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【発明の名称】 自動変速機の油圧制御装置
【発明者】 【氏名】堀口 正伸

【要約】 【課題】摩擦係合要素を締結させる時のプリチャージ制御において、残圧により係合油圧が過剰に増大することを回避できるようにする。

【解決手段】摩擦係合要素の指示圧が0になってから所定時間T1が経過した時点で、摩擦係合要素に油圧を供給する油圧配管内の油圧が0になったものと推定する(S13)。前記油圧配管内の油圧に対して摩擦係合要素の油圧は遅れをもって減少するので、油圧配管内の油圧が0になったと推定された時点からの経過時間(タイマーTMR2の値)が短い場合には、残圧があるものと推定して、プリチャージの指示圧を低くするか、及び/又は、プリチャージ時間を短く補正する(S16,17)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】摩擦係合要素を締結させるときに油圧のプリチャージを行う自動変速機の油圧制御装置であって、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧に基づいてプリチャージを補正制御することを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
【請求項2】前記摩擦係合要素に対する指示油圧に対して遅れ補正を施して、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項3】前記締結させる摩擦係合要素に油圧を供給する油圧配管内の油圧を検出する油圧センサの検出値に対して遅れ補正を施して、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項4】前記摩擦係合要素に対する指示油圧がゼロになってからの経過時間に基づき、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項5】前記指示油圧がゼロになるまでの変化速度及びゼロになってからの経過時間に応じて、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定することを特徴とする請求項4記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項6】前記締結させる摩擦係合要素に油圧を供給する油圧配管内の油圧を検出する油圧センサの検出値がゼロになってからの経過時間に応じて、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項7】前記摩擦係合要素に対する指示油圧がゼロになってからの経過時間に応じて、前記締結させる摩擦係合要素に油圧を供給する油圧配管内の油圧がゼロになるタイミングを推定し、該推定したタイミングからの経過時間に応じて、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。
【請求項8】前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧が高いときほど、プリチャージにおける指示油圧をより低く、及び/又は、プリチャージ時間をより短く補正することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の自動変速機の油圧制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動変速機の油圧制御装置に関し、詳しくは、クラッチ等の摩擦係合要素の締結時に、油圧をプリチャージする構成の油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、車両用の自動変速機において、クラッチ等の摩擦係合要素を締結させるときに、油圧を摩擦係合要素に対してプリチャージすることで、摩擦係合要素の動作遅れを防止する構成が知られている(特開平5−106722号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来では、締結しようとする摩擦係合要素が直前に解放制御された摩擦係合要素であった場合などにおいて、油圧が抜け切っていない状態でプリチャージが行われる可能性があった。プリチャージは、通常、油圧が抜け切った状態の摩擦係合要素に対して行われ、係る条件に適合してプリチャージ圧・プリチャージ時間が設定されるため、前述のように、油圧が抜け切っていない状態でプリチャージが行われると、プリチャージによって過剰に油圧が上昇し、大きな変速ショックを発生させてしまう可能性があった。
