| 【発明の名称】 |
可変バックラッシギヤ機構 |
| 【発明者】 |
【氏名】有竹 洋
|
| 【要約】 |
【課題】2つの出力ギヤによって、それと噛み合う入力ギヤにおける同じ歯をはさむように構成された従来のアンチバックラッシギヤでは、噛み合うギヤをはさむ力をスプリングにより強くすることで、バックラッシのないギヤ機構を実現していたが、ギヤ間の摩擦が大きくギヤの寿命が短くなるとともに、高速回転時にパワーロスが多いという問題があった。
【解決手段】出力ギヤと噛み合う2つの入力ギヤの回転方向を圧電素子で拘束し、ギヤの回転速度に応じて、圧電素子への印加電圧を変化させることにより、ギヤのバックラッシを調整できる構成とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ギヤボックスに対して回転自在に支持され、互いに噛み合うように配置された第1のギヤ及び第2のギヤと、第2のギヤと同じ有効径とモジュールを有し、第2のギヤに対して回転自在に支持され、第1のギヤに噛み合うように配置された第3のギヤと、第3のギヤを第2のギヤに対して回転方向に移動させ、第1のギヤと第2のギヤとの間のバックラッシを調整するためのアクチュエータとを備えた可変バックラッシギヤ機構。 【請求項2】 上記アクチュエータとして、上記移動方向に伸縮可能な圧電素子を用いたことを特徴とする請求項1記載の可変バックラッシギヤ機構。 【請求項3】 上記アクチュエータとして、気体が封入され上記移動方向に伸縮可能なピストンと、このピストン内部の気体の温度を変化させる温度制御手段とを具備したことを特徴とする請求項1記載の可変バックラッシギヤ機構。 【請求項4】 上記アクチュエータとして、上記移動方向に可撓性を有するバイメタルを用いたことを特徴とする可変バックラッシギヤ機構。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、例えばカメラの視線方向やレーダアンテナの指向方向等を制振するスタビライザのように、高精度な位置決め駆動を行うギヤボックスのギヤ機構に関するものである。 【0002】 【従来の技術】図4は、従来のアンチバックラッシギヤ機構の構成例を示す図である。1はギヤボックス、2は軸受、3は軸受2に支持された入力ギヤ、4は軸受2に支持され、入力ギヤ3に噛み合っている出力ギヤ、5は出力ギヤ4の軸に対して回転自由に支持され、出力ギヤ4と同じ有効径とモジュールをもつはさみギヤ、6は出力ギヤ4とはさみギヤ5の間に取付けられ、出力ギヤ4とはさみギヤ5により入力ギヤ3をはさむ様に回転方向のトルクを発生するためのスプリング、7は入力ギヤ3を回転させるためのモータ、8は出力ギヤ4に接続された被駆動物である。 【0003】このように構成されたアンチバックラッシギヤ機構においては、モータ7の発生するトルク、もしくは被駆動物8の慣性質量が大きい場合、入力ギヤ3と出力ギヤ4の間のバックラッシを排除するため、スプリング6のばね力を大きくし、入力ギヤ3をはさむ力を強くすることで、アンチバックラッシギヤ機構を構成していた。このアンチバックラッシギヤ機構を、被駆動物8を回動させる駆動部に用いることにより、被駆動物8の回転位置を高精度に位置決めすることができる。例えば、飛行機、ヘリコプター、車両等のように激しい振動や動揺が発生する環境下に有る移動体に搭載され、旋回/俯仰の2軸で回動可能なカメラの視野方向を所望の方向に保持する(空間安定させる)スタビライザにおいて、このアンチバックラッシギヤ機構を備えた駆動部を用いることにより、旋回軸及び俯仰軸が正転/反転を繰り返すようなカメラの視線方向の位置決め動作を高精度に行うことができる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従来のアンチバックラッシギヤ機構では、上述のように、入力ギヤ3をはさむ力を強くすることで、被駆動物8の正転/反転を繰り返し行う精密位置決め時に、バックラッシのないギヤ機構を実現していた。しかし、入力ギヤ3と出力ギヤ4は、はさみギヤ5の間のはさみ力が強いと、ギヤ間の摩擦が大きくなるため、ギヤの寿命が短くなり、また被駆動物8を高速回転させる時に騒音が大きく、パワーロスが多いため、消費電力が多いという問題があった。 【0005】この発明は、以上のような従来のアンチバックラッシギヤ機構の問題を解決するためになされたものであり、被駆動物8の高速回転時はバックラッシを大きくし、被駆動物8の精密位置決め時にはバックラッシを小さくすることで、騒音が少なく、ギヤ寿命を長くし、精密な位置決めが出来るギヤボックスを得ることを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】第1の発明による可変バックラッシギヤ機構は、ギヤボックスに対して回転自在に支持され、互いに噛み合うように配置された第1のギヤ及び第2のギヤと、第2のギヤと同じ有効径とモジュールを有し、第2のギヤに対して回転自在に支持され、第1のギヤに噛み合うように配置された第3のギヤと、第3のギヤを第2のギヤに対して回転方向に移動させるためのアクチュエータとを備えたものである。 