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テンショナ装置 - 特開2001−153192 | j-tokkyo
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【発明の名称】 テンショナ装置
【発明者】 【氏名】中村 健佐

【氏名】小島 禎夫

【氏名】前田 一

【氏名】田中 敦

【氏名】神山 英彦

【氏名】山田 真嗣

【要約】 【課題】部品点数が少なくかつ構造が簡単なテンショナ装置を提供すること。

【解決手段】エンジン1に設けられるテンショナ装置14は、支持部材16と、基端部17aがシリンダブロック3に保持され、先端部17bが支持部材16に支持された、タイミングチェーン11に摺接するブレードシュー17と、ブレードシュー17に保持されてその弾性力によりブレードシュー17をタイミングチェーン11に押圧するリーフスプリング18とを備える。そして、支持部材16はシリンダブロック3に一体成形されており、先端部17bは、支持部材16に形成された案内面16aに当接して摺動自在に支持されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン本体に設けられた支持部材と、基端部が該エンジン本体に保持され、先端部が該支持部材に摺動自在に支持された、伝動用無端可撓部材に摺接するテンショナシューと、該テンショナシューを弾性力により該無端可撓部材に押圧するスプリングとを備えたテンショナ装置において、前記支持部材は前記エンジン本体に一体成形され、前記先端部は、該支持部材に形成された案内面に当接して摺動自在に支持されていることを特徴とするテンショナ装置。
【請求項2】 前記支持部材は、前記案内面上で前記先端部から該支持部材に作用する力の作用線に略沿って設けられた補強部を有することを特徴とする請求項1記載のテンショナ装置。
【請求項3】 前記先端部の、前記テンショナシューの幅方向における両側方に位置する部材の少なくともいずれか一方に、該先端部との当接により該幅方向への該テンショナシューの片寄りを規制する凸部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のテンショナ装置。
【請求項4】 前記テンショナシューの前記幅方向における前記先端部の両側面の少なくともいずれか一方に、該両側面と対向する部材との当接により該幅方向への該テンショナシューの片寄りを規制する凸部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のテンショナ装置。
【請求項5】 前記案内面と前記先端部の該案内面に対向する対向面のうち、該案内面と該先端部との当接位置から所定範囲内で上方に位置する上部案内面と上部対向面とで形成される空間は、該上部案内面および該上部対向面を流下する潤滑油を該当接位置に案内すべく上方に向けて拡開していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のテンショナ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本出願発明は、エンジンに設けられて、例えば動弁装置やオイルポンプなどの補機を駆動するために、エンジンの駆動軸からの動力をそれら装置の従動軸に伝達するために使用されるチェーンやベルトなどの伝動用無端可撓部材のテンショナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンの駆動軸からの動力を伝達するためのチェーンやベルトなどの伝動用無端可撓部材には、動力伝達を円滑に行うための適切な張力を付与するために、また駆動軸の回転の変動により無端可撓部材の張力が変動して無端可撓部材が振動するのを防止するために、無端可撓部材の張力を自動的に調整するテンショナ装置が設けられている。
【0003】例えば特開昭61−48655号公報に開示されたチェンの張力調節装置では、クランク軸側および弁駆動用のカム軸側にそれぞれ取り付けられたスプロケットに巻回されたチェンの弛緩側で、板バネと樹脂板とが一体に接合された張力付与部材が当接していて、該張力付与部材の下端はクランクケースに回動可能に支持され、その上端は張力調節機構のピストン部材に回動可能に支持されている。ピストン部材は、シリンダヘッドに形成されたケースの案内孔に摺動自在に嵌合されると共に、スクリュ部材により抑えられたコイルバネにより付勢され、この付勢されたピストン部材が前記張力付与部材をチェン側に湾曲させて、チェンに張力を与えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記公報に開示された従来技術では、チェンを押圧して張力を付与する張力付与部材の上端は、チェンの弛みを補償する必要から、チェンの張力を増加させる方向にのみ移動可能なピストン部材に回動可能に支持されている。
