| 【発明の名称】 |
オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】相田 博
【氏名】大内 英男
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| 【要約】 |
【課題】外径を小さくしてオルタネータの発電効率を良好にでき、しかもオルタネータ側のサポート軸受21bの性能を確保できる構造を実現する。
【解決手段】各サポート軸受21a、21bとして、68系列の玉軸受を使用する。スリーブ8aのうちでオルタネータ側のサポート軸受21bが嵌合する部分での内径の最大値d1 と、この部分の外径d2 とを、8≦d13/(d22−d12)≦21を満たす様に規制する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内周面に雌ねじ部を有し、オルタネータの回転軸にねじ止め固定自在なスリーブと、外周面にベルトを掛け渡す為のベルト溝を有し、このスリーブの周囲にこのスリーブと同心に配置された従動プーリと、これらスリーブの外周面の軸方向中間部と従動プーリの内周面の軸方向中間部との間に設けられ、この従動プーリが上記スリーブに対し所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみこれら従動プーリとスリーブとの間での回転力の伝達を自在とする一方向クラッチと、この一方向クラッチを軸方向両側から挟む位置で上記スリーブの外周面と上記従動プーリの内周面との間に設けられ、この従動プーリに加わるラジアル荷重を支承しつつこれらスリーブと従動プーリとの相対回転を自在とする1対のサポート軸受とを備えたオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、上記各サポート軸受は68系列の玉軸受であり、上記スリーブのうちでオルタネータ側のサポート軸受が嵌合する部分での内径の最大値をd1 とし、この部分の外径をd2 とした場合に、8≦d13/(d22−d12)≦21を満たす事を特徴とするオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明の対象となるオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、自動車用の発電機であるオルタネータの回転軸の端部に固定し、エンジンのクランクシャフトの端部に固定した駆動プーリとの間に無端ベルトを掛け渡す事により、上記オルタネータを駆動する為に利用する。 【0002】 【従来の技術】自動車の走行用エンジンを駆動源として、自動車に必要な発電を行なうオルタネータの構造が、例えば特開平7−139550号公報に記載されている。図4は、この公報に記載されたオルタネータ1を示している。ハウジング2の内側に回転軸3を、1対の転がり軸受4、4により、回転自在に支持している。この回転軸3の中間部には、ロータ5と整流子6とを設けている。又、この回転軸3の一端部(図4の右端部)で上記ハウジング2外に突出した部分には、従動プーリ7を固定している。エンジンへの組み付け状態では、この従動プーリ7に無端ベルトを掛け渡し、エンジンのクランクシャフトにより、上記回転軸3を回転駆動自在とする。 【0003】上記従動プーリ7として従来一般的には、単に上記回転軸3に固定しただけのものを使用していた。これに対して近年、無端ベルトの走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、無端ベルトから回転軸への動力の伝達を自在とし、無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、従動プーリと回転軸との相対回転を自在とする、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が各種提案され、一部で使用されている。例えば、特開昭56−101353号公報、特開平7−317807号公報、同8−61443号公報、同10−285873号公報、特公平7−72585号公報、フランス特許公報FR2726059A1等に、上述の様な機能を有するオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が記載されている。 【0004】図5は、このうちの特開平10−285873号公報に記載されているオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を示している。このオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、オルタネータ1の回転軸3(図4)に外嵌固定自在なスリーブ8を有する。