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【発明の名称】 ケーシング組込式の内歯歯車構造、及び内接噛合遊星歯車構造
【発明者】 【氏名】石川 哲三

【氏名】兼光 健一

【氏名】峯岸 清次

【要約】 【課題】内歯歯車構造における内歯用ケーシングの形状を簡潔にし、又軸方向長さを短縮する。

【解決手段】内歯を構成する複数の外ピン211を、略円筒状の外ピン支持部材227の内周面227aに形成される軸方向の複数のピン溝213によって保持する内歯歯車210と、自身が有する略リング状の段部228をこの内歯歯車210に係合させて相対的な径方向のずれを規制する内歯用ケーシング227と、を備える内歯用ケーシング組込式の内歯歯車構造において、内歯用ケーシング227の段部228が自身の外周面228aによって、内歯歯車210における複数の外ピン211を内側から支持する役目を兼ねるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】内歯を構成する複数の外ピンを、略円筒状の外ピン支持部材の内周面に形成される軸方向の複数のピン溝によって保持する内歯歯車と、自身が有する略リング状の段部を前記内歯歯車に係合させて相対的な径方向のずれを規制する内歯用ケーシングと、を備えるケーシング組込式の内歯歯車構造において、前記内歯用ケーシングの前記段部が自身の外周面によって、前記内歯歯車における前記複数の外ピンを内側から支持する役目を兼ねるように構成にしたことを特徴とするケーシング組込式の内歯歯車構造。
【請求項2】請求項1において、前記外ピン支持部材の前記内周面における軸方向端部近傍に、前記複数の外ピンの内周側を連ねて形成される内周円に先端が一致する突起部を、半径方向内側に突出形成すると共に、突起部の前記先端を内歯用ケーシングの前記段部に係合させたことを特徴とするケーシング組込式の内歯歯車構造。
【請求項3】請求項2において、前記外ピンの軸方向両端を、前記外ピン支持部材の両側面に一致させたことを特徴とするケーシング組込式の内歯歯車構造。
【請求項4】請求項2又は3において、前記突起部を、周方向に隣り合う一対の外ピンの間に形成すると共に該外ピンの外周面に近接させ、該突起部の外ピン側の面が、該外ピンが相手側外歯歯車と噛合する際に受ける周方向の力に対して反力を与え得るように構成したことを特徴とするケーシング組込式の内歯歯車構造。
【請求項5】請求項2、3又は4において、前記外ピンの外周には円筒状の外ローラが被覆され、且つ該外ローラの外周面によって歯面が構成されるようにしたことを特徴とするケーシング組込式の内歯歯車構造。
【請求項6】請求項2乃至5のいずれかにおいて、前記内歯歯車に対して相手側外歯歯車を軸方向から組込・取り出し可能とするための凹部が、前記突起部の軸方向に沿って半径方向外側に凹設されていることを特徴とするケーシング組込式の内歯歯車構造。
【請求項7】第1軸と、該第1軸の回転によって回転する偏心体と、該偏心体を介して第1軸に対して偏心回転可能な状態で組み込まれる外歯歯車と、内歯用ケーシングに組み込まれて前記外歯歯車が内接噛合する内歯歯車と、前記外歯歯車の自転成分のみが伝達するように該外歯歯車に連結される第2軸と、を備えた内接噛合遊星歯車機構において、前記内歯用ケーシングに組み込まれる前記内歯歯車に、請求項1乃至6のいずれかに記載の内歯歯車構造を採用したことを特徴とする内接噛合遊星歯車機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外ピン支持部材によって、内歯を構成する外ピンを保持する内歯歯車と、自身の段部によってこの内歯歯車と係合する内歯用ケーシングと、を備えるケーシング組込式の内歯歯車構造、及び該内歯歯車構造を採用する内接噛合遊星歯車機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複数の外ピンによって内歯を構成する内歯歯車は、歯車によって回転動力を伝達する様々な機構において広く採用されている。
【0003】図5に、この種の内歯歯車10が適用される内接噛合遊星歯車機構20と、これに連結されるモータ22と、を備える回転駆動装置30を示す。
