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【発明の名称】 ロックアップクラッチの締結力制御装置
【発明者】 【氏名】西山 安磨

【氏名】上野 隆司

【要約】 【課題】フィードバック制御を用いるロックアップクラッチのスリップ制御において、実スリップ量が目標スリップ量を超えてオーバーシュートする問題を回避しながら、その制御途中におけるデューティ率、作動圧、及びクラッチ動作の振動の問題と、制御のハンチングの問題とを解消することを課題とする。

【解決手段】目標スリップ量Soと実スリップ量Sとの偏差ΔSに応じたフィードバック制御量dbと、規範モデルMのスリップ量と実スリップ量Sとの偏差ΔMに応じた補正量dmとを算出する。スリップ制御が定常領域にあるときは制御開始時デューティ率Dbに上記制御量dbのみを加算したデューティ率DFBをデューティソレノイドバルブに印加し、スリップ制御が過渡領域にあるときは制御開始時デューティ率Dbに上記制御量dbと補正量dmとを加算したデューティ率DFBをデューティソレノイドバルブに印加する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トルクコンバータの入力部材と出力部材とを完全に締結するロックアップ状態、相対回転可能に締結するスリップ状態、又は完全に解放するコンバータ状態のいずれかに選択的に作動するロックアップクラッチと、該クラッチの締結力を、印加されたデューティ率に応じた大きさの作動圧を該クラッチに供給することにより調整する締結力調整手段と、車両の運転状態に基づいてトルクコンバータを上記のどの状態にすべきかを判定する判定手段と、該判定手段によりスリップ状態にすべきことが判定されたときに上記締結力調整手段に最初に印加するデューティ率を設定する制御開始時デューティ率設定手段と、該設定手段で設定されたデューティ率と所定の制御デューティ率とからフィードフォワード制御デューティ率を設定するフィードフォワード制御デューティ率設定手段と、該設定手段で設定されたフィードフォワード制御デューティ率を締結力調整手段に印加していくフィードフォワード制御手段と、該制御手段により上記両部材間の実差回転と所定の目標差回転との偏差が所定値まで小さくなったときのデューティ率と、実差回転と目標差回転との偏差に応じて設定された制御デューティ率とからフィードバック制御デューティ率を設定するフィードバック制御デューティ率設定手段と、該設定手段で設定されたフィードバック制御デューティ率を締結力調整手段に印加していき、実差回転を目標差回転に収束させるフィードバック制御手段とを備えるロックアップクラッチの締結力制御装置であって、上記フィードバック制御デューティ率をそのまま用いてフィードバック制御を実行した場合に生じる差回転の変化に比べて変化の遅い差回転の変化のモデルを設定するモデル設定手段と、該設定手段で設定されたモデルの差回転と実差回転との偏差に応じて上記フィードバック制御デューティ率を補正する補正手段とが備えられていることを特徴とするロックアップクラッチの締結力制御装置。
【請求項2】 補正手段は、実差回転が目標差回転に収束したのちは、フィードバック制御デューティ率の補正を停止することを特徴とする請求項1に記載のロックアップクラッチの締結力制御装置。
【請求項3】 実差回転が目標差回転に収束する前で、フィードバック制御手段により実差回転と目標差回転との偏差が第二の所定値まで小さくなったときは、フィードバック制御デューティ率を差回転の変化が遅くなるように補正する第二の補正手段が備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロックアップクラッチの締結力制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トルクコンバータに備えられるロックアップクラッチの締結力制御装置に関し、より詳しくは、トルクコンバータの入力部材と出力部材とのスリップ量を目標スリップ量に収束させるスリップ制御の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】例えば、車両に搭載される自動変速機は、トルクコンバータと変速歯車機構とを組み合わせ、この変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素の選択的作動により切り換えて、所定の変速段に自動的に変速するように構成したものであるが、その場合に、上記トルクコンバータに、そのエンジン側の入力部材と変速歯車機構側の出力部材とを締結したり解放したりするロックアップクラッチが備えられることがある。
【0003】このロックアップクラッチは、一般に、車速やエンジンのスロットル開度等の車両の運転状態に基いて制御される。例えば、トルク増大作用が要求される高負荷低速領域では、トルクコンバータの入力部材と出力部材とを完全に解放するように(コンバータ状態)、また、燃費性能が重視される低負荷高速領域では、上記両部材を完全に締結するように(ロックアップ状態)、そして、低負荷低速領域や変速時等には、良好な燃費性能を確保しながらショックや振動等を吸収するために上記両部材を相対回転可能に締結するように(スリップ状態)制御される。