そして、このスリーブ8の周囲に従動プーリ7aを、このスリーブ8と同心に配置している。更に、これらスリーブ8の外周面と従動プーリ7aの内周面との間に、1対のサポート軸受9、9と一方向クラッチ10とを設けている。このうちのサポート軸受9、9は、上記従動プーリ7aに加わるラジアル荷重を支承しつつ、上記スリーブ8と従動プーリ7aとの相対回転を自在とする。 【0005】又、上記一方向クラッチ10は、上記従動プーリ7aが上記スリーブ8に対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、この従動プーリ7aからスリーブ8への回転力の伝達を自在とする。この為、上記一方向クラッチ10を構成し、上記スリーブ8に外嵌固定した内輪11の中間部外周面には、カム面12を形成している。又、このカム面12と上記従動プーリ7aの内周面との間には、複数のローラ13、13を配置している。そして、これら各ローラ13、13と、これら各ローラ13、13を保持する為の保持器14との間に、図示しない複数のばねを設けている。これら各ばねは、上記カム面12と上記従動プーリ7aの内周面との間に形成される円筒状隙間の寸法のうち、直径方向の幅が狭くなった部分に、上記各ローラ13、13をくさび状に食い込ませる方向に、これら各ローラ13、13を弾性的に押圧している。又、この弾力に基づく上記各ローラ13、13を押圧する為のトルクは、4N・m以下としている。 【0006】上述の様に構成する特開平10−285873号公報に記載されたオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置によれば、オルタネータ1の発電効率を或る程度確保する事ができる。即ち、エンジンを構成するクランクシャフトの回転速度が上昇し、このクランクシャフトの端部に固定した駆動プーリと上記従動プーリ7aとの間に掛け渡した無端ベルト15の走行速度が上昇傾向にある場合には、上記従動プーリ7aがスリーブ8に対し、所定方向に相対回転する傾向になる。この結果、上記各ローラ13、13が、上記内輪11の外周面と上記従動プーリ7aの内周面との間に形成される円筒状隙間の寸法のうち、直径方向に亙る幅が狭くなった部分にくさび状に食い込んで(ロック状態となって)、上記従動プーリ7aから回転軸3への回転力の伝達を自在とする。これに対して、上記クランクシャフトの回転速度が低下し、上記無端ベルト15の走行速度が低下傾向にある場合には、上記従動プーリ7aが上記スリーブ8に対して、上記所定方向と反対方向に相対回転する。この為、上記各ローラ13、13が上記円筒状隙間のうちの幅が広くなった部分に移動し、これら各ローラ13、13が当該部分で転動自在となって(オーバラン状態となって)、上記従動プーリ7aと回転軸3との相対回転を自在とする。この様にオーバラン状態への移行が行なわれる為、クランクシャフトの回転速度の変動に拘らず、上記オルタネータ1の回転軸3を、自身の回転慣性力に基づき或る程度高域で回転させ続ける事ができる。この為、上記オルタネータ1の発電効率を或る程度確保する事ができる。 【0007】又、上述の様なオルネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を使用する事により、無端ベルトの内周面と従動プーリ7aの外周面との摩擦面に加わる力の作用方向を一定にし、上記無端ベルトの寿命を向上させる事もできる。即ち、例えば駆動用のエンジンがディーゼルエンジンであった場合、アイドリング時等の低回転時には、クランクシャフトの回転角速度の変動が大きくなる。この結果、このクランクシャフトの端部に固定した駆動プーリに掛け渡した無端ベルト15の走行速度も細かく変動する事になる。一方、この無端ベルト15により従動プーリを介して回転駆動されるオルタネータ1の回転軸3は、この回転軸3並びにこの回転軸3に固定したロータ5及び整流子6(図4)等の慣性質量に基づき、それ程急激には変動しない。従って、従動プーリを回転軸3に対し単に固定しただけの場合には、クランクシャフトの回転角速度の変動に伴い、上記無端ベルト15の内周面と従動プーリの外周面とが両方向に擦れ合う傾向となる。この結果、この従動プーリと擦れ合う無端ベルト15に、繰り返し異なる方向の応力が作用して、この無端ベルト15と従動プーリとの間に滑りが発生し易くなったり、或はこの無端ベルト15の寿命が短くなったりする原因となる。尚、この様な従動プーリの外周面と無端ベルト15の内周面との摩擦に基づく無端ベルト15の寿命低下は、走行時に加減速を繰り返す等によっても生じる。 【0008】そこで、上述の様な従動プーリとして、上記オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を使用する事により、上記無端ベルト15の走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、従動プーリ7aから回転軸3への回転力の伝達を自在とし、反対に上記無端ベルト15の走行速度が低下傾向にある場合には、これら従動プーリ7aと回転軸3との相対回転を自在とする。