| 【発明の名称】 |
オルタネータ用駆動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大内 英男
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| 【要約】 |
【課題】回転軸3aとスリーブ8aとの嵌合部にフレッチング摩耗が発生するのを防止し、しかも安価に得られる構造を実現する。
【解決手段】上記スリーブ8aの中心孔9aのうち、円孔部19aと上記回転軸3aの先端部とを嵌合させる。この回転軸3aの先端面に形成したねじ孔28に抑えボルト23を螺合し、更に緊締する。この抑えボルト23に固設した鍔部25の片側面に形成した放射状の凸部26、26と、この片側面に対向する上記スリーブ8aの段差面21に形成した放射状の凹部22とを、互いに係合させる。これら各凸部26、26と各凹部22との係合により、上記回転軸3aとスリーブ8aとの相対回転の防止を図る。上記中心孔9aには、係合孔部やねじ孔部は形成しない。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 オルタネータの回転軸と、その中心孔にこの回転軸を内嵌する事により、この回転軸の先端部に外嵌支持したスリーブと、外周面にベルトを掛け渡す為のベルト溝を有し、このスリーブの周囲にこのスリーブと同心に配置された従動プーリと、これらスリーブの外周面の軸方向の一部と従動プーリの内周面の軸方向の一部との間に設けられ、この従動プーリが上記スリーブに対し所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみこれら従動プーリとスリーブとの間での回転力の伝達を自在とする一方向クラッチと、この一方向クラッチから軸方向に外れた位置で上記スリーブの外周面と上記従動プーリの内周面との間に設けられ、この従動プーリに加わるラジアル荷重を支承しつつこれらスリーブと従動プーリとの相対回転を自在とするサポート軸受とを備えたオルタネータ用駆動装置に於いて、上記回転軸の先端面にはねじ部が、この回転軸と同軸に設けられており、このねじ部に螺合したねじ部材には、その片側面を上記スリーブのうちで上記オルタネータと反対側に向いた側面の一部に突き当て自在な鍔部が固設されており、この鍔部の片側面の一部には、上記スリーブの側面の一部に形成した凹部又は凸部と円周方向に亙り係合自在な凸部又は凹部が形成されており、上記ねじ部に上記ねじ部材を螺合し更に緊締し、且つ、上記スリーブ側の凹部又は凸部と上記鍔部側の凸部又は凹部とを係合させて、上記ねじ部材と上記スリーブとの相対回転を防止した状態で、上記回転軸の先端部に上記スリーブを固定している事を特徴とするオルタネータ用駆動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明のオルタネータ用駆動装置は、自動車用の発電機であるオルタネータの回転軸の端部に設け、エンジンのクランクシャフトの端部に固定した駆動プーリとの間に無端ベルトを掛け渡す事により、上記オルタネータを駆動する為に利用する。 【0002】 【従来の技術】自動車の走行用エンジンを駆動源として、自動車に必要な発電を行なうオルタネータの構造が、例えば特開平7−139550号公報に記載されている。図5は、この公報に記載されたオルタネータ1を示している。ハウジング2の内側に回転軸3を、1対の転がり軸受4、4により、回転自在に支持している。この回転軸3の中間部には、ロータ5と整流子6とを設けている。又、この回転軸3の先端部(図5の右端部)で上記ハウジング2外に突出した部分には、従動プーリ7を固定している。エンジンへの組み付け状態では、この従動プーリ7に無端ベルトを掛け渡し、エンジンのクランクシャフトにより、上記回転軸3を回転駆動自在とする。 【0003】上記従動プーリ7として従来一般的には、単に上記回転軸3の先端部に固定しただけのものを使用していた。これに対して近年、無端ベルトの走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、無端ベルトから回転軸への動力の伝達を自在とし、無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、従動プーリと回転軸との相対回転を自在とする、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が各種提案され、一部で使用されている。