【0004】この内接噛合遊星歯車機構20は、第1軸1と、この第1軸1の回転によって回転する偏心体3と、この偏心体3を介して第1軸1に対して回転可能な状態で組み込まれる外歯歯車5と、ケーシング12に組み込まれて外歯歯車5が内接噛合する内歯歯車10と、外歯歯車5に、その自転成分のみが伝達するように連結される第2軸2と、を備える。
【0005】即ち、この内接噛合遊星歯車機構20は、内歯歯車10の中心が外歯歯車5の周囲の内側に位置するという特徴(国際特許分類F16H1/32に示される特徴)を有している。
【0006】具体的に外歯歯車5は、図6に示されるように、自身の中心に形成される軸受孔によって偏心体3と遊嵌しており、この軸受孔と偏心体3との間には、軸受用ローラ4が挿入されている。更にこの外歯歯車5には、内ローラ孔6が周方向に複数形成されており、そこに内ピン7及び内ローラ8が遊嵌している。又、この外歯歯車5の外周には、トロコイド歯形や円弧歯形の外歯9が設けられており、内歯歯車10と内接噛合している。
【0007】又、図5に戻って、上記内ローラ8は、回転自在な状態で内ピン7によって保持されており、この内ピン7の基部が、出力軸2のフランジ部14に固定状態で嵌入される。
【0008】内歯歯車10は、自身の内歯を外ピン11によって構成しており、この外ピン11は、略円筒状の外ピン支持部材10の内周面によって摺動回転自在な状態で保持される(詳細は後述する)。
【0009】次に、この揺動内接噛合遊星歯車機構20の作用について説明する。
【0010】第1軸1が1回転すると、それに伴って偏心体3が1回転する。この偏心体3の回転により外歯歯車5も回転しようとするが、内歯歯車10との噛合状態によりその自由な自転が拘束され、この内歯歯車10と噛合しながら(わずかな自転を伴って)殆ど揺動回転のみを行う。
【0011】具体的には、今例えば外歯歯車5の歯数をN、内歯歯車10の歯数をN+1とすると、その歯数差は1である。従って、第1軸1が1回転する毎に、即ち外歯歯車5が1揺動回転する毎に、この外歯歯車5が内歯歯車10に対して1歯分だけずれる(わずかに自転する)。これは、外歯歯車5の自転が、第1軸1の回転に対して−1/Nの回転に減速されたことを意味する(マイナスは逆回転を示す)。
【0012】このような外歯歯車5の回転(わずかな自転を伴った揺動回転)は、内ローラ孔6と内ローラ8との隙間によってその揺動成分が吸収され、自転成分のみが出力軸2に伝達される。その結果、第1軸1と第2軸2との間では、減速比−1/Nが達成される。
【0013】図5に示されるように、この内接噛合遊星歯車機構20における第1軸1は、モータ22のモータ軸24に連結(この従来例では一体)されており、このモータ22を駆動源として全体で減速タイプのギヤドモータとして機能する。
【0014】次に、上記内歯歯車10の構造等について更に詳細に説明する。
【0015】図7に拡大して示されるように、内歯歯車10は、内歯を構成する複数の外ピン11と、自身の内周面27aに形成される軸方向Lの複数のピン溝13によって外ピン11を摺動回転可能に保持する外ピン支持部材27と、を備える。
【0016】このピン溝13は、軸方向Lから視ると断面が半円弧形状である。従って、このピン溝13に保持される外ピン11の外周面は、約半分が内側(中心軸側)に露出するようになっている。これは、当然のことではあるが、この外ピン11の露出部分によって内歯を形成するためであり、この露出部分に外歯歯車5(図7では省略、図6を参照)が噛合する。
【0017】内歯歯車10の軸方向両側に配置される2つのケーシング12には、軸方向に突出するリング状の第1段部28、及びこの第1段部28より小径となる第2段部29が階段状に形成されている。そして、第1段部28の外周面28aは、外ピン支持部材27の内周面27aと嵌合しており、このケーシング12と外ピン支持部材27(内歯歯車10)とが相互に径方向にずれないようになっている。
