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【発明の名称】 動力伝達装置
【発明者】 【氏名】木村 克己

【氏名】服部 和男

【氏名】緒方 大洋

【氏名】大塚 道雄

【氏名】杉山 和彦

【氏名】形谷 吉則

【要約】 【課題】クラッチをオンするときおよびトルクの伝達時に内外輪とローラ間で金属相互が直接接触することがなく、クラッチのオン・オフの繰り返し耐久性を向上させることができる動力伝達装置を提供する。

【解決手段】駆動側から被動側に流体を用いて動力を伝達する動力伝達装置において、駆動側と被動側との間に、内輪8と外輪9と内輪外周と外輪内周の軌道面8a,9a間に介装される多数のローラ10とを有し内輪8と外輪9の軌道面8a,9aを互いに接近又は離間させることによりオンオフ動作を行う転がり軸受クラッチCを設け、該転がり軸受クラッチCをオンすることにより駆動側と被動側とを流体を介さずに機械的に結合することを可能にし、前記転がり軸受クラッチCでは前記ローラ10の軸線方向から見たローラ10と外輪9及び内輪8の軌道面9a,8aとの接触部にトラクション油を介在させ、ローラ10と内輪8間およびローラ10と外輪9間でトルク伝達を可能とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動側から被動側に流体を用いて動力を伝達する動力伝達装置において、駆動側と被動側との間に、内輪と外輪と内輪外周と外輪内周の軌道面間に介装される多数のローラとを有し内輪と外輪の軌道面を互いに接近又は離間させることによりオンオフ動作を行う転がり軸受クラッチを設け、該転がり軸受クラッチをオンすることにより駆動側と被動側とを流体を介さずに機械的に結合することを可能にし、前記転がり軸受クラッチでは前記ローラの軸線方向から見たローラと外輪及び内輪の軌道面との接触部にトラクション油を介在させ、ローラを外輪及び内輪の軌道面に接近させることによりトラクション油に法線荷重(Fc)を発生させ、トラクション油にせん断ひずみを与え、ひずみに比例するせん断応力によって生じる接線力(Ft)を牽引力としてローラと内輪間およびローラと外輪間でトルク伝達を可能としたことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】 前記転がり軸受クラッチにおける内輪と外輪の軌道面を互いに接近させるための押圧手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
【請求項3】 前記ローラの外輪と内輪に対する相対速度差(すべり率)は1%(0.01)以下であり、その潤滑状態は、弾性流体潤滑(EHL)であることを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
【請求項4】 前記ローラが外輪と内輪に対して1%以下の相対速度差ですべるための条件として、前記法線荷重(Fc)に対する接線力(Ft)の比をトラクション係数(摩擦係数)μとし、内輪の軸に対する共通接線の角度をθi(以下転がりくさび角と呼ぶ)とし、接触部における内輪共通接線と中心軸との距離をriとした場合に、Ti=μ・ri・cosθiで表される油膜によって発生するトルク(トラクション力)と、内外輪にローラが食い込む力をFtbとし、ローラの半径をrbとした場合にTiw=Ftb/(ri+rb)・cosθiで表される内外輪にローラが食い込むことによって発生するトルクとがTi>Tiwの関係になるようなトラクション係数μを持つことを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
【請求項5】 前記ローラが外輪と内輪に対して1%以下の相対速度差ですべるための条件として、前記法線荷重(Fc)に対する接線力(Ft)の比をトラクション係数(摩擦係数)μとし、外輪の軸に対する共通接線の角度をθo(以下転がりくさび角と呼ぶ)とし、接触部における外輪共通接線と中心軸との距離をroとした場合に、To=μ・ro・cosθoで表される油膜によって発生するトルク(トラクション力)と、内外輪にローラが食い込む力をFtbとし、ローラの半径をrbとした場合にTow=Ftb/(ro−rb)・cosθoで表される内外輪にローラが食い込むことによって発生するトルクとがTo>Towの関係になるようなトラクション係数μを持つことを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は駆動側から被動側に流体を用いて動力を伝達する流体継手やトルクコンバータ等の動力伝達装置に係り、特にクラッチ機構を設けて駆動側と被動側を機械的に結合し、原動機からの入力回転数と被動機回転数とを極力近づけることによってそのスリップ損失を少なくし、動力伝達効率の向上を図ることができるとともにクラッチ機構のオン・オフの繰り返し耐久性を向上させることができる動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から駆動軸にポンプ羽根車を結合するとともに被動軸にタービン羽根車を結合し、ケーシング内部に満たされた流体を介して駆動軸から被動軸に動力伝達を行う流体継手やトルクコンバータ等の動力伝達装置が知られている。
