| 【発明の名称】 |
トロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】忍足 俊一
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| 【要約】 |
【課題】リンクおよびトラニオンが交角変化時に干渉した時も、トラニオンに干渉力が発生してパワーローラをスリップさせることのなようにする。
【解決手段】主軸線O3 の周りで回転する入出力ディスク間に挟圧され、これらの間で摩擦力により動力伝達を行う一対のパワーローラ8は個々のトラニオン14に回転自在に支持する。トラニオン14の上端同士および下端同士をそれぞれリンク16,17により連結することでパワーローラ8が挟圧力により入出力ディスク間から追い出されるのを防止する。トラニオン14およびパワーローラ8をサーボピストン42により同期して同位相で図示の非変速位置から首振り軸線(O2 )方向にオフセットさせると、これらが同軸線周りに傾転して変速を行う。リンク16,17は長孔16c,17cにてピン27,28を介し変速機ケース1に首振り軸線(O2 )方向へ変位可能に支持すると共に、段差部14aおよびストッパープレート30間に挟んで、また段差部14a14bおよび傾転同期用ワイヤプーリ31間に挟んで首振り軸線(O2 )方向変位を規制する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 同軸配置の入出力ディスク間で挟圧力に応じた摩擦係合により動力の受渡しを行う複数のパワーローラを個々のトラニオンに回転自在に支持して具え、これらトラニオンの隣合う端部同士を相互に連結するリンクを設け、前記各トラニオンを、パワーローラの回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差する非変速位置からパワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線方向へ同位相で同期してオフセットさせることにより、トラニオンおよびパワーローラの首振り軸線周りの傾転を生起させて変速を行うようにし、これらオフセットおよび傾転が可能となるよう前記リンクおよび各トラニオン間を連結したトロイダル型無段変速機において、前記リンクを固定部に対し首振り軸線方向に変位可能に支持したことを特徴とするトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造。 【請求項2】 請求項1において、前記リンクの首振り軸線方向における変位を前記トラニオンにより規制するよう構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造。 【請求項3】 請求項2において、前記リンクのうち変速機ケースの頂壁に近いアッパーリンクの前記首振り軸線方向における変位を、該アッパーリンクおよび前記トラニオン間に前記オフセットおよび傾転が可能となるよう介在させる複合ジョイントの嵌合用にトラニオンの上端部に形成した段差部と、これに対向させてトラニオンの上端部に取着したストッパープレートとで規制するよう構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造。 【請求項4】 請求項3において、前記アッパーリンクに設ける複合ジョイント用嵌合孔を、パワーローラ側開口部ではトラニオンの上端部に抜け止めされた複合ジョイントが丁度嵌合可能な円形とし、反対側開口部では複合ジョイントが上記嵌合後に入出力ディスクの回転軸線から遠ざかる方向へ変位可能な長円形として、複合ジョイント用嵌合孔のパワーローラ側開口縁に、複合ジョイントのパワーローラ側端面と係合して前記アッパーリンクがパワーローラから遠ざかる首振り軸線方向に変位するのを規制する座を設定し、この座を前記ストッパープレートの代わりに用いるようよう構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造。 【請求項5】 請求項2において、前記リンクのうち変速機ケースの頂壁から遠いロアリンクの首振り軸線方向における変位を、該ロアリンクおよび前記トラニオン間に前記オフセットおよび傾転が可能となるよう介在させる複合ジョイントの嵌合用にトラニオンの下端部に形成した段差部と、これに対向するようトラニオンの下端部に取着した傾転同期用のワイヤプーリとで規制するよう構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造。 【請求項6】 請求項2乃至5のいずれか1項において、前記入出力ディスク間に2個の前記パワーローラを具え、これらパワーローラを個々のトラニオンに回転自在に支持したトロイダル伝動ユニットを2個1組として有し、これらトロイダル伝動ユニットの全てのトラニオンの隣合う一方の端部同士および他方の端部同士を相互にそれぞれの共通な前記リンクにより連結したダブルキャビティー式のトロイダル型無段変速機とし、前記共通なリンクの首振り軸線方向における変位をそれぞれ、前記両トロイダル伝動ユニットの相互に大きく離れた一対のトラニオンにより規制するよう構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、トロイダル型無段変速機の小型化を可能にするパワーローラ支持構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】トロイダル型無段変速機は通常、同軸配置した入出力ディスク間に複数のパワーローラを具え、これらパワーローラを個々のトラニオンに回転自在に支持する。伝動に際しては、パワーローラを伝達トルクに応じた力で入出力ディスク間に挟圧し、その挟圧力に応じた摩擦係合によりパワーローラが入出力ディスク間で動力の受渡しを行う。 