| 【発明の名称】 |
車両用多段変速機 |
| 【発明者】 |
【氏名】小貫 茂盛
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| 【要約】 |
【課題】スプリッタにニュートラルポジションを設けた車両用多段変速機にあって、エンジン始動初期に変速機内の各部を確実に潤滑する。
【解決手段】入力側に副変速機としてのスプリッタを備えた車両用多段変速機にあって、スプリッタにニュートラルポジションを設け、スプリッタをニュートラルポジションとそれ以外のポジションとに間欠的に変速操作するスプリッタ制御手段を設けると共に、始動初期にスプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止するスプリッタニュートラル変速禁止手段を設ける。始動初期にカウンタシャフトを回転させ、カウンタギヤによるオイルの掻き揚げ、オイルポンプによるオイル供給が可能となり、走行前に変速機内各部を確実に潤滑できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力側に副変速機としてのスプリッタを備えた車両用多段変速機にあって、上記スプリッタにニュートラルポジションを設け、該スプリッタをニュートラルポジションとそれ以外のポジションとに間欠的に変速操作するスプリッタ制御手段を設けると共に、エンジン始動初期に上記スプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止するスプリッタニュートラル変速禁止手段を設けたことを特徴とする車両用多段変速機。 【請求項2】 上記スプリッタニュートラル変速禁止手段が、エンジン始動後所定時間が経過するまで、上記スプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止する請求項1記載の車両用多段変速機。 【請求項3】 上記スプリッタニュートラル変速禁止手段が、エンジン始動後車速が所定値を上回るまで、上記スプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止する請求項1記載の車両用多段変速機。 【請求項4】 上記スプリッタニュートラル変速禁止手段が、エンジン始動後所定時間が経過し且つ車速が所定値を上回るまで、上記スプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止する請求項1記載の車両用多段変速機。 【請求項5】 出力側に別の副変速機としてのレンジギヤをさらに備えた請求項1乃至4いずれかに記載の車両用多段変速機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、トラクタ等の車両に適用される多段変速機に関する。 【0002】 【従来の技術】トレーラを牽引するトラクタ等では牽引時と無牽引時とで車両総重量が大きく異なるため、走行性能の向上を目的として主変速機に高低切換用の副変速機を設けることがある。この副変速機には入力側に設けられるスプリッタと出力側に設けられるレンジギヤとがある(特開平8-159258号公報等参照)。 【0003】ところで、従来のスプリッタは高速(ハイ)又は低速(ロー)の2ポジションしかなく、どちらか一方に必ず入っているというものであった。 【0004】しかし、これだと以下のような不都合を生じる。即ち、長距離ドライバの中には車内でエアコンを効かせながら仮眠をとる者も多い。このような状況下だとアイドリング駐車しているときにスプリッタを通じてエンジン動力が主変速機のカウンタシャフトに伝達されてしまうため、カウンタシャフトに取り付けられたカウンタギヤと、メインシャフトに取り付けられたメインギヤとが常時噛合回転し、その歯打ち音によるガラ音が発生するという問題がある。このガラ音は車内騒音に通じ問題となる。 【0005】この対策としてクラッチのダンパ特性の変更、シザースギヤの追加等が考えられるが、いずれにしてもカウンタシャフトへの動力伝達は相変わらず行われてしまうため、根本的な解決策とならない。また変速機全長が長くなり搭載性悪化の問題も生ずる。 【0006】そこで、本出願人は先に有効な解決策を提案した(特願平11-319915 号)。これにおいてはスプリッタにニュートラルポジションを設け、動力をスプリッタで断ち切り、カウンタシャフトの回転をなくし、ギヤ同士の歯打ち音、ガラ音を防止することができる。 【0007】また、長時間ニュートラルポジションのままだとカウンタギヤによるオイルの掻き揚げやオイルポンプの駆動が長時間できなくなり、潤滑不良が問題となるので、スプリッタをニュートラルポジションとそれ以外のポジションとに間欠的に変速操作し、カウンタシャフトを適宜回転させて潤滑を間欠的に行うようにしている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかし、先願には以下のような問題がある。即ち、車両整備等で長期間車両を未使用の状態におくと、変速機内のベアリング部、シンクロ部、ギャラリ等からオイルが落ちきってしまう。通常はスプリッタにニュートラルポジションがなくハイローいずれかに入っているので、エンジン始動と同時にカウンタシャフトが回転し、潤滑が開始される。よってエンジン始動後比較的短時間の間に走行を開始することができる。 【0009】しかし、先願の場合でスプリッタがニュートラルポジションにあると、エンジンが始動されても潤滑が行われない。よってこの状態から走行を開始してしまうと、オイルが各部に回っていないのに走行してしまうことになり、潤滑不良の問題が生じる。 