| 【発明の名称】 |
無段変速機用潤滑油給油装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】塚田 善昭
【氏名】黒木 正宏
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| 【要約】 |
【課題】ケーシングの壁部を回転自在に貫通するとともに潤滑油路が設けられる変速機軸を備える無段変速機が、前記壁部で一部を規定される変速機室に収容され、前記変速機室の外方で変速機軸に入力回転部材が相対回転不能に結合され、前記潤滑油路に潤滑油を給油するオイルポンプがケーシングに配設される無段変速機用潤滑油給油装置において、無段変速機の被潤滑部までのオイルポンプからのオイル通路構造の単純化を図った上に該オイル通路を充分に短縮可能とし、しかも変速機軸の短縮化をも可能とする。
【解決手段】変速機軸41で駆動されるオイルポンプ93が壁部24aに配設される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケーシング(23)に設けられた壁部(24a)を回転自在に貫通して該ケーシング(23)に回転自在に支承されるとともに潤滑油路(92)が設けられる変速機軸(41)を備える無段変速機(16)が、前記壁部(24a)で一部を規定されて前記ケーシング(23)内に形成される変速機室(29)に収容され、前記変速機室(29)の外方で変速機軸(41)に入力回転部材(33)が相対回転不能に結合され、前記潤滑油路(92)に潤滑油を給油するオイルポンプ(93)が前記ケーシング(23)に配設される無段変速機用潤滑油給油装置において、前記変速機軸(41)で駆動される前記オイルポンプ(93)が前記壁部(24a)に配設されることを特徴とする無段変速機用潤滑油給油装置。 【請求項2】 前記無段変速機(16)は、変速機軸(41)と、該変速機軸(41)に相対回転不能に結合される駆動回転部材(42)と、前記変速機軸(41)に相対回転自在に支承される従動回転部材(43)と、前記変速機軸(41)の軸線に沿って移動可能なキャリア(44)と、前記変速機軸(41)の軸線を中心線とする円錐母線に沿う軸線を有して前記キャリア(44)に支持される支軸(47)と、前記駆動回転部材(42)に接触する円錐状の第1摩擦伝達面(53)ならびに前記従動回転部材(43)に摩擦接触する円錐状の第2摩擦伝達面(54)を有して前記支軸(47)で回転自在に支承される変速回転部材(48)とを備え、該無段変速機(16)に対応する部分で前記変速機軸(41)には、内端を前記潤滑油路(92)に連通せしめるとともに外端を変速機軸(41)の外面に開口せしめた複数の給油孔(106)が設けられることを特徴とする請求項1記載の無段変速機用潤滑油給油装置。 【請求項3】 前記オイルポンプ(93)は、前記壁部(24a)に結合されるカバー(97)および前記壁部(24a)で構成されるポンプハウジング(94)内に、前記変速機軸(41)に連結されるロータ(95,96)が収納されて成り、ケーシング(23)内のオイル溜まり(100)に臨むフィルタ(101)が前記壁部(24a)の下部に取付けられ、該フィルタ(101)およびオイルポンプ(93)間を結ぶ吸入油路(102)ならびに前記オイルポンプ(93)から吐出される潤滑油を導く吐出油路(103)が前記壁部(24a)に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の無段変速機用潤滑油給油装置。 【請求項4】 前記壁部(24a)および前記変速機軸(41)間には該変速機軸(41)を囲繞するとともに前記吐出油路(103)に通じる環状油路(104)が形成され、変速機軸(41)には、該変速機軸(41)内の潤滑油路(92)および環状油路(104)間を結ぶ連通孔(105)が設けられることを特徴とする請求項3記載の無段変速機用潤滑油給油装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ケーシングに設けられた壁部を回転自在に貫通して該ケーシングに回転自在に支承されるとともに潤滑油路が設けられる変速機軸を備える無段変速機が、前記壁部で一部を規定されて前記ケーシング内に形成される変速機室に収容され、前記