【0003】動力伝達装置として流体継手を例に挙げて説明すると、流体継手を用いた回転数制御においては、負荷側の回転数を、スクープチューブを使用して最低回転数から最高回転数まで無段階に変化させるか、もしくはインペラ、ランナ及びインペラケーシングで形成される流体継手羽根車への作動油の給油を通あるいは断することによって最低回転数か最高回転数かのいずれかを得るようにしている。
【0004】上記いずれの場合においても、被動機回転数を最高回転数で運転する場合、その最高回転数は、原動機であるモータあるいはエンジン等の入力回転数に対して通常、約3%程度スリップした回転数である。このスリップは流体継手を用いて回転数制御した場合必ず生じる現象である。この時、スリップのために流体継手効率はそのスリップパーセント分だけ低下する。従って、伝達動力が大きければ大きい程、損失動力は大きくなる。
【0005】被動機回転数を最高回転数で運転する場合、原動機回転数と被動機回転数との間のスリップ損失をなくすために、本件出願人は、先に特願平7−169215号において、駆動側と被動側との間に、内輪と外輪と内輪外周と外輪内周の軌道面間に介装される多数のローラとを有し内輪と外輪の軌道面を互いに接近又は離間させることによりオンオフ動作を行う転がり軸受クラッチを設け、該転がり軸受クラッチをオンすることにより駆動側と被動側とを流体を介さずに機械的に結合することを可能にした動力伝達装置を提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の転がり軸受クラッチにおいては、クラッチをオンするときおよびトルクの伝達時に、内輪とローラおよび外輪とローラとの間で油膜を介さずに金属相互が接触することになるため、クラッチのオン・オフの繰り返し耐久性に大きな難点があり、特に高トルク伝達における信頼性に欠けていた。
【0007】本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、クラッチをオンするときおよびトルクの伝達時に内外輪とローラ間で金属相互が直接接触することがなく、クラッチのオン・オフの繰り返し耐久性を向上させることができるとともに高トルク伝達における信頼性を向上させることができ、しかも原動機からの入力回転数と被動機回転数とを極力近づけることによってそのスリップ損失を少なくし、動力伝達効率の向上を図ることができる動力伝達装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するために、本発明は、駆動側から被動側に流体を用いて動力を伝達する動力伝達装置において、駆動側と被動側との間に、内輪と外輪と内輪外周と外輪内周の軌道面間に介装される多数のローラとを有し内輪と外輪の軌道面を互いに接近又は離間させることによりオンオフ動作を行う転がり軸受クラッチを設け、該転がり軸受クラッチをオンすることにより駆動側と被動側とを流体を介さずに機械的に結合することを可能にし、前記転がり軸受クラッチでは前記ローラの軸線方向から見たローラと外輪及び内輪の軌道面との接触部にトラクション油を介在させ、ローラを外輪及び内輪の軌道面に接近させることによりトラクション油に法線荷重(Fc)を発生させ、トラクション油にせん断ひずみを与え、ひずみに比例するせん断応力によって生じる接線力(Ft)を牽引力としてローラと内輪間およびローラと外輪間でトルク伝達を可能としたことを特徴とするものである。
【0009】本発明によれば、駆動側から被動側に流体を用いて動力を伝達する流体継手やトルクコンバータ等の動力伝達装置において、駆動側と被動側との間に、転がり軸受クラッチを設けたため、駆動側と被動側とを流体を介さずに機械的に結合することが可能となる。したがって、原動機からの入力回転数と被動機回転数とを極力近づけることによって、そのスリップ損失を少なくし、動力伝達効率の向上を図ることができる。
【0010】本発明によれば、ローラの軸線方向から見たローラと外輪および内輪の軌道面の接触部に高圧下で固体のように振る舞う特性をもつトラクション油を介在させ、前記接触部においてローラを外輪及び内輪の軌道面に接近させることにより、トラクション油に高圧力(1〜3GPa)をかけることにより油の流動性を抑え、トラクション油に法線荷重(押し付け力)Fcを発生させ、トラクション油にわずかなせん断ひずみを与え、ひずみに比例するせん断応力によって生じる接線力Ftを牽引力としてローラと内輪間およびローラと外輪間でトルク伝達、すなわちトラクションドライブを可能としたものである。したがって、クラッチをオンさせるとき、クラッチがオンしてトルクを伝達している間、内外輪とローラ間の接触面間にトラクション油が常に介在しているため、クラッチのオン・オフの繰り返し耐久性を飛躍的に向上させることができるとともに高トルク伝達における信頼性を向上させることができる。