例えば、特開昭56−101353号公報、特開平7−317807号公報、同8−61443号公報、同10−213207号公報、同10−285873号公報、特公平7−72585号公報、フランス特許公報FR2726059A1等に、上述の様な機能を有するオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が記載されている。又、一部ではこの様なオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が、実際に使用されている。 【0004】図6は、このうちの特開平10−285873号公報に記載されているオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を示している。このオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、オルタネータ1の回転軸3(図5)の先端部に外嵌固定自在なスリーブ8を有する。このスリーブ8の中心孔9の中間部にはねじ孔部10を、オルタネータ1と反対側端部である先端部(図6の右端部)には、断面形状が六角形である係合孔部11を、それぞれ形成している。上記スリーブ8を上記回転軸3の先端部に固定するには、この回転軸3の先端部に設けた雄ねじ部に上記ねじ孔部10を螺合させ、更に上記係合孔部11に係止した六角レンチ等の工具により緊締する。又、上記回転軸3の先端部で上記雄ねじ部よりも中央寄り部分は、上記中心孔9の基端側(図6の左端側)部分で上記ねじ孔部10から外れた部分に設けた円孔部19に内嵌する。 【0005】この様にして上記回転軸3の先端部に固定するスリーブ8の周囲には従動プーリ7aを、このスリーブ8と同心に配置している。そして、これらスリーブ8の外周面と従動プーリ7aの内周面との間に、1対のサポート軸受12、12と一方向クラッチ13とを設けている。このうちのサポート軸受12、12は、上記従動プーリ7aに加わるラジアル荷重を支承しつつ、上記スリーブ8と従動プーリ7aとの相対回転を自在とする。 【0006】又、上記一方向クラッチ13は、上記従動プーリ7aが上記スリーブ8に対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、この従動プーリ7aからスリーブ8への回転力の伝達を自在とする。この為、上記一方向クラッチ13を構成し、上記スリーブ8に外嵌固定した一方向クラッチ用内輪14の中間部外周面には、カム面15を形成している。又、このカム面15と上記従動プーリ7aの内周面との間には、複数のローラ16、16を配置している。そして、これら各ローラ16、16と、これら各ローラ16、16を保持する為のクラッチ用保持器17との間に、図示しない複数のばねを設けている。これら各ばねは、上記カム面15と上記従動プーリ7aの内周面との間に形成される円筒状隙間の寸法のうち、直径方向に関する断面高さ寸法が小さくなった部分に、上記各ローラ16、16をくさび状に食い込ませる方向に、これら各ローラ16、16を弾性的に押圧している。 【0007】上述の様に構成する特開平10−285873号公報に記載されたオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置によれば、オルタネータの発電効率を或る程度確保する事ができる。即ち、エンジンを構成するクランクシャフトの回転速度が上昇し、このクランクシャフトの端部に固定した駆動プーリと上記従動プーリ7aとの間に掛け渡した無端ベルト18の走行速度が上昇傾向にある場合には、上記従動プーリ7aがスリーブ8に対し、所定方向に相対回転する傾向になる。この結果、上記各ローラ16、16が、上記一方向クラッチ用内輪14の外周面と上記従動プーリ7aの内周面との間に形成される円筒状隙間の寸法のうち、直径方向に関する断面高さ寸法が小さくなった部分にくさび状に食い込んで(ロック状態となって)、上記従動プーリ7aから回転軸3への回転力の伝達を自在とする。これに対して、上記クランクシャフトの回転速度が低下し、上記無端ベルト18の走行速度が低下傾向にある場合には、上記従動プーリ7aが上記スリーブ8に対して、上記所定方向と反対方向に相対回転する。この為、上記各ローラ16、16が上記円筒状隙間のうちの幅が広くなった部分に移動し、これら各ローラ16、16が当該部分で転動自在となって(オーバラン状態となって)、上記従動プーリ7aと回転軸3との相対回転を自在とする。