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【発明の名称】 ベルト伝動装置
【発明者】 【氏名】黒精 美考

【要約】 【課題】回転変動するクランクプーリ1と、補機プーリ4,7,10及びアイドラプーリ13との間に巻回されたVリブドベルト16の緩み側スパン16aをオートテンショナ24で押圧してベルト張力を自動調整する場合において、オートテンショナ24によるベルト16の伸びの吸収率が0.3〜1.0mm/degで極度に小さい場合であっても、オートテンショナ24の揺動を回避し、ベルト16のスリップや鳴き音、オートテンショナ24における摩擦材としてのインサートベアリング27やスラストワッシャ33の摩耗や鳴き音等の低減を図る。

【解決手段】オートテンショナ24のダンピング係数DIをベルト16の縦弾性係数に応じて設定し、例えばベルト16の縦弾性係数が9800N/100%・リブ以上でかつ29400N/100%・リブ未満であるときに、オートテンショナ24のダンピング係数DIを20%以上でかつ100%未満とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転変動する駆動プーリと従動プーリとを含む複数のプーリ間に伝動ベルトが巻回され、該伝動ベルトのスパンを常時押圧してベルト張力を自動調整するオートテンショナが設けられたベルト伝動装置において、上記オートテンショナによる伝動ベルトの伸び吸収率が0.3〜1.0mm/degであるとき、上記オートテンショナのダンピング係数が上記伝動ベルトの縦弾性係数に応じて設定されていることを特徴とするベルト伝動装置。
【請求項2】 請求項1のベルト伝動装置において、駆動プーリは、エンジンの出力軸上に取り付けられているクランクプーリである一方、従動プーリは、エンジンの補機の入力軸上に取り付けられている補機プーリであり、伝動ベルトは、少なくとも上記クランクプーリ及び補機プーリにサーペンタインレイアウトで巻き掛けられているVリブドベルトであることを特徴とするベルト伝動装置。
【請求項3】 請求項2のベルト伝動装置において、Vリブドベルトの縦弾性係数が9800N/100%・リブ以上でかつ29400N/100%・リブ未満であるときに、オートテンショナのダンピング係数が20%以上でかつ100%未満とされていることを特徴とするベルト伝動装置。
【請求項4】 請求項2のベルト伝動装置において、Vリブドベルトの縦弾性係数が29400N/100%・リブ以上でかつ73500N/100%・リブ未満であるときに、オートテンショナのダンピング係数が10%以上でかつ100%未満とされていることを特徴とするベルト伝動装置。
【請求項5】 請求項2のベルト伝動装置において、Vリブドベルトの縦弾性係数が4900N/100%・リブ以上でかつ9800N/100%・リブ未満であるときに、オートテンショナのダンピング係数が30%以上でかつ100%未満とされていることを特徴とするベルト伝動装置。
【請求項6】 請求項2のベルト伝動装置において、Vリブドベルトの縦弾性係数が4900N/100%・リブ以下であるときに、オートテンショナのダンピング係数が40%以上でかつ100%未満とされていることを特徴とするベルト伝動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プーリ間に巻き掛けられるVリブドベルト等の伝動ベルトのスパンをオートテンショナにより押圧してベルト張力を自動調整するようにしたベルト伝動装置に関し、特に、駆動プーリの回転変動等に伴うオートテンショナの揺動から生じるベルト等のスリップや騒音等を抑制するための技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、オルタネータやパワーステアリング装置用ポンプ等の補機をエンジンにより駆動する場合に用いられる補機駆動用のベルト伝動装置として、Vリブドベルト(多突条ベルト)を用い、このVリブドベルトをエンジンのクランク軸上のクランクプーリと各補機の入力軸上の補機プーリとの間に巻き掛けたものは広く一般に知られている。
【0003】そして、近年、上記ベルト伝動装置に、ベルトの例えば緩み側スパンを常時押圧してベルト張力を自動調整するオートテンショナ(自動ベルト張力調整装置)を一緒に組み込むとともに、ベルトの内面のみならず外面をもプーリに巻き掛けて駆動するサーペンタインドライブレイアウトが多用されており、このサーペンタインドライブにより、ベルトのメインテナンス性の向上やベルト寿命及び信頼性の向上が図られている。