即ち、上記無端ベルト15の走行速度が低下傾向にある場合には、上記従動プーリ7aの回転角速度を上記回転軸3の回転角速度よりも遅くして、上記無端ベルト15の内周面と従動プーリ7aの外周面との当接部が強く擦れ合う事を防止する。この様にして、従動プーリ7aと無端ベルト15との擦れ合い部に作用する応力の方向を一定にし、これら無端ベルト15と従動プーリ7aとの間に滑りが発生したり、或はこの無端ベルト15の寿命が低下する事を防止する。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】オルタネータ1の発電効率を高くする為には、このオルタネータ1の回転軸3の回転速度を高くする必要がある。又、この回転軸3の回転速度を高くする為には、駆動用の無端ベルト15を掛け渡す為の従動プーリ7aの外径を小さくする必要がある。これに対して、図5に示した従来構造の場合には、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置全体としての小型化を考慮していない為、上記従動プーリ7aの外径が大きくなり、上記回転軸3の回転速度を高くする事が難しかった。本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、この様な事情に鑑みて発明したものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、前述した従来のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置と同様に、内周面に雌ねじ部を有し、オルタネータの回転軸にねじ止め固定自在なスリーブと、外周面にベルトを掛け渡す為のベルト溝を有し、このスリーブの周囲にこのスリーブと同心に配置された従動プーリと、これらスリーブの外周面の軸方向中間部と従動プーリの内周面の軸方向中間部との間に設けられ、この従動プーリが上記スリーブに対し所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみこれら従動プーリとスリーブとの間での回転力の伝達を自在とする一方向クラッチと、この一方向クラッチを軸方向両側から挟む位置で上記スリーブの外周面と上記従動プーリの内周面との間に設けられ、この従動プーリに加わるラジアル荷重を支承しつつこれらスリーブと従動プーリとの相対回転を自在とする1対のサポート軸受とを備える。特に、本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いては、上記各サポート軸受は、68系列の玉軸受(JIS B 1513に規定する呼び番号の始め2桁が68である、JIS B 1521に規定する深溝玉軸受)である。そして、上記スリーブのうちでオルタネータ側のサポート軸受が嵌合する部分での内径の最大値をd1 とし、この部分の外径をd2 とした場合に、8≦d13/(d22−d12)≦21を満たす。 【0011】 【作用】上述の様に構成する本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、各サポート軸受の性能並びに耐久性を確保しつつ、径方向に関するスリーブ並びに各サポート軸受の厚さを十分に小さくできる。即ち、内径が同じである場合に比較的外径が小さい、言い換えれば径方向に関する厚さが小さい68系列の玉軸受を、1対のサポート軸受として使用しているので、これら各サポート軸受の周囲に設ける従動プーリの径方向に関する厚さを確保しつつ、この従動プーリの外径を小さくして、オルタネータの発電効率の向上を図れる。又、上記スリーブのうちでオルタネータ側のサポート軸受が嵌合する部分の内径の最大値d1 と、この部分の外径d2 との関係を、8≦d13/(d22−d12)≦21とした事により、上記オルタネータの回転軸に上記スリーブをねじ止め固定する際の、このスリーブの弾性変形量を、実用上問題ない範囲に抑える事ができる。 【0012】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態の第1例を示している。このオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、オルタネータ1の回転軸3(図4)に外嵌固定自在なスリーブ8aを有する。又、このスリーブ8aの周囲に従動プーリ7bを、このスリーブ8aと同心に配置している。この従動プーリ7bの外周面には、ポリVベルトと呼ばれる内周面に複数の突条を有する無端ベルトを掛け渡すべく、それぞれが断面V字形である、複数の凹溝16、16を形成している。