【0005】そのため、前記張力調節機構は、シリンダヘッドなどの内燃機関本体とは別部材となっている上、ピストン部材を付勢するコイルバネや該コイルバネを抑えるスクリュ部材を必要とするなど、張力付与部材の上端を支持するための構造は、部品点数が多くかつ複雑な構造となっていた。
【0006】本出願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1ないし請求項5記載の発明は、部品点数が少なくかつ構造が簡単なテンショナ装置を提供することを共通の目的とする。また、請求項2記載の発明は、さらに、テンショナシューからの力が作用する支持部材の剛性を高めることを目的とし、請求項3および請求項4記載の発明は、さらにテンショナシューの幅方向への倒れを防止することを目的とし、請求項5記載の発明は、さらに、摺動する部分を潤滑してテンショナ装置の耐久性を向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本出願の請求項1記載の発明は、エンジン本体に設けられた支持部材と、基端部が該エンジン本体に保持され、先端部が該支持部材に摺動自在に支持された、伝動用無端可撓部材に摺接するテンショナシューと、該テンショナシューを弾性力により該無端可撓部材に押圧するスプリングとを備えたテンショナ装置において、前記支持部材は前記エンジン本体に一体成形され、前記先端部は、該支持部材に形成された案内面に当接して摺動自在に支持されているテンショナ装置である。
【0008】この請求項1記載の発明によれば、テンショナシューの先端部を支持している支持部材はエンジン本体に一体成形されているので、部品点数が削減されると共に、支持部材はエンジン本体と同時に形成できるため、コスト削減が可能となる。また、支持部材には、先端部が摺動自在に当接する案内面が形成されているのみであり、しかも可動部が設けられていないため、構造が簡単となり、耐久性が向上する。
【0009】また、案内面は、エンジン本体に一体成形された支持部材に形成されるため、エンジン本体と支持部材とを別部材としたときの、エンジン本体と支持部材との取付け誤差が皆無となり、案内面と該案内面上を摺動するテンショナシューの先端部と位置関係が正確に設定され、エンジン毎のばらつきが殆どない良好な張力調整機能を備えたテンショナ装置とすることができる。
【0010】さらに、テンショナシューをエンジン本体に取り付けると同時にその先端部を案内面にセットすることができて、エンジンへのテンショナ装置の組付けが容易になる。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載のテンショナ装置において、前記支持部材は、前記案内面上で前記先端部から該支持部材に作用する力の作用線に略沿って設けられた補強部を有するものである。
【0012】この請求項2記載の発明によれば、先端部から支持部材に作用する力は補強部により受け止められるので、剛性の高い支持部材とすることができ、安定した張力調整機能が奏される。さらに、この補強部は先端部から支持部材に作用する力の大部分を支えることになるので、支持部材において、剛性アップへの寄与度が低い部分の肉抜きが可能となり、エンジンの軽量化に寄与できる。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載のテンショナ装置において、前記先端部の、前記テンショナシューの幅方向における両側方に位置する部材の少なくともいずれか一方に、該先端部との当接により該幅方向への該テンショナシューの片寄りを規制する凸部が設けられているものである。
【0014】この請求項3記載の発明によれば、先端部と先端部の幅方向の側方に位置する部材の凸部との当接により、先端部が案内面に対して摺動自在になっていることに起因して、無端可撓部材の動きにより発生するテンショナシューの幅方向の片寄り量を微小なものとすることができるので、テンショナシューの倒れを防止できて、安定したテンショナ機能を発揮できる。また、先端部の近傍に位置する部材、例えば無端可撓部材を覆うケースや、エンジン本体を利用して凸部を形成できるので、部品点数を増加させることなくテンショナシューの倒れを防止できる。さらに、基端部がエンジン本体に保持されたテンショナシューにおいて、片寄りが生じた場合に大きな片寄り量が生じる先端部にて片寄りが規制されるので、テンショナシュー全体の片寄り量を、容易に微小なものとすることができる。
【0015】請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のテンショナ装置において、前記テンショナシューの前記幅方向における前記先端部の両側面の少なくともいずれか一方に、該両側面と対向する部材との当接により該幅方向への該テンショナシューの片寄りを規制する凸部が設けられているものである。