【0011】上記転がり軸受クラッチをオンする際には、流体の遠心圧力を利用してピストンを駆動し、外輪を移動させ、内輪と外輪の軌道面を互いに接近させることにより行なう。なお、転がり軸受クラッチは、ピストンの押圧力がなくなった場合には、内輪と外輪の軌道面が互いに離間するように設定されているため、転がり軸受クラッチは直ちにオフ状態となり、駆動側と被動側との機械的なカップリングを直ちに解除することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る動力伝達装置の一実施形態を図面を参照して説明する。本実施形態においては、動力伝達装置として流体継手を例に挙げて説明する。図1は流体継手の全体構成を示す断面図である。図1において、符号1は駆動軸であり、駆動軸1に隣接して被動軸4が配置されている。駆動軸1は軸受ケーシング18内に配置された軸受メタル13に回転自在に支持されており、被動軸4は軸受ケーシング19内に配置された軸受メタル16に回転自在に支持されている。なお、軸受ケーシング18,19は軸受ケーシング押さえ20により所定位置に保持されている。
【0013】また、駆動軸1にはインペラ2が結合され、被動軸4にはランナ3が結合されている。インペラ2にはインペラケーシング5が固定され、インペラケーシング5には外環24が固定されている。そして、外環24には外筒25が取付けられ、外筒25には内環6が取付けられている。
【0014】インペラケーシング5、外環24及び内環6で囲まれた空間には、転がり軸受クラッチCが配設されている。転がり軸受クラッチCは、内輪8と、外輪9と、内外輪8,9間に配設された複数の円筒状のローラ10と、複数の円筒状のローラ10を所定位置に保持する保持器12とから構成されている。そして、外輪9はボールスプライン機構26を介して外筒25に連結され、内輪8はランナ3に直接結合されている。前記円筒ローラ10は外輪9と内輪8の間で軸方向に対してある角度ねじられて配置されている。
【0015】また外筒25と内環6とで囲まれた部分はシリンダ部を構成しており、このシリンダ部内にピストン7が軸方向に可動に配設されている。そして、シリンダ部内面とピストン7との間にはクラッチオンオフ用作動油室30が画成されており、この作動油室30内に、軸受ケーシング19及び内環6に形成された作動油供給路31a,31b,31c,31dを介して作動油が供給されるようになっている。なお、作動油供給路31aはパイプを介して油ポンプに接続されている(後述する)。
【0016】前記ピストン7と外輪9との間には、複数のボール23が介装されている。なおボール23は円板状の保持器22に保持されている。また、外輪9と外環24との間には圧縮コイルスプリング11が介装されており、外輪9はスプリング11の付勢力により右方向に常時押されている。外環24と内輪8との間にはラジアル軸受32が介装されている。
【0017】しかして、作動油室30に作動油が供給されると、作動油室30内への作動油の供給油量、回転数等に応じて遠心圧力が発生し、図1においてピストン7を左側、内環6を右側に押す作用をする。結果的に、図1において、転がり軸受クラッチCの外輪9をスプリング11の右方向の力に対抗して左側に押し、内輪8を右側に引っ張る力が作用し、外輪9と内輪8の軌道面が互いに接近しクラッチがオン(結合)した状態となる。逆に作動油室30への作動油の供給をストップすると、遠心圧力を発生させていた作動油は外筒25に設けられた作動油室30に通じているノズル28から油室外に排出され、転がり軸受クラッチC はオフ(非結合)状態になる。
【0018】また、駆動軸1のスラスト力はスラスト軸受14で支承され、被動軸4のスラスト力はスラスト軸受17で支承されるようになっている。またインペラケーシング5の円周上に複数個のノズル21が配置され、ノズル21の取付け位置の内側の内壁面には被動機の最低回転数を規定するダム27が設けられている。
【0019】インペラ2、ランナ3およびインペラケーシング5によって流体継手羽根車作動油室が構成されている。作動油は、軸受ケーシング18の作動油給油通路18aを通って、上記流体継手羽根車作動油室へ供給されるようになっている。流体継手羽根車作動油室内に作動油を供給する通路は、図2に示すように、全開と全閉を急速に行う開閉用コントロール弁fと最大油量調整オリフィスjを有する通路Iと、コントロール弁fをバイパスするように並設され開閉用コントロール弁fと最小油量調整オリフィスhを備えた通路Iとからなっている。そして作動油は、油ポンプcによって油タンクaからストレーナbを介し、上記通路I又はI、前記駆動軸側軸受ケーシング18の給油通路18a、インペラ2の給油穴2aを経て作動油室に供給される。また作動油室内の作動油はノズル21を経て外部へ排出されるようになっている。なお、必要に応じて、油圧調整用レリーフ弁dと油冷却器eが設置される。