【0010】そこで、本発明の目的は、スプリッタにニュートラルポジションを設けた車両用多段変速機にあって、エンジン始動初期に変速機内の各部を潤滑し、潤滑不良を防止することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明は、入力側に副変速機としてのスプリッタを備えた車両用多段変速機にあって、上記スプリッタにニュートラルポジションを設け、このスプリッタをニュートラルポジションとそれ以外のポジションとに間欠的に変速操作するスプリッタ制御手段を設けると共に、エンジン始動初期に上記スプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止するスプリッタニュートラル変速禁止手段を設けたものである。 【0012】これによれば、エンジン始動初期にカウンタシャフトを回転させることができ、潤滑可能となる。 【0013】上記スプリッタニュートラル変速禁止手段は、エンジン始動後所定時間が経過するまで、上記スプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止するものであってもよい。 【0014】上記スプリッタニュートラル変速禁止手段は、エンジン始動後車速が所定値を上回るまで、上記スプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止するものであってもよい。 【0015】上記スプリッタニュートラル変速禁止手段は、エンジン始動後所定時間が経過し且つ車速が所定値を上回るまで、上記スプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止するものであってもよい。 【0016】出力側に別の副変速機としてのレンジギヤをさらに備えてもよい。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。 【0018】図2は本発明が適用される車両のエンジン駆動系を示す。図示するように、エンジン(ここではディーゼルエンジン)1にクラッチ2を介して多段変速機(多段トランスミッション)3が取り付けられ、変速機3の出力軸4(図1参照)がプロペラシャフト5に連結されて後輪車軸(図示せず)を駆動するようになっている。エンジン1はエンジンコントロールユニット(ECU)6によって電子制御される。即ち、ECU6は、エンジン回転センサ7とアクセル開度センサ8との出力から現在のエンジン回転速度及びエンジン負荷を読取り、主にこれらに基づいて燃料噴射ポンプ1aを制御し、燃料噴射時期及び噴射量を制御する。 【0019】ここではクラッチ2と変速機3もトランスミッションコントロールユニット(TMCU)9の制御信号に基づいて自動操作され得るようになっている。ECU6とTMCU9とは互いにバスケーブル等を介して接続され、相互に連絡可能である。 【0020】クラッチ2は機械式摩擦クラッチであり、クラッチアクチュエータ10により自動断接されるものである。しかしながらここではクラッチペダル11によるマニュアル断接も可能である。所謂セレクティブオートクラッチである。クラッチアクチュエータ10は空圧作動され、TMCU9による電磁弁ユニット12の切換動作に基づき空圧が給排され、クラッチ2の自動断接を実行する。一方、クラッチアクチュエータ10内部に油圧作動弁が設けられ、クラッチペダル11の踏み込み操作が行われるとこれに応じてマスタシリンダ13から油圧が給排され、この油圧により油圧作動弁が開閉され、クラッチアクチュエータ10への空圧の給排制御が行われ、クラッチ2のマニュアル断接が実行される。クラッチ2の自動断接とマニュアル断接とが干渉した場合はマニュアル断接が優先する。 【0021】クラッチストロークを検知するクラッチストロークセンサ14及びクラッチペダル11の踏込みストロークを検知するクラッチペダルストロークセンサ16がそれぞれTMCU9に接続される。 【0022】変速機3は基本的には常時かみ合い式の構成であるが、その入力側にスプリットギヤ段17を、出力側にレンジギヤ段19を、これらギヤ段の間にメインギヤ段18を備え、変速機3の入力軸15(図1参照)に伝達されてきたエンジン動力をスプリットギヤ段17、メインギヤ段18、レンジギヤ段19へと順に送って出力軸4に出力するようになっている。スプリットギヤ段17は入力側の副変速機をなすと共に本発明のスプリッタをなす。レンジギヤ段19は出力側の別の副変速機をなすと共に本発明のレンジギヤをなす。メインギヤ段18は変速機3の主変速機をなす。 【0023】変速機3にはスプリットギヤ段17、メインギヤ段18、レンジギヤ段19のそれぞれの自動変速操作を行うためのスプリッタアクチュエータ20、メインアクチュエータ21、レンジアクチュエータ22が備えられる。これらアクチュエータもクラッチアクチュエータ10同様空圧作動され、TMCU9によって制御される。各ギヤ段17,18,19の現在ポジションを検知すべくスプリットギヤポジションセンサ23、メインギヤポジションセンサ24、レンジギヤポジションセンサ25が設けられ、TMCU9に接続される。また変速機3にはメインカウンタシャフト回転速度センサ26、メインシャフト回転速度センサ27、出力軸回転速度センサ28が設けられ、TMCU9に接続される。 【0024】クラッチ2の断接制御及び変速機3の変速制御は主に車室内のシフトレバー装置29からの信号を合図に行われる。即ち、ドライバが、シフトレバー装置29のシフトレバー29aを所定段にシフトすると、これに応じた変速指示信号がTMCU9に送られ、これを基にTMCU9はクラッチアクチュエータ10、スプリッタアクチュエータ20、メインアクチュエータ21及びレンジアクチュエータ22を適宜作動させ、一連の変速操作を実行させる。