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【発明の名称】 車両用自動変速機の変速制御方法
【発明者】 【氏名】田 炳 ウク

【要約】 【課題】車両の4速走行中に運転者の加速意志によりキックダウン4→2ダウンスキップ変速が行われる時の変速ショックの発生を防止する車両用自動変速機の変速制御方法を提供する。

【解決手段】4速走行中にキックダウン4→2ダウンスキップ変速要求信号の印加を判断する段階;該要求信号の印加があったとき、実変速時間が基準変速時間に到達したかを判断する段階;実変速時間が基準変速時間に到達したとき、変速同期点でのタービン回転数変化率と目標タービン変化率とを比較する段階;変速同期点でのタービン回転数変化率が目標タービン変化率より大きいときは結合側要素でオーバー−ランが発生したかを判断して油圧制御デューティを学習し、メインルーチンにリターンする段階;変速同期点でのタービン回転数変化率が目標タービン変化率より小さいときは解放側要素でオーバー−ランが発生したかを判断して油圧制御デューティを学習し、メインルーチンにリターンする段階とからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の4速走行中にキックダウン4→2ダウンスキップ変速要求信号が印加されたかを比較判断する段階と;前記段階でキックダウン4→2ダウンスキップ変速要求信号が印加されたと判断されると、実変速時間が基準変速時間に到達したかを比較判断する段階と;前記段階で実変速時間が基準変速時間に到達したと判断されると、変速同期点でのタービン回転数変化率と目標タービン変化率とを比較判断する段階と;前記段階で変速同期点でのタービン回転数変化率が目標タービン変化率より大きいと判断されると、結合側要素でオーバー−ランが発生したかを比較判断して油圧制御デューティを学習し、メインルーチンにリターンする段階と;前記段階で変速同期点でのタービン回転数変化率が目標タービン変化率より小さいと判断されると、解放側要素でオーバー−ランが発生したかを比較判断して油圧制御デューティを学習し、メインルーチンにリターンする段階とからなることを特徴とする車両用自動変速機の変速制御方法。
【請求項2】 前記基準変速時間は、予め設定されたプログラムによってマップ化されたデータを車速に応じて設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の変速制御方法。
【請求項3】 前記変速同期点は、[Nt>No×変速前の変速段ギヤ比]で判断することを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の変速制御方法。
【請求項4】 前記解放側要素でオーバー−ランが発生したと判断されると、結合側油圧制御デューティを所定の基準値で学習してメインルーチンにリターンする段階と;前記段階で解放側要素でオーバー−ランが発生しなかったと判断されると、結合側及び解放側の油圧制御デューティを学習せずにメインルーチンにリターンする段階とからなることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の変速制御方法。
【請求項5】 前記結合側要素でオーバー−ランが発生したと判断されると、解放側油圧制御デューティを所定の基準値で加算学習してメインルーチンにリターンする段階と;前記段階で結合側要素でオーバー−ランが発生しなかったと判断されると、結合側油圧制御デューティを所定の基準値で減算学習してメインルーチンにリターンする段階とからなることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の変速制御方法。
【請求項6】 前記実変速時間が基準変速時間に到達しない場合、解放側油圧制御デューティを所定の基準値で減算学習して、メインルーチンにリターンすることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の変速制御方法。
