| 【発明の名称】 |
変速比無限大無段変速機の変速制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】城 新一郎
【氏名】川邊 武俊
【氏名】村本 逸朗
【氏名】成田 靖史
【氏名】酒井 弘正
【氏名】西尾 元治
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| 【要約】 |
【課題】回転同期点を挟んで変速を行う際に、高速な変速機構と制御装置を用いることなく迅速かつ円滑な変速を実現する。
【解決手段】現在のIVT変速比iiから到達IVT変速比tiiへ移行する際に、運転モードの切り換えを伴う場合では、IVTの変速方向とエンジントルクの正負から、予め設定したパターンに基づいて動力循環モードクラッチと直結モードクラッチのいずれかを第1制御対象のクラッチとして決定する一方、他方のクラッチを第2制御対象のクラッチとし、変速方向と第1及び第2制御対象クラッチとから、トルク伝達を担うクラッチを交代するトルクフェイズを行うタイミングと第2制御対象クラッチの伝達トルク目標値を決定するとともに、第1制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を、第2制御対象クラッチの伝達トルク目標値、目標IVT変速比、CVT変速比から決定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】変速比を連続的に変更可能な無段変速機構と一定変速機構とをユニット入力軸にそれぞれ連結するとともに、無段変速機構と一定変速機構の出力軸を遊星歯車機構、動力循環モードクラッチ及び直結モードクラッチを介してユニット出力軸に連結した変速比無限大無段変速機と、前記動力循環モードクラッチのみを締結して総変速比が無限大を含んで動力を伝達する動力循環モードと、直結モードクラッチのみを締結して無段変速機構の出力に応じて動力を伝達する直結モードとを切り換えるモード切換制御手段とを備えた変速比無限大無段変速機の変速制御装置において、車両の運転状態に応じて到達総変速比を設定する到達IVT比設定手段と、現在の運転モードと到達総変速比における運転モードとを比較してモード切換を判断する切換判断手段と、総変速比の変化方向を判断する変速方向判断手段と、現時刻のエンジントルクを検出または推定する実エンジントルク検出手段と、エンジンの定常トルクを検出または推定する定常エンジントルク検出手段と、前記定常エンジントルクの正負を検出する正負判断手段と、現在の運転状態に基づいて、目標総変速比を演算する目標総変速比演算手段と、この目標総変速比から無段変速機構の目標変速比を設定する目標CVT変速比設定手段と、前記総変速比の変化方向と定常エンジントルクの正負から、予め設定したパターンに基づいて動力循環モードクラッチと直結モードクラッチのいずれかを第1制御対象のクラッチとして決定する一方、他方のクラッチを第2制御対象のクラッチとして決定する制御対象決定手段と、総変速比の変化方向と第1及び第2制御対象クラッチとから、予め設定したパターンに基づきトルク伝達を担うクラッチを交代するトルクフェイズを行うタイミングを決定し、前記第2制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を前記実エンジントルク検出値と前記無段変速機構の目標変速比と、前記トルクフェイズを行うタイミングとから設定する第2制御対象クラッチトルク算出手段と、前記第1制御対象クラッチの伝達トルク目標値を、前記第2制御対象クラッチの伝達トルク目標値が増大するほど減少させる一方、第2制御対象クラッチの伝達トルク目標値が減少するほど増大させ、前記目標総変速比が高速側であるときは第1制御対象クラッチの伝達トルク目標値を増大させる一方、低速側であるときは減少させ、無段変速機構の目標変速比が低速側に行くほど増大させ、高速側に行くほど減少させるように算出する第1制御対象クラッチトルク算出手段とを備えたことを特徴とする変速比無限大無段変速機の変速制御装置。 【請求項2】前記第1制御対象クラッチトルク算出手段は、前記遊星歯車機構のサンギア回転数とリングギア回転数とをそれぞれ検出する回転数検出手段を有し、第1の制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を、サンギア回転数とリングギア回転数の検出値に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載の変速比無限大無段変速機の変速制御装置。 【請求項3】前記第1制御対象クラッチトルク算出手段は、前記実エンジントルク検出手段で検出または推定された実エンジントルクに基づいて、第1の制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の変速比無限大無段変速機の変速制御装置。 【請求項4】前記第1制御対象クラッチトルク算出手段は、無段変速機構の変速速度を算出するCVT変速速度算出手段を有し、この変速速度に基づいて第1の制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を算出することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかひとつに記載の変速比無限大無段変速機の変速制御装置。 【請求項5】前記第1制御対象クラッチトルク算出手段は、走行負荷を検出する走行負荷検出手段を有し、検出した走行負荷に基づいて第1の制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を算出することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかひとつに記載の変速比無限大無段変速機の変速制御装置。 【請求項6】前記第2制御対象クラッチトルク算出手段は、第2制御対象クラッチが締結側のときには、総変速比が予め設定した回転同期点を通過した後に締結開始を行う一方、第2制御対象クラッチが解放側のときには、総変速比が予め設定した回転同期点を通過する以前に解放を終了するようにタイミングを設定することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかひとつに記載の変速比無限大無段変速機の変速制御装置。 【請求項7】前記無段変速機構は無段変速機構の目標変速比に応じてアクチュエータを駆動するCVT変速比制御手段を備え、このCVT変速比制御手段は、無段変速機構の前記目標変速比からこのアクチュエータの目標駆動量を算出する目標駆動量算出手段と、この目標駆動量に基づいてアクチュエータの目標駆動速度を算出する目標駆動速度算出手段と、この目標駆動速度と予め設定された限界駆動速度を比較する限界駆動速度比較手段とを有し、アクチュエータの目標駆動速度が前記限界駆動速度を超えるときには、目標駆動速度が限界駆動速度を超える時点の第1の目標変速比と、目標駆動速度が再び限界駆動速度以内となる時点の第2の目標変速比とを求め、限界駆動速度以内で前記第1から第2の目標変速比へ向かうように目標変速比を補正することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかひとつに記載の変速比無限大無段変速機の変速制御装置。 【請求項8】前記第2制御対象クラッチトルク算出手段は、第2制御対象クラッチが締結側のときに、前記アクチュエータの目標駆動速度が限界駆動速度を超える場合には、前記無段変速機構の目標変速比が第2目標変速比となった後に締結を開始する一方、第2制御対象クラッチが解放側のときに、前記アクチュエータの目標駆動速度が限界駆動速度を超える場合には、前記無段変速機構の目標変速比が第1目標変速比となる以前に解放を終了するようにタイミングを設定することを特徴とする請求項7に記載の変速比無限大無段変速機の変速制御装置。 【請求項9】前記第2制御対象クラッチトルク算出手段は、第2制御対象クラッチの解放終了時の無段変速機構の変速比と、総変速比の変化方向と、無段変速機構の目標変速比と、前記定常エンジントルクから、第2制御対象のクラッチの解放開始のタイミングを決定し、第2制御対象クラッチの締結開始時の無段変速機構の変速比と、総変速比の変化方向と、無段変速機構の目標変速比と、前記定常エンジントルクから、第2制御対象クラッチの締結終了のタイミングを決定することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかひとつに記載の変速比無限大無段変速機の変速制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両などに採用される変速比無限大無段変速機の変速制御装置の改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来から車両の変速機として、ベルト式やトロイダル型の無段変速機構が知られており、このような無段変速機構の変速領域をさらに拡大するために、無段変速機構に一定変速機構と遊星歯車機構を組み合わせて変速比を無限大まで制御可能とする変速比無限大無段変速機が知られている。 【0003】これは、エンジンに連結される変速比無限大無段変速機のユニット入力軸に、変速比を連続的に変更可能なハーフトロイダル型の無段変速機構と、一定変速機構(減速機構)を並列的に連結するとともに、これらの出力軸を遊星歯車機構で結合したもので、無段変速機構の出力を遊星歯車機構のサンギアに、一定変速機構の出力軸は動力循環モードクラッチを介して遊星歯車機構のキャリアに連結される。 