変速機室の外方で変速機軸に入力回転部材が相対回転不能に結合され、前記潤滑油路に潤滑油を給油するオイルポンプが前記ケーシングに配設される無段変速機用潤滑油給油装置の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、かかる潤滑油給油装置は、たとえば特開平11−79054号公報および特開平11−270641号公報等で既に知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記特開平11−79054号公報で開示された潤滑油給油装置では、無段変速機の変速機軸とは離間した位置にあるクランクシャフトで駆動されるようにしてオイルポンプが配置されており、無段変速機の被潤滑部までのオイルポンプからの給油通路が長くなり、しかも給油通路構造も複雑となる。 【0004】一方、上記特開平11−270641号公報で開示された潤滑油給油装置では、変速機軸で駆動されるようにして該変速機と同軸上にオイルポンプが配置されており、給油通路構造が単純化される。しかるに該特開平11−270641号公報の潤滑油給油装置では、ケーシングの壁部で一部を規定される変速機室の外方で変速機軸に固着された入力ギヤのさらに外方にオイルポンプが配置されており、無段変速機の被潤滑部までのオイルポンプからの給油通路が、上記特開平11−79054号公報に比べると短くなるものの、充分に短縮化されたとは言えない。しかも前記壁部からの変速機軸の突出量が大きくなり、無段変速機を含む動力伝達装置全体の大型化をも招くことになる。 【0005】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、無段変速機の被潤滑部までのオイルポンプからのオイル通路構造の単純化を図った上に該オイル通路を充分に短縮可能とし、しかも変速機軸の短縮化をも可能とした無段変速機用潤滑油給油装置を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ケーシングに設けられた壁部を回転自在に貫通して該ケーシングに回転自在に支承されるとともに潤滑油路が設けられる変速機軸を備える無段変速機が、前記壁部で一部を規定されて前記ケーシング内に形成される変速機室に収容され、前記変速機室の外方で変速機軸に入力回転部材が相対回転不能に結合され、前記潤滑油路に潤滑油を給油するオイルポンプが前記ケーシングに配設される無段変速機用潤滑油給油装置において、前記変速機軸で駆動される前記オイルポンプが前記壁部に配設されることを特徴とする。 【0007】このような構成によれば、オイルポンプは、入力回転部材よりも軸方向内方側である壁部に配設されて変速機軸で駆動されるので、変速機軸内の潤滑油路へのオイルポンプからのオイル通路構造を単純化することが可能であり、またオイルポンプを無段変速機により近接させて配置することになるので無段変速機の被潤滑部までのオイルポンプからのオイル通路を充分に単純化することができ、しかも入力回転部材を変速機軸の端部に結合するようにして変速機軸の短縮化が可能となる。 【0008】また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記無段変速機は、前記変速機軸と、該変速機軸に相対回転不能に結合される駆動回転部材と、前記変速機軸に相対回転自在に支承される従動回転部材と、前記変速機軸の軸線に沿って移動可能なキャリアと、前記変速機軸の軸線を中心線とする円錐母線に沿う軸線を有して前記キャリアに支持される支軸と、前記駆動回転部材に接触する円錐状の第1摩擦伝達面ならびに前記従動回転部材に摩擦接触する円錐状の第2摩擦伝達面を有して前記支軸で回転自在に支承される変速回転部材とを備え、該無段変速機に対応する部分で前記変速機軸には、内端を前記潤滑油路に連通せしめるとともに外端を変速機軸の外面に開口せしめた複数の給油孔が設けられることを特徴とし、キャリアを変速機軸の軸線方向に移動させることで変速比を無段階に変化させる無段変速機に本発明を効果的に適用することが可能である。 