【0003】従ってパワーローラは、上記の挟圧力により入出力ディスク間から追い出される傾向となり、これを防止するためにパワーローラを個々に回転自在に支持したトラニオンの隣合う端部同士を相互にリンクにより連結する。変速に際しては各トラニオンをサーボピストンにより、パワーローラの回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差する非変速位置からパワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線方向へ同位相で同期してオフセットさせることにより、トラニオンおよびパワーローラの首振り軸線周りの傾転を生起させて変速を行うことができる。これがためリンクおよび各トラニオン間は、上記のオフセットおよび傾転が可能となるよう連結する。 【0004】パワーローラを入出力ディスク回転軸線の両側に一対1組として設けたトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造としては従来、例えば特開平9−317837号公報に記載された図7(a),(b)に示すごときものが一般的である。この図においてaはそれぞれ、図示せざるパワーローラを個々に回転自在に支持するトラニオン、bは、これらトラニオンの隣り合う上端部同士を相互に連結するアッパーリンクを示す。トラニオンaの隣り合う下端部同士も、図示しなかったが同様なロアリンクにより相互に連結し、当該ロアリンクおよびアッパーリンクbによりトラニオンaを離反方向へ拘束してパワーローラが入出力ディスク間から挟圧力で追い出されるのを防止する。 【0005】変速に際し両トラニオンaを下端部の図示せざるサーボピストンへの油圧により、パワーローラの回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差した図7(a)の非変速位置から、図7(b)にα,βで示すようにパワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線方向へ同位相で同期してオフセットさせると、トラニオンaおよびパワーローラが首振り軸線周りの傾転を生起され、所定の変速を行うことができる。勿論、α,βで示すとは反対方向にオフセットさせると、逆の変速が行われるのは当然である。ここで各トラニオンaおよびアッパーリンクb(ロアリンクも同じ)間は、上記のオフセットおよび傾転を許容するよう連結する必要があり、当該連結部にはトラニオンaに嵌合した回転軸受cと、該軸受c上に嵌合した球面継手dとよりなる複合ジョイントを介在させる。なお、eはアッパーリンクb(ロアリンクも同じ)を中央において変速機ケースに回動自在に支持するためのピンである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで従来は、アッパーリンクbおよび図示せざるロアリンクをそれぞれの中央において変速機ケースに対しピンeで、ピンeの軸直角面内の全ての方向へ変位不能に支持していたため以下に説明するような問題を生ずることを確かめた。例えば図7(b)に示すごとく両トラニオンaをα,β方向へオフセットさせて行う変速時について説明するに、トラニオンaがアッパーリンクb(ロアリンクも同じ)に対し交角をもって、トラニオンaがアッパーリンクbに対しf点で相互に干渉したとすると、この干渉点fにおいてアッパーリンクbに干渉力γが作用する。 【0007】ところで従来はアッパーリンクbの中央が変速機ケースにピンeでその軸直角面内の全方向へ変位不能に支持されているため、干渉力γがピンeを支点として、干渉していない側のトラニオンaにも同じ首振り軸線方向の干渉力δを発生させ、ピンeが干渉力γ,δの合力εを受け止める。つまり、干渉点fが力点となり、ピンeが支点として作用し、干渉していない側のトラニオンaおよびアッパーリンクb間の連結部における複合ジョイント(球面継手d)とアッパーリンクbとの間の摩擦力発生部が作用点となって、それぞれの点に上記の力が発生する。 【0008】しかし、両トラニオンaに作用する力δおよびγがそれぞれ、首振り軸線方向には同じであっても入出力ディスクの円周方向に関して相互に逆向きであるから、以下の理由により両パワーローラに働くトルク分配が悪化してこれらパワーローラと入出力ディスクとの間の摩擦係合部でスリップを生じ易く、当該スリップが発生しないようにパワーローラ挟圧力を大きくする必要があったため、従来のパワーローラ支持構造はトロイダル型無段変速機の小型化を阻害していた。 【0009】ここで、両トラニオンaに作用する力δおよびγが入出力ディスクの円周方向に関して逆向きであると両パワーローラに働くトルク分配が悪化する理由を以下に説明する。各パワーローラは、入力ディスク上での摩擦係合半径と当該摩擦係合部に発生する力との積に相当するトルクを分担し、また各パワーローラと出力ディスクとの間における摩擦係合部には入力ディスク上に発生したと同じ力が発生する。ところで両パワーローラの入出力ディスクに対する摩擦係合部が相互に入出力ディスクの円周方向に180°位置ずれしているため、動力伝達に伴うこれら摩擦係合部での回転方向の力はパワーローラに関して同じ方向となり、パワーローラには、入力ディスクとの摩擦係合部に発生する回転方向力の2倍の半径方向力が発生する。 【0010】複数のパワーローラを具えるトロイダル型無段変速機においては、それぞれのトラニオンに設けたサーボピストンに対しパスカルの原理を用いて同じ油圧を与え、これによる各トラニオンへの首振り軸線方向力と上記パワーローラへの半径方向力とを釣り合わせて、前記の非変速位置を保っている。変速に際しては、サーボピストンへの油圧を上記釣り合わせに必要な値から上下させて当該油圧による各トラニオンへの首振り軸線方向力を上記パワーローラへの半径方向力よりも大きくしたり小さくすることにより、各トラニオンをパワーローラと共に対応する首振り軸線方向へオフセットさせ、これによりアップシフトまたはダウンシフトを生起させる。 