【0004】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、油圧が抜け切っていない状態でプリチャージが行われることがあっても、油圧の過剰上昇を回避でき、以って、変速ショックの発生を回避できる自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのため請求項1記載の発明では、摩擦係合要素を締結させるときに油圧のプリチャージを行う自動変速機の油圧制御装置であって、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧に基づいてプリチャージを補正制御する構成とした。
【0006】かかる構成によると、プリチャージを開始する前に、締結させる摩擦係合要素の残圧を判定し、該残圧に応じた特性でプリチャージを行わせる。請求項2記載の発明では、前記摩擦係合要素に対する指示油圧に対して遅れ補正を施して、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定する構成とした。
【0007】かかる構成によると、指示油圧に対して実際の係合油圧は遅れを有して変化するので、指示油圧に対して遅れ補正を施すことで実際の係合油圧を推定する。請求項3記載の発明では、前記締結させる摩擦係合要素に油圧を供給する油圧配管内の油圧を検出する油圧センサの検出値に対して遅れ補正を施して、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定する構成とした。
【0008】かかる構成によると、油圧配管内の油圧に対して実際の係合油圧は遅れを有して変化するので、油圧配管内の油圧の検出値に対して遅れ補正を施すことで実際の係合油圧を推定する。
【0009】請求項4記載の発明では、前記摩擦係合要素に対する指示油圧がゼロになってからの経過時間に基づき、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定する構成とした。
【0010】かかる構成によると、摩擦係合要素に対する指示油圧がゼロになってから、遅れて摩擦係合要素の係合油圧がゼロにまで低下することから、指示油圧がゼロになってからプリチャージを開始するまでの経過時間に基づき、プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定する。
【0011】請求項5記載の発明では、前記指示油圧がゼロになるまでの変化速度及びゼロになってからの経過時間に応じて、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定する構成とした。
【0012】かかる構成によると、指示油圧をゼロに向けて減少変化させるときの変化速度によって実際の係合油圧の遅れが変化し、指示油圧がゼロになってからの経過時間が同じでも指示油圧の変化速度が異なっていた場合には、摩擦係合要素の係合油圧が異なる値を示すので、指示油圧がゼロになるまでの変化速度及びゼロになってからの経過時間に応じてプリチャージ開始直前の係合油圧を推定する。
【0013】請求項6記載の発明では、前記締結させる摩擦係合要素に油圧を供給する油圧配管内の油圧を検出する油圧センサの検出値がゼロになってからの経過時間に応じて、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定する構成とした。
【0014】かかる構成によると、摩擦係合要素に油圧を供給する油圧配管内の油圧を検出する油圧センサが設けられるが、該油圧センサで検出される油圧配管内の油圧に対して摩擦係合要素の係合油圧が遅れて変化し、油圧配管内の油圧がゼロになってから遅れて係合油圧がゼロになるので、センサの検出油圧(油圧配管内の油圧)がゼロになってからプリチャージを開始するまでの経過時間に基づき、プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定する。
【0015】請求項7記載の発明では、前記摩擦係合要素に対する指示油圧がゼロになってからの経過時間に応じて、前記締結させる摩擦係合要素に油圧を供給する油圧配管内の油圧がゼロになるタイミングを推定し、該推定したタイミングからの経過時間に応じて、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧を推定する構成とした。