【0009】請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記オイルポンプは、前記壁部に結合されるカバーおよび前記壁部で構成されるポンプハウジング内に、前記変速機軸に連結されるロータが収納されて成り、ケーシング内のオイル溜まりに臨むフィルタが前記壁部の下部に取付けられ、該フィルタおよびオイルポンプ間を結ぶ吸入油路ならびに前記オイルポンプから吐出される潤滑油を導く吐出油路が前記壁部に設けられることを特徴とし、かかる構成によれば、オイル溜まりからオイルポンプを経て潤滑油路に至るオイル通路をコンパクトにかつ単純な構造に構成することができ、該オイル通路を形成するために無段変速機を含む動力伝達装置が大型化することもない。 【0010】さらに請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の発明の構成に加えて、前記壁部および前記変速機軸間には該変速機軸を囲繞するとともに前記吐出油路に通じる環状油路が形成され、変速機軸には、該変速機軸内の潤滑油路および環状油路間を結ぶ連通孔が設けられることを特徴とし、かかる構成によれば、オイルポンプおよび潤滑油路間のオイル通路の短縮化および単純化を図りつつ、壁部および変速機軸間の潤滑が可能となる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。 【0012】図1〜図5は本発明の一実施例を示すものであり、図1はエンジンおよび無段変速機間の動力伝達構造を示す縦断面図、図2はロー変速比の状態での無段変速機の拡大縦断面図、図3はトップ変速比の状態での無段変速機の拡大縦断面図、図4は図3の4−4線矢視図、図5はキャリアおよびポテンショメータの連結構造を示す断面図である。 【0013】先ず図1において、自動二輪車等の車両に搭載されるエンジンEの出力は、該エンジンEのクランクシャフト11からドライブギヤ12、ドリブンギヤ13、ダンパばね14、自動遠心クラッチ15、無段変速機16およびニュートラルクラッチ17を介して出力ギヤ18に伝達されるものであり、駆動輪である後輪WRに連なる減速ギヤ19が前記出力ギヤ18に噛合される。また前記ドリブンギヤ13にはエンジン始動用電動モータ20の出力を減速ギヤ列21およびワンウエイクラッチ22および前記ダンパばね14を介して伝達可能であり、ワンウエイクラッチ22は、エンジンEの始動時にエンジン始動用電動モータ20の出力を前記減速ギヤ列21からダンパばね14を介してドリブンギヤ13すなわちエンジンE側に伝達することを許容するが、エンジンEの始動後にはエンジンE側からの動力が減速ギヤ列21すなわちエンジン始動用電動モータ20側に伝達されることを阻止する。 【0014】前記ドライブギヤ12、ドリブンギヤ13、ダンパばね14、自動遠心クラッチ15、無段変速機16、ニュートラルクラッチ17、出力ギヤ18、減速ギヤ19、減速ギヤ列21およびワンウエイクラッチ22は、前記エンジンEのクランクケースに結合されるケーシング23内に収納されるものであり、該ケーシング23は、壁部24aを一体に備えるセンターケーシング24と、該センターケーシング24の一側に結合される第1サイドケーシング25と、前記センターケーシング24の他側に結合される第2サイドケーシング26と、第2サイドケーシング26に結合されるカバー27とで構成される。 【0015】センターケーシング24および第1サイドケーシング25間には第1作動室28が形成され、ドライブギヤ12、ドリブンギヤ13、ダンパばね14、自動遠心クラッチ15、減速ギヤ列21およびワンウエイクラッチ22は第1作動室28に収納され、エンジン始動用電動モータ20はケーシング23の外方で第1サイドケーシング25に取付けられる。またセンターケーシング24および第2サイドケーシング26間には、壁部24aで前記第1作動室28とは隔てられる変速機室29が形成され、この変速機室29に無段変速機16が収納される。さらに第2サイドケーシング26およびカバー27間には、ニュートラルクラッチ17、出力ギヤ18および減速ギヤ19が収納される。 【0016】第1サイドケーシング25には、クランクシャフト11と平行な軸線を有する入力回転部材としての入力軸33の一端がボールベアリング34を介して回転自在に支承されており、前記自動遠心クラッチ15およびワンウエイクラッチ22は該入力軸33に装着される。 