トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 電動工具の速度切替装置
【発明者】 【氏名】中村 宣寿

【要約】 【課題】本発明は、部品点数の削減及び組立作業性の向上を図ることができる電動工具の速度切替装置を提供することである。

【解決手段】上記目的は、シフトレバー6に溝部6cを設け、ハウジング7のシフトレバー挿入穴9に内径方向に延びシフトレバー6の溝部6cと係合可能な突起部9aを少なくとも1個設けると共にシフトレバー6にハウジング7内側端部から溝部6cまで延びる逃げ部6eを少なくとも1個設け、逃げ部6e内に突起部9aを位置させることによりシフトレバー6をシフトレバー挿入穴9内に挿入させることができ、シフトレバー6挿入後にシフトレバー6とシフトアーム5とを係合させた際には逃げ部5eと突起部9aとの位置が一致しないようにすることにより達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ファーストピニオンを有するモータと、ファーストピニオンと噛合するギヤ、大ピニオン及び小ピニオンを有するセカンドピニオンと、セカンドピニオンと平行に延びる出力軸と、出力軸と回転方向において常時係合し、セカンドピニオンの大ピニオンと噛合可能な小ギヤ、小ピニオンと噛合可能な大ギヤとを有し出力軸の軸方向に往復動可能に保持されたギヤ組と、ギヤ組を出力軸の軸方向において保持するシフトアームと、ハウジングに設けられたシフトレバー挿入穴を介して回動可能に保持され、偏心位置においてシフトアームと係合し、回動操作されることによりシフトアームを出力軸の軸方向に往復動させるシフトレバーとを備えた電動工具において、前記シフトレバーに溝部を設け、ハウジングのシフトレバー挿入穴に内径方向に延びシフトレバーの溝部と係合可能な突起部を少なくとも1個設けると共にシフトレバーにシフトレバーのハウジング内側端部から溝部まで延びる逃げ部を少なくとも1個設け、逃げ部内に突起部を位置させることによりシフトレバーをシフトレバー挿入穴内に挿入させることができ、シフトレバー挿入後にシフトレバーとシフトアームとを係合させた際には逃げ部と突起部との位置が一致しないようにしたことを特徴とする電動工具の速度切替装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電動工具の速度切替装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電動工具の要部断面図を図8に示す。
【0003】図に示すようにモータ1の回転は、モータ1に一体に設けられたファーストピニオン1a、該ファーストピニオン1aと噛合したギヤ2aを介して小ピニオン2b及び大ピニオン2cを有するセカンドピニオン2に伝達される。
【0004】セカンドピニオン2と平行に配する出力軸4には、常時出力軸4と回転方向において係合し、出力軸4の軸方向に往復動可能に保持されたギヤ組3が設けられており、該ギヤ組3にはセカンドピニオン2の小ピニオン2bと噛合可能な大ギヤ3a及び大ピニオン2cと噛合可能な小ギヤ3bが設けられている。
【0005】モータ1の回転力は、セカンドピニオン2の小ピニオン2bとギヤ組3の大ギヤ3aとが噛合する、あるいは大ピニオン2cと小ギヤ3bと噛合することにより、出力軸4に伝達される。なお、セカンドピニオン2の大ピニオン2cとギヤ組3の小ギヤ3bとを噛合させた時の方が、小ピニオン2bと大ギヤ3aとを噛合させた時よりも出力軸4の回転は高速となるように設定されている。
【0006】上記ギヤ組3を出力軸4の軸方向に往復動させることにより、セカンドピニオン2とギヤ組3との噛合状態を切替えることができ、これにより出力軸4の回転速度を切替えることができるようになっている。
【0007】上記ギヤ組3はハウジング外部より往復動操作させることができるように構成されており、この一例として図8〜図12に示す構成がある。
【0008】図8及び図9に示すようにハウジング7には出力軸4の軸方向に延びた凹部8が設けられ、該凹部8には図10に示すようにギヤ組3の両側端部と当接する保持部5aを有するシフトアーム5の凸部5cが摺動可能に係合しており、シフトアーム5は凹部8に沿って往復動することができるようになっている。