上記従動プーリ7bの径方向に関する厚さT7bは、これら各凹溝16、16の溝底に対応する部分で最も小さくなるが、この部分でも上記厚さT7bを2〜5mm程度確保し、上記無端ベルトから加わる大きなラジアル荷重に耐えられる様にしている。一方、上記従動プーリ7bの慣性モーメントは、(0.7〜1.5)×10-4[kg・m2]程度の小さな値としている。この理由は、エンジンのシリンダ内で間欠的に発生する爆発に基づくクランクシャフトの回転角速度の変動に基づく上記無端ベルトの走行速度の細かい変動に拘らず、この無端ベルトの耐久性を確保する為である。言い換えれば、上記従動プーリ7bの慣性モーメントを小さくし、この従動プーリ7bの回転を上記無端ベルトの走行速度変動に追従し易くして、これら従動プーリ7bと無端ベルトとの係合部に作用する摩擦力の変動をできるだけ小さくして、この無端ベルトに負荷される張力の最大値を小さくする為である。 【0013】又、前記スリーブ8aは、全体を円筒状に形成しており、前記オルタネータ1の回転軸3の端部にねじ止め固定して、この回転軸3と共に回転自在である。この為に、上記スリーブ8aの中間部内周面にねじ孔部17を形成し、このねじ孔部17と上記回転軸3の先端部外周面に設けた雄ねじ部とを螺合自在としている。又、上記スリーブ8aの先端部に、内周面の断面形状が六角形である係止孔部18を形成して、この係止孔部18に、六角レンチ等の工具の先端部を係止自在としている。又、上記スリーブ8aの基端部内周面は、上記回転軸3の先端部中間寄り部分とがたつきなく嵌合自在な円孔部19としている。又、上記スリーブ8aの外周面中央部には、この外周面から直径方向外方に突出する凸部20を、全周に亙り形成している。 【0014】尚、上記スリーブ8aの先端部の径方向に関する厚さT1 は、円周方向に関して最も小さい部分、即ち、上記係止孔部18の径が最も大きくなっている部分で、2〜3mm程度としている。上記先端部の厚さT1 をこの程度にする事により、この先端部の強度を確保し、上記係止孔部18に工具の先端部を挿入した状態で上記スリーブ8aを回転させ、このスリーブ8aを上記回転軸3の先端部に螺合し更に緊締した状態で、このスリーブ8aの先端部の変形量を僅少に抑えられる様にしている。より具体的には、このスリーブ8aの先端部に外嵌した、後述するサポート軸受21aを構成する軸受用内輪34の外周面に形成した内輪軌道33の径方向に関する変形を、2〜3μm程度に抑えられる様にしている。同時に、上記スリーブ8aの外径が必要以上に大きくならない様にしている。 【0015】又、上記スリーブ8aの軸方向中間部で、前記ねじ孔部17の周囲部分の肉厚(ねじ溝の周囲に存在する部分の厚さ)T2 は、3〜5mm程度にしている。この部分の周囲には、後述する一方向クラッチ10aを設ける為、この一方向クラッチ10aのロック時に、径方向内方に向いた大きなラジアル荷重を、円周方向に関して間欠的に受ける。そこで、上記厚さT2 を3〜5mmの範囲に規制する事により、上記ラジアル荷重に対する強度を確保しつつ、上記スリーブ8aの外径が必要以上に大きくならない様にしている。 【0016】更に、上記スリーブ8aの基端部、即ち、オルタネータ側のサポート軸受21bが嵌合する部分で、前記円孔部19を形成した部分の内径d1 を17mm、同じく外径d2 を25mmとしている。従って、請求項に記載したd13/(d22−d12)の値は14.62となり、8≦d13/(d22−d12)≦21を満たす。上記各径d1 、d2 をこの様に規制する事により、上記スリーブ8aの基端部の強度を確保しつつ、このスリーブ8aの基端部に外嵌した別のサポート軸受21bを構成する軸受用内輪34の外周面に形成した内輪軌道33の径方向に関する変形を抑えられる様にしている。同時に、上記スリーブ8aの外径が必要以上に大きくならない様にしている。この点に就いては、後で詳しく述べる。 【0017】前述の様な従動プーリ7bの内周面と、上記スリーブ8aの外周面との間に、1対のサポート軸受21a、21bと、一方向クラッチ10aとを設けている。即ち、上記スリーブ8aの外周面と上記従動プーリ7bの内周面との間に存在する空間の軸方向中間部に上記一方向クラッチ10aを、同じくこの空間の軸方向両端部でこの一方向クラッチ10aを軸方向両側から挟む位置に上記サポート軸受21a、21bを、それぞれ配置している。尚、本例の場合、上記一方向クラッチ10aとして、ローラクラッチを使用している。この一方向クラッチ10aは、上記従動プーリ7bが上記スリーブ8aに対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これら従動プーリ7bとスリーブ8aとの間での回転力の伝達を自在とする。 