【0020】上記作動油室へ供給される作動油量は、コントロール弁fが全開の時、最大油量調整オリフィスjによって決定され、コントロール弁fが全閉でコントロール弁fが全開の時、最小油量調整オリフィスhによって決定される。これにより、被動側回転数は、コントロール弁fが全開の時最高回転数となり、全閉でコントロール弁fが全開の時最低回転数となる。一方、クラッチオンオフ用作動油室30への作動油の供給は、油ポンプcによって通路I、コントロール弁k、連通路31a〜31d(図1参照)を介して行われる。
【0021】次に転がり軸受クラッチについて詳細に説明する。転がり軸受クラッチCは、内輪8と、外輪9と、内輪8外周と外輪9内周の間に介装される多数の円筒状のローラ10と、ローラ10を所定位置に保持する保持器12とを備えている。内輪8は、被動軸4に一体に形成されている。外輪9はボールスプライン機構26を介して外環24に連結されており、外輪9は外環24に対して軸方向に相対移動自在で回転方向に一体回転するようになっている。また外環24には駆動軸1が固定されている。
【0022】前記外輪9と外環24の対向面間には予圧バネを構成する圧縮コイルスプリング11が介装されており、内輪8に対して外輪9を軸方向に押圧してローラ10に予圧を付与するように構成されている。また外輪9には、内輪8と外輪9の軌道面8a,9aが互いに接近するように流体による遠心圧力からなる押圧力が作用する構成になっている。この押圧力は、油圧、空気圧、電動アクチュエータ等の各種押圧力発生手段によっても発生させることができる。また内外輪8,9およびローラ10の全体をトラクション油に浸漬させている。
【0023】次に、内輪8、外輪9及びローラ10の関係を詳細に説明する。図3は内輪8、外輪9及びローラ10の関係を示す図であり、図3(a)は内輪8、外輪9及びローラ10を示す概略断面図、図3(b)及び図3(c)はローラと軌道面との関係を示す図である。なお、図3(a)に示す転がり軸受クラッチと図1における転がり軸受クラッチとは、左右が逆に図示されているが、機能および作用的には同一である。ローラ10は、図3(a)及び図3(b)に示すように、内外輪8,9の中心軸xに対して所定のねじれ角βでもって配置されている。内輪8外周の軌道面8aは先細となるような円錐台形状のテーパ面で、外輪9内周の軌道面9aも内輪8の軌道面8aに対応して円錐台形状に成形されている。
【0024】ここで、内外輪8,9の軌道面8a,9aはローラ10が線接触してはじめて機能を満足するものであり、図4(a)及び図4(b)に示すように、ローラ10を中心軸xの周りに公転させた場合のローラ10の外周及び内周の軌跡であり双曲面形状となる。
【0025】内外輪8,9の軌道面8a,9aは、図4(c)に示すように中心軸xに対して所定のソケット角φでもって傾斜している。ソケット角φとは、図3(b)に示すように、内輪8及び外輪9の中心軸線xを通る平面で切断した双曲線となる軌道断面のローラ接点P(x,y)における接線aと中心軸xとのなす角である。
【0026】ローラ10は保持器12によって所定間隔に保持されている。ローラ10のねじれ角βは保持器12によって保持されるのではなく、内外輪8,9の軌道面8a,9aの双曲面形状によって自動的に維持される。保持器12は、内外輪8,9を分解した際にローラ10がバラバラにならないように保持するものである。
【0027】ここで、食い込み角(ψ)について図5を参照して説明する。図5(a)はテーパねじを示す図である。図示するように、テーパねじ33のねじ山34は、仮想円筒面35に対して所定のリード角βでもって螺旋状に巻き付けられると同時に、その外周は中心軸xに対して所定のソケット角φでもって上方に向かって拡径する円錐台36の外周上に位置する。したがって、ねじ山34の外径は仮想円筒面35に対して上方に向かうにつれて所定の角度θで徐々に拡大するくさび形状となる。この角度θを転がりくさび角とする。
【0028】この転がりくさび角θは、テーパねじとした場合の雄ねじと雌ねじのねじりに伴うねじ径の増加または減少角を求めたものであるが、雄ねじと雌ねじにねじ込むときは、この両者の転がりくさび角の和が実際のくさび角となる。このくさび角を食い込み角ψと定義する。
【0029】転がり軸受クラッチCの場合には、内輪8と外輪9間に介在するローラ10がねじれ角βを有しているので、ローラ10を介して内輪8と外輪9を相対回転させると、ローラ10の転がり方向によって、あたかもねじが存在するように内輪8が外輪9内にねじり込まれ、ローラ10が内輪8と外輪9の軌道面8a,9a間に食い込むことになり、テーパねじ33と全く同様の関係となる。
【0030】図5(b)は、転がり軸受クラッチCの内外輪8,9をローラ4の転がり方向に螺旋状に切断した図を示している。図示するように、内輪8側の軌道面8aはローラ10の転動方向に転がりくさび角θiでもって徐々に大径となるように傾斜し、外輪9側の軌道面,9aは上方に向かって転がりくさび角θoでもって徐々に小径となるように傾斜している。