【0004】その場合に、上記コンバータ状態又はロックアップ状態からスリップ状態への移行時には、トルクコンバータの入力部材と出力部材との間の差回転、すなわちスリップ量を所定の目標スリップ量とするために、油圧制御回路に配設したデューティソレノイドバルブ等の締結力調整手段に印加するデューティ率を制御することが一般に行なわれる(スリップ制御)。この制御は、例えばフィードバック制御によって遂行される。すなわち、上記両部材間の実スリップ量と目標スリップ量との偏差に応じて制御デューティ率を設定し、この制御デューティ率と、制御開始時のデューティ率とから設定されたフィードバック制御デューティ率を上記デューティソレノイドバルブに印加していくのである。
【0005】デューティ率が印加されたデューティソレノイドバルブは、該デューティ率に応じた大きさの作動圧を生成し、その作動圧をロックアップクラッチの油圧室に供給する。ロックアップクラッチはその作動圧を受けて目標スリップ量が実現するように作動する。このとき、制御開始時は、実スリップ量と目標スリップ量との偏差が大きいから、大きい絶対値の制御デューティ率が設定される。しかも、デューティ率が印加されてから、作動圧がロックアップクラッチに作用し、それがスリップ量に反映されるまで、どうしても油圧の応答遅れが生じるから、制御にオーバーシュートが発生する可能性がある。
【0006】例えばコンバータ状態からのスリップ制御時にオーバーシュートが発生すれば、ロックアップクラッチが目標スリップ量を実現させる締結状態を超えて締結方向に作動し過ぎ、不測にロックアップ状態となるショックや、振動、騒音等が発生する。また、ロックアップ状態からのスリップ制御時にオーバーシュートが発生すれば、ロックアップクラッチが目標スリップ量を実現させる締結状態を超えて解放方向に作動し過ぎ、不測にコンバータ状態となるショックが発生する。これらは、いずれも、ユーザの違和感、不快感となって現れる。
【0007】この問題に対処するためには、フィードバック制御を行う前に、フィードフォワード制御を実行することが考えられる。すなわち、実スリップ量と目標スリップ量との偏差の如何に拘らず予め定められた所定の制御デューティ率と、制御開始時のデューティ率とから設定されたフィードフォワード制御デューティ率をデューティソレノイドバルブに印加していくのである。フィードフォワード制御によって実スリップ量と目標スリップ量との偏差が安定に、且つ、確実、早期に所定値まで小さくなり、その時点でフィードバック制御に切り換えることによって該フィードバック制御の開始当初から制御デューティ率が低く抑えられ、オーバーシュートの抑制が図られる。
【0008】しかし、作動圧自体は、フィードバック制御の開始当初から、それまで実行していたフィードフォワード制御によって、すでにロックアップクラッチを締結又は解放させる方向に変動しているので、油圧の応答遅れの問題は残り、オーバーシュートを根本的に解消することにはならない。
【0009】これに対し、特公平2−59330号公報には、制御のオーバーシュートをより確実に解消する技術として、フィードバック制御の目標スリップ量をスリップ制御中に変更することが開示されている。つまり、実スリップ量との偏差が過大とならないような仮の目標値として中間スリップ量を設定し、その中間スリップ量を徐々に真の最終の目標スリップ量に近づけていくのである。制御途中において中間スリップ量に収束するように制御された実スリップ量は大きなオーバーシュートを起こすことなく、中間スリップ量に案内され、追従するようにして最終の目標スリップ量に到達する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この公報開示の技術によっても、なお次のような解決すべき課題が残存する。すなわち、上記技術は、過大なスリップ量偏差を生じさせないことによって過大なフィードバック制御量の生成を回避し、もってロックアップクラッチの動作が大きくオーバーシュートしないことを図るものである。そして、そのために、制御開始時における実スリップ量と目標スリップ量との間に複数の中間スリップ量を設定し、制御途中においては継続してこれらの中間スリップ量を目標として実スリップ量が該中間スリップ量に収束するようにデューティソレノイドバルブを制御するものである。
【0011】それゆえ、同公報にも開示されているように、実スリップ量は、制御途中において、大きくオーバーシュートすることはないものの、必定、目標値である中間スリップ量を上回ったり下回ったりして揺れ動く。すなわち、実スリップ量が最終の目標スリップ量に安定するまでの間、継続して、制御量が増加傾向になったり減少傾向になったりする。その結果、ロックアップクラッチに供給される作動圧、ひいては該クラッチの締結力にもまた揺れ動きが発生し、これが振動となってユーザに伝わり、ユーザの不快感、違和感を招くことになる。
【0012】さらに、制御中における中間目標値である中間スリップ量が変更されたときには、実スリップ量と中間スリップ量との偏差が大きく変動することになる。したがって、偏差に応じて設定される制御デューティ率もまたその値が大きく変動し、その変化傾向に連続性が消失する。例えば、いままで微減傾向であった制御量が偏差の急増により急減傾向に転じたりするばかりでなく、状況によっては、いままで負の値で減少傾向であった制御量が正の値で増加傾向に転じたりするようなことも生じ得る。このことは、デューティソレノイドバルブのデューティ率の急変、作動圧の急変、クラッチ動作の急変をもたらし、フィードバック制御のハンチングを引き起こす虞を孕む。