そしてTMCU9は現在のシフト段をモニター31に表示する。 【0025】この他、TMCU9にはパーキングブレーキスイッチやPTOスイッチ等も接続され、車両の走行状態、使用状態等を常時認識している。 【0026】図1は変速機内の構成を示す。図示するように、トランスミッションケース3a内に入力軸15、メインカウンタシャフト32(変速機のカウンタシャフトをなす)、メインシャフト33及び出力軸4が設けられる。入力軸15、メインシャフト33及び出力軸4は同軸配置され、メインカウンタシャフト32はそれらの下方に平行配置される。 【0027】入力軸15はその前端側(図の左方を前とする)がトランスミッションケース3aに軸支される。そしてその最前端がクラッチ2の出力側に接続され、後端部がメインシャフト33の前端部を収容状態で軸支する。メインシャフト33の後端部がトランスミッションケース3aに軸支され、その最後端には後に詳述するサンギヤ65が固設される。出力軸4の後端部はトランスミッションケース3aに軸支される。メインカウンタシャフト32もトランスミッションケース3aに軸支される。トランスミッションケース3a内にミッションオイルOが貯留される。メインカウンタシャフト32の後端部にミッションオイルを循環駆動するためのオイルポンプ35が接続される。 【0028】以下、スプリットギヤ段17とメインギヤ段18との構成を説明する。入力軸15にはスプリットハイギヤSHが回転可能に取り付けられる。またメインシャフト33にも前方から順にメインギヤM4,M3,M2,M1,MRが回転可能に取り付けられる。MRを除くギヤSH,M4,M3,M2,M1はそれぞれメインカウンタシャフト32に固設されたカウンタギヤCH,C4,C3,C2,C1に常時噛合状態で連結される。ギヤMRはリバースアイドルギヤIRに常時噛合され、リバースアイドルギヤIRはメインカウンタシャフト32に固設されたカウンタギヤCRに常時噛合される。 【0029】入力軸15及びメインシャフト33に取り付けられた各ギヤSH,M4…に、当該ギヤを選択し得るようスプライン36が一体的に設けられ、これらスプライン36を前後又は後に隣接させるようにして第1〜第4スプライン37〜40が設けられる。第1スプライン37は入力軸15の後端部に一体的に設けられ、第2、第3、第4スプライン38,39,40はメインシャフト33に一体的に設けられる。第1〜第4スプライン37〜40に係合して第1〜第4スリーブ42〜45が前後スライド可能に設けられる。第1〜第4スリーブ42〜45は矢示するようにそのスライド移動により隣接するギヤ側のスプライン36と係合・離脱し、第1〜第4スプライン37〜40とギヤ側スプライン36とを連結・分離する。 【0030】第1〜第4スリーブ42〜45に第1〜第4シフトアーム47〜50が係合して設けられ、第1シフトアーム47は前記スプリッタアクチュエータ20に、第2〜第4シフトアーム48〜50は前記メインアクチュエータ21に接続される。 【0031】このように、スプリットギヤ段17とメインギヤ段18とは各アクチュエータ20,21によって自動変速され得る常時噛み合い式の構成とされ、各アクチュエータが適宜第1〜第4スリーブ42〜45を移動してスプライン同士を連結することにより、任意のギヤを選択できる。通常同様、各スプライン部には図示しないシンクロ機構が介在され、連結の際の同期が得られるようになっている。また第2〜第4スプライン38〜40を含むメインギヤ段18のスプライン部には変速機3をニュートラルにできるようニュートラルポジションが設けられる。 【0032】図示されるように、メインギヤM4及びカウンタギヤC4から前の部分がスプリットギヤ段17であり、メインギヤM4及びカウンタギヤC4からメインギヤMR、カウンタギヤCR及びリバースアイドルギヤIRまでの部分がメインギヤ段18である。 【0033】次にレンジギヤ段19の構成を説明する。レンジギヤ段19は遊星歯車機構34を採用しており、ハイ・ローいずれかのポジションにのみ切り替えることができる。即ち、遊星歯車機構34は、メインシャフト33の最後端に固設されたサンギヤ65と、その外周に噛合される複数のプラネタリギヤ66と、プラネタリギヤ66の外周に噛合される内歯を有したリングギヤ67とからなる。各プラネタリギヤ66は共通のキャリア68に回転可能に支持され、キャリア68は出力軸4に連結される。リングギヤ67は管部69を一体的に有し、管部69は出力軸4の外周に相対回転可能に嵌め込まれて出力軸4とともに二重軸を構成する。 【0034】第5スプライン41が管部69に一体的に設けられる。また第5スプライン41の後方に隣接して、出力軸4に出力軸スプライン70が一体的に設けられる。第5スプライン41の前方に隣接して、トランスミッションケース3aに固定スプライン71が設けられる。第5スプライン41に係合して第5スリーブ46が前後スライド可能に設けられる。 【0035】第5スリーブ46は矢示するように前方にスライド移動したとき固定スプライン71にも係合し、第5スプライン41と固定スプライン71とを連結する。これによりリングギヤ67がトランスミッションケース3aに固定され、出力軸4が1より大きい減速比で回転駆動されるようになる。これがロー(LOW) のポジションである。 【0036】一方、第5スリーブ46は矢示するように後方にスライド移動したとき出力軸スプライン70にも係合し、第5スプライン41と出力軸スプライン70とを連結する。