【0017】ワンウエイクラッチ22のクラッチインナ35は前記入力軸33で相対回転自在に支承されており、ワンウエイクラッチ22のクラッチアウタ36には、入力軸33を同軸に囲繞する円筒部36aが一体に設けられる。ドリブンギヤ13は前記円筒部36aで相対回転可能に支承されており、該ドリブンギヤ13はダンパばね14を介して前記クラッチアウタ36に連結される。したがってドライブギヤ12からドリブンギヤ13を経てクラッチアウタ36にエンジントルクが伝達されるのであるが、そのエンジントルクの変動は前記ダンパばね14により吸収される。 【0018】自動遠心クラッチ15は、前記クラッチアウタ36の円筒部36aにスプライン結合される入力部材37と、入力軸33に圧入等により結合される椀状の出力部材38と、該出力部材38の内面に摩擦接触することを可能として入力部材37に揺動可能に支承される複数の遠心ウエイト39…と、前記出力部材38との摩擦接触を解除する方向に各遠心ウエイト39…をばね付勢するばね40…とを備える従来周知のものであり、エンジンEから入力部材37に動力が伝達されることによって入力部材37の回転数が所定値以上となったときに入力部材37から出力部材38すなわち入力軸33に動力を伝達する。 【0019】図2および図3を併せて参照して、無段変速機16は、前記入力軸33と同軸の軸線を有してケーシング23で回転自在に支持されて前記入力軸33に相対回転不能に結合される変速機軸41と、該変速機軸41と一体に回転する駆動回転部材42と、変速機軸41に相対回転自在に支承される従動回転部材43と、変速機軸41の軸線に沿って移動可能なキャリア44と、該キャリア44に支持される複数の支軸47,47…と、それらの支軸47,47…でそれぞれ支承される変速回転部材48,48…とを備える。 【0020】駆動回転部材42は半径方向外方に向く摩擦接触面42aを有してリング状に形成されるものであり、圧入等により変速機軸41に相対回転不能に結合される。また従動回転部材43は駆動回転部材42側に開放した椀状に形成されるとともにニードルベアリング49を介して前記変速機軸41に相対回転自在に支承されるものであり、この従動回転部材43の開放端内面に半径方向内方に向く摩擦接触面43aが設けられる。 【0021】キャリア44は、従動回転部材43側を小径とした略円錐状の第1キャリア半体45と、円板状に形成されるとともに第1キャリア半体45の大径端側すなわち従動回転部材43とは反対側の端部に結合される第2キャリア半体46とから成るものであり、第1および第2キャリア半体45,46はニードルベアリング50,51を介して変速機軸41に相対回転自在かつ軸方向摺動可能に支承される。 【0022】第1キャリア半体45には、その周方向に等間隔をあけた複数の窓孔45a…が設けられており、変速機軸41の軸線を中心線とする円錐母線に沿う軸線を有して前記各窓孔45a…を横切る複数の支軸47…の両端が第1キャリア半体45に支持される。これらの支軸47…には、一対のニードルベアリング52,52をそれぞれ介して各変速回転部材48…が回転可能かつ軸方向摺動可能に支承される。 【0023】変速回転部材48には、駆動回転部材42の摩擦接触面42aに摩擦接触する円錐状の第1摩擦伝達面53と、従動回転部材43の摩擦接触面43aに摩擦接触する円錐状の第2摩擦伝達面54とが設けられる。 【0024】ところで従動回転部材43に関してキャリア44とは反対側には、変速機軸41を同軸に囲繞する伝動筒体55が配置されており、この伝動筒体55の外周および第2サイドケーシング25間にはボールベアリング56が介装され、伝動筒体55の内周および変速機軸41間には、変速機軸41との軸方向相対位置を一定としたアンギュラーコンタクトベアリング57が介装される。 【0025】前記従動回転部材43および伝動筒体55間には調圧カム機構58が設けられる。この調圧カム機構58は、従動回転部材43および伝動筒体55の対向面にそれぞれ複数ずつ設けられた凹部59…,60…間にボール61…が挟持されて成るものであり、従動回転部材43および伝動筒体55間には、従動回転部材43に伝動筒体55から離反する方向の予荷重を与える皿ばね62が介装される。而して従動回転部材43にトルクが作用して伝動筒体55との間に相対回転が生じると、調圧カム機構58は、従動回転部材43を伝動筒体55から離反させる方向に付勢する。