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【発明の名称】 自動変速機制御装置、自動変速機制御方法及びそのプログラムを記録した記録媒体
【発明者】 【氏名】三木 修昭

【氏名】都築 繁男

【氏名】石垣 裕嗣

【氏名】榊原 聖治

【氏名】服部 雅士

【氏名】竹本 和雄

【氏名】川合 正夫

【氏名】椎窓 利博

【要約】 【課題】無段変速機の耐久性を向上させることができ、トルクの伝達効率を高くすることができるようにする。

【解決手段】プライマリプーリ126と、セカンダリプーリ131と、プライマリプーリ126とセカンダリプーリ131との間に張設されたベルト132と、ベルト132の挟持圧を発生させる挟持圧発生手段と、車両の走行環境を検出する走行環境検出手段91と、検出された走行環境に基づいて、走行中における伝達トルクの変動を予測するトルク変動予測処理手段92と、予測結果に基づいて前記挟持圧を変更する挟持圧変更処理手段93とを有する。走行中における伝達トルクの変動が予測され、予測結果に基づいてベルト132の挟持圧が変更されるので、挟持圧が常に高くなるのを防止することができる。トルクの伝達効率を高くすることができ、燃費を良くすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プライマリプーリと、セカンダリプーリと、前記プライマリプーリとセカンダリプーリとの間に張設されたベルトと、該ベルトの挟持圧を発生させる挟持圧発生手段と、車両の走行環境を検出する走行環境検出手段と、検出された走行環境に基づいて、走行中における伝達トルクの変動を予測するトルク変動予測処理手段と、予測結果に基づいて前記挟持圧を変更する挟持圧変更処理手段とを有することを特徴とする自動変速機制御装置。
【請求項2】 前記挟持圧変更処理手段は、伝達トルクが変動しやすい場合にベルトの挟持圧を高くし、伝達トルクが変動しにくい場合にベルトの挟持圧を低くする請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項3】 前記トルク変動予測処理手段は、走行環境に基づいて選択されたシフトスケジュールの変更に基づいて伝達トルクの変動を予測する請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項4】 前記走行環境は少なくとも走行地域を含み、前記トルク変動予測処理手段は、走行地域に基づいて伝達トルクの変動を予測する請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項5】 前記トルク変動予測処理手段は、急激なスロットル開度の変化が起きないと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しにくいと予測する請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項6】 急激なスロットル開度の変化が起きないと予測される走行環境は渋滞路である請求項5に記載の自動変速機制御装置。
【請求項7】 急激なスロットル開度の変化が起きないと予測される走行環境は降坂路である請求項5に記載の自動変速機制御装置。
【請求項8】 急激なスロットル開度の変化が起きないと予測される走行環境は高速道路である請求項5に記載の自動変速機制御装置。
【請求項9】 前記走行環境は少なくとも走行地域及び運転状況を含み、前記トルク変動予測処理手段は、走行地域及び運転状況のうちの少なくとも一方に基づいて伝達トルクの変動を予測する請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項10】 前記トルク変動予測処理手段は、スロットル開度が中高開度であり、アクセルオン・オフ操作の頻度が高いと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しやすいと予測する請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項11】 スロットル開度が中高開度であり、アクセルオン・オフ操作の頻度が高いと予測される走行環境は山岳路である請求項10に記載の自動変速機制御装置。
【請求項12】 スロットル開度が中高開度であり、アクセルオン・オフ操作の頻度が高いと予測される走行環境は登坂路である請求項10に記載の自動変速機制御装置。
【請求項13】 前記トルク変動予測処理手段は、急加速をする可能性が低いと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しにくいと予測する請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項14】 急加速をする可能性が低いと予測される走行環境は、高速道路を走行していて、前方に車両が無い走行環境である請求項13に記載の自動変速機制御装置。
【請求項15】 急加速をする可能性が低いと予測される走行環境は、停車時に前方に車両が有る走行環境である請求項13に記載の自動変速機制御装置。
【請求項16】 前記トルク変動予測処理手段は、急加速をする可能性が高いと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しやすいと予測する請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項17】 急加速をする可能性が高いと予測される走行環境は、高速道路を走行していて、前方に車両が有る走行環境である請求項15に記載の自動変速機制御装置。
【請求項18】 前記走行環境は少なくとも路面状況を含み、前記トルク変動予測処理手段は路面状況に基づいて伝達トルクの変動を予測する請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項19】 前記トルク変動予測処理手段は、路面から受ける反力が大きいと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しやすいと予測する請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項20】 路面から受ける反力が大きいと予測される走行環境はグラベル路面である請求項19に記載の自動変速機制御装置。
【請求項21】 路面から受ける反力が大きいと予測される走行環境は氷雪路面である請求項19に記載の自動変速機制御装置。
【請求項22】 前記トルク変動予測処理手段は、路面から受ける反力が小さいと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しにくいと予測する請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項23】 路面から受ける反力が小さいと予測される走行環境はミラーバーン路面である請求項22に記載の自動変速機制御装置。
【請求項24】 前記走行環境検出手段は操作情報に基づいて走行環境を検出する請求項1に記載の自動変速機制御装置。
【請求項25】 車両の走行環境を検出し、検出された走行環境に基づいて、走行中における伝達トルクの変動を予測し、予測結果に基づいてベルトの挟持圧を変更することを特徴とする自動変速機制御方法。
【請求項26】 車両の走行環境を検出し、検出された走行環境に基づいて、走行中における伝達トルクの変動を予測し、予測結果に基づいてベルトの挟持圧を変更することを特徴とする自動変速機制御方法のプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機制御装置、自動変速機制御方法及びそのプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動変速機を搭載した車両においては、エンジンを駆動することによって発生させられた回転を、変速機構に伝達し、該変速機構において変速を行い、変速が行われた後の回転を駆動輪に伝達して車両を走行させるようにしている。
【0003】前記自動変速機には、有段変速機及び無段変速機が有り、前記有段変速機においては、プラネタリギヤユニットに回転を入力するための歯車要素、前記プラネタリギヤユニットから回転を出力させるための歯車要素等の組合せを変更することによって変速機構の変速比を有段で変化させ、前記無段変速機においては、プライマリプーリとセカンダリプーリとの間にベルトが張設され、プライマリプーリ及びセカンダリプーリの半径方向におけるベルトの位置、すなわち、有効径を変化させることによって、変速機構の変速比を無段で変化させるようにしている。そのために、プライマリプーリ及びセカンダリプーリはそれぞれ固定シーブ及び可動シーブを備え、該各可動シーブを油圧サーボ、電動機等の駆動手段によって移動させることにより、前記有効径を変化させるようになっている。