これによりリングギヤ67とキャリア68とが互いに固定され、出力軸4が1の減速比で直結回転駆動されるようになる。これがハイ(HIGH)のポジションである。 【0037】第5スリーブ46に第5シフトアーム51が係合して設けられ、第5シフトアーム51は前記レンジアクチュエータ22に接続される。これによりレンジギヤ段19がレンジアクチュエータ22によってハイ又はローに自動変速される。なお前記同様、レンジギヤ段19の各スプライン部にもシンクロ機構が介在され、連結の際の同期が得られる。遊星歯車機構34から後方の部分がレンジギヤ段19である。 【0038】図8にレンジギヤ段周辺を詳細かつ具体的に示す。なお同一の構成については同一の符号が付してある。 【0039】メインシャフト33及びメインカウンタシャフト32がトランスミッションケース3aにベアリング72,73を介して支持される。74〜76はメインギヤM2,M1,MRを支持するためのローラベアリングである。 【0040】キャリア68に複数のシャフト77が挿通支持され、これらシャフト77の外周にローラベアリング78を介してプラネタリギヤ66が取り付けられる。リングギヤ67の管部69が出力軸4の外周に相対回転可能に嵌め込まれて出力軸4とともに二重軸を構成する。出力軸4はトランスミッションケース3aにベアリング79を介して支持される。出力軸4の後端にプロペラシャフト5(図2参照)を連結するためのフランジ80が設けられる。 【0041】ここで、トランスミッションケース3a内は隔壁81,82によって三つの領域に仕切られる。即ち、メインギヤ室83と遊星歯車室84とレンジスプライン室85とである。メインカウンタシャフト32の後端に取り付けられたポンプシャフト86が、遊星歯車室84を横切ってレンジスプライン室85内にあるオイルポンプ35に接続している。メインギヤ室83と遊星歯車室84とは連通されているが、レンジスプライン室85はこれら室から分離した独立室である。特にレンジスプライン室85におけるオイルレベルをOR で示す。このレベルはちょうど第5スプライン41、出力軸スプライン70及び固定スプライン71に差し掛かる程度である。なおこれらスプラインの間には前述したように図示しないシンクロ機構が介在される。 【0042】メインシャフト33及びキャリア68の内部に、ローラベアリング74〜76,78等に給油するためのオイル通路87が設けられる。このオイル通路87にはオイルポンプ35から吐出されたオイルが供給される。また出力軸4の内部にも密閉状のオイル通路98が設けられ、このオイル通路98は連絡管96を介してメインシャフト33のオイル通路87からオイル供給を受ける。このオイル通路98のオイルは放射状の細いオイル通路97を通じて管部69及び出力軸4間の摺動部、スプライン部及びシンクロ部に供給される。なおオイル供給方向を矢示する。 【0043】図1に示すように、この変速機3では、スプリットギヤ段17において第1シフトアーム47により第1スリーブ42を前方にシフトするとハイ、後方にシフトするとローのポジションを得られ、これらハイ(HIGH)とロー(LOW) とで各々前進8段(計16段)、後退1段を選択できる。メインギヤM4及びカウンタギヤC4はスプリットギヤ段17のロー側とメインギヤ段18の7又は8速ギヤとを兼ねている。 【0044】特に、スプリットギヤ段17において、第1シフトアーム47により第1スリーブ42を中間に位置させるとニュートラル(N) ポジションを得られる。ニュートラルポジションでは第1スリーブ42が第1スプライン37上に位置するのみで、前後に隣接するいずれのスプライン36にも係合しない。従来はこのようなニュートラルポジションがなく、ハイ、ローいずれかのポジションが必ず選択されていた。 【0045】このニュートラルポジションを設けることにより前述のガラ音の発生が防止できる。即ち、車両がアイドリング駐車しているときはクラッチ2が接、メインギヤ段18がニュートラルにある。このときスプリットギヤ段17がハイ側にシフトされていると、エンジン動力が入力軸15、第1スプライン37、第1スリーブ42、スプリットハイギヤSHのスプライン36、スプリットハイギヤSH、カウンタギヤCHという経路を経てメインカウンタシャフト32に伝わる。こうなるとこれに固設されたカウンタギヤC4,C3,C2,C1,CRと、メインシャフト33に回転可能に取り付けられたメインギヤM4,M3,M2,M1,MRと、リバースアイドルギヤIRとが噛合回転することになるから、歯打ち音によるガラ音が発生する。 【0046】一方、スプリットギヤ段17がロー側にシフトされていると、エンジン動力が入力軸15、第1スプライン37、第1スリーブ42、メインギヤM4のスプライン36、メインギヤM4、カウンタギヤC4という経路を経てメインカウンタシャフト32に伝わり、これにより前記ギヤ群が噛合回転し、歯打ち音によるガラ音が発生することとなる。 【0047】そこで、スプリットギヤ段17をニュートラルにすると、エンジン動力が入力軸15までで断たれ、入力軸15、第1スプライン37及び第1スリーブ42の回転のみに止どまり、前記ギヤ群の回転を防止できる。これにより歯打ち音によるガラ音の発生を防止できることとなる。 【0048】ところで、このようなニュートラル操作を可能とするスプリッタアクチュエータ20の構成は図3の如きである。即ち、トランスミッションケース3a内部にシリンダ室52が区画形成され、シリンダ室52に第一ピストン53及び第二ピストン54が収容され、これによりシリンダ室52が三つのシリンダ室52N,52L,52Hに分割される。