| 【発明の名称】 |
フルパワーシフトトランスミッションにおける油圧クラッチ制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】江田 秀弥
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 それぞれ複数の油圧クラッチにより動力伝達経路を切換えて変速する主変速部及び副変速部を備え、前記主変部及び副変速部の各変速段をそれぞれ乗算するようにして多段変速段を得るパワーシフトトランスミッションにおいて、少なくとも現変速作動の次に作動する副変速部の変速段を予測する次作動副変速部予測手段と、該予測手段にて予測された副変速部の変速段を達成する油圧クラッチに、該クラッチが接続しない程度の保持圧を予め供給する保持圧供給手段と、を備えたことを特徴とするフルパワーシフトトランスミッションにおける油圧クラッチ制御装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、複数の油圧クラッチにより動力伝動経路を切換えて変速するパワーシフトトランスミッション、特にそれぞれ複数の油圧クラッチを有する主変速部及び副変速部を備えてなるパワーシフトトランスミッションに係り、詳しくは油圧クラッチを接続するために油圧を昇圧する際の油圧クラッチ制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、この種パワーシフトトランスミッションは、副変速部を低速Lに保持した状態で主変速部を1速、2速、3速にして全体での1速、2速、3速を得、また副変速部を中速Mに保持した状態で主変速部を1速、2速、3速にして全体での4速、5速、6速を得、そして副変速部を高速Hに保持した状態で全体での7速、8速、9速を得ている。 【0003】この際、主変速部のみを切換える変速状態でも、現在接続している油圧クラッチを切断すると共に変速段に対応した油圧クラッチを接続する2個の油圧クラッチの切換えを必要とし、特に、全体での3速(L−3)→4速(M−1)、4速(M−1)→3速(L−3)、6速(M−3)→7速(H−1)、7速(H−1)→6速(M−3)の変速時、副変速部及び主変速部両方の油圧クラッチをそれぞれ切換える事態を生ずる。 【0004】そして、従来、変速レバーを操作すると、該操作と同時にそれぞれ対応する油圧クラッチの油圧が昇圧するように制御している。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このため、上述した副変速部及び主変速部が同時に切換わる変速段3→4速、4→3速、6→7速、7→6速では、副変速部及び主変速部の両方の油圧クラッチに油圧を供給する必要がある関係上、これら油圧クラッチの昇圧が遅れぎみとなり、主変速部のみ切換える変速段に比して変速ショックが大きくなっている。例えば、3速から4速にアップシフトする場合、主変速部が1速に切換えられる際、副変速部の切換えが遅れて低速状態(L)のままだと、1度1速にダウンシフトし、その後副変速部が中速状態(M)に変速して4速となる(3→1→4速)変速状態を生じ、大きな変速ショックを生ずる。 【0006】そこで、本発明は、次にシフトされる副変速側の油圧クラッチに、予め保持圧をたてておくことにより、上述した課題を解決したパワーシフトトランスミッションを提供することを目的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、上述事情に鑑みなされたものであって、それぞれ複数の油圧クラッチにより動力伝達経路を切換えて変速する主変速部及び副変速部を備え、前記主変速及び副変速部の各変速段をそれぞれ乗算するようにして多数変速段を得るパワーシフトトランスミッションにおいて、少なくとも現変速作動の次に作動する副変速部の変速段を予測する次作動副変速部予測手段と、該予測手段にて予測された副変速部の変速段を達成する油圧クラッチに、該クラッチが接続しない程度の保持圧を予め供給する保持圧供給手段と、を備えたことを特徴とするフルパワーシフトトランスミッションにおける油圧クラッチ制御装置にある。 【0008】 【作用】以上構成に基づき、副変速部及び主変速部の油圧クラッチを同時に切換える際、例えば3速(L−3)から4速(M−1)にアップシフトする際、図2に示すように、副変速部の低速(L)用油圧クラッチ及び主変速部の3速用油圧クラッチの油圧を解放すると同時に、副変速部の中速(M)用油圧クラッチ及び主変速部の1速用油圧クラッチの油圧を昇圧制御する。