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【発明の名称】 差動歯車式バルブ駆動装置
【発明者】 【氏名】末広 篤夫

【氏名】上野 義郎

【氏名】岡 孝彦

【氏名】中島 知生

【要約】 【課題】ハンドル軸と出力軸(バルブの駆動軸)が一直線上で、ハンドル軸と出力軸が同方向に回転するようにし、且つ、内歯車、外歯車を含む全体の部品数を減らし、組立て容易なバルブ駆動装置を得る。

【解決手段】ハンドルを取付けるハンドル軸に偏心した円板カムを設け、この円板カムに回転自在にハンドル軸周りを公転する椀型内面に内歯を有する差動歯車を取付け、この歯車をこの歯車より少ない歯数を有する外歯の固定歯車と噛み合わせ、ハンドル軸の回転による差動歯車の公転に伴う差動歯車の自転を、差動歯車と出力軸に一体に設けたオルダム継手により、出力軸に伝達するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハンドルによって本体の中心軸周りを回転すると共に下部にこの中心軸と偏心した円板カムをもつハンドル軸と、このハンドル軸の円板カムに回転自在に嵌合してハンドル軸の周りを公転する椀型内面に内歯を有する内歯付差動歯車と、この差動歯車の内歯に噛み合うと共に前記内歯より少ない歯数を有す本体に固定された外歯付固定歯車と、この差動歯車と出力軸に一体に設けたオルダム継手とにより、ハンドル軸の回転による差動歯車の公転に伴う自転を、中心軸周りを回転する出力軸に伝達するようにしたことを特徴とする差動歯車式バルブ駆動装置。
【請求項2】 前記オルダム継手の突起をピンと滑子またはピンところに変えたことを特徴とする請求項1記載の差動歯車式バルブ駆動装置。
【請求項3】 前記差動歯車にピンを係止させ、差動歯車の自転をこのピンにより、前記本体とハンドル軸との間に設けた開度指示軸受に伝達し、この軸受に設けた指示手段で開度指示を行うことを特徴とする請求項1及び2に記載の差動歯車式バルブ駆動装置。
【請求項4】 前記ハンドル軸の中心部に回転自在に貫通する開度指示軸を設け、この開度指示軸を前記出力軸に係止させ、開度指示軸に設けた指示手段で出力軸の開度指示を行うことを特徴とする請求項1及び2に記載の差動歯車式バルブ駆動装置。
【請求項5】 前記差動歯車にピンを係止させ、差動歯車の自転をこのピンにより、前記本体とハンドル軸との間に設けた開度指示軸受に伝達し、この軸受に設けた指示手段で開度指示を行うと共に、前記ハンドル軸の中心部に回転自在に貫通する開度指示軸を設け、この開度指示軸を前記出力軸に係止させ、開度指示軸に設けた指示手段で出力軸の開度指示を行うことを特徴とする請求項1及び2に記載の差動歯車式バルブ駆動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボール弁やバタフライ弁等の手動駆動装置に関し、特に差動歯車を用いたハンドルの回転と同方向に減速して出力軸を駆動する差動歯車式バルブ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、実用新案登録第2435400号公報で開示された図1に示す差動歯車式バルブ駆動装置が考案されている。このものは固定された本体1のほぼ中央部を貫通して上部小径部2aと下部大径部2bとからなる出力軸2を設け、該出力軸2の上部小径部2aにハンドル4によって駆動され且つ下部が偏心された偏心軸3を嵌合支持し、該偏心軸の下部偏心部3bに、本体1内面及び出力軸2の下部大径部2bの内面にそれぞれ形成された両内歯車1a、2cと噛み合う外歯車を大径部5cと小径部5dにそれぞれ形成した遊星歯車5を回転自在に支持して設け、上記固定された本体1内面に形成される内歯車1aと本体1とを一体成形し、且つ出力軸2内面に内歯車2cを一体成形し、ハンドル4の回転方向と同方向に減速して出力軸2に伝えるようにしたものである。
【0003】上記の差動歯車式バルブ駆動装置では、本体1の内面に内歯車1aを、遊星歯車5に2段の大径外歯車5cと小径外歯車5dを、出力軸2の下部大径部2b内面に内歯車2cを設けなければならず、複雑な形状部分に内歯車、外歯車を形成するのは非常に困難であった。また形成する歯車の数が多く、部品点数も多くなり組立て工数が増える問題があった。また開度の指針がハンドルの上側で、ハンドルの下側の本体に設けた開度の目盛と離れており正確な開度が分かり難いという問題があった。更に、ハンドルを外しておき、開閉操作を行う時のみハンドルを取付けて使う場合は、指針が邪魔になって取付け難い、という問題があった。