この付勢力は前記皿ばね62による付勢力と共働して、駆動回転部材42の摩擦接触面42aを第1摩擦伝達面53に圧接する面圧ならびに従動回転部材43の摩擦接触面43aを第2摩擦伝達面54に圧接する面圧を発生させる。 【0026】再び図1において、出力ギヤ18は、変速機軸41と同軸に配置される出力軸64に相対回転自在に支承されており、該出力軸64の一端側は第2サイドケーシング26にボールベアリング65を介して回転自在に支承され、変速機軸41の他端および出力軸64の一端部間にはニードルベアリング66が設けられる。また出力軸64の他端はボールベアリング67を介してカバー27に回転自在に支承される。しかも出力軸64の一端は前記伝動筒体55にスプライン結合されており、前記調圧カム機構59を介して無段変速機16から伝動筒体55に伝達される動力は、伝動筒体55から出力軸64に伝達される。 【0027】ニュートラルクラッチ17は、出力軸64に固定されたギヤスプライン68と、出力軸64の軸線方向で該ギヤスプライン68に隣接した位置で出力ギヤ18に固着されたギヤスプライン69と、ギヤスプライン68に噛合する位置(図1の位置)ならびに両ギヤスプライン68,69にまたがって噛合する位置との間で出力軸64の軸線方向に移動可能なシフタ70と、該シフタ70を回転可能に保持するフォーク71とを備えるものであり、出力軸64および出力ギヤ18間の動力伝達・遮断を車両運転者の操作によって切換可能である。 【0028】而して自動二輪車等の車両を押して移動させるときに出力軸64および出力ギヤ18間の動力伝達を遮断するように前記ニュートラルクラッチ17を操作することにより、無段変速機16の各部摩擦力に打勝つ大きな力で自動二輪車等の車両を押す必要がなく、軽い力で押すだけで自動二輪車等の車両を移動させることができる。 【0029】図4を併せて参照して、無段変速機16におけるキャリア44の第2キャリア半体46には、変速機軸41の軸線と直交する軸線を有する軸72が固定されており、この軸72でローラ73が回転自在に支承される。一方、ケーシング23における第2サイドケーシング26の内面には、変速機軸41の軸線と平行な方向に延びるU字状の規制部材74が締結されており、前記ローラ73は該規制部材74内に転動可能に収容される。したがって第2キャリア半体46すなわちキャリア44は、変速機軸41の軸線方向の移動を可能とするとともに変速機軸41の軸線まわりの回転を不能としてケーシング23に係合されることになる。 【0030】キャリア44の第2キャリア半体46には変速機軸41と同軸である被動ねじ75が締結され、この被動ねじ75には駆動ねじ76が螺合される。駆動ねじ76は、ケーシング23におけるセンターケーシング24の壁部24aにボールベアリング77を介して回転自在に支承されるとともに、変速機軸41に一対のボールベアリング78,78を介して回転自在に支承されており、両ボールベアリング78,78は、駆動ねじ75および変速機軸41との軸方向相位置を一定として駆動ねじ75および変速機軸41間に介装される。すなわち変速機軸41の軸線まわりの回転を可能としてケーシング23に支承される駆動ねじ76が、変速機軸41の軸線に沿う相対移動を不能として変速機軸41に支承されることになる。 【0031】ケーシング23における第2サイドケーシング26の外面には、変速機軸41と平行な軸線を有する正・逆回転自在な電動モータ79が取付けられており、この電動モータ79および前記駆動ギヤ76間に減速機構80が設けられる。 【0032】該減速機構80は、電動モータ79の出力軸79aに設けられる駆動ギヤ81と、該駆動ギヤ81に噛合する第1アイドルギヤ82と、第1アイドルギヤ82と一体である第2アイドルギヤ83と、駆動ねじ76に固着されて第2アイドルギヤ83に噛合する被動ギヤ84とから成るものであり、第1および第2アイドルギヤ82,83は変速機軸41と平行な軸線を有するアイドル軸85で回転自在に支承され、該アイドル軸85は、センターケーシング24の壁部24aおよび第2サイドケーシング26間に設けられる。 【0033】電動モータ79から減速機構80を介して駆動ねじ76に回転動力が与えられると、該駆動ねじ76に螺合した被動ねじ75が固定されているキャリア44が、速機軸41の軸線方向の移動を可能とするとともに変速機軸41の軸線まわりの回転を不能としてケーシング23に係合されているので、速機軸41の軸線方向に移動することになる。 