【0004】しかし、このサーペンタインドライブにおいて、オートテンショナの配置、トルクダンピングの設定及び使用ベルトがある特殊な使用条件にあって、駆動プーリの回転変動が大きい(例えば回転変動率のピークピーク値が10〜30%にある)とき、上記オートテンショナの揺動(テンションプーリ及びアームの揺動)が大きくなるとともに、ベルトの張力変動も大きくなるという問題があった。
【0005】そこで、従来、特開平5―164206号公報に示されるように、ベルトの縦弾性係数(縦弾性率)が大きくなるようにその特性を設定し、駆動プーリの回転変動が大きい条件下で、ベルト伸びを規制してその張力変動を低減させるようにすることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記提案例のものにおいては、ベルトの特性をオートテンショナの特性との関連で特徴付けているものの、ベルトの張力変動及びこのベルトの張力変動によるベルト伸びに対するオートテンショナの揺動については明確に示されていない。従って、オートテンショナによるベルト伸びの吸収率が例えば0.3〜1.0mm/degと極度に小さい場合、ベルトに対するオートテンショナの配置レイアウト、エンジン及び補機の特性、ベルトの特性、オートテンショナのダンピング特性等により、オートテンショナの揺動が非常に大きくなると、上記提案例のもののようにベルトの縦弾性係数を特定するだけでは、ベルトのスリップや鳴き音、オートテンショナにおける樹脂製摩擦材の摩耗や鳴き音等が生じるのは避けられない。
【0007】尚、上記オートテンショナによるベルト伸びの吸収率は、テンションアームを有するオートテンショナにおけるアームの単位角度当たりのベルト長さの吸収量を表していて、テイクアップレートとも呼ばれる。
【0008】本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記のように、オートテンショナによるベルト伸びの吸収率が小さい場合に、そのベルトの特性及びオートテンショナの特性をさらに適正に関連付けることで、オートテンショナの揺動を抑制して、ベルトのスリップや鳴き音、オートテンショナにおける摩擦材の摩耗や鳴き音等の低減を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的の達成のため、請求項1の発明では、回転変動する駆動プーリと従動プーリとを含む複数のプーリ間に伝動ベルトが巻回され、該伝動ベルトのスパンを常時押圧してベルト張力を自動調整するオートテンショナが設けられたベルト伝動装置において、上記オートテンショナによる伝動ベルトの伸び吸収率(テイクアップレート)が0.3〜1.0mm/degであるとき、上記オートテンショナのダンピング係数が上記伝動ベルトの縦弾性係数に応じて設定されている構成とした。
【0010】請求項2の発明では、上記駆動プーリは、エンジンの出力軸上に取り付けられているクランクプーリとする一方、従動プーリは、エンジンの補機の入力軸上に取り付けられている補機プーリとし、伝動ベルトは、少なくとも上記クランクプーリ及び補機プーリにサーペンタインレイアウトで巻き掛けられているVリブドベルトとする。
【0011】また、請求項3〜6の発明では、上記請求項2の発明におけるVリブドベルトの縦弾性係数と、それに応じて設定されるオートテンショナのダンピング係数とを具体化したものである。すなわち、請求項3の発明では、上記Vリブドベルトの縦弾性係数を9800N/100%・リブ以上でかつ29400N/100%・リブ未満とし、かつオートテンショナのダンピング係数を20%以上でかつ100%未満とする。
【0012】請求項4の発明では、同様に、Vリブドベルトの縦弾性係数を29400N/100%・リブ以上でかつ73500N/100%・リブ未満とし、オートテンショナのダンピング係数は10%以上でかつ100%未満ととする。
【0013】請求項5の発明では、Vリブドベルトの縦弾性係数を4900N/100%・リブ以上でかつ9800N/100%・リブ未満とし、オートテンショナのダンピング係数は30%以上でかつ100%未満とする。
【0014】請求項6の発明では、Vリブドベルトの縦弾性係数を4900N/100%・リブ以下とし、オートテンショナのダンピング係数を40%以上でかつ100%未満とする。