【0013】これらの不具合は、制御途中に連続して設定される中間スリップ量があくまでもフィードバック制御の目標値として設定され、したがって、実スリップ量を目標スリップ量に収束、安定させることが第一の目的である制御の途中においても、実スリップ量を上記の中間スリップ量に収束するようにロックアップクラッチの締結力を継続してフィードバック制御することに起因している。
【0014】本発明は、ロックアップクラッチのスリップ制御における上記不具合に対処するもので、目標スリップ量に対するオーバーシュートを回避しながら、その制御途中における振動の問題やハンチングの問題を解消することを課題とする。以下、その他の課題を含め、本発明を詳しく説明する。
【0015】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願の特許請求の範囲における請求項1に記載の発明は、トルクコンバータの入力部材と出力部材とを完全に締結するロックアップ状態、相対回転可能に締結するスリップ状態、又は完全に解放するコンバータ状態のいずれかに選択的に作動するロックアップクラッチと、該クラッチの締結力を、印加されたデューティ率に応じた大きさの作動圧を該クラッチに供給することにより調整する締結力調整手段と、車両の運転状態に基づいてトルクコンバータを上記のどの状態にすべきかを判定する判定手段と、該判定手段によりスリップ状態にすべきことが判定されたときに上記締結力調整手段に最初に印加するデューティ率を設定する制御開始時デューティ率設定手段と、該設定手段で設定されたデューティ率と所定の制御デューティ率とからフィードフォワード制御デューティ率を設定するフィードフォワード制御デューティ率設定手段と、該設定手段で設定されたフィードフォワード制御デューティ率を締結力調整手段に印加していくフィードフォワード制御手段と、該制御手段により上記両部材間の実差回転と所定の目標差回転との偏差が所定値まで小さくなったときのデューティ率と、実差回転と目標差回転との偏差に応じて設定された制御デューティ率とからフィードバック制御デューティ率を設定するフィードバック制御デューティ率設定手段と、該設定手段で設定されたフィードバック制御デューティ率を締結力調整手段に印加していき、実差回転を目標差回転に収束させるフィードバック制御手段とを備えるロックアップクラッチの締結力制御装置であって、上記フィードバック制御デューティ率をそのまま用いてフィードバック制御を実行した場合に生じる差回転の変化に比べて変化の遅い差回転の変化のモデルを設定するモデル設定手段と、該設定手段で設定されたモデルの差回転と実差回転との偏差に応じて上記フィードバック制御デューティ率を補正する補正手段とが備えられていることを特徴とする。
【0016】この発明によれば、トルクコンバータをスリップ状態に移行させる際、ロックアップクラッチの締結力をまずフィードフォワード制御で調整し、その結果、実差回転と目標差回転との偏差が所定値まで小さくなったときにフィードバック制御に切り換え、そして、そのフィードバック制御を実行するにあたり、実差回転と目標差回転との偏差に応じてフィードバック制御量を設定することは従来と同じである。ただし、この制御量をそのまま用いるとオーバーシュートする可能性があるから、それを是正する補正手段が設けられている。
【0017】この補正手段は、実差回転と、差回転の経時変化のモデルとの偏差に応じて、フィードバック制御において締結力調整手段に印可するデューティ率を補正する。ここで用いられる差回転変化のモデルは、上記制御量をそのまま用いたときの実差回転の変化に比べて差回転が遅く変化するモデルである。このモデルは、実差回転の変化を、上記制御量をそのまま用いた場合よりも、モデル側に、すなわち遅くなるように誘導する。このモデルはフィードバック制御のための目標値ではなく、差回転が目標差回転をオーバーシュートすることなく適正に変化する場合の理想形である。フィードバック制御のための目標値は、あくまでも、最終目標値である上記目標差回転である。したがって、制御途中において、実差回転がモデルに向けて収束するような動きをとることはない。実差回転は、モデル側に近づくように引き寄せられながら、それでも目標差回転を目指して収束していく。
【0018】フィードバック制御において締結力調整手段に印可されるデューティ率が上記のようなモデルを用いて補正される結果、実差回転は、制御量をそのまま用いた場合の変化の軌跡と、モデルが示す変化の軌跡との中庸で変化する。実差回転が目標差回転をオーバーシュートせずに該目標差回転に収束するときの理想の変化の軌跡が設定されれば、モデル設定手段は、この理想の変化の軌跡よりもさらに遅い側にモデルを設定する。実差回転は、この変化の遅いモデルの軌跡と、制御量設定手段で設定された制御量をそのまま用いた場合の変化の早い軌跡との均衡により、理想の変化の軌跡をなぞることになる。その結果、実差回転は目標差回転をオーバーシュートすることなく該目標差回転に収束し、ロックアップクラッチが締結方向に動き過ぎる不具合、あるいは解放方向に動き過ぎる不具合が解消される。モデル設定手段は、明らかに、制御量をそのまま用いた場合の変化が、理想とする変化の軌跡からどれだけずれるかに呼応して、そのずれを打ち消すように、理想軌跡を挟んで反対側にモデルを設定する。