【0018】又、第2段部29の外周面29aは、複数の外ピン11の内周側を連ねて形成される内周円、即ち、外ピン11によって形成される内歯の歯先円と一致している。従って、ピン溝13に保持される外ピン11の両端側は、上記第1段部28と外ピン支持部材27が嵌合した状態において、第2段部29の外周面29aによって内側(この外ピン11で構成される内歯の歯先側)から支持される。又、外ピン11の軸方向長さは、1対の第1段部28の対向面28b間の距離Sと一致しており、従って、この対向面28bによって外ピン11の軸方向の移動が規制される。
【0019】なお、減速比を出来るだけ高くするためには、内歯歯車10の歯数(外ピン11の本数)Nを増やす必要がある。従って、その場合には外ピン支持部材27の内径を大きくすると共に、ピン溝13の形成間隔を出来るだけ狭めるこどで、外ピン11を数多く保持できるようにすればよい。
【0020】又、上記の構造以外にも、図8に示されるように、外ピン111の外周に円筒状の外ローラ32が被覆され、この外周面によって内歯が形成されている構造(いわゆる外ローラタイプ)もある。これは、外歯歯車(図示は省略)が噛合する際に外ローラ32自身が円滑に回転して、歯面における滑りを分散・吸収し、外歯歯車の回転抵抗を低減させるためである。この構造は、高い伝達効率が要求される場所などで広く採用されている。
【0021】この場合には、外ピン支持部材127の内周面127aには、周方向にローラ溝127bが形成されており、内周面127aと外ローラ32とが接触しないようにして、外ローラ32が円滑に回転するようになっている。なお、その他の構成等については、既に図5〜7に示した従来例とほぼ同様であるため、同一又は同様な部材・部分については下二桁を同一符号とすることにより詳細な説明や全体の図示は省略する。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図7に示されるようなケーシング12は、内部に二つの段部28、29が形成されており、その構造が非常に複雑であった。これは、一方の(第1)段部28が、内歯歯車10と係合して径方向に相対的に動かないようにする役目(いわゆるインローの役目)を果たし、他方の(第2)段部29が、歯面を形成する外ピン11を支持して脱落を防止する役目を果たす必要があるからである。これは、図8に示したケーシング122でも同様である。
【0023】更に、上記のような内歯歯車構造を採用する結果、外ピン支持部材27に形成されるピン溝13が全体に渡って十分に活用されていないという問題があった。つまり、内周面27aには、その軸方向両端に至るまでピン溝13が形成されているものの、実際には、その両端部分はインロー(具体的には第1段部28との係合面)と重複しているので、ピン溝13に無駄な空間S1、S1が存在していた。
【0024】この外ピン11の長さSは、内接噛合する外歯歯車5(図5参照)、及び外ピン11の脱落を防止する第2段部29の軸方向の突出量等で決定されるため、結果として、内歯歯車10(外ピン支持部材27)は上記のピン溝13の「無駄な部分S1、S1」(インローによって使用される部分)だけ軸方向に長大化していた。特に、従来例として挙げた内接噛合遊星歯車機構20は、軸方向にコンパクトな状態で高減速比を達成することが大きなメリットであるため、軸方向に長大化することは大きな問題であった。
【0025】更に、図8に示したような、外ローラ32タイプの内歯歯車110構造においては、外歯歯車と噛合する外ローラ32に作用する力を、総て外ピン111の軸端部分S2で支えなければならない。従って、外ピン111をある程度長くして、より多くの面積でその力を受けとめる必要があったため、それに加えてインロー部分S3が必要になると軸方向に内歯歯車110が大型化した。
【0026】ところで、図5に示したこの内歯歯車10と外歯歯車5は、実際には図9に示されるような噛合状態になっていると考えられる。つまり、この回転駆動装置30の外部負荷が大きくなるにつれて、外ピン11に作用する周方向の力が大きくなる結果、外ピン支持部材27やケーシング12の第2段部29等が弾性変形して、部分的には外ピン11がピン溝13から多少浮き上がった状態になっていると予測される。このような状態で長時間運転すると、外ピン11に疲労が生じて寿命が短くなり易い。