【請求項7】 前記油圧制御デューティに加、減学習される所定の基準値は0.4%であることを特徴とする請求項2、3、または4のいずれか一項に記載の車両用自動変速機の変速制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用自動変速機に係わり、さらに詳しくは、車両の4速走行中に運転者の加速意志によりキックダウン4→2ダウンスキップ変速が行われる時の変速ショックの発生を防止するために、結合側と解放側とのデューティ値を加、減学習制御する車両用自動変速機の変速制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車に適用される自動変速機は、自動車の走行速度、スロットルバルブの開度率及び諸般検出条件に応じて変速制御装置が多数のソレノイドバルブを制御して油圧を制御し、目標変速段の変速ギヤが作動して自動的に変速が行われるようにするものである。
【0003】つまり、運転者がセレクトレバーを所望の変速段にレンジ変換すると、マニュアルバルブのポート変換が行われながらオイルポンプから供給される油圧をソレノイドバルブのデューティ制御に応じて制御し、変速ギヤメカニズムのいろいろな作動要素を選択的に作動させることで変速が行われるようにする。
【0004】このような作動原理により作動する自動変速機は、各該当目標変速段への変速が行われる場合、作動状態から作動解除される摩擦要素と、作動解除状態から作動状態に変換される摩擦要素とを保有するが、これら摩擦要素の作動解除及び作動開始のタイミングによって自動変速機の変速性能が決定されるため、最近ではさらに変速性能を向上するための変速制御方法の研究が活発に進められている。
【0005】このような点を勘案して本発明の技術的背景を見てみると、自動変速機の変速制御には、車両の走行状態に応じて前速段の1速から順次に4速まで変速が行われるアップシフト変速制御と、前進4速から1速まで順次に変速が行われるダウンシフト変速制御と、前進4速から2速、3速から1速などにダウン変速が行われるダウンスキップ変速制御とがあるが、本発明は前進4速から2速にダウンスキップ変速される変速制御に係わる。
【0006】すなわち、4速で走行している車両において運転者の加速意志により2速ダウンスキップ変速が行われると、従来はキックダウン4→2ダウンスキップ変速制御のための結合側デューティ制御と解放側デューティ制御とが独立して行われ、変速時の変速ショックを防止するためのデューティ学習制御は結合側制御にだけ適用された。
【0007】しかしながら、前記のようにキックダウン4→2ダウンスキップ変速制御においては結合側要素にだけデューティ学習制御を適用するため、タイ−アップ(Tie−up)発生時に学習による油圧の補正が不可能であり、解放側要素の油圧が不足してオーバー−ラン(over−run)が発生する場合にも結合側要素にだけ学習制御されるため、変速時に変速ショックによる変速感が低下するという問題点を内包している。
【0008】特に、解放側要素の油圧制御を学習制御なしでデューティ制御するためには、リアルタイム(real time)補正概念であるフィードバック(feed−back)デューティ制御の適用が要求されるが、前記フィードバック制御の開発のためには多くの人材及び時間と装備が投入されなければならないという問題点を内包している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は前記問題点を解決するために、4速で走行中の車両において運転者の加速意志によりキックダウン4→2ダウンスキップ変速が発生すると、同期点でのタービン回転数変化率dNtを検出して解放側要素と結合側要素との油圧適正如何を判断し、オーバー−ランまたはタイ−アップが発生すると、結合側及び解放側要素を同時にデューティ補正して変速時の変速ショックの発生を防止するための車両用自動変速機の変速制御方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】これを実現するために本発明は、車両の4速走行中にキックダウン4→2ダウンスキップ変速要求信号が印加されたかを比較判断する段階と;前記段階でキックダウン4→2ダウンスキップ変速要求信号が印加されたと判断されると、実変速時間が基準変速時間に到達したかを比較判断する段階と;前記段階で実変速時間が基準変速時間に到達したと判断されると、変速同期点でのタービン回転数変化率と目標タービン変化率とを比較判断する段階と;前記段階で変速同期点でのタービン回転数変化率が目標タービン変化率より大きいと判断されると、結合側要素でオーバー−ランが発生したかを比較判断して油圧制御デューティを学習し、メインルーチンにリターンする段階と;前記段階で変速同期点でのタービン回転数変化率が目標タービン変化率より小さいと判断されると、解放側要素でオーバー−ランが発生したかを比較判断して油圧制御デューティを学習し、メインルーチンにリターンする段階とからなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、上記の目的を実現することのできる本発明の好ましい実施例を、添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】図1は本発明に適用される車両用自動変速機の変速制御装置の構成ブロック図であり、車両の走行状態に応じて可変なスロットルバルブ開度量検出部11、タービン回転数検出部12、出力側回転数検出部13、加速ペダルスイッチ検出部14、変速レバー位置検出部15、油温検出部16、エンジン回転数検出部17からなる車両走行状態検出手段10と、前記車両走行状態検出手段10から検出された車両走行状態信号を受けて車両の4速走行中にキックダウン4→2ダウンスキップ変速要求信号が印加されたかを比較判断し、そうであると判断されると実変速時間が基準変速時間に到達したかを比較判断し、そうであると判断されると変速同期点でのタービン回転数変化率と目標タービン変化率とを比較判断し、前記で変速同期点でのタービン回転数変化率が目標タービン変化率より大きいと判断されると結合側要素でオーバー−ランが発生したかを比較判断して油圧制御デューティを学習してメインルーチンにリターンし、前記で変速同期点でのタービン回転数変化率が目標タービン変化率より小さいと判断されると解放側要素でオーバー−ランが発生したかを比較判断して油圧制御デューティを学習してメインルーチンにリターンし、前記で学習されたデューティを次回のキックダウン4→2ダウンスキップ変速制御に適用して所定のデューティ制御信号を出力する変速制御手段20と、前記変速制御手段20から出力される所定の変速制御信号にデューティ制御されて変速段を目標変速段に変速実行する駆動手段30とからなる。
【0013】前記構成からなる車両用自動変速機の変速制御方法を、添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0014】図2は本発明による車両用自動変速機の変速制御方法の作動順序図であり、図3は本発明に適用される車速に応じた変速基準時間の算出グラフであり、図4は本発明に適用される車速に応じた目標タービン変化率の算出グラフであり、図5は本発明に適用されるタービン回転数の検出グラフである。
【0015】運転者の操作状態に応じて変速段が自動的に変速される自動変速機を装着した車両において、前記自動変速機を予め設定されたプログラムによって制御する変速制御手段20は、車両走行状態検出手段10に所定の制御信号を出力する(S100)。
【0016】これにより、車両走行状態検出手段10は2速で走行中の車両のスロットルバルブ開度検出部11、タービン回転数検出部12、出力側回転数検出部13、加速ペダルスイッチ検出部14、変速レバー位置検出部15、油温検出部16、エンジン回転数検出部17からスロットルバルブ開度Th、タービン回転数Nt、車速に対応する出力側回転数No、加速ペダルの作動状態、変速レバーの位置及び油温AFTの検出値を変速制御手段20に伝送する。
【0017】したがって、変速制御手段20は前記車両走行状態検出手段10から入力されるスロットルバルブ開度量Th、タービン回転数Nt、車速に対応する出力側回転数No、加速ペダルの作動状態、変速レバーの位置及び油温AFTの検出値の印加を受けて判読し、キックダウン4→2ダウンスキップ変速信号が印加されたかを判断する(S110)。
【0018】前記でキックダウン4→2ダウンスキップ変速信号が印加されたと判断されると、変速制御手段20は予め設定されたプログラムにより、実変速時間Tdsが基準変速時間Tより大きいかを比較判断する(S120)。
【0019】前記で基準変速時間Tは、図3に図示されているように、車速に対応する出力側回転数Noに応じた基準変速時間Tの設定グラフによって設定する。
【0020】前記で実変速時間Tdsが基準変速時間Tより小さいと判断されると、変速制御手段20は変速同期点で検出して判読したタービン回転数変化率dNtが目標タービン変化率dNiより小さいかを比較判断する(S130)。
【0021】前記で変速同期点は、Nt>[No×4速ギヤ比]である時に判断される。
【0022】前記で目標タービン変化率dNiは、図4に図示されているように、車速に対応する出力側回転数Noの変化に応じた目標タービン変化率dNiの設定グラフにより設定することができる。