【0004】ところで、前記無段変速機においては、ベルトの挟持圧が高いと、トルクの伝達効率が低くなってしまう。そこで、ベルトの挟持圧を低くすることが考えられるが、ベルトの挟持圧を低くすると、道路の凹凸によって車両が突き上げられたり、アクセルペダルが急激に踏み込まれたりしたときに、無段変速機において伝達されるトルク、すなわち、伝達トルクが所定以上変動することがある。その結果、プライマリプーリ又はセカンダリプーリとベルトとの間でスリップが発生し、プライマリプーリ、セカンダリプーリ及びベルトが摩耗して無段変速機の耐久性が著しく低下してしまう。
【0005】そこで、所定の余裕量だけ前記挟持圧を高くし、スリップが発生するのを防止するようにしている。すなわち、余裕量をmとし、無段変速機に入力されるトルク、すなわち、入力トルクをTI としたとき、余裕量mは、m=(a−1)×TIに設定される。なお、aは定数であり、該定数aは、例えば、1.4にされる。
【0006】また、エンジンの駆動状態、被駆動状態等に応じて余裕量mを変更することができるようにした無段変速機も提供されている(特開平6−288448号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の無段変速機においては、挟持圧が常に余裕量mだけ高くなるので、トルクの伝達効率がその分低くなってしまう。
【0008】本発明は、前記従来の無段変速機の問題点を解決して、無段変速機の耐久性を向上させることができ、トルクの伝達効率を高くすることができる自動変速機制御装置、自動変速機制御方法及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の自動変速機制御装置においては、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、前記プライマリプーリとセカンダリプーリとの間に張設されたベルトと、該ベルトの挟持圧を発生させる挟持圧発生手段と、車両の走行環境を検出する走行環境検出手段と、検出された走行環境に基づいて、走行中における伝達トルクの変動を予測するトルク変動予測処理手段と、予測結果に基づいて前記挟持圧を変更する挟持圧変更処理手段とを有する。
【0010】本発明の他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記挟持圧変更処理手段は、伝達トルクが変動しやすい場合にベルトの挟持圧を高くし、伝達トルクが変動しにくい場合にベルトの挟持圧を低くする。
【0011】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記トルク変動予測処理手段は、走行環境に基づいて選択されたシフトスケジュールの変更に基づいて伝達トルクの変動を予測する。
【0012】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記走行環境は少なくとも走行地域を含む。そして、前記トルク変動予測処理手段は、走行地域に基づいて伝達トルクの変動を予測する。
【0013】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記トルク変動予測処理手段は、急激なスロットル開度の変化が起きないと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しにくいと予測する。
【0014】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、急激なスロットル開度の変化が起きないと予測される走行環境は渋滞路である。
【0015】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、急激なスロットル開度の変化が起きないと予測される走行環境は降坂路である。
【0016】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、急激なスロットル開度の変化が起きないと予測される走行環境は高速道路である。
【0017】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記走行環境は少なくとも走行地域及び運転状況を含む。そして、前記トルク変動予測処理手段は、走行地域及び運転状況のうちの少なくとも一方に基づいて伝達トルクの変動を予測する。
【0018】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記トルク変動予測処理手段は、スロットル開度が中高開度であり、アクセルオン・オフ操作の頻度が高いと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しやすいと予測する。
【0019】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、スロットル開度が中高開度であり、アクセルオン・オフ操作の頻度が高いと予測される走行環境は山岳路である。
【0020】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、スロットル開度が中高開度であり、アクセルオン・オフ操作の頻度が高いと予測される走行環境は登坂路である。
【0021】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記トルク変動予測処理手段は、急加速をする可能性が低いと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しにくいと予測する。
【0022】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、急加速をする可能性が低いと予測される走行環境は、高速道路を走行していて、前方に車両が無い走行環境である。
【0023】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、急加速をする可能性が低いと予測される走行環境は、停車時に前方に車両が有る走行環境である。
【0024】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記トルク変動予測処理手段は、急加速をする可能性が高いと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しやすいと予測する。
【0025】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、急加速をする可能性が高いと予測される走行環境は、高速道路を走行していて、前方に車両が有る走行環境である。
【0026】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記走行環境は少なくとも路面状況を含む。そして、前記トルク変動予測処理手段は路面状況に基づいて伝達トルクの変動を予測する。
【0027】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記トルク変動予測処理手段は、路面から受ける反力が大きいと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しやすいと予測する。
【0028】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、路面から受ける反力が大きいと予測される走行環境はグラベル路面である。
【0029】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、路面から受ける反力が大きいと予測される走行環境は氷雪路面である。
【0030】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記トルク変動予測処理手段は、路面から受ける反力が小さいと予測される走行環境において、伝達トルクが変動しにくいと予測する。
【0031】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、路面から受ける反力が小さいと予測される走行環境はミラーバーン路面である。