【0004】上記以外のバルブを駆動する差動歯車装置は入力軸と出力軸の回転が反対きであり同方向のものが無い。また偏心軸の回転の伝達にはオルダム継手が知られているが、バルブ駆動用差動歯車装置に組み込むには大きくて実用にならなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上述の従来技術の問題を解決し、入力軸と出力軸の軸心が同一でかつ同方向に回転するコンパクトな差動歯車式バルブ駆動装置を得ようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために請求項1の発明では、ハンドルによって本体の中心軸周りを回転すると共に下部にこの中心軸と偏心した円板カムをもつハンドル軸と、このハンドル軸の円板カムに回転自在に嵌合してハンドル軸の周りを公転する椀型内面に内歯を有する内歯付差動歯車と、この差動歯車の内歯に噛み合うと共に前記内歯より少ない歯数を有す本体に固定された外歯付固定歯車と、この差動歯車と出力軸に一体に設けたオルダム継手とにより、ハンドル軸の回転による差動歯車の公転に伴う自転を、中心軸周りを回転する出力軸に伝達するようにした。
【0007】上記において、オルダム継手は偏心軸の回転を伝達する継手で、差動歯車の駆動部と出力軸の被駆動部及びその間に入る円板との3部分で構成され、間に入る円板にはそれぞれの面に直交する真直ぐな溝を設け、差動歯車と出力軸にはこれらの溝に嵌り会う突起を設けたものである。差動歯車の回転は、差動歯車の突起から円板に、円板から出力軸の突起に伝達され出力軸を駆動する。この時差動歯車が偏心して公転しながら回転するので溝と突起の間で滑っている。溝と突起は滑るために隙間が必要で、隙間があるために溝の中で突起が回転して斜めになり溝の面と突起の面がぴったりと当らない。また滑るために摩擦力が生じる。
【0008】そのために請求項2に記載の発明は、駆動側と被駆動側にそれぞれピンを立て、これに突起の役目をする滑り子またはころを嵌め、それを溝に嵌めた。
【0009】請求項3に記載の発明は、差動歯車にピンを係止させ、差動歯車の自転をこのピンにより、前記本体とハンドル軸との間に設けた開度指示軸受に伝達し、この軸受に設けた指示手段で開度指示を行う。
【0010】請求項4に記載の発明は、ハンドル軸の中心部に回転自在に貫通する開度指示軸を設け、この開度指示軸を前記出力軸に係止させ、開度指示軸に設けた指示手段で出力軸の開度指示を行う。
【0011】請求項5に記載の発明は請求項3と4を同時に実施する。
【0012】
【作用】本発明は上記のように構成されているので、運転時、ハンドルによってハンドル軸を回転させると、ハンドル軸下部の偏心した円板カムに回転自在に嵌合する内歯付差動歯車が中心軸に対して偏心公転運動する。この差動歯車は椀型で内面に内歯を有し、この内歯が本体に固定して設けた外歯付固定歯車に噛み合っているので、差動歯車が固定歯車の周りを偏心公転する。この際外歯付固定歯車の歯数は差動歯車の歯数より少なく形成してあるので、差動歯車が固定歯車の周りを1回転公転運動する間にこの歯数の差分だけ差動歯車が進みハンドル軸と同方向に自転する。減速比は、例えば固定歯車の歯数を49枚差動歯車の歯数を50枚とすると、1/50の大減速比が得られ、減速と増力が行われる。
【0013】オルダム継手の突起をピンと滑り子に変えたものは滑り子がピンを中心にして回転し溝の面にぴったりと当るので大きなトルクが伝達できる。ピンところに変えたものは溝ところが線接触になるので大きなトルクは伝達できないが、転がり接触になり抵抗を減らすことができる。
【0014】開度指示は出力軸の回転位置を指示するのであるが、差動歯車の自転が出力軸の回転と同じなので、差動歯車の自転を取り出しても開度指示ができる。差動歯車から取り出すのは開度指示をハンドルの下側で行えるのでハンドルの取付け取り外しが容易であり、ハンドルを取り外してある場合にも開度が分かるので便利である。また、開度の指針とフタ上面の目盛が近いので開度が正確に分かる。出力軸から取り出すのは開度の指針がハンドルの上側にくるのでフタ上面の目盛と離れていて正確さに欠けるが遠くからは見やすい。差動歯車と出力軸の両方から取り出すのは遠くから開度が分かるばかりでなく、正確な開度も知ることができる。
【0015】
【発明の実施形態】以下本発明の実施例を図面により説明する。図2は本発明の一実施例を示す断面図である。図2においてバルブボディ等に固定された本体10はベース11とフタ12とからなり、本体10の中央部を貫通するように上部側にハンドル軸20を下部側に出力軸50を本体10に回転自在に装着してある。ハンドル軸20は上端にハンドルを係止する四角部21を、下部にハンドル軸の回転中心と偏心した円板カム22を一体形成してある。
【0016】この円板カム22は断面が円形であり、円板カム22には回転自在に嵌合する内歯付差動歯車30が、本体10のベース11とフタ12とで摺動自在に装着してある。差動歯車30は図示のごとく椀型でその内面に内歯31を設けてある。円板カム22と差動歯車30との間の嵌合部32には摺動抵抗を減らすためのベアリングを装着してもよい。また、本体10内で摺動する差動歯車30との摺動面にも摺動抵抗を減らすために低摩擦シートを装着してもよく、通常はグリスを塗布して滑り易くしてある。従ってハンドル軸20を回転することにより、ハンドル軸下部に偏心して形成された円板カム22の運動で内歯付差動歯車30がハンドル軸20に対し公転する。