【0015】これら発明の構成によれば、伝動ベルトの縦弾性係数に応じてオートテンショナのダンピング係数が設定されているので、オートテンショナによる伝動ベルトの伸び吸収率が0.3〜1.0mm/degで極度に小さい場合であっても、オートテンショナの揺動は小さく抑えられて、ベルトのスリップや鳴き音、オートテンショナにおける摩擦材の摩耗や鳴き音等を低減することができる。特に、請求項2の発明によれば、エンジンによって補機を駆動するベルト伝動装置において、そのオートテンショナの揺動を抑えてベルトのスリップや鳴き音、オートテンショナにおける摩擦材の摩耗や鳴き音等を低減することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図3は本発明の実施形態に係るベルト伝動装置Tを示し、このベルト伝動装置Tは、自動車に搭載されたエンジンにより補機を駆動するために用いられる。すなわち、図3中、1は駆動プーリとしてのVリブドプーリからなるクランクプーリで、このクランクプーリ1は、車載エンジン(図示せず)の出力軸としてのクランク軸2上に回転一体に取り付けられていて、そのクランク軸2による所定の回転変動をもって図で時計回り方向に回転する。
【0017】4は上記クランク軸2の略上方に配置されたVリブドプーリからなる従動プーリとしてのパワステプーリで、このパワステプーリ4は自動車のパワーステアリング装置用ポンプ(全体を図示せず)の入力軸5に回転一体に取り付けられている。
【0018】7は上記パワステプーリ4の側方にそれと略同じ高さ位置に配置されたVリブドプーリからなる従動プーリとしてのオルタネータプーリで、このオルタネータプーリ7はオルタネータ(全体を図示せず)の入力軸8に回転一体に取り付けられている。
【0019】さらに、10は上記オルタネータプーリ7の略下方に配置されたVリブドプーリからなる従動プーリとしてのエアコンプーリで、このエアコンプーリ10は自動車のエアコン用コンプレッサ(全体を図示せず)の入力軸11に回転一体に取り付けられている。
【0020】また、上記オルタネータプーリ7及びエアコンプーリ10の間には蛇行規制用フランジ(図示せず)を有する平プーリからなるアイドラプーリ13が配置されている。
【0021】そして、上記クランクプーリ1(駆動プーリ)と、パワステプーリ4、オルタネータプーリ7及びエアコンプーリ10(いずれも従動プーリでかつ補機プーリ)との間には伝動ベルトとしてのVリブドベルト16がクランクプーリ1、パワステプーリ4、オルタネータプーリ7及びエアコンプーリ10にあっては内面掛けにて、またアイドラプーリ13にあっては外面掛けにてそれぞれ巻き掛けられていて、ベルト伝動装置Tはサーペンタインドライブレイアウトとされている。
【0022】上記Vリブドベルト16は、図5に示すように、ポリエステルコードやアラミドコードからなる心線17が埋設された接着ゴム層18を有し、この接着ゴム層18の上側(ベルト背面側)に上ゴム層19が、また下側(ベルト内面側)に底ゴム層20がそれぞれ一体に形成されている。上記上ゴム層19の上面に背面帆布層21が接着されている一方、底ゴム層20にはベルト長さ方向に延びる複数のリブ部22,22,…がベルト幅方向に並設されている。
【0023】再び図3に示す如く、上記クランクプーリ1とパワステプーリ4との間、つまり図3で時計回り方向に回行するベルト16において緩み側となるスパン16aには、該ベルト緩み側スパン16aをベルト16の内面側に向かってテンションプーリ35により常時押圧してベルト張力を自動調整するオートテンショナ24が設けられている。
【0024】上記オートテンショナ24は、図4に示すように、エンジンに回転不能に取付固定される先細りテーパ円筒状のスピンドル25を備え、このスピンドル25の基端にはリアカップ部26が一体に形成されている。上記スピンドル25には、所定の摩擦係数を持つ樹脂等からなるインサートベアリング27を介して2重円筒状の回動部材28が先端側から回動可能に外嵌合されている。この回動部材28は、スピンドル25に上記インサートベアリング27を介して外嵌合された円筒状の内筒部29と、この内筒部29の外側に同心に配置された円筒状の外筒部30と、内外筒部29,30同士を基端側(スピンドル25先端側)で接続する円板状のフランジ部31とが一体形成されたもので、この回動部材28は、スピンドル25先端部にかしめ結合した円板状のフロントプレート32により上記フランジ部31にて抜け止めされて結合され、このフランジ部31とフロントプレート32との間には所定の摩擦係数を有する樹脂等からなる円板状のスラストワッシャ33が介在されている。上記回動部材28の外筒部30には半径方向に延びるアーム34が一体に形成され、このアーム34の先端部には、スピンドル25と平行な回転軸心を持ったフランジ付平プーリからなる上記テンションプーリ35がベアリング36を介して回転可能に支持されており、このテンションプーリ35に対し上記Vリブドベルト16の緩み側スパン16aが外面掛けにて巻き掛けられる。
