| 【発明の名称】 |
樹脂歯車用補強繊維基材及び樹脂歯車 |
| 【発明者】 |
【氏名】上田 浩
【氏名】小林 直巳
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| 【要約】 |
【課題】樹脂歯車の補強繊維基材として用いるアラミド繊維糸からなる筒状体の構成を最適化し、樹脂歯車の静的な機械強度を確保すると共に、実際の使用耐久性も向上させる。
【解決手段】補強繊維基材としてアラミド繊維糸を筒状に編んだものを用いる。幅方向(筒状の周方向)の編み目のピッチであるウェールを25〜35本/inch、長手方向(筒状の軸方向)の編み目のピッチであるコースを20〜25本/inchとする。この補強繊維基材を軸方向に巻き上げてなるリング体とその中央に配置した金属製ブッシュとを成形金型に収容し、リング体に樹脂を含浸してリング体と金属製ブッシュとを一体成形してなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】アラミド繊維糸を筒状に編んでなり、ウェールが25〜35本/inchコースが20〜25本/inchであることを特徴とする樹脂歯車用補強繊維基材。 【請求項2】請求項1記載の補強繊維基材を軸方向に巻き上げてなるリング体と当該リング体の中央に配置した金属製ブッシュとを、リング体に樹脂を含浸して一体成形してなり、成形されたリング体の周囲に歯が形成されていることを特徴とする樹脂歯車。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂歯車を成形するための補強繊維基材ならびに当該補強繊維基材を用いてなる樹脂歯車に関する。 【0002】 【従来の技術】樹脂歯車を成形するための補強繊維基材として、アラミド繊維糸を筒状に織ったり編んだりした基材が提案されている(特開平8−156124号公報)。図4に示すように、この補強繊維基材11は、軸方向に巻き上げリング体12にして歯車の製造に用いる。このリング体と当該リング体の中央に配置した金属製ブッシュとを成形金型に収容し、リング体に樹脂を含浸して一体成形する。そして、成形したリング体の周囲に切削加工等により歯を形成し、樹脂歯車を完成する。この樹脂歯車は、補強繊維基材がつなぎ目のないリング体であるので、歯車周囲各部の強度が均一であり好ましいものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、上記アラミド繊維糸からなる筒状の補強繊維基材の構成を最適化し、樹脂歯車の静的な機械強度を確保すると共に、実際の使用耐久性も向上させることである。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記課題を達成するために、本発明は、補強繊維基材としてアラミド繊維糸を筒状に編んだものを用いる。図1に示すように、編み目のピッチを、幅方向(筒状の周方向)をウェールと称し、長手方向(筒状の軸方向)をコースと称するが、本発明が特徴とするところは、ウェールを25〜35本/inch、コースを20〜25本/inchとする点である。このような補強繊維基材を軸方向に巻き上げてなるリング体と当該リング体の中央に配置した金属製ブッシュとを成形金型に収容し、リング体に樹脂を含浸して一体成形し、成形したリング体の周囲に歯を形成して樹脂歯車とする。 【0005】筒状に編んだ補強繊維基材は伸縮性を有するので、成形金型を閉じるときに加えられる圧力で伸びる。従って、樹脂が補強繊維基材の繊維間に十分に浸透し、樹脂と繊維が均一に分布した成形体とすることができる。そして、前記分布を均一にし、本発明の課題を達成できるウェールとコースの最適な範囲が、上記のウェールとコースの範囲である。ウェールとコースの本数が上記下限値より少ないと、樹脂歯車の静的な機械強度も耐久性も不十分となる。一方、ウェールとコースの本数が上記上限値より多くなると、静的な機械強度は増すものの、耐久性は低下してくる。これは、ウェールとコースの本数が上記上限値を越えると、補強繊維基材の繊維間への樹脂の浸透が不十分となり、繊維と樹脂の分布が不均一となるからである。繊維の分布が少なく樹脂リッチとなった部分は、歯車の駆動中に損傷を受けやすく、その微細な損傷箇所から劣化が始まって耐久性を低下させる。 【0006】アラミド繊維糸を筒状に編んでなる補強繊維基材のウェールとコースの本数を上記の範囲とすることが、樹脂歯車の耐久性を向上させ、静的な機械強度も保持する上で、極めて重要となるのである。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明を実施するに当り、筒状に編むアラミド繊維糸は、パラ系アラミド繊維と他の繊維、例えば、メタ系アラミド繊維とを混紡したものが好ましい。パラ系アラミド繊維だけで糸を構成すると、強度は大きくなるが、歯車の歯を形成する切削加工性が低下し、歯車加工精度の維持が難しくなる。強度と加工性の観点から、パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維の混紡は、質量比で40/60〜60/40が望ましい。しかし、負荷の小さい用途向けでは、メタ系アラミド繊維の前記質量比をもっと大きくしても差し支えなく、場合によっては100としてもよい。 【0008】アラミド繊維糸の太さは、細い方が補強繊維基材への樹脂の浸透性が良好となり耐久性を向上させる上で好ましい。しかし、筒状に編むときの作業性を考慮すると、アラミド繊維糸の太さは20番手前後が適当である。糸が細くなると、編むときに切れやすくなる。