この様にオーバラン状態への移行が行なわれる為、クランクシャフトの回転速度の変動に拘らず、上記オルタネータ1の回転軸3を、自身の回転慣性力に基づき或る程度高域で回転させ続ける事ができる。この為、上記オルタネータ1の発電効率を或る程度確保する事ができる。 【0008】同時に、上述の様なオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を使用する事により、無端ベルト18の寿命を延長する事もできる。例えば、上記駆動用エンジンがディーゼルエンジンであった場合、アイドリング時等の低回転時には、クランクシャフトの回転角速度の変動が大きくなる。この結果、上記クランクシャフトの端部に固定した駆動プーリに掛け渡した無端ベルト18の走行速度も細かく変動する事になる。一方、この無端ベルト18により従動プーリを介して回転駆動されるオルタネータ1の回転軸3は、この回転軸3並びにこの回転軸3に固定したロータ5等の慣性質量に基づき、それ程急激には変動しない。従って、上記従動プーリを回転軸に対し単に固定しただけの場合には、クランクシャフトの回転角速度の変動に伴い、上記無端ベルト18と従動プーリとが両方向に擦れ合う傾向となる。この結果、この従動プーリと擦れ合う無端ベルト18に、繰り返し異なる方向の応力が作用して、この無端ベルト18と従動プーリとの間に滑りが発生し易くなったり、或はこの無端ベルト18の寿命が短くなったりする原因となる。 【0009】これに対して、上記オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を使用すれば、従動プーリ7aと無端ベルト18との擦れ合い部に作用する応力の方向を一定にできる。即ち、この無端ベルト18の走行速度が低下傾向にある場合には、上記従動プーリ7aの回転角速度を上記回転軸3の回転角速度よりも遅くして、上記無端ベルト18と従動プーリ7aとの当接部が強く擦れ合う事を防止する。この様にして、この無端ベルト18と従動プーリ7aとの間に滑りが発生したり、或はこの無端ベルト18の寿命が低下する事を防止できる。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成し作用する特開平10−285873号公報に記載されたオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、オルタネータ1の回転軸3の先端部にスリーブ8を、このオルタネータ1に対する相対回転不能に固定すべく、このスリーブ8の中心孔9の一部にねじ孔部10と係合孔部11とを、それぞれ形成している。但し、これらねじ孔部10及び係合孔部11(特に係合孔部11)の形成作業は、一般的に加工コストが著しく嵩むものである為、これら両孔部10、11を形成したオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置全体のコストが嵩む事が避けられない。 【0011】又、上記ねじ孔部10及び係合孔部11が存在すると、上記中心孔9の内周面とオルタネータ1の回転軸3の外周面との当接部にフレッチング摩耗が発生し易くなる。この理由は、次の通りである。上記中心孔9の一部に上記ねじ孔部10及び係合孔部11を形成した事に伴い、この中心孔9のうちで円孔部19の軸方向長さが短くなる。一方、上記回転軸3の外周面に上記スリーブ8を固定した状態で、上記中心孔9のうちの円孔部19は、上記回転軸3の外周面に対し締り嵌め状態でラジアル方向の変位をゼロにした状態で、或はこの円孔部19の内周面と回転軸3の外周面との間に隙間があったとしてもこの隙間を微小とした状態で係合するが、上記ねじ孔部10と上記回転軸3の先端部に設けた雄ねじ部との係合部は、ラジアル方向に関して僅かとは言え変位自在となる。 【0012】この為、無端ベルト18を掛け渡す為に従動プーリ7aの外周面に形成したベルト溝がオフセットしている(上記円孔部19から軸方向にずれている)等により、上記無端ベルト18から上記従動プーリ7aを介して上記スリーブ8にモーメントが加わると、上記円筒部19の内周面と上記回転軸3の外周面との当接部の一部に、大きな面圧が加わる。しかも、この様にして高面圧が加わる部分は、上記従動プーリ7a及びスリーブ8の回転に伴って絶えず変化する(円周方向に移動する)。