【0004】サンギアと連結した無段変速機構の出力軸は、直結モードクラッチを介して変速比無限大無段変速機の出力軸であるユニット出力軸と選択的に結合される一方、遊星歯車機構のリングギアはユニット出力軸に結合される。 【0005】このような変速比無限大無段変速機では、図28に示すように、動力循環モードクラッチを締結する一方、直結モードクラッチを解放することにより、無段変速機構と一定変速機構の変速比の差に応じて、IVT変速比(以下、IVT変速比iiでユニット入力軸回転数/ユニット出力軸回転数)を負の値から正の値まで無限大(1/ii=0でギアードニュートラルポイントGNPという)を含んで連続的に変速制御を行う動力循環モードと、動力循環モードクラッチを解放する一方、直結モードクラッチを締結して無段変速機構の変速比icに応じて変速制御を行う直結モードの2つの運転モードを選択的に使用することができる。 【0006】なお、図28においては、縦軸をIVT変速比iiの逆数、横軸を無段変速機構の変速比icとして、無段変速機構の変速比icと前後進の関係を連続的に表示した。 【0007】また、特開平10−267116号公報に開示される変速比無限大無段変速機では、動力循環モードと直結モードの切り換えは、動力循環モードと直結モードでIVT変速比iiが一致する回転同期点RSP(Revolution Synchronous Point)で行い、回転同期点RSPに対応するIVT変速比ii(CVT変速比=icr)を維持した状態で、クラッチの切り換えを行うことで、ショックを生じることなく動力循環モードと直結モードの切り換えを行うことが可能となる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例にあっては、図29のモード切換時のタイムチャートに示すように、クラッチの切換中は、CVT変速比を回転同期点RSPに対応したCVT変速比icrに固定するため、IVT比もこの間、回転同期点RSPのIVT比iirに固定される。 【0009】クラッチの切換は瞬時に行うことはできないので、時刻Tr1からTr2のように切換には所定の時間を必要とし、この間IVT比は一定となってしまうため、滑らかに変化する目標IVT比に対して、実際のIVT比はRSPで一旦停止するような変速となり、変速の違和感を発生することが問題となる。 【0010】また、目標IVT変速比の変化が速く、図28のA点からB点へのような変速経路を要求された場合には、CVT変速比はA点に対応したicaからB点に対応したicbへ直接変速し、同時にクラッチを滑らせながらIVT比をA点に対応したiiaからB点に対応したiibへ変化させることが考えられる。 【0011】しかし、図30に示すように、クラッチの入出力部の回転差は、エンジン回転数あるいは車速が一定であってもCVT変速比に依存して変化し、RSPから離れるにしたがって回転差は大きくなる。 【0012】よって、前記従来例のように、CVT変速比を考慮に入れないで、クラッチ切換時のクラッチ操作量をフィードフォワードで指令する方法では、クラッチ切換を行うCVT変速比によってクラッチの回転差が異なるため変速ショックが発生したり、クラッチ切換中にCVT変速比を変化させるとIVT変速比が目標IVT変速比に追従できなくなったりする。 【0013】これらの理由から、従来例のクラッチ操作量の決め方では、回転同期点RSPに変速比を固定した状態でしかクラッチの切換を行えないことになり、短時間の目標IVT変速比の変化要求に対応できないばかりか、上記のように、変速比が回転同期点RSPで一旦停止する違和感のあるモード切換しかできないことが問題である。 【0014】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、回転同期点を挟んで変速を行う際に、高速な変速機構と制御装置を用いることなく迅速かつ円滑な変速を実現することを目的とする。 【0015】 【課題を解決するための手段】第1の発明は、変速比を連続的に変更可能な無段変速機構と一定変速機構とをユニット入力軸にそれぞれ連結するとともに、無段変速機構と一定変速機構の出力軸を遊星歯車機構、動力循環モードクラッチ及び直結モードクラッチを介してユニット出力軸に連結した変速比無限大無段変速機と、前記動力循環モードクラッチのみを締結して総変速比が無限大を含んで動力を伝達する動力循環モードと、直結モードクラッチのみを締結して無段変速機構の出力に応じて動力を伝達する直結モードとを切り換えるモード切換制御手段とを備えた変速比無限大無段変速機の変速制御装置において、車両の運転状態に応じて到達総変速比を設定する到達IVT比設定手段と、現在の運転モードと到達総変速比における運転モードとを比較してモード切換を判断する切換判断手段と、総変速比の変化方向を判断する変速方向判断手段と、現時刻のエンジントルクを検出または推定する実エンジントルク検出手段と、エンジンの定常トルクを検出または推定する定常エンジントルク検出手段と、前記定常エンジントルクの正負を検出する正負判断手段と、現在の運転状態に基づいて、目標総変速比を演算する目標総変速比演算手段と、この目標総変速比から無段変速機構の目標変速比を設定する目標CVT変速比設定手段と、前記総変速比の変化方向と定常エンジントルクの正負から、予め設定したパターンに基づいて動力循環モードクラッチと直結モードクラッチのいずれかを第1制御対象のクラッチとして決定する一方、他方のクラッチを第2制御対象のクラッチとして決定する制御対象決定手段と、総変速比の変化方向と第1及び第2制御対象クラッチとから、予め設定したパターンに基づきトルク伝達を担うクラッチを交代するトルクフェイズを行うタイミングを決定し、前記第2制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を前記実エンジントルク検出値と前記無段変速機構の目標変速比と、前記トルクフェイズを行うタイミングとから設定する第2制御対象クラッチトルク算出手段と、前記第1制御対象クラッチの伝達トルク目標値を、前記第2制御対象クラッチの伝達トルク目標値が増大するほど減少させる一方、第2制御対象クラッチの伝達トルク目標値が減少するほど増大させ、前記目標総変速比が高速側であるときは第1制御対象クラッチの伝達トルク目標値を増大させる一方、低速側であるときは減少させ、無段変速機構の目標変速比が低速側に行くほど増大させ、高速側に行くほど減少させるように算出する第1制御対象クラッチトルク算出手段とを備える。 【0016】また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記第1制御対象クラッチトルク算出手段は、前記遊星歯車機構のサンギア回転数とリングギア回転数とをそれぞれ検出する回転数検出手段を有し、第1の制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を、サンギア回転数とリングギア回転数の検出値に基づいて算出する。 【0017】また、第3の発明は、前記第1または第3の発明において、前記第1制御対象クラッチトルク算出手段は、前記実エンジントルク検出手段で検出または推定された実エンジントルクに基づいて、第1の制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を算出する。 【0018】また、第4の発明は、前記第1ないし第3の発明のいずれかひとつにおいて、前記第1制御対象クラッチトルク算出手段は、無段変速機構の変速速度を算出するCVT変速速度算出手段を有し、この変速速度に基づいて第1の制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を算出する。 【0019】また、第5の発明は、前記第1ないし第4の発明のいずれかひとつにおいて、前記第1制御対象クラッチトルク算出手段は、走行負荷を検出する走行負荷検出手段を有し、検出した走行負荷に基づいて第1の制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を算出する。 【0020】また、第6の発明は、前記第1ないし第5の発明のいずれかひとつにおいて、前記第2制御対象クラッチトルク算出手段は、第2制御対象クラッチが締結側のときには、総変速比が予め設定した回転同期点を通過した後に締結開始を行う一方、第2制御対象クラッチが解放側のときには、総変速比が予め設定した回転同期点を通過する以前に解放を終了するようにタイミングを設定する。 【0021】また、第7の発明は、前記第1ないし第6の発明のいずれかひとつにおいて、前記無段変速機構は無段変速機構の目標変速比に応じてアクチュエータを駆動するCVT変速比制御手段を備え、このCVT変速比制御手段は、無段変速機構の前記目標変速比からこのアクチュエータの目標駆動量を算出する目標駆動量算出手段と、この目標駆動量に基づいてアクチュエータの目標駆動速度を算出する目標駆動速度算出手段と、この目標駆動速度と予め設定された限界駆動速度を比較する限界駆動速度比較手段とを有し、アクチュエータの目標駆動速度が前記限界駆動速度を超えるときには、目標駆動速度が限界駆動速度を超える時点の第1の目標変速比と、目標駆動速度が再び限界駆動速度以内となる時点の第2の目標変速比とを求め、限界駆動速度以内で前記第1から第2の目標変速比へ向かうように目標変速比を補正する。 【0022】また、第8の発明は、前記第7の発明において、前記第2制御対象クラッチトルク算出手段は、第2制御対象クラッチが締結側のときに、前記アクチュエータの目標駆動速度が限界駆動速度を超える場合には、前記無段変速機構の目標変速比が第2目標変速比となった後に締結を開始する一方、第2制御対象クラッチが解放側のときに、前記アクチュエータの目標駆動速度が限界駆動速度を超える場合には、前記無段変速機構の目標変速比が第1目標変速比となる以前に解放を終了するようにタイミングを設定する。 