【0011】変速方向は、正のトルク伝達状態であればサーボピストンへの油圧力が大きくなるとアップシフトとなり、サーボピストンへの油圧力が小さくなるとダウンシフトになる。複数のパワーローラを持つトロイダル型無段変速機においてそれぞれの変速比が微妙にずれた場合は、アップシフト側になっている方のパワーローラが大きなトルクを分担するため、結果的に全てのパワーローラが同じ変速比となるように作動して同じトルクを分担することになる。ここで図7(b)につき前述したように一方のトラニオンaおよびアッパリンクb間の相互干渉で干渉力γが発生し、干渉していない側におけるトラニオンaに入出力ディスクの円周方向において逆向きの力δが作用すると、上記のごとくサーボピストンへの油圧力を同じにして両パワーローラのトルク分担が同じになるようにする変速制御中に、干渉していない側のトラニオンaに加わる逆向きの力δが両パワーローラのトルク分担に差を生じさせてしまうことになる。 【0012】一方でパワーローラと入出力ディスクとの間におけるトラクション力の限界は、入出力ディスク間でのパワーローラの挟圧力に依存し、従ってこの挟圧力を変速機入力トルクに応じて決定し、当該挟圧力によるパワーローラと入出力ディスクとの各摩擦係合部における垂直方向押圧力(これでトラクション力の限界が決まる)は全て同じである。これがため、上記のごとく干渉によりパワーローラ間でトルク分担に差を生じる従来のトロイダル型無段変速機にあっては、トルク分担の大きくなったパワーローラがトラクション力不足によりスリップする。よって従来のトロイダル型無段変速機にあっては、当該トルク分担の大きくなったパワーローラがスリップすることのないよう入出力ディスクによるパワーローラの挟圧力を大きくする必要があった。かようにパワーローラの挟圧力を大きくする必要があるということは、それだけ各部に作用する力が大きくなって、各部の強度を高くしなければならず、結果的にトロイダル型無段変速機の小型化を阻害することとなる。 【0013】請求項1に記載の第1発明は、或るトラニオンがリンクと干渉することがあっても、当該干渉にともなってトラニオンに作用する力が発生することのないようにし、これにより上記の問題解決を実現したトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造を提案することを目的とする。 【0014】また請求項2に記載の第2発明は、第1発明の作用効果を達成するための構成によっても、首振り軸線方向におけるリンクの規制が補償されるようにして、該リンクがトラニオン以外の部品と干渉する弊害を回避し得るようにしたトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造を提案することを目的とする。 【0015】更に請求項3に記載の第3発明は、アッパーリンクの首振り軸線方向における変位を簡易な構成で規制し得るようにしたトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造を提案することを目的とする。 【0016】請求項4に記載の第4発明は、アッパーリンクの首振り軸線方向における変位を簡易で且つ組立容易な構成により規制し得るようにしたトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造を提案することを目的とする。 【0017】請求項5に記載の第5発明は、ロアリンクの首振り軸線方向における変位を簡易な構成で規制し得るようにしたトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造を提案することを目的とする。 【0018】請求項6に記載の第6発明は、ダブルキャビティー式トロイダル型無段変速機において、各リンクの首振り軸線方向における変位を最も効率よく規制し得るようにしたトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造を提案することを目的とする。 【0019】 【課題を解決するための手段】これらの目的のため、先ず第1発明によるトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造は、同軸配置の入出力ディスク間で挟圧力に応じた摩擦係合により動力の受渡しを行う複数のパワーローラを個々のトラニオンに回転自在に支持して具え、これらトラニオンの隣合う端部同士を相互に連結するリンクを設け、前記各トラニオンを、パワーローラの回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差する非変速位置からパワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線方向へ同位相で同期してオフセットさせることにより、トラニオンおよびパワーローラの首振り軸線周りの傾転を生起させて変速を行うようにし、これらオフセットおよび傾転が可能となるよう前記リンクおよび各トラニオン間を連結したトロイダル型無段変速機において、前記リンクを固定部に対し首振り軸線方向に変位可能に支持したことを特徴とするものである。 【0020】第2発明によるトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造は、第1発明において、前記リンクの首振り軸線方向における変位を前記トラニオンにより規制するよう構成したことを特徴とするものである。 