【0032】本発明の更に他の自動変速機制御装置においては、さらに、前記走行環境検出手段は操作情報に基づいて走行環境を検出する。
【0033】本発明の自動変速機制御方法においては、車両の走行環境を検出し、検出された走行環境に基づいて、走行中における伝達トルクの変動を予測し、予測結果に基づいてベルトの挟持圧を変更する。
【0034】本発明の記録媒体に記録した自動変速機制御方法のプログラムにおいては、車両の走行環境を検出し、検出された走行環境に基づいて、走行中における伝達トルクの変動を予測し、予測結果に基づいてベルトの挟持圧を変更する。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、自動変速機のうちの無段変速機について説明する。
【0036】図1は本発明の第1の実施の形態における自動変速機制御装置の機能ブロック図である。
【0037】図において、126はプライマリプーリ、131はセカンダリプーリ、132は前記プライマリプーリ126とセカンダリプーリ131との間に張設されたベルト、135は該ベルト132の挟持圧を発生させる挟持圧発生手段としての油圧サーボ、91は車両の走行環境を検出する走行環境検出手段、92は検出された走行環境に基づいて、走行中における伝達トルクの変動を予測するトルク変動予測処理手段、93は予測結果に基づいて前記挟持圧を変更する挟持圧変更処理手段である。
【0038】図2は本発明の第1の実施の形態における無段変速機の概念図である。
【0039】図に示されるように、無段変速機10は、ベルト式の変速機構102、前後進切換装置103、ロックアップクラッチ105を内蔵したトルクコンバータ106、カウンタシャフト107及びディファレンシャル装置109を備える。
【0040】前記トルクコンバータ106は、図示されないエンジンの出力軸110にフロントカバー117を介して連結されたポンプインペラ111、入力軸112にロックアップクラッチプレート104及びダンパスプリング120を介して連結されたタービンランナ113、並びにワンウェイクラッチ115を介して支持されたステータ116を備える。そして、前記ロックアップクラッチ105は、入力軸112とフロントカバー117との間に配設される。なお、121はポンプインペラ111に連結されて駆動されるオイルポンプである。
【0041】前記変速機構102は、プライマリプーリ126、セカンダリプーリ131、及び前記プライマリプーリ126とセカンダリプーリ131との間に張設された金属製のベルト132を有する。そして、前記プライマリプーリ126は、プライマリシャフト122に固定された固定シーブ123、及び前記プライマリシャフト122に対して軸方向に摺(しゅう)動自在に支持された可動シーブ125から成り、セカンダリプーリ131は、セカンダリシャフト127に固定された固定シーブ129、及び前記セカンダリシャフト127に対して軸方向に摺動自在に支持された可動シーブ130から成る。
【0042】また、可動シーブ125の背面にはダブルピストンから成る第1の駆動手段としての油圧サーボ133が、可動シーブ130の背面にはシングルピストンから成る第2の駆動手段としての油圧サーボ135が配設される。なお、該油圧サーボ135によって挟持圧発生手段が構成される。
【0043】前記油圧サーボ133は、プライマリシャフト122に固定されたシリンダ部材136及び反力支持部材137、並びに可動シーブ125の背面に固定された筒状部材139及びピストン部材140を備え、前記筒状部材139、反力支持部材137、及び可動シーブ125の背面によって第1の油室141が、シリンダ部材136及びピストン部材140によって第2の油室142が形成される。
【0044】そして、前記第1、第2の油室141、142が連通孔137aによって互いに連通させられ、油圧サーボ133に油圧サーボ135と同じ油圧を供給することによって、油圧サーボ133に発生させられる軸力は、油圧サーボ135に発生させられる軸力のほぼ2倍になる。
【0045】一方、前記油圧サーボ135は、セカンダリシャフト127に固定された反力支持部材143、及び可動シーブ130の背面に固定された筒状部材145を備え、前記反力支持部材143、筒状部材145、及び可動シーブ130の背面によって1個の油室146が形成されるとともに、可動シーブ130と反力支持部材143との間にプリロード用のスプリング147が配設される。
【0046】前記前後進切換装置103は、ダブルピニオンプラネタリギヤ150、リバースブレーキB及びダイレクトクラッチCを有する。前記ダブルピニオンプラネタリギヤ150において、サンギヤSと入力軸112とが連結され、第1、第2のピニオンP1、P2を支持するキャリヤCRと固定シーブ123とが連結され、リングギヤRと前記リバースブレーキBとが連結され、キャリヤCRとリングギヤRとが前記ダイレクトクラッチCを介して連結される。
【0047】そして、前記カウンタシャフト107には、大ギヤ151及び小ギヤ152が固定され、前記大ギヤ151は、セカンダリシャフト127に固定されたギヤ153と噛(し)合し、また、小ギヤ152は、ディファレンシャル装置109のデフケース166に固定されたギヤ155と噛合する。前記ディファレンシャル装置109においては、前記デフケース166に支持されたデフギヤ156の回転が、左右のサイドギヤ157、159を介して左右の車軸160、161に伝達される。
【0048】また、固定シーブ123の外周縁には、多数の凹凸部123aが歯切りによって等間隔に形成され、前記凹凸部123aに臨ませて、図示されないケースに固定された電磁ピックアップから成るプライマリプーリ回転速度センサ162が配設される。前記固定シーブ129の外周縁には、多数の凹凸部129aが歯切りによって等間隔に形成され、前記凹凸部129aに臨ませて、前記ケースに固定された電磁ピックアップから成るセカンダリプーリ回転速度センサ、すなわち、車速センサ44が配設される。したがって、該車速センサ44によって車両の走行条件を表す車速Vを、プライマリプーリ回転速度センサ162によって入力プーリ回転速度をそれぞれ検出することができる。
【0049】また、前記フロントカバー117に近接させて前記ケースに固定された電磁ピックアップから成るエンジン回転速度センサ165が配設され、該エンジン回転速度センサ165によってエンジン負荷を表すエンジン回転速度NE を検出することができる。
【0050】前記構成の無段変速機10において、前記エンジンを駆動することによって発生させられた回転は、トルクコンバータ106及び前後進切換装置103を介して変速機構102に伝達され、該変速機構102において変速が行われた後、ギヤ153、大ギヤ151、小ギヤ152及びギヤ155を介してディファレンシャル装置109に伝達される。そして、前記前後進切換装置103において、リバースブレーキBを解放した状態でダイレクトクラッチCを係合させると、ダブルピニオンプラネタリギヤ150は直結状態になり、入力軸112に伝達された回転はそのままプライマリプーリ126に伝達され、車両が前進させられる。また、リバースブレーキBを係合させた状態でダイレクトクラッチCを解放すると、入力軸112に伝達された回転は、逆転させられた状態でプライマリプーリ126に伝達され、車両が後退させられる。
【0051】そして、前記油圧サーボ133は、プライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131の有効径を変更するために使用される。すなわち、シフトアップの変速を行う場合、油圧サーボ133に油圧が供給され、前記プライマリプーリ126の有効径が小さくされ、セカンダリプーリ131の有効径が大きくされる。その結果、変速比が小さくされる。また、シフトダウンの変速を行う場合、油圧サーボ133の油圧がドレーンされ、前記プライマリプーリ126の有効径が大きくされ、セカンダリプーリ131の有効径が小さくされる。その結果、変速比が大きくされる。
【0052】また、前記油圧サーボ135は、ベルト132の挟持圧を発生させ、かつ、変更するために使用される。すなわち、油圧サーボ135に油圧が供給されると、該油圧に対応する挟持圧が発生させられ、セカンダリプーリ131は、固定シーブ129及び可動シーブ130によって前記挟持圧でベルト132を挟持する。
【0053】そして、油圧回路に図示されない第1、第2の油圧調整弁が配設され、該第1、第2の油圧調整弁によって発生させられた油圧がそれぞれ油圧サーボ133、135に供給される。そのために、後述される自動変速機制御部において発生させられたソレノイド信号が前記第1、第2の油圧調整弁のソレノイドに送られる。
