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【発明の名称】 トルクコンバータ
【発明者】 【氏名】桑田 高男

【要約】 【課題】トルクコンバータのクラッチ係合時、ことに発進時、に発生するショックをなくす。

【解決手段】出力軸10まわりに設けられた筒状のステータ軸11を、ケース1に固着するとともに、ステータ軸11の外周とステータ羽根車14の内周との間に、両者の連係を外部の切替手段により断続するとともに、半クラッチ状態とすることができるようにした摩擦クラッチ13を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケースに支持されたステータ羽根車と、入力軸に固定されたポンプ羽根車と、出力軸に固定されたタービン羽根車とを有する3要素1段型トルクコンバータにおいて、前記出力軸まわりに設けられた筒状のステータ軸を前記ケースに固着するとともに、該ステータ軸の外周と前記ステータ羽根車の内周との間に、両者の連係を外部の切替手段により断続するとともに、半クラッチ状態とすることができるようにした摩擦クラッチを設けたことを特徴とするトルクコンバータ。
【請求項2】 摩擦クラッチを、油圧により作動するクラッチピストンの押圧力により、複数の摩擦板が摩擦接触させられて、接続状態となるようにした多板クラッチとし、かつ前記クラッチピストンを作動させる圧油の油道をステータ軸内に設けた請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項3】 摩擦クラッチを断続させる外部の切替手段を、足踏み式の操作ペダルとした請求項1または2記載のトルクコンバータ。
【請求項4】 足踏み式操作ペダルを、車両のクラッチペダルに連係した請求項3記載のトルクコンバータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケースに支持されたステータ羽根車と、入力軸に固定されたポンプ羽根車と、出力軸に固定されたタービン羽根車とを有する3要素1段型トルクコンバータ、特に、フォークリフト等の産業用の車両や建設機械用等のトルクコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】この種のトルクコンバータは、エンジンにより回転させられるポンプ羽根車により流体(トルコン油)を軸まわりの回転流とし、その力を、対面するタービン羽根車に伝達し、戻りの流れを、ステータ羽根車を介してポンプ羽根車に、これを後押しする方向に送ることにより、トルクを倍加させるものである。
【0003】このようなトルクコンバータでは、速度比(または回転比すなわちタービン回転速度/ポンプ回転速度)eが0.8前後の領域になると、トルクコンバータ内の流体の流れが、ステータ羽根車の背面に当たるようになり、急激に効率が低下する。そのためにステータ羽根車を固定せず、ワンウエイクラッチを介してステータに取り付けて、背面に流体が入って来た時にはステータ羽根車を自由回転するようにして、e=0.8前後以上での効率低下を防ぐ構造をとっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】産業車両や建設機械など、例えばフォークリフトにおいては、上述のようなトルクコンバータを、油圧による湿式多板クラッチを配したトランスミッションとともに使用しているが、このような車両では、クラッチ係合時、ことに発進時には最大トルク比となっているので過大なショックが発生しがちである。これを解決するために、トランスミッション側で油圧供給時の油圧を制御したり、クラッチ内にコーン上のプレートを配したりしているが、満足な解決とはなっていない。
【0005】本発明は、上述の問題点に鑑み、トルクコンバータのクラッチ係合時、ことに発進時に発生するショックをなくすことを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)ケースに支持されたステータ羽根車と、入力軸に固定されたポンプ羽根車と、出力軸に固定されたタービン羽根車とを有する3要素1段型トルクコンバータにおいて、前記出力軸まわりに設けられた筒状のステータ軸を前記ケースに固着するとともに、該ステータ軸の外周と前記ステータ羽根車の内周との間に、両者の連係を外部の切替手段により断続するとともに、半クラッチ状態とすることができるようにした摩擦クラッチを設ける。
【0007】(2)上記(1)項において、摩擦クラッチを、油圧により作動するクラッチピストンの押圧力により、複数の摩擦板が摩擦接触させられて、接続状態となるようにした多板クラッチとし、かつ前記クラッチピストンを作動させる圧油の油道をステータ軸内に設ける。
【0008】(3)上記(1)または(2)項において、摩擦クラッチを断続させる外部の切替手段を、足踏み式の操作ペダルとする。