【0019】そして、このとき、モデル設定手段で設定される上記モデルは、上述したように、フィードバック制御の目標値ではないから、実差回転をモデルに向けて収束させるような制御量が設定されることがなく、あくまでも、実差回転を目標差回転に向けて収束させるための制御量が設定される。しかも、その場合に、フィードバック制御量を設定するために用いられる目標差回転が制御途中において変更されることもない。
【0020】その結果、実差回転が、制御途中において、その値が高くなったり低くなったり揺れ動くことがない。モデルによる補正は、制御デューティ率による差回転の変化を抑制する。そして、この補正の結果、実差回転が最終目標値をオーバーシュートすることがなくなるから、制御量は常に安定して増加傾向又は減少傾向を取り続ける。それゆえ、モデルによる補正後のフィードバック制御デューティ率もまた安定して増加基調又は減少基調をとり続ける。それゆえ、制御過渡領域における振動やハンチングの問題が全く一掃される。
【0021】次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、補正手段は、実差回転が目標差回転に収束したのちは、フィードバック制御デューティ率の補正を停止することを特徴とする。
【0022】この発明によれば、スリップ制御が定常状態に落ち着いたのちは、モデルによる補正を行わず、本来の制御量に基くフィードバック制御を行うから、モデルによる補正を続行することによって却って生じ得るハンチングの問題が差回転収束後において解消されることになる。
【0023】次に、請求項3に記載の発明は、上記請求項1又は2に記載の発明において、実差回転が目標差回転に収束する前で、フィードバック制御手段により実差回転と目標差回転との偏差が第二の所定値まで小さくなったときは、フィードバック制御デューティ率を差回転の変化が遅くなるように補正する第二の補正手段が備えられていることを特徴とする。
【0024】この発明によれば、実差回転が目標差回転に所定の第二の範囲内まで近づいたときには、制御量が低く抑えられ、差回転の変化が遅くされるから、これによってもまたオーバーシュートの問題が抑制される。以下、実施の形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。
【0025】
【発明の実施の形態】図1に示すように、本実施の形態に係る自動変速機10は、主たる構成要素として、エンジンの出力がエンジン出力軸1を介して入力されるトルクコンバータ20と、該コンバータ20の出力により駆動される変速歯車機構としての第1、第2の遊星歯車機構30,40と、これらの遊星歯車機構30,40の動力伝達経路を切り換えるクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56とを有し、Dレンジの1〜4速、Sレンジの1〜3速、Lレンジの1〜2速、及びRレンジの後退速が達成される。トルクコンバータ20の反エンジン側には、コンバータケース21を介してエンジン出力軸1により駆動されるオイルポンプ12が配置されている。
【0026】遊星歯車機構30,40は、サンギヤ31,41と、サンギヤ31,41と噛み合う複数のピニオン32…32,42…42と、ピニオン32…32,42…42を支持するピニオンキャリヤ33,43と、ピニオン32…32,42…42と噛み合うインターナルギヤ34,44とを有する。
【0027】トルクコンバータ20のタービンシャフト27と第1遊星歯車機構30のサンギヤ31との間にフォワードクラッチ51が、タービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のサンギヤ41との間にリバースクラッチ52が、タービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43との間に3−4クラッチ53がそれぞれ介設されている。また、第2遊星歯車機構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ54が備えられている。
【0028】第1遊星歯車機構30のインターナルギヤ34と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43とが連結され、これらと変速機ケース11との間にローリバースブレーキ55とワンウエイクラッチ56とが並列に配置されている。また、第1遊星歯車機構30のピニオンキャリヤ33と第2遊星歯車機構40のインターナルギヤ44とが連結され、これらに出力ギヤ13が接続されている。
【0029】この出力ギヤ13と中間伝動機構60を構成するアイドルシャフト61上の第1中間ギヤ62とが噛み合い、また、アイドルシャフト61上の第2中間ギヤ63と差動装置70の入力ギヤ71とが噛み合って、出力ギヤ13の回転が差動装置70のデフケース72を介して左右の車軸73,74に伝達される。
【0030】表1に上記各摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56の作動状態と変速段との関係を示す。
【0031】
【表1】