【0016】この請求項4記載の発明によれば、先端部の幅方向の側面に設けられた凸部と先端部の側面と対向する部材との当接により、先端部が案内面に対して摺動自在になっていることに起因して、無端可撓部材の動きにより発生するテンショナシューの幅方向の片寄り量を微小なものとすることができるので、テンショナシューの倒れを防止できて、安定したテンショナ機能を発揮できる。また、先端部に凸部が形成されているため、先端部がいかなる位置にあっても対向する部材との当接により容易にテンショナシューの倒れを防止できる。さらに、基端部がエンジン本体に保持されたテンショナシューにおいて、片寄りが生じた場合に大きな片寄り量が生じる先端部にて片寄りが規制されるので、テンショナシュー全体の片寄り量を、容易に微小なものとすることができる。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のテンショナ装置において、前記案内面と前記先端部の該案内面に対向する対向面のうち、該案内面と該先端部との当接位置から所定範囲内で上方に位置する上部案内面と上部対向面とで形成される空間は、該上部案内面および該上部対向面を流下する潤滑油を該当接位置に案内すべく上方に向けて拡開しているものである。
【0018】この請求項5記載の発明によれば、上方から落下してくる潤滑油が少なくとも拡開した空間にて捕捉され、捕捉された潤滑油が、上部案内面および上部対向面を流下して案内面と先端部との当接箇所に供給され、該当接箇所が潤滑されるので、案内面と先端部との摩耗を低減できる。その結果、支持部材および先端部の耐久性を向上でき、適切な張力調整が長期間に渡って可能となる。
【0019】なお、この明細書において、エンジン本体とは、エンジンを構成するシリンダブロック、シリンダヘッド、クランクケース、それら部材の少なくともいずれか一つに取り付けられるカバー、およびエンジンの動力により駆動される機器のハウジングであって前述のシリンダブロック、シリンダヘッド、クランクケースおよびカバーのいずれか一つと一体化(固定手段により一体化されたもの、および一体成形されたものを含む)されたハウジングのうちの、少なくともいずれか一つの部材を意味するものとする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本出願発明の実施形態を図1ないし図4を参照して説明する。図1および図2は、第1実施形態を説明するためのものであり、図1はチェーンケースを外したときのエンジンの要部側面図、図2は図1のII−II線断面図である。
【0021】この第1実施形態において、エンジン1としての頭上カム軸式の内燃機関は、下方にオイルパン(図示されず)が組み付けられたロアブロック2(下部クランクケースに相当)に、シリンダブロック3(シリンダおよび上部クランクケースに相当)、シリンダヘッド4およびシリンダヘッドカバー(図示されず)が順次重ねられて組み付けられている。
【0022】シリンダヘッド4に回転自在に支持されたカム軸7は、エンジン1のクランク軸5に取り付けられた駆動スプロケット6と、カム軸7に取り付けられたカムスプロケット8と、オイルポンプの回転軸9に取り付けられたポンプスプロケット10とに掛け渡された伝動用無端可撓部材としてのタイミングチェーン11により、クランク軸5の回転数の1/2の減速比で回転駆動される。ここで、クランク軸5は駆動軸であり、カム軸7および回転軸9は従動軸となっている。また、タイミングチェーン11を覆うチェーンケース12(図2参照)は、ロアブロック2、シリンダブロック3およびシリンダヘッド4に形成された各合わせ面2a,3a,4aに、ボルトにより固定される。
【0023】タイミングチェーン11には、その緊張側でカムスプロケット8とポンプスプロケット10との間においてタイミングチェーン11に摺接するチェーンガイド13と、その弛緩側で駆動スプロケット6とカムスプロケット8との間においてタイミングチェーン11に摺接するテンショナシューとしてのブレードシュー17を有するテンショナ装置14とにより、自動的に適切な張力が付与される。
【0024】テンショナ装置14はテンショナ本体15と支持部材16とから構成されている。このうち、テンショナ本体15は、合成樹脂、例えばナイロン製のブレードシュー17と、ブレードシュー17のタイミングチェーン11との摺接面とは反対側の面である背面に接触し、その弾性力によりブレードシュー17をタイミングチェーン11に押圧する複数層、この実施形態では5層の板バネを一体にしたリーフスプリング18とからなる。そして、リーフスプリング18は、その両端部18a,18bがブレードシュー17の基端部17aおよび先端部17bに形成された溝17c,17dにそれぞれ挿入されることで、ブレードシュー17に保持されている。なお、複数層の板バネは、必ずしも相互に固定されて一体にされる必要はなく、相互に分離した状態で単に重ね合わされていてもよい。