【0016】かかる構成によると、指示油圧がゼロになってから遅れて油圧配管内の油圧がゼロになり、更に遅れて摩擦係合要素の係合油圧がゼロになることから、指示油圧がゼロになってからの経過時間に基づいて油圧配管内の油圧がゼロになるタイミングを推定し、該推定した油圧配管内の油圧がゼロになった時点からプリチャージ開始直前までの経過時間によって、摩擦係合要素の係合油圧を推定する。
【0017】請求項8記載の発明では、前記プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧が高いときほど、プリチャージにおける指示油圧をより低く、及び/又は、プリチャージ時間をより短く補正する構成とした。
【0018】かかる構成によると、プリチャージ開始直前の摩擦係合要素の係合油圧が高く残圧がある場合には、過剰な油圧の供給が行われないように、プリチャージの指示油圧を低く補正するか、又は、プリチャージ時間をより短く補正するか、又は、プリチャージ指示油圧の低下とプリチャージ時間の短縮とを同時に行う。
【0019】
【発明の効果】請求項1記載の発明によると、プリチャージの開始時に残圧がある場合に、プリチャージを補正することで、過剰な油圧の供給が行われることを回避でき、以って、変速ショックの発生を防止できるという効果がある。
【0020】請求項2,4記載の発明によると、指示油圧に対して遅れて変化する実際の係合油圧を推定して、プリチャージを適正に補正できるという効果がある。請求項5記載の発明によると、指示油圧の変化速度による係合油圧の遅れの変化に対応して、プリチャージ開始時の残圧を精度良く推定できるという効果がある。
【0021】請求項3,6記載の発明によると、油圧配管内の油圧に対して遅れて変化する実際の係合油圧を推定して、プリチャージを適正に補正できるという効果がある。
【0022】請求項7記載の発明によると、指示油圧の変化に対して遅れて変化する油圧配管内の油圧を推定し、更に、油圧配管内の油圧変化に対して遅れて変化する摩擦係合要素の係合油圧を推定することで、プリチャージ開始時の残圧を精度良く推定できるという効果がある。
【0023】請求項8記載の発明によると、プリチャージ開始時に残圧がある場合に、プリチャージ指示油圧の低下及び/又はプリチャージ時間の短縮を行うことで、プリチャージによる係合油圧の過剰上昇を回避できるという効果がある。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る油圧制御装置が適用される車両用の自動変速機を示す図であり、図示しない車両に搭載されるエンジン1の出力トルクは、自動変速機2の出力軸2aを介して駆動輪(図示省略)に伝達される。
【0025】前記自動変速機2は、各種クラッチ,ブレーキなどの摩擦係合要素に対する係合油圧の供給をソレノイドバルブユニット3によって制御することで変速が行われる構成のものである。本実施の形態では、1方向クラッチを用いずに、2つの摩擦係合要素の締結と解放とを油圧制御によって同時に行わせる変速を実行する構成となっており、図2に示すように、解放させる摩擦係合要素の係合油圧を徐々に減少させつつ、締結させる摩擦係合要素の係合油圧を徐々に増大させ、解放側摩擦係合要素から締結側摩擦係合要素へのトルクの掛け替えが行われるようになっている。
【0026】具体的には、自動変速機2は図3に示すように、トルクコンバータT/Cを介してエンジンの出力トルクを入力する構成であって、フロント遊星歯車組83,リヤ遊星歯車組84を備えると共に、摩擦係合要素として、リバースクラッチR/C,ハイクラッチH/C,バンドブレーキB/B,ロー&リバースブレーキL&R/B,フォワードクラッチFWD/Cを備える。尚、図3において、81は変速機の入力軸,82は変速機の出力軸を示し、また、Neはエンジン回転速度,Ntはタービン回転速度,Noは出力軸回転速度を示す。
【0027】上記構成において、図4に示すように、前記リバースクラッチR/C,ハイクラッチH/C,バンドブレーキB/B,ロー&リバースブレーキL&R/B,フォワードクラッチFWD/Cの締結,解放の組み合わせに応じて変速が行われ、例えば、3速→4速のアップシフト時には、フォワードクラッチFWD/Cの解放と、バンドブレーキB/Bの締結とが同時に行われることになる。