【0032】図2に示すように、トルクコンバータ20は、エンジン出力軸1に連結されたコンバータケース21に固設されたポンプ22と、該ポンプ22に対向するように配置されて該ポンプ22により作動油を介して駆動されるタービン23と、該タービン23と上記ポンプ22との間で変速機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持されてトルク増大機能を果たすステータ25と、コンバータケース21とタービン23との間に設けられて該ケース21を介してエンジン出力軸1とタービン23とを直結するロックアップクラッチ26とを有し、上記タービン23のボス23aがタービンシャフト27にスプライン結合されて、タービン23の回転がタービンシャフト27を介して遊星歯車機構30,40側に出力される。
【0033】ロックアップクラッチ26はコンバータケース21の平面部21aに対向して配置されたクラッチピストン26pを有し、該ピストン26pの反エンジン側のリヤ室26r内に供給される作動油圧によって上記平面部21aに締結される。このときエンジン出力軸1とタービンシャフト27とが直結する。また、ロックアップクラッチ26は、上記ピストン26pのエンジン側のフロント室26f内に供給される作動油圧によって解放される。そして、ロックアップクラッチ26は、フロント室26f内に供給される作動油圧を調整することによってスリップ状態に制御される。
【0034】油圧制御回路80には、上記リヤ室26r及びフロント室26fへの作動油圧の給排を制御するロックアップコントロールバルブ81が備えられている。このバルブ81には、図示しない油圧源から一定圧に調整されたコンバータ圧を供給するライン82と、パイロット圧を供給するライン83と、デューティソレノイドバルブ84で生成された制御油圧を供給するライン85とが接続されている。
【0035】パイロット圧供給ライン83からパイロット圧が供給されていないときは、スプール81aがスプリング81bの付勢力により図面上右側に位置し、コンバータ圧供給ライン82からのコンバータ圧が解放ライン86を介してフロント室26fに供給される。これにより、ロックアップクラッチ26が解放されてコンバータ状態が実現する。
【0036】一方、パイロット圧供給ライン83からパイロット圧が供給されると、スプール81aがスプリング81bの付勢力に抗して図面上左側に位置し、コンバータ圧供給ライン82からのコンバータ圧が締結ライン87を介してリヤ室26rに供給される。これにより、ロックアップクラッチ26が締結されてロックアップ状態が実現する。
【0037】そして、このロックアップ状態において、デューティソレノイドバルブ84で生成された制御油圧が、制御圧供給ライン85、ロックアップコントロールバルブ81、及び解放ライン86を介してフロント室26fに供給されると、ロックアップクラッチ26の締結力が該制御油圧に応じて制御され、トルクコンバータ20のポンプ22とタービン23との間のスリップ量が制御されてスリップ状態が実現する。
【0038】この自動変速機10は、図3に示すように、上記ロックアップクラッチ26の制御と変速制御とを併せて行うコントロールユニット100を備える。このコントロールユニット100は、車速を検出する車速センサ101からの信号、エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度センサ102からの信号、トルクコンバータ20の入力回転数であるエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ103からの信号、トルクコンバータ20の出力回転数であるタービン回転数を検出するタービン回転数センサ104からの信号、及び運転者により選択されているシフト位置(レンジ)を検出するシフト位置センサ105からの信号等を入力する。
【0039】コントロールユニット100は、これらの各信号が示す車両の運転状態と予め設定された変速マップとから変速段を設定し、その変速段が達成されるように、油圧制御回路80に備えられた複数の変速用ソレノイドバルブあるいはデューティソレノイドバルブ106…106に制御信号を出力する。
【0040】また、コントロールユニット100は、これらの各信号が示す車両の運転状態と予め設定されたロックアップマップとからトルクコンバータ20をコンバータ状態、ロックアップ状態、又はスリップ状態のどの状態にすべきかを判定し、その判定した状態が得られるように、上記ロックアップクラッチ用デューティソレノイドバルブ84に制御信号を出力する。
【0041】ロックアップマップは車速やエンジンのスロットル開度等の車両の運転状態に応じて設定されている。例えば、図4に示すように、高負荷低速領域はコンバータ状態を実現すべきコンバータ領域とされ、トルクの増大が図られる。低負荷高速領域はロックアップ状態を実現すべきロックアップ領域とされ、燃費の向上が図られる。低負荷低速領域はスリップ状態を実現すべきスリップ領域とされ、燃費の向上とショックの吸収との両立が図られる。