【0034】このような無段変速機16において、駆動回転部材42の摩擦接触面42aおよび第1摩擦伝達面53の接触点から変速機軸41の軸線までの距離をA、駆動回転部材42の摩擦接触面42aおよび第1摩擦伝達面53の接触点から支軸47の軸線までの距離をB、従動回転部材43の摩擦接触面43aおよび第2摩擦伝達面54の接触点から支軸47の軸線までの距離をC、従動回転部材43の摩擦接触面43aおよび第2摩擦伝達面54の接触点から変速機軸41の軸線までの距離をDとし、駆動回転部材42の回転数をNI、従動回転部材43の回転数をNOとし、変速比RをR=NI/NOとしたときに、R=NI/NO=(B/A)×(D/C) となる。 【0035】而して電動モータ79および減速機構80により駆動ねじ76を回転せしめ、被動ねじ75およびキャリア44を、図2で示すように、従動回転部材43に近接する方向に移動させると、距離Bが大きくなるとともに距離Cが小さくなり、距離A,Dは一定であるので変速比Rが大きくなり、距離Bが最大となるとともに距離Cが最小となった図2の状態でロー変速比となる。一方、被動ねじ75およびキャリア44を、図3で示すように、従動回転部材43から離反する方向に移動させると、距離Bが小さくなるとともに距離Cが大きくなり、距離A,Dは一定であるので変速比Rが小さくなり、距離Bが最小となるとともに距離Cが最大となった図3の状態でトップ変速比となる。 【0036】前記減速機構80における被動ギヤ84には、センターケーシング24の壁部24a側に向けて突出する規制突部86が一体に突設される。また前記壁部24aには、規制突部86に当接、係合可能なストッパ87が固定されており、規制突部86がストッパ87に当接、係合することにより駆動ねじ76の回転角度すなわちキャリア44の軸方向移動量が規制される。 【0037】図5において、キャリア44における第2キャリア半体46の外周には、変速機軸41の軸線と平行に延びるラック88が設けられており、該ラック88に噛合するピニオン91を一端に備える連結軸90が、ケーシング23における第2サイドケーシング26で回転自在に支承される。しかも第2サイドケーシング26の外面にはポテンショメータ89が取付けられており、前記連結軸90の他端がポテンショメータ89に連結される。これにより変速機軸41の軸線に沿うラック88すなわちキャリア44の移動位置がポテンショメータ89で検出されるこになり、無段変速機16の変速比は前記キャリア44の移動位置で定まるので、ポテンショメータ89で無段変速機16の変速比が検出されることになる。 【0038】無段変速機16の変速軸41には、一端と閉じるとともに他端を出力軸64側に開放した潤滑油路92が同軸に設けられており、この潤滑油路92に潤滑油を給油するオイルポンプ93が、変速機軸41で駆動されるようにしてセンターケーシング24の壁部24aに配設される。 【0039】オイルポンプ93は、トロコイドポンプであり、ポンプハウジング94と、該ポンプハウジング94内に回転自在に収納されるアウターロータ95と、アウターロータ95の内周に回転自在に噛合してポンプハウジング94内に収納されるインナーロータ96とから成る。 【0040】ポンプハウジング94は、前記壁部24と、第1作動室28側から壁部24aに締結されるカバー97とで構成されるものであり、無段変速機16における変速軸41の一端側はカバー97を液密にかつ回転自在に貫通し、カバー97の外方で変速機軸41の一端が入力軸33に相対回転不能に結合される。またポンプハウジング94内で前記インナーロータ96に変速機軸41がピン98を介して連結され、カバー97および入力軸33間にはボールベアリング99が設けられる。 【0041】変速機室29内の下部にはオイル溜まり100が形成されており、このオイル溜まり100に臨むフィルタ101がセンターケーシング24における壁部24aの下部に取付けられる。