【0027】本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、ケーシングに保持される内歯歯車構造において、その内歯用ケーシングの形状を簡略化し、且つ軸方向にコンパクトに構成することを目的とする。又、他の目的としては、コンパクトな状態で内歯歯車の許容負荷を高めることにある。更に、このようなメリットを備える内歯歯車構造を、内接噛合油性歯車機構に適用することも目的としている。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明は、内歯を構成する複数の外ピンを、略円筒状の外ピン支持部材の内周面に形成される軸方向の複数のピン溝によって保持する内歯歯車と、自身が有する略リング状の段部を内歯歯車に係合させて相対的な径方向のずれを規制する内歯用ケーシングと、を備える内歯用ケーシング組込式の内歯歯車構造において、内歯用ケーシングの前記段部が自身の外周面によって、内歯歯車における前記複数の外ピンを内側から支持する役目を兼ねるように構成することで、上記目的を達成するものである。
【0029】このようにすれば、内歯歯車との相対的なズレを規制する(1つの)段部のみで外ピンを支持するため、外ピンを支持するために専用的に段部を形成する必要がなく、内歯用ケーシングの構造が簡潔になる。
【0030】なお、この内歯用ケーシングとは、上記の構成を有する部材であればあらゆるものを含む。従って、この内歯歯車を有する増・減速機等を内部に収容するケーシング以外にも、内歯歯車と一体となって回転する(いわゆる内歯歯車の一部としての)ケーシングも含んでいる。
【0031】具体的には、外ピン支持部材の内周面における軸方向端部近傍に、前記複数の外ピンの内周側に連ねて形成される内周円に先端が一致する突起部を、半径方向内側に突出形成し、この突起部の先端を内歯用ケーシングの段部に係合させるようにすればよい。
【0032】外ピン支持部材と、内歯用ケーシングの段部とを係合させれば、相互の径方向のずれが規制されるのであるが、本発明者はその手段の一部として、外ピン支持部材に突起部を形成し、この突起部の先端を、外ピン内周側を連ねて形成される内周円に一致させる構造を採用した。
【0033】このようにすると、上記段部が突起部と係合することで外ピン支持部材の径方向のずれを規制しようとした場合、この段部は、おのずと外ピンを内側から支持可能な状態に位置することになる。結果として、外ピンの脱落を防止するために「専用」の段部を形成する必要が無くなり、内歯用ケーシングの構造が簡潔になる。しかも、外ピン支持部材の内周面の「軸方向端部近傍」に上記突起部を配置しているため、例えば外ピンの約半分を露出させて内歯の歯面を形成する場合や、この外ピンに更に円筒状の外ローラを被覆させる場合でも、この突起部が邪魔にならない。
【0034】なお、突起部の先端を上記内周円に「一致」させるということは、完全に一致する場合のみに限定されるものではなく、この段部が外ピンを内周側から支持可能な程度、即ち本発明の目的が達成できる程度に一致している場合を含んでいる。即ち、外ピンがピン溝内で自由に回転できるように、外ピンと段部との間に微少の隙間を形成したとしても、それは本発明が意味している範囲内である。
【0035】ところで、上記発明の構成を採用する場合には、外ピンの両端を外ピン支持部材の両側面に一致させることが好ましい。
【0036】このようにすると、外ピン支持部材の軸方向長さ全体を利用して、外ピンを保持することが出来るので、ピン溝に無駄な空間(外ピンを保持していない空間)が発生しない(又は減少する)。従って、特にこの内歯歯車が外ローラタイプの場合には、この外ローラを支持する外ピンの、ピン溝による保持面積を増大させることが出来るので、コンパクトな状態のままで内歯歯車の許容荷重を高めることが可能になる。反対に、外ピンの長さが一定の場合を考えると、従来と比較して相対的に外ピン支持部材(内歯歯車)の幅(軸方向長さ)を小さくすることが出来る。
【0037】なお、本発明では、外ピン支持部材の内周面の周方向全体に渡って、前記突起部を形成する場合に限定されず、この突起部と前記段部とにより相互に径方向のずれが規制される程度に、合理的な配置形状で形成することが好ましい。