各シリンダ室52N,52L,52Hにはやはりトランスミッションケース3a内部に形成された空圧ポート53N,53L,53Hが連通接続される。各ポートはそれぞれ電磁弁54N,54L,54Hを介してエアタンク55に接続される。第二ピストン54にストライキングロッド56が前後スライド可能(図の左方が前)に接続され、ストライキングロッド56に、先の第1スリーブ42に係合する第1シフトアーム47が固設される。 【0049】これにより、第1シフトアーム47が第一及び第二ピストン53,54によって三段階に前後移動され、第1スリーブ42をニュートラル(N)、ハイ(H)、ロー(L)の各ポジションに位置付けることができる。 【0050】これら各ポジションを検出すべく、ディテントボールスイッチからなる位置センサ58N,58L,58Hがストライキングロッド56に付帯して設けられる。これら三つの位置センサにより前記スプリットギヤポジションセンサ23が構成される。一方ストライキングロッド56には一ヶ所だけディテント溝59が設けられる。ディテント溝59にディテントボールが入った位置センサのみがONとなり、各ポジションを選択的に検出できる。各電磁弁54N…と各位置センサ58N…とはTMCU9に接続される。 【0051】各ポジションと各電磁弁54N…及び各位置センサ58N…との対応関係は図4に示す通りである。いま仮にハイのポジションが選択されると、電磁弁54HのみがONされ残りの電磁弁54L,54NはOFF される。ONの電磁弁からエアタンク55の空圧が供給され、OFF の電磁弁では空圧供給が断たれシリンダ室が大気開放されるから、この組合せによればシリンダ室52Hのみに空圧が供給され、二つのピストン53,54が同時に最前端に移動されてスプリットギヤ段17がハイにシフトされる。また、仮にローのポジションが選択されると、電磁弁54LのみがONされ、第一ピストン53が最前端に、第二ピストン54が最後端に離反移動される。これによりスプリットギヤ段17がローにシフトされる。 【0052】ニュートラルポジションが選択されたときは、電磁弁54H,54Nが同時にONされ、電磁弁54LはOFF される。こうなると第一ピストン53と第二ピストン54とが近接移動し、第一ピストン53はピストンストッパ面60に突き当たって停止し、第二ピストン54は第一ピストン53に突き当たって停止する。これにより両ピストンがシリンダ室52のほぼ中間に位置され、スプリットギヤ段17をニュートラルにシフトすることができる。 【0053】なお、同様の構成がレンジアクチュエータ22においてもなされる。即ち図8に示すように、トランスミッションケース3aの後端内部にシリンダ室90が区画形成され、シリンダ室90にレンジ用ピストン91が前後移動可能に収容され、シリンダ室90が二つのシリンダ室90L,90Hに分割される。各シリンダ室90L,90Hにトランスミッションケース3a内部に形成された空圧ポート91L,91Hが連通接続され、各ポートにそれぞれ入口ニップル92L,92Hが取り付けられる。これら入口ニップルはそれぞれ図示しない電磁弁を介してエアタンクに接続される。 【0054】レンジ用ピストン91にレンジ用ストライキングロッド93が前後スライド可能に接続され、レンジ用ストライキングロッド93に、先の第5スリーブ46に係合する第5シフトアーム51が固設される。レンジ用ストライキングロッド93にディテント溝94が設けられ、ディテントボールスイッチからなる位置センサ95が設けられる。なおこの位置センサ95が前記レンジギヤポジションセンサ25をなす。ディテントボール95aのディテント溝94への係合・離脱により位置センサ95のON/OFFが切り替わり、レンジギヤ段19のハイ・ローを検出できる。 【0055】後方のシリンダ室90Lに空圧が供給されると、レンジ用ストライキングロッド93が前方に移動されてレンジギヤ段19がローとなり、逆に前方のシリンダ室90Hに空圧が供給されると、レンジ用ストライキングロッド93が後方に移動されてレンジギヤ段19がハイとなる。 【0056】ところで、アイドリング駐車でスプリットギヤ段17を長時間ニュートラルにしておくと以下のような問題が生じる。即ち、図1を参照して、変速機3では全ての軸支部にベアリングを設け、これら軸支部をカウンタギヤC4…で跳ね上げられたオイルにより、或いはオイルポンプ35から供給されたオイルにより潤滑するようになっている。 【0057】しかし、スプリットギヤ段17をニュートラルにするとメインカウンタシャフト32が回転駆動されないため、オイルの跳ね上げやオイルポンプ35の駆動ができない。 【0058】アイドリング駐車でスプリットギヤ段17がニュートラルのとき、回転するのは実質的には入力軸15だけである。よって他の軸の軸支部の潤滑不良は問題とならないものの、入力軸15の軸支部において潤滑不良を招くおそれがある。具体的には、図示する三つのベアリング61A,61B,61Cが潤滑されないで摩耗を生じたり、最悪焼き付く虞がある。 【0059】そこで、ここではスプリットギヤ段17をニュートラルポジションとそれ以外のポジションとに間欠的に変速操作し、メインカウンタシャフト32の回転を適宜発生させ、軸支部の潤滑を間欠的に行うようにしている。 【0060】以下この内容を説明する。図6にはかかる変速操作に関する基本制御の内容が示される。本制御はTMCU9によって実行される。なおここではドライバがエアコンを作動させながらアイドリング駐車して仮眠をとるようなケースを想定している。 【0061】TMCU9は、まずステップ601においてスプリットギヤ段(スプリッタ)17をニュートラル(N)にする条件(スプリッタN条件)が成立しているか否かを判断する。