【0054】なお、本実施の形態においては、油圧サーボ133はプライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131の有効径を変更するために使用され、油圧サーボ135はベルト132の挟持圧を発生させ、かつ、変更するために使用されるようになっているが、油圧サーボ135をプライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131の有効径を変更するために使用し、油圧サーボ135をベルト132の挟持圧を発生させ、かつ、変更するために使用することもできる。
【0055】また、本実施の形態においては、前記第1、第2の駆動手段として油圧サーボ133、135が使用されるが、該油圧サーボ133、135のうちの少なくとも一方を電動機に代えることもできる。その場合、電動機を駆動することによって可動シーブ125、130のうちの少なくとも一方が軸方向に移動させられ、可動シーブ125の位置を調整することによってプライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131の有効径を変更したり、可動シーブ130の位置を調整することによってベルト132の挟持圧を変更したりすることができる。
【0056】次に、自動変速機制御装置について説明する。
【0057】図3は本発明の第1の実施の形態における自動変速機制御装置のブロック図である。
【0058】図において、12は無段変速機10(図2)の全体の制御を行う自動変速機制御部、13は図示されないエンジンの全体の制御を行うエンジン制御部、14はナビゲーション装置である。
【0059】また、40は車両・運転者操作情報検出部であり、該車両・運転者操作情報検出部40は、ステアリングセンサ24、ウインカセンサ41、アクセル開度αを検出するアクセルセンサ42、ブレーキセンサ43、車速Vを検出する車速センサ44、運転者による加速要求を表すスロットル開度θを検出するスロットル開度センサ45、運転者が図示されないシフトレバー等の変速操作手段を操作することによって選択された変速レンジを検出するシフトポジションセンサ46、ATF温度を検出する油温センサ61、車輪ロック・アンロックを検出するABSセンサ62、縦ジャイロ、横ジャイロ又はロール角を検出する振動ジャイロセンサ63、エンジン水温を検出する水温センサ64、吸入空気量を検出する流量センサ65、酸素(O2 )濃度を検出する酸素センサ66、及び図示されないアクセルペダルの作動部等に配設されたキックダウンスイッチ67を備える。なお、前記アクセルセンサ42、ブレーキセンサ43、スロットル開度センサ45及びシフトポジションセンサ46によって運転者による車両の操作情報を検出する運転者操作情報検出手段が構成される。
【0060】そして、48は車両の前方を監視する前方監視装置、49は道路の車線を表す表示線を認識する表示線認識装置、50は車両の周辺を監視する周辺監視装置、51はRAM、52はROMである。なお、RAM51及びROM52によって記録手段が構成される。また、前記変速レンジとして、ニュートラルレンジ(N)、前進レンジ(D)、ローレンジ(L)、後進レンジ(R)及びパーキングレンジ(P)を選択することができる。なお、前記前方監視装置48は、レーザーレーダ、ミリ波レーダ、超音波センサ等、又はそれらの組合せから成り、車間距離La、車間時間Ta、先行車に対する接近速度Va、一時停止箇所(非優先道路から優先道路への進入箇所、踏切、赤の信号が点滅する交差点等)に対する接近速度Vb、障害物に対する接近速度等を算出する。また、前記周辺監視装置50は、車両の前方の画像をCCD、C−MOS等のカメラによって撮影し、撮影によって得られた画像データを処理して、周辺の車両数、前方の道路の形状、白線位置、路肩位置、路面の状態、道路標識、信号機、信号機の色、障害物等を判断する。
【0061】前記ナビゲーション装置14は、車両の現在位置を検出する現在位置検出部15、道路データ等の各種のデータが記録された記録媒体としてのデータ記録部16、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38を有する。
【0062】そして、前記現在位置検出部15は、GPS21、地磁気センサ22、距離センサ23、ステアリングセンサ24、ビーコンセンサ25、ジャイロセンサ26、図示されない高度計等から成る。
【0063】前記GPS21は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することによって地球上における現在位置を検出し、前記地磁気センサ22は、地磁気を測定することによって車両が向いている方位を検出し、前記距離センサ23は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。前記距離センサ23としては、例えば、図示されない車輪の回転数を測定し、該回転数に基づいて距離を検出するもの、加速度を測定し、該加速度を2回積分して距離を検出するもの等を使用することができる。
【0064】また、前記ステアリングセンサ24は舵(だ)角を検出し、前記ステアリングセンサ24として、例えば、図示されないステアリングホイールの回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0065】そして、前記ビーコンセンサ25は、道路に沿って配設されたビーコンからの位置情報を受信することによって現在位置を検出する。前記ジャイロセンサ26は、車両の回転角速度、すなわち、旋回角を検出し、該旋回角を積分することによって、車両が向いている方位を算出することができる。前記ジャイロセンサ26としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。
【0066】前記GPS21及びビーコンセンサ25は、それぞれ単独で現在位置を検出することができる。また、距離センサ23によって検出された距離と、地磁気センサ22及びジャイロセンサ26によって検出された方位とを組み合わせることにより現在位置を検出することもできる。そして、距離センサ23によって検出された距離と、ステアリングセンサ24によって検出された舵角とを組み合わせることにより現在位置を検出することもできる。
【0067】前記データ記録部16は、地図データファイル、交差点データファイル、ノードデータファイル、道路データファイル、写真データファイル、及び各地域のホテル、ガソリンスタンド、観光地案内等の施設の情報が記録された施設情報データファイルから成るデータベースを備える。そして、前記各データファイルには、経路を探索するためのデータのほか、前記表示部35の図示されない画面に、探索した経路に沿って案内図を表示したり、交差点又は経路における特徴的な写真、コマ図等を表示したり、次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向等を表示したり、他の案内情報を表示したりするための各種のデータが記録される。なお、前記データ記録部16には、所定の情報を音声出力部37によって出力するための各種のデータも記録される。
【0068】ところで、前記交差点データファイルには各交差点に関する交差点データが、ノードデータファイルにはノード点に関するノードデータが、道路データファイルには道路に関する道路データがそれぞれ記録され、前記交差点データ、ノードデータ及び道路データによって道路状況が表される。なお、前記ノードデータは、前記地図データファイルに記録された地図データにおける少なくとも道路の位置及び形状を構成するものであり、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等を含む)、ノード点、及び各ノード点間を連結するリンクを示すデータから成る。なお、前記ノード点は少なくとも道路の屈曲点の位置を示し、分岐点及びノード点は少なくとも緯度、経度及び高度で表される。
【0069】そして、前記道路データによって、道路自体については、幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点等が、コーナについては、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口等が、道路属性については、踏切、高速道路出口ランプウェイ、高速道路の料金所、道路種別(国道、一般道、高速道路等)、市街地路、山岳路、登坂路、降坂路、渋滞路等がそれぞれ構成される。