【0021】第3発明によるトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造は、第2発明において、前記リンクのうち変速機ケースの頂壁に近いアッパーリンクの前記首振り軸線方向における変位を、該アッパーリンクおよび前記トラニオン間に前記オフセットおよび傾転が可能となるよう介在させる複合ジョイントの嵌合用にトラニオンの上端部に形成した段差部と、これに対向させてトラニオンの上端部に取着したストッパープレートとで規制するよう構成したことを特徴とするものである。 【0022】第4発明によるトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造は、第3発明において、前記アッパーリンクに設ける複合ジョイント用嵌合孔を、パワーローラ側開口部ではトラニオンの上端部に抜け止めされた複合ジョイントが丁度嵌合可能な円形とし、反対側開口部では複合ジョイントが上記嵌合後に入出力ディスクの回転軸線から遠ざかる方向へ変位可能な長円形として、複合ジョイント用嵌合孔のパワーローラ側開口縁に、複合ジョイントのパワーローラ側端面と係合して前記アッパーリンクがパワーローラから遠ざかる首振り軸線方向に変位するのを規制する座を設定し、この座を前記ストッパープレートの代わりに用いるようよう構成したことを特徴とするものである。 【0023】第5発明によるトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造は、第2発明において、前記リンクのうち変速機ケースの頂壁から遠いロアリンクの首振り軸線方向における変位を、該ロアリンクおよび前記トラニオン間に前記オフセットおよび傾転が可能となるよう介在させる複合ジョイントの嵌合用にトラニオンの下端部に形成した段差部と、これに対向するようトラニオンの下端部に取着した傾転同期用のワイヤプーリとで規制するよう構成したことを特徴とするものである。 【0024】第6発明によるトロイダル型無段変速機のパワーローラ支持構造は、第2発明乃至第5発明のいずれかにおいて、前記入出力ディスク間に2個の前記パワーローラを具え、これらパワーローラを個々のトラニオンに回転自在に支持したトロイダル伝動ユニットを2個1組として有し、これらトロイダル伝動ユニットの全てのトラニオンの隣合う一方の端部同士および他方の端部同士を相互にそれぞれの共通な前記リンクにより連結したダブルキャビティー式のトロイダル型無段変速機とし、前記共通なリンクの首振り軸線方向における変位をそれぞれ、前記両トロイダル伝動ユニットの相互に大きく離れた一対のトラニオンにより規制するよう構成したことを特徴とするものである。 【0025】 【発明の効果】第1発明において、複数のパワーローラは入出力ディスク間で挟圧力に応じた摩擦係合により動力の受渡しを行う。なお、各パワーローラを回転自在に支持したトラニオンの隣り合う端部同士を相互に連結したリンクは、上記の挟圧力によってもパワーローラが入出力ディスク間から追い出されるのを防止する用をなす。そして各トラニオンを、パワーローラの回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差する非変速位置からパワーローラ回転軸線と直交する首振り軸線方向へ同位相で同期してオフセットさせると、トラニオンおよびパワーローラの首振り軸線周りの傾転が生起され、所定の変速を行わせることができる。 【0026】ところで第1発明においては、上記リンクを固定部に対し首振り軸線方向に変位可能に支持したから以下の作用効果が奏し得られる。つまり、上記の変速中にトラニオンおよびリンク間に交角が発生することにより両者が相互に干渉し干渉力が発生しようとしても、リンクが固定部に対し首振り軸線方向に変位可能であるから前記の支点が存在しないことにより干渉力が発生し得ない。これがため、トラニオンおよびリンクが相互に干渉する時に何れのトラニオンにも当該干渉にともなう首振り軸線方向の力が作用することがなく、従来はこの力によりパワーローラ間のトルク分担がアンバランスになってトルク分担の大きくなったパワーローラがスリップするという問題を生じていたが、第1発明においてはこの問題を解消することができる。そして従来は、トルク分担の大きくなったパワーローラがスリップしないようパワーローラ挟圧力を大きくする必要があってトロイダル型無段変速機の小型化が阻害されていたが、第1発明によればパワーローラ挟圧力を大きくする必要がなく、トロイダル型無段変速機の小型化が可能である。 【0027】第2発明においては、リンクの首振り軸線方向における変位をトラニオンにより規制する構成としたため以下の作用効果を奏し得る。つまり、第1発明のようにようリンクを固定部に対し首振り軸線方向に変位可能に支持する場合、リンクがトラニオン以外の部品と干渉する虞れが生じ、当該干渉によりリンクがトラニオンの首振り軸線方向の変位を妨げて、詳しくは後述するが変速異常などの弊害を生ずるが、第2発明のように、リンクの首振り軸線方向における変位をトラニオンにより規制する構成にすれば、リンクがトラニオン以外の部品と干渉する懸念を払拭して上記の弊害を解消することができる。 【0028】第3発明においては、リンクのうち変速機ケースの頂壁に近いアッパーリンクの首振り軸線方向における変位を規制するに際し、アッパーリンクおよびトラニオン間に前記オフセットおよび傾転が可能となるよう介在させる複合ジョイントの嵌合用にトラニオンの上端部に形成した段差部と、これに対向させてトラニオンの上端部に取着したストッパープレートとで当該規制を行うよう構成したため、ストッパープレートを付加するのみの簡単且つ安価な構成でアッパーリンクの首振り軸線方向における変位を規制することができる。 