【0018】この様な一方向クラッチ10aを構成する為、上記スリーブ8aの外周面に形成した前記凸部20に、クラッチ用内輪24を、締まり嵌めにより外嵌固定している。このクラッチ用内輪24は、浸炭鋼等の鋼板にプレス加工等の塑性加工を施して全体を円筒状に形成しており、外周面にカム面25を形成している。即ち、上記クラッチ用内輪24の外周面に、ランプ部と呼ばれる複数の凹部26を、円周方向に亙って等間隔に形成する事により、上記外周面を上記カム面25としている。この様なクラッチ用内輪24は、上記一方向クラッチ10aのロック時に上記各凹部26に径方向内方に加わる大きなラジアル荷重に対する十分な強度を確保する為、厚さが1.8mm程度の鋼板により造っている。 【0019】これに対して、上記従動プーリ7bの中間部内周面に締まり嵌めにより内嵌固定したクラッチ用外輪27の内周面のうち、少なくとも次述するローラ28の転動面と当接する軸方向中間部は、単なる円筒面としている。この様なクラッチ用外輪27は、やはり浸炭鋼等の鋼板にプレス加工等の塑性加工を施して全体を円筒状に形成しており、軸方向両端部に内向フランジ状の鍔部29a、29bを形成している。尚、上記両鍔部29a、29bのうち、一方(図1の左方)の鍔部29aは、上記クラッチ用外輪27の製造時に予め形成しておく為、このクラッチ用外輪27の円筒部と同等の肉厚にしている。これに対して、他方(図1の右方)の鍔部29bは、このクラッチ用外輪27の直径方向内側に、次述するローラ28やクラッチ用保持器30を組み込んでから形成する為、薄肉にしている。この様なクラッチ用外輪27を構成する鋼板も、上記一方向クラッチ10aのロック時に加わる大きなラジアル荷重に対する十分な強度を確保する為、厚さを1.3mm程度としている。上記クラッチ用内輪24に比べて薄いのは、クラッチ用外輪27の内周面は単なる円筒面で(凹部が設けられておらず)、全周に亙って厚さが均一である為である。尚、上記クラッチ用内輪24のうち、各凹部26に対応する部分での最小厚さを、上記クラッチ用内輪27の厚さとほぼ同じとしている。 【0020】又、上記クラッチ用内輪24及び上記クラッチ用外輪27と共に上記一方向クラッチ10aを構成する複数個のローラ28は、上記クラッチ用内輪24に、このクラッチ用内輪24に対する回転を不能として外嵌した合成樹脂製のクラッチ用保持器30に、転動及び円周方向に亙る若干の変位自在に支持している。そして、このクラッチ用保持器30に設けた柱部と上記各ローラ28との間に、板ばね、或はこのクラッチ用保持器30と一体の合成樹脂ばね等のばねを設けて、これら各ローラ28を、円周方向に関して同方向に弾性的に押圧している。又、図示の状態で、上記クラッチ用保持器30の軸方向両端面は、上記クラッチ用外輪27を構成する両鍔部29a、29bの内側面と近接対向させて、このクラッチ用保持器30が軸方向に変位する事を阻止している。但し、上記クラッチ用外輪27の両鍔部29a、29bの内側面とクラッチ用保持器30の両端面との間の軸方向隙間は、1.5mm程度確保して、この隙間空間をグリース溜りとしている。尚、この様な一方向クラッチ10aの基本的な構造及び作用は、従来から周知であるから、これ以上の詳しい図示並びに説明は省略する。 【0021】又、前記各サポート軸受21a、21bは、前記従動プーリ7bに加わるラジアル荷重を支承しつつ、この従動プーリ7bと前記スリーブ8aとの相対回転を自在とする。図示の例では、上記各サポート軸受21a、21bとして、呼び番号が6805である深溝型の玉軸受(内径=25mm、外径=37mm、幅=7mm)を使用している。即ち、これら各サポート軸受21a、21bはそれぞれ、内周面に深溝型の外輪軌道31を有する軸受用外輪32と、外周面に深溝型の内輪軌道33を有する軸受用内輪34と、上記外輪軌道31と内輪軌道33との間に転動自在に設けた複数個の玉35とから成る。又、上記軸受用外輪32の両端部内周面にそれぞれシールリング36、36の外周縁部を係止する事により、上記各玉35を設置した空間の両端開口部を塞いでいる。 【0022】この様な各サポート軸受21a、21bは、それぞれの軸受用外輪32を前記従動プーリ7bの内周面両端部に締り嵌めで内嵌固定し、それぞれの軸受用内輪34を上記スリーブ8aの外周面両端部に締り嵌めで外嵌固定する事により、上記スリーブ8aの外周面両端部と従動プーリ7bの内周面両端部との間に組み付けている。尚、本例の場合、上記各サポート軸受21a、21bを構成する軸受用内輪34の一端面を、それぞれスリーブ8aの中間部外周面に形成した凸部20の軸方向両端面に突き当てている。 