【0009】シフトアーム5には出力軸4の軸方向に対して直行する方向に延びた長穴5bが設けられ、長穴5bにはシフトレバー6の偏心位置に設けられた偏心ピン6dが挿入されている。シフトレバー6は図9及び図12に示すように円柱型をした軸部6aの外径より若干大きな内径を有するハウジング7のシフトレバー挿入穴9内に挿入され、シフトレバー6がハウジング7より抜け落ちるのを防止するために、シフトレバー6をシフトレバー挿入穴9内に挿入した際に図11及び図12に示すようにシフトレバー6の軸部6aに設けられた溝部6cに止め輪10が係合されシフトレバー6はハウジング7に回動可能に保持されている。
【0010】なお、シフトレバー6の回動はシフトレバー6の偏心ピン6dが挿入されるシフトアーム5に設けられた長穴5bによって図8に示す矢印21の範囲内と規制されている。
【0011】また、シフトレバー6にはハウジング7外部に突出するレバー部6bが設けられている。
【0012】上記したような構成とすることによって、レバー部6bを介してシフトレバー6を回動操作することにより、ハウジング7外部よりシフトアーム5を介してギヤ組3を出力軸4の軸方向である図8に示す矢印11方向に往復動させることができ、ギヤ組3をセカンドピニオン2の大ピニオン2c側に移動させて大ピニオン2cと小ギヤ3bとを噛合させれば出力軸4の回転速度を高速とし、ギヤ組3をセカンドピニオン2の小ピニオン2b側に移動させて小ピニオン2bと大ギヤ3aとを噛合させれば出力軸4の回転速度を低速とすることができるようになっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記したような構成の電動工具の速度切替装置は、シフトレバー6を回動操作することにより出力軸4の回転速度を高速と低速とに切替えることができるものであるが、シフトレバー6をハウジング7に回動可能に保持するために図9及び図12に示すようにハウジング7にシフトレバー6の軸部6a外径より若干径の大きいシフトレバー挿入穴9を設け、かつシフトレバー6をシフトレバー挿入穴9内に挿入した際にシフトレバー6がハウジング7より抜け落ちるのを防止するために、シフトレバー6をシフトレバー挿入穴9内に挿入した際に図11及び図12に示すようにシフトレバー6の軸部6aに設けられた溝部6cに止め輪10を係合させる必要があり、シフトレバー6の抜止め部材及び該抜止め部材の組立作業が必要であるという欠点があった。
【0014】本発明の目的は、上記欠点を解消し、部品点数の削減及び組立作業性の向上を図ることができる電動工具の速度切替装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的は、シフトレバーに溝部を設け、ハウジングのシフトレバー挿入穴に内径方向に延びシフトレバーの溝部と係合可能な突起部を少なくとも1個設けると共にシフトレバーにシフトレバーのハウジング内側端部から溝部まで延びる逃げ部を少なくとも1個設け、逃げ部内に突起部を位置させることによりシフトレバーをシフトレバー挿入穴内に挿入させることができ、シフトレバー挿入後にシフトレバーとシフトアームとを係合させた際には逃げ部と突起部との位置が一致しないよう構成することにより達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の電動工具の速度切替装置の一実施形態を図1〜図7を用いて以下説明する。
【0017】図1は本発明速度切替装置を採用した電動工具の要部断面拡大図、図2は図1の要部拡大斜視図、図3は本発明速度切替装置を構成するシフトレバーの一実施形態を示す斜視図、図4はシフトレバーとハウジングとの関係を示す要部断面側面図、図5はシフトレバー挿入穴内にシフトレバーを挿入した状態を示す要部断面拡大図、図6は図5の要部拡大図、図7は図5に示す状態からシフトレバーを回動させた状態を示す要部拡大図である。なお、従来の速度切替装置と同様の部位には同一の符号を付したので説明を省略する。