【0023】また、第9の発明は、前記第1ないし第8の発明のいずれかひとつにおいて、前記第2制御対象クラッチトルク算出手段は、第2制御対象クラッチの解放終了時の無段変速機構の変速比と、総変速比の変化方向と、無段変速機構の目標変速比と、前記定常エンジントルクから、第2制御対象のクラッチの解放開始のタイミングを決定し、第2制御対象クラッチの締結開始時の無段変速機構の変速比と、総変速比の変化方向と、無段変速機構の目標変速比と、前記定常エンジントルクから、第2制御対象クラッチの締結終了のタイミングを決定する。 【0024】 【発明の効果】したがって、第1の発明は、総変速比の変化方向と、エンジントルクの正負から予め設定した運転モードの切換パターンに基づいて、動力循環モードクラッチと直結モードクラッチを、第1制御対象と第2制御対象のクラッチとして設定し、IVT変速方向と制御対象決定手段の結果から、トルクフェイズのタイミングを与えるように、第2制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を設定するとともに、第1制御対象クラッチの伝達トルク目標値を、第2制御対象クラッチの伝達トルク目標値が増大するほど減少させる一方、第2制御対象クラッチの伝達トルク目標値が減少するほど増大させ、前記総変速比が高速側であるときは第1制御対象クラッチの伝達トルク目標値を増大させる一方、低速側であるときは減少させ、また、無段変速機構の目標変速比が低速側に行くほど増大させるように算出することで、運転モード切換時のクラッチの操作量(伝達トルク目標値)を目標IVT変速比とCVT変速比(無段変速機構の変速比)に応じて決定でき、モードを切り換える際に、CVT変速比を一旦、回転同期点RSPに固定することなく、滑らかにIVT変速比を変化させることが可能となるので、違和感のない運転モード切換が可能となる。また、図28のA点からB点へ直接向かうようなモード切換の要求に対しても、クラッチの回転差を考慮した制御が可能となり、回転同期点RSP以外でモード切換を行ってもショックを抑えることができる。 【0025】また、第2の発明は、遊星歯車機構のサンギア回転数とリングギア回転数とを検出する回転数検出手段と、第1制御対象のクラッチの伝達トルク目標値を、サンギア回転数とリングギア回転数の検出値に基づいて算出するようにしたため、リングギアとサンギアの回転数を検出して、目標CVT変速比と合わせて変速比無限大無段変速機(以下、IVT)の各回転部の回転数を確実に知ることができ、クラッチの回転差に応じたクラッチ操作量を精度良く制御することが可能となり、ユニット出力軸のトルク変動によるショックの発生を抑えることができる。 【0026】また、第3の発明は、第1制御対象のクラッチ操作量を、現在の実エンジントルクに基づいて演算するので、IVTに入力するトルクが変化しても、それに応じた制御が可能となり、クラッチの回転差を制御しながら、実際のIVT変速比を目標IVT変速比に追従させるための制御対象クラッチの操作量を精度良く求めることができる。 【0027】また、第4の発明は、CVT変速速度に基づいて第1制御対象のクラッチ操作量を算出するので、IVTが変速するときの回転変化によるイナーシャトルクも考慮した制御が可能となり、変速速度の変化に対応してIVT変速比を目標IVT変速比に追従させることができる。 【0028】また、第5の発明は、走行負荷に基づいて、第1制御対象のクラッチ操作量を演算するので、道路の勾配や路面状態の影響による走行負荷の変化に応じた制御が可能となり、登坂路等の走行負荷が変化する状況においても滑らかなモード切換が可能になる。 【0029】また、第6の発明は、IVT変速方向と制御対象決定手段の結果から、第2制御対象クラッチの締結開始あるいは解放終了のタイミングを、トルクフェイズを行っているときに、回転同期点RSPのIVT変速比を通過しないようにタイミングを決定する構成としたので、IVT変速比が回転同期点RSPに対応するIVT比を通過して、図28に示すようにIVT変速比に応じてCVT変速比が回転同期点RSPに対応するCVT変速比から折り返したときに、第2制御側対象クラッチが解放側であるときには、第2制御対象クラッチの解放を終了させることで、スムーズに到達IVT変速比に応じた運転モードに移行することができる。また、第2制御対象クラッチが締結側であるときには、回転同期点RSPのIVT変速比を超える前に第2制御対象クラッチの締結を開始すると、IVT変速比が回転同期点RSPに対応するIVT変速比を超えないように、解放側の第1制御対象クラッチを強く掴もうとすると操作量が大きくなり、両方のクラッチを必要以上に掴むことでインターロック気味になり、ユニット出力軸のトルクが小さくなって減速感を感じるようなショックが発生するが、回転同期点RSPに対応するIVT変速比までは第1制御対象クラッチでIVT変速比を制御し、回転同期点RSPに対応するIVT変速比を超えてから第2制御対象クラッチの締結を開始することによって、ユニット出力軸のトルク変動を抑制しショックを防止することができる。 【0030】また、第7の発明は、CVT変速比を制御するアクチュエータの目標駆動速度とが限界速度を超えるときは、アクチュエータの駆動速度が限界速度を超える点と、再度アクチュエータの駆動速度が限界速度以下になる点の間を、限界駆動速度以内でこれら2つの点のCVT変速比の間を円滑に移行するように目標CVT変速比を補正するので、短時間に目標IVT変速比が変化するようなモード切換の要求があっても、例えば、図5に示すA→C→D→Bのような経路を通ることで、切り換えのショックを防ぎ、実CVT変速比が目標CVT変速比に追従できるようになるのに加えて、短時間のモード切換に対応でき、迅速な変速を実現することができる。 【0031】また、第8の発明は、IVT変速方向と制御対象決定手段の結果と下界速度比較手段の結果から、到達運転モードのクラッチが第2制御対象クラッチのとき、第2制御対象クラッチの締結開始タイミングは、再度アクチュエータの限界速度以下になった後とし、モード切換開始時の運転モードのクラッチが第2制御対象クラッチのとき、第2制御対象クラッチの解放終了タイミングは、目標CVT変速比の変化速度がCVT変速アクチュエータの限界速度を超える以前としたので、例えば、図5のA→C→D→Bの経路を通る変速で、C→D間のようにIVT変速比とCVT変速比の関係の線上を通っていないときは、第1制御対象クラッチを操作することで、IVT変速比を目標IVT変速比に追従させることになるが、このとき、トルクフェイズを行っていると、第1制御対象クラッチを掴みすぎることによるインターロック気味の現象や、第1制御対象クラッチを緩めすぎることによるユニット出力軸のトルクの抜けが発生することとなるが、上記の構成とすることで、IVT変速比とCVT変速比の関係の線上を通っていないときにトルクフェイズを行うことがなくなるので、図5のA→C→D→Bの経路のような回転同期点RSPを通過しないモード切換においてもユニット出力軸のトルク変動を抑制してショックを防止することができる。 【0032】また、第9の発明においては、第2制御対象クラッチの解放終了時の無段変速機構の変速比と、総変速比の変化方向と、無段変速機構の目標変速比と、定常エンジントルクから、第2制御対象のクラッチの解放開始のタイミングを決定する一方、第2制御対象クラッチの締結開始時の無段変速機構の変速比と、総変速比の変化方向と、無段変速機構の目標変速比と、定常エンジントルクから、第2制御対象クラッチの締結終了のタイミングを決定することにより、第2制御対象のクラッチが締結あるいは解放を開始してから終了するまでの時間(トルクフェイズの時間)が決定され、トルクフェイズの際のユニット出力軸のトルク変動を予測することができ、ユニット出力軸のトルク変動ショックを低減することができる。 【0033】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。 【0034】図1は、ハーフトロイダルで構成されたダブルキャビティ式のトロイダル型無段変速機構2を用いて変速比無限大無段変速機(IVT)を構成した一例を示す。 【0035】図1において、変速比無限大無段変速機はエンジンのクランクシャフト(図示せず)に連結されるユニット入力軸1に、変速比を連続的に変更可能なトロイダル型の無段変速機構2と、ギア3a、ギア3bから構成された一定変速機構3(減速機)とを並列的に連結し、これらの出力軸4、3cをユニット出力軸6側へ配設するとともに遊星歯車機構5で連結したものである。 【0036】無段変速機構出力軸4はユニット出力軸6と同軸的かつ、相対回転自在に支持され、無段変速機構2の出力スプロケット2a、チェーン4b及びスプロケット4aを介して連結されており、無段変速機構出力軸4の一端を遊星歯車機構5のサンギア5aに結合し、他端を直結モードクラッチ10に結合する。 【0037】ギア3bと結合した一定変速機構3の出力軸3cも、ユニット出力軸6と同軸的かつ、相対回転自在に支持され、動力循環モードクラッチ9(第1クラッチ)を介して遊星歯車機構5のキャリア5bに連結されており、遊星歯車機構5のリングギア5cは、変速比無限大無段変速機の出力軸であるユニット出力軸6に結合される。 【0038】そして、ユニット出力軸6の図中右側には、変速機出力ギア7が設けられ、この変速機出力ギア7がディファレンシャルギア8のファイナルギア12と歯合し、ディファレンシャルギア8に結合する駆動軸11は、無段変速機構2の変速比icと運転モードに応じたIVT変速比(ユニット入力軸回転数/ユニット出力軸回転数=総変速比で、以下、iiとする)で駆動力が伝達される。 