この際、前もって、次にシフトされる副変速部の油圧クラッチ、例えば中速(M)用油圧クラッチには、予め所定保持圧が与えられており、該油圧クラッチへの油圧供給遅れが生ずることがなく、素早く所定特性にて昇圧してクラッチを接続する。これにより、副変速部の油圧クラッチの係合遅れを生ずることなく、従って例えば3→1→4速のような変速状態を生ずることなく、3→4速等に変速される。 【0009】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、少なくとも現変速作動の次に作動が予測される副変速部の油圧クラッチに所定保持圧が予め与えられているので、副変速部及び主変速部を同時に切換える場合も、副変速部の油圧クラッチの係合遅れを防止して、大きな変速ショックを生ずることをなくすことができる。 【0010】 【実施例】以下、図面に沿って本発明による実施例について説明する。 【0011】トラクタに搭載されるパワーシフトトランスミッション1は、図4に示すように、1速用油圧クラッチC1 、2速用油圧クラッチC2 及び3速用油圧クラッチC3 を有する主変速部2と、低速用油圧クラッチCL 、中速用油圧クラッチCM、高速用油圧クラッチCH 及び後進用油圧クラッチCR を有する副変速部3と、を備えている。なお、5はエンジンからの回転を前記主変速部2に伝達する湿式クラッチ、6はニュートラル時に作動するニュートラルブレーキ、7は前輪駆動用クラッチ、9は後輪車軸、そして10は独立PTO用クラッチ、11はPTO用変速部である。 【0012】エンジン回転は、軸12から湿式クラッチ5及びギヤ13,14,15を介して主変速軸17に伝達される。そして、変速レバー(図示せず)が1速状態にある場合、1速用油圧クラッチC1 及び低速用油圧クラッチCL が接続して他は切断状態にあり、従って主変速軸17の回転は、ギヤ19、1速用油圧クラッチC1 、ギヤ20,21,22、軸23、ギヤ25,26、副変速部27、ギヤ29、低速用油圧クラッチCL 、軸30、ギヤ31,32,33,35、ピニオン36、ベベルギヤ37及び最終ギヤ39,40を介して後車輪9に伝達される。また、変速レバーが2速状態にある場合、副変速部3の低速用油圧クラッチCL は接続状態のまま、主変速部2は2速用油圧クラッチC2 が接続するように切換わる。この状態にあっては、主変速軸17の回転は、ギヤ41及び2速用油圧クラッチC2 を介して軸23に伝達される。また、3速状態は、副変速部3はそのままの状態で、主変速部2が3速用油圧クラッチC3 を接続するように切換わる。この状態では、主変速軸17の回転は、ギヤ42及び3速用油圧クラッチC3 を介して軸23に伝達される。 【0013】そして、変速レバーを4速にすると、主変速部2は1速用油圧クラッチC1 が接続するように切換わると共に、副変速部3は中速用油圧クラッチCM が接続するように切換わる。この状態にあっては、先に説明した1速用油圧クラッチC1を介して伝達されている軸23の回転が、中速用油圧クラッチCM を介して直接軸30に伝達される。そして、5速及び6速にあっては、副変速部3が中速用油圧クラッチCM を接続状態に維持したままで前述と同様に主変速部2が2速用クラッチC2 又は3速用クラッチC3 を接続するように切換わる。 【0014】そして、変速レバーを7速にすると、主変速部2は1速用油圧クラッチC1 が接続するように切換わると共に、副変速部3は高速用油圧クラッチCH が接続するように切換わる。この状態にあっては、主変速部2の軸23の回転が、ギヤ25,26及び高速用油圧クラッチCH を介してピニオンシャフト36aに伝達される。そして、8速及び9速にあっては、副変速部3が高速用油圧クラッチCHを接続状態に維持したままで、主変速部2が2速用油圧クラッチC2 又は3速用油圧クラッチC3 を接続するように切換わる。 【0015】更に、変速レバーを後進1速にすると、主変速部2は1速用油圧クラッチC1が接続するように切換わると共に、副変速部3は後進用油圧クラッチCR が接続するように切換わる。この状態にあっては、主変速部2からの軸23の回転は、ギヤ25,26、副変速部27及びギヤ29を介して後進用油圧クラッチCR に伝達され、更に逆転ギヤ45を介してピニオンシャフト36aに伝達される。そして、後進2速及び3速にあっては、副変速部3が後進用油圧クラッチCR を接続状態に維持したままで、主変速部2が2速用そして3速用油圧クラッチC2 、C3 を接続するように切換わる。 【0016】一方、図1に示すように、変速レバーの枢支軸部分には回転型ポテンショメータ50が配設されており、該ポテンショメータ50は変速レバーの各変速段位置に対応したアナログ電圧信号を制御部(マイコン)51に送信する。