また前記壁部24aには、フィルタ101およびオイルポンプ93間を結ぶ吸入油路102ならびにオイルポンプ93から吐出される潤滑油を導く吐出油路103が設けられ、壁部24aおよび変速機軸41間には該変速機軸41を囲繞するとともに前記吐出油路103に通じる環状油路104が、変速機軸41の外面に環状凹部を設けることにより形成され、変速機軸41には、該変速機軸41内の潤滑油路92および環状油路104間を結ぶ連通孔105が設けられる。さらに変速機軸41の無段変速機16に対応する部分には、内端を潤滑油路92に連通せしめるとともに外端を変速機軸41の外面に開口せしめた複数の給油孔106,106…が設けられる。 【0042】次にこの実施例の作用について説明すると、無段変速機16においてキャリア44は、変速機軸41の軸線方向の移動を可能とするとともに変速機軸41の軸線まわりの回転を不能としてケーシング23の第2サイドケーシング26に係合され、変速機軸41の軸線まわりの回転を可能としてケーシング23に支承される駆動ねじ76がキャリア44における第2キャリア半体47に固定された被動ねじ75に螺合され、ケーシング23の第2サイドケーシング26に取付けられた電動モータ79および駆動ねじ76間に減速機構80が設けられている。したがって電動モータ79の作動に応じて駆動ねじ76が回転することにより被動ねじ75すなわちキャリア44が変速機軸41の軸線に沿う方向に移動することになり、車両の走行状態にかかわらず無段変速機16の変速比を自在に変化させることができる。 【0043】しかも変速回転部材48…から支軸47…を介してキャリア44に作用する回転反力がケーシング23で受け止められ、電動モータ79が負担することはない。したがって電動モータ79はキャリア44を変速機軸41の軸線に沿う方向に移動させる動力を発揮すればよく、電動モータ79の小型化が可能となり、また減速機構80の減速比を大きく設定する必要もないので無段変速機16の変速スピードが低下することもない。 【0044】また駆動ねじ76は、変速機軸41の軸線に沿う相対移動を不能として該変速機軸41に一対のボールベアリング78,78を介して支承されている。このため、より高い変速比へのシフトアップ時にキャリア44は図2および図3の左側に引っ張られ、駆動ねじ76には図2および図3の右方向に向けての荷重が作用するのであるが、その荷重はボールベアリング78,78を介して変速機軸41に伝達される。一方、キャリア44に作用する左方向の荷重は、キャリア44から支軸47…、変速用回転部材48…および駆動回転部材42を介して変速機軸41に伝達され、上記ボールベアリング78,78からの荷重と釣合うことになる。またより低い変速比へのシフトダウン時には、キャリア44は図2および図3の方向に押され、駆動ねじ76には図2および図3の左方向に向けての荷重が作用するのであるが、その荷重もボールベアリング78,78を介して変速機軸41に伝達される。一方、キャリア44に作用する右方向の荷重は、キャリア44から支軸47…、変速用回転部材48…、従動回転部材43およびアンギュラーコンタクトベアリング57を介して変速機軸41に伝達され、上記ボールベアリング78,78からの荷重と釣合うことになる。 【0045】すなわち変速機軸41の軸線方向にキャリア44を移動させる際に駆動回転部材42もしくは従動回転部材43から変速機軸41に荷重が伝達されるのに対し、その荷重と釣合う方向で駆動ねじ46から変速機軸41に荷重が伝達されることになり、変速比の設定精度を向上することが可能になるとともに無段変速機16の組立性を向上することができ、しかもケーシング23に大きな荷重が作用することを回避してケーシング23の軽量化を図ることができる。 【0046】またキャリア44における第2キャリア半体47の外周にラック88が設けられ、変速機軸41の軸線に沿うキャリア44の移動位置を検出するポテンショメータ89がラック88に連結されてケーシング23の第2サイドケーシング26に取付けられているので、変速機軸41の軸線に沿うキャリア44の位置すなわち無段変速機16の変速比を検出するようにして検出精度を向上することができる。 【0047】また変速機軸41内の潤滑油路92に潤滑油を供給するようにして変速機軸41で駆動されるオイルポンプ93が、無段変速機16を収納する変速機室29の一部を規定するようにしてセンターケーシング24に設けられている壁部24aに配設される。