【0042】次に、上記ロックアップクラッチ26の具体的制御動作の一例を、コンバータ状態からスリップ状態へ移行する場合のスリップ制御を例にとり説明する。なお、ロックアップクラッチ用デューティソレノイドバルブ(以下単に「DSV」と記す)84は、入力される制御信号のデューティ率(1ON−OFF周期におけるON時間の比率)が大きいほど低い制御油圧を生成し、ロックアップクラッチ26の締結力が増大する。したがって、コンバータ状態からスリップ状態へのスリップ制御時は、基本的に、DSV84に印可するデューティ率を増大させる。
【0043】図5に示すように、コンバータ状態からスリップ状態へのスリップ制御は、運転状態がコンバータ領域からスリップ領域に移行してスリップ制御を開始すべきことが判定された時刻(制御開始時刻)t1からロックアップクラッチ26のピストン26pがストロークを開始した時刻t2までの時間T1と、時刻t2から安定したスリップ状態に収束した時刻t3までの時間T2とに区分され、これらを過渡領域とし、時刻t3以降を定常領域とする。そして、過渡領域では、時刻t2までフィードフォワード制御を実行し、該時刻t2で制御形態を切り換え、時刻t3までフィードバック制御を実行する。また、定常領域では、引き続き、フィードバック制御を実行する。
【0044】図6のフローチャートにおいて、まずステップS1で、スリップ制御フラグFaが0か否かを判定する。このフラグFaは運転状態がスリップ領域にないうちは0にリセットされている。したがって、このスリップ制御の1回目のサイクルでは0であるから、ステップS2,S3を実行して、上記スリップ制御フラグFaを1にセットしたうえで、別途設定される所定のデューティ率Daを制御開始時(t1)のデューティ率Dfとしてセットする。
【0045】これにより、フロント室26f内の制御油圧が符号aで示すようにコンバータ圧の一定圧から一気に所定の油圧にまで低下し、クラッチピストン26pがストロークを開始するまでの時間T1、ひいては過渡領域時間(T1+T2)全体が適正に短縮される。
【0046】一方、2回目のサイクル以降は、ステップS1からステップS2,S3をスキップして直接ステップS4に進む。
【0047】次に、ステップS4で、定常領域フラグFbが0か否かを判定する。このフラグFbはスリップ制御が定常領域にないうちは0にリセットされている。したがって、過渡領域にあるうちは0であるから、ステップS5,S6を実行して、カウンタの値Tを1づつインクリメントしたうえで、該カウンタ値Tが所定値Toより大きいか否かを判定する。
【0048】その結果、カウンタ値Tが所定値Toより大きい場合は、ステップS7を実行して、上記定常領域フラグFbを1にセットする。つまり、過渡領域時間(T1+T2)を上記所定時間Toに設定しているのである。
【0049】一方、カウンタ値Tが所定値Toより大きくない場合は、ステップS7をスキップして直接ステップS8に進む。また、定常領域に入った以降は、ステップS4からステップS5〜S7をスキップして直接ステップS8に進む。
【0050】次に、ステップS8で、フィードバック制御フラグFcが0か否かを判定する。このフラグFcはクラッチピストン26pがストロークを開始していないうちは0にリセットされている。したがって、時刻t2までは0であるから、ステップS9を実行して、デューティ率Dfを所定のフィードフォワード制御量(増分デューティ率)dfづつ加算する。
【0051】これにより、フロント室26f内の制御油圧が符号bで示すように段階的に低下し、クラッチピストン26pがストロークを開始する状態に安定且つ確実に近づく。
【0052】さらに、ステップS10を実行して、実差回転S(=エンジン回転数センサ103で検出されるエンジン回転数Ne−タービン回転数センサ104で検出されるタービン回転数Nt、又はその絶対値)が所定の差回転Sa以下か否かを判定する。
【0053】その結果、実差回転Sが所定差回転Sa以下である場合は、ステップS11を実行して、上記フィードバック制御フラグFcを1にセットする。つまり、クラッチピストン26pがストロークを開始したことを実差回転Sが所定差回転Sa以下まで低下したことで判定しているのである。
【0054】さらに、ステップS12,S13を実行して、現時点でのデューティ率Dfをフィードバック制御開始時(t2)のデューティ率Dbとしてセットしたうえで、フィードバック制御を実行する。
【0055】一方、実差回転Sが所定差回転Sa以下でない場合は、ステップS11〜S13をスキップしてそのままリターンする。また、フィードバック制御に入った以降は、ステップS8からS9〜S12をスキップして直接ステップS13に進む。
【0056】次に、ステップS13のフィードバック制御を、図7のブロック線図を参照しながら、図8のフローチャートに従って説明する。
【0057】フィードバック制御は、まず、フィードバック制御量dbを算出することから始まる。すなわち、ステップS21で、目標スリップ量(目標差回転)Soと、実スリップ量(実差回転)Sとの偏差ΔSを算出し、ステップS22で、その偏差ΔSに応じたフィードバック制御量dbを所定の計算式に基づいて算出する。