【0028】前記ソレノイドバルブユニット3の各ソレノイドバルブは、マイクロコンピュータを内蔵したコントロールユニット4によって制御されるが、クラッチ等の摩擦係合要素の締結制御においては、係合油圧のプリチャージを行って、クラッチ板とピストンとの隙間を予め埋めるよう構成されている。
【0029】即ち、クラッチ等の摩擦係合要素の締結動作を必要とする変速要求が発生すると、まず、プリチャージを行って摩擦係合要素を接触直前まで無効ストロークさせた後、係合油圧を締結力が発生するぎりぎりの臨界圧に保持し、その後、摩擦係合要素の締結が解放制御にタイミングを合わせて行われる。
【0030】ここで、前記プリチャージ制御の詳細を図5のフローチャートに従って説明する。図5のフローチャートにおいて、まず、ステップS1では、直前の変速で締結制御した摩擦係合要素の指示圧Pが0になっているか否かを判別する。尚、指示圧P=0は、本実施形態において完全解放制御状態を示すものであるから、完全解放制御状態において指示圧P=0でない場合には、完全解放制御状態に相当する値になっているか否かを判別させる構成とすれば良い。
【0031】指示圧Pが0(完全解放相当値)になっていない場合には、ステップS12へ進み、指示圧Pが0になってからの経過時間を計測するためのタイマーTMR1をゼロにリセットする。
【0032】上記タイマーTMR1及び後述するタイマーTMR2は、図6のフローチャートのステップS51,52で、単位時間毎に1アップされる。ステップS11で指示圧P=0であると判別されると、ステップS13へ進み、前記タイマーTMR1の値が予め記憶された所定値T1以上になっているか否か、換言すれば、指示圧P=0になってから所定時間T1だけ経過したか否かを判別する。
【0033】そして、前記タイマーTMR1の値が予め記憶された所定値T1未満であれば、ステップS14へ進み、前記タイマーTMR1の値が所定値T1になってからの経過時間を計測するためのタイマーTMR2をゼロにリセットする。
【0034】ステップS12で前記タイマーTMR1の値が予め記憶された所定値T1以上になっていると判別されると、ステップS15へ進み、前回の変速で解放制御した摩擦係合要素について今回の変速で締結制御を開始させるか否かを判別する。
【0035】締結制御を行う場合には、ステップS16へ進み、プリチャージにおける指示圧の基本値を補正する補正係数Pαを、前記タイマーTMR2の値に基づいて設定し、次のステップS17では、プリチャージ時間の基本値を補正する補正係数Tαを、前記タイマーTMR2の値に基づいて設定する。
【0036】前記補正係数Pα,Tαは、タイマーTMR2による計測時間が長いほど、プリチャージにおける指示圧をより高く、プリチャージ時間をより長くするように設定される(図7,8参照)。
【0037】そして、ステップS18では、前記補正係数Pα,Tαでプリチャージにおける指示圧及びプリチャージ時間を決定し、締結させる摩擦係合要素の指示圧を出力する。
【0038】前記所定値T1は、指示圧Pが0になってから、摩擦係合要素に油圧を供給する油圧配管内の油圧が遅れて0になるまでの遅れ時間として予め設定されており、更に、摩擦係合要素の係合油圧は、前記油圧配管内の油圧に対して遅れて0にまで変化するので、前記タイマーTMR2によって計測される油圧配管内の油圧が0になってからの時間から、摩擦係合要素の係合油圧(残圧)を推定できる。
【0039】一方、摩擦係合要素の残圧が高い場合には、残圧がないときと同様にしてプリチャージを行うと、過剰な油圧上昇を招くことになる。そこで、前記タイマーTMR2の値が小さく、摩擦係合要素の係合油圧が0にまで低下していないと推定されるときには、プリチャージにおける指示圧を低く、プリチャージ時間を短くするものであり、前記タイマーTMR2の値が大きくなるに従って摩擦係合要素の係合油圧が0に近づく(残圧が低くなる)ので、これに応じてプリチャージにおける指示圧をより高く、プリチャージ時間をより長くする。
【0040】尚、プリチャージにおける指示圧とプリチャージ時間とのいずれか一方のみを、タイマーTMR2の値に応じて補正する構成としても良い。また、指示圧Pに対して遅れ補正を施して油圧配管内の油圧推定値を求め、更に、油圧配管内の油圧推定値に遅れ補正を施して、摩擦係合要素の係合油圧を推定し、該推定した摩擦係合要素の係合油圧(残圧)から、プリチャージにおける指示圧及び/又はプリチャージ時間を補正する構成としても良い。
【0041】図9は、プリチャージ制御の第2の実施形態を示すものであり、ステップS21では、指示圧Pが0(完全解放相当値)になっているか否かを判別し、指示圧Pが0になっていない場合には、ステップS22へ進み、単位時間毎に1アップされるタイマーTMR1を0にリセットする。