【0025】ブレードシュー17は、クランク軸5の軸線と平行な方向に所定の幅を有すると共に円弧状をしており、その基端部17aは、下部クランクケースであるロアブロック2と、シリンダブロック3の下部(上部クランクケースに相当)との合わせ面に配置されたクランク軸5に取り付けられた駆動スプロケット6の近傍のシリンダブロック3に固定された支軸19に回動自在に保持されている。
【0026】また、ブレードシュー17の先端部17bは、シリンダブロック3とシリンダヘッド4との合わせ面の近傍において、シリンダブロック3とシリンダヘッド4に跨る位置にあって、支持部材16に形成された案内面16aと摺動自在に当接することで支持されている。そして、先端部17bが案内面16aに当接することにより、テンショナ本体15がタイミングチェーン11に押圧されて、ブレードシュー17がタイミングチェーン11に摺接するようにされ、その際リーフスプリング18の弾性力により、タイミングチェーン11に適切な大きさの張力が付与される。
【0027】案内面16aは、タイミングチェーン11寄りの部分ほど基端部17aに近づくように、タイミングチェーン11に向かって斜め下方に傾斜した平面状の面となっていて、タイミングチェーン11が弛緩したとき、テンショナ本体15を、タイミングチェーン11をさらに押圧する方向に移動させるようにしている。そして、この傾斜の程度により、リーフスプリング18の弾性力によるタイミングチェーン11の押圧の程度を調整できるものである。
【0028】したがって、案内面16aとタイミングチェーン11との間で挟持された先端部17bは、タイミングチェーン11が弛緩したとき、リーフスプリング18の弾性力によりテンショナ本体15の曲率が増大することで、タイミングチェーン11を押圧する方向に案内面16a上で摺動し、一方タイミングチェーン11が緊張したとき、前述の押圧する方向とは逆方向に案内面16a上で摺動する。
【0029】さらに、リーフスプリング18が挿入された溝17dと支持部材16との間の先端部17bには、先端部17bの軽量化のために肉抜きがなされて空洞17eが形成されていると同時に、支持部材16からの反力に抗する剛性を有するようにするために、反力の作用線に略沿う方向に補強部であるリブ17fが形成されている。
【0030】一方、支持部材16は、シリンダブロック3のシリンダヘッド4との合わせ面寄りに位置していて、シリンダブロック3の後端壁3bから中央に向かって膨出しすると共に、その内部を肉抜きされて空洞16bが形成された薄肉の壁を有する膨出部として、シリンダブロック3を鋳造する際に、シリンダブロック3と共に一体成形される。
【0031】そして、支持部材16には、前述のように、変動するタイミングチェーン11の張力に応じてブレードシュー17の先端部17bが摺動する案内面16aが形成されているほか、案内面16aと先端部17bとの当接位置において先端部17bから支持部材16に作用する力の作用線に略沿って延びる補強部としてのリブ16cが、支持部材16の案内面16aとは反対側の面である内面から、シリンダブロック3の後端壁3bに形成され、チェーンケース12を取り付けるためのボルト20(図2参照)が螺合するネジ孔21が形成されて厚肉となったボス部22に至るまで延びて形成されている。
【0032】また、平面状の案内面16aと、先端部17bにおいて案内面16aに対向する円弧状に湾曲した対向面17gとのうち、案内面16aと先端部17bとの当接位置から所定範囲内で上方に位置する上部案内面16dと上部対向面17hとで形成される略楔形状の空間23は、上部案内面16dおよび上部対向面17hを流下する潤滑油を当接位置に案内すべく上方に向けて拡開している。この所定範囲は、最低限必要な潤滑油が当接位置に供給されるようにする観点から、支持部材16の案内面16aの形状や先端部17bの対向面17gの形状により適宜設定されるものである。
【0033】そして、空間23の上方に位置するタイミングチェーン11やカムスプロケット8、そして駆動スプロケット6およびポンプスプロケット10を潤滑するために供給された潤滑油の一部またはそれらを潤滑した後の潤滑油の一部が、空間23内に落下して捕捉され、その捕捉された潤滑油が直接または上部案内面16dおよび上部対向面17hを流下して当接位置に供給されるようになっている。