この為、上記円筒部19の内周面と上記回転軸3の外周面との当接部にフレッチング摩耗が発生し易い。本発明は、この様な事情に鑑みて、回転軸とスリーブとの円筒面部同士の嵌合部に加わる面圧を低く抑えて、この嵌合部にフレッチング摩耗が発生するのを防止し、しかも安価に得られる構造を実現すべく発明したものである。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明のオルタネータ用駆動装置は、前述した様な従来から知られているオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を組み込んで構成する、オルタネータ用駆動装置と同様に、オルタネータの回転軸と、その中心孔にこの回転軸を内嵌する事により、この回転軸の先端部に外嵌支持したスリーブと、外周面にベルトを掛け渡す為のベルト溝を有し、このスリーブの周囲にこのスリーブと同心に配置された従動プーリと、これらスリーブの外周面の軸方向の一部と従動プーリの内周面の軸方向の一部との間に設けられ、この従動プーリが上記スリーブに対し所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみこれら従動プーリとスリーブとの間での回転力の伝達を自在とする一方向クラッチと、この一方向クラッチから軸方向に外れた位置で上記スリーブの外周面と上記従動プーリの内周面との間に設けられ、この従動プーリに加わるラジアル荷重を支承しつつこれらスリーブと従動プーリとの相対回転を自在とするサポート軸受とを備える。 【0014】特に、本発明のオルタネータ用駆動装置に於いては、上記回転軸の先端面にはねじ部が、この回転軸と同軸に設けられている。又、このねじ部に螺合したねじ部材には、その片側面を上記スリーブのうちで上記オルタネータと反対側に向いた側面の一部に突き当て自在な鍔部が固設されている。又、この鍔部の片側面の一部には、上記スリーブの側面の一部に形成した凹部又は凸部と円周方向に亙り係合自在な凸部又は凹部が形成されている。そして、上記ねじ部に上記ねじ部材を螺合し更に緊締し、且つ、上記スリーブ側の凹部又は凸部と上記鍔部側の凸部又は凹部とを係合させて、上記ねじ部材と上記スリーブとの相対回転を防止した状態で、上記回転軸の先端部に上記スリーブを固定している。 【0015】 【作用】上述の様に構成する本発明のオルタネータ用駆動装置の場合には、回転軸とスリーブとの相対回転の防止は、この回転軸の先端面のねじ部に螺合し更に緊締したねじ部材に固設した鍔部の片側面の一部と、上記スリーブの側面の一部との凹凸係合により図る。この凹凸係合の為に、上記ねじ部材に固設した鍔部と上記スリーブとに、凹部又は凸部を設ける必要があるが、このスリーブの内周面にねじ孔部や係合孔部を形成する必要はなくなる。このうちの係合孔部の形成作業は、一般的にコストが著しく嵩むものであるから、本発明のオルタネータ用駆動装置によれば、少なくとも上記係合孔部を形成する作業をなくせる分、オルタネータ用駆動装置全体のコスト低減を図れる。 【0016】更に、本発明の場合には、上記スリーブの中心孔のうちで、上記回転軸ががたつきなく且つ回転自在に嵌合する円孔部の軸方向長さを大きくできる。従って、無端ベルトを掛け渡した従動プーリから加わるモーメント荷重に拘らず、上記回転軸とスリーブとの嵌合部に加わる面圧を低く抑えて、この嵌合部にフレッチング摩耗が発生する事を有効に防止できる。 【0017】 【発明の実施の形態】図1〜3は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のオルタネータ用駆動装置は、オルタネータの回転軸3aと、全体を円筒状に形成して、この回転軸3aの端部に外嵌固定するスリーブ8aと、このスリーブ8aの周囲にこのスリーブ8aと同心に配置した従動プーリ7bとを備える。このうちのスリーブ8aは、S10C〜S45C等の炭素鋼製の丸棒に、鍛造加工及び旋削加工を施す事により造る。又、このスリーブ8aは、上記回転軸3aと共に回転自在である。この為に、上記スリーブ8aの中心孔9aのうち、オルタネータと反対側端部である先端部(図1、2の左端部)を除く部分は、上記回転軸3aががたつきなく且つ回転自在に嵌合する円孔部19aとしている。 【0018】又、上記中心孔9aの残り部分である上記先端部は、先端側に向かう程内径が徐々に増大する第二の円孔部20としている。