【0025】さらに、上記回動部材28の内筒部29外面には円筒状のスプリングサポート37が外嵌合され、このスプリングサポート37はそのスピンドル25基端側に該スピンドル25のリアカップ部26に接触するフランジ部37aを有する。そして、回動部材28の内外筒部29,30内には上記スプリングサポート37の周りに捻りコイルばねからなるスプリング38が配置され、このスプリング38の一端部はスピンドル25のリアカップ部26に切欠き形成した係止部39に、また他端部は回動部材28の外筒部30基端側に切欠き形成した係止部40にそれぞれ係合されており、このスプリング38の捻りばね力により回動部材28、アーム34及びテンションプーリ35をスピンドル25回りに一方向(図3で時計回り方向)に回動付勢して、そのテンションプーリ35によりベルト16の緩み側スパン16aを常時押圧するとともに、スプリング38のばね力やベルト16からの反力により回動部材28、アーム34及びテンションプーリ35がスピンドル25回りに回動したときに、その回動をインサートベアリング27及びスラストワッシャ33により所定のダンピング係数DIで減衰制動させることにより、ベルト張力を自動調整するようにしている。
【0026】そして、本発明の特徴として、上記オートテンショナ24によるVリブドベルト16の伸び吸収率は0.3〜1.0mm/degとされ、そのオートテンショナ24のダンピング係数DIはVリブドベルト16の縦弾性係数に応じて設定されている。
【0027】上記オートテンショナ24によるVリブドベルト16の伸び吸収率は、前述の如くテイクアップレートとも呼ばれ、ベルト16の長さ変化に対してそれを吸収するためのもので、そのベルト16の長さ変化の要因としては、エンジン回転数の急加減速変化、エンジンの回転変動やトルク変動、補機負荷の変動、ON・OFF切換え及び慣性モーメント、エンジンや取付用ブラケットの熱膨張や収縮による寸法変化、ベルト16における心線17や摩耗による寸法変化等があり、このベルト16の伸び吸収率の値が小さいと、同じ量のベルト16の長さ変化に対してオートテンショナ24のアーム34の移動量が増大し、内部の摩擦材(インサートベアリング27やスラストワッシャ33)の摺動も増大する。
【0028】また、オートテンショナ24のダンピング係数DIは、オートテンショナ24に標準長さのベルト16が巻き掛けられている状態で、図6に示すように、そのオートテンショナ24のアーム34の揺動に伴う移動角に応じて負荷トルクがヒステリシスを持って変化するとき、そのトルクの最大値Tmaxと最小値Tminとから、DI(%)=100×{(Tmax−Tmin)/2}÷(Tmax+Tmin)/2により求めるものである。
【0029】具体的には、上記オートテンショナ24のダンピング係数DIは、Vリブドベルト16の縦弾性係数に応じ、該Vリブドベルト16の縦弾性係数が9800N/100%・リブ以上でかつ29400N/100%・リブ未満であるときに、20%以上でかつ100%未満に、またVリブドベルト16の縦弾性係数が29400N/100%・リブ以上でかつ73500N/100%・リブ未満であるときに、10%以上でかつ100%未満に、さらにVリブドベルト16の縦弾性係数が4900N/100%・リブ以上でかつ9800N/100%・リブ未満であるときに、30%以上でかつ100%未満に、さらにまたVリブドベルト16の縦弾性係数が4900N/100%・リブ以下であるときに、40%以上でかつ100%未満にそれぞれ設定されている。
【0030】上記オートテンショナ24によるVリブドベルト16の伸び吸収率が0.5mm/deg及び1.0mm/degであるときの、オートテンショナ24のダンピング係数DIとVリブドベルト16の縦弾性係数との望ましい関係を下記の表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】図1は、本発明者が上記実施形態の構成のようにエンジンにより補機を駆動するベルト伝動装置Tにおいて、ポリエステルコード又はアラミドコードの心線17を有するVリブドベルト16を用い、オートテンショナ24によるベルト16の伸び吸収率を0.5mm/deg及び1.0mm/degとして、ベルト16の縦弾性係数及びオートテンショナ24のダンピング係数DIをそれぞれ変えたときにエンジン始動状態でのベルト16のスリップや鳴き音等が発生する範囲を試験した結果を示している。この結果によれば、図1中の斜線部分で囲まれた範囲(オートテンショナ24によるベルト16の伸び吸収率が0.5mm/degであるときと1.0mm/degであるときとで異なる)では、ベルト16のスリップや鳴き音等が発生せず、このベルト16のスリップや鳴き音等は斜線部分を除いた範囲で発生している。