【0029】第4発明においては、アッパーリンクに設ける複合ジョイント用嵌合孔を、パワーローラ側開口部ではトラニオンの上端部に抜け止めされた複合ジョイントが丁度嵌合可能な円形とし、反対側開口部では複合ジョイントが上記の嵌合後に入出力ディスクの回転軸線から遠ざかる方向へ変位可能な長円形として、複合ジョイント用嵌合孔のパワーローラ側開口縁に、複合ジョイントのパワーローラ側端面と係合して前記アッパーリンクがパワーローラから遠ざかる首振り軸線方向に変位するのを規制する座を設定し、この座を前記ストッパープレートの代わりに用いる構成になるから、トラニオンの上端部を複合ジョイントを介してアッパーリンクに連結するに際し、先ずトラニオンの上端部に前もって抜け止めした複合ジョイントをアッパーリンクの複合ジョイント用嵌合孔のパワーローラ側開口部から嵌合して反対側開口部に至らしめ、その後、複合ジョイントを入出力ディスクの回転軸線から遠ざかる方向へ変位させて複合ジョイントのパワーローラ側端面を上記の座に着座させる手順で当該トラニオン上端部およびアッパーリンク間の連結を行いつつアッパーリンクがパワーローラから遠ざかる首振り軸線方向に変位するのを規制することができる。従って、アッパーリンクの複合ジョイント用嵌合孔を上記の特異な長円形にするのみの簡単且つ安価な構成でアッパーリンクがパワーローラから遠ざかる首振り軸線方向に変位するのを規制することができるとともに、トラニオンの上端部をアッパーリンクに連結する作業を全て変速機ケースの開口底部側から行うことができ、変速機ケースの頂壁に当該作業用の孔を設ける必要が一切なくなるという利点がある。 【0030】第5発明においては、リンクのうち変速機ケースの頂壁から遠いロアリンクの首振り軸線方向における変位を、ロアリンクおよびトラニオン間に前記オフセットおよび傾転が可能となるよう介在させる複合ジョイントの嵌合用にトラニオンの下端部に形成した段差部と、これに対向するようトラニオンの下端部に取着した傾転同期用のワイヤプーリとで規制するため、ロアリンクの首振り軸線方向における変位を、全て既存の部品を利用した簡単且つ安価な構成で規制することができる。 【0031】第6発明においては、2個のパワーローラを具えたトロイダル伝動ユニットを2個1組として有し、これらトロイダル伝動ユニットの全てのトラニオンの隣合う一方の端部同士および他方の端部同士を相互にそれぞれの共通なリンクにより連結したダブルキャビティー式のトロイダル型無段変速機とし、上記共通なリンクの首振り軸線方向における変位をそれぞれ、両トロイダル伝動ユニットの相互に大きく離れた一対のトラニオンにより規制する構成になるから、ダブルキャビティー式トロイダル型無段変速機において、各リンクの首振り軸線方向における変位を必要最小限の箇所で最も効率よく規制することができ、コスト上大いに有利である。 【0032】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1〜図4は、本発明の一実施の形態になるパワーローラ支持構造を具えたトロイダル型無段変速機を示し、このトロイダル型無段変速機は図1に示すように、車両用として伝動容量を倍化するため、変速機ケース1内に2個のトロイダル伝動ユニット、つまり、フロント側トロイダル伝動ユニット2、およびリヤ側トロイダル伝動ユニット3をタンデムに収納した、所謂ダブルキャビティー式トロイダル型無段変速機とする。これらトロイダル伝動ユニット2,3は、入力コーンディスク(入力ディスク)4,5と、これに同軸に対向配置した出力コーンディスク(出力ディスク)6,7と、対応する入出力コーンディスク間におけるパワーローラ8,9とを主たる要素とする同様な構成にする。パワーローラ8,9は、フロント側トロイダル伝動ユニット2のパワーローラ8につき図2に明示するように、対応する入出力コーンディスク間で摩擦係合により動力伝達を行うようこれら入出力コーンディスク間に介在させ、該入出力コーンディスクの回転軸線を挟んでその両側に対向配置する。 【0033】図1に示すようにフロント側トロイダル伝動ユニット2およびリヤ側トロイダル伝動ユニット3は、出力コーンディスク6,7が背中合わせになるよう同軸に配置し、この配置に当たっては、変速機ケース1内に主軸10を回転自在に支持し、この主軸10上に両トロイダル伝動ユニット2,3の入出力コーンディスク4〜7を支持する。フロント側入力コーンディスク4およびリヤ側入力コーンディスク5はそれぞれ、ボールスプライン11により主軸10に回転係合させるも、軸線方向にスライド可能とし、リヤ側入力コーンディスク5は主軸10に螺合させたナット12により抜け止めする。また出力コーンディスク6,7は中空出力軸13を介して相互に一体結合し、この中空出力軸13を主軸10上に回転自在に支持する。 【0034】そして、パワーローラ8,9は夫々、上記したごとく対応する入出力コーンディスク4,6間、および5,7間で、摩擦係合により動力の受渡しを行うよう配置するが、これらパワーローラ8,9を個々のトラニオン14,15上に回転自在に支持する。なおフロント側トロイダル伝動ユニット2のパワーローラ8を回転自在に支持するトラニオン14については図2にその詳細形状を明示したが、リヤ側トロイダル伝動ユニット3のパワーローラ9を回転自在に支持するトラニオン15の形状も同様である。 【0035】フロント側トロイダル伝動ユニット2の両トラニオン14、およびリヤ側トロイダル伝動ユニット3の両トラニオン15は、同じ側(変速機ケース1の頂壁に近い上側)にある相互に隣り合う上端同士を全てに共通な板状アッパーリンク16の4隅角に連節する。これがため、板状アッパーリンク16は図3に明示する平面形状とし、その4隅角に各トラニオン14,15の上端が進入する開口16aを穿設する。フロント側トロイダル伝動ユニット2の両トラニオン14、およびリヤ側トロイダル伝動ユニット3の両トラニオン15は更に、反対の下側にある相互に隣り合う下端同士も全てに共通な板状ロアリンク17の4隅角に連節し、これがため板状ロアリンク17も図3に示す板状アッパーリンク16と同様な平面形状とし、その4隅角に各トラニオン14,15の下端が進入する開口17aを図2に示すように穿設する。 