【0038】又、許容荷重を更に高めるためには、周方向に隣り合う一対の外ピンの間にこの突起部を形成すると共に該外ピンの外周面に近接させて、突起部の外ピン側の面が、外ピンが相手側外歯歯車と噛合する際に受ける周方向の力に対して反力を与え得るように構成することも望ましい。
【0039】このようにすれば、従来、断面が半円弧形状のピン溝だけで外ピンを保持していた場合と比較して、突起部がいわゆる周方向のストッパー(規制部材)の役目を兼ねるので、過大負荷に対しても外ピンがピン溝に常時安定した状態で保持される。
【0040】なお、本発明に係る外ピンは、自身の外周面によって内歯の歯面を形成する場合に限定されるものではなく、外ピンの外周には略円筒状の外ローラが被覆され、且つこの外ローラの外周面によって歯面が構成されるもの(いわゆる外ローラタイプ)も含んでいる。この場合、外ピンが内歯の一部を構成していることに変わりはない。
【0041】更に、これらの発明においては、内歯歯車に対して相手側外歯歯車を軸方向から組込・取り出し可能とするための凹部が、突起部の軸方向に沿って半径方向外側に凹設されることが好ましい。特に、相手側外歯歯車との相対歯数差が小さい場合(例えば、揺動内接噛合遊星歯車機構)や、相手側外歯歯車の歯先円が内歯歯車の歯先円と干渉する場合(即ち、外歯歯車の歯先円径>内歯歯車の歯先円径、の場合)等には、この外歯歯車を軸方向に組込・取り出す場合に上記突起部が邪魔になる可能性を有するが、この凹部を利用すれば容易に組込等が可能になる。なお、この凹部の形状・配置等は、相手側外歯歯車の形状、大きさ等を総合的に考慮して、適宜決定すればよい。
【0042】以上の本発明の構成等を考慮すると、この内歯歯車構造は下記の内接噛合遊星歯車機構に適用することが好ましい。具体的には、第1軸と、該第1軸の回転によって回転する偏心体と、該偏心体を介して第1軸に対して偏心回転可能な状態で組み込まれる外歯歯車と、内歯用ケーシングに組み込まれて前記外歯歯車が内接噛合する内歯歯車と、前記外歯歯車の自転成分のみが伝達するように該外歯歯車に連結される第2軸と、を備えた内接噛合遊星歯車機構において、内歯用ケーシングに組み込まれる前記内歯歯車に、上記発明に係る内歯歯車構造を採用すればよい。
【0043】このようにすると、軸方向寸法が短くできると共にケーシング構造も簡潔になり、製造コストも低減される。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0045】図1に、本発明の第1実施形態に係る内接噛合遊星歯車機構220を備えた回転駆動装置230を示す。この回転駆動装置230は、モータ222のモータ軸224に、内接噛合遊星歯車機構220の第1軸201を連結させて全体としてギヤドモータとして機能するものである。
【0046】なお、これ以降において詳細に説明する内歯歯車構造を除いては、既に図6等で従来例として示した回転駆動装置30とほぼ同様な構成であるため、同一部分・部材・構造等については下2桁を回転駆動装置30と同一符号を付することにより、回転駆動装置230の構成・作用等の重複した説明は省略する。
【0047】この内接噛合遊星歯車機構220は、第1軸201と、この第1軸201の回転によって回転する偏心体203と、この偏心体203を介して第1軸201に対して偏心回転可能な状態で組み込まれる外歯歯車205と、ケーシング212(本発明における内歯用ケーシングに該当する)に組み込まれて外歯歯車205が内接噛合する内歯歯車210と、外歯歯車205の自転成分のみが伝達するように、この外歯歯車205に連結される第2軸202と、を備える。
【0048】内歯歯車210は、図2に拡大して示されるように、内歯を構成する外ピン211を、略円筒状の外ピン支持部材227の内周面227aに形成される軸方向の複数のピン溝213によって保持している。