【0033】このことから、Vリブドベルト16の縦弾性係数が所定範囲にあるときにそれに応じてオートテンショナ24のダンピング係数DIの範囲が設定され、そのオートテンショナ24のダンピング係数DIの範囲が下限値未満(例えばオートテンショナ24によるベルト16の伸び吸収率が0.5mm/degの場合、ベルト16の縦弾性係数が9800N/100%・リブにあるときには、ダンピング係数DIが35%未満)であるときには、オートテンショナ24の揺動が大きくなり、ベルト16のスリップや鳴き音等が発生すると同時に、オートテンショナ24の摩擦材(インサートベアリング27やスラストワッシャ33)に繰り返して多数回の滑りが生じてそれが摩耗し、或いはその鳴き音が発生する。一方、オートテンショナ24のダンピング係数DIの範囲が上限値(100%)以上になると、オートテンショナ24の負荷トルクが0となる点が生じ、この点ではベルト張力も0となり、瞬時にベルト16の過大なスリップが生じる。よって、ベルト16の縦弾性係数が所定範囲にあるときにそれに応じてオートテンショナ24のダンピング係数DIの範囲を上記範囲に設定することで、ベルト16のスリップや鳴き音、オートテンショナ24の摩擦材(インサートベアリング27やスラストワッシャ33)の摩耗や鳴き音の発生を防止するようにしている。
【0034】図2は、上記と同様にエンジンにより補機を駆動するベルト伝動装置Tにおいて、オートテンショナ24によるベルト16の伸び吸収率を0.5mm/degとし、オートテンショナ24のダンピング係数DIをDI=20%としたときに、エンジン始動時のベルト16の縦弾性係数に応じたオートテンショナ24の揺動量の変化を調べたものであり、ベルト16の縦弾性係数が増加するのに応じてオートテンショナ24の揺動量も増大し、ベルト16の縦弾性係数が略42000N/100%・リブ以下のときにオートテンショナ24の揺動量が大きくてベルト16の鳴き音が発生している。
【0035】したがって、この実施形態のように、Vリブドベルト16の縦弾性係数に応じてオートテンショナ24のダンピング係数DIを設定し、その範囲をVリブドベルト16の縦弾性係数の範囲に対応して変えたことにより、オートテンショナ24によるVリブドベルト16の伸び吸収率が0.3〜1.0mm/degで極度に小さい場合であっても、オートテンショナ24の揺動は小さく抑えられて、ベルト16のスリップや鳴き音、オートテンショナ24における摩擦材(インサートベアリング27やスラストワッシャ33)の摩耗や鳴き音等を低減することができる。
【0036】尚、上記実施形態は、Vリブドベルト16を用いたベルト伝動装置Tの例であるが、本発明はその他の種類のベルトを用いるベルト伝動装置にも適用できる。また、上記実施形態は、エンジンの補機を駆動する場合であるが、本発明は、エンジンのカム軸やディーゼルエンジン用燃料噴射ポンプをタイミングベルトによって同期駆動するベルト伝動装置、或いはその他のベルト伝動装置に対しても適用することができる。
【0037】
【発明の効果】以上説明のように、請求項1〜6の発明によると、回転変動する駆動プーリと従動プーリとを含む複数のプーリ間に巻回された伝動ベルトのスパンをオートテンショナで押圧してベルト張力を自動調整する場合において、オートテンショナによる伝動ベルトの伸び吸収率が0.3〜1.0mm/degで極度に小さいとき、伝動ベルトの縦弾性係数に応じてオートテンショナのダンピング係数を設定したことにより、オートテンショナの揺動を回避でき、ベルトのスリップや鳴き音、オートテンショナにおける摩擦材の摩耗や鳴き音等の低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
【出願日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外1名)
【公開番号】 特開2001−241522(P2001−241522A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−49772(P2000−49772)