【0070】また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行うCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、及び制御プログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路中の走行案内、特定区間の決定等を行うための各種のプログラムが記録された記録媒体としてのROM33から成るとともに、前記ナビゲーション処理部17に、前記入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。
【0071】なお、前記データ記録部16及びROM33は、図示されない磁気コア、半導体メモリ等によって構成される。また、前記データ記録部16及びROM33として、磁気テープ、磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、ICカード、光カード等の各種の記録媒体を使用することもできる。
【0072】本実施の形態においては、前記ROM33に各種のプログラムが記録され、前記データ記録部16に各種のデータが記録されるようになっているが、前記プログラム及びデータを同じ外部の記録媒体に記録することもできる。この場合、例えば、前記ナビゲーション処理部17にフラッシュメモリを配設し、前記外部の記録媒体から前記プログラム及びデータを読み出してフラッシュメモリに書き込むこともできる。したがって、外部の記録媒体を交換することによって前記プログラム及びデータを更新することができる。また、自動変速機制御部12の制御プログラム等も前記外部の記録媒体に記録することができる。このように、各種の記録媒体に記録されたプログラムを起動し、データに基づいて各種の処理を行うことができる。
【0073】さらに、前記通信部38は、FM送信装置、電話回線等との間で各種のデータの送受信を行うためのものであり、例えば、図示されない情報センサ等によって渋滞等の道路情報、交通事故情報、GPS21の検出誤差を検出するD−GPS情報等の各種のデータを受信する。
【0074】そして、前記入力部34は、走行開始時の現在位置を修正したり、目的地を入力したりするためのものであり、前記入力部34として、表示部35と別に配設されたキーボード、マウス、バーコードリーダ、ライトペン、遠隔操作用のリモートコントロール装置等を使用することができる。また、前記入力部34を、表示部35の画面に画像で表示されたキー又はメニューにタッチすることにより入力を行うタッチパネルによって構成することもできる。
【0075】そして、前記表示部35の画面には、操作案内、操作メニュー、操作キーの案内、目的地までの経路、走行する経路に沿った案内等が表示される。前記表示部35としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することができる。
【0076】また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音情報、例えば、音声合成装置によって合成された音声から成る案内情報、変速情報等をスピーカから出力し、運転者に知らせる。なお、音声合成装置によって合成された音声のほかに、各種の音、及びあらかじめテープ、メモリ等の記録媒体に録音された各種の案内情報をスピーカから出力することもできる。
【0077】前記構成のナビゲーション装置14において、CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行うことによって、表示部35の画面に案内画面を開き、該案内画面に現在位置及び周辺の地図を表示する。そして、運転者によって入力部34が操作されて目的地が設定されると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行うことによって、現在位置から目的地までの経路を探索し、経路が探索されると、前記表示処理手段は、表示処理を行うことによって、前記案内画面を開き、該案内画面に現在位置、周辺の地図及び探索された経路を表示し、経路案内を開始する。したがって、運転者は、前記経路案内に従って車両を走行させることができる。
【0078】また、前記自動変速機制御部12は、走行環境として、車両・運転者操作情報検出部40から車両情報及び操作情報を、ナビゲーション処理部17からナビ情報を、前方監視装置48及び周辺監視装置50から車両環境情報を読み込むとともに、必要に応じて車両周辺情報、環境情報及び表示情報を読み込み、無段変速機10の制御を行う。前記車両・運転者操作情報検出部40、ナビゲーション処理部17、前方監視装置48、表示線認識装置49及び周辺監視装置50によって走行環境検出手段91(図1)が構成される。
【0079】そして、前記車両情報として、車速センサ44によって検出された車速V、スロットル開度センサ45によって検出されたスロットル開度θ、エンジン回転速度センサ165によって検出されたエンジン回転速度NE 、該エンジン回転速度NE に基づいて算出されたエンジン回転速度変化、車速Vに基づいて算出された車速変化(加速度及び減速度)、油温センサ61によって検出されたATF温度、ABSセンサ62によって検出された車輪ロック・アンロック、振動ジャイロセンサ63によって検出された縦ジャイロ、横ジャイロ又はロール角、水温センサ64によって検出されたエンジン水温、流量センサ65によって検出された吸入空気量、酸素センサ66によって検出された酸素濃度等を利用することができる。
【0080】また、操作情報として、アクセルセンサ42によって検出されたアクセル開度α、該アクセル開度αに基づいて算出されたアクセルペダルの踏込速度Ve又はキックダウンオン・オフ情報、キックダウンスイッチ67によって検出されたキックダウンオン・オフ情報、図示されないブレーキスイッチによって検出されたブレーキオン・オフ情報、前記ブレーキセンサ43によって検出された図示されないブレーキペダルの踏込強さ又は踏込速度、図示されないブレーキ油圧センサによって検出されたブレーキペダルの踏込強さ又は踏込速度、前記ステアリングセンサ24によって検出された舵角、又は該舵角に基づいて算出された操舵速度、前記ウインカセンサ41によって検出されたウインカオフ、ウインカ右オン又はウインカ左オン、図示されないモードスイッチによって検出されたパワー(スポーツ)モード、ノーマル(エコノミー)モード、スノー(ホールド)モード又はオートモード、図示されないワイパスイッチによって検出されたワイパオフ、間欠オン、連続(ロー)オン又は連続(ハイ)オン、図示されないライトスイッチによって検出されたスモールライトオン、ヘッドライト(ロー)オン、ヘッドライト(ハイ)オン又はオートオン、図示されないN.S.スイッチによって検出された変速レンジ等を利用することができる。
【0081】そして、ナビ情報として、データ記録部16に記録された道路の形状、道路属性、車線数、交差点形状、タウン情報又は地域情報、GPS21によって検出された時間(季節)、通信部38によって取得されたVICS渋滞レベル、FM多重放送によるD−GPS情報又は渋滞情報、衛星放送による地図情報、図示されない携帯電話によって取得された地図情報、渋滞情報、行楽情報又は天気情報、図示されないDSRCによって取得されたETC情報、料金決済情報、地図情報、交差点情報又はタウン情報、SS無線によって検出された車間情報等を利用することができる。
【0082】また、車両環境情報として、前記前方監視装置48によって検出された車間距離La、車間時間Ta、先行車走行レーン又は障害物、前記周辺監視装置50によって検出された周辺の車両数、前方の道路の形状、白線位置、路肩位置、路面の状態、道路標識、信号機、信号機の色、障害物等を利用することができる。
【0083】なお、車両周辺情報として、図示されない超音波センサによって検出された障害物、図示されないマイクロ波センサによって検出された障害物、図示されないカメラによって検出された障害物等を利用することもできる。
【0084】また、環境情報として、図示されない外気温センサによって検出された外気温度、図示されない日射センサによって検出された日射量等を利用することもできる。
【0085】さらに、表示情報として、ビーコンセンサ25によって検出された信号機の色を利用することもできる。
【0086】次に、前記自動変速機制御装置の動作について説明する。