該制御部51は上部ポテンショメータ50から入力した0〜5Vのアナログ電圧信号に基づき、前述した各油圧クラッチの中で作動すべくクラッチに対応する位置を選定し、該選定されたアウトポートに0〜5Vのアナログ電圧信号を出力する。そして、各アウトポートは電圧−電流交換モジュール52に連通しており、各アウトポートからのアナログ電圧信号は、該モジュール52にて0〜1Aのアナログ電流に変換され、更にそれぞれ前記各油圧クラッチC1 ,C2 ,C3 ,CL ,CM ,CH ,CR に対応する電磁比例減圧弁V1 ,V2 ,V3 ,VL ,VM ,VH ,VR に出力している。 【0017】また、前記制御部51には保持圧供給手段53及び次作動副変速部予測手段55が内蔵されている。保持圧供給手段53は副変速部3の低速用、中速用及び高速用の各油圧クラッチ操作用の電磁比例弁減圧弁VL ,VM ,VH に対応するアウトポートに出力しており、これら比例減圧弁VL ,VM ,VH を、各油圧クラッチが係合しない程度の保持圧が作用するように制御する。また、次作動副変速部予測手段55は、次にシフトされる副変速部における油圧クラッチCL ,CM,CH を予測し、該油圧クラッチに対応するアウトポートに前記保持圧供給手段が出力するように選択する。 【0018】そして、図3に油圧回路を示す。図中、56は油圧ポンプ、57は低圧(例えば15kg/cm2 )リリーフバルブである。更に、C1 ,C2 ,C3 ,CL ,CM ,CH ,CR はそれぞれ油圧クラッチであり、V1 ,V2 ,V3 ,VL ,VM ,VH ,VR はそれぞれ各油圧クラッチを操作する電磁比例減圧弁である。 【0019】ついで、図2に沿って、上述実施例の作用について説明する。 【0020】変速レバーを3速(L−3)から4速(M−1)にアップシフトする場合、3速状態にあっては、副変速部3の低速(L)用油圧クラッチCL に油圧が供給されて接続状態にあり、かつ主変速部2の3速用油圧クラッチC3 に油圧が供給されて接続状態にある。更に、次作動副変速部予測手段55が次に中速(M)用油圧クラッチCM が接続することを予測し、保持圧供給手段が所定アウトポートに出力して電磁比例減圧弁VM を所定保持圧Pm が立つように制御されている。この状態にあっては、中速用油圧クラッチCM は、クラッチが係合する直前の油圧からなる保持圧Pm が予め供給され、引きずりトルクが生じない程度に摩擦板が接触している。そして、この状態から、電磁比例減圧弁VL ,V3 が操作されて、低速用油圧クラッチCL 及び3速用油圧クラッチC3 への油圧が解放されると同時に、電磁比例減圧弁VM ,V1 が操作されて、中速用油圧クラッチCM 及び1速用油圧クラッチC1 へ所定特性にて油圧が供給される。すると、1速用油圧クラッチC1 が係合すると共に、中速用油圧クラッチCM は、予め保持圧Pm が供給されて係合直前の状態にあるので、直ちにクラッチのミート範囲に至り、係合遅れを生ずることなく係合する。これにより、中速用油圧クラッチCM の係合遅れによる3→1→4速の迂回変速が防止され、シフトショックの少ない滑らかな変速が行われる。 【0021】同様に、副変速部3が中速用油圧クラッチCM から高速用油圧クラッチCH に切換えられる6→7変速時、並びに副変速部が切換えられる7→6,4→3ダウンシフト時も保持圧Pm により滑らかに変速する。 【0022】なお、上述実施例は、次作動副変速部予測手段55により、次に作動する油圧クラッチを予測して選択的に保持圧Pm を作用したが、副変速部3において現在係合している以外のすべての油圧クラッチ(後進用を除く)に予め保持圧を供給するようにしておくのもよい。例えば、3→4速時、中速用油圧クラッチCM に限らず、高速用油圧クラッチCH にも予め保持圧Pm を供給するようにしておいてもよい。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001878 【氏名又は名称】三菱農機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成4年5月7日(1992.5.7) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2001−173771(P2001−173771A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−361994 |
|