【0031】図5(c)は、軌道面8a,9a間に介在するローラ10を軸方向から見た模式図である。内輪8と外輪9の軌道面8a,9a間が狭まる方向に相対移動させるとローラ10が食い込むことになる。このローラ10の食い込み状態は、内輪8側と外輪9側の転がりくさび角θiとθoの両方が作用するので、両方を合成して食い込み角ψとして評価する。
【0032】本実施形態においては、内輪8と外輪9の軌道面8a,9a間にローラ10が転がり食い込まないように、ローラ10と軌道面8a,9aの接触部がすべることを条件としている。その条件として、ローラ10と軌道面8a,9aとのなす接触部の転がりくさび角θi,θoの少なくともいずれか一方が、接触部の静止摩擦係数μsi,μsoに対応する摩擦角λi,λoよりも大きく設定されている。ここで、摩擦角λとは、平らな斜面上に物体をのせて徐々に傾けた場合にすべり始める角度のことでtanλi=μsi,tanλo=μsoである。
【0033】ローラ10の接点は内輪8側と外輪9側の接触部の少なくともいずれか一方がすべれば食い込まないから、θi>λiあるいはθo>λoとする。もちろん、θi>λiかつθo>λoとしてもよい。書き換えれば、tanθi>μsiと、tanθo>μsoの2条件のうちの少なくともいずれか一方の条件である。
【0034】図3(c)は、θiとθoの合成角(θi+θo)として定義されるψを、モデル的に表したものである。内外輪8,9は同一材料であり、ローラ10と両軌道面8a,9aとの接触部の静止摩擦係数は等しく、また、内輪8と外輪9の軌道面8a,9aとの転がり接触角θi,θoはほぼ等しいと考えられるので、食い込み角(ψ)が、式tan(ψ/2)>μsの関係を満足するように設定されている。このように設定しても実用上問題はない。図中、Nは接触面からローラ10に作用する抗力、Fは摩擦力、Pはその合力である。
【0035】しかし、このような転がり接触角θを測定して成形することは困難であり、実際はローラのねじれ角βとソケット角φとの関係で接触角θが設定される。この接触角θ、ローラねじれ角β及びソケット角φは、幾何学的に一定の関係を有している。
【0036】図5(a)に示したテーパねじモデルで説明すると、次式のような関係となる。
tanθ=sinβ・tanφすなわち、図中、h=ltanβ,Δ=htanφよりΔ=ltanβ・tanφ。また、l=1/cosβ、tanθ=Δ/lより、tanθ=cosβ・tanβ・tanφ=sinβ・tanφで証明される。したがって、ローラねじれ角βと、ソケット角φが、sinβ・tanφ>μsとなるように設定すればよい。μsについては、内輪8,外輪9及びローラ10の材質、潤滑状態等の条件で種々の値となる。μsが0.05程度とした場合に、ローラねじれ角βを21°〜24°、ソケット角φを8°〜10°の範囲に設定することが好ましい。
【0037】ローラのねじれ角βが21°以下になるとロックしやすくなり、25°以上になると転がりにくくなる。また、ソケット角φが8°以下になるとロックしやすくなり、10°を越えるとスリップしやすく安定性が悪くなってくるためである。sinβ・tanφを計算すると、β:24°,φ:8°の場合には約0.057、β:21°,φ:10°の場合は約0.063、β:21°,φ:8°の場合には0.0503程度となり、最大静止摩擦係数μsより大きくすべり条件を満足する。この時の食い込み角ψは、(ψ/2)=3°付近である。
【0038】これに対して、従来は、ローラねじれ角β15〜18°とし、ソケット角φを4〜4.5°の範囲で使用していた。この従来の場合のsinβ・tanφを計算すると、β:15°,φ:4°の場合には約0.018、β:18°,φ:4.5°の場合に約0.024、β:18°,φ:4°の場合は約0.021となり、最大静止摩擦係数よりも小さくロック条件となっている。
【0039】もちろん、ローラねじれ角βとソケット角φは相対的なもので、βを従来の15°〜18°とし、それに合わせてsinβ・tanφが0.05以下の範囲となるようにソケット角φを選べばよいし、逆にソケット角を従来の4〜4.5°の範囲に設定し、それに合わせてsinβ・tanφが0.05以下の範囲となるように設定すればよい。
【0040】また、上記数値以外のローラねじれ角βが上記以外の15°以下の範囲、18〜21°間の範囲、さらに24°以上の範囲についても適用可能である。また、ソケット角φについても、上記以外の4°以下の範囲、4.5〜8°の範囲、10°以上の範囲も適用可能である。