【0007】第2の発明による可変バックラッシギヤ機構は、アクチュエータとして圧電素子を用いたものである。 【0008】第3の発明による可変バックラッシギヤ機構は、アクチュエータとして、気体が封入したピストンと、ピストン内の気体の温度を制御する温度制御手段とを用いたものである。 【0009】第4の発明による可変バックラッシギヤ機構は、アクチュエータとしてバイメタルを用いたものである。 【0010】 【発明の実施の形態】実施の形態1.図1(a)〜(d)は、この発明に係る実施の形態1の可変バックラッシギヤ機構を示す構成図である。図1−(a)は構成図を示し、図1−(b),(d)はギヤまわりの詳細図を示し、図1−(c)は圧電素子11まわりの詳細図を示す。図1において、11は従来例のスプリング6と概ね同じ位置に配置される圧電素子、12は圧電素子11の直線方向の伸縮を出力ギヤ4とはさみギヤ5の間の相対角度変位に変換するため11の軸方向の回転をフリーにするためのピン、13は圧電素子11に電力を供給するためのリング、14はリング13を介して電力を供給するためのブラシ、15はモータ7の回転数を検出し、設定以上の回転数になるとブラシ14、リング13を介して圧電素子11が伸びる方向に電圧をかけるためのドライバ回路、16はモータ7の回転数を検出するタコジェネレータである。 【0011】このように構成された可変バックラッシギヤ機構は、従来例と同様に、モータ7で発生した駆動トルクを入力ギヤ3、出力ギヤ4、はさみギヤ5を介して被駆動物8に伝達する。ここで、ドライバ回路15から圧電素子11に電圧を加えない状態では図1(b)のようにバックラッシが小さい状態となるようにしておく。そこで、圧電素子11が伸びる方向にドライバ回路15から電圧を加えると、図1(d)のようにバックラッシが大きい状態となる。ドライバ15は、モータ7の回転数をタコジェネレータ16により検知して、設定値以上の回転数になると圧電素子11に電圧を加え、その伸展によってバックラッシを大きくする(例えば、出力ギヤ4とはさみギヤ5が入力ギヤ3における隣接する歯にそれぞれ当接する位置まで、出力ギヤ4とはさみギヤ5が相対的に回転する)ように自動制御する。またドライバ15は、モータ7の回転数をタコジェネレータ16により検知して、設定値より小さい回転数になると圧電素子11に印加する電圧を遮断し、その伸縮によりバックラッシを小さくする(例えば、出力ギヤ4となさみギヤ5とで入力ギヤ3における同じ歯を挟む位置まで、出力ギヤ4とはさみギヤ5が相対的に回転する)ように自動制御する。なおこの制御は、タコジェネレータ16により検知される速度に応じて、圧電素子11への印加電圧を調整し、バックラッシの大きさを適度に調整するものであっても良い。 【0012】この実施の形態では、モータの回転速度が大きい場合は、ギヤ系に適切な量のバックラッシを確保し、動作音を小さく、ギヤに無理な負荷をかけず長寿命を確保し、消費電力を小さくすることが可能である。また、正転/反転を繰り返して精密な位置決めを行うときはモータの回転速度が小さいため、ギヤ系のバックラッシを小さくすることによって、その位置決め動作がバックラッシに影響されにくい駆動系にすることが可能である。 【0013】実施の形態2.図2は、この発明に係る実施の形態2の可変バックラッシギヤ機構を示す構成図である。図2−(a)は構成図を示し、図2−(b),(c)はギヤまわりの詳細図を示す。図2において、2,3,4,5,7,8,16については、従来例および実施の形態1と同様である。1は従来例と同様であるが、ギヤボックス内部が外気に対して気密されていない。21は従来例のスプリング6と同じ位置に配置されるピストン、22はギヤボックス内の温度を変化させるためのペルチェ素子、23はタコジェネレータ16で検出された速度によりペルチェ素子をドライブするドライバ回路、24はピストン21に封入した例えば空気、窒素などの気体である。 【0014】このように構成された可変バックラッシギヤ機構は、従来例と同様に、モータ7で発生した駆動トルクを入力ギヤ3、出力ギヤ4、はさみギヤ5を介して被駆動物8に伝達する。ここで、常温の状態では図2(b)のようにバックラッシが小さい状態となるようにしておく。そこで、ドライバ回路23およびペルチェ素子22によりギヤボックス1内の温度を上げると、ピストン21内部の気体22が膨張し、図2(c)のようにバックラッシが大きい状態となる。ドライバ23は、モータ7の回転数をタコジェネレータ16により検知して、設定以上の回転数になると、バックラッシを大きくするように自動で働く。 