【0087】図4は本発明の第1の実施の形態における自動変速機制御装置の動作を示すメインフローチャート、図5は本発明の第1の実施の形態における通常制御処理で参照される変速線図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるアダプティブ制御処理で参照される第1の変速線図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるアダプティブ制御処理で参照される第2の変速線図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるアダプティブ制御処理で参照される第3の変速線図、図9は本発明の第1の実施の形態におけるアダプティブ制御処理で参照される第4の変速線図である。なお、図5〜図9において、横軸に車速Vを、縦軸にエンジン回転速度NE を採ってある。
【0088】まず、自動変速機制御部12(図3)は、運転者によって選択された制御モードを判定する。すなわち、運転者によって図示されないモード選択スイッチが操作されて通常制御モードが選択されたか、又はアダプティブ制御モードが選択されたかを判定する。そして、通常制御モードが選択された場合、自動変速機制御部12の図示されない通常制御処理手段は、通常制御処理を行い、シフト制御情報として、選択された変速レンジ、車速V、スロットル開度θ及びエンジン回転速度NE を読み込み、ROM52に記録された図5に示される変速線図を参照し、該変速線図に対応するシフトスケジュールを設定し、選択された変速レンジにおける車速V及びスロットル開度θに基づいて、エンジン回転速度NE の目標値、すなわち、目標エンジン回転速度NE * を算出する。
【0089】次に、前記通常制御処理手段は、前記エンジン回転速度NE と目標エンジン回転速度NE * とを比較し、比較結果に基づいて変速出力を発生させ、所定の変速比を出力する。そして、エンジン回転速度NE が目標エンジン回転速度NE * より高い場合、所定の変速比によるシフトアップの変速を行い、エンジン回転速度NE と目標エンジン回転速度NE * とが等しい場合、変速は行わず、エンジン回転速度NE が目標エンジン回転速度NE * より低い場合、所定の変速比によるシフトダウンの変速を行う。
【0090】なお、前記変速線図において、図5に示されるように、最大変速比を表す線L1、最小変速比を表す線L2、スロットル開度θが100〔%〕であるときの最大のエンジン回転速度NE 、すなわち、最大使用回転速度を表す線L3、スロットル開度θが0〔%〕であるときの最小のエンジン回転速度NE 、すなわち、最小使用回転速度を表す線L4、及び車速Vの限界値を表す線L5によって包囲される変速領域AR1が設定される。
【0091】したがって、運転者が図示されないアクセルペダルを踏み込むと、スロットル開度θが大きくなるのに従って、原点から線L1に沿って車速V及びエンジン回転速度NE が変化し、続いて、運転者がアクセルペダルの踏込量を一定の値に保持すると、スロットル開度θが一定の値に保持されたまま線L1から線L2に向けて車速Vが高くなる。この間、変速比は徐々に小さくなる。そして、車速Vが線L2に到達すると、定常状態が形成され、所期の車速V及びエンジン回転速度NE で車両が走行させられる。
【0092】また、定常状態から運転者がアクセルペダルを緩めると、スロットル開度θが小さくなるのに従って、線L2に沿って車速V及びエンジン回転速度NE が変化し、スロットル開度θが0〔%〕になると、線L4に沿って車速Vが変化する。この間、変速比は徐々に大きくなる。そして、車速Vが線L1に到達すると、その後、該線L1に沿って車速V及びエンジン回転速度NE が変化して原点に到達する。
【0093】一方、アダプティブ制御モードが選択された場合、自動変速機制御部12の図示されないアダプティブ制御処理手段は、アダプティブ制御処理を行い、所定の制御ロジックに基づいて、ROM52に記録された走行環境に対応する変速線図を選択し、該変速線図に基づいてシフトスケジュールを設定する。
【0094】すなわち、前記アダプティブ制御処理手段は、走行環境検出手段91(図1)によって検出された走行環境を読み込む。続いて、前記アダプティブ制御処理手段の走行地域判定手段は、前記走行環境に基づいて車両が走行する地域、すなわち、走行地域を判定する。本実施の形態においては、走行環境として道路属性を読み込み、該道路属性に基づいて判定された走行地域が市街地路であるか、渋滞路であるか、郊外路であるか、山岳路であるか、登坂路であるか、高速道路であるか等を判定する。
【0095】そして、前記アダプティブ制御処理手段のシフトスケジュール設定処理手段は、判定された走行地域に対応する変速線図を選択し、選択された変速線図を参照し、該変速線図に基づいてシフトスケジュールを設定する。
【0096】前記シフトスケジュール設定処理手段は、例えば、走行地域が市街地路又は渋滞路である場合、図6に示される第1の変速線図M1を選択し、走行地域が郊外路である場合、図7に示される第2の変速線図M2を選択し、走行地域が山岳路又は登坂路である場合、図8に示される第3の変速線図M3を選択し、走行地域が高速道路である場合、図9に示される第4の変速線図M4を選択する。
【0097】前記第1の変速線図M1は、中速又は低速で車両を走行させるのに適している。そして、線L11〜L14によって包囲される変速領域AR11は、エンジン回転速度NE が低回転域になるように設定され、最大使用回転速度を表す線L13及び最小使用回転速度を表す線L14において、エンジン回転速度NE がそれぞれ前記線L3、L4より低く設定されるとともに、線L14において車速Vが低いほどエンジン回転速度NE が小さくされる。
【0098】また、第2の変速線図M2は、中速又は高速で車両を走行させるのに適している。そして、最大変速比を表す線L11、最小変速比を表す線L12、及び線L13、L14のほか、車速Vが所定の値以上になったときに変速比が大きくなるのを規制する線L15によって包囲される変速領域AR12が設定される。この場合、50〔km/h〕以上80〔km/h〕未満の中速で変速比を小さくして車両を走行させることができる。
【0099】前記第3の変速線図M3は、変速比を大きくし、駆動力を大きくして車両を走行させるのに適している。そして、線L11〜L14によって包囲される変速領域AR13が設定され、線L12の変速比が線L2の理論上の最小変速比より大きくされる。その結果、変速比が小さくなるのが禁止され、50〔km/h〕でも最大変速比を達成することができる。
【0100】さらに、第4の変速線図M4は、高速で車両を走行させるのに適している。そして、線L11〜L14のほか、線L15、及び車速Vが限界値以上になるのを規制する線L16によって包囲される変速領域AR14が設定される。この場合、80〔km/h〕以上で最大変速比を達成することができるので、エンジン回転速度NE が高くなるのを抑制することができ、騒音が発生するのを防止することができる。
【0101】ところで、前記無段変速機10(図2)においては、ベルト132の挟持圧が高いと、トルクの伝達効率が低くなってしまう。そこで、ベルト132の挟持圧を低くすることが考えられるが、ベルト132の挟持圧を低くすると、道路の凹凸によって車両が突き上げられたり、アクセルペダルが急激に踏み込まれたりしたときに、伝達トルクが所定以上変動することがある。その結果、プライマリプーリ126又はセカンダリプーリ131とベルト132との間でスリップが発生し、プライマリプーリ126、セカンダリプーリ131及びベルト132が摩耗して無段変速機10の耐久性が著しく低下してしまう。
【0102】そこで、通常は、前述されたように、入力トルクTI 及び定数a(=1.4)に基づいて、所定の余裕量mを、m=(a−1)×TIに設定し、余裕量mだけ挟持圧を高くし、スリップが発生するのを防止するようにしている。
【0103】また、必要に応じて、余裕量mを、m=(a−1)×TI +bに設定することもできる。なお、bは定数である。また、車速V、入力トルクTI 、入力プーリ回転速度等に対応する余裕量mをあらかじめ算出し、算出された余裕量mをマップ化してROM52に記録することもできる。
【0104】ところが、挟持圧が常に余裕量mだけ高くされると、トルクの伝達効率がその分低くなってしまう。
【0105】そこで、前記自動変速機制御部12の図示されない余裕量補正処理手段は、余裕量補正処理を行い、前記余裕量補正処理手段のトルク変動予測処理手段92は、前記検出された走行環境に基づいて、走行中における伝達トルクの変動を予測する。そして、余裕量補正処理手段の挟持圧変更処理手段93は、トルク変動予測処理手段92の予測結果に基づいて、前記余裕量mを補正し、挟持圧を変更する。