【0036】これら板状リンク16,17の開口16a,17aに対し各トラニオン14,15の上端および下端を連節するに際しては、開口16a,17aに球面継手18の外球面を嵌合し、該球面継手18と各トラニオン14,15の上端および下端との間に回転軸受19を介在させ、これらにより構成される複合継手により各トラニオン14,15の上端および下端を板状リンク16,17に対し回転自在に且つ交角変化可能に連節する。そして上記の板状リンク16,17は、パワーローラ8,9が対応する入出力コーンディスク4,6間、および5,7間からの挟圧力によっても当該対応する入出力コーンディスク間から追い出されることのないよう機能する。 【0037】図1および図2に示すように、対をなすトラニオン14の上端間および対をなすトラニオン15の上端間において変速機ケース1にリンクサポート20,21をボルト22,23により取着し、トラニオン14の下端間およびトラニオン15の下端間において変速機ケース1にリンクサポート24,25をボルト26により取着する。そして板状リンク16には図3に示すようにリンクサポート20,21が貫入する開口16bを形成し、板状リンク17にも図1および図2に示すようにリンクサポート24,25が貫入する同様な開口17bを形成する。 【0038】リンクサポート20,21には図1〜図3のように、それぞれの外側面から主軸10の軸線方向に突出するピン27を植設し、リンクサポート24,25にも図1および図2のようにピン28を嵌着し、これらピン27,28により板状リンク16,17を変速機ケース1に対して支持するが、ピン27,28が貫入するよう板状リンク16,17に設ける孔16c,17cは図1、図2および図4に示すようにトラニオン14,15の長手方向に長い長円形として、板状リンク16,17を同方向に変位可能に支持する。なお図示の実施形態とは逆に、上記と同様に機能するピンを板状リンク16,17の側に設け、つまりリンクサポート貫入開口16b,17b内に突出するよう植設し、これらピンが貫入するようリンクサポート20,21,24,25に設けるべき孔をトラニオン14,15の長手方向に長い長円形として、板状リンク16,17を同方向に変位可能に支持してもよい。 【0039】かかる支持構造によれば、板状リンク16,17がトラニオン14,15の長手方向に変位可能であるため、トラニオン14,15以外の部品と干渉して動きを妨げられる虞がある。この懸念をなくすため板状リンク16,17が同方向に変位するのをトラニオン14,15により規制するのが良い。この目的のため本実施の形態においては図2に示すごとく、トラニオン14,15の上端に球面継手18および回転軸受19を受け止めるよう設けた段差部(図2にトラニオン14の段差部14aのみが見えている)と、板状アッパーリンク16の開口16aから突出したトラニオン14,15の上端にボルト29で取着したストッパープレート30との間に板状アッパーリンク16を挟み、これらにより板状アッパーリンク16がトラニオン長手方向に変位するのを規制するようになす。これがためストッパープレート30は開口16aよりも大径にすることは言うまでもない。また、板状ロアリンク17の規制については同じく図2に示す通り、トラニオン14,15の下端に球面継手18および回転軸受19を受け止めるよう設けた段差部(図2にトラニオン14の段差部14bのみが見えている)と、板状ロアリンク17の開口17aから突出したトラニオン14,15の下端に固設した前後ユニット変速同期用(傾転同期用)ワイヤプーリ31との間に板状ロアリンク17を挟み、これらにより板状ロアリンク17がトラニオン長手方向に変位するのを規制する。但し、板状リンク16,17とこれらを上記の如くに挟む部分との間には、トラニオン14,15と板状リンク16,17とが交角変化する時にこれを妨げない程度の隙間を設定すること勿論である。 【0040】なお上記では、トラニオン14,15と板状リンク16,17との連節部の全てに関連して4箇所に、板状リンク16,17がトラニオン長手方向に変位するのを規制する手段を講じたが、当該手段は各板状リンク16,17について、図3のたすき掛け方向に対向する相互に大きく離れた2箇所の連節部に設けるだけでも所期の目的を達成することができ、この場合、必要最小限の箇所で最も効率よく、しかも簡単且つ安価に板状リンク16,17がトラニオン長手方向に変位するのを規制することが可能となって、コスト上大いに有利である。 【0041】図1に示すごとく相互に背中合わせに配置した出力コーンディスク6,7間には、中間壁としての出力ギヤハウジング32を配置し、これをボルト33で変速機ケース1に取着し、このギヤハウジング32内に、中空出力軸13の外周に一体成形した出力ギヤ34を収納する。ギヤハウジング32は同時に、ボールベアリング35により中空出力軸13を介して、主軸10の中央部を変速機ケース1に対して回転自在に支持する。出力ギヤ34にはカウンタギヤ36を噛合させ、このギヤをカウンタシャフト37に結合することにより、トロイダル型無段変速機からの変速動力をカウンタシャフト37から取り出すようにする。 【0042】図1の左側から伝達されてくる変速機入力回転はローディングカム38を介して、両トロイダル伝動ユニット2,3の入力コーンディスク4,5へ入力するようになす。ローディングカム38はカムフランジ39を具え、これをフロント側入力コーンディスク4の背面に同軸に対設して、主軸10上にラジアル兼スラスト軸受40で回転自在に支持し、入力コーンディスク4およびカムフランジ39間にカムローラ41を介在させた周知のものとする。