【0058】次に、ステップS23で、定常領域フラグFbが0か否かを判定する。その結果、スリップ制御が定常領域にあり、定常領域フラグFbが1の場合は、ステップS24に進んで、フィードバック制御開始時のデューティ率Dbに、ステップS22で算出したフィードバック制御量dbを加算して得られたデューティ率DFBをDSV84に印加する。これにより、安定したスリップ状態に収束した以降は、実スリップ量Sが目標スリップ量Soに維持されるようにロックアップクラッチ26の締結力がフィードバック制御される。
【0059】これに対し、スリップ制御が過渡領域にあり、定常領域フラグFbが0の場合は、ステップS23からステップS25以下に進み、まずスリップ量Sの変化の規範モデルMを設定する。この規範モデルMは、図5に示すように、ステップS22で算出したフィードバック制御量dbをそのまま用いてフィードバック制御を実行したときに得られる実スリップ量Sの経時変化(鎖線ア)に比べてその変化が遅く設定されたスリップ量Sの変化のモデルである。この規範モデルMは、上記の実スリップ量Sの変化(ア)を、実線(イ)で示す変化のように、モデルMの側に、すなわち変化が遅くなるように誘導し、矯正する。
【0060】まずステップS25で、目標スリップ量Soと、規範モデルMが示すスリップ量との偏差ΔSmを算出し、ステップS26で、その偏差ΔSmに応じたモデル制御量mを所定の計算式に基づいて算出する。そして、ステップS27で、その制御量mに応じた規範モデルMを所定の計算式に基づいて設定する。
【0061】その場合に、規範モデルMは、実スリップ量Sが目標スリップ量Soをオーバーシュートせずに該目標スリップ量Soに収束するときの理想の変化の軌跡(イ)よりもさらに変化が遅い側に設定される。また、規範モデルMは、ステップS22で算出したフィードバック制御量dbをそのまま用いてフィードバック制御を実行したときに得られる上記の実スリップ量Sの変化(ア)が、理想とする変化の軌跡(イ)からどれだけずれているかに呼応して、そのずれを打ち消すように、理想軌跡(イ)を挟んで反対側に設定される。
【0062】次に、上記の規範モデルMに基づいたフィードバック制御量dbの補正量dmを算出する。すなわち、ステップS28で、規範モデルMが示すスリップ量と、実スリップ量Sとの偏差ΔMを算出し、ステップS29で、その偏差ΔMに応じた補正量dmを所定の計算式に基づいて算出する。
【0063】そして、ステップS30に進んで、フィードバック制御開始時のデューティ率Dbに、ステップS22で算出したフィードバック制御量dbにステップS29で算出した規範モデルMに基づく補正量dmを加えたものを加算して得られたデューティ率DFBをDSV84に印加する。
【0064】これにより、上記フィードバック制御量db、ひいてはデューティ率DFBが、上記補正量dmにより補正されて、実スリップ量Sが、本来のフィードバック制御量dbをそのまま用いた場合の変化の軌跡(ア)と、規範モデルMが示す変化の軌跡との中庸において、両軌跡(ア),Mの均衡により、理想の変化の軌跡(イ)をなぞるように変化する。
【0065】その結果、実スリップ量Sは目標スリップ量Soをオーバーシュートすることなく該目標スリップ量Soに収束し、変化軌跡(ア)のようにロックアップクラッチ26が締結方向に動き過ぎた場合に生じる不具合が解消される。すなわち、ロックアップクラッチ26が不測に締結するショックや、振動、騒音等のユーザの不快感の問題が回避される。
【0066】あるいは、この実施の形態はコンバータ状態からスリップ状態へ移行する場合のスリップ制御を例にしたものであるが、本発明は、ロックアップ状態からスリップ状態へ移行する場合のスリップ制御にも適用可能であり、その場合は、ロックアップクラッチ26が解放方向に動き過ぎた場合に生じる不具合が解消される。すなわち、トルクが不測に大きく変動する等のユーザの違和感の問題が回避される。
【0067】そして、上記規範モデルMは、あくまでもフィードバック制御量dbあるいはデューティ率DFBを補正するために用いられ、フィードバック制御の目標値などではないから、実スリップ量Sを該モデルMに向けて収束させるようなデューティ率DFBが生成することがない。したがって、安定したスリップ状態に収束する前のこの過渡領域では、実スリップ量Sが大きくなったり小さくなったり揺れ動くことがない。
【0068】一度Dbまで増大したデューティ率Dは、実スリップ量Sが緩やかに目標スリップ量Soに軟着陸するように、この過渡領域におけるフィードバック制御によって減少基調に転じるが、その減少基調は、安定し、継続的、連続的で、大きく変動することがない。したがって、この過渡領域において、DSV84に印可するデューティ率Dが急変することがなく、それゆえフロント室26fに供給される制御油圧が急変することがなく、その結果ロックアップクラッチ26の動作が急変することがなく、振動やフィードバック制御のハンチングの問題が解消される。
【0069】なお、上記ステップS21〜S30におけるフィードバック制御で、最終的にフィードバック制御デューティ率DFBを設定する計算方法の一例としては、具体的には、例えば数1〜数11に示したものがある。
【0070】
【数1】