【0039】無段変速機構2は、図1、図3に示すように、2組の入力ディスク21、出力ディスク22で、パワーローラ20、20をそれぞれ挟持、押圧するダブルキャビティのトロイダル型で構成され、パワーローラ20はピボットシャフト24を介して、トラニオン23により回転自在に支持されている。 【0040】そして、このトラニオン23の回転角を、後述するように、ステップモータ36のステップ数に応じて変化させることで、パワーローラ20の傾斜角(以下、傾転角という)を変更して、無段変速機構2の変速比icと、IVT変速比iiを無段階に変化させることができる。 【0041】無段変速機構2の変速比icと、IVT変速比iiの逆数1/iiとの関係は、前記従来例の図28と同様に、図5に示すようになる。 【0042】この図5において、動力循環モードクラッチ9を締結する一方、直結モードクラッチ10を解放した動力循環モードでは、無段変速機構2と一定変速機構3の変速比の差に応じて、IVT変速比iiを前進側、後進側共に無限大(図中ギアードニュートラルポイントGNPで1/ii=0)を含んで連続的に変化させることができる。 【0043】また、動力循環モードクラッチ9を解放する一方、直結モードクラッチ10を締結する直結モードでは、無段変速機構2の変速比icに応じた変速制御を行うことができる。 【0044】ここで、トロイダル型の無段変速機構2の各パワーローラ20は、図3に示すように、下端を油圧シリンダ30に結合して軸方向へ変位可能かつ軸まわりに回転可能なトラニオン23(パワーローラ支持部材)でそれぞれ軸支される。なお、パワーローラ20とトラニオン23の間には、揺動自在なピボットシャフト24が介装される。 【0045】油圧シリンダ30はピストン31によって画成された上下の油室30a、30bを備えており、対向配置されたトラニオン23、23の油圧シリンダ30、30は、油室30a、30bの配置が相互に逆転するように設定されて、トラニオン23、23は相互に逆方向へ駆動される。なお、トラニオン23、23は、ピボットシャフト24を挟んだ上下で、揺動自在なリンクを介して連結され、トラニオン23、23は相互に逆方向へ変位する。 【0046】このため、図3において、油室30bの油圧を増大すると同時に油室30aの油圧を低減すると、図中左側のトラニオン23が上昇する一方、図中右側のトラニオン23は下降してパワーローラ20、20はLo側(変速比ic=大側)へ傾転(トラニオン23の軸回りに変位)して変速が行われる。 【0047】そして、複数のトラニオン23のうちの一つには、トラニオン23の軸方向変位量と、パワーローラ20の傾転角(トラニオン23の回転角≒実変速比)を、シフトコントロールバルブ46にフィードバックするためのプリセスカム35が設けられる。 【0048】プリセスカム35は、円周方向に所定の傾斜を備えたカム面またはカム溝を備えており、このカム面またはカム溝には揺動自在なフィードバックリンク38(Lリンク)の一端が摺接する。 【0049】フィードバックリンク38は、例えば、L字状に形成されて揺動自在に支持され、一端で上記カム面またはカム溝と摺接する一方、他端で変速リンク37(Iリンク)の一端と係合し、トラニオン23の軸方向変位量及び回転量、すなわちパワーローラ20の傾転角を変速リンク37の一端に伝達する。 【0050】変速リンク37は、ほぼ中央部でシフトコントロールバルブ46のスプール46Sと連結する一方、フィードバックリンク38と連結した変速リンク37の他端はステップモータ36と連結して、変速リンク37はステップモータ36の駆動によってシフトコントロールバルブ46(変速制御弁)のスプール46Sを軸方向に変位させるとともに、トラニオン23の回動と軸方向変位に応じてスプール46Sを軸方向に変位させる。 【0051】そして、シフトコントロールバルブ46には、ライン圧PLが供給される供給ポート46Lと、油圧シリンダ30の油室30bと連通したポート46Lowと、油圧シリンダ30の油室30aと連通したポート46Hiと、この供給ポート46Lを挟んで一対のドレーンポート46D、46Dが形成される。 【0052】変速リンク37によって駆動されるスプール46Sが、供給ポート46Lをポート46Hi、46Lowを介して油室30a、30bのうちの一方に接続するとともに、他方の油室をドレーンポート46Dに接続する。 【0053】こうして、ステップモータ36とプリセスカム35に駆動されるスプール46Sの変位に応じて、ライン圧PLが供給される油圧シリンダ30の油室30a、30bが変更されて、ステップモータ36が指令した傾転角となるように油圧の制御が行われる。 【0054】次に、図2は、変速比無限大無段変速機の制御系を含めたブロック図を示す。 【0055】マイクロコンピュータを主体に構成されたコントロールユニット80には、ユニット入力軸1の回転数Ni、すなわちエンジン回転数INPREVを検出する入力軸回転数センサ81からの出力、無段変速機構2の出力軸回転数Noを検出する出力軸回転数センサ87からの出力、リングギア5cと結合したユニット出力軸6の回転数RINGREVを検出するユニット出力軸回転数センサ83からの出力、サンギア5aの回転数SUNREVを検出するサンギア回転数センサ82の出力、キャリア5bの回転数CARREVを検出するキャリア回転数センサ84の出力、スロットル開度APS(または、アクセルペダルの踏み込み量)を検出するアクセル操作量センサ85からの出力等がそれぞれ入力される。 【0056】なお、車速VSPは、ユニット出力軸6の回転数=リングギア回転数RINGREVに所定の定数を乗じて演算する。 【0057】コントロールユニット80は、これら各種センサの検出値を運転状態として処理し、スロットル開度APSと車速VSPに基づいて、例えば、図5に示すような変速マップから、到達入力軸回転数DsrREVを求め、これにリングギア回転数RINGREVから到達IVT変速比tiiを決定するとともに、到達IVT変速比tiiの運転モードに応じて第1及び第2ソレノイド91、92を駆動することで、動力循環モードクラッチ9と直結モードクラッチ10への供給油圧を制御し、動力循環モードと直結モードの締結力を変更し、動力循環モードと直結モードを切り換える。図4は、モード切換制御を行うコントロールユニット80の概念図を示している。 【0058】運転状態検出手段1000では、車速VSPやアクセル踏む込み量APS等の車両の各運転状態を検出する。 【0059】到達IVT変速比算出手段1001は、例えば、アクセル踏み込み量APSと車速VSP等の運転状態に応じて、最終的な目標値となる到達IVT変速比tiiを求める。 【0060】一方、目標IVT変速比算出手段1002は、上記到達IVT変速比tiiを入力し、この到達IVT変速比tiiに、変速の味付けである所定の時定数で構成されたローパスフィルタを掛けて、所定の制御周期毎の目標値である目標IVT変速比tii0を求める。 【0061】目標CVT変速比算出手段1003は、目標IVT変速比tii0を入力し、図6に示すマップから、所定の制御周期毎の目標値である目標CVT変速比tic0を求める。 【0062】この図6のマップは、設計値によるIVT変速比とCVT変速比の関係を示しており、回転同期点RSPよりIVT変速比のHi側では直結モードの、回転同期点RSPよりIVT変速比でLow側では動力循環モードにおけるIVT変速比とCVT変速比の関係である。 【0063】直結モードと動力循環モードでは、回転同期点RSPにおけるCVT変速比とIVT変速比は一致するため、図6のようにIVT変速比とCVT変速比の関係は回転同期点RSPで連続につながる。 【0064】次に、モード切換判断手段1004では、現在の運転モード(直結モードまたは動力循環モード)と、到達IVT変速比tiiにおける運転モードを比較し、これら2つのモードが異なれば、モード切換を要求するためにモード切換制御手段を実行するように指令する。 【0065】モード切換制御手段1020は、エンジントルク正負判断手段1008で、例えば運転状態検出手段1000で検出したアクセル踏み込み量APSとエンジン回転数INPREVから、図示しないエンジン特性のマップを用いてエンジントルクの定常値を求め、この定常エンジントルクの正負を判断する。 【0066】変速方向判断手段1007では、例えば、現在のIVT変速比と到達IVT変速比tiiを比較して、モード切換の際のIVT変速方向を求める。 【0067】制御対象決定手段1009では、エンジントルク正負判断手段の結果と、IVT変速方向とを入力して、動力循環モードクラッチ9と直結モードクラッチ10のいずれか一方を第1制御対象のクラッチとして設定し、他方を第2制御対象のクラッチとして設定する。 【0068】この設定は、例えば、 足放しアップシフト:第1制御対象=動力循環モードクラッチ9 第2制御対象=直結モードクラッチ10 足戻しアップシフト:第1制御対象=直結モードクラッチ10 第2制御対象=動力循環モードクラッチ9 ダウンシフト:第1制御対象=直結モードクラッチ10 第2制御対象=動力循環モードクラッチ9のように、予め設定したパターンに基づいて行われる。 【0069】なお、第1制御対象クラッチとして直結モードクラッチ10が設定された場合には、無段変速機構出力軸4(サンギア5a側)からユニット出力軸6へ向かう方向の伝達トルクを正とし、また、第1制御対象クラッチとして動力循環モードクラッチ9が設定された場合には、一定変速機構3からキャリア5bへ向かう方向の伝達トルクを正とする。 