【0023】上述の様に構成する本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、前述の図5に示した従来構造と同様に、前記従動プーリ7bに掛け渡した無端ベルトの走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、この無端ベルトからオルタネータ1の回転軸3への動力の伝達を自在とし、この無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、上記従動プーリ7bと回転軸3との相対回転を自在とする。この為、上記オルタネータ1の発電効率の確保と上記無端ベルトの寿命延長とを図れる。 【0024】特に、本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置によれば、上記各サポート軸受21a、21bの性能並びに耐久性を確保しつつ、径方向に関する前記スリーブ8a並びにこれら各サポート軸受21a、21bの厚さを十分に小さくできる。即ち、内径が同じで(例えば、呼び番号が6805、6905の場合で25mm)ある場合に比較的外径が小さい(呼び番号が6805の場合に37mmであるのに対して、呼び番号が6905の場合には42mm)、言い換えれば径方向に関する厚さが小さい68系列の玉軸受を、1対のサポート軸受21a、21bとして使用している。この為、これら各サポート軸受21a、21bの周囲に設ける前記従動プーリ7bの径方向に関する厚さを確保(前述したT7bを2〜5mmに)しつつ、この従動プーリ7bの外径を小さくして、オルタネータ1の発電効率の向上を図れる。 【0025】又、上記スリーブ8aのうちでオルタネータ側のサポート軸受21bが嵌合する部分の内径の最大値d1 と、この部分の外径d2 との関係を、8≦d13/(d22−d12)≦21としている。この為、上記オルタネータの回転軸3に上記スリーブ8aをねじ止め固定する際の、このスリーブ8aの弾性変形量を、実用上問題ない範囲に抑える事ができる。この点に就いて、以下に説明する。上記スリーブ8aをオルタネータ1の回転軸3の端部にねじ止め固定する際には、前記ねじ孔部17をこの回転軸3の端部に形成した雄ねじ部に螺合し、更に上記スリーブ8aの基端面(図1の右端面)を上記回転軸3の中間部に形成した鍔部若しくは段部に突き当てた状態で緊締する。この様な緊締作業に伴って、上記スリーブ8aのうちで上記ねじ孔部17と上記基端面との間が、軸方向の圧縮応力を受け、弾性変形する。 【0026】しかも、上記スリーブ8aの基端面、この基端面と当接する鍔部等の加工誤差(直角度等)或は上記雄ねじ部と上記ねじ孔部17との螺合部の加工誤差等に基づき、上記圧縮応力は円周方向に亙って不均一になり、その結果、上記スリーブ8aの基端部外周面が局部的に膨らんで、この外周面の真円度が悪化する事が避けられない。この様にして真円度が悪化する程度は、上記スリーブ8aの基端部の厚さ{(d2 −d1 )/2}が小さい程著しくなる。本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上記スリーブ8aの基端部周囲に設けるサポート軸受21bとして、直径方向の厚さが小さい68系列のものを使用する為、上記スリーブ8aの基端部外周面の真円度悪化が著しくなると、この基端部に外嵌した上記サポート軸受21bの軸受用内輪34の外周面の内輪軌道33の真円度の悪化も無視できない程度になる。そこで、この様な内輪軌道33の真円度の悪化を問題ない程度に抑えられる範囲として、本発明の場合には、8≦d13/(d22−d12)≦21の条件を規定した。この条件は、次の様にして導いた。 【0027】上記螺合・緊締作業の際、上記回転軸3に負荷できる捩りトルクTは、材料力学で知られた計算式から明らかな通り、この回転軸3の外径の3乗に比例する。又、この回転軸3の外径は、上記スリーブ8aの基端部の内径d1 に等しいと考える事ができる。従って、上記捩りトルクは、d13に比例する。一方、上記螺合・緊締作業に伴って上記スリーブ8aの基端部に負荷される圧縮応力σは、この螺合・緊締作業に伴う圧縮荷重をFとし、上記基端部の外径をd2 とした場合に、F/(d22−d12)に比例する。又、上記圧縮荷重Fは上記捩りトルクTに比例するので、圧縮応力σはd13/(d22−d12)に比例する事になる。 【0028】上記スリーブ8aの基端部に発生する歪み量は、上記圧縮応力σに比例するので、上記螺合・緊締作業に伴う、上記スリーブ8a基端部の真円度の悪化は、上記d13/(d22−d12)の値と相関関係があるものと考えられる。この様な観点で、本発明者は、スリーブを回転軸に螺合固定して、それに伴うこのスリーブの外周面の真円度の悪化を測定する実験を行なった。尚、この実験では、上記スリーブに加える締め付けトルクを、上記回転軸の外表面に働く剪断応力が9.8×107 Pa(10kgf/mm2 )となる様にして行なった。図2は、この様にして行なった実験の結果得られた悪化の程度を、上記d13/(d22−d12)の値を引数にしてプロットしたものである。 