【0034】また、図2に図示されるように、ブレードシュー17の幅方向Aにおいて、先端部17bのシリンダブロック3側の側面には、長細い凸部17kが形成されていて、該凸部17kにシリンダブロック3およびシリンダヘッド4が対向している(図1も併せて参照)。この凸部17kにより、先端部17bとシリンダブロック3およびシリンダヘッド4との間の間隙が微小なものとされ、それによってテンショナ本体15のシリンダブロック3およびシリンダヘッド4側への片寄り量は微小なものとなり、その片寄りを規制している。また、先端部17bの凸部17kが形成されていない部分とシリンダブロック3およびシリンダヘッド4との間隙は、溝17dに挿入されたリーフスプリング18が、溝17dから幅方向Aに抜け出さない程度に設定されている。
【0035】また、タイミングチェーン11の張力変動により、先端部17bが案内面16a上で摺動することで、先端部17bが移動する範囲において、幅方向Aの側方に位置するチェーンケース12には、その内側に突出する細長い凸部12aが形成されていている(図1も併せて参照)。この凸部12aにより、先端部17bとチェーンケース12との間の間隙が微小なものとされ、それによってテンショナ本体15のチェーンケース12側への片寄り量は微小なものとなり、その片寄りを規制している。また、凸部12aにより、溝17dに挿入されたリーフスプリング18の溝17dからチェーンケース12側への移動も微小となるようにされて、その抜け止めがなされている。
【0036】両凸部17k,12aの長手方向の向きは、図1に図示されるように側面視で交差するように設定され、タイミングチェーン11の張力が変化したときのテンショナ本体15の移動による先端部17bの移動範囲で、テンショナ本体15の両側方への片寄り量が、両凸部17k,12aにより微小となるようにされている。
【0037】次に、前述のように構成された第1実施形態の効果について説明する。ブレードシュー17の先端部17bを支持している支持部材16は、エンジン本体であるシリンダブロック3に一体成形されているので、部品点数が削減されると共に、支持部材16はシリンダブロック3と同時に形成できるため、コスト削減が可能となる。また、支持部材16には、先端部17bが摺動自在に当接する案内面16aが形成されているのみであり、しかも可動部が設けられていないため、構造が簡単となり、耐久性が向上する。
【0038】また、案内面16aは、シリンダブロック3に一体成形された支持部材16に形成されるため、シリンダブロック3と支持部材16とを別部材としたときの、シリンダブロック3と支持部材16との取付け誤差が皆無となり、案内面16aと該案内面16a上を摺動するブレードシュー17の先端部17bと位置関係が正確に設定され、エンジン毎のばらつきが殆どない良好な張力調整機能を備えたテンショナ装置14とすることができる。
【0039】さらに、リーフスプリング18が保持されたブレードシュー17をシリンダブロック3に取り付けると同時にその先端部17bを案内面16aにセットすることができて、エンジン1へのテンショナ装置14の組付けが容易になる。
【0040】ブレードシュー17の基端部17aの保持位置および先端部17bを支持する支持部材16の一体成形位置は、共に単一の部材であるシリンダブロック3であるため、組み付け精度が向上する。
【0041】先端部17bから支持部材16に作用する力はリブ16cにより受け止められるので、剛性の高い支持部材16とすることができ、安定した張力調整機能が奏される。さらに、リブ16cは先端部17bから支持部材16に作用する力の大部分を支えることになるので、剛性アップへの寄与度が低い部分の肉抜きにより、支持部材16を空洞16bを有する薄肉構造とすることができて、エンジン1の軽量化に寄与できる。しかも、リブ16cは、シリンダブロック3において、ボルト20が螺合するネジ孔21が形成されて厚肉となったボス部22に至るまで延びて形成されているため、大きな力が作用しても十分受け止めることができる。
【0042】先端部17bは肉抜きがなされて空洞17eが形成され、軽量化されていることから、張力変動に伴うタイミングチェーン11の移動に対するテンショナ本体15の追従性が良好である。また、先端部17bには、支持部材16からの反力に抗する剛性を有するように、反力の作用線に略沿う方向にリブ17fが形成されているため、軽量化されているにもかかわらず高剛性を有する先端部17bとすることができる。
【0043】先端部17bと先端部17bの幅方向Aの側方に位置する部材であるチェーンケース12の細長い凸部12aとの当接により、先端部17bが案内面16aに対して摺動自在になっていることに起因して、タイミングチェーン11の動きにより発生するテンショナ本体15の幅方向Aであるチェーンケース12側への片寄り量を微小なものとすることができるので、テンショナ本体15の倒れを防止できて、安定したテンショナ機能を発揮できる。また、先端部17bの近傍に位置する部材であるチェーンケース12を利用して凸部12aを形成できるので、部品点数を増加させることなくテンショナ本体15の倒れを防止できる。さらに、基端部17aがシリンダブロック3に保持されたテンショナ本体15において、片寄りが生じた場合に大きな片寄り量が生じる先端部17bにて片寄りが規制されるので、テンショナ本体15全体の片寄り量を、容易に微小なものとすることができる。