【0009】(4)上記(3)項において、足踏み式操作ペダルを、車両のクラッチペダルに連係する。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態であるフォークリフトの走行用の3要素1段型トルクコンバータの縦断面図で、軸より上の半分だけを示す図である。
【0011】このトルクコンバータ(A)は、ケース(1)(その一部だけを図示)内に収容されている。エンジンクランクシャフト(図示省略)に接続された入力軸(2)は、ドライブカバー(4)と、このドライブカバー(4)に取り付けられたポンプボス(6)とに一体にボルト(3)(5)により連結されている。
【0012】ドライブカバー(4)には、ポンプ羽根車(7)が取り付けられており、ポンプ羽根車(7)に対面してドライブカバー(4)内に配設されたタービン羽根車(8)は、入力軸(2)と同軸として、ベアリング(9)を介して前端が入力軸(2)に支持された出力軸(10)に取り付けられている。
【0013】走行車輪への出力軸(10)のまわりに同軸に配設され、かつ前述のケース(1)に固定された筒状のステータ軸(11)は、ベアリング(12)を介して上述のポンプボス(6)を支持している。
【0014】また、ステータ軸(11)は、その入力軸(2)側に延びる部分の外周に、摩擦クラッチである多板クラッチ(13)を支持しており、多板クラッチ(13)の外周には、ステータ羽根車(14)が取り付けられている。
【0015】多板クラッチ(13)は、圧力板(15)とクラッチピストン(16)との間に、内端部がステータ軸(11)側に係合するものと、外端部がステータ羽根車(14)に係合するものとを交互に配設した複数枚の摩擦板(17)を有するもので、クラッチピストン(16)の背後に印加される圧油の作用により、隣接する摩擦板(17)同士を摩擦接触させて、ステータ羽根車(14)をステータ軸(11)に連係させる作用を果たす。
【0016】この圧油は、筒状のステータ軸(11)に穿設された油道(18)を通って供給されて、クラッチピストン(16)を作動させるもので、図示しない足踏み式のペダルにより制御される。このペダルは、車輌のギヤチェンジ用のクラッチペダルそのものとするか、または、クラッチペダルの踏み込みにより、同時に踏み込まれるように連係しておくのがよい。これにより、多板クラッチ(13)は、オン、オフ及び半クラッチの状態にすることができる。
【0017】このような多板クラッチ(13)を用いると、図2に示すように、ある一定のエンジン回転数まではクラッチオンの状態としてステータ羽根車(14)を固定して、トルク比を高めた状態とすることができる。その後は、クラッチオフの状態とすることにより、ステータ羽根車(14)の自由回転を許容し、単なる流体継ぎ手の状態とする。このようにすることにより、図2に破線で示す従来の一方クラッチを用いた場合のように、トルク比が減少することなく、トルク比をほぼ1のまま維持することができる。
【0018】また、図3に示すように、車両の発進時には、従来は破線により示すように、立ち上がりの鋭い大きなトルクが発生していたが、本発明により、多板クラッチ(13)を発進時に半クラッチ状態とすると、実線により示すように、トルクの立ち上がりをなだらかに、かつピークトルクを低減することができる。このため、従来発進時に大きなトルクが加わるために、急激なショックがあり、乗務者に不快感を与えるとともに、荷物の落下等の原因となっていたが、このショックを緩らげることができる。
【0019】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、速度比が0.8以上となったときの効率の低下を防止できるだけでなく、摩擦クラッチを半クラッチ状態とすることにより、トルク比を高めない状態を任意に設定することができ、クラッチ係合時や、車両の発進時等に生じるショックを低減することができる。
【0020】請求項2記載の発明によれば、より具体的に実施できるとともに、摩擦板を確実にかつ緩やかにつなげる油圧回路を形成することができる。
【0021】請求項3記載の発明によれば、クラッチの断続の操作を容易に行うことができる。
【0022】請求項4記載の発明によれば、車両の通常の走行操作の中でのクラッチペダルの踏み込みにより、摩擦クラッチがオフ、または半クラッチ状態となり、発進時及びクラッチ接続時のショックを緩和することができる。
【出願人】 【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
【出願日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【代理人】 【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一 (外2名)
【公開番号】 特開2001−241532(P2001−241532A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−53622(P2000−53622)