【0029】一方、上記真円度の悪化に基づいて発生する、前記内輪軌道33の真円度の悪化の許容値は、数μmである。この値を越えると、サポート軸受21bで、運転時騒音が発生する可能性がある。安全率を考慮して、上記スリーブの基端部外周面の真円度の悪化がそのまま上記内輪軌道33の真円度の悪化に結び付くと仮定した場合、この内輪軌道33の真円度の悪化を数μm以内に抑える為には、上記d13/(d22−d12)の値を21以下に抑える必要がある。尚、このd13/(d22−d12)の値を小さくすれば、上記内輪軌道の真円度の悪化は抑えられるが、逆に余裕があり過ぎて(スリーブの内径を同じとした場合に、外径が大きくなり過ぎて)、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の外径を小さくできない。従って、このオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の外径を小さくする為には、上記d13/(d22−d12)の値は、8以上、好ましくは12以上にする。従来のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、上記d13/(d22−d12)の値が小さ過ぎて、このオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の外径を小さくできなかった。 【0030】次に、図2は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、スリーブ8bの外周面は、全長に亙り単なる円筒面としている。クラッチ用内輪24aは、このスリーブ8bの中間部外周面に、締り嵌めにより外嵌固定している。又、従動プーリ7bの内周面に外径側スリーブ37を、締り嵌めにより内嵌固定している。この外径側スリーブ37は、軸受鋼等の硬質金属により全体を円筒状に形成し、中間部内周面に直径方向内方に突出する凸部38を、全周に亙り形成している。そして、この凸部38の内周面を、上記クラッチ用内輪24aの外周面に形成したカム面25aと共に一方向クラッチ10bを構成する、円筒面としている。即ち、一方向クラッチ10bのロック時に、この一方向クラッチ10bを構成する複数個のローラ13が、上記カム面25aと上記凸部38の内周面との間で突っ張る様に構成している。又、軸受用外輪32、32は、それぞれ上記外径側スリーブ37の軸方向両端部に締り嵌めで内嵌固定すると共に、それぞれの一端面を上記凸部38の軸方向両端面に突き当てている。 【0031】又、本例の場合、上記スリーブ8bの内周面中間部でねじ孔部17と円孔部19との間に、このねじ孔部17を加工する必要上全周に亙って形成した逃げ溝39を、基端側(図3の右側)のサポート軸受21bの内径側に位置させている。従って、本例の場合には、上記逃げ溝39の溝底部の直径が、上記スリーブ8bのうちでオルタネータ側のサポート軸受21bが嵌合する部分での内径の最大値d1 となる。本例の場合には、この内径の最大値d1 と、上記スリーブ8bの基端部の外径d2 とから計算されるd13/(d22−d12)の値を13程度にして、上記サポート軸受21bを構成する軸受用内輪34の外周面の内輪軌道33の真円度の悪化を防止しつつ、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の外径を小さくできる様にしている。その他の構成及び作用は、前述した第1例の場合と同様である。 【0032】 【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成し作用するので、オルタネータを効率良く駆動でき、しかも軽量なオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を実現できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004204 【氏名又は名称】日本精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月16日(1999.11.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087457 【弁理士】 【氏名又は名称】小山 武男 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−141035(P2001−141035A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−325823 |
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