【0049】この外ピン支持部材227の内周面227aの軸方向L両端近傍には、径方向内側に突出している突起部250が形成されており、この突起部250の先端250aが、外ピン211の内周側を連ねて構成される内周円(この実施形態では内歯の歯先円)と一致している。又、この突起部250は、周方向に隣り合う一対の外ピン211の間(隣り合うピン溝213の間)に形成されており、各外ピン211の軸方向両端が、外ピン支持部材227の軸方向両端(両側面)にまで達している。
【0050】更に、この突起部250は、外ピン211の(軸端近傍部分の)外周面に近接配置されており、これにより、突起部250の外ピン211側の面250bが、外ピン211に作用する周方向の力に対して反力を与えることが出来るようになっている。
【0051】一方、この内歯歯車210が組み込まれるケーシング212は、軸方向L且つ内歯歯車210側に突出している略リング状の段部228が1つだけ形成されている(なお、本発明では1つに限定されるものではない)。この段部228(具体的には、段部228の外周面228a)は、上記突起部250の先端250aと係合しており、これによりケーシング212と内歯歯車210の相互の径方向のズレが規制されると共に、外ピン211が内側から支持される。つまり、1つの段部228が、いわゆるインローの役目と外ピン211を支持する役目とを兼ねている。
【0052】以上に示した「ケーシング組込式の内歯歯車構造」によれば、図7に示した従来の内歯歯車構造の様にケーシングに2つ以上の段部を形成する必要が無く、ケーシング212構造が簡潔となって製造コストを低減することができる。
【0053】又、外ピン支持部材227に形成されるピン溝213の全体を利用して、外ピン211を保持することが出来る。言い換えると、従来と比較して、外ピン211の長さを延長する事が出来る。従って、外ピン211が広い面積で保持されるので、内歯歯車210の許容荷重が増大する。一方で、外ピン211を延長する必要がない場合には、その分だけ外ピン支持部材227を軸方向に短縮することが出来るので、結果として回転駆動装置230(内接噛合遊星歯車機構220)が軸方向に短くなる。又、外ピン211の両端が外ピン支持部材227の両側面に一致しているので、ケーシング212によってその軸方向の移動を規制することができる。
【0054】更に、この内歯歯車210の外ピン211が外歯歯車205と噛合する際に、周方向に大きな力が作用した場合であっても、ピン溝213に加えて、突起部250がその力に抗することが出来る。結果として、外ピン211に大きな負荷が作用した場合であっても、ピン溝213全体で常に安定してピン211を保持することが可能になり、外ピン211やピン溝213等の疲労が低減されて寿命が延びる。
【0055】次に、図3を参照して、本発明の第2実施形態に係る内歯歯車構造を採用した回転駆動装置330について説明する。なお、この回転駆動装置330においても、本発明と関連する部分以外は従来例で示した回転駆動装置30と同様であるので、同一部分・部材等については下2桁を同一符号を付することで詳細な説明、及び全体の図示は省略し、要旨となる部分について詳しく説明する。
【0056】図3には、この回転駆動装置330における、ケーシング組込式の内歯歯車構造が拡大して示されている。この内歯歯車構造における外ピン311の外周には外ローラ332が被覆されており、この外ローラ332の外周面によって内歯の歯面が形成される。従って、従来例で示したのと同様に、外ピン支持部材327の内周面327aには周方向にローラ溝327bが形成され、外ローラ332が円滑に回転するようになっている。
【0057】外ピン支持部材327の内周面327aの軸方向L両端近傍には、径方向内側に突出している突起部350が形成されており、この突起部350の先端350aが、外ピン311を内側を連ねて形成される内周円(内歯の歯先用)と一致している。
【0058】この突起部350は、周方向に隣り合う一対の外ピン311の間(隣り合うピン溝313の間)に形成されており、その結果(この突起部350が邪魔にならないので)、外ピン311の軸端が、外ピン支持部材327の軸方向両端(両側面)にまで達している。
【0059】更に、この突起部350は、外ピン311の(軸端近傍部分の)外周面に近接配置されており、これにより、突起部350の外ピン311側の面350bが、外ピン311が受ける周方向の力に対して反力を与えることが可能である。