【0106】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 運転者によって通常制御モードが選択されたか、アダプティブ制御モードが選択されたかを判定する。通常制御モードが選択された場合はステップS2に、アダプティブ制御モードが選択された場合はステップS3に進む。
ステップS2 通常制御処理を行い、処理を終了する。
ステップS3 アダプティブ制御処理を行う。
ステップS4 余裕量補正処理を行い、処理を終了する。
【0107】次に、図4のステップS4における余裕量補正処理のサブルーチンについて説明する。
【0108】図10は本発明の第1の実施の形態における余裕量補正処理のサブルーチンを示す図、図11は本発明の第1の実施の形態における補正値テーブルを示す図である。
【0109】前記トルク変動予測処理手段92(図1)は、車両が前進走行中であるかどうかを判断し、前進走行中である場合、シフトスケジュール設定処理において設定されたシフトスケジュールに基づいて、走行中に伝達トルクが変動しやすいかどうか、また、伝達トルクが変動しやすい場合、どの程度変動するかを予測する。そして、挟持圧変更処理手段93は、トルク変動予測処理手段92の予測結果に基づいて、前記余裕量mを補正し、ベルト132の挟持圧を変更する。すなわち、伝達トルクが変動しやすい場合に挟持圧を高くし、伝達トルクが変動しにくい場合に挟持圧を低くする。そのために、前記余裕量mの補正値は、油圧サーボ133、135に供給される油圧のバラツキ、エンジントルクのバラツキ、トルクコンバータ106の性能のバラツキ、車輪が路面から受ける反力、アクセルペダルの踏込量が急激に変化したときにエンジントルクが変動するのを抑制するための余裕代等を考慮して設定される。
【0110】例えば、シフトスケジュール設定処理手段によって選択された変速線図が第1の変速線図M1である場合、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正値δ1だけ補正して小さくしてm−δ1にし、選択された変速線図が第2の変速線図M2である場合、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正せず、選択された変速線図が第3の変速線図M3である場合、走行中に伝達トルクが変動しやすいと予測し、余裕量mを補正値δ2だけ補正して大きくしてm+δ2にし、選択された変速線図が第4の変速線図M4である場合、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正値δ3だけ補正して小さくしてm−δ3にする。
【0111】前記補正値δ1〜δ3は、伝達トルクの変動の程度によってあらかじめ設定される。本実施の形態においては、走行地域が市街地路であるか、渋滞路であるか、郊外路であるか、山岳路であるか、登坂路であるか、高速道路であるか等の判定に基づいて変速線図が選択されるようになっているので、前記補正値δ1〜δ3は、各走行地域において伝達トルクがどのように変動するかを予測して設定される。なお、各走行地域において伝達トルクが変動する状況としては、減速状態から加速状態に変化した直後の状況、加速状態から減速状態に変化した直後の状況、高速道路で先行車両を追い越す場合において、図示されないアクセルペダルが踏み込まれいる状態でステアリングホイールが操作された状況、屈曲路のコーナを通過した後に車両を加速する場合において、図示されないブレーキペダルを踏み込んだ後にステアリングホイールが操作された状況、屈曲路のコーナを通過した後に車両を加速する場合において、図示されないブレーキペダルを踏み込んでいる間にステアリングホイールが操作された状況、又は屈曲路のコーナを通過した後に車両を加速する場合において、ブレーキペダルを緩めた後、アクセルペダルが踏み込まれた状況が考えられる。
【0112】このように、走行中における伝達トルクの変動が予測され、伝達トルクが変動しやすい場合に余裕量mが大きくされ、挟持圧が高くされ、伝達トルクが変動しにくい場合に余裕量mが小さくされ、挟持圧が低くされるようになっているので、挟持圧が常に高くなるのを防止することができる。したがって、トルクの伝達効率を高くすることができ、燃費を良くすることができる。
【0113】また、走行環境に対応した挟持圧が発生させられるので、プライマリプーリ126又はセカンダリプーリ131とベルト132との間でスリップが発生するのを防止することができる。したがって、プライマリプーリ126、セカンダリプーリ131及びベルト132が摩耗するのを防止することができるので、無段変速機10(図2)の耐久性を向上させることができる。
【0114】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS4−1 車両が前進走行中であるかどうかを判断する。車両が前進走行中である場合はステップS4−2に進み、前進走行中でない場合はリターンする。
ステップS4−2 シフトスケジュールに対応させて余裕量mを補正し、リターンする。
【0115】次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0116】図12は本発明の第2の実施の形態における自動変速機制御装置の動作を示すメインフローチャートである。
【0117】この場合、自動変速機制御部12(図3)の図示されない通常制御処理手段は、第1の実施の形態と同様の通常制御処理を行う。次に、前記自動変速機制御部12の図示されない余裕量補正処理手段は、余裕量補正処理を行い、走行環境に基づいて、走行中に伝達トルクが変動しやすいかどうか、また、伝達トルクが変動しやすい場合、どの程度変動するかを予測するとともに、予測結果に基づいて、余裕量mを補正する。
【0118】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 通常制御処理を行う。
ステップS12 余裕量補正処理を行い、処理を終了する。
【0119】次に、図12のステップS12における余裕量補正処理のサブルーチンについて説明する。
【0120】図13は本発明の第2の実施の形態における余裕量補正処理のサブルーチンを示す図、図14は本発明の第2の実施の形態における補正値テーブルを示す図である。
【0121】前記余裕量補正処理手段のトルク変動予測処理手段92(図1)は、車両が前進走行中であるかどうかを判断し、前進走行中である場合、走行環境としてナビ情報を読み込み、ナビ情報に基づいて走行地域を判定する。この場合、走行地域としては、市街地路であるか、渋滞路であるか、山岳路であるか、登坂路であるか、降坂路であるか、高速道路であるか等が判定される。
【0122】そして、トルク変動予測処理手段92は、走行地域に基づいて走行中に伝達トルクが変動しやすいかどうか、また、伝達トルクが変動しやすい場合、どの程度変動するかを予測し、前記余裕量補正処理手段の挟持圧変更処理手段93は、トルク変動予測処理手段92の予測結果に基づいて、前記余裕量mを補正し、挟持圧を変更する。
【0123】例えば、走行地域が市街地路であると判定すると、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正せず、渋滞路であると判定すると、アクセルペダルの操作、例えば、踏込量が急激に変化する可能性が低く、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正値δ11だけ補正して小さくしてm−δ11にし、山岳路であると判定すると、アクセルペダルの踏込量が中程度又は大きい状態、すなわち、スロットル開度が中高開度であり、アクセルオン・オフ操作(アクセルペダルを踏み込んだり、アクセルペダルから足を離したりする操作)の頻度が高く、走行中に伝達トルクが変動しやすいと予測し、余裕量mを補正値δ12だけ補正して大きくしてm+δ12にし、登坂路であると判定すると、スロットル開度が中高開度であり、アクセルオン・オフ操作の頻度が高く、走行中に伝達トルクが変動しやすいと予測し、余裕量mを補正値δ13だけ補正して大きくしてm+δ13にし、降坂路であると判定されると、アクセルペダルの操作、例えば、踏込量が急激に変化する可能性が低く、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正値δ14だけ補正して小さくしてm−δ14にし、高速道路であると判定すると、アクセルペダルの操作、例えば、踏込量が急激に変化する可能性が低く、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正値δ15だけ補正して小さくしてm−δ15にする。前記補正値δ11〜δ15は、伝達トルクの変動の程度によってあらかじめ設定される。