第二の円孔部20をこの様な形状にしたのは、この第二の円孔部20を、後述する様に安価な鍛造加工のみにより形成できる様にする為である。この第二の円孔部20の最小内径は、上記円孔部19aの内径よりも大きい。そして、これら円孔部19aと第二の円孔部20との境界部分に、請求項に記載したスリーブの側面の一部に相当する、段差面21を設けている。この段差面21は、上記スリーブ8aの中心軸に対し直交する仮想平面上に存在する。又、この段差面21の円周方向等間隔複数個所(図示の例では8個所)に放射状の凹部22、22を、それぞれ形成している。これら各凹部22、22のうち、上記スリーブ8aの内周側端部は、上記円孔部19aの内周面にそれぞれ達している。 【0019】又、上記回転軸3aの先端面には、請求項に記載したねじ部に相当するねじ孔28を、この回転軸3aと同軸に設けている。そして、このねじ孔28に、請求項に記載したねじ部材である、抑えボルト23を螺合し更に緊締している。この抑えボルト23の頭部24の基端部(図1、3の右端部)には、その片側面(図1、3の右側面)を上記段差面21に突き当て自在な円形の鍔部25を、この頭部24と一体に設けている。そして、この鍔部24の片側面外周寄り部分で円周方向等間隔複数個所(図示の例では8個所)に、上記スリーブ8aに設けた各凹部22、22とこのスリーブ8a及び抑えボルト23の円周方向に関して係合自在な放射状の凸部26、26を、それぞれ形成している。これら各凸部26、26の幅及び高さは、何れも上記各凹部22、22の幅及び深さに比べて若干小さくしている。そして、上記抑えボルト23の片側面で上記各凸部26、26を除いた部分を、上記スリーブ8aの段差面21に突き当て自在としている。尚、本例の場合には、上記抑えボルト23を鍛造加工及び転動加工により造ると共に、上記各凸部26、26を鍛造加工時に同時に形成している。この様に各凸部26、26を鍛造加工時に同時に形成しているので、本例で用いる抑えボルト23は比較的安価に得られる。 【0020】前記回転軸3aの先端部に上記スリーブ8aを固定する場合には、先ず、この回転軸3aの先端部に、このスリーブ8aの中心孔9aのうちの円孔部19aを、軽い締り嵌め或は微小隙間を介在させる隙間嵌めで嵌合させる。そして、この中心孔9aの第二の円孔部20内に上記抑えボルト23を、ねじ部27を先にして挿入し、このねじ部27を、上記回転軸3aの先端面に設けたねじ孔28に螺入する。 【0021】尚、この螺入作業は、上記回転軸3aの先端部を上記スリーブ8aに対し、図1に示した状態よりも少し左方に迄変位させておく事により、容易に行なえる。上記ねじ部27を上記ねじ孔28に軽く螺入させたならば、上記回転軸3aを上記スリーブ8aに対し、図1の右方に変位させる。そして、上記抑えボルト23の片側面に形成した各凸部26、26と、上記スリーブ8aの段差面21に形成した各凹部22、22との位相と一致させつつ、上記抑えボルト23に一体に設けた鍔部25の片側面を上記スリーブ8aの段差面21に突き当てる。この状態では、上記各凸部26、26と各凹部22、22とが、上記スリーブ8a及び抑えボルト23の円周方向に亙り凹凸係合し、この抑えボルト23と上記スリーブ8aとの相対回転が不能となる。そこで、この状態から、上記抑えボルト23の頭部24にボックスレンチ等の工具を係合させて、この抑えボルト23を上記回転軸3aに対し回転させ、上記抑えボルト23を緊締する。この緊締作業に伴い、上記スリーブ8aも、上記各凸部26、26と各凹部22、22との凹凸係合に基づいて、上記回転軸3aに対し回転する。そして、上記ねじ孔28に上記抑えボルト23のねじ部27を更に螺入し、次いで緊締する事により、上記回転軸3aの先端部に上記スリーブ8aを固定する。 【0022】尚、図示の例では、上記回転軸3aの先端部に上記スリーブ8aを固定すべく、上記抑えボルト23を緊締するのと同時に、このスリーブ8aの基端部(図1の右端部)に形成した小径円筒部29の端面と、上記回転軸3aの中間部先端寄り部分に形成した段部30との間で、転がり軸受31の内輪32を強く挟持している。従って、上記抑えボルト23を緊締した状態では、上記スリーブ8aが図1の右方に変位する事はなく、上記各凸部26、26と各凹部22、22との係合が外れる事はない。尚、上記転がり軸受31は、上記回転軸3aを、前記オルタネータを構成するハウジング2(図5)に支持する為のものである。 