が一時的に右側へ切り替わり、フェイルセーフバルブ16の右端ポート16cに高い後退油圧PR が入力されることで、フェイルセーフバルブ16も一時的に左側へ切り替わり、B2圧制御バルブ21のポート21dはドレーンされる。また、左端ポート21cに第3ソレノイドバルブ24から信号圧PS3が入力されるので、スプール21bは図6の上側に示す位置に保持され、その出力圧PB2は信号圧PS3に比例しかつライン圧PL より低めの油圧に調圧される。このようにB2圧制御バルブ21は、Rレンジへの切換過渡時にB2ブレーキへの油圧PB2を緩やかに立ち上げる、換言すればC1クラッチより締結を遅らせることにより、切換ショックを軽減する機能を有している。 【0024】C2圧制御バルブ18はC2クラッチ圧PC2を制御するためのバルブであり、図7に示すようにスプリング18aによって左方へ付勢されたスプール18bを備えている。入力ポート18cには前進時のライン圧PD が入力され、出力ポート18dからC2クラッチ圧PC2が出力される。左端ポート18eにはC2ロックバルブ19を介して第2ソレノイドバルブ23の信号圧Ps2または前進時のライン圧PD が入力される。なお、18fはドレーンポートである。出力圧PC2はスプリング18aが収容された右端ポート18gにフィードバックされており、出力圧PC2は信号圧Ps2に比例した油圧に調圧される。 【0025】C2ロックバルブ19は、C2圧制御バルブ18の左端ポート18eに対して、発進過渡時には第2ソレノイドバルブ23の信号圧Ps2を供給し、走行中(1速〜3速)は最大油圧PD を供給するよう切り換えるバルブである。このロックバルブ19は、図7に示すようにスプリング19aによって右方へ付勢されたスプール19bを備え、右端の信号ポート19cに入力されるソレノイドモジュレータ圧Psmによって左方へ押されている。入力ポート19dには前進時のライン圧PD が入力され、出力ポート19eはC2圧制御バルブ18の左端ポート18eと接続されている。そして、左側の2つのポート19f,19gには第2ソレノイドバルブ23の信号圧Ps2が入力されている。発進開始時は、第2ソレノイドバルブ23の信号圧Ps2がソレノイドモジュレータ圧Psmより低いので、スプール19bは左側位置にあり、ポート19g,19eを介してC2圧制御バルブ18の左端ポート18eに信号圧Ps2を供給してC2クラッチを滑り制御し、緩やかに発進する。一方、発進を完了して走行状態に移行すると、Ps2=Psmとなるので、スプール19bはスプリング19aによって右側位置へ切り替わり、前進時のライン圧PD をC2圧制御バルブ18の左端ポート18eに供給してC2クラッチを確実に締結する。さらに、4速状態になると、第2ソレノイドバルブ23の信号圧Ps2がドレーンされるので、スプール19bは左側位置となり、ポート19g,19eを介してC2圧制御バルブ18の左端ポート18eがドレーンされ、C2クラッチは解放される。 【0026】C3圧制御バルブ20は、C3クラッチ圧PC3を制御するためのバルブであり、図7のようにスプリング20aによって左方へ付勢されたスプール20bを備えている。左端ポート20cは第3ソレノイドバルブ24と接続されており、その信号圧Ps3が入力される。そのため、1,2速時にはスプール20bは図7の下側位置、3,4速時にはスプール20bは図7の上側位置となる。ポート20dはドレーンポート、ポート20eはC3クラッチと接続された出力ポートであり、ポート20fには前進時のライン圧PD が入力される。スプリング20aを配置した右端ポート20gには出力圧PC3がフィードバックされている。 【0027】次に、2速から3速への変速時におけるC3クラッチ(第1の係合要素)およびB1ブレーキ(第2の係合要素)の油圧制御を、図8を参照して説明する。図8において、(1) と(2) の領域の制御は図9と同様である。すなわち、(1) 領域では、解放側のB1ブレーキの油圧を減圧して入力回転数が2速段における入力回転数V2 より一定値r1 (例えば50rpm程度)だけ高い目標値(初期目標値R1 と呼ぶ)となるようにフィードバック制御する。次に、(2) のようにフィードバック制御を維持しながら、係合側のC3クラッチの油圧を増圧して入力回転数を低下させる。やがて、(3)'に示すようにトルク相と呼ばれる車両加速度が低下する領域が現れ、入力回転数の低下速度が緩やかになる。