【0124】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS12−1 車両が前進走行中であるかどうかを判断する。車両が前進走行中である場合はステップS12−2に進み、前進走行中でない場合はリターンする。
ステップS12−2 ナビ情報に基づいて走行地域を判定する。
ステップS12−3 走行地域に対応させて余裕量mを補正し、リターンする。
【0125】次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0126】図15は本発明の第3の実施の形態における余裕量補正処理のサブルーチンを示す図、図16は本発明の第3の実施の形態における補正値テーブルを示す図である。
【0127】余裕量補正処理手段のトルク変動予測処理手段92(図1)は、車両が前進走行中であるかどうかを判断し、前進走行中である場合、走行環境としてナビ情報及び車両環境情報を読み込み、ナビ情報及び車両環境情報に基づいて走行地域及び運転状況のうちの少なくとも一方を判定する。この場合、走行地域としては、高速道路であるか、市街地路であるか等が判定され、運転状況としては、先行車レーンに基づいて、前方に車両が無い(前方車両無し)か、前方に車両が有る(前方車両有り)か、停車時に前方に車両が有る(停車時前方車両有り)か等が判定される。なお、走行地域だけを判定する場合はナビ情報だけが読み込まれ、運転状況だけを判定する場合は車両環境情報だけが読み込まれる。
【0128】そして、前記トルク変動予測処理手段92は、走行地域及び運転状況のうちの少なくとも一方に基づいて、走行中に伝達トルクが変動しやすいかどうか、また、伝達トルクが変動しやすい場合、どの程度変動するかを予測し、余裕量補正処理手段の挟持圧変更処理手段93は、トルク変動予測処理手段92の予測結果に基づいて、余裕量mを補正し、挟持圧を変更する。
【0129】例えば、高速道路を走行していて、前方に車両が無いと判定すると、主として一定の車速Vで走行させられ、急に加速する可能性が低く、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正値δ21だけ補正して小さくしてm−δ21にし、高速道路を走行していて、前方に車両が有ると判定すると、追越しのために急に加速する可能性が高く、走行中に伝達トルクが変動しやすいと予測し、余裕量mを補正値δ22だけ補正して大きくしてm+δ22にし、市街地路であると判定すると、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正せず、停車時に前方に車両が有ると判定すると、急に発進する可能性が低く、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正値δ23だけ補正して小さくしてm−δ23にする。前記補正値δ21〜δ23は、伝達トルクの変動の程度によってあらかじめ設定される。
【0130】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS12−11 車両が前進走行中であるかどうかを判断する。車両が前進走行中である場合はステップS12−12に進み、前進走行中でない場合はリターンする。
ステップS12−12 ナビ情報及び車両環境情報に基づいて走行地域及び運転状況のうちの少なくとも一方を判定する。
ステップS12−13 走行地域及び運転状況のうちの少なくとも一方に対応させて余裕量mを補正し、リターンする。
【0131】次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0132】図17は本発明の第4の実施の形態における余裕量補正処理のサブルーチンを示す図、図18は本発明の第4の実施の形態における補正値テーブルを示す図である。
【0133】余裕量補正処理手段のトルク変動予測処理手段92(図1)は、車両が前進走行中であるかどうかを判断し、前進走行中である場合、走行環境として車両環境情報のうちの路面の状態を読み込み、路面の状態に基づいて路面状況を判定する。この場合、路面状況としては、アスファルト路面であるか、コンクリート路面であるか、グラベル路面(じゃり道)であるか、氷雪路面(雪道又は雪・氷混合道)であるか、ミラーバーン路面であるか等が判定される。なお、路面の状態は、現在位置検出部15(図3)に道路データとしても記録されているので、ナビ情報を読み込んで路面状況を判定することもできる。
【0134】そして、前記トルク変動予測処理手段92は、路面状況に基づいて走行中に伝達トルクが変動しやすいかどうか、また、伝達トルクが変動しやすい場合、どの程度変動するかを予測し、余裕量補正処理手段の挟持圧変更処理手段93は、トルク変動予測処理手段92の予測結果に基づいて、余裕量mを補正し、挟持圧を変更する。
【0135】例えば、アスファルト路面又はコンクリート路面であると判定すると、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正せず、グラベル路面であると判定すると、石を乗り越える際に車輪が抵抗を受け、路面から受ける反力が大きく、走行中に伝達トルクが変動しやすいと予測し、余裕量mを補正値δ31だけ補正して大きくしてm+δ31にし、氷雪路面であると判定すると、積雪を乗り越える際に車輪が抵抗を受け、路面から受ける反力が大きく、走行中に伝達トルクが変動しやすいと予測し、余裕量mを補正値δ32だけ補正して大きくしてm+δ32にし、ミラーバーン路面であると判定すると、路面の摩擦係数が小さくて車輪による伝達可能なトルクが小さく、かつ、路面から受ける反力が小さく、走行中に伝達トルクが変動しにくいと予測し、余裕量mを補正値δ33だけ補正して小さくしてm−δ33にする。前記補正値δ31〜δ33は、伝達トルクの変動の程度によってあらかじめ設定される。
【0136】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS12−21 車両が前進走行中であるかどうかを判断する。車両が前進走行中である場合はステップS12−22に進み、前進走行中でない場合はリターンする。
ステップS12−22 車両環境情報に基づいて路面状況を判定する。
ステップS12−23 路面状況に対応させて余裕量mを補正し、リターンする。
【0137】なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0138】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、自動変速機制御装置においては、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、前記プライマリプーリとセカンダリプーリとの間に張設されたベルトと、該ベルトの挟持圧を発生させる挟持圧発生手段と、車両の走行環境を検出する走行環境検出手段と、検出された走行環境に基づいて、走行中における伝達トルクの変動を予測するトルク変動予測処理手段と、予測結果に基づいて前記挟持圧を変更する挟持圧変更処理手段とを有する。
【0139】この場合、走行中における伝達トルクの変動が予測され、予測結果に基づいてベルトの挟持圧が変更されるので、挟持圧が常に高くなるのを防止することができる。したがって、トルクの伝達効率を高くすることができ、燃費を良くすることができる。
【0140】また、走行環境に対応した挟持圧が発生させられるので、プライマリプーリ又はセカンダリプーリとベルトとの間でスリップが発生するのを防止することができる。したがって、プライマリプーリ、セカンダリプーリ及びベルトが摩耗するのを防止することができるので、無段変速機の耐久性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
【識別番号】591261509
【氏名又は名称】株式会社エクォス・リサーチ
【出願日】 平成12年12月22日(2000.12.22)
【代理人】 【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
【公開番号】 特開2001−241540(P2001−241540A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−389902(P2000−389902)