【0044】先端部17bの幅方向Aの側面であるシリンダブロック3側に設けられた細長い凸部17kと先端部17bの側面と対向する部材であるシリンダブロック3およびシリンダヘッド4の少なくとも一方との当接により、先端部17bが案内面16aに対して摺動自在になっていることに起因して、タイミングチェーン11の動きにより発生するテンショナ本体15の幅方向Aであるシリンダブロック3およびシリンダヘッド4側への片寄り量を微小なものとすることができるので、テンショナ本体15の倒れを防止できて、安定したテンショナ機能を発揮できる。また、先端部17bに凸部17kが形成されているため、先端部17bがいかなる位置にあってもシリンダブロック3およびシリンダヘッド4の少なくとも一方との当接により容易にテンショナ本体15の倒れを防止できる。
【0045】両凸部17k,12aの長手方向の向きは、図1に図示されるように側面視で交差するように設定され、タイミングチェーン11の張力が変化したときのテンショナ本体15の移動による先端部17bの移動範囲で、テンショナ本体15の両側方への片寄り量が、両凸部17k,12aにより微小なものとなるようにされるため、先端部17bがいかなる位置にあっても、確実にテンショナ本体15の倒れを防止できる。
【0046】タイミングチェーン11、各スプロケット6,8,10の潤滑用の潤滑油が、上方から落下してきて、少なくとも拡開した空間23にて捕捉され、捕捉された潤滑油が上部案内面16dおよび上部対向面17hを流下して案内面16aと先端部17bとの当接箇所に供給されることで、該当接箇所が潤滑されるので、案内面16aと先端部17bとの摩耗を低減できる。その結果、支持部材16および先端部17bの耐久性を向上でき、適切な張力調整が長期間に渡って可能となる。
【0047】次に、第2実施形態を、エンジンの要部側面図である図3、および図3のIV−IV線断面図である図4を参照して説明する。
【0048】図3に図示されるように、エンジンとしての内燃機関において、伝動用無端可撓部材は、エンジンのクランク軸31に取り付けられた駆動スプロケット32と、トロコイド型のオイルポンプ33の回転軸34に取り付けられた従動スプロケット35とに渡って掛け渡されたオイルポンプ33駆動用のチェーン36である。ここで、オイルポンプ33のロータを収容するポンプハウジング37は、ロアブロックにボルトにより固定されることで一体化されている。また、クランク軸31は駆動軸であり、回転軸34は従動軸となっている。
【0049】チェーン36には、その緊張側で駆動スプロケット32と従動スプロケット35との間においてチェーン36に摺接するチェーンガイド38と、その弛緩側で駆動スプロケット32と従動スプロケット35との間においてチェーン36に摺接するテンショナシューとしてのブレードシュー43を有するテンショナ装置40とにより、自動的に適切な張力が付与される。なお、チェーンガイド38は、ロアブロックにボルト39により固定されている。
【0050】テンショナ装置40はテンショナ本体41と支持部材42とから構成されている。このうち、テンショナ本体41は、合成樹脂、例えばナイロン製のブレードシュー43と、ブレードシュー43のチェーン36との摺接面とは反対側の面である背面に接触し、その弾性力によりブレードシュー43をチェーン36に押圧する複数層、この実施形態では2層の板バネから構成されるリーフスプリング44とからなる。そして、リーフスプリング44は、その両端部44a,44bがブレードシュー43の基端部43aおよび先端部43bにおいて、ポンプハウジング37側に側壁を残して形成された溝43c,43dにそれぞれ挿入されることで、ブレードシュー43に保持されている。なお、複数層の板バネは、相互に固定されて一体にされるか、相互に分離した状態で重ね合わされている。
【0051】ブレードシュー43は、クランク軸31の軸線と平行な方向に所定の幅を有すると共に円弧状をしており、その基端部43aは、ロアブロックに固定された支軸45に回動自在に保持されている。また、ブレードシュー43の先端部43bは、支持部材42に形成された案内面42aと摺動自在に当接することで支持されている。そして、先端部43bが案内面42aに当接することにより、テンショナ本体41がチェーン36に押圧されて、ブレードシュー43がチェーン36に摺接するようにされ、その際リーフスプリング44の弾性力により、チェーン36に適切な大きさの張力が付与される。