【0023】又、上述した様に上記回転軸3aの先端部に固定したスリーブ8aの外周面と、このスリーブ8aの周囲に設けた、前記従動プーリ7bの内周面との間には、次述するサポート軸受33、33及び後述する一方向クラッチ13aを設けている。上記従動プーリ7bは、硬質金属製であり、この従動プーリ7bの外周面には、それぞれが断面V字形である複数本(本例の場合には4本)の凹溝34、34を、互いに平行に且つそれぞれ全周に亙って形成している。この様な従動プーリ7bと図示しない駆動プーリとの間には、内周面に断面V字形で全周に亙って連続するリブを複数本(本例の場合には4本)形成した無端ベルト18(図6参照)を掛け渡す。 【0024】上記スリーブ8aの外周面と上記従動プーリ7bの内周面との間には、それぞれが深溝型の玉軸受である1対のサポート軸受33、33と、ローラクラッチである1個の一方向クラッチ13aとを設けている。このうちの1対のサポート軸受33、33は、それぞれ内周面に深溝型の外輪軌道35を有する軸受用外輪36と、外周面に深溝型の内輪軌道37を有する軸受用内輪38と、上記外輪軌道35と内輪軌道37との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けた玉39と、これら各玉39を転動自在に保持する図示しない保持器とから成る。この様な各サポート軸受33、33は、それぞれの軸受用外輪36を、上記従動プーリ7bの内周面に内嵌固定した、次述する一方向クラッチ用外輪40の両端寄り部分に締り嵌めにより内嵌固定し、それぞれの軸受用内輪38を上記スリーブ8aの外周面両端寄り部分に締り嵌めにより外嵌固定する事により、上記スリーブ8aの外周面両端寄り部分と従動プーリ7bの内周面両端寄り部分との間に設けている。 【0025】一方、前記一方向クラッチ13aは、上記スリーブ8aの中間部外周面と従動プーリ7bの中間部内周面との間に設けている。この一方向クラッチ13aを構成する為、上記スリーブ8aの中間部外周面には一方向クラッチ用内輪41を、締り嵌めにより外嵌固定している。この一方向クラッチ用内輪41の外周面は、円周方向に亙る凹凸面であるカム面42としている。そして、この一方向クラッチ用内輪41の外周面と、上記従動プーリ7bの内周面に内嵌固定した一方向クラッチ用外輪40の中間部に形成した小径部43の内周面との間に、クラッチ用保持器44と、このクラッチ用保持器44に転動並びに円周方向に関する若干の変位自在に保持した複数個のローラ45と、このローラ45を円周方向に関して同方向に押圧するばね(図示せず)とを設けている。この様な構成により上記一方向クラッチ13aは、周知の様に、上記従動プーリ7bとスリーブ8aとの間で、所定方向の回転のみを伝達する。 【0026】尚、前記各サポート軸受33、33を構成する軸受用外輪36の内端面は上記一方向クラッチ用外輪40に形成した小径部43の両端面に、同じく軸受用内輪38の内端面は一方向クラッチ用内輪41の両端面に、それぞれ突き当てる事で、これら軸受用外輪36と軸受用内輪38との軸方向に亙る位置決めを図っている。 【0027】上述の様に構成する本発明のオルタネータ用駆動装置の場合、前述の図6に示した従来のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を組み込んだオルタネータ用駆動装置と同様に、上記従動プーリ7bに掛け渡した無端ベルト18の走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、上記一方向クラッチ13aを接続する。そして、上記従動プーリ7bの回転を上記スリーブ8aに伝え、前記回転軸3aを回転駆動する。これに対して、上記無端ベルト18の走行速度が低下傾向にある場合には、上記一方向クラッチ13aの接続を断ち、上記スリーブ8a及び回転軸3aを、上記従動プーリ7bよりも高速で回転自在とする。この為、オルタネータの発電効率の確保と上記無端ベルト18の寿命延長とを図れる。 【0028】特に、本発明のオルタネータ用駆動装置の場合には、オルタネータの回転軸3aと、スリーブ8aとの相対回転の防止は、この回転軸3aの先端面のねじ孔28に螺合し更に緊締した抑えボルト23に固設した鍔部25の片側面に設けた各凸部26、26と、上記スリーブ8aの段差面21に設けた各凹部22、22との係合により図る。この係合の為には、本例の場合の様に、上記抑えボルト23側に上記各凸部26、26が、上記スリーブ8a側に上記各凹部22、22が、それぞれ必要となるが、前述した従来構造とは異なり上記スリーブ8aの内周面に、ねじ孔部10や係合孔部11(図6参照)を形成する必要はなくなる。