この条件とはメインギヤ段ニュートラル、車速ほぼゼロ、パーキングブレーキ作動中、PTOスイッチOFF という全ての条件が所定時間(例えば3秒)以上満たされていることである。条件成立のときはステップ602に進み、条件不成立のときはステップ601を繰り返す。 【0062】ステップ602でクラッチ2を自動分断し、この後ステップ603でスプリッタアクチュエータ20を作動させ、スプリットギヤ段17をニュートラルにシフトする。そしてステップ604に進んでクラッチ2を自動接続する。次にステップ605で位置センサ58Nによりスプリットギヤ段17がニュートラルになったことを確認する。確認を終えたらステップ606に進み、内蔵タイマにより時間をカウントし、所定のインターバル時間tint の経過を待つ。この時間tintは後述の方法に従って油温に基づいて決定される。 【0063】時間が経過したらステップ607でクラッチ2を自動分断し、ステップ608でスプリットギヤ段17をハイ(H)にシフトし、ステップ609で位置センサ58Hによりハイへのシフト終了を確認し、ステップ610でクラッチ2を自動接続する。これによりメインカウンタシャフト32が回転開始となり、軸支部への潤滑が行われる。 【0064】この後ステップ611に進み、内蔵タイマで時間をカウントし、所定時間tHの経過を待つ。この時間は後述の方法に従って決定される。この時間が経過したらステップ612に進み、クラッチ2を自動分断し、ステップ613でスプリットギヤ段17をニュートラルにシフトし、ステップ614でクラッチ2を自動接続する。これにより本制御を終了する。後はこのフローを繰り返せばスプリットギヤ段ニュートラルと潤滑とを何回でも繰り返し行うことができる。 【0065】次に、ステップ606におけるインターバル時間tint 及びステップ611における1回の潤滑時間tH (スプリットギヤ段17をハイにしている時間)の決定方法を説明する。 【0066】上述のように、かかる基本制御は所定のインターバル時間毎にスプリットギヤ段17をハイにし、一定時間メインカウンタシャフト32を回転させて潤滑を行うというものである。このインターバル時間と1回の潤滑時間とをどのように定めるかは潤滑性能と静粛性とのバランスを図る上で重要である。そこでここではオイルの温度即ち粘性によって潤滑の要否の程度を判断し、これに基づいてインターバル時間等を定めるようにしている。 【0067】このときの考え方は以下の通りである。即ち、オイルの温度が高温で粘性が低い場合、軸支部の油膜切れを起こしやすいので比較的短いインターバル時間毎に潤滑を行う。一方このときはオイルが摺動部に浸透しやすいので、1回の潤滑時間は短めに設定する。次に、オイルの温度が低温で粘性が高い場合、軸支部の油膜切れを起こし難いのでインターバル時間は長めに設定できる。一方オイルが摺動部に回り難いので1回の潤滑時間は長めに設定する。さらにオイルの温度が極低温で粘性が著しく高い場合、オイルを急速に暖め所望の潤滑性能を早く発揮できるよう、インターバル時間をゼロとし、スプリットギヤ段17をハイに保持し、メインカウンタシャフト32を回転し続け、オイルを積極的に撹拌し潤滑も継続する。このときはギヤ間に大きな粘性抵抗が生じるため歯打ち音は極めて少なく、ガラ音の問題は生じない。 【0068】この考え方に基づき、実際には実機試験等を行い、潤滑が保持できなくなった時間に安全率を見込んでインターバル時間と1回の潤滑時間とを定める。 【0069】しかし、油温を直接パラメータとすると油温センサが別途必要となる。そこでここでは図1、図2に示したメインカウンタシャフト回転速度センサ26を用い、メインカウンタシャフト32の回転の落込み具合によって油温を推定し、これに従ってインターバル時間と1回の潤滑時間とを決定するようにしている。メインカウンタシャフト回転速度センサ26はカウンタギヤCHから回転パルスを取り出すもので、本来変速制御用として必要なものであるが、ここでは油温推定用としても兼用し、これによりコストの上昇を抑えるようにしている。 【0070】これに際して使用する油温推定マップを図5に示す。このマップでは横軸が時間t、縦軸がメインカウンタシャフト回転数Nc(rpm) となっている。二本の曲線A,Bはそれぞれ油温Toil がToil1,Toil2のときのメインカウンタシャフト回転数Ncの落込み具合を示している。Toil1>Toil2で、ここではToil1が30℃、Toil2が0℃に設定されている。回転の落込みはエンジンアイドリング中のメインカウンタシャフト回転数Ncidleから開始し、回転ゼロになると終了である。Ncidleはここでは 500(rpm) である。回転落込みの開始時点はクラッチ断終了時である。この開始時刻をtstで示す。 【0071】図示するように、低油温時(Toil2)の方が高油温時(Toil1)よりも回転の落込み方が激しく、ゼロになるまでの時間も短い(Δt2 <Δt3 )。そして曲線Bの下側の領域だとToil <Toil2、曲線A,Bに挟まれた領域だとToil2<Toil <Toil1、曲線Aの上側の領域だとToil1<Toil といえる。 【0072】そこで実際の回転の落込みから油温を推定する方法として二通りの方法がある。一つは開始から一定時間(Δt1 )内の回転の減速度を調べ、これをマップと比べる方法、他の一つは開始から終了までの時間を測定し、これをマップ中の時間Δt2 ,Δt3 と比べる方法である。ここでは測定時間が短い等の理由から前者の方法を採用するが、後者の方法を選択するのは自由である。なお油温推定マップはTMCU9に予め記憶される。 【0073】次に、インターバル時間と1回の潤滑時間との決定フローを図7に示す。