【0071】ここで、xpは、例えば、油温、スロットル開度、タービントルク等の車両の状態量、ep(n)は、目標スリップ量Soから実スリップ量Sを減じた値(ΔS)、Ap,Bpは、マトリックスでコントロールユニット100の定数である。
【0072】
【数2】

【0073】ここで、fbp(n)は、フィードバック制御量(db)、Cp,Dpは、マトリックスでコントロールユニット100の定数である。
【0074】
【数3】

【0075】ここで、ek(n)は、目標スリップ量Soから規範モデルMのスリップ量を減じた値(ΔSm)、Ak,Bkは、マトリックスでコントロールユニット100の定数である。
【0076】
【数4】

【0077】ここで、fbk(n)は、規範モデルMの制御量(m)、Ck,Dkは、マトリックスでコントロールユニット100の定数である。
【0078】
【数5】

【0079】ここで、Ah,Bhは、マトリックスでコントロールユニット100の定数である。
【0080】
【数6】

【0081】ここで、ym(n)は、規範モデルMの出力(M)、つまり規範モデルMのスリップ量、Ch,Dhは、マトリックスでコントロールユニット100の定数である。
【0082】
【数7】

ここで、em(n)は、規範モデルMの出力、つまり規範モデルMのスリップ量から実スリップ量Sを減じた値(ΔM)、Am,Bmは、マトリックスでコントロールユニット100の定数である。
【数8】

【0083】ここで、fbm(n)は、規範モデルMによる補正量(dm)、Cm,Dmは、マトリックスでコントロールユニット100の定数である。
【0084】
【数9】

【0085】ここで、u(n)は、操作量の今回値、u(n−1)は、操作量の前回値であり、この数9は、規範モデルMによる補正のない定常領域における操作量を定めるものである。
【0086】
【数10】

【0087】この数10は、規範モデルMによる補正が施された過渡領域における操作量を定めるものである。
【0088】
【数11】

【0089】ここで、Dutyは、フィードバック制御開始時のデューティ率(Db)、FbDutyは、フィードバック制御デューティ率(DFB)である。
【0090】そして、実スリップ量Sが目標スリップ量Soに収束した時刻t3以降は、規範モデルMによる補正を停止し、本来の制御量dbのみに基くフィードバック制御を行うから、定常領域に落ち着いた以降においても、モデルMによる補正を続行することによって却って生じ得る制御のハンチングの問題が解消される。
【0091】また、図5に示すように、過渡領域のフィードバック制御期間T2において、実スリップ量Sが目標スリップ量Soにより近い所定のスリップ量Sbまで低下した時刻txに、フィードバック制御デューティ率DFBを一気に所定量dxだけ低下させてもよい。フロント室26f内の制御油圧の低下速度、ひいては実スリップ量Sの経時変化が、それぞれ符号ウ、エのように遅くなり、これにより、実スリップ量Sが目標スリップ量Soを超えてオーバーシュートする問題がなお一層抑制される。
【0092】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ロックアップクラッチのスリップ制御において、実スリップ量が目標スリップ量を超えてオーバーシュートする問題を回避しつつ、その制御中における振動の問題やハンチングの問題を解消することができる。本発明は、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータを搭載した自動変速機等一般に広く好ましく適用可能である。
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【出願日】 平成11年11月17日(1999.11.17)
【代理人】 【識別番号】100083013
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 正明
【公開番号】 特開2001−141050(P2001−141050A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−327051