【0041】さらに、最大静止摩擦係数μを0.05程度としたが、この静止摩擦係数μを調整することも可能であり、0.1,1.5等種々の値をとり得る。すなわち、ローラねじれ角βもソケット角φも従来の角のままとし、最大静止摩擦係数を変えることによってすべり条件とすることもできる。すなわち、従来のローラねじれ角を15〜18°、ソケット角φを4〜4.5°の範囲であっても、最大静止摩擦係数μsを0.02より小さくすればすべる条件になる。あくまでも静止摩擦係数μとローラ10の転がり摩擦角θあるいは食い込み角ψとの相対関係であり、静止摩擦係数は0.05に限定されない。
【0042】上記ローラねじれ角βとソケット角φとの間にも、図4(c)に示すように、幾何学的に一定の関係がある。図4(c)より次式の関係が成立する。
tanφ=x・tanβ/(F+x・tanβ)1/2tanθ=sinβ・tanφ=sinβ・{x・tanβ/(F+x・tanβ)/2
ここで、ローラ10の食い込み角ψは、内外輪8,9とローラ10の転がり接触角θi,θoの和であるから、次式で示される。
φ=tan−1〔{(y+y)xtanβsinβ}/{y・y−(xtanβsinβ)}〕
F:軌道設計時に与える任意の値y:xにおける内輪軌道半径(F+x・tanβ)1/2:xにおける外輪軌道半径(F+x・tanβ)1/2=F−rF=F+rr:ローラ半径【0043】この関係について説明すると、図4(c)に示すように、ローラ10の摩擦角θ及びねじれ角βによって軌道断面形状が決定する。ソケット角φは、決定された軌道断面のどの範囲を実際に軌道として使うかで決まる。すなわち、ローラ接点PのX座標(上式中のx0)と、予め定めたFの値で決まることになる。ローラ接点はローラの軸方向中央位置である。
【0044】次に、前述のように構成された転がり軸受クラッチの動作を説明する。駆動軸1は転がり軸受クラッチCの内外輪のロック方向に相対回転する場合を説明する。駆動軸1が回転しても、転がり軸受クラッチCがオフの場合には、外環24と一体に外輪9はロック方向に回転するが、ローラ10は軌道面間に螺旋状に食い込んでいかないですべりながら転がるため、内輪8は回転しない。この状態で外輪9に押圧力を作用させ、外輪9を予圧バネ11の右方向の力に抗して左側に押し、外輪9と内輪8の軌道面が互いに接近して内外輪8,9とローラ10間のトラクション油に高圧力が作用するため、トラクションドライブが成立し、クラッチがオン状態となる。すなわち、駆動軸1と被動軸4とがわずかなすべりをもってカップリングされた状態となり、駆動軸1から被動軸4へトルクが伝達される。
【0045】次に、トラクションドライブの成立条件について説明する。ここでトラクションドライブとは、高圧下で固体のように振る舞う特性を持つトラクション油を用いて、これにわずかなせん断ひずみを与え、ひずみに比例するせん断応力で接線力を伝える駆動法で、すべりの大きな摩擦伝動とは異なる駆動法を云う。その潤滑状態はEHL(流体弾性潤滑)で境界潤滑や流体潤滑と異なっている。接線力を伝える表面では微小な滑りを生じているが、そのすべり率は微小量であるため、クリープと呼び、境界潤滑や流体潤滑での滑り(グロススリップ)と区別している。図6および図7は、ローラに働く力の関係を示す図であり、図6はメカニカルクラッチを簡略に表したモデル(軸中心を通る断面図)であり、図7はローラの中心運動軸が内外輪の接触点で立てた接線の交点を通ると仮定した図(ローラの端面方向の詳細断面図)である。
【0046】(1)トラクション係数(μ
トラクション係数(μ)とは、内輪8および外輪9の軌道面8a,9aとローラ10との接触部における法線力Fcと接線力Ftの比を云う。すなわち、μ=Ft/Fcローラ中心に働くくさび力Fwと内外輪接触部の法線力 Fw=Fcosinα=Fcisinα(∵α=(θo+θi)/2)・・・ここで、θo,θiはローラと双曲面から定まる転がりくさび角である。トラクション係数をμとしたとき、ローラと内外輪接触点の力関係は、図7より Fti=μFci・・・■ Fto=μFco・・・■よりFco=Fci=Fcとして Fti=μFc・・・■’ Fto=μFc・・・■’このとき内輪側に着目する。
(a)トラクションドライブによるトルクTi入力トルクをTi、内輪の回転半径(接触点における)をriとするとTi=ri・Fticosθi・・・■=μ・ri・Fccosθi・・・■ (∵■’)
(b)くさびによるトルクTiwローラ中心に働く中心軸に平行な力をFtb、ローラ半径をrbとするとTiw=Ftb(rbcosθi+ri)・・・■一方、FwとFtbの関係はFw=Ftbcos{(θo−θi)/2}・・・■式および■式を■式に代入すると Fiw=Fw(rbcosθi+ri)/cos{(θo−θi)/2}
=〔Fcsin{(θo+θi)/2}(rbcosθi+ri)〕/cos{(θo−θi)/2}・・・トラクションドライブによるトルクTi≧くさびによるトルクTiwが成立したときに、接触部の空転(グロススリップ)が起こらずに、微小なすべりを起こしつつトルクを伝達するトラクションドライブが成立する。よって限界のトラクション係数μ μ={(1/cosθi)+rb/ri}・sin{(θo+θi)/2}/cos{(θo−θi)/2}・・・すなわち、トラクション係数μ■式で求めた値より大きければ、トラクションドライブが成立する。