これらねじ孔部10や係合孔部11(特に係合孔部11)の形成作業は、コストが著しく嵩むものであり、本発明のオルタネータ用駆動装置によれば、少なくとも上記係合孔部11を形成する作業をなくせる分、オルタネータ用駆動装置全体のコスト低減を図れる。 【0029】即ち、本例で上記スリーブ8aを造る場合には、先ず、炭素鋼製の丸棒に鍛造加工を施す事により、大まかな形状を有する素材を造る。次いで、この素材のうちで前記第二の円孔部20及び上記各凹部22、22を除いた部分に旋削加工を施して、各部を適正な形状及び寸法に仕上げる。この際、上記第二の円孔部20及び各凹部22、22には、それ程高い形状精度が要求されないので、これら第二の円孔部20及び各凹部22、22は、鍛造加工を施す際に同時に形成すれば良く、その後に加工を施す必要はない。従って、本発明に用いるスリーブ8aは比較的安価に得られる。これに対して、前述した従来構造の場合には、上記ねじ孔部10や係合孔部11を形成する為に中心孔9aの中間部や端部に切削加工を施す必要があり、しかも、これら各部10、11(特に係合孔部11)の形成作業はコストが著しく嵩むものとなる。本発明の場合には、上述した様に、鍔部25部分に凸部26、26を備えた抑えボルト23や、スリーブ8a側の凹部22、22は必要となるが、これらの加工コストは低廉である。従って本発明の場合には、少なくとも上記係合孔部11を形成する作業をなくせる分、オルタネータ用駆動装置全体のコスト低減を図れる。 【0030】更に、本発明の場合には、上記回転軸3aと上記スリーブ8aとの嵌合部に加わる面圧を低く抑えて、この嵌合部にフレッチング摩耗が発生する事を有効に防止できる。即ち、本発明のオルタネータ用駆動装置の場合には、上記中心孔9aの一部に、前述の図4に示した従来構造の場合に必要であった、ねじ孔部10を形成する必要がなくなる為、ほぼその分、上記回転軸3aとがたつきなく嵌合する円孔部19aの軸方向長さを大きくできる。尚、本例の場合には、上記中心孔9aの一部に、凹部22、22を形成しているが、これら各凹部22、22の深さは小さいもので足り、しかも円周方向の一部にのみ設けられているものであるから、上記嵌合部の長さに対して殆ど影響を及ぼさない。 【0031】従って、上記無端ベルト18を掛け渡した従動プーリ7bから加わるモーメント荷重に拘らず、上記回転軸3aと上記スリーブ8aとの嵌合部に加わる面圧を低く抑える事ができる。即ち、上記従動プーリ7bに加わるモーメント荷重を一定とすれば、上記嵌合部に加わる面圧の最大値は、この嵌合部の軸方向長さL0(支持スパン)が短い程大きくなる。そして、この面圧の最大値が大きくなる程、著しいフレッチング摩耗が発生し易くなる。これに対して本発明の場合には、上記嵌合部L0 の長さを長くできる為、上記嵌合部に加わる面圧の最大値を小さくできる。従って、本発明によれば、上記フレッチング摩耗の発生を、有効に防止できる。 【0032】次に、図4は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、上述した第1例の場合と異なり、スリーブ8bの一部に、第二の円孔部20(図1、2参照)を形成せず、このスリーブ8bの内側に設ける中心孔9bの内周面を単一の円筒面状としている。そして、本例の場合には、このスリーブ8bのうち、オルタネータと反対側に向いた側面の一部である、軸方向一端面(図4の左端面)内周寄り部分の円周方向等間隔複数個所に、放射状の凹部22をそれぞれ形成している。又、上記オルタネータの回転軸3bの先端面に、請求項に記載したねじ部に相当する雄ねじ部46を、この回転軸3bと同軸に設けている。この雄ねじ部46の外径は、この回転軸3aの外径よりも十分に小さい。 【0033】そして、この雄ねじ部46に、請求項に記載したねじ部材である、抑えナット47を螺合し更に緊締している。この抑えナット47の基端部(図4の右端部)には、その片側面(図4の右側面)を上記スリーブ8bの軸方向一端面の内周寄り部分に突き当て自在な鍔部25を、一体に設けている。そして、この鍔部25の片側面の外周寄り部分の円周方向等間隔複数個所に、上記各凹部22と係合自在な放射状の凸部26、26を、それぞれ形成している。 【0034】又、本例の場合、上記スリーブ8bには、転がり軸受31を構成する内輪32に突き当てる為に小径円筒部29(図1、2)を形成していない。