【0017】上記椀型の差動歯車30の内歯31は、本体のベース11に設けた外歯付固定歯車13と噛み合う。外歯付固定歯車13はハンドル軸20と同心であり、その歯数は差動歯車30の歯数より少ない。
【0018】このためハンドル軸20を回転すると差動歯車30は固定歯車13に噛み合いながら固定歯車13の周りを公転する。そうすると差動歯車30は1公転当り固定歯車13との歯数の差分だけ回転(自転)が進み、ハンドル軸20と同方向に回転する。従って減速比は、歯数差/差動歯車の歯数、となり、歯数差を最小の1枚にし差動歯車の歯数を多くすることにより、大減速比が容易に得られる。
【0019】この差動歯車30の自転はオルダム継手40を介して出力軸50に伝達される。オルダム継手40は、継手円板41とこの円板に設けた溝42a、42bとこれらに直交する溝43a(破線で示す部分)、43bに嵌り合う差動歯車30の突起33a、33b及び出力軸50の突起51a(破線で示す部分)、51bとで構成されている。このように差動歯車と出力軸に一体にオルダム継手を構成することにより全体をコンパクトにまとめることができる。また、図では円板に設けた溝に底があるが、底を無しにしても差し支えない。この場合、底の厚さ分だけ円板を薄くすれば高さ方向の寸法を更に小さくできる。
【0020】差動歯車30の回転は突起33a、33bから溝42a、42bを介して継手円板41に伝達され、継手円板41の回転は溝43a、43bから突起51a、51bを介して出力軸50に伝達される。出力軸50に伝達された回転は角穴52により弁棒を駆動する。このとき継手円板41は差動歯車30の公転に連れて味噌擂り運動をするので、その中心部は入力軸20と干渉しないような穴44が開けてある。また、溝と突起は差動歯車の公転に追随するように相互に摺動すので摺動抵抗を減らすために溝と突起の間に低摩擦シートを装着してもよく、通常はグリスを塗布して滑り易くする。
【0021】オルダム継手は溝と突起は滑るために隙間が必要で、隙間があるために図3に示すように溝の中で突起が回転して斜めになり溝の面と突起の面がぴったりと当らない。従って大きなトルクを伝えるには面でぴったりと当るようにするのが望ましい。そのために差動歯車30と出力軸50にそれぞれにピン2本44a、44b及び53a、53bを立て、これに突起の役目をする滑り子45a、45b及び54a、54bを嵌め、これらの滑り子を溝42a、42b及び43a、43bに嵌める。こうすることにより、図4に示すようにこれらの滑り子はピンを中心にして回転して溝の面で当るようになり大きなトルクを伝達できる。そして摺動抵抗を減らすために低摩擦シートを装着してもよく、通常はグリスを塗布して滑り易くしてある。また、滑り子の代わりにころをピンに嵌めたものは溝の面をころが転がるので滑り子の場合より摺動抵抗が小さくできる。
【0022】開度指示をハンドルの下側でする実施例を図2に示す。開度指示は、差動歯車30の回転を差動歯車30に係止した複数のピン60とピン60に対応する開度指示軸受61の穴62を介して開度指示軸受61に伝え、開度指示軸受61に取付けた指針63で行う。フタ12の上面には、指針63に対応した目盛が刻んである。ピン60の嵌る開度指示軸受61の穴62の径は、差動歯車30が偏心公転しながら自転するのを伝えるために、ピン60の外径に円板カム22の偏心量の2倍を加えた寸法またはそれより少し大きい寸法である。
【0023】図5はハンドルの上側で開度指示する実施例を示す。開度指示は出力軸50に係止した開度指示軸70を、ハンドル軸20を貫通してハンドルの上側に突出させ、開度指示軸70に取付けた指針71で行う。そして開度はハンドルの上側にある指針71とハンドルの下側フタの上面にある目盛とで読み取ることになる。
【0024】正確な開度を知るには図2の指針63とフタ上面の目盛が近い構造が適し、遠くから開度を知るには図5の指針71がハンドルの上側に来る構造が適している。正確な開度と遠くから開度を知るために、図2と図5の構造を組合せた構造にすることは容易である。
【0025】本発明のバルブ駆動装置は水中で使う場合、内部に水が入らないようにガスケットやパッキンでシールすることができる。また、内部を潤滑するために通常はグリスが封入される。
【0026】
【発明の効果】以上説明のごとく、本発明によれば、従来のように多数の内歯車や外歯車を必要とせずにハンドルの回転方向と同方向に出力軸を回転させることができ、歯車の数が少なくても大きな減速比が得られ、構造が簡単で組立てが容易、開度指示がハンドルの下側、上側又はその両方で行える等、便利でコンパクトなバルブ操作機が得られる。
【出願人】 【識別番号】591006520
【氏名又は名称】株式会社興和工業所
【出願日】 平成12年2月24日(2000.2.24)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−241518(P2001−241518A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−95875(P2000−95875)