【0070】限界速度比較手段1006では、モード切換中の目標CVT変速比を入力し、図7に示す設計値で決まるCVT変速比と、ステップモータステップ数の関係を示すマップで、モード切換中の目標ステップ数を求め、この目標ステップ数を微分して目標ステップ速度を求める。 【0071】そして、求めた目標ステップ速度が、ステップモータ36の限界駆動速度Vmaxを超えるか否かを判断し、超える場合には、限界速度を超える時刻T1と、再度限界速度内になる時刻T2を演算する。 【0072】CVT操作量算出手段1011は、目標CVT変速比tic0と限界速度を超える時刻T1と、再度限界速度内になる時刻T2を入力し、時刻T1までは目標CVT変速比を、時刻T1からT2までは時刻T1における目標CVT変速比ic1と時刻T2における目標CVT変速比ic2をつないだ目標変速比を設定し、時刻T2以降は目標CVT変速比tic0を、モード切換中のCVT変速比の目標値として設定する。 【0073】時刻TlからT2までの目標値は、目標CVT変速比ic1とic2のうち、CVT変速比でHi側のものより、Lo側のCVT変速比となるように目標CVT変速比を設定する。 【0074】例えば、CVT変速比ic1とic2をランプ状につないだ目標値とすればよい。 【0075】切換タイミング決定手段1005は、第1切換タイミング決定手段と、第2切換タイミング決定手段と、第3切換タイミング決定手段の3つから構成される。 【0076】第1切換タイミング決定手段は、IVT変速方向と制御対象決定手段1009の結果を入力し、足放しアップシフトとダウンシフトのモード切換では、IVT変速比が回転同期点RSPに対応するIVT変速比を通過した後で、第2制御対象クラッチの締結を開始し、足戻しアップシフト(踏み込みアップシフト)のモード切換では、IVT変速比が回転同期点RSPに対応するIVT変速比に到達する前に、第2制御対象クラッチの解放を終了するようにタイミングを決定する。 【0077】次に、第2切換タイミング決定手段では、限界速度比較手段1006の結果を入力し、足放しアップシフトとダウンシフトのモード切換では、ステップモータ36が再度限界速度内になる時刻T2以降に第2制御対象クラッチの締結を開始し、また、足戻しアップシフトのモード切換では、ステップモータが限界速度を超える時刻T1以前に、第2制御対象クラッチの解放を終了するようにタイミングを決定する。 【0078】第3切換タイミング決定手段では、第2制御対象のクラッチの解放終了あるいは、締結開始時のCVT変速比、IVT変速方向、目標CVT変速比及び定常エンジントルクから、第2制御対象のクラッチ解放開始あるいは締結終了のタイミングを決定する。 【0079】クラッチ操作量算出手段1010は、検出した実エンジントルク、CVT変速比、切換時刻Tc、ステップモータ36が限界速度に達する時刻T1、またはステップモータ36の駆動速度が再び限界速度以内となる時刻T2などの運転状態に基づいて、第2制御対象のクラッチの伝達トルクを演算するとともに、第2制御対象のクラッチの操作量を求める。 【0080】そして、この第2制御対象のクラッチの伝達トルクと、実エンジントルクなどの運転状態から第1制御対象のクラッチの操作量を求める。 【0081】ここで、第1制御対象のクラッチの伝達トルクについて説明する。 【0082】上記第1制御対象のクラッチが動力循環モードクラッチ9の場合には、次の(1)式によって伝達トルクTRQLCを求め、第1制御対象のクラッチが、直結モードクラッチ10の場合には、次の(2)式によって伝達トルクTRQHCを求める。 【0083】 【数1】
ただし、TRQLC:動力循環モードクラッチ9の伝達トルクTRQHC:直結モードクラッチ10の伝達トルクTRQENG:実エンジントルクTRQRL:走行抵抗(走行負荷)トルクである。なお、走行抵抗トルクTRQRLは、予め実験などにより設定したマップと、車速VSPから求めた値であり、実エンジントルクTRQRENGは、スロットル開度APSとエンジン回転数INPREVから、図示しないエンジントルクの特性マップを用いて求め、エンジンの遅れ特性を表すフィルタ処理を行った値か、あるいは、トルクセンサなどで直接検出した値である。 【0084】ここで、上記(1)、(2)式の各値は、以下に示す関係式より求まるもので、次式はIVTの数学モデルから導出した関係式で、IVTの4つの回転数(サンギア回転数SUNREV、リングギア回転数RINGREV、キャリア回転数CARREV、エンジン回転数INPREV)のうち、遊星歯車機構5のサンギア回転数SUNREVとリングギア回転数RINGREVを変速比無限大無段変速機の状態量とすると、この変速比無限大無段変速機の状態方程式は、次の(3)式で表される。 【0085】 【数2】
【0086】 【数3】
ただし、【0087】 【数4】
ここで、ν:目標IVT変速速度RATIO:CVT変速比icRATIOdot:CVT変速速度で、添え字付きの定数cは、次のとおりである。 【0088】 【数5】
【0089】 【数6】
また、図27に示すように、変速比無限大無段変速機の各部のイナーシャに関する定数を、Ie:エンジンイナーシャITi:無段変速機構2の入力側イナーシャITo:無段変速機構2の出力側イナーシャIi:動力循環モードクラッチの入力側イナーシャIc:遊星歯車機構キャリアイナーシャIs0:遊星歯車機構サンギアイナーシャIr:遊星歯車機構リングギアイナーシャIp:遊星歯車機構ピニオンギアイナーシャIv:車両慣性ig:一定変速機3の変速比id:無段変速機構2のスプロケット2aと出力軸4のスプロケット4aの変速比if:ファイナルギア変速比Rr:リングギア半径Rs:サンギア半径とすると、上記定数a11〜as2は次のように表される。 【0090】 【数7】
【0091】 【数8】
【0092】 【数9】
次に、上記目標IVT変速速度νは、目標IVT変速比tii0、実IVT変速比をiiとすると、【0093】 【数10】
として求められる。なお、上記cは、所定の時定数である。 【0094】上記(1)式、(2)式で求められるクラッチの操作量(伝達トルク)で、第1制御対象のクラッチを操作することで、モード切換中の実際のIVT変速比iiを、目標IVT変速比tii0に対して、所定の時定数cの1次遅れで追従させることができる。 【0095】次に、コントロールユニット80で行われるモード切換制御の一例について、図8〜図14のフローチャートを参照しながら以下に詳述する。なお、この制御は、所定時間毎、例えば、10msec毎等に実行される。 【0096】まず、図8は制御のメインルーチンを示し、ステップS1では、上記各センサが検出した入力軸回転数INPREV、出力軸回転数No、リングギア回転数RINGREV、スロットル開度APSなどの運転状態を示す各検出値を読み込むとともに、実エンジントルクTRQRENG、動力循環モードクラッチ9の伝達トルクTRQLC、直結モードクラッチ10の伝達トルクTRQHCを演算または検出する。 【0097】そして、ステップS2では、読み込んだスロットル開度APSと車速VSPより、図15に示すような変速マップに基づいて、到達入力軸回転数(=到達エンジン回転数tni)DsrREVを求め、この到達入力軸回転数DsrREVを、リングギア回転数RINGREVで除して到達IVT変速比tii(到達総変速比)を演算する。 【0098】ステップS3では、到達IVT変速比tiiに対して変速の味付けで決まる時定数のローパスフィルタをかけて、目標IVT変速比tii0を求める。 【0099】ステップS4では、上記図6のマップを利用して、目標IVT変速比tii0に対応する目標CVT変速比tic0を演算する。 【0100】次に、ステップS5では、エンジン回転数(ユニット入力軸回転数)INPREVをリングギア回転数(ユニット出力軸回転数)RINGREVで除して、ii=INPREV/RINGREVより、実際のIVT変速比iiを演算する。 【0101】ステップS6では、エンジン回転数INPREVとサンギア回転数SUNREVから、次式により実際のCVT変速比icを演算する。 【0102】 【数11】
そして、ステップS7で、後述するモード切換制御を行ってから処理を終了する。 【0103】図9は、上記図8のステップS7で行われるモード切換制御のサブルーチンを示すフローチャートである。 【0104】まず、ステップS101で、モード切換要求フラグFmcを参照し、Fmcが1に設定されて、モード切換が要求されている状態であればステップS200へ進む一方、モード切換要求フラグFmcが0に設定されていれば、ステップS102へ進む。 【0105】モード切換が要求されている場合のステップS200は、CVT変速比制御のサブルーチンであり、モード切換中のCVT操作量(ステップモータの駆動量)を算出し、ステップS300のクラッチ制御に進む。 【0106】ステップS300では、後述のクラッチ制御サブルーチンを実行し、モード切換中のクラッチの操作量を算出してステップS400に進む。 【0107】ステップS400で、モード切換の終了を判断して、サブルーチンを終了する。 【0108】一方、モード切換が要求されていない場合のステップS102では、到達IVT変速比tiiにおける運転モードtmodeを求める。 【0109】回転同期点RSPに対応するIVT変速比iirと、上記ステップS2で求めた到達IVT変速比tiiを比較して、iir>tiiならば直結モードと判断してtmodeを1とし、iir<tiiならば動力循環モードでtmodeを0とする。 【0110】次に、ステップS103では、現在の運転モードmodeと到達運転モードtmodeを比較し、これらのモードが異なればモード切換を要求するためステップS104へ進み、そうでなければ、モード切換を開始しないので、ステップS105以降へ進み、モード切換を行わないときのCVT変速比とクラッチの操作量を求める。