【0047】(2)トラクションカーブトラクションカーブとは、高圧力下での油のせん断応力特性によって主に定まるものであり、トラクション係数μとクリープΔU/U(すべり率)との関係である。トラクションカーブは接触部に働くヘルツ応力σ[Pa]をパラメータとして、例えば図8に示すようなカーブを描く。次にトラクションカーブの求め方を説明する。無次元トラクション力Jは弾性域のトラクション力J4eと塑性域のトラクション力J4pによって次式で表される。
=J4e+(τ0t/τ)・J4p・・・ここでJ4e=(3/2)・{S/(1+S
4p=(3/8)・〔(π/2)−sin−1{(1−S)/(1+S)}+2S(S−1)/(1+S
S=(3/2)・(G・b/τ・h)・(ΔU/U)
G:体積弾性係数、b:接触長さ、τ:限界せん断応力、h:油膜厚さ(各トルクでの値)
ここで、G=αE’であり、αは油の圧力粘性係数[Pa−1]を表し、E’=E/(1−ν)である。ここで、Eはヤング率[Pa]、νは材料のポアソン比である。また限界せん断応力の温度による補正τ0t/τはJonson,Trevaarwerkの式より τ0t/τ=1+T/(Tθ+D) (n>1)
:発熱による温度上昇量(繰返計算により求める)
θ:給油温度D:温度定数そして、J=μ/μmax・・・■μmax:最大トラクション係数であり、油の種類により異なる式■,■よりトラクション係数μとクリープΔU/Uの関係が計算できる。この関係をグラフに表せば、図8に示すようなトラクションカーブを描くことができる。この図でσ=1.4GPaの線を見ると、すべり率1%付近でμは最大となり、その後は滑りによる発熱のため、低下していく。右上がりの部分を弾性域、最大値より後のクリープの大きい部分を塑性域と呼び、トラクションドライブはクリープとμの比例する弾性域(図8においてAで示す範囲)を用いる。
【0048】以上より、トラクションドライブが成立するためには、(2)で描いたトラクションカーブがσ=1.4GPaのカーブのように極大値を持ち、かつ(1)で定められるトラクション係数μと交点を持つことが条件である。すなわち、この交点が転がり軸受クラッチの運転点DPとなる。
【0049】以上説明したように、本発明は、ローラ10の軸線方向から見たローラ10と外輪9および内輪8の軌道面8a,9aの接触部に高圧下で固体のように振る舞う特性をもつトラクション油を介在させ、押圧力を内輪8又は外輪9のいずれか一方に付与することにより、前記接触部においてローラ10を外輪9及び内輪8の軌道面8a,9aに接近させることによりトラクション油に法線荷重(押し付け力)Fcを発生させ、トラクション油にわずかなせん断ひずみを与え、ひずみに比例するせん断応力によって生じる接線力Ftを牽引力としてローラ10と内輪8間およびローラ10と外輪9間でトルク伝達、すなわちトラクションドライブを可能としたものである。したがって、クラッチをオンさせるとき、クラッチがオンしてトルクを伝達している間、およびクラッチがオフしている間、内外輪8,9とローラ4間の接触面間にトラクション油が常に介在しているため、クラッチのオン・オフの繰り返し耐久性を飛躍的に向上させることができるとともに高トルク伝達における信頼性を向上させることができる。そして、クラッチがオン状態で、トルクを伝達している間は、図8に示す運転点DPの微小なすべり(1%以下)が発生している。
【0050】そして、トルク負荷中に外輪9への押圧力を解除すれば、ローラ10が内輪8と外輪9の軌道面8a,9aとの接触部ですべり始めて外輪9のみが回転し内輪2は回転せず、転がり軸受クラッチ1は直ちにオフ状態になる。すなわち、駆動軸1と被動軸4とのカップリングは直ちに解除される。
【0051】次に、転がり軸受クラッチの第2の実施形態を説明する。第2の実施形態の構造は、図1に示す実施の形態と同様であるため、構造の説明は省略する。しかしながら、本実施形態においては、第2の実施形態とは異なり、内輪8および外輪9の軌道面8a,9aの構造は従来と全く同様の双曲面形状であり、その説明は省略する。
【0052】次に、前述のように構成された第2の実施形態の転がり軸受クラッチの動作を説明する。駆動軸1は原動機(図示せず)に連結されている。本実施の形態においては、駆動軸1は転がり軸受クラッチCの内外輪のロック方向とは反対のころがり方向にのみ相対回転する。駆動軸1が回転しても、転がり軸受クラッチCがオフの場合には、外環24と一体に外輪9は回転するが、ローラ10の転がりによって内外輪8,9を互いに引き離す方向の転がり分力が発生し、ローラ10はフリー状態で転がり回転するため、内輪8は回転しない。この状態で図1に示す外輪9に押圧力を作用させると、外輪9が左側に押され、外輪9と内輪8の軌道面が互いに接近して、内外輪8,9とローラ10間のトラクション油に高圧力が作用するため、トラクションドライブが成立し、転がり軸受クラッチCはオン状態となり、駆動軸1と被動軸4とがカップリングされる。そして、トルク負荷中に外輪9への押圧力が解除されると、ローラ10の転がりによって内外輪8,9を互いに引き離す方向の分力が発生し、ローラ10はフリー状態で回転し、転がり軸受クラッチCは直ちにオフ状態となる。