【0042】更に、ステップS23では、指示圧Pが0まで減少する過程における指示圧Pの降下速度ΔPを算出する。一方、ステップS21で指示圧Pが0になっていると判別されると、ステップS24へ進み、前回の変速で解放制御した摩擦係合要素について今回の変速で締結制御を開始させるか否かを判別する。
【0043】締結制御を行う場合には、ステップS25へ進み、プリチャージにおける指示圧の基本値を補正する補正係数Pαを、前記タイマーTMR2の値及び指示圧Pの降下速度ΔPに基づいて設定し、次のステップS26では、プリチャージ時間の基本値を補正する補正係数Tαを、前記タイマーTMR2の値及び指示圧Pの降下速度ΔPに基づいて設定し、ステップS27では、前記補正係数Pα,Tαでプリチャージにおける指示圧及びプリチャージ時間を決定し、締結させる摩擦係合要素の指示圧を出力する。
【0044】前記補正係数Pα,Tαは、図10,11に示すように、タイマーTMR2による計測時間が長いほど、プリチャージにおける指示圧をより高く、プリチャージ時間をより長くするように設定される一方、指示圧Pの降下速度ΔPが速いほど、同じタイマーTMR2に対して、プリチャージにおける指示圧をより低く、プリチャージ時間をより短くするように設定される。
【0045】上記の第1実施形態では、指示圧Pから油圧配管内の油圧を推定し、更に、油圧配管内の油圧から摩擦係合要素の係合油圧を推定する構成としたが、上記第2の実施形態では、指示圧Pから直接に摩擦係合要素の係合油圧を推定する構成とし、更に、指示圧Pに対する摩擦係合要素の係合油圧の遅れ時間が、指示圧Pの変化速度に影響されることから、タイマーTMR2と共に、指示圧Pの降下速度ΔPに応じて補正係数Pα,Tαを設定する構成としてある。
【0046】指示圧Pが0にまで低下する速度が速かった場合には、実際の摩擦係合要素の係合油圧の降下遅れが大きくなり、速度が遅かった場合に比べて同じ経過時間に対する残圧が高くなるので、指示圧Pが0にまで低下する速度が速かったときほど、プリチャージにおける指示圧をより低く、プリチャージ時間をより短くするようにしてある。
【0047】次に、プリチャージ制御の第3の実施形態を示す。第3の実施形態では、各摩擦係合要素に油圧を供給する油圧配管のそれぞれに、油圧を検出する油圧センサ5を設け(図1参照)、図12のフローチャートに示すようにしてプリチャージ制御を行う。
【0048】ステップS31では、直前の変速で締結制御した摩擦係合要素の油圧配管に設けられた油圧センサ5の検出値Psが0(完全解放油圧)になっているか否かを判別し、検出値Psが0(完全解放相当値)になっていない場合には、ステップS32へ進み、単位時間毎に1アップされるタイマーTMR1を0にリセットする。
【0049】一方、ステップS31で検出値Psが0になっていると判別されると、ステップS33へ進み、前回の変速で解放制御した摩擦係合要素について今回の変速で締結制御を開始させるか否かを判別する。
【0050】締結制御を行う場合には、ステップS34へ進み、プリチャージにおける指示圧の基本値を補正する補正係数Pαを前記タイマーTMR2の値に基づいて設定し、次のステップS35では、プリチャージ時間の基本値を補正する補正係数Tαを前記タイマーTMR2の値に基づいて設定し、ステップS36では、前記補正係数Pα,Tαでプリチャージにおける指示圧及びプリチャージ時間を決定し、締結させる摩擦係合要素の指示圧を出力する。
【0051】前記補正係数Pα,Tαは、図7,8に示すように、タイマーTMR2による計測時間が長いほど、プリチャージにおける指示圧をより高く、プリチャージ時間をより長くするように設定される。
【0052】尚、前記油圧センサ5の検出値に対して遅れ補正を施して摩擦係合要素の係合油圧の推定値を演算し、該推定される係合油圧からプリチャージにおける指示圧、及び/又はプリチャージ時間を補正するようにしても良い。
【出願人】 【識別番号】000167406
【氏名又は名称】株式会社ユニシアジェックス
【出願日】 平成12年2月28日(2000.2.28)
【代理人】 【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
【公開番号】 特開2001−241541(P2001−241541A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−51916(P2000−51916)