【0015】この実施の形態では、第1の発明のアクチュエータを気体に封入したピストンとし、気体の温度を変化させる温度制御手段により、ピストンの長さを制御するものである。気体を封入したピストンは圧電素子に比べて圧縮に対して剛性が低いため、過大な入力トルクが加えられても、ギヤを損傷せず緩衝することが可能である。また、スプリングなどが不要であり、ギヤボックスの小型化が可能である。 【0016】実施の形態3.図3は、この発明に係る実施の形態3の可変バックラッシギヤ機構を示す構成図である。図3−(a),(c)はギヤまわりの詳細図を示し、図3−(b)はバイメタルを構成する2種類の金属板の詳細図を示す。図3において、3,4,5,13,14については、従来例および実施の形態1と同様である。31,32は熱膨張率の異なる2種類の金属板であり、従来例のスプリング6と同じ位置に配置され、両者を接合してバイメタルを構成している。また、その他の構成は実施の形態1と同様である。 【0017】このように構成された可変バックラッシギヤ機構は、バイメタル通電しない状態では図3(b)のようにバックラッシが小さい状態となるようにしておく。そこで、バイメタルに通電することにより、内部の電気抵抗のため発熱し、図3(c)のように金属板1と金属板2の熱膨張率の差により変形し、バックラッシが大きい状態となる。ドライバ回路15は、モータ7の回転数をタコジェネレータ16により検知して、設定以上の回転数になると、バックラッシを大きくするように自動で通電状態となる。 【0018】この実施の形態では、第1の発明のアクチュエータをバイメタルとするものである。バイメタルは圧電素子に比べて剛性が低く配置できるため、過大な入力トルクが加えられても、ギヤを損傷せず緩衝することが可能である。また、バイメタル自体に通電することにより、内部抵抗による発熱をもちいて変形させるため、第3の発明のように、温度制御手段が不要である。 【0019】 【発明の効果】この発明は以上説明したように構成されているので、以下に記載される効果を奏する。 【0020】第1の発明によれば、有効径およびモジュールが同じの重ねあわせた2枚のギヤの相対角をアクチュエータにより可変とすることで、上記ギヤに勘合するギヤとの間のバックラッシを可変とするものである。それにより、モータ回転速度が大きい場合は、ギヤ系に適切な量のバックラッシを確保し、動作音を小さく、ギヤに無理な負荷をかけず長寿命を確保し、消費電力を小さくすることが可能である。また、精密な位置決めを行うときは、モータの回転速度が小さいため、ギヤ系のバックラッシを小さくなり、バックラッシに影響されにくい駆動系にすることが可能である。 【0021】また、第2の発明によれば、第1の発明のアクチュエータを圧電素子とするものである。圧電素子は圧縮および引き張りに対して剛性が高いため、モータにより入力されるトルクが大きくても、設定したバックラッシ量を維持することが可能であり、また、圧電素子は、変形量を印加電圧によりオープンループで制御できるため、圧電素子の駆動回路(ドライバ回路)が簡単に構成できる。 【0022】また、第3の発明によれば、第1の発明のアクチュエータを気体を封入したピストンとし、気体の温度を変化させる温度制御手段により、ピストンの長さを制御するものである。気体を封入したピストンは圧電素子に比べて圧縮に対して剛性が低いため、過大な入力トルクが加えられても、ギヤを損傷せず緩衝することが可能である。また、スリップリングが不要であり、ギヤボックスの小型化が可能である。 【0023】また、第4の発明によれば、第1の発明のアクチュエータをバイメタルとするものである。バイメタルは圧電素子に比べて剛性が低く配置できるため、過大な入力トルクが加えられても、ギヤを損傷せず緩衝することが可能である。また、バイメタル自体に通電することにより、内部抵抗による発熱をもちいて変形させるため、第3の発明のように、温度制御手段が不要である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006013 【氏名又は名称】三菱電機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年11月10日(1999.11.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102439 【弁理士】 【氏名又は名称】宮田 金雄 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−141041(P2001−141041A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−319444 |
|