また、編む糸の本数は、1本の場合と2本以上の場合とが考えられるが、2本以上の糸を編む場合は、仕上げた補強繊維基材の密度が大きくなる。樹脂の浸透性と機械強度を考慮すると、1本の糸を筒状に編むことが好ましい。しかし、編む工数と樹脂歯車の製造工数を少なくする観点からは、2本以上の糸を合せて筒状の補強繊維基材を編むのがよい。 【0009】上記の筒状に編んだ補強繊維基材を用いる樹脂歯車の製造は、例えば、次のように実施する。まず、筒状の補強繊維基材を軸方向に巻き上げリング体とする。図2に示すように、このリング体12を成形金型13内で2段に重ね、中央に金属製ブッシュ1を配置する。成形金型13を閉じるときの圧力でリング体12を圧縮変形させて金属製ブッシュ1の形状になじませる。そして、成形金型内を減圧にし、液状樹脂(架橋ポリアミノアミド、エポキシ樹脂、ポリイミドなど)を注入してリング体に浸透させ加熱硬化させる。成形したリング体の周囲に切削加工により歯を形成し、歯車を完成する。 【0010】 【実施例】実施例1パラ系アラミド繊維(繊維長50mm,繊維径16μm)とメタ系アラミド繊維(繊維長50mm,繊維径16μm)を、質量比50/50で混紡し、太さ20番手のアラミド繊維糸を準備した。このアラミド繊維糸1本で筒状の補強繊維基材を編んだ(丸編み)。ウェール30本/inch,コース22本/inchである。上記筒状の補強繊維基材を軸方向に巻き上げてなるリング体を2個用い、上記発明の実施の形態で説明した方法により、金属製ブッシュと一体成形を行なった。リング体への樹脂含浸は、減圧状態(1300Pa)にした成形金型に架橋ポリアミノアミドを注入して行なった。成形したリング体の寸法は、外径90mm,内径60mm,厚さ14mmであり、樹脂含有量は50質量%である。図3に示すように、リング体12と金属製ブッシュ1とは、金属製ブッシュから突出させた回り止め2がリング体12に食い込み一体となっている。 【0011】実施例2実施例1において、ウェール29本/inch,コース24本/inchとする以外は、同様とした。 【0012】実施例3実施例1において、アラミド繊維糸2本で筒状の補強繊維基材を編む以外は、同様とした。尚、この場合、補強繊維基材の密度は高くなるので、巻き上げる回数を実施例1より少なくして実施例1と同質量のリング体とする。補強繊維基材を編む時間は短くなり、巻き上げる回数も少なくなるので、その分、製造工数が減る。 【0013】実施例4実施例2において、アラミド繊維糸2本で筒状の補強繊維基材を編む以外は、同様とした。尚、この場合、補強繊維基材の密度は高くなるので、巻き上げる回数を実施例2より少なくして実施例2と同質量のリング体とする。製造工数が減るのは、実施例3と同様である。 【0014】比較例1実施例1において、ウェール23本/inch,コース23本/inchとする以外は、同様とした。 【0015】比較例2実施例1において、ウェール30本/inch,コース18本/inchとする以外は、同様とした。 【0016】比較例3実施例1において、ウェール37本/inch,コース22本/inchとする以外は、同様とした。 【0017】比較例4実施例1において、ウェール30本/inch,コース27本/inchとする以外は、同様とした。 【0018】上記の各例の樹脂歯車は、樹脂を含浸し成形したリング体に切削加工により歯を形成した。表1には、成形したリング体から90°の角度で切り出した扇形試験片の曲げ強さと弾性率の測定結果を示した。また、歯車に負荷をかけて連続回転したときの耐久性(破壊までの総回転数)測定結果を示した。曲げ強さと弾性率の測定は、40mmの距離をもって扇形の外周側を支持した試験片に内周側から2mm/分の速さで押圧力を加えて実施。耐久性は、歯元応力200MPaの負荷をかけた樹脂歯車(モジュール(M)=3.0,歯の数(Z)=22)を130℃オイル中で6000rpmの速度で連続回転し、樹脂歯車が破壊するまでの総回転数を測定。 【0019】 【表1】
【0020】表1に示した実施例1,2と比較例1〜4の測定結果より、ウェールとコースの本数特定が、静的な機械強度を多少低くすることになっても耐久性向上に有効に作用することを理解できる。静的な機械強度が低いといっても、それは実用的に支障ないレベルを十分に保持している。実施例3,4は、実施例1,2に比べて耐久性が低くなっているが、これは2本のアラミド繊維糸で筒状の補強繊維基材を編んでいるからである。しかし、この場合も、ウェールとコースの本数特定が耐久性向上に有効に作用しており、2本のアラミド繊維糸で編んだ他の場合(ウェールとコースの本数を本発明の特定範囲外とした場合)より耐久性に優れるものである。 【0021】 【発明の効果】上述のように、本発明に係る筒状の補強繊維基材を用い、これを軸方向に巻き上げてなる樹脂含浸リング体で歯車を構成することにより、静的な機械強度を保持し、使用耐久寿命の長い樹脂歯車とすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001203 【氏名又は名称】新神戸電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月20日(1999.12.20) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−173755(P2001−173755A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−360057 |
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