なお、現在の運転モードmodeは、0が動力循環モードを、1が直結モードを示す。 【0111】モード切換を開始するステップS104では、モード切換中を示すフラグFmcを1にセットしてから、ステップS500でモード切換を開始する準備を行う。 【0112】次に、ステップS105以降はモード切換を行っていないときのCVT変速比とクラッチ油圧の操作量(油圧指令値)を指定する部分である。 【0113】ステップS105では、現在の運転モードmodeがどちらにあるかを判定し、動力循環モード(mode=0)であれば、ステップS107へ進む一方、直結モード(mode=1)であれば、ステップS106に進む。 【0114】動力循環モードであれば、ステップS107で、動力循環モードクラッチ9の油圧指令値DsrPLCと直結モードクラッチ10の油圧指令値DsrPHCを、DsrPLC=kPmaxDsrPHC=0とする。 【0115】一方、直結モードであれば、ステップS106で、動力循環モードクラッチ9の油圧指令値DsrPLCと直結モードクラッチ10の油圧指令値DsrPHCの油圧指令値を、DsrPLC=0DsrPHC=kPmaxとする。 【0116】ここで、油圧指令値kPmaxは最大油圧であり、例えば、ライン圧などと同じとする。 【0117】次に、ステップS108でCVT変速比操作量DsrRTOを、上記ステップS4で求めた目標CVT変速比tic0より、DsrRTO=tic0とする。 【0118】これにより、コントロールユニット80は、実際のCVT変速比icがCVT変速比操作量DsrRTOとなるようにステップモータ36を駆動する。 【0119】図10、図11は、上記図9のステップS500で行われるモード切換準備のサブルーチンを示すフローチャートである。 【0120】まず、ステップS501で、現在の運転モードmodeを参照して、modeが1であり直結モードであれば、直結モードから動力循環モードへのダウンシフトのモード切換であるのでステップS502に進み、現在の運転モードmodeが0であり動力循環モードであれば、動力循環モードから直結モードへのアップシフトのモード切換であるのでステップS503に進む。 【0121】ステップS502では、モード切換の分類をダウンシフトのモード切換と設定するために、変数contを0とする。 【0122】同時に、第1制御対象のクラッチを直結モードクラッチ10とし、第2制御対象のクラッチを動力循環モードクラッチ9とする。 【0123】ステップS521では、定常エンジントルクTRQRENG0を、スロットル開度APSとエンジン回転数INPREVから、図示しないエンジントルクの特性マップを用いて求める。 【0124】一方、ステップS503では、アップシフトのモード切換であるが、定常エンジントルクTRQRENG0の状態により制御対象とするクラッチを選択するので、スロットル開度APSを参照する。 【0125】例えば、定常エンジントルクTRQRENG0が負ならば、エンジン回転はアイドル回転になろうとするため、このようなアップシフトを足放しアップシフトとし、足放しアップシフトとしてモード切換のモードを設定するため、ステップS504に進み、変数contを1に設定するとともに、第1制御対象のクラッチを動力循環モードクラッチ9とし、第2制御対象のクラッチを直結モードクラッチ10とする。 【0126】一方、定常エンジントルクTRQRENG0が正ならば、エンジンは吹け上がろうとするため、このようなアップシフトを足戻しアップシフトとし、この足戻しアップシフトとして切換のモードを設定するためにステップS505に進み、変数contを2に設定するとともに、第1制御対象のクラッチを直結モードクラッチ10とし、第2制御対象のクラッチを動力循環モードクラッチ9とする。 【0127】同じアップシフトでも、エンジントルクの出方によってイナーシャフェイズ(クラッチの解放側)で第1制御対象のクラッチが異なるので、モード切換中のクラッチの操作量の設定も異なる。 【0128】そして、ステップS506に進み、モード切換中のIVT変速比の切換中目標値tii0mcを推定する。 【0129】切換中IVT変速比目標値tii0mcは、現在、モード切換開始時のIVT変速比iiと到達IVT変速比tiiから、図16に示すように、目標IVT変速比tii0と同じ時定数のフィルタを使用して算出する。 【0130】ステップS507では、切換中IVT変速比目標値tii0mcから、図6のIVT変速比とCVT変速比の関係を示すマップを用いて、切換中CVT変速比目標値tic0mcを算出する。結果として、図16の中段に示すように切換中CVT変速比目標値tic0mcは求まる。 【0131】次に、ステップS508では、切換中CVT変速比目標値tic0mcから図7に示すCVT変速比とステップ数の関係を示すマップを用いて、切換中ステップ数目標値STEP0を算出する。 【0132】ステップS509では、切換中ステップ数目標値STEP0を微分することで、切換中ステップモータ駆動速度Vstepを推定する。 【0133】この微分としては、例えば、次式のように差分で与える。 【0134】 【数12】
ここで、nに対して、n−1は前回の制御周期を表し、また、Tsは制御周期であり、ここでは10msである。 【0135】結果として、図16に示すように切換中のステップモータ駆動速度Vstepは求まる。 【0136】次に、ステップS510では図16に示すように、ステップモータ駆動速度Vstepとステップモータ限界駆動速度Vmaxを比較し、ステップS511で限界速度を超える領域がある場合はステップS512に進み、モード切換中にステップモータ36が限界駆動速度Vmaxを超えない場合はステップS517に進む。 【0137】ステップS512では、図16に示す、ステップモータ駆動速度VstepとVmaxから、限界駆動速度を超える時刻T1と、再度限界駆動速度内となる時刻T2を設定する。 【0138】時刻T1は、図22の足放しアップシフトで、第2制御側の動力循環モードクラッチ9の伝達トルクをゼロにする時刻で、時刻T2は、図24の足戻しアップシフトと、図26のダウンシフトで、第2制御対象クラッチの締結を開始する時刻である。 【0139】ステップS513では、限界速度を超えることによる跳び変速を設定するためにフラグFcvtを1に設定する。 【0140】ステップS514では、図16から時刻T1とT2におけるCVT変速比ic1、ic2を求め、ステップS516で足放しアップシフトとダウンシフトでは、トルクフェイズ(クラッチの締結側)を開始するCVT変速比ic2と実エンジントルクTRQENGから、トルクフェイズを終了するCVT変速比iceを、図17のマップを使って求める。 【0141】なお、図17は、横軸が先に決まるCVT変速比、縦軸が後に決まるCVT変速比で、トルクフェイズ開始CVT変速比とトルクフェイズ終了CVT変速比のどちらが、先に決まるかは、下記の表のように、足戻しアップシフト、足放しアップシフト、ダウンシフトのいずれであるかによって異なる。 【0142】 【表1】
足戻しアップシフトのときは、トルクフェイズを終了するCVT変速比ic1と実エンジントルクTRQENGから、トルクフェイズを開始するCVT変速比iceを図17のマップを使って求める。 【0143】ステップS517では、回転同期点RSPを経由する変速を設定するためにフラグFcvtを0に設定する。 【0144】ステップS519では、トルクフェイズを行う時間Tcを、ステップS516と同様にして求める。 【0145】回転同期点RSPのCVT変速比icrcと実エンジントルクTRQENGから、図17のマップを使ってiceを求める。 【0146】このとき使用するCVT変速比は、回転同期点RSPのCVT変速比icrとする。 【0147】そして、このCVT変速比iceを、図16と比較して、トルクフェイズの開始あるいは終了の時刻Teを求め、トルクフェイズの時間Tcは、足放しアップシフトとダウンシフトでは、Tc=|T2−Te|とし、足戻しアップシフトでは、Tc=|T1−Te|として求める。 【0148】そして、ステップS520では、T1とT2を設定するが、T1とT2は切換中CVT変速比目標値tic0mcが回転同期点RSPのCVT変速比となる時刻Trとし、T1=T2=Trとする。 【0149】すなわち、ステップモータ36が限界駆動速度Vmaxを超えないモード切換では、切換中CVT変速比目標値tic0mcが回転同期点RSPのCVT変速比となる時刻T1(T2)よりTc時間手前から第2制御対象側クラッチの解放を始めて、時刻Tl(T2)で第2制御対象側クラッチの伝達トルクがゼロとなる(足戻しアップシフト)。 【0150】あるいは、切換中CVT変速比目標値tic0mcが、回転同期点RSPのCVT変速比となる時刻T1(T2)で第2制御対象側クラッチの締結を開始し、Tc時間後に締結が終了することになる(足放しアップシフト、ダウンシフト)。 【0151】次に、図12は、上記図9のステップS200で行われるCVT変速比制御のサブルーチンである。 【0152】ステップS201では、跳び変速を行うかを上記ステップS513などで設定したフラグFcvtを参照して場合分けし、Fcvtが1で跳び変速を行うならばステップS202へ進み、Fcvtが0ならばステップS204に進む。 【0153】ステップS202では、現時刻がT1とT2の間かを判断し、時刻T1とT2の問であれば、ステップS203に進み、そうでなければステップS204に進む。 【0154】ステップS204では、CVT変速比の操作量DsrRTOを、DsrRTO=tic0として与える。 【0155】一方、ステップS203では、跳び変速状態のときのCVT変速比操作量DsrRTOを次のように与える。 【0156】例えば、ここでは簡単に、次式に示すように、CVT変速比ic1とic2を時刻に対してランプ状に与えることとする。 【0157】 【数13】