【0053】次に、前述のように構成された転がり軸受クラッチを用いた流体継手の作用を説明する。原動機が定格回転数で回転しており、図2のコントロール弁f及びコントロール弁kが閉でコントロール弁fが開のとき、インペラ2、ランナ3及びインペラケーシング5で形成される流体継手羽根車作動油室内に最小油量調整オリフィスhによって規定された作動油量が供給され、被動機回転数は最低回転数となる。また、コントロール弁fが開でコントロール弁kが閉のとき、流体継手羽根車作動油室内に最大油量調整オリフィスjによって規定された作動油量が供給され、被動機回転数は流体継手羽根車によるスリップを含んだ最高回転数となる。
【0054】被動機回転数が流体継手羽根車によるスリップを含んだ最高回転数のとき、図2のコントロール弁kを開にすると、外筒25、内環6及びピストン7によって形成されるクラッチオンオフ用作動油室30内に作動油が供給され、遠心力により作動油室30内の作動油に遠心圧力が生ずる。この遠心圧力によりピストン7が左側に押され、外輪9と内輪8の軌道面が互いに接近して転がり軸受クラッチCはオン状態となり、転がり軸受クラッチCにおいてはトラクションドライブが成立し、被動機回転数は駆動側回転数に対して微小なすべり(1%以下)となる。このとき、外筒25に設けられた作動油室30に通じているノズル28からは常時作動油が流出している。作動油室30への作動油の供給を停止すれば、遠心力により作動油室30内の作動油はノズル28より排出され、ピストン7への押圧力が解除されるため、ローラ10が内輪8と外輪9の軌道面8a,9aとの接触部ですべり始めて外輪9のみが回転し内輪8は回転せず、転がり軸受クラッチCは、直ちにオフ状態になる。
【0055】転がり軸受クラッチCをオフ状態にした後、上記動作の逆操作をすることにより、被動機回転数は最低回転数に制御することが可能である。
【0056】転がり軸受クラッチCを作動させるための遠心圧力Pxは次式で表される。
Px=γω(r−r)/2gここで、γは作動油の比重量、ωは回転角速度である。作動油供給量qのとき、作動油室30内に最内周半径r、最外周半径rの油膜が形成される。最外周半径rは作動油室30の外周壁によって決定される。作動油供給量qを増加すればrは小となり、qを減少すればrは大きくなる。以上より、必要な遠心圧力Pは作動油供給量qを制御することにより、時間的要素を加味して制御可能であることがわかる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、駆動側と被動側とを機械的に結合することによりスリップ損失を極力なくし、動力伝達効率を向上させることができる。そして、本発明の一例としての流体継手を鉄鋼設備のデスケーリング装置用ポンプに適用すると、無負荷時には最低回転数で運転でき、負荷時には流体継手によるスリップ損失が極めて小さく原動機の定格回転数に近接した回転数で運転でき、簡単な制御で多大な省エネルギー効果を得ることができる。
【0058】また本発明の転がり軸受クラッチによれば、ローラの軸線方向から見たローラと外輪および内輪の軌道面の接触部に高圧下で固体のように振る舞う特性をもつトラクション油を介在させ、内外輪をロック方向またはロック方向とは反対の転がり方向に相対回転させた状態で内外輪を相互に近付けるように押圧力を加えることにより、前記接触部においてローラを外輪と内輪に接近させ、トラクション油に法線荷重(押し付け力)Fcを発生させることによりトラクション油にわずかなせん断ひずみを与え、ひずみに比例するせん断応力によって生じる接線力Ftを牽引力としてローラと内輪間およびローラと外輪間でトルク伝達、すなわちトラクションドライブを可能としたものである。したがって、クラッチをオンさせるとき、クラッチがオンしてトルクを伝達している間、およびクラッチがオフしている間、内外輪とローラ間の接触面間にトラクション油が常に介在しているため、クラッチのオン・オフの繰り返し耐久性を飛躍的に向上させることができるとともに高トルク伝達における信頼性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
【出願日】 平成11年12月15日(1999.12.15)
【代理人】 【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇 (外1名)
【公開番号】 特開2001−173753(P2001−173753A)
【公開日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【出願番号】 特願平11−356584