【0052】案内面42aは、チェーン36寄りの部分ほど基端部43aに近づくように、チェーン36に向かって斜め上方に傾斜した平面状の面となっていて、チェーン36が弛緩したとき、テンショナ本体41を、チェーン36をさらに押圧する方向に移動させるようにしている。そして、この第2実施形態では、クランク軸31とオイルポンプ33の回転軸34との間隔が短いので、第1実施形態のタイミングチェーン11に比べてチェーン36の長さも短く、その張力変動も比較的小さいため、案内面42aの傾斜の程度は、比較的大きくされて、張力変動の大きさに合わせてテンショナ本体41を移動量が設定されるようにしている。
【0053】そして、案内面42aとチェーン36との間で挟持された先端部43bは、チェーン36が弛緩したとき、リーフスプリング44の弾性力によりテンショナ本体41の曲率が増大することで、チェーン36を押圧する方向に案内面42a上で摺動し、一方チェーン36が緊張したとき、前述の押圧する方向とは逆方向に案内面42a上で摺動する。
【0054】一方、支持部材42は、ポンプハウジング37の外面に、クランク軸31の軸線方向に突出した平板状の突出壁として、ポンプハウジング37を鋳造する際に、ポンプハウジング37と共に一体成形される。
【0055】そして、支持部材42には、前述のように、変動するチェーン36の張力に応じてブレードシュー43の先端部43bが摺動する案内面42aが形成されているほか、案内面42aと先端部43bとの当接位置において先端部43bから支持部材42に作用する力の作用線に略沿って延びる補強部としてのリブ42bが、支持部材42の案内面42aとは反対側の面である背面に形成されている。
【0056】また、平面状の案内面42aと、先端部43bにおいて案内面42aに対向する円弧状に湾曲した対向面43eとのうち、案内面42aと先端部43bとの当接位置から所定範囲内で上方に位置する上部案内面42cと上部対向面43fとで形成される略楔形状の空間46は、上部案内面42cおよび上部対向面43fを流下する潤滑油を当接位置に案内すべく上方に向けて拡開している。この所定範囲は、最低限必要な潤滑油が当接位置に供給されるようにする観点から、支持部材42の案内面42aの形状や先端部43bの対向面43eの形状により適宜設定されるものである。
【0057】そして、空間46の上方に位置するチェーン36や駆動スプロケット32、および従動スプロケット35を潤滑するために供給された潤滑油の一部またはそれらを潤滑した後の潤滑油の一部が、空間46内に落下して捕捉され、その捕捉された潤滑油が直接または上部案内面42cおよび上部対向面43fを流下して当接位置に供給されるようになっている。
【0058】また、図4に図示されるように、チェーン36の張力変動により、先端部43bが案内面42a上で摺動することで、先端部43bが移動する範囲において、ブレードシュー43の幅方向Bの側方に位置するオイルパン47には、その内側に突出する細長い凸部47aが形成されていている(図3も併せて参照)。この凸部47aにより、先端部43bとオイルパン47との間の間隙が微小なものとされ、それによってテンショナ本体41のオイルパン47側への片寄り量は微小なものとなり、その片寄りを規制している。また、凸部47aにより、溝43dに挿入されたリーフスプリング44の溝43dからオイルパン47側への移動も微小となるようにされて、その抜け止めがなされている。
【0059】また、先端部43bの幅方向Bのもう一方の側方に位置するポンプハウジング37は、先端部43bと微小な間隙を介して対向していて、先端部43bのポンプハウジング37側への片寄りを規制している。
【0060】第2実施形態では、凸部47aは一箇所とされているが、その理由は、クランク軸31とオイルポンプ33の回転軸34との間隔が短く、それに対応してテンショナ本体41の長手方向の長さも短いため、チェーン36の張力変動による先端部43bの移動範囲も比較的狭いためである。
【0061】次に、前述のように構成された第2実施形態の効果について説明する。ブレードシュー43の先端部43bを支持している支持部材42は、エンジン本体であるポンプハウジング37に一体成形されているので、部品点数が削減されると共に、支持部材42はポンプハウジング37と同時に形成できるため、コスト削減が可能となる。また、支持部材42には、先端部43bが摺動自在に当接する案内面42aが形成されているのみであり、しかも可動部が設けられていないため、構造が簡単となり、耐久性が向上する。
【0062】また、案内面42aは、ポンプハウジング37に一体成形された支持部材42に形成されるため、ポンプハウジング37と支持部材42とを別部材としたときの、ポンプハウジング37と支持部材42との取付け誤差が皆無となり、案内面42aと該案内面42a上を摺動するブレードシュー43の先端部43bと位置関係が正確に設定され、エンジン毎のばらつきが殆どない良好な張力調整機能を備えたテンショナ装置40とすることができる。
【0063】さらに、リーフスプリング44が保持されたブレードシュー43をロアブロックに取り付けると同時にその先端部43bを案内面42aにセットすることができて、エンジンへのテンショナ装置40の組付けが容易になる。
【0064】先端部43bから支持部材42に作用する力はリブ42bにより受け止められるので、剛性の高い支持部材42とすることができ、安定した張力調整機能が奏される。
【0065】先端部43bと先端部43bの幅方向Bの側方に位置する部材であるオイルパン47の細長い凸部47aとの当接により、先端部43bが案内面42aに対して摺動自在になっていることに起因して、チェーン36の動きにより発生するテンショナ本体41の幅方向Bの片寄り量を微小なものにすることができるので、テンショナ本体41の倒れを防止できて、安定したテンショナ機能を発揮できる。また、先端部43bの近傍に位置する部材であるオイルパン47を利用して凸部47aを形成できるので、部品点数を増加させることなくテンショナ本体41の倒れを防止できる。さらに、基端部43aがロアブロックに保持されたテンショナ本体41において、片寄りが生じた場合に大きな片寄り量が生じる先端部43bにて片寄りが規制されるので、テンショナ本体41全体の片寄り量を、容易に微小なものとすることができる。
【0066】チェーン36および各スプロケット32,35の潤滑用の潤滑油が、上方から落下してきて、少なくとも拡開した空間46にて捕捉され、捕捉された潤滑油が上部案内面42cおよび上部対向面43fを流下して案内面42aと先端部43bとの当接箇所に供給されることで、該当接箇所が潤滑されるので、案内面42aと先端部43bとの摩耗を低減できる。その結果、支持部材および先端部43bの耐久性を向上でき、適切な張力調整が長期間に渡って可能となる。
【0067】以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。前記第1実施形態では、片寄りを規制する凸部は、先端部17bの幅方向Aの側面であるチェーンケース12側の側面に設けることもでき、先端部17bの幅方向Aの両側面の少なくともいずれかに設けられていればよい。また、同様に、片寄りを規制する凸部は、先端部17bの幅方向Aにおいて先端部17bの側方で先端部17bと対向する部材であるシリンダブロック3およびシリンダヘッド4に設けることもでき、この場合も、先端部17bの両側方に位置する部材であるチェーンケース12、シリンダブロック3およびシリンダヘッド4の少なくともいずれかに設けられていればよい。
【0068】さらに、前記第2実施形態では、片寄りを規制する凸部は、先端部43bの幅方向Bにおいて先端部43bの側方で先端部43bと対向する部材であるポンプハウジング37に設けることもでき、この場合も、先端部43bの両側方に位置する部材であるオイルパン47とポンプハウジング37との少なくともいずれかに設けられていればよい。また、第1実施形態と同様に、先端部43b自体に凸部を設けることもできる。
【0069】また、前記各実施形態では、凸部12a,17k,47aは、それぞれチェーンケース12,ブレードシュー17の先端部17bおよびオイルパン47に一体成形されたが、それら部材とは別体の部材により凸部を設けることもできる。
【0070】前記各実施形態では、ブレードシュー17,43の基端部17a,43aは支軸19,45により回動自在に保持されていたが、基端部17a,43aをシリンダブロック3またはポンプハウジング37などのエンジン本体に固定して保持することもできる。また、基端部17a,43aは、シリンダブロック3およびロアブロック以外のエンジン本体で保持することもでき、さらに支持部材42は、シリンダブロック3およびポンプハウジング37以外のエンジン本体に一体成形することもできる。
【0071】前記実施形態では、テンショナ装置14,40は、カム軸7を駆動するタイミングチェーン11およびオイルポンプ33の回転軸34を駆動するチェーン36に用いられるものであったが、バランサ軸を駆動するチェーンに適用することもできる。また、前記各実施形態では、伝動用無端可撓部材はチェーンであったが、ベルトとすることもできる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年11月24日(1999.11.24)
【代理人】 【識別番号】100067840
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 望 (外2名)
【公開番号】 特開2001−153192(P2001−153192A)
【公開日】 平成13年6月8日(2001.6.8)
【出願番号】 特願平11−333328