【0060】又図4に示されるように、この第2実施形態においては、周方向に複数形成される突起部350の軸方向に沿って、(ピン溝313とは別に)外歯歯車305を軸方向に組込・取り外し可能とするための凹部352が半径方向外側に向けて凹設されている。これには、この凹部352が形成されるように突起部350を配置したり、突起部350の形状を決定したりする概念が含まれている。
【0061】一方、この内歯歯車310が組み込まれるケーシング312は、軸方向L且つ内歯歯車310側に突出している略リング状の段部328が1つだけ形成されている。この段部328(具体的には、段部328の外周面328a)は、上記突起部350の先端350aと係合しているのでケーシング312と内歯歯車310の相互の径方向のズレが規制されると共に、外ピン311を内側から支持している。つまり、1つの段部328が、いわゆるインローの役目と外ピン311を支持する役目とを兼ねている。
【0062】従ってこの第2実施形態によれば、第1実施形態での効果に加えて、この内歯歯車310に噛合する外歯歯車305の歯先円が、上記外ピン311の内側を連ねる内周円に近づく場合或いは内周円より大きくなる場合であっても、凹部352を利用して、この外歯歯車305を内歯歯車310に対して軸方向から組み込んだり、取り出したりする事が容易に出来る。この結果、歯車の組立、メンテナンス等が容易になる。
【0063】以上の趣旨から鑑みると、この突起部350の形状・配置等は外歯歯車305の形状・大きさ等を考慮して適宜設定すればよく、一般的には、図4に示されるように、隣り合う一対の外ピン311の間に、「一対の」突起部350を周方向に形成し、この一対の突起部350の間に、凹部352が形成されるようにすることが好ましい。
【0064】又、特に外ローライプの内歯歯車310の場合は、歯面(外ローラ332)に作用する力を総て外ピン311の軸端部分S10、S10で受ける必要があるが、本実施形態ではこの軸端部分S10、S10を延長することが可能となった結果、内歯歯車310の許容荷重が(歯車を大きくすることなく)増大する。
【0065】なお、以上に示した本実施形態においては複数の外ピンの「総て」間に突起部を形成する場合を示したが、本発明はそれに限定されず、いわゆるインローの役目を果たすことが可能な程度に合理的に突起部を形成すればよく、又、突起部の形状も本発明の目的が達成可能な範囲で適宜設定すればよい。
【0066】又、内歯歯車が2つのケーシングに挟まれるようにして組み込まれる場合に限定されるものではなく、1つのケーシングに内歯歯車が組み込まれる場合もある。従って、突起部も、本実施形態のように外ピン支持部材の軸方向両端部に形成される場合に限定されず、片側のみに形成されるようにしても良い。
【0067】更に、このケーシング組込式の内歯歯車構造は、内接噛合遊星歯車機構に適用する場合に限られず、一般的な減速機・増速機等に広く採用可能である。更には、本実施形態のように、(内歯用)ケーシングと内歯歯車とが「固定要素」となる場合の他にも、これらが一体となって回転して、回転動力を入・出力するように構成しても良い。つまり、本発明でいう「内歯用ケーシング」とは、内歯歯車と一体となることを目的としたものであり、一般的に言う歯車箱等に限定されない。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、内歯用ケーシングの形状が簡潔になり、又内歯歯車構造の軸方向長さが短縮される。又、従来より外ピン長さを、外ピン支持部材に対して相対的に長くすることが出来るので、内歯歯車の許容荷重が増大する。
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【代理人】 【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博 (外2名)
【公開番号】 特開2001−241517(P2001−241517A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−49012(P2000−49012)