トルク相では、破線で示すように、トルク相のフィードバック目標値(第2目標値R2 と呼ぶ)をトルク相以前の初期目標値R1 より高く設定する。つまり、2速段における入力回転数V2 より一定値r2 だけ高くする。このとき入力回転数と第2目標値R2 との偏差が大きくなるので、(3)'のように入力回転数を上昇させようとして、解放側のB1ブレーキは図9の(3) における減圧勾配よりも大きな勾配で減圧される。その結果、トルク相を短時間で抜けることができ、減速感を改善することができる。なお、トルク相の終了は、入力回転数が2速段における入力回転数V2 より所定値(例えば30rpm程度)以上低くなった時点で終了と判断すればよい。トルク相の終了とともに、フィードバック制御を終了し、解放側のB1ブレーキの油圧が抜かれるとともに、係合側のC3クラッチの油圧が上昇し、時刻t1 で入力回転数は3速段における入力回転数V3 まで低下し、変速を完了する。なお、図8では、フィードバック目標値を初期目標値より高くするため、ステップ状に高くしたが、上昇勾配を設けて徐々に高くしてもよいし、階段状に複数段階で高くしてもよい。 【0028】図8では2速から3速への変速過渡時におけるC3クラッチとB1ブレーキの油圧制御について説明したが、本発明は3速から4速への変速過渡時におけるC2クラッチとB1ブレーキの油圧制御にも適用できる。すなわち、図2から明らかなように、3速から4速へ変速する場合には、C2クラッチが解放されB1ブレーキが係合されるので、この場合にはB1ブレーキが第1の係合要素となり、C2クラッチが第2の係合要素となる。 【0029】この実施例の自動変速機では、1速から2速への変速時にはワンウエイクラッチFの働きを利用しており、係合要素の係合と解放を行なわないが、1速から2速への変速時に2つの係合要素の係合と解放を行なう自動変速機においては、本発明を適用することが可能である。 【0030】上記実施例では、3個のクラッチC1〜C3と2個のブレーキB1,B2を有する自動変速機について説明したが、これに限るものではなく、少なくとも2個の係合要素を持ち、低速段から高速段への変速に際して一方の係合要素を係合し、他方の係合要素を解放する自動変速機であれば適用可能である。B1ブレーキおよびC3クラッチの油圧制御弁をスプールバルブ17,20とソレノイドバルブ22,24との組み合わせで構成したが、ソレノイドバルブ単体で構成することも可能である。この場合のソレノイドバルブとしては、デューティソレノイドバルブやリニアソレノイドバルブなど公知のソレノイドバルブを用いることができる。 【0031】 【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明によれば、低速段から高速段へ変速を行なうにあたって、解放側の係合要素の油圧を減圧して入力回転数が低速段における入力回転数より一定値だけ高い目標値となるようにフィードバック制御し、このフィードバック制御を維持しながら、係合側の係合要素の油圧を増圧して入力回転数を低下させるようにしたので、変速時間を短縮できるとともに、変速ショックを軽減することができる。また、トルク相における解放側の係合要素の減圧勾配を、トルク相以前の減圧勾配より大きくしたので、トルク相の期間を短縮でき、変速時における減速感を改善することができるという効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002967 【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年2月28日(2000.2.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085497 【弁理士】 【氏名又は名称】筒井 秀隆
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| 【公開番号】 |
特開2001−241543(P2001−241543A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月7日(2001.9.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−50599(P2000−50599) |
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