【0023】したがって、前記で変速同期点で検出して判読したタービン回転数変化率dNtが、目標タービン変化率dNiより大きいと判断されると、変速制御手段20は結合側要素でオーバー−ランが発生したかを比較判断する(S140)。
【0024】前記で結合側要素でオーバー−ランが発生したと判断されると、変速制御手段20は、図5のaに図示されているように、解放側要素の油圧があまりにも速く開放されてタービン回転数Ntが急上昇してラン−アップ(run−up)が発生したと判断し、解放側油圧を高めるための解放側油圧制御デューティを所定の基準値である0.4を加算して学習する(S141)。
【0025】α=α+0.4前記でαは学習結果値、αは今回進められたデューティ値。+0.4は学習基準値である。
【0026】しかしながら、前記で結合側要素でオーバー−ランが発生しなかったと判断されると、変速制御手段20は、図5のbに図示されているように、変速中に結合側油圧が強くなりタイ−アップ(tie−up)が発生してタービン回転数Ntは急上昇し、ラン−アップは発生していないと判断し、結合側油圧を減圧させるための結合側油圧制御デューティを所定の基準値である0.4を減算して学習する(S142)。
【0027】α=α−0.4【0028】しかし、前記S120で実変速時間Tdsが基準変速時間Tより大きいと判断されると、変速制御手段20は、図5のcに図示されているように、変速時間が過度に長いために解放側要素が解放されなかったと判断し、解放側油圧を減圧させるための解放側油圧制御デューティを所定の基準値である0.4を減算して学習する(S150)。
【0029】α=α−0.4【0030】また、前記S130で変速同期点で検出して判読したタービン回転数変化率dNtが、目標タービン変化率dNiより小さかったり同一であると判断されると、変速制御手段20は解放側要素でオーバー−ラン(over−run)が発生したかを判断する(S160)。
【0031】前記で解放側要素でオーバー−ランが発生したと判断されると、変速制御手段20は、図5のdに図示されているように、解放側油圧は正常であるが結合側油圧が不足してタービン回転数Ntが緩やかに上昇し、同期完了後にオーバー−ランが発生したと判断し、結合側油圧を加圧するための結合側油圧制御デューティを所定の基準値である0.4を加算して学習する(S161)。
【0032】α=α+0.4【0033】しかしながら、前記で解放側要素でオーバー−ランが発生しなかったと判断されると、変速制御手段20は、図5のeに図示されているように、同期完了までタービン回転数Ntが緩やかに上昇してオーバー−ランが発生していないと判断し、結合側と解放側との油圧制御デューティ学習を行わずにメインルーチンにリターンする。
【0034】前記のようにキックダウン4→2ダウンスキップ変速制御が行われる間に、変速制御手段20は現在進行中の変速の変速時間とタービン回転数変化率dNtとを検出して実変速時間及び目標タービン変化率と比較判断した後、変速ショックが発生すると変速ショックが発生した摩擦要素の油圧を補正するための補正値を学習し、前記学習された補正値は次回のキックダウン4→2ダウンスキップ変速制御でデューティ補正を行なうことにより、変速中に変速ショックが発生するのを防止する。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明の実施例による車両用自動変速機の変速制御方法は、4速走行中に運転者の加速意志によりキックダウン4→2ダウンスキップ変速が行われる時の変速ショックの発生を防止するために、結合側と解放側とのデューティ値を加、減学習した後、次回のキックダウン4→2ダウンスキップ変速制御にデューティ補正値として適用することにより、変速時の変速感及び変速応答性を向上することができ、解放側要素に対するフィード−バック制御を行わないので開発工程を単純化させると同時に開発期間及び開発費用を節減することができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【出願日】 平成12年8月4日(2000.8.4)
【代理人】 【識別番号】100093399
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬谷 徹 (外1名)
【公開番号】 特開2001−173766(P2001−173766A)
【公開日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【出願番号】 特願2000−236973(P2000−236973)