このフローはTMCU9によって実行される。ここではインターバル時間等の決定を車両発進時のクラッチ制御に併せて行っている。 【0074】まず、発進前の初期条件としてシフトレバーニュートラル(即ちメインギヤ段ニュートラル)、クラッチ接、且つエンジンアイドリング中であることを要する。この状態からドライバがシフトレバーをドライブレンジに操作すると、変速機のギヤ入れを行うためクラッチが自動分断される。このときついでにスプリットギヤ段をニュートラルにし、油温推定及びインターバル時間等の決定を行おうというものである。 【0075】図示するフローは上記ドライバによるシフトレバー操作と同時に開始する。まずステップ701においてクラッチを自動分断し、これと同時にステップ702においてスプリットギヤ段(スプリッタ)をニュートラル(N)にする。こうなるとメインカウンタシャフト回転数がNcidleから落込むから、ステップ703でその減速度を計算し、ステップ704で油温Toil を推定する。 【0076】次に、ステップ705に進んでその推定された油温Toil を先の設定温度Toil1と比較する。Toil1<Toil のときはステップ706に進んでインターバル時間tint をtA (ここでは約2時間)とし、1回の潤滑時間tH をtC (ここでは約5分)より短い時間とする。Toil1≧Toil のときはステップ707に進み、油温Toil を設定温度Toil2と比較する。Toil2<Toil のときはステップ708に進んでインターバル時間tint をtB (tB >tA 、ここでは約4時間)とし、1回の潤滑時間tH をtC に等しくする。Toil2≧Toil のときはステップ709に進み、インターバル時間tint を0とし、油温Toil がToil2に達するまでメインカウンタシャフトを連続回転させ、潤滑を継続するようにする。 【0077】こうしてインターバル時間tint と1回の潤滑時間tH とが決定されたら、ステップ710に進んでメインギヤ段の変速制御とクラッチの接続制御とを実行し、本制御を終了する。 【0078】このように、本制御によれば、実際の油温に応じてできるだけ長いインターバル時間と必要最小限の潤滑時間とを得られるため、潤滑性能と静粛性とを最大限バランスさせ、同時に高い信頼性も確保できる。 【0079】なお、以下のような変形例が考えられる。例えば、図6のステップ607,610等に示されるように、本実施形態では機械的保護のためスプリットギヤ段を変速するときに一旦クラッチを切り、変速後接続するようにしているが、シンクロ機構があるため、メインギヤ段がニュートラルでエンジンがアイドリング程度であれば、クラッチを断接しないで変速することも可能である。また本実施形態では潤滑の際にスプリットギヤ段をハイに入れている。これはこの方がメインカウンタシャフト回転数が高く、潤滑に有利だからである。しかしながら若干効果は落ちるもののローに入れることは可能である。要はニュートラル以外のいずれかのポジションに入れればよい。各数値(Toil1,Toil2等)の具体値も適宜変更が可能である。本実施形態ではインターバル時間及び潤滑時間の両方を油温に応じて決定するようにしたが、いずれか一方のみを決定するようにしてもよい。この場合潤滑時間は変化の幅が少ないことから、インターバル時間のみを油温に応じて大きく変えるようにするとよい。 【0080】上記説明から分かるように、ここではスプリッタアクチュエータ20とTMCU9とが本発明のスプリッタ制御手段を構成している。 【0081】さて、既述の如く、車両を整備等の理由で長期間休止させた後、エンジンを再始動し、スプリッタをニュートラルとしたまま暖機し、走行を開始すると、オイルが変速機内のベアリング部、シンクロ部等各部に回っていないのに走行してしまうことになり、潤滑不良を招く虞がある。 【0082】即ち、図1、図8に示すように、スプリットギヤ段17がニュートラルだとメインカウンタシャフト32が回転しないため、各カウンタギヤCH,C4…によるオイルの掻き揚げができない。またオイルポンプ35も駆動されないため、オイル通路87等を通じて各ベアリング部等にオイルを供給することができない。 【0083】特に、レンジギヤ段19ではカウンタギヤが存在しないためこれによるオイルの掻き揚げができない。このためオイルの供給は主としてオイルポンプに頼らざるを得ず、オイル供給上不利である。もっともレンジスプライン室85では、オイルポンプ35による供給と、第5スプライン41及び出力軸スプライン70の回転による掻き揚げとによって、スプライン部及びシンクロ部にオイル供給するが、スプリットギヤ段17がニュートラルだとオイルポンプ35による供給がなく、レンジギヤ段19も全く駆動されないことからスプラインによる掻き揚げができない。このためスプライン部及びシンクロ部にオイルが回りきってない状態から走行が開始され、潤滑不足の問題は顕著となる。一方、オイルレベルOR が第5スプライン41及び出力軸スプライン70にぎりぎり触れる程度にしか設定されていないため、掻き揚げ量自体少なく、走行前にオイルポンプ35で十分潤滑しておくのが望ましい。低温時等オイルが回り辛い状況ではなおさらである。 【0084】そこで、このような問題を解消すべく、この変速機3ではエンジン始動初期にスプリットギヤ段17のニュートラルポジションへの変速を禁止するスプリッタニュートラル変速禁止手段が設けられる。これは具体的にはTMCU9に予め格納された変速禁止プログラムからなる。以下その内容を説明する。 【0085】図9は、車両のエンジン停止時に実行する制御、即ちスプリッタN非許可制御の内容を示す。