すなわちオイルポンプ93は、変速機軸41に相対回転不能に結合される入力軸33よりも軸方向内方側である壁部24aに配設されて変速機軸41で駆動されるので、潤滑油路92へのオイルポンプ93からのオイル通路構造を単純化することが可能であり、またオイルポンプ93を無段変速機16により近接させて配置することになるので無段変速機16の被潤滑部までのオイルポンプ93からのオイル通路を充分に単純化することができる。しかも入力軸33を変速機軸41の端部に結合するようにして変速機軸41の短縮化が可能となる。 【0048】また無段変速機16に対応する部分で変速機軸41には、内端を前記潤滑油路92に連通せしめるとともに外端を変速機軸41の外面に開口せしめた複数の給油孔106,106…が設けられており、キャリア44を変速機軸41の軸線方向に移動させることで変速比を無段階に変化させる無段変速機16の潤滑を効果的に行なうことができる。 【0049】さらにオイルポンプ93は、ケーシング23の壁部24aに結合されるカバー97および前記壁部24aで構成されるポンプハウジング94内に、変速機軸41に連結されるアウターおよびインナーロータ95,96が収納されて成るトロコイドポンプであり、ケーシング23内のオイル溜まり100に臨むフィルタ101が壁部24aの下部に取付けられ、該フィルタ101およびオイルポンプ93間を結ぶ吸入油路102ならびにオイルポンプ93から吐出される潤滑油を導く吐出油路103が壁部24aに設けられている。したがってオイル溜まり100からオイルポンプ93を経て潤滑油路92に至るオイル通路をコンパクトにかつ単純な構造に構成することができ、該オイル通路を形成するために無段変速機16を含む動力伝達装置が大型化することもない。 【0050】さらに壁部24aおよび変速機軸41間には変速機軸41を囲繞するとともに前記吐出油路103に通じる環状油路104が形成され、変速機軸41には、潤滑油路92および環状油路104間を結ぶ連通孔105が設けられているので、オイルポンプ93および潤滑油路92間のオイル通路の短縮化および単純化を図りつつ、壁部24aおよび変速機軸41間の潤滑が可能となる。 【0051】以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。 【0052】 【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれば、オイルポンプが、入力回転部材よりも軸方向内方側である壁部に配設されて変速機軸で駆動されるので、変速機軸内の潤滑油路へのオイルポンプからのオイル通路構造を単純化することが可能となり、無段変速機の被潤滑部までのオイルポンプからのオイル通路を充分に単純化することができ、しかも入力回転部材を変速機軸の端部に結合するようにして変速機軸の短縮化が可能となる。 【0053】また請求項2記載の発明によれば、キャリアを変速機軸の軸線方向に移動させることで変速比を無段階に変化させる無段変速機に本発明を効果的に適用することが可能である。 【0054】請求項3記載の発明によれば、オイル溜まりからオイルポンプを経て潤滑油路に至るオイル通路をコンパクトにかつ単純な構造に構成することができ、該オイル通路を形成するために無段変速機を含む動力伝達装置が大型化することもない。 【0055】さらに請求項4記載の発明によれば、オイルポンプおよび潤滑油路間のオイル通路の短縮化および単純化を図りつつ、壁部および変速機軸間の潤滑が可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月24日(1999.12.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071870 【弁理士】 【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−182794(P2001−182794A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月6日(2001.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−366932 |
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