その代わりに本例の場合には、上記回転軸3bの雄ねじ部46に螺合し更に緊締した抑えナット47の基端部に設けた鍔部25の片側面と、上記回転軸3bの中間部に形成した段部30との間に挟持された、上記スリーブ8b及び転がり軸受31の内輪32との間に、円環状の間座48を設けている。この間座48は、プレス加工により金属板の外側及び内側を打ち抜く事により造っている。そして、上記間座48及び上記内輪32を上記スリーブ8bと段部30との間で強く挟持した状態で、上記回転軸3bとスリーブ8bとの回転防止を、このスリーブ8bに形成した上記各凹部22と上記抑えナット47に固設した鍔部25の片側面に形成した上記各凸部26、26との係合により図っている。 【0035】又、本例の場合、一方向クラッチ13aを構成する一方向クラッチ用外輪40aの全長を短くし、この一方向クラッチ13aの両側に配置する1対のサポート軸受33、33を構成する各軸受用外輪36を、従動プーリ7bの両端部内周面に直接内嵌固定している。そして、これら各軸受用外輪36の内端面を上記一方向クラッチ用外輪40aの両端面に突き当てる事で、これら各軸受用外輪36の軸方向に亙る位置決めを図っている。 【0036】上述の様に構成する本例の場合には、スリーブ8bに前記第二の円孔部20及び上記小径円筒部29を形成していない為、このスリーブ8bをほぼ単なる円筒状にする事ができる。従って、上記スリーブ8bの加工コストを安価にして、上記間座48を新たに設けた事を含めても、オルタネータ用駆動装置全体の更なるコスト低減を図れる。更に、本例の場合には、上記スリーブ8bと回転軸3bとの嵌合部の軸方向長さをより大きくできるので、この嵌合部に加わる面圧を更に小さくして、この嵌合部にフレッチング摩耗が発生する事をより確実に防止できる。 その他の構成及び作用に就いては、上述した第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。 【0037】尚、上述した各例に於いては、抑えボルト23(図1、3)又は抑えナット47(図4)に固設した鍔部25の片側面一部に凸部26を設け、この片側面と対応するスリーブ8a、8bの一部側面に凹部22を設けたが、これら凸部26と凹部22とを設ける部分は、上述した各例で設けた部分と互いに逆にする事もできる。又、本発明を実施する場合に、上記凸部26及び凹部22は、上述した各例の様に放射状のものに限定する必要はなく、円形等、スリーブ8a、8b及び抑えボルト23又は抑えナット47の直径方向に亙る長さが短いものとしても良い。又、上記凸部及び凹部は、それぞれ1個のみ設ける事もできる。但し、上記スリーブ8a、8bと回転軸3a、3bとの回転防止を十分に図る為には、上述した各例で示した様に、上記抑えボルト23又は抑えナット47及びスリーブ8a、8bの側面に、それぞれ放射状の複数の凹部22又は凸部26を設ける事が好ましい。又、上述した各例の場合には、一方向クラッチ13aとしてローラクラッチを使用しているが、本発明を実施する場合には、一方向クラッチ13aとして、ロック部材に複数のスプラグを用いたスプラグ型のものを使用する事もできる。 【0038】 【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、オルタネータの発電効率を良好にし、且つ、無端ベルトの耐久性向上を図れ、しかも回転軸及びスリーブ8bにフレッチング摩耗が発生するのを防止できるオルタネータ用駆動装置を、安価に実現できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004204 【氏名又は名称】日本精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月15日(1999.12.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087457 【弁理士】 【氏名又は名称】小山 武男 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−173758(P2001−173758A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−356331 |
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