ローディングカム38は、入力回転をフロント側入力コーンディスク4に、また主軸10を介してリヤ側入力コーンディスク5に伝達すると共に、伝達トルクに応じたカムフランジ39とコーンディスク4との相対回転により入力コーンディスク4に出力コーンディスク6へ向かう方向のスラストを付与し、この時のスラストの反力はカムフランジ39から、これを主軸10上に回転自在に支持するラジアル兼スラスト軸受40、主軸10、ナット12を順次経てリヤ側入力コーンディスク5に至り、このリヤ側入力コーンディスク5を出力コーンディスク7に向け付勢する。従って、パワーローラ8,9は対応する入出力コーンディスク間に、伝達トルクに応じた力で挟圧され、対応する入出力コーンディスク間での動力伝達を可能にする。 【0043】フロント側トロイダル伝動ユニット2について示す図2のごとく、各トラニオン14,15の下端には更にサーボピストン42を同軸に結合して設け、これらサーボピストン42をコントロールバルブ43により同位相(同じ変速方向)で同期してストロークさせることにより周知の変速制御を行うものとする。以下に変速作用を概略説明するに、入力回転はローディングカム38を介してフロント側入力コーンディスク4へ伝達され、この入力コーンディスク4への回転は同時に、ボールスプライン11、主軸10を経てリヤ側入力コーンディスク5にも同様に伝達される。入力コーンディスク4,5の回転は、これらに摩擦係合するパワーローラ8,9に伝達され、パワーローラ8,9を軸線O1 の周りに回転させ、パワーローラ8,9は、これらに摩擦係合する出力コーンディスク6,7に回転を伝達し、この回転が共通な出力ギヤ34からカウンターギヤ36を経てカウンターシャフト37に至り、このカウンターシャフトから動力を取り出すことができる。 【0044】ここで、パワーローラ8,9をサーボピストン42によりトラニオン14,15を介し同期して、パワーローラ回転軸線O1 と直行する首振り軸線O2 の方向に同位相で、図1および図2に示す非変速位置からストロークさせ、パワーローラ回転軸線O1 をコーンディスク回転軸線O3 からオフセットさせると、パワーローラ8,9が首振り軸線O2 の周りに同期して同位相で傾転される。これにより、入出力コーンディスクに対するパワーローラ8,9の接触軌跡円半径が連続的に変化し、入出力コーンディスク4,6間の伝動比、および入出力コーンディスク5,7間の伝動比を同じに保って無段階に変化させることができる。なお、伝動比が所定の伝動比になったところで、パワーローラ8,9をオフセット0の初期ストローク位置に戻すことにより、当該伝動比を維持することができる。 【0045】ところで本実施の形態においては、上記の変速中にトラニオン14,15と板状リンク16,17とが連節部において図7につき前述したように相互干渉し、干渉力が発生しようとしても、板状リンク16,17をピン27,28により変速機ケース1に対し支持するに際し、板状リンク16,17のピン貫入孔16c,17cを首振り軸線(O2)方向に細長い長孔として板状リンク16,17を変速機ケース1に対し同方向に変位可能に支持したから、当該干渉力を発生させるための前記の支点が存在しないこととなり干渉力が発生し得ない。 【0046】これがため、トラニオン14,15およびリンク16,17が相互に干渉する時に何れのトラニオンにも当該干渉にともなう首振り軸線(O2 )方向の力が作用することがなく、従来はこの力によりパワーローラ8,9間のトルク分担がアンバランスになってトルク分担の大きくなったパワーローラがスリップするという問題を生じていたが、本実施の形態においてはこの問題を解消することができる。そして従来は、トルク分担の大きくなったパワーローラがスリップしないようパワーローラ挟圧力を大きくすべく、スラスト発生力の大きなローディングカム38を用いる必要があってトロイダル型無段変速機の小型化が阻害されていたが、本実施の形態によればパワーローラ挟圧力を大きくする必要がないため、トロイダル型無段変速機の小型化が可能である。 【0047】なお上記のごとく板状リンク16,17を変速機ケース1に対し首振り軸線(O2 )方向に変位可能に支持する場合、板状リンク16,17がトラニオン14,15以外の部品と干渉して動きを妨げられる虞がある。このように板状リンク16,17がトラニオン14,15以外の部品と干渉して動きを妨げられると、結果的にトラニオン14,15および板状リンク16,17間の複合ジョイントを介した連節部においてトラニオン14,15が板状リンク16,17に対し相対運動することにより首振り軸線(O2 )方向に動くことになる。ところでこの相対運動は当該連節部での大きな摩擦に打ち勝って行う必要があり、正常ならサーボピストン42への油圧を前記した釣り合い状態から微少変化させるだけでトラニオン14,15のストローク(変速)を生起させ得るのに、上記の大きな摩擦に打ち勝つようにサーボピストン42への油圧を大きく変化させなければ変速を行うことができなくなり、正常な変速制御を行い得なくなってしまう。 【0048】ところで本実施の形態においては、リンク16,17の首振り軸線(O2 )方向における変位をストッパープレート30および変速同期用ワイヤプーリ31を介してトラニオン14,15により規制する構成のため、変速中に板状リンク16,17がトラニオン14,15以外の部品と干渉して動きを妨げられることがなくなり、これが原因で上記のように正常な変速制御を行い得なくなってしまう懸念を払拭することができる。 【0049】なお、変速機ケース1の頂壁に近いアッパーリンク16の首振り軸線(O2 )方向における変位を規制するに際し、トラニオン14,15の上端部に形成した複合ジョイント嵌合用の段差部(図2にトラニオン14の段差部14aのみを示した)と、これに対向させてトラニオン14,15の上端部に取着したストッパープレート30とで当該規制を行うため、ストッパープレート30を付加するのみの簡単且つ安価な構成でアッパーリンク16の首振り軸線(O2 )方向における変位を規制することができる。 【0050】また、変速機ケース1の頂壁から遠い(底部開口に近い)ロアリンク17の首振り軸線(O2 )方向における変位を規制するに際し、トラニオン14,15の下端部に形成した複合ジョイント嵌合用の段差部(図2にトラニオン14の段差部14bのみを示した)と、これに対向するようトラニオン14,15の下端部に取着した傾転同期用のワイヤプーリ31とで当該規制を行うため、全て既存の部品を利用した簡単且つ安価な構成でロアリンク17の首振り軸線(O2 )方向における変位を規制することができる。 【0051】図5および図6は板状アッパーリンク16に関する他の実施形態を示し、本実施の形態は以下の根拠により案出したものである。つまり前述した実施の形態においては板状アッパーリンク16が首振り軸線(O2 )方向に変位するのを規制するに当たり、トラニオン14,15の上端面にボルト29で取着したストッパープレート30により当該規制を行う構成であったため、ストッパープレート30の取着に際し、変速機ケース1を頂壁が下になるよう反転させて底部開口から先ずボルト29およびストッパープレート30を変速機ケース1の頂壁内面上に落とし込み、次いで板状アッパーリンク16を変速機ケース1に取着し、その後トラニオン14,15の上端を板状アッパーリンク16の4隅角開口16a(図3参照)に連節した状態で、変速機ケース1の頂壁における開口1a(図2参照)から挿入した工具によりボルト29を緊締する面倒で効率の悪い作業手順によってしかストッパープレート30の取着を行うことができなかった。 【0052】図5および図6は、ストッパープレート30を用いることなく板状アッパーリンク16が首振り軸線(O2 )方向上方に変位するのを規制し得るよう板状アッパーリンク16自身を改良して上記の問題解決を実現したものである。つまり、板状アッパーリンク16の4隅角に設けるべき複合ジョイント用嵌合孔のうち、図5の平面図においてたすき掛け位置にある相互に大きく離れた一対の複合ジョイント用嵌合孔16aは図3と同じ円形とするが、他方のたすき掛け位置にある相互に大きく離れた一対の複合ジョイント用嵌合孔44は以下に説明するような段付き長円形とする。 【0053】すなわち複合ジョイント用嵌合孔44を、パワーローラ側(下側)開口部44aではトラニオン14,15の上端部に図6のごとくスナップリング45で抜け止めされた複合ジョイント18,19が丁度嵌合可能な円形とし、反対側(上側)開口部44bでは複合ジョイント18,19が上記の嵌合後に図6のごとく変速機主軸線O3 から遠ざかる方向(図5の上下方向)へ変位可能な長円形として、複合ジョイント用嵌合孔44のパワーローラ側(下側)開口縁に、複合ジョイント18,19のパワーローラ側端面が係合する座44cを有した段付き長円形とする。なお複合ジョイント用嵌合孔44は、上記の反対側(上側)開口部44bが変速機主軸線O3 方向において複合ジョイント用嵌合孔16aと整列するよう配置する。 【0054】かかる複合ジョイント用嵌合孔44にトラニオン14,15の上端部を連節するに際しては、先ずトラニオン14,15の上端部に前もって図6のごとくスナップリング45で抜け止めした複合ジョイント18,19を、変速機ケース1の頂壁に取り付け済みの板状アッパーリンク16の複合ジョイント用嵌合孔44にパワーローラ側(下側)開口部44aから嵌合して反対側(上側)開口部44bに至らしめる。その後、複合ジョイント18,19を図6に示すように変速機主軸線O3 から遠ざかる方向(図5の上下方向)へ変位させて複合ジョイント18,19のパワーローラ側(下側)端面を上記の座44cに着座させる。以上の手順によりトラニオン14,15の上端部を複合ジョイント18,19を介して板状アッパーリンク16の複合ジョイント用嵌合孔44に連節することができ、この連節状態で上記の座44cによりアッパーリンク16がパワーローラ8,9から遠ざかる首振り軸線(O2 )方向において上方に変位するのを規制することができる。 【0055】従って、アッパーリンク16の複合ジョイント用嵌合孔44を上記の特異な段付き長円形に形成するのみの簡単且つ安価な構成でアッパーリンク16がパワーローラから遠ざかる首振り軸線(O2 )方向に変位するのを規制することができるとともに、トラニオン14,15の上端部をアッパーリンク16に連結する作業を全て変速機ケース1の開口底部側から簡単に行うことができ、変速機ケース1の頂壁に当該作業用の孔1a(図2参照)を設ける必要が一切なくなる。 【0056】なお、上記のようにしてトラニオン14,15の上端部を一対の複合ジョイント用嵌合孔44に連節すればこれら連節部だけでなく、図5に示す他の一対の複合ジョイント用嵌合孔16aに対するトラニオン14,15の上端部の連節部においても、アッパーリンク16がパワーローラ8,9から遠ざかる首振り軸線方向(上方)に変位するのを規制することができるから、当該規制のための手段を嵌合孔16aに係わる連節部にまで施す必要はない。従って、アッパーリンク16の首振り軸線方向における変位を必要最小限の箇所で最も効率よく規制することができ、コスト上大いに有利である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月28日(1999.12.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059258 【弁理士】 【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−182793(P2001−182793A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月6日(2001.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−372451 |
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