【0018】本発明電動工具の速度切替装置は、従来の速度切替装置と同様にシフトレバー6を回動操作させることによりシフトアーム5を介してギヤ組3を出力軸4の軸方向に往復動させ、セカンドピニオン2の大ピニオン2cとギヤ組3の小ギヤ3bとを噛合させるか、あるいは小ピニオン2bと大ギヤ3aとを噛合させるかを選択することができ出力軸4の回転速度を高速と低速とに切替えることができるものである。
【0019】図1及び図2に示すようにハウジング7のシフトレバー挿入穴9のハウジング7内側端部には内径方向に向かって延びる3個の突起部9aが設けられている。これに対してシフトレバー6には、シフトレバー6をシフトレバー挿入穴9内に挿入した際に突起部9aと係合する溝部6cが設けられており、またハウジング7内側端部から溝部6cにかけて延びそれぞれの突起部9aとほぼ同形状をした逃げ部6eが3個設けられている。突起部9a及び逃げ部6eはそれぞれ非対称に形成されており、これによってシフトレバー6が図6に示す状態から180°回転した状態では、突起部9aと逃げ部6eとの位置が一致せず、図6に示す状態のときにのみ突起部9aと逃げ部6eとの位置が一致するようになっている。なお、逃げ部6eの大きさは突起部9aが通過することができる大きさいであれば良いので逃げ部6eと突起部9aをほぼ同じ大きさとすれば良いが、組立性の向上を図るためには逃げ部6eは突起部9aより若干大きなものとすることが望ましい。
【0020】図5及び図6に示すようにシフトレバー6の逃げ部6eとシフトレバー挿入穴9に設けられた突起部9aとの位置を一致させることにより、突起部9aがシフトレバー6のハウジング7内側端部に突き当たらない状態でシフトレバー6をシフトレバー挿入穴9内に挿入させ、突起部9aとシフトレバー6の溝部6cとを係合させることができる。
【0021】なお、この際にはシフトレバー6のハウジング7側端部の偏心位置に設けられた偏心ピン6dが図示上方、すなわち組立て後において偏心ピン6dが位置することのない個所に位置するように設定されている。
【0022】図5及び図6に示すようにシフトレバー挿入穴9内にシフトレバー6を挿入させた後には、シフトレバー6を図7のように回動させ、偏心ピン6dとシフトアーム5の長穴14とを係合させることにより組立てが完了する。
【0023】ギヤ組3を往復動させるシフトアーム5が往復動する範囲は、偏心ピン6dが係合する長穴5bと、シフトアーム5の凸部5cがハウジング7に設けられた凹部8と係合していることにより、矢印21内と設定されており、偏心ピン6dが図5及び図6に示す状態にあり、すなわち突起部9aと逃げ部6eとの位置が一致する状態となることはなく、シフトレバー挿入穴9からシフトレバー6が抜け落ちるようなことはない。
【0024】上記したように本発明によれば、従来の速度切替装置のように止め輪等の抜止め部材を必要とするものではないので、部品点数の削減及び組立作業性の向上を図ることができるようになる。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、シフトレバーに溝部を設け、ハウジングのシフトレバー挿入穴に内径方向に延びシフトレバーの溝部と係合可能な突起部を少なくとも1個設けると共にシフトレバーにシフトレバーのハウジング内側端部から溝部まで延びる逃げ部を少なくとも1個設け、逃げ部内に突起部を位置させることによりシフトレバーをシフトレバー挿入穴内に挿入させることができ、シフトレバー挿入後にシフトレバーとシフトアームとを係合させた際には逃げ部と突起部との位置が一致しないようにしたことにより、シフトレバーの抜止め用部材を必要としなくなり、部品点数の削減及び組立作業性の向上を図ることのできる電動工具の速度切替装置を提供することができるようになる。
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成11年12月17日(1999.12.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−173778(P2001−173778A)
【公開日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【出願番号】 特願平11−358962