TMCU9はまずステップ901で車両のイグニッションキーがOFF とされたか否か、即ちエンジン停止指示があったか否かを判断する。OFF とされてなければステップ901に戻ってOFF となるまで待機し、OFF となったらステップ902に進んでスプリットギヤ段17(スプリッタ)をニュートラル(N)にする制御を非許可とする。このとき仮にスプリットギヤ段17がニュートラルに入っていればこれをハイ・ローいずれかに変速し、ハイ・ローいずれかに入っていれば現状を維持する。以上によりTMCU9側での制御を終了し、この後ECU6側でエンジン停止が実行される。こうなるとエンジンないし車両はスプリットギヤ段17がハイ・ローいずれかに入った状態で停止されることとなる。 【0086】図10は、上記制御後のエンジン始動時に実行する制御、即ちスプリッタN非許可保持制御の内容を示す。この制御は車両のイグニッションキーがONされたと同時に、実質的にはエンジン始動と同時に開始する。TMCU9はまずステップ1001で内蔵タイマのカウントを開始する。そしてステップ1002に進み、カウンタ値Cを予め設定された値C0 と比較する。この設定値C0 は、変速機内の各潤滑部にオイルを行き渡らせることができる十分な時間とされ、実機試験等で定められる。ここでは10分である。カウンタ値Cが設定値C0 以下のときはステップ1002を繰り返し、カウンタ値Cが設定値C0 を上回ったときはステップ1003に進み、スプリットギヤ段17をニュートラルにする制御を許可する。これにより本制御を終了し、後は図6に示した通常制御に移行する。このように本制御ではエンジン始動後所定時間C0 が経過するまでスプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止する。この制御により少なくとも時間C0 の間はカウンタシャフト及びオイルポンプが回転され、変速機内を十分潤滑できる。 【0087】図11は、スプリッタN非許可保持制御の変形例を示す。これにおいては、エンジン始動後車速が所定値を上回るまでスプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止する。即ち、TMCU9がステップ1101において出力軸回転速度センサ28の出力から車速Vを計算して読み込み、ステップ1102においてその車速Vを予め設定された値V0 と比較する。設定値V0 も前記同様、変速機内の各潤滑部にオイルを行き渡らせるのに十分な車速とされ、実機試験等で定められる。ここでは50km/hである。車速Vが設定値V0 以下のときはステップ1102を繰り返し、車速Vが設定値V0 を上回ったときはステップ1103に進み、スプリットギヤ段17をニュートラルにする制御を許可する。この制御により、車速Vがゼロである暖機中はもちろんのこと、車速Vが設定値V0 を上回るまでカウンタシャフト及びオイルポンプが回転され、エンジン始動初期における変速機内の潤滑が十分可能となる。 【0088】図12は、スプリッタN非許可保持制御のさらなる変形例を示す。これにおいては、エンジン始動後所定時間が経過し、且つ車速が所定値を上回るまでスプリッタのニュートラルポジションへの変速を禁止する。本制御は図10の制御と図11の制御とを加えたもの、或いは両制御をAND条件で結んだものとなっている。即ち、制御開始からステップ1001、1002、1101、1102、1003(1103)の順で制御を実行する。この制御によりエンジン始動後所定時間C0 が経過し、且つ車速Vが所定車速V0 を上回るまで、カウンタシャフト及びオイルポンプが回転され、エンジン始動初期の変速機内の潤滑が十分可能となる。なお、これらステップを適宜入れ替える変形が可能である。 【0089】以上の制御により、潤滑に不利な構造のレンジギヤ段においても、暖機等のエンジン始動初期の段階で確実に潤滑でき、潤滑不良を未然に防止できる。 【0090】なお、本発明の実施形態は以上のものに限られない。例えば本発明はレンジギヤ段のない変速機にも有効である。スプリットギヤ段及びメインギヤ段のエンジン始動初期の潤滑が確実に行えるからである。クラッチもマニュアルのないフルオートクラッチや通常のマニュアルクラッチが可能である。 【0091】 【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮する。 【0092】(1) スプリッタにニュートラルポジションを設けた車両用多段変速機にあって、エンジン始動初期に変速機内の各部を確実に潤滑することができる。 【0093】(2) 潤滑不良の問題をなくし、信頼性を確保できる。 【0094】(3) レンジギヤをエンジン始動初期の段階で確実に潤滑できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000170 【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月20日(1999.12.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068021 【弁理士】 【氏名又は名称】絹谷 信雄
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| 【公開番号】 |
特開2001−173775(P2001−173775A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−361530 |
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