ここで、Tは、現在の時刻である。 【0158】この他にも無理にパターンで与えることなく、操作量DsrRTOは目標CVT変速比tic0で与えておいて、ステップモータ36の限界駆動速度Vmaxから操作量通りにステップモータ36が駆動されないことを利用して、跳び変速中はCVT変速比は目標CVT変速比tic0に向かって全速力で動かしてもよい。 【0159】この場合、ステップモータ36の限界駆動速度Vmaxにより、CVT変速比は回転同期点RSPまで到達せずに折り返すような動きになる。 【0160】次に、図13が上記図9のステップS300で行われるクラッチ制御サブルーチンのフローチャートである。 【0161】本実施形態では、モード切換のモードを、足放しアップシフト、足戻しアップシフト、ダウンシフトと分類してモード切換を行う。 【0162】これらのモードにより第1の制御対象とするクラッチや、第2の制御対象とするクラッチの操作量が異なるので、モード毎に制御を場合分けする。 【0163】足戻しアップシフトとダウンシフトは、第1制御対象のクラッチがともに直結モードクラッチであるが、トルクフェイズを行うタイミングが異なるため、第2制御対象側のクラッチの操作量が異なる。 【0164】まず、ステップS301では、変数cont=2か否かより足戻しアップシフトであるかを判定し、足戻しアップシフトであればステップS302へ進み、そうでなければステップS304に進む。 【0165】足戻しアップシフトの場合は、ステップS302で、第2制御対象のクラッチである動力循環モードクラッチ9のみで動力を伝達するときの、クラッチが滑らないぎりぎりの締結油圧である油圧kPLCを求める。 【0166】この油圧指令値kPLCは、実エンジントルクTRQENGとCVT変速比icから、図示しないマップを用いて求める。 【0167】そして、ステップS303では、上記油圧kPLCから動力循環モードクラッチ9の油圧指令値を与える。ここでは、モード切換中の動力循環モードクラッチ9の油圧指令値DsrPLCを図18に示すように与える。 【0168】まず、時刻Taでモード切換を開始し、油圧指令値を減じてクラッチを滑らせ始める。 【0169】時刻T1−Tcで解放を開始し、時刻T1で、油圧は所定値kPmin以下となる。伝達トルクは油圧がkPmin以下ではゼロとなるものとする。 【0170】この油圧kPminは、例えば、リターンスプリング力に相当する油圧である。 【0171】もし、T1−Tc<Taのときは、時刻Taでクラッチの解放を開始する。 【0172】以下に、それぞれの時刻の油圧指令値を示す。 【0173】時刻Ta〜(T1−Tc) DsrPLC=kPC・kPLC時刻T1−Tc〜T1【0174】 【数14】
時刻T1〜TbDsrPLC=0ここで、時刻Ta〜(T1−Tc)の間はクラッチを滑らせぎみにするために、油圧kPCは1より小さい正の整数とする。 【0175】一方、上記ステップS301の判定で、足戻しアップシフトでない場合のステップS304では、変数cont=0か否かよりダウンシフトであるかを判定し、ダウンシフトの場合にはステップS305に進み、そうでない場合にはステップS310へ進む。 【0176】キックダウンなどのダウンシフトでは、ステップS305で、第2制御対象のクラッチである動力循環モードクラッチ9のみで動力を伝達するときの、クラッチが滑らないぎりぎりの油圧である締結油圧kPLCを求める。 【0177】動力循環モードクラッチ9の締結油圧上PLCは、実エンジントルクTRQENGとCVT変速比icから、図示しないマップを用いて求める。 【0178】そして、ステップS306で、動力循環モードクラッチ9の油圧指令値DsrPLCを与える。 【0179】ここでは、モード切換中の動力循環モードクラッチ9の油圧指令値DsrPLCを図19に示すように与える。 【0180】まず、時刻Taでモード切換を開始し、しばらくは締結を開始せず油圧指令値DsrPLCはゼロとする。 【0181】時刻T2で締結を開始し、時刻T2+Tcで油圧をkPLCとする。 【0182】すなわち、時刻T2〜T2+Tcでは、【0183】 【数15】
時刻T2+Tc〜Tbでは、DsrPLC=kPLC時刻Tb以降では、DsrPLC=kPmaxとする。 【0184】次に、ステップS307で、動力循環モードクラッチ9の伝達トルクTRQLCを次式で求めるか、トルクセンサなどを用いて直接検出してもよい。 【0185】TRQLC=2nLC・rLC・μLC・SLC・DsrPLC次に、ステップS308で、第1制御対象のクラッチである直結モードクラッチ10の伝達トルクTRQHCを、上記(2)式より求める。 【0186】そして、ステップS309では、直結モードクラッチ10の伝達トルクTRQHCから直結モードクラッチ10の油圧指令値DsrPHCを、直結モードクラッチの枚数nHC、有効径rHC、摩擦係数μHC、サーボピストン面積SHCを用い、次式より求める。 【0187】 【数16】
次に、ステップS304の判定でNOとなった足放しアップシフト(変数cont=1)の場合では、ステップS310に進む。 【0188】足放しアップシフトのステップS310では、第2制御対象のクラッチである直結モードクラッチ10のみで動力を伝達するときに、クラッチが滑らないぎりぎりの油圧である直結モードクラッチ10の締結油圧kPHCを求める。 【0189】直結モードクラッチ10の締結油圧kPHCは、実エンジントルクTRQENGとCVT変速比icから、図示しないマップを用いて求める。 【0190】そして、ステップS311で、直結モードクラッチ10の油圧指令値を与える。ここでは、モード切換中の直結モードクラッチ10の油圧指令値DsrPHCを図20に示すように与える。 【0191】まず、時刻Taでモード切換を開始し、しばらくは締結を開始せず指令値DsrPHCはゼロとする。 【0192】時刻T2で締結を開始し、T2+Tcで油圧をkPHCとする。 【0193】すなわち、【0194】 【数17】
として増大させる。 【0195】次に、時刻T2+Tc〜Tbでは、DsrPHC=kPHCとし、時刻Tb以降では、DsrPHC=kPmaxとして設定する。 【0196】次に、ステップS312で、直結モードクラッチ10の伝達トルクTRQHCを、次式で求めるか、トルクセンサなどを用いて直接検出してもよい。 【0197】TRQHC=2nHC・rHC・μHC・SHC・DsrPHCステップS313では、第1制御対象のクラッチである動力循環モードクラッチ9の伝達トルクTRQLCを、上記(1)式を使って求める。 【0198】そして、ステップS314で、動力循環モードクラッチ9の伝達トルク操作量TRQから動力循環モードクラッチ9の油圧指令値DsrPLCを、動力循環モードクラッチ9の枚数nLC、有効径rLC、摩擦係数μLC、サーボピストン面積SLCを使って、次式から求める。 【0199】 【数18】
以上のように、モード切り換え時の運転状態に応じて、動力循環モードクラッチ9、直結モードクラッチ10の伝達トルクTRQLC、TRQHCから油圧指令値DsrPLC、DsrPHCを設定してサブルーチンを終了する。 【0200】最後に、図14は、上記図9のステップS400で行われるモード切換終了判定のフローチャートを示す。 【0201】まず、ステップS401では、モード切換の方向がアップシフトまたはダウンシフトのいずれであるか、変数contの値に応じて判定する。変数contが1または2であればアップシフトと判定してステップS402に進む一方、そうでない場合には、ダウンシフトと判定してステップS405に進む。 【0202】アップシフトの場合のステップS402では、直結モードクラッチ10の回転数差ΔDを、ユニット出力軸6とサンギア5aの回転数差から求める。例えば、ΔD=SUNREV−RINGREVとなる。 【0203】次に、ステップS403では、この回転数差ΔDが0か否かを判定し、ΔD=0となって直結モードクラッチ10の締結が完全に終了していればステップS404へ進み、そうでない場合にはサブルーチンを終了して、直結モードクラッチ10の締結完了を待つ。 【0204】ステップS404では、動力循環モードクラッチ9の油圧が完全に抜けて伝達トルクが0となったかを判定し、油圧が完全に抜けていれば、ステップS408に進んで、モード切換要求フラグFmcを0にリセットして処理を終了する。 【0205】一方、油圧が完全に抜けていなければ、そのままサブルーチンを終了して、動力循環モードクラッチ9の解放を待つ。 【0206】ダウンシフトの場合のステップS405では、動力循環モードクラッチ9の回転数差ΔLを、ユニット入力軸1とキャリア5bの回転数差から求める。例えば、ΔL=INPREV×ig−CARREVとなる。 【0207】次に、ステップS406では、この回転数差ΔLが0か否かを判定し、ΔL=0となって動力循環モードクラッチ9の締結が完全に終了していればステップS407へ進み、そうでない場合にはサブルーチンを終了して、動力循環モードクラッチ9の締結完了を待つ。 【0208】ステップS407では、直結モードクラッチ10の油圧が完全に抜けて伝達トルクが0となったかを判定し、油圧が完全に抜けていれば、ステップS408に進んで、モード切換要求フラグFmcを0にリセットして処理を終了する。 【0209】一方、油圧が完全に抜けていなければ、そのままサブルーチンを終了して、直結モードクラッチ10の解放を待つ。 【0210】上記のように、アップシフト、ダウンシフトともに、締結側のクラッチの回転差がゼロとなり、解放側のクラッチ伝達トルクがゼロとなったときにモード切換終了とし、フラグFmcを0に設定してサブルーチンを終了する。 【0211】解放側のクラッチは、アップシフトで動力循環モードクラッチ9、ダウンシフトで直結モードクラッチ10である。 【0212】次に、上記制御の作用を、足放しアップシフト、足戻しアップシフト及びダウンシフトのそれぞれについて、以下に説明する。 【0213】エンジントルクが負のときに、モード切換を伴う足放しアップシフトでは、エンジンは車両の慣性で回されようとするが、両方のクラッチの伝達トルクの合計が伝達すべきトルクに達していない場合、クラッチの滑りは増大して、エンジン回転はアイドル回転まで落ちようとし、IVTの入出力軸回転数の比であるIVT変速比はHi側へ行こうとする。 【0214】そこで、目標IVT変速比tii0に従ってアップシフトするために、図21で示すように、最初、クラッチの回転差を変化させて、解放側クラッチ(動力循環モードクラッチ9)の回転差がゼロの状態から、締結側クラッチ(直結モードクラッチ10)の回転差ゼロの状態へ変化させるイナーシャフェイズを行って、目標IVT変速比tii0に従い、徐々に動力循環モードクラッチ9を滑らせながらIVT変速比iiをHi側(小側)に変化させる。 【0215】この場合、第1制御対象のクラッチは動力循環モードクラッチ9とし、第2制御対象のクラッチは、直結モードクラッチ10となる。 【0216】直結モードクラッチ10の伝達トルクTRQHCは、解放側でトルクを伝達している状態から、締結側でトルクを伝達する状態へ徐々に変化させるトルクフェイズを、回転同期点RSPに対応するIVT変速比iirを過ぎた後に行うため、回転同期点RSPを過ぎてから徐々に締結を開始する。 【0217】IVT変速比iiが回転同期点RSPに対応したiirへ到達する前に、直結モードクラッチ10の締結を開始すると、ただでさえIVT変速比iiはHi側(小側)へ行こうとするのに、より直結モード、すなわちIVT変速比のHi側に変速しようとするため、それを抑えるには、解放側の動力循環モードクラッチ9を必要以上に強くつかむ必要がある。 【0218】両方のクラッチを締結した状態が成立するのは、両方のクラッチの回転差がなくなる回転同期点RSPのみなので、CVT変速比icが回転同期点RSPに対応するCVT変速比icrではないときにクラッチを必要以上につかむと、インターロック気味のショックが発生する。 【0219】よって、足放しアップシフトモード切換では、第1制御対象を動力循環モードクラッチ9とし、第2制御対象=直結モードクラッチ10のトルクフェイズを回転同期点RSPを経過した後に開始することで、ユニット出力軸6に生じる変速ショックを低減しながら、円滑に足放しアップシフトのモード切換を行うことが可能となる。 【0220】この足放しアップシフトのモード切換中に、ステップモータ36の駆動速度Vstepが限界駆動速度Vmaxを超える場合には、図22に示すようになる。 【0221】図22において、時刻Tcで限界駆動速度Vmaxを超え、時刻Tdで再度限界駆動速度Vmax内となる。 【0222】この間(Tc、Td)は、限界駆動速度Vmaxを超えたときのCVT変速比iccと、再度限界駆動速度Vmax内となるCVT変速比icdをランプ状につないでCVT変速比の目標値tic0を与える。 【0223】この間、動力循環モードクラッチ9は上記(1)式を用いて、CVT変速比を考慮しながら、目標IVT変速比に従い、IVT変速比を制御する。 【0224】一方、第2制御対象クラッチの直結モードクラッチ10は、再度ステップモータ36が限界駆動速度Vmax内となる時刻Tdから締結を開始する。 【0225】次に、エンジントルクが正のときに動力循環モードから直結モードへ切り換える足戻しアップシフト(踏み込みアップシフト)では、エンジントルクが駆動輪へ伝達されている状態であるため、両方のクラッチの伝達トルクの合計が伝達すべきトルクに達していない場合、クラッチの滑りは増大して、エンジン回転が上昇しようとし、IVT変速比iiはLo側(大側)へ行こうとする。 【0226】そこで、IVT変速比に従ってアップシフトするためには、直結モードクラッチ10を強めに掴むことで、IVT変速比をHi側に変化させる。 【0227】足戻しアップシフトのモード切換では、図23で示すように、最初にトルクフェイズを行い、次に、イナーシャフェイズで直結モードクラッチ10が制御できる環境にする。 【0228】よって、第1制御対象のクラッチは直結モードクラッチ10とし、第2制御対象のクラッチを動力循環モードクラッチ9とする。 【0229】そして、第2制御対象クラッチとなる動力循環モードクラッチ9の伝達トルクは、トルクフェイズを回転同期点RSPに対応するIVT変速比iirとなる前に終わらせておくために、回転同期点RSPへ到達する前にゼロにする。 【0230】解放側の動力循環モードクラッチ9の伝達トルクTRQLCが残っているときに、IVT変速比iiを回転同期点RSPよりHi側にしようとすると、締結側の直結モードクラッチ10を非常に強くつかむ必要があり、インターロック気味の出力軸ショックにつながる。 【0231】よって、足戻しアップシフトモード切換では、第1制御対象を直結モードクラッチ10、第2制御対象を動力循環モードクラッチ9とし、トルクフェイズを回転同期点RSP前に終わらせることで、ユニット出力軸6にショックを発生することなく、円滑に足戻しアップシフトモード切換が可能となる。 【0232】さらに、図24に示すように、足戻しアップシフトでのモード切換中にステップモータ36が限界駆動速度Vmaxを超える場合では、時刻Tcで限界駆動速度Vmaxを超え、時刻Tdで再度限界駆動速度Vmax内となる。 【0233】この間(Tc、Td)は、限界駆動速度Vmaxを超えたときのCVT変速比iccと再度限界駆動速度Vmax内となるCVT変速比icdをランプ状につないでCVT変速比の目標値tic0を与える。 【0234】この間、直結モードクラッチ10は上記(2)式を用いて、CVT変速比を考慮しながら、目標IVT変速比に従い、IVT変速比を制御する。第2制御対象の動力循環モードクラッチ9は、ステップモータ36が限界駆動速度Vmaxを超える時刻Tcで解放を終了する。 【0235】次に、モード切換を伴うダウンシフトの場合では、エンジントルクが駆動輪へ伝達されている状態であるため、両方のクラッチの伝達トルクの合計が伝達すべきトルクに達していない場合、クラッチの滑りは増大して、エンジン回転は上昇しようとし、IVT変速比iiのLo側(大側)へ変化しようとする。 【0236】そこで、目標IVT変速比tii0に従ってダウンシフトするためには、図25で示すように、最初にイナーシャフェイズを行って目標IVT変速比tii0に従って、徐々に直結モードクラッチ10を滑らせながらIVT変速比iiをLo側(大側)に変化させる。 【0237】よって、第1制御対象のクラッチは直結モードクラッチ10、第2制御対象のクラッチを動力循環モードクラッチ9とする。 【0238】そして、第2制御対象の動力循環モードクラッチ9は、イナーシャフェイズを回転同期点RSPに対応するIVT変速比iirを過ぎた後に行うため、回転同期点RSPを過ぎてから解放を開始する。 【0239】IVT変速比iiが回転同期点RSPに対応したIVT変速比iirへ到達する前に直結モードクラッチ10の締結を開始すると、ただでさえIVT変速比はLo側(大側)に行こうとするのに、より動力循環モード側、すなわちIVT変速比のLo側(大側)に行こうとし、このLo側への変動を抑えるには、解放側の直結モードクラッチ10を必要以上に強くつかむ必要があり、インターロック気味の出力軸ショックにつながる。 【0240】よって、ダウンシフトモード切換では、第1制御対象を直結モードクラッチ10とし、トルクフェイズを回転同期点RSPの後に開始することで、ショックを低減しながら迅速にモード切換を行うことが可能となる。 【0241】また、ダウンシフトのモード切換中にステップモータ36限界駆動速度Vmaxを超える場合では、図26で示すように、時刻Tdで限界駆動速度Vmaxを超え、時刻Tcで再度限界駆動速度Vmax内となる。 【0242】この間(Tc、Td)は、限界駆動速度Vmaxを超えたときのCVT変速比icdと、再度限界駆動速度Vmax内となるCVT変速比iccをランプ状につないでCVT変速比の目標値tic0を与える。 【0243】この間、直結モードクラッチ10は上記(2)式を用いて、CVT変速比を考慮しながら、目標IVT変速比に従い、IVT変速比を制御する。 【0244】第2制御対象の動力循環モードクラッチ9は、再度ステップモータ36が限界駆動速度Vmax内となる時刻Tdで締結を開始する。 【0245】こうして、駆動速度Vmaxを超えるときにも円滑なモード切換を実現できるのである。 【0246】なお、目標IVT変速比の代わりに目標IVT変速比の逆